星降る教室 公演情報 青☆組「星降る教室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    2016年にラジオドラマとして書き下ろした作品。昨年12月に青☆組オリジナルの朗読劇、青色文庫の様式による初の演劇化。場内は、ノスタルジックで夢幻のような雰囲気を作り出し、女性教師の回想を通して紡ぐ心温まる物語。

    青☆組公演の魅力は、じっくり作品を育て 物語に新たな息吹を吹き込んでいくような丁寧さ。本作は宮沢賢治の世界観に呼応したもので、その情景が次々と心に浮かび上がる。舞台美術や技術と相まって表出し 観客の心を静かに揺さぶる。発語を意識し大事にしたといった印象だ。

    舞台装置はシンプルだが美しく、優しく、そして温かい雰囲気を醸し出す。キャストはデザインは違うが白地基調の衣裳で統一し、女性教師(現在と過去の2人)は同じ色調の上下服のお揃い。オールキャスト続投によるリクリエイション 珠玉作。
    (上演時間65分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、正面奥の幕に豆電球の電飾、その下に灯がともったミニツリーが置かれている。色彩は、全て暖色の単彩だから温かく優しく感じる。天井にはレース状の白布、銀河イメージであろうか。両壁際には丸椅子が5つずつ並んでいる。吉田小夏さんは、劇中にも入り 歌を口ずさみ ミニグロッケンの演奏を担当する。

    教師の森山雪子(32歳)は、20年前に卒業した雫の森小学校の恩師から1枚のはがきを受け取る。それは卒業生代表として卒業式での祝辞を依頼するもの。しかし転校を繰り返していた雪子は、6年生の1年間しかいなかった学校での思い出はほとんどない。雪子は、人間の言葉を話すウサギに導かれて だんだんと奇妙な世界へ誘われていく。雪子の記憶の底に沈んでいた、卒業式当日の出来事が…。

    宮沢賢治の童話らしいアニミスティックな世界観、そこに30代になった女教師のリアルな心情を持ち込んでいる。転校を繰り返し 故郷らしき所がない。雫の森小学校は既に無く桜の木だけが…しかし そこには確かに自分はいた。自然云々といった世界と雪子の今の状況(暮らし)を照らし合わせ、忘れてしまった記憶の中に大切なものがあったことを気づかせる。

    物語は 美しく抒情的な言葉で紡いでいく。しかし それは浮遊感のようなものではなく、大地に根を下ろした確かさ。人間と自然の共生(キャスト全員の存在/表現)した営み、そこに このドラマの新たな息吹を感じる。朗読劇とは違った魅力、それは人間(役者)が生き生きと動き回り、躍動感(生)を感じさせる。まさに舞台化と呼ぶにふさわしい。
    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2025/11/27 18:19

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大