六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~ 公演情報 片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」「六道追分(ろくどうおいわけ)~第三期~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/05/22 (木) 14:00

    4月から8月までのロングランで、期間中は同じ作品で多くの俳優が入れ替わり立ち替わり出演するという主宰が劇場オーナーだからこそ成しうる異例の企画公演だが、第一期は剣チームを、第二期は剣チームの楽日を観劇し、今回の第三期は龍チームとなったが、個人的にはこれまでのところ、第二期の剣チームが最も出来が良かったように思う。その立役者は何と言っても与力・徳三を演じた西川智宏だったのだが、今期龍チームでの熊坂貢児はやや弱かったし、同じく与力の九次役の三宅礼央がさらに良くない。

    この作品、エンタメ時代劇としては充分に楽しめる内容なのだが、いくつか気になることがある。

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    まず、出だしで鬼アザミ一味は吉原から脱出するために呼出花魁のお菊を連れて見世(遊女屋、妓家)の正面から堂々と出るのだが、呼出花魁が客を見世の外まで送ることはないし、第一、遊女が大門の外に出ることは許されなかった。

    鬼アザミ一味を追う章衛門と共蔵は同心ということになっているが、同心であれば旗本もしくは御家人というれっきとした武士であり、町人のように尻っぱしょりなどすることはないし、羽織を着用しているはず。当然奥方も武家出身であり、こんな町人夫婦のようなやりとりはありえない。
    徳三と九次が最初に妓楼を訪ねる際には奉行所の人間であるかのようにふるまっているが、清吉を捕らえた際の名乗は「火付盗賊改方与力徳三」と言っており、整合性がない。それに与力は当然武士であるから、名前だけ名乗ることなく、きちんと姓名を言わねばおかしい。
    さらに言えば、与力も同心も現在の警視庁と同じく江戸を離れての捜査権はないので、大井川まで追っていくというのもありえないことだ。細かく言えば罪名に関所破りも入っているが、関所破りの刑罰は当該関所の所在地で行なうことになっていたので、これまたおかしい。

    僧侶の念念が有髪であるのも変だ。

    と、時代劇としておかしな点は他にもあるのだが、脚本の朝比奈文邃はNHK-BSの「大岡越前」の脚本も手掛けており、こういったことは言われるまでもなく充分承知のはず。エンタメと割り切って観る分には楽しいのだが、客席には若者の姿も多々あるため、誤った知識となってしまう恐れがある。そこらのことも時代劇の作り手・送り手として配慮すべきであろう。

    七越役の松尾彩加の佇まいが素晴らしかった。彼女のお菊も観てみたい。

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    2025/05/26 04:49

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