
あたらしいエクスプロージョン
CoRich舞台芸術!プロデュース
新宿シアタートップス(東京都)
2025/11/28 (金) ~ 2025/12/02 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/12/02 (火) 13:00
CoRichによる名作リメイク、昨年の「イノセント・ピープル」が密度の濃い舞台だったので期待していたのだが、忖度なしに言えば、期待外れだった。
まず思ったのはこの料金設定の細かさ。14種類もに分かれている。シアタートップスのような小劇場でこんな細かな料金設定に何の意味があるのか。
さて「終戦直後の日本、まだカメラもフィルムもままならない時代。邦画史上初のキスシーンを撮ろうと奮闘する映画人たちがいた」というこの物語だが、当時、GHQが「日本人が恋愛、情愛の面でもこそこそすることなく、堂々と自分の欲望や感情を人の前で表明することが、日本人の思想改造に不可欠」との思惑で映画界に強要して初のキスシーンがある「はたちの青春」(佐々木康監督)が制作された。日本を骨抜きにするための3S政策(スクリーン、セックス、スポーツ)が強硬に推し進められていたのだ。その後「また逢う日まで」(今井正監督)でのガラス窓越しのキスが話題になったりもしたが、まだまだキスシーンは邦画の世界では珍しいものだったのだ。若い映画人たちが新たな表現を追い求めるといったことの前に、GHQの強要があったというのが史実だ。
(以下、ネタバレBOXにて…)

料理昇降機
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2025/06/20 (金) ~ 2025/07/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/06/22 (日) 18:30
2005年にノーベル文学賞を受賞したハロルド・ピンターの不条理劇。
舞台上には低いベッドが二つ、足の部分を角にしてほぼ直角に置かれている。
開演すると下手側のベッドには若い男(ガス)が腰かけ、上手側のベッドでは年長と思しき男(ベン)が寝転んでタブロイド紙を読んでいる。二人ともに黒シャツに黒い吊りズボンという姿で、それぞれ黒い上着とネクタイ、帽子はベッドの脇のコートハンガーに掛かっている。
(以下、ネタバレBOXにて…)

マライア・マーティンの物語
On7
サンモールスタジオ(東京都)
2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/21 (水) 14:00
1日の間を空けて2度目の鑑賞。この回も好評につき最前列にミニ椅子を増席とのことで、やや腰痛に不安を抱きつつも最前列へ。
On7というのは5つの老舗劇団(青年座・文学座・俳優座・演劇集団円・テアトル・エコー)に所属する7人の同年代の中堅女優により「自分たちがいま演りたい芝居をやろう」と2013年に結成されたユニットで、私はその第0回公演(プレ旗揚げ公演)「Butterflies in my stomach」からずっと観続けている。受け身ではなく能動的に、情熱的に、胸が高鳴るような舞台を創造するというコンセプトだけに、シリアスなものからコメディ、屋外パフォーマンスとさまざまな形で密度の濃い上演を続けている。たださすがに結成12年ともなると自劇団への出演や家庭の事情等で全員が揃うことが難しくなったこともあり、今回は7人中5人に客演2人を迎えて(しかも1人は初の男優)の公演となっている。
が、今公演は正直に言って、役者陣は紛れもなく熱演であるものの、(「観たい」に書いている危惧が現実のものとなっており)寺十吾の演出のまずさから、第1回公演「痒み」に次いで残念な作品となっていた。
(以下、ネタバレBOXにて…)

マライア・マーティンの物語
On7
サンモールスタジオ(東京都)
2025/05/17 (土) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/19 (月) 19:00
待ちに待ったOn7の公演だけに(指定席にも関わらず)開演の1時間も前に劇場に到着。最前列で鑑賞。
詳細な感想は2回目の観劇後に…。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/05/14 (水) ~ 2025/05/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/22 (木) 14:00
4月から8月までのロングランで、期間中は同じ作品で多くの俳優が入れ替わり立ち替わり出演するという主宰が劇場オーナーだからこそ成しうる異例の企画公演だが、第一期は剣チームを、第二期は剣チームの楽日を観劇し、今回の第三期は龍チームとなったが、個人的にはこれまでのところ、第二期の剣チームが最も出来が良かったように思う。その立役者は何と言っても与力・徳三を演じた西川智宏だったのだが、今期龍チームでの熊坂貢児はやや弱かったし、同じく与力の九次役の三宅礼央がさらに良くない。
この作品、エンタメ時代劇としては充分に楽しめる内容なのだが、いくつか気になることがある。
(以下、ネタバレBOXにて…)

六道追分(ろくどうおいわけ)~第二期~
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/04/30 (水) ~ 2025/05/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/05/11 (日) 14:00
強烈な日差しの下での開場待ちで体力消耗。隣のBOX IN BOX THEATERでは熱射病で倒れた人が出て、救急車が来る騒動に…。
剣チームの楽日マチネを観劇。第一期の剣チームよりも完成度が高かったが、その立役者は何と言っても与力・徳三を演じた西川智宏だった。

六道追分(ろくどうおいわけ)~第一期~
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/04/05 (土) ~ 2025/04/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/17 (木) 19:00
4月から8月までのロングランで、期間中は同じ作品で多くの俳優が入れ替わり立ち替わり出演するという企画公演だが、その第一期の剣チームを観劇。
エンタメとして楽しいのだが、気になる点も多々…。それらは第三期の「観てきた!」に記すことにしよう。
→ https://stage.corich.jp/watch/811366/stage_comments

ニッポン人は亡命する。
うずめ劇場
シアターX(東京都)
2025/01/24 (金) ~ 2025/01/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2025/01/24 (金) 19:00
「鬼才・鈴江俊郎が、ドイツ人演出家ペーター・ゲスナーの熱望に応え、うずめ劇場のために書き下ろした息もつかせず展開する2時間強の新作戯曲」というので、期待してチケットを購入したのだが、全くの期待外れ。
(以下、ネタバレBOXにて…)

アンナの銀河
演劇集団nohup
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/01/22 (水) ~ 2025/01/27 (月)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2025/01/22 (水) 19:30
読むのが難しい劇団名、「ノーハップ」と読むらしい。PC用語のようだが…。
上演時間85分。
やや高く組まれたステージに座面が六角形の低い椅子。登場人物がそれらの椅子を持って出ハケすることで、場面が変わる形をとっている。
(以下、ネタバレBOXにて…)

なまえ(仮)
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2025/01/08 (水) ~ 2025/01/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/01/09 (木) 19:30
一昨年・昨年に引き続き、今年も観劇始めは夢現舎で。
今回の新春公演は一昨年と同じく名前にまつわるアンソロジー短編集だが、一昨年が7編だったのに今年は11編に増えている。それぞれのタイトルには全て末尾に(仮)と付いており、観客がそれぞれのタイトル案を書き込むスタイルとなっている。
地下の受付に向かう階段から始まって、客席内の壁やトイレの中にまで赤い短冊にいろいろな名前を書いたものが隙間もないくらい無数に貼られている。当初は最前列に座ったのだが、演技スペースと客席の間にも同じような白い短冊が大量に広げられていたが、私の目の前の文字は「勃起不全」。新年早々縁起でもない、と2列目の席に移動(笑)。
(以下、ネタバレboxにて)

白魔来るーハクマキタルー
ラビット番長
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2024/09/26 (木) ~ 2024/09/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/28 (土) 18:00
この作品は2015年3月に初演されたものだが、コアな観劇ファンからは評価が高かったものの、一般の観客からはその残虐性に戸惑いがあがっていたものだ。大正時代に北海道で起こった熊害(ゆうがい)事件として有名なものには「三毛別羆事件」や「石狩沼田幌新事件」などあるが、この作品は日本史上最悪の熊害といわれる前者をモデルにしている。昨年来、熊が人間を襲う事件が頻繁に報じられ、その意味では初演時よりも観客に身近に迫ってくる感があるだろう。
(以下、ネタバレBOXにて…)

るつぼ
演劇ユニットキングスメン
座・高円寺2(東京都)
2024/09/25 (水) ~ 2024/09/29 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2024/09/25 (水) 18:30
CoRichの説明によれば、ベテランから若手まで多彩な実力派俳優が勢ぞろいしての度肝を抜く勢いのある舞台とのことだった。で、期待も大きく初日を観劇。
が、まるで期待外れ。演出もダメなら、役者もダメ。アーサー・ミラーの台詞・物語が少しも響いてこない。上演時間2時間半が無駄に終わってしまった。「エンディングは、席を立てないほどの衝撃」とのことだったが、違った意味での衝撃的な舞台だった。
15人の出演者(27役)でまあまあと思えるのはエリザベスとアビゲイルという核となる女性を2役ともこなした絵里(W演出の一人である篁エリらしい)とメアリーを演じた山本麻祐くらい。
あとは素人に毛が生えかけたか、生えもしないレベルでしかない。よくもまあ実力派俳優が勢ぞろいなどと言えたものだ。
殊にひどいのは副総督であり裁判官を演じた中島史朗。台詞を全く覚えておらず、紙(宣誓供述書や死刑囚名簿など)や白手袋、小さな紙片に台詞を書いて、それを読むのに必死な有様で、台詞を発する時に相手の顔を見ずにそうしたカンペにばかり目を向けて(当然下向きや、ひどい時は後ろ向きで)ただ大声を発しているだけ。台詞を言っていない時もほとんどカンペしか見ずに、次にどこで自分が台詞を言わねばならないのかばかり気にしている。そんな有様では、登場人物の人間性や感情などをきちんと表現できるはずもない。
他の役者も台詞をやりとりする際の間があわず、会話が噛み合っていないし、滑舌も悪い。
あと子役もひどい。序盤で気を失って、このまま死ぬんじゃないかと周りの大人が騒いでいるのに、当の本人は倒れたまま首を動かしてずっと辺りをキョロキョロ見回している。その他の場面でもまるで遊んでいるかのようで、傍に居る大人の役者はそれが気になって仕方のない様子。
衣装にも多少違和感があるが、主人公であるジョンを演じる平澤智之(W演出のもう一人である平澤トモユキ)がNEW YORKと大きくプリントされたラルフ・ローレンのTシャツなのが最悪。なぜ白無地のものにしなかったのか。しかも劇中ずっと裸足だった。裸足である必然性などどこにもないのに……。
おまけに、背景として舞台奥に泰西の名画が映し出されるのだが、途中でPCの画面そのまま(全画像の一覧)が映し出されて、それがかなりの長時間そのままの状態での演技。ますます白けてしまった。
演技力のない座組でやるのであれば理想を高く設定せず、まずはそれなりの戯曲を選ぶべきだろう。どんなに優れた戯曲だろうと、それを読み込み、表現する演出家や役者陣が揃わなければ作品世界を伝えることなどできはしない。

魚雷モグラ’24
ウラダイコク
みらい館大明ブックカフェ特設ステージ(東京都)
2024/08/02 (金) ~ 2024/08/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/08/04 (日) 17:00
みらい館大明という施設は初めてなので、地図やGoogleマップを頼りに向かったのだが、やはり最後のところで迷ってしまった。どうやら廃校となった小学校の校舎を利用した施設で、地域有志で構成された特定非営利活動法人が管理運営しているらしい。
舞台となるのは1945年(昭和20年)8月の長崎。地下トンネルに設けられた兵器製造工場に女子学徒たちが集められ前線で戦う兵隊さんに送るため魚雷製造を強いられていた。この女子学生たちの日常がグループ同士の対立を軸にして、原爆投下の直後まで描かれていく。上演時間80分。
物語としてはまあまあなのだが、開演と同時に気になったことがある。
女子学生は全員が下着が透けてみえるほど薄手の白いブラウス(それぞれがおしゃれなデザイン)に黒のスラックス、しかも全員がブラウスの裾をスラックスの上に出している(班長役の男もワイシャツをズボンの上に出している)。当時はこんなことはありえない。まずブラウスやワイシャツの裾はスラックスの中に入れなければならない。女子のブラウスだって厚手の木綿製で、胸には住所と氏名、血液型を書いた名札(当然ながら油性ペンはなかったので墨文字)が縫い付けられていたはずだ。
まあモンペまで用意しろとまでは言わないが、当時の悲惨さをリーディングではなく演劇としてみせようとするのなら、その程度は気をつけるべきだろう。あと、女子学生の髪などに赤いリボンもおかしい。昭和20年の8月という逼迫した状況下で、そんなことしていたら非国民扱いされるのがオチだ。
それほどお金がかかる訳でもないこの程度のことに手を抜いていたら、それが作品全体に響いてしまうのだ。
演じる若者たちに当時のことを伝えるのだって中途半端になりかねない。
「せからしか!」と言われるかもしれないが、敢えての苦言を。

かなかぬち
椿組
新宿花園神社境内特設ステージ(東京都)
2024/07/10 (水) ~ 2024/07/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/07/11 (木) 19:00
外波山文明率いる椿組がその前身であるはみだし劇場の頃から毎年行ない、夏の風物詩ともなっていた花園神社野外劇の39年の歴史に幕を下ろす作品「かなかぬち 〜ちちのみの父はいまさず〜」の2夜目を観た。
この作品は戦後生まれで初めての芥川賞作家・中上健次が33歳だった1979年に、同年齢で意気投合した外波山のために書き下ろした中上唯一の戯曲だという。この作品をもって花園神社野外劇の終止符としようとするのは、やはり外波山の思い入れの強さだろう。
(以下ネタバレboxにて)

二十一時、宝来館
On7
オメガ東京(東京都)
2024/06/26 (水) ~ 2024/06/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/28 (金) 20:00
On7とは5つの老舗劇団(青年座・文学座・俳優座・演劇集団円・テアトル・エコー)に所属する同世代の中堅女優7人による演劇ユニットで、2013年2月に始動。
ただ今回は青年座3人+テアトル・エコーの計4人による公演なので、miniOn7となっている。Miniとはいえ、On7としては「七祭〜ナナフェス〜」以来3年ぶりの公演だ。その公演は竹田モモコ作の幡多弁(高知県西部の方言)での会話劇「二十一時、宝来館」。
灰皿役は客演の男優2人を交えたトリプルキャストになっているのだが、やはりここはOn7メンバーのみで上演されるヴァージョンで鑑賞。最前列の桟敷席(背もたれ無しのベンチ席)で。
(以下、ネタバレBOXで…)

ワーニャ伯父さん×母がいた書斎
S.H.Produce
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/06/21 (金) 19:00
久々のアルシェで、Bチームを鑑賞。
チェーホフの「ワーニャ伯父さん」と林将平による「母がいた書斎」の2本を朗読劇で。
舞台前面に4本のスタンドマイク、そこから2mほど奥の50cmほど高く作られたところに2本のスタンドマイク。演者はこの6本のマイクの間を行き来しながら朗読する。
朗読劇の楽しさは、身体表現がない分、登場人物の感情や仕草をいろいろと想像できる点にあるのではないかと思っている。が、この公演では(2本ともに)それができなかった。なにせ表現があまりにも類型的で、かつ大声でわめきたてる場面が多く、想像の余地をなくしてしまう。
例えば「怒る」にしてもいくつもの怒り方の表現があるだろう。それが全て大声で怒鳴るだけなのだ。これでは感情の押し売りに近い。
類型的な表現であるために底が浅く、情緒に乏しい。義弟の提案に、自身を犠牲にして務めてきた永年の苦労が無になったワーニャの哀しさや苦しみなど全く迫ってもこない。
役者が熱演すればするほど心が離れていく、残念な舞台だった。

阿呆ノ記
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/06/04 (火) ~ 2024/06/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/06/04 (火) 19:00
今公演は4ステージ予約していたが、まずは初日を鑑賞。
やはり桟敷童子の公演はどんなに期待して行ってもそれを軽々と超えてしまう!
今回の作品は、前説の若手がハケた瞬間にのけぞらんばかりのホラー感で心を掴まれ、あとは終演までグイグイと引きずり込まれる一方だ。
客演の音無美紀子の圧倒的な存在感、劇団員では三村晃弘が従来とは全く違う役どころを熱演して舞台の厚みを増し、全ての出演者が主宰・東憲司 が描き出す舞台世界と一体化している。
それにしても大手忍は美しくなったなぁ。最初に登場した時には思わずハッとしてしまった。
「大地揺れ!紅燃ゆる!」というチラシのキャッチコピーは決して大げさな表現ではない。こんなスゴイ舞台が小劇場演劇の料金も高くなっている現在においても4,000円(平日の夜公演。それ以外でも4,500円)で観れるというは驚愕の一言。
今年はまだ80本強の観劇しかできていないが、まぎれもなく現時点での今年最高の作品だ。
(以下、ネタバレBOXにて…)

第壱部「綺譚 逢浄土桜心中」第弐部「DREAM-NeoJapanesque」
想組〜こころぐみ〜
小劇場メルシアーク神楽坂(東京都)
2024/06/01 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/01 (土) 13:00
第5回公演となっているが、拠点を福岡から東京に移した矢先にコロナ禍に見舞われて活動ができず、東京での公演はこれが最初だという
。
主宰の大和零河という名前、どっかで見たと考え続けていたのだが、舞台を観て思い出した。BMI25オーバー達が踊って痩せようという1日限定の発表会イベント「脂肪遊戯」の振付担当者としてカーテンコールで紹介されたのだった。
劇+レビュー・ショーという宝塚のような構成。
第一部は歌舞伎の名作「桜姫東文章」をベースにした「綺譚 逢浄土桜心中」。CoRichの「観たい!」で浄瑠璃風と書いているメンバーもいたが、四代目鶴屋南北などの作によるれっきとした歌舞伎である。
驚いたのはこの複雑な筋立ての物語を桜姫・権助・清玄という3人の登場人物だけで、しかも75分という時間のわかりやすい作品に仕立て上げていたこと。衣装も素晴らしく、台詞廻しも宝塚調。殊に権助役の仲井和るながいい。昨年2月に木ノ下歌舞伎が上演した「桜姫東文章」よりもずっと良かった。木ノ下歌舞伎のチケットは7千円もしたのに、こちらはレビュー・ショー付きでその半額だ。
ただ残念だったのは劇中で始終デジカメのシャッター音が響いていたこと。スタッフとしてのカメラウーマンは4列目(最後列)の通路脇に陣取っていたが、静かな場面でもお構いなしにシャッターをきっている。こんな狭い空間だと事前にわかっていたはず。どうしてシャッター音のしないカメラを用意しなかったのか。もしくはゲネプロの時に撮影するとか、客の集中力を途切れさせない方法はいくらでもあるだろうに。
第2部は第1部の3人にさらに3人が加わっての1時間のレビュー・ショー。
ステージが小さいことも影響はしていると思えるものの、新たに加わった3人の技術的レベルはいまひとつの感もあり。
殊にさくらはちょっとヒロスエっぽい感じで、メイク次第で美女にもイケメンにもなりそうで、スタイルもよく、足もよく上がるのだが、振付を覚えていない風な自信なさげな様子が散見されたのが残念。
東京バレエ団の元芸術監督のK氏が福岡のバレエ団の指導に招かれて生徒たちのレッスンをする場に、私はK氏のお招きで拝見したことがある。その時驚いたのは、K氏はバレエシューズを履かない素足で爪先立ち(足の指の腹で立つのではなく、まさしく爪先で立って)苦も無くスピンを連続してみせたのだが、その折にK氏が生徒たちに最後に言った言葉を記しておきたい。「自信を持ちなさい。自信のないものを観せるのはお客さんに対して失礼だし、観せられるお客さんが可哀そうだ。」

ハナコトバ -朗- for spring
Daisy times produce
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/04/14 (日) 17:00
植野祐美がプロデュースする企画団体のリーディング公演。ダブルキャストのBチームを観劇。
受付でチケットと一緒に番号札を渡される。何かと思えばブロマイドなどの物販の整理券で、開演前に番号順で舞台前に呼び出されるようになっている。要するに客は出演する女優陣のファンばかりで、写真などを購入することが前提とされているらしい。これまた若いカワイイ女優を集めてその物販で儲けようとする公演なのかと、開演前から舞台に対する期待が薄れていく。
加賀地方のコンビニもないような片田舎の村を舞台とした「青春カルペディエム」と「魔女のお茶会」の2本立てで、上演時間は1時間25分。
(以下、ネタバレBOXにて…)

BEAT PARADOX presents BASKET vol.4
BEAT PARADOX
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2024/04/04 (木) ~ 2024/04/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2024/04/07 (日) 17:00
「ひとつぶひとひらひとかけら」を観劇。
この作品は、ハグハグ共和国によって2019年の3月末に琵琶湖畔にある滋賀里劇場プレ・オープニング公演として2日間3ステージのみ上演され、翌々年東京でも再演されたものだ。無論私はその双方を観ている。
ただ、今回の上演にあたっては、BEAT PARADOX(テアトル・アカデミーの受講者)向けに1時間強と本来の1/2ほどの長さに書き換えられている。
(以下、ネタバレBOXにて…)