公演情報
劇団カルタ「雷ノ鳥」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
脚本の勢いを演出で支えるといった印象の公演。
現代的な犯罪、その広域組織と対峙する警察組織、さらに その内部で刑事部と公安部の立場と思惑が複雑に絡んだサスペンス劇。「正義」などは組織の思惑の前では、有って無きに等しい。公演では目に見える犯罪より、隠れた もしくは隠された悪事のほうが より醜悪だと訴えているよう。
物語は 序盤に壮大感を出すため、国家的な対応 例えばPKOー自己防衛・防護以外の武力行使はしないーのような現場のリアルな葛藤を描く。公演は休憩をはさんで前半・後半とすれば、前半では物語の舞台設定・雰囲気を表す意味での世界感と、説明にある娘が誘拐された事件の導入部が描かれている。後半は、犯罪組織内の人間関係と警察組織内のセクト主義が強く現れてくる。内部の捻じれを描くことによって、立場や行動といった観点で人物の人間像を立ち上げていく。
脚本は、公安の潜入または囮捜査によって 多くの人物が登場し、1人複数役を担うためストーリーが解り難くなる。また場面転換が早く、映像でいうカット割りが多いため、整合性や細かいところは観客の想像力で補う必要がある。良くも悪くも余白が多い。一方、演出は ある舞台装置で都内にある老舗ホテル「ホテルニューシラキ」の空間的な広がりを巧みに現わして物語のプロットを支えている。また客席配置から、この劇場ならではの別空間を利用することは 容易に分かる。
(上演時間2時間25分 休憩10分)