
HUG!!!
ギギ
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2026/07/02 (木) ~ 2026/07/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
観る者に媚びを売らず、それでいて飽きさせない 力 のある公演。一瞬 パンクロックのような印象を受けたが、描かれているのは 時の流れに身をゆだねながらも 懸命に生きている若者像。若気の中にチラッと見える気恥ずかしさ、真っ直ぐな情熱の迸りが綯交ぜになったよう。会場に入ると、そこはクラブ(自分世代だとディスコ)の空間、天井には大きなミラーボール、演奏ブースにはDJらしき人物が円盤を回す(ターンテーブル)。重低音が響き、会場が振動しているような錯覚。スモークの中に照明の強烈な明滅、その光景は幻想的でもある。
登場人物は2人、若い俳優の瑞々しさが 観ていて気持ち良い。色々な話を断片的に繋ぎ脈絡があるのか否か、そんな不思議な物語を展開していく。妙なリアリズムが観客の心を捉え、観終わってみればエッジの効いた物語だ。よく動き回るかと思えば、並んで立って接客しているだけ。メリハリのある動/静演技、そしてモノローグ的な表現によって伝える。もう病みつきになる公演。
(上演時間1時間15分 途中休憩3分)

杏仁豆腐のココロ
演劇ユニット「みそじん」
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2026/06/30 (火) ~ 2026/07/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
タイトルにある 杏仁豆腐のような柔らかく甘いといった内容ではなく、けっこうシビアでヒリヒリするような印象。説明にもあるようにクリスマス・イヴ、離婚を決めた2人の漂流するような会話劇。物語はどこに辿りつくのか分からないが、離婚する原因が切ない。
脚本の面白さ、演出の巧さ、役者の演技(体現) その総合力が観客の関心を惹き 飽きさせない。最後の夜、思い出すのはどうでもいいことばかり。日常の些細なことから旅行先での出来事、そして身の上話からだんだんと身の下話へ変化し…。会話の流れに 離婚する理由が見え隠れしてくる。
ちなみに 前説が面白い仕掛け。
(上演時間1時間25分)🟠橙チーム

ディアマイドクター
演劇ユニット「暇つぶしチェルトン」
萬劇場(東京都)
2026/07/01 (水) ~ 2026/07/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
脚本・演出は勿論、ミュージカルと謳っているから歌も見事。
公演は、当時(明治期)の状況や風潮を背景に 初めて医師免許を取得した3人の女性たちが、どうして医師免許を目指したのかを描いた 虚実綯交ぜのフィクション。物語は、3番目に医師免許を取得した高橋瑞をモデルにした高水せい を中心に、彼女たちの生い立ちや性格などを描き、女性にとっての閉塞感を浮き彫りにする。誰もがそれぞれの事情を抱えながら今を必死に生きている。無情な不条理に叫ばずにはいられない。
彼女たちが受けた体験や仕打ちが、医療(対象患者)に対する違いを鮮明にする。それでも台詞にある「道は違えども、すべては患者さんのために」、その精神は現代に通じるもの。現代といえば、3人が医師になってから起きた感染症の大流行、それをコロナ禍と重ねることで、いつの世の人の心の在り方を巧みに織り込む。
(上演時間2時間15分 途中休憩10分)【B】

ラーメンロック!!
KENプロデュース
シアターシャイン(東京都)
2026/06/30 (火) ~ 2026/07/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ロックに例え、自分の(心の)中で音が響かなくなった。その虚無感を乗り越え成長していく姿を描いたヒューマンドラマ。KENプロデュースは「チューボー」(第十三回公演)で池袋演劇祭優秀賞を受賞しており、料理関係を描いたら実に味わい深い。本作もラーメンという庶民の味、それを一般的な人々に準えているよう。
ラーメン修行=物事に打ち込むことによって得られる充実感、それを反目し競い合いながら技量を高め信頼も深めていく。店内という狭い空間が人間模様という大きな器をもって展開していく。ロック(音楽)は自分を表現する方法、今はラーメン(料理)を作る音が聞こえる。それは幼い時から聞き慣れた父の(寡黙な)後ろ姿でもある。なによりラーメンは自分を映す鏡で、味がそのまま出る怖さ。
冒頭のダンスや生歌で観客の興味を惹き付ける上手さ。物語は、ラーメン チェーン店の社長の社訓が心に響く。味の旨さは勿論、経営としての採算性も大切。何より客に喜んでもらえるような店であること。
(上演時間2時間 休憩なし)【醤油班】追記予定

Days Of Grey Sunlight
空想実現集団TOY'sBOX
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2026/06/26 (金) ~ 2026/06/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
千穐楽観劇、面白い。
動物の観点で「自由」や「自立」といったことを分かり易く描いた物語。ストーリー性もさることながら、メイクや衣裳等で魅せ ダンスや躍動感ある動き、そのエンターテインメントとしての要素が魅力的。そして擬人化した動物たちの愛らしさが 実に好い。また音楽は動物たちの動きに合わせたテンポ、そのピアノの奏でが優しく効果的。
物語は 概ね説明通りで、舞台は アナタの街から隣の隣の隣ぐらいの隣街…要は身近で普遍的な話ということ。人間に飼われて育った犬・レトは 寝食に事欠かないが 外の世界を知らない。その意味で 知識や経験等は浅い。一方 野良猫のシッシは、日々の寝食を心配しなければならないが、仲間に囲まれ広い世界を見ている。生きている環境が違う犬、猫が触れ合うことで見えてくる情景や心情が観客の心を優しく包み込む。
物語が動き出すのは、「野良犬ゼロ作戦」が始まろうとしていた―。何となく 殺処分をイメージし、外に出たレトは飼い犬から野良犬に間違われ といった緊張感がうまれるが…。人間以外の動物と人間の思惑、その描き方によって物語が全然違った印象(結末)になる。観客が欲している内容、その捉え方によって少し評価が分かれるかも。
(上演時間1時間40分)追記予定

空の下の約束
劇団龍門
シアターシャイン(東京都)
2026/06/24 (水) ~ 2026/06/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
さすが劇団龍門、社会派劇でありヒューマンドラマを硬軟織り交ぜて描いた秀作。説明では「都会の片隅にある『富山公園』に住み続けているホームレス」とあるが、台詞から東京の山谷が舞台になっていることが分かる。その地の歴史を通して 今ある貧富/格差・不平等・生き辛さ等を浮き彫りにする。同時に或る事情で関西から逃れてきた女性の出自から、特定の地だけではなく どこにでもある問題を示唆する。
全体的に昭和という時代、そのノスタルジックを漂わせた公演。登場人物から「義理」や「人情」といった台詞が飛び交う。敢えて昭和から地続きの現代を風刺しているように思える。
(上演時間1時間40分)

海ねこ症候群 結成5周年企画第2弾 スタジオ公演
海ねこ症候群
王子スタジオ1(東京都)
2026/06/25 (木) ~ 2026/06/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
㊗️結成5周年企画第2弾 面白い。
初の外部脚本家(3人)による「メゾン江古田103号室~きゅんきゅんしたい~」というテーマによる競作。フライヤーにある謳い文句「最高に贅沢で挑戦的なオムニバス」は楽しめた。当日パンフに 主宰/演出の作井麻衣子さんが「何とも難解なテーマでお願いし」とあるが、見事にその世界を表していた。
当日は 台風予報で足元が悪かったが観に行って正解。観たのは Aチーム「すさまじい おやさい」と Cチーム「壮大でささやかな二人芝居」の2本。作井さんが出演する「ふたりは(最高の)ともだち」が観られなかったのが心残り。
(上演時間1時間15分-2本 作品間に休憩なし)

『逸出・ハムレット』
演劇企画ヱウレーカ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2026/06/24 (水) ~ 2026/06/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。初見の団体だが、演劇企画ヱウレーカ公演は凄い!また注目すべき団体を見つけた。
逸出とあるだけに、その描き方が多重に立ち上がり、観客の捉え方によって更に面白味が違ってくる。その世界観こそが妙味であり、どう書いてもネタバレになりそう。概要こそシェイクスピアの「ハムレット」だが、描かれているのは彼の内側(心)から捉えた21グラム=魂の彷徨。これにはシェイクスピアもビックリだろう。
物語を支えているのは、舞台美術でありメイクや衣裳といった外観で それだけでも楽しめる。また劇場の中二階部分も上手く使い俯瞰的であり劇中劇仕立てにも思わせる、そこにも逸出の意味合いが込められているよう。シンプルだがスタイリッシュで心情表現にはピッタリ。
(上演時間2時間) 【Team B】

せかいをみてくる
アンティークス
小劇場 楽園(東京都)
2026/06/17 (水) ~ 2026/06/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「これから」観劇。
今どんな世界の物語を観させられているのか、その不思議感覚が公演の魅力。どんどん惹き込まれ、最後まで興味が尽きない。2015年杉並演劇祭大賞受賞作、11年ぶりに蘇るアンティークス幻の代表作は見応えがあった。少しネタバレするが、「ただいま」「おかえりなさい」「元気だった」 という何気ない言葉が物語のカギを握る。意識した記憶と或るモノによって覚醒させられた無意識が交差した時、主人公 しのぶ と母 ゆみこ の想いが溢れ出る。
表層的には SFで夢落ちのような印象だが、それとは別に人のいろいろな感情が押し寄せるといった現実の重み。当日パンフにテーマは「旅」とあり、人生を「意識=魂」の旅と仮説したとある。現在(2015年)と過去、その時の繋がり交わりこそが人と人の絆、それが優しくも悲しい、そして残酷だ。
(上演時間1時間35分)【チーム海】㊟ネタバレ

隕石
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2026/06/11 (木) ~ 2026/06/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
思(想)いを伝える いや寄り添うといった心温まる物語。冒頭は限界集落からの逃避的な印象だが、その後 不思議な出来事が…。この公演が面白いのは、表層の可笑しさの奥にある哀惜が透けて見えるところ。少しネタバレするが、場面は突然転換し 全然違う話が展開しだす。しかしラストは緩く繋がり余韻を残す。
もう1つの面白さは、眼前で繰り広げられている物語を通して、自分なりの別の物語が立ち上がってくるところ。色々な想像力を掻き立ててくれる好公演。自分の中では「隕石」は比喩、もっとも劇中で隕石が落ちてという台詞があり 大きな音が響くが。隕石は抗えない運命のようなもの、その時 人はどのような選択と判断をするのであろうか。
(上演時間1時間20分)

借金大王
中央大学第二演劇研究会
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2026/06/11 (木) ~ 2026/06/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
バブル経済崩壊の20年後、そして今から20年前というから2006年頃の物語。説明にある雇用が安定せず、社会には大きな格差と不安が生まれたことは事実、しかし そこから成長するもの…国は「ギャンブル推進法」を制定し 一発逆転のチャンスは国の支援もあり急速に成長は虚構(貯蓄から投資〈運用〉を推奨するが)。この虚実を巧みに織り込んで展開する。
(上演時間1時間20分)

半神
早稲田大学演劇倶楽部
早稲田大学学生会館(東京都)
2026/06/04 (木) ~ 2026/06/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
久しぶりの学生演劇。演目「半神」に惹かれて観に行ったが、予想を超える面白さ。勿論 原作/脚本の魅力もあろうが、演出(客席も含め)が面白い。少しネタバレするが、シャム双生児姉妹を通して人の心にある願望というか欲望をあぶり出す物語。姉妹の外面や内面を醜/美や知/痴などで対置させることで、人の心の在りようを描く。生まれた時からいつも一緒、離れることも出来ない。その気持が「孤独」を欲する。しかし 歳月が二人の運命を分つ といった内容。
出ハケを含め 物語の外観を表す動きは十字(縦横の直線)、心情表現はぐるぐる回るような動き、その変化によって物語の状況を分からせる工夫。また姉妹の対比は登場人物の色彩(例えば服や靴など)や可動する対になった木材櫓で表す。櫓は、台詞にある半螺旋階段であり灯台の象徴であろう。その装置を合体したり分離させることで、二人の情況を演出する。
(上演時間1時間50分 休憩なし)追記予定

外のことはわかりません
ポポポ
シアター711(東京都)
2026/06/03 (水) ~ 2026/06/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白い、お薦め。
間取りという限られた空間を通して、人が大切にし 何を優先したいかを描いた良作。そこに人それぞれの思考、生活様式や社会的な問題を絡め、幅と深みのある物語を立ち上げている。
どうして「子供部屋、いらないです」なのか が肝だが、ラストはその言葉の裏返し(真意)が心に響いてくる。実演では表現し難い場面、それをポポポらしい影絵(手遊び)演出で効果・印象的に観(魅)せる巧さ。
(上演時間1時間50分 休憩なし)追記予定

ツイスト・アンド・対話
南京豆NAMENAME
シアター風姿花伝(東京都)
2026/05/27 (水) ~ 2026/05/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
ホームシアターで二画面ドラマを観ているような感覚。舞台美術と物語が上手/下手に分かれて(同時)進行する。少しネタバレするが、タイトルにある「ツイスト」が上手で進行する小さな劇場の楽屋裏、「対話」が下手の同棲しているカップル。この2つの物語はラストになって ようやく緩く繋がる。
なぜ2つの物語を交互に描くのか、そこに人間関係の妙が透けて見える。楽屋裏は個性豊かな役者が揃い賑やかだ。どんな芝居をしているのか定かではないが、そこに居る役者の存在こそが重要。役者を通して 時代劇、恋愛劇、アイドルといったジャンルを表し、その多様さが一般的な楽屋を指している。演劇はたとえ一人芝居であっても、スタッフ等 様々な人と関りがある。
下手のカップルは10年以上の付き合い、最近は倦怠期なのか会話も弾まない。日常の淡々とした営み、そこに少し奇妙な話を織り込むことによって刺激と関心を誘う。どちらともなく会話をするための工夫、そこに無理が透けて見える。
楽屋を「動」とすれば、カップルの部屋は「静」になる。人間関係の距離感の難しさ、それを演劇(対比)を通して色々な態様を描いている。また それぞれの笑いの質のようなものも違う。南京豆NAMENAMEの独特の表現方法であり世界観の構築、そこは楽しめた。
(上演時間1時間40分 休憩なし) 追記予定

五十嵐先生
コケズンバ
サンモールスタジオ(東京都)
2026/05/26 (火) ~ 2026/05/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
物語は あらすじの通りだが、話の構成というか構造が秀逸。「スーパー学園コメディ」と謳っているがサスペンス的な要素もあり笑いと緊張といった硬軟ある描き方が上手い。また教師それぞれの立場や人物像を個性豊かに立ち上げ、会議劇の醍醐味を味わわせる。この公演、あらすじ以外を記すると すべてネタバレになりそう。
敢えて記すとすれば 「五十嵐先生」は登場しない。映画「桐島、部活やめるってよ」のように 先生方の会話から五十嵐先生の人物像を連想させる。同時に 不在が謎を深め観客の関心を誘う。また会話を通して先生方の思考ー教職とは といったことが浮き彫りになる。例えば 教頭の個人(男性)的な趣味/趣向と教員としての信条ー生徒の夢を叶える手伝いをすることーのギャップも可笑しさを誘う。ぜひ劇場で…。
(上演時間1時間45分)追記予定

亀と潜水艦
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2026/05/22 (金) ~ 2026/06/04 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
1946年夏、日本最大の引揚げ港 博多を舞台に 戦争の哀しき傷跡を描いた物語。 1945年11月に設置された博多引揚援護局から引揚者の一時宿泊施設の協力要請を受けた「萬年荘」、そこに居る人々と二日市保養所から来た女の哀しい出来事を絡めた叙事であり叙情。戦争は特に女、子供といった弱い者を犠牲にした。物語でも望まぬ妊娠をした女性、また登場こそしないが萬年荘の老女たちを通して戦災孤児にも想いを馳せる。
今回の公演は、今まで観てきた公演に比べると光(照明)と響(音楽)が印象的で、心情表現に優れていた。一方 ラストの大掛かりな舞台装置の(動的な)転換は小さい。しかし舞台技術と相俟って表れた光景は、やはり桟敷童子らしい見事なもの。そして何といっても三婆の愛嬌と悲哀といった相反する感情が物語を力強く牽引する。観応え十分。
(上演時間1時間45分 休憩なし)追記予定

じべた
椿組
小劇場B1(東京都)
2026/05/25 (月) ~ 2026/05/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、お薦め。
過去でも現在でも未来でもない、しかし いつの時代にも隣り合わせにある 謂わば普遍的ともいえる物語。以前はネジ工場だったが、今は国策に貢献するモノを忸怩たる思いで作っている人々の群像劇。早い段階で、外波山文明 氏が じべた(板)に耳を当て(胎動を感じ)動いていると、その台詞に物語のすべてが集約されている。まさに大地は母であり命の源と言えよう。少しネタバレするが、その象徴がラストシーンに現れ印象付ける。地続きの じべた の上に国があり 街があり 家族がある。そして人の営みがあり人間模様を綴っていく。
物語を支えているのが舞台美術であり、照明や音響/音楽といった舞台技術である。この劇場の二面客席を活かした壁面への映像は、ワイド画面になり迫力を増す。また薄汚れた情景は、状況のそのままであり人の荒んだ心を表しているよう。この工場で働く人々の思考のあれこれが、リアルな感情として迫ってくる。
(上演時間1時間50分 休憩なし)追記予定

空(くう)
空(くう)公演
RAFT(東京都)
2026/05/14 (木) ~ 2026/05/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。
戦禍を避けるために地下へ逃げ込んだ家族(人間)の業を描いた濃密な朗読劇。朗読だが、台本を持ち小さな動きをすることで状況を補足する。あらすじ にある一家、この家族形態こそが物語のカギ。
少し気になるのが、脚本 蕭勁強(シウ・キンキウ)氏と演出 インディー・チャン氏が当日パンフに共通して「『戦争』の苦しみ」と記しているにも関わらず、人間と戦争そのものの関りに距離があること。勿論、地下という閉塞した状態に追い込んだのは戦争に違いないが、そこから先は家族内での生存をかけた闘い。どちらかと言えば人間の醜悪さが浮き彫りになっていく。タイトル「空」はいろいろな捉え方ができて 言い得て妙。
(上演時間1時間15分)

萼解きの詩
Cloche note
北池袋 新生館シアター(東京都)
2026/05/14 (木) ~ 2026/05/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
リアルとフィクションが交錯した世界観。本作は3名のストーリーテラーのエピソードを主宰の倉橋 鈴さんが1つの物語(脚本)にまとめたもの。構成は違和感なく抒情性に溢れていた。少しネタバレするが、 山崎初と菅井彩葉は高校時代の親友 そして初の死によって更に深い(不思議な)結びつきをする。その臨死的な、いわば物語の根幹とも言える設定が弱いようで 惜しい。
海で背中合わせに座っている2人(フライヤーでは立っている)が赤いリボンで結ばれている。同性愛という訳ではないが、ラストに「愛しているよー」と叫ぶシーンは甘酸っぱい青春ドラマのよう。ちなみに初の赤いリボンは「死因」であり「遺品」、彩葉の赤いリボンは「拘束」を意味しているらしい。ストーリーテラーのエピソードに共通しているのは関わり、その繋ぐ想いが切なく紡がれている。タイトル(萼解き=ガクホドキ)は 或る花の形と花言葉 そして想いを象徴しているよう。また思いを伝える古典的手段も微笑ましい。
舞台美術をはじめ衣裳や小物がフワッとした感じ、いわゆる浮遊感が漂うといった印象。そこに現世と来世の狭間、さらに巫女も登場し…。また劇中で歌うシーンが2か所。我が子をあやすために歌う「一番の宝物」(遥佳ver)と彩葉が初のために作詞した歌「一番の宝物」をアイドル結珠が歌う。その歌シーンはもう少し力がほしいかな。
(上演時間2時間 休憩なし)🥀…金井明日佳出演回

優しい劇団の大恋愛 Volume11『もっと愛してくれよ節』
優しい劇団
吉祥寺シアター(東京都)
2026/05/10 (日) ~ 2026/05/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
前日の「夕焼け色のダイダラボッチ」が過去と現在を描いているとすれば、本作「もっと愛してくれよ節」は未来を描いている。優しい劇団 初の時代劇と謳っているが、登場人物の名前や衣裳がそれらしいだけで、あまり時代劇(情緒)という雰囲気はない。むしろ 劇団の特長でもあるスピードとパワフルさを活かして力強く紡ぐ。物語は、2人ずつ9組(それに瓦売りのばんちゃんと戯作者を加えた全20名)がそれぞれの愛を語らうという形で展開していく。
冒頭、出演者がそれぞれ「たまや(玉屋)~」と叫び 上(空)を見上げる。なぜ夜空に輝く星々があるのに、一瞬で消えてしまう花火を打ち上げるのか。それが地球(平賀源内が登場するから江戸時代のようだが、あまり時代は関係ない)のみならず宇宙という壮大な世界と結び繋がっていく。星は 遥か昔の光が 今地球で輝いて見える。花火だって 今は一瞬で消えるが、何十年、何百年もっと先の時代で一瞬の輝きが見えるかも…。愛だってその時代に結ばれなくても、遠い将来にまた出会い愛するかもしれない。
前作同様「出演者の顔合わせから本番まで、出会いと別れを一日で行う「大恋愛」シリーズ」、その謳い文句のような言葉「たった一日しか会えないあなたを想って書いた 愛の言葉の弾丸が心臓を撃ち抜く‼」。舞台構成と演技の観(魅)せ方は、基本的に同じだが、設定(時代)と役者陣が違うと やはり全然違った雰囲気になる。役者の演技力や魅力を十二分に引き出す演出はみごと。自分は本作のほうが好み。
(上演時間1時間30分 休憩なし)追記予定