公演情報
劇団カルタ「雷ノ鳥」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2025/11/08 (土) 18:00
価格3,800円
もしこれが映画だったりドラマという形式だったら、あるいは掛け値なしの称賛をしていたかもしれない。だけどこれは小劇場の舞台だ。あきらかに「詰め込みすぎ」の感が否めなかった。
場面の切り替わりが本当に多いし、登場人物が多すぎて誰が誰やらわからないし、早口で、大声で、聞き取りづらい場面が多々あった。休憩をはさんだ第2幕あたりからようやく話の骨子がみえてくるのだが、逆に言えば第1幕は本当に必要だったのかよくわからない。回想のようなダイジェストで十分だったと思う。
ちなみに「雷ノ鳥」というタイトルが回収されるのも第2幕の後半だ。
この舞台を観た収穫としては、「小劇場でやる意味」だ。建築で言えば小劇場は「住宅建築」に似ていると思った。住宅は「居住空間」という意味において本質的であり、「人間が生きるために必要なすべてのものがある」といっても過言ではないが、社会全体においてのすべてではない。
同様に、小劇場も(映画など映像作品を含む)「劇」という仮想空間において「人間を描写するために必要なすべてのものがある」と言っても過言ではないのだろうが、その空間のすべてではないということだ。
削ぎおとして削ぎおとして、これ以上削ぎおそすものがない、というくらい純粋なものだけにしたものが小劇場という形式に適する、ということを知った。その意味においては小劇場ほど「最初から最後までよくわからなかったけどなんかよかった」という表現が成立する場所もない。例えば住宅建築においては意味の分からない空間だらけなのは許容されるが、市役所において意味の分からない空間だらけでは全く許容されないのと同様に。
本自体は悪くないと思う。この劇を通して言いたいことがわかったうえにおいてはエンタメとして普通に面白かった。だが場所が悪かった。