雷ノ鳥 公演情報 雷ノ鳥」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-9件 / 9件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/11/09 (日) 12:00

    凝ったツクリの犯罪サスペンス。が、事情が入り組んでいる上に登場人物も多いのでワカり難い憾みアリ。
    その一方、映像作品のように短いカット/場を積み重ねるスタイルを可動式の重厚そうな2枚のドアとテーブル・椅子を駆使してスムーズに見せる手法が見事。(映画「ア・フュー・グッドメン」の原作舞台を想起)
    あ、でも座り芝居が少なからずあるのに客席の勾配が緩いのは不親切……ってか配慮不足かもなぁ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    脚本の勢いを演出で支えるといった印象の公演。
    現代的な犯罪、その広域組織と対峙する警察組織、さらに その内部で刑事部と公安部の立場と思惑が複雑に絡んだサスペンス劇。「正義」などは組織の思惑の前では、有って無きに等しい。公演では目に見える犯罪より、隠れた もしくは隠された悪事のほうが より醜悪だと訴えているよう。

    物語は 序盤に壮大感を出すため、国家的な対応 例えばPKOー自己防衛・防護以外の武力行使はしないーのような現場のリアルな葛藤を描く。公演は休憩をはさんで前半・後半とすれば、前半では物語の舞台設定・雰囲気を表す意味での世界感と、説明にある娘が誘拐された事件の導入部が描かれている。後半は、犯罪組織内の人間関係と警察組織内のセクト主義が強く現れてくる。内部の捻じれを描くことによって、立場や行動といった観点で人物の人間像を立ち上げていく。

    脚本は、公安の潜入または囮捜査によって 多くの人物が登場し、1人複数役を担うためストーリーが解り難くなる。また場面転換が早く、映像でいうカット割りが多いため、整合性や細かいところは観客の想像力で補う必要がある。良くも悪くも余白が多い。一方、演出は ある舞台装置で都内にある老舗ホテル「ホテルニューシラキ」の空間的な広がりを巧みに現わして物語のプロットを支えている。また客席配置から、この劇場ならではの別空間を利用することは 容易に分かる。
    (上演時間2時間25分 休憩10分)

    ネタバレBOX

    舞台は会場入り口側に設え、必然的に客席は入口とは反対側。この配置によって地下にある劇場の中二階的なところにある回廊も別空間として使用する。舞台装置は、中央に半円を描くように可動する重厚なドア2つ。上手/下手に丸テーブルと椅子の組み合わせが各1セット。ドアを動かすことによって、ホテル内の部屋の違いや別空間を演出する。

    物語は 説明にある通りだが、序盤にある誘拐事件で犯人を追い詰めた刑事2人、それが佐原信一、そして今 記者になっている有馬拓海。2人の間には、緊急時の犯人逮捕における現場対応が異なり、警察組織に嫌気(or限界)がさした有馬は職を辞した。因縁ある2人が別々の事件を通して再会する。1つは、佐原が広域連続強盗事件の黒幕 志羽チカナを護衛する、もう1つは有馬が三舟夫妻の子の誘拐事件、何の関係もないと思われた2つの事件が繋がっていく。

    現代の犯罪は、いかに強請りの情報を入手し活用するか。その情報を収めたUSBを巡って犯罪組織 そして警察内部の刑事・公安の思惑によって争奪が繰り広げられる。情報には、三舟夫妻の子の誘拐や警察上層部の醜聞等が含まれていることから、公安は未然に対処したいところ。物語は個々人の感情や組織内の思惑など、人間と社会という両面を巧みに描いた重層的な内容。さらに犯罪組織への潜入や囮といった捜査が、人間関係を複雑にしていく。一方、三舟曜子は単独でチカナへ接触を図り といった個々の動きが加速する。それがカット割りのようにテンポよく展開するため、観客が追い付けないといった感覚になる。

    人物の苦悩や葛藤する内面を描き、犯罪現場という緊張感による理性の動揺や喪失を表そうとしている。そのリアリティがもう少し分かり易く描かれると、会場に緊張した時空間が生まれる。公演は観客の想像とともに舞台を創るという点では、観客の負荷が大きかったかもしれない。脚本、演出そして舞台技術も良かったが、この勢いある劇作を いかに削がないで観客に解らせるかが課題のように思えた。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    観てきました。
    サスペンス仕立てですが、観ているうちにこれは色んな愛情の物語でもあるなと思いました。
    歪んだ愛
    都合の良い愛
    家族への愛
    執着の愛
    真実の愛
    などなど。
    特にチカナの愛は、非常にいびつで、万人には到底受け入れられないものですが、確かに本人なりの愛はそこにあると思いました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白かったです!
    サスペンス大好きなので、どんな展開になるのか興味津々で観ました。
    前半は情報量が多すぎて混乱しましたが、後半で回収出来ました(出来てない部分もありますが)
    劇場全体を使った演出や役者さん達の熱演に圧倒され、その熱量に感動。
    誰を信じていいのか、何が本当なのか?騙し騙されという緊張感があり、目が釘付けでした。
    観応えのある熱い舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白かったです!
    会場に入った瞬間「あ、いつもと舞台と客席の配置が違う。と言うことはあそこも使うのね」案の定、バルコニー(?)も使っての演技もあり、登場人物が多いし、話も込み入っているので前半ついて行くのが大変でした。休憩を挟んでの後半も、どうなるかとハラハラ。ちょっとそこは疑問だわ、とか、何役か兼ねる人もいるけど実は潜入捜査という人もいて、全部理解できたかは甚だ疑問のまま終わりましたが、2時間半近くの緊張感を味わいました。

    ネタバレBOX

    外国での逮捕劇シーンらしきものがありましたが、序盤で何が起きているかよく分からず、騒々しいだけでそれほど効果はないのでは?と思いました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     尺は途中休憩10分を挟み約150分。追記後送

    ネタバレBOX

     都内では最近、誘拐事件が多発しており警察は独自に対策チームを結成、捜査をしていた。然し首謀者は、実行犯に犯行に最低限必要な情報しか与えず、連絡も足のつかない方法で行い、犯罪基地を海外に置いている場合が多い為、捜査は難航を極めていた。更に悪いことにこの誘拐事件の影の主犯と目される人物は公安から特別な扱いを受け、実質的に警察から守られていたのである。而も表の主犯は、既に組織の罠に嵌められ消されている。
     何故、このような事態に至ったのか? この謎を解く為、娘を誘拐されたカメラマン夫妻は警察から潜入捜査協力を打診され承諾して夫が組織の内部に潜り込むと同時に、夫妻で黒幕と思しい女(チカナ)が滞在するホテルで客室勤務をしながら事件の鍵となる物の行方を追っていた。
  • 実演鑑賞

    満足度★★

    鑑賞日2025/11/08 (土) 18:00

    価格3,800円

    もしこれが映画だったりドラマという形式だったら、あるいは掛け値なしの称賛をしていたかもしれない。だけどこれは小劇場の舞台だ。あきらかに「詰め込みすぎ」の感が否めなかった。
    場面の切り替わりが本当に多いし、登場人物が多すぎて誰が誰やらわからないし、早口で、大声で、聞き取りづらい場面が多々あった。休憩をはさんだ第2幕あたりからようやく話の骨子がみえてくるのだが、逆に言えば第1幕は本当に必要だったのかよくわからない。回想のようなダイジェストで十分だったと思う。
    ちなみに「雷ノ鳥」というタイトルが回収されるのも第2幕の後半だ。
    この舞台を観た収穫としては、「小劇場でやる意味」だ。建築で言えば小劇場は「住宅建築」に似ていると思った。住宅は「居住空間」という意味において本質的であり、「人間が生きるために必要なすべてのものがある」といっても過言ではないが、社会全体においてのすべてではない。
    同様に、小劇場も(映画など映像作品を含む)「劇」という仮想空間において「人間を描写するために必要なすべてのものがある」と言っても過言ではないのだろうが、その空間のすべてではないということだ。
    削ぎおとして削ぎおとして、これ以上削ぎおそすものがない、というくらい純粋なものだけにしたものが小劇場という形式に適する、ということを知った。その意味においては小劇場ほど「最初から最後までよくわからなかったけどなんかよかった」という表現が成立する場所もない。例えば住宅建築においては意味の分からない空間だらけなのは許容されるが、市役所において意味の分からない空間だらけでは全く許容されないのと同様に。
    本自体は悪くないと思う。この劇を通して言いたいことがわかったうえにおいてはエンタメとして普通に面白かった。だが場所が悪かった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    度肝抜かれました。2時間半、ずっと圧巻です。以前『軌道』を観劇したときに「この劇団はただならぬものがあるな…」と思いましたが、今回『雷ノ鳥』を観て確信に変わりました。劇団カルタは若手劇団ではトップクラスですが、劇団カルタがこれから日本の演劇界をひっぱっていくことになるでしょうね。それぐらいすばらしい劇団です。話の展開が何よりもすばらしいです。分刻みでシーンが変わるのに話がちゃんとフォローできるつくりになっていてほんとすごいです。あと、ワンチームということばがあう劇団ですね。音響もさんも音効さんも照明さんも役者も一丸となっているのがよくわかります。あと、そうそう、休憩に入る前のピンクレディの曲、ナイス選曲です。あの曲であんな演技するなんてセンスありすぎです^^

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    まさに空間の魔術師です。劇場全体を自由に使い場面展開が秀悦。迫力ある演技で素晴らしい舞台でした。個人的には業を昇華するかのようなチカナの人生がもの悲しかったです。

    ネタバレBOX

    今回もゆりなさんが綺麗でした。

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