タッキーの観てきた!クチコミ一覧

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海との対話

海との対話

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2014/08/20 (水) ~ 2014/08/24 (日)公演終了

満足度★★★★

難解だが、力強い印象
「難解な芝居だ」というのが印象である。観客が素で観て分かるという、普通の芝居ではないと思う。その見せ方やセリフが独特だ。さらに字幕が映し出されるがその内容も理解し難い。しかし、どの場面も迫力があり印象深い公演であった。

ネタバレBOX

会場配置は入って左側が舞台、右側が客席になっており舞台面よりいくらか高くなっている。舞台側は客席に対して平行に磨りガラスがあり、舞台を前後に仕切っている。ただし磨りガラスは中央部分だけがなく、低位のステージが設置。客席ひな壇から見下ろしたその無空間から裏(奥)が見える仕掛けになっている。
芝居は、基本的に表(前)舞台で行うため、演じる役者が奥から出てくる。さしずめ奥は楽屋のようである。
場内は薄暗く役者にスポットライトをあてることで観客に集中させる。当日パンフによれば、本公演は12エピソード(場面)からなるそうだが、それぞれがリリックのような描き方である。個人的には何かストーリーを掴むとか表現を理解しようとしても難しいと思う。観たままを”感じる“に徹すると場面ごとが印象深い。表舞台は人間の孤独・煩悩、性癖などの「苦」を、そして裏(奥)舞台は楽しげに談笑、飲酒している姿は「楽」という感じである。自身を内省し対話する。そして内なる「苦」に立ち向かうファイティング…。このアクションがカッコイイ。
TangPeng30 B Group-(石榴の花が咲いてる。)×劇団11×プレス

TangPeng30 B Group-(石榴の花が咲いてる。)×劇団11×プレス

SAFvol.8 TangPeng30-B

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/08/19 (火) ~ 2014/08/26 (火)公演終了

満足度★★★

シアターグリーン学生芸術祭参加作品(短編B)
まだ芸術祭期間中であり、また各作品の感じ方が違うため★評価は控える。
評価★(追記2014.9.9) 

『家路をたどる』(桜美林大学)★2.5
契合するようなテーブルを前にした兄弟姉妹5人のゆる~い会話劇。芝居全体が緩い。

『僕とキミの自転車周遊記』(明治大学)★3
日の出を見るため、男女二人乗りの7.5キロのサイクリングストーリー。オーソドックスな作り。

『距離感を見誤る#』(東京学芸大学)★2.5
雰囲気はデカダンだが、若さ溢れるパフォーマンス。表現内容は理解困難だったが…。

ネタバレBOX

『家路をたどる』(桜美林大学)
母の再婚について話し合う子供5人(10代後半~30歳前)の様子。その会話の「間」や「テンポ」がぎこちない。テーマは何だろう。”家族という枠の中の個人のエゴ”というイメージでよいのだろうか。演出は、契合するテーブルを移動することで場面転換を図っていた。セリフの主客によって座る位置を変えていたが、それは目先のことだけ。逆にその動作は目障りとなり、演出を陳腐にさせると思う。短編を意識しテーマと演出が上手く結びついていれば…残念でならない。

『僕とキミの自転車周遊記』(明治大学)
舞台中央に自転車が一台設置。20歳代の男女が二人乗りして、海まで日の出を見に行くサイクリングストーリー。ペダルは女性がこぐ。走行距離は7.5キロで短編30分の舞台設定にはちょうどよい。物語に大きな変化はないが、久しぶりに会い近況を淡々と話し合う姿は微笑ましい。また、騒音の音響や信号に見立てた照明色など、細かい演出も良かった。暫しの別れを前に、少し切ない思いが滲みでていた。

『距離感を見誤る#』(東京学芸大学)
自分にとって、この公演は意味不明のまま未消化に終わったという感じ。例えば、唐突に子供のころに遊んだ「缶けり」や「ダルマさん転んだ」が演じられるのは?また上半身縛られた女性が下手から上手を立膝で何度も行き来する動作は?
キャスト数が14名と多く、常に舞台上に全員居るから芝居としての空間利用が制限される。一方、狭隘になった空間でぶつかりそうにダンスをするさまは迫力があった。なんとも不思議な公演であった。
『穴の中 或は、■の中』ご来場ありがとうございました。

『穴の中 或は、■の中』ご来場ありがとうございました。

演劇ユニットG.com

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/08/13 (水) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

二律背反か…
素舞台に5ヵ所のたて穴が開いており、その中から人物が出入りする状況は不思議だ。穴の中はどのような生活空間になっているのだろう。興味津々だ。
さて、ビルの何階(地下か?)かに穴が空いたフロアーと見立て、住人が4名(男女各2名)ともう一方…。そこに宅配ピザのアルバイトが迷い込んだ。
さて、本公演は二律背反の様相を呈しながら展開するが、終盤におけるアルバイトの激白が圧巻である。一見ネガティブな主張だが説得力があり見応え十分である。

ネタバレBOX

穴住人の一人(博士)が不老不死の薬学研究を行い、完成したかに見えたが、実は不完全なもの。
一方、拉致されたアルバイトは逃げるため、必死な工作を行うが上手くいかない。生命の危機に直面した激白が感動的である。「限りある”生“を精一杯生きるため夢を持ち、努力するのだ」と。不老不死を望むのではなく、死を認識していくことが生きる糧になるという、一見矛盾した思考を突き付けられた。”生“が有限であるからこそ、「夢」「目的」はいつまでに何を達成するかを明確にして歩み続ける。不老不死のように”生“が無限であればどうなるだろうと…。
カタストロフィーかと思ったが、第5の穴から神様?出現。個人的には、そのシーン以降は主張がぼやける気がするので不要だと思う。
今後の公演にも期待しております。
ひなたのなかのこども

ひなたのなかのこども

風雷紡

d-倉庫(東京都)

2014/08/13 (水) ~ 2014/08/19 (火)公演終了

満足度★★★★

骨太作品だが
初見の劇団であったが、見応えのある公演だった。その印象は調査し綿密に練り込んだ骨太な作品だと思う。下山事件が題材だが、人間ドラマを主軸に置く見事な公演だ。
さて、自分が生まれる前の事件ゆえ、リアル情報は持ち得ていない。自分が知っている下山事件は1981年公開の映画「日本の熱い日々謀殺・下山事件」に負うところが大きい。その頃は俳優座に知り合いがおり、同劇団の公演を観ていた。映画は俳優座も関係しており所属俳優が多く出演していた。その映画は同年の日本アカデミー賞で多くの賞を受賞するほどの傑作だったと記憶している。
さて、本公演も下山事件の沿革を辿るが、その手法は探偵が事件を追究するというもの。この件も映画と同じ(映画は新聞記者が取材)。舞台の雰囲気は当時の状況を彷彿とさせるような美術・音響効果で堪能した。
改めて、本公演も脚本・演出はもちろん、役者の演技も素晴らしく、秀逸なものだと思う。
しかし、気になることが…
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

次のことが気になった。
第一に、主人公の現視点と探偵の追究視点があり、それが交錯して物語が展開する。事件が起きたのが昭和24年7月で、まだ日本がGHQ統治を受けている。対外的には共産主義への警戒、国内的には景気浮揚が重要であるかの描き方だ。その縮図として、日本国有鉄道(国鉄)内における対労働組合(国労)と経営再建(人員整理)だったようだ。その複雑な社会情勢が伝わらない。主人公の人間ドラマにしては、取り巻く情勢の中で苦悩した姿が弱かったと思う。例えば、GHQからの呼び出し場面、組合幹部との交渉場面(少なくとも駅舎へのビラ掲示、赤旗掲)など緊迫した場面がほしい。
第二に、なぜ探偵は追究することにしたのかという動機面がしっくりこない。依頼主の思惑は後日明かされるが、当初、金銭面だけだったら面白くない。当時の国鉄三大ミステリー事件(他は三鷹事件、松川事件)の中で、下山事件に興味を示した理由はなにか。
第三に、なぜ今、下山事件を扱うのだろうか?敢えて意味を持たないかも知れないが・・・。思惟か恣意か、はたまた私意なのでしょうか。事件当時の状況が、今まさに対外警戒(領土問題)と景気回復(派遣きり)を意識したと・・・深読でしょうか。隠れテーマがあるとすれば、芝居屋風雷紡恐るべし。
今後の公演にも期待しております。
暁の風に夢笛響いて

暁の風に夢笛響いて

COTA-rs

萬劇場(東京都)

2014/08/15 (金) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★

芝居としては、う~ん
フライヤーからエンターテイメントな作風が感じられたがテーマの描き方が平面すぎた。もう少し寸善尺魔の中、復活の曙光が見えるというような冒険活劇がほしかった。公演全体が緩い。物語は未来という設定ながら過去イメージ。いくら廃れた世界といっても違和感は払拭できない。また、廃れた後であればその理由を説明して物語を展開するなど工夫に欠ける。芝居にもう少し丁寧さが必要だと思った。
役者陣の一生懸命さは感じるが、それだけでは観(魅)せられない。

ネタバレBOX

人間性が画一的な善人(物分かりが良い)ばかりで繋がりに面白味がない。例えば主人公(タクミ=香央里)とその兄の両親は、先生(元「天の国」諜報将軍)に殺されたが、何故か二人とも尊敬した様子である。また、新たに派遣された諜報兵(SADA)と簡単に親交を結ぶことなど不自然である。命の尊さは疑わないところだが、それをどう上手く表現(教訓的にならないよう)できるか。若手俳優が頑張っていることから、脚本・演出の充実を期待したいところである。
今後の公演を期待しております。
パフ

パフ

劇団しようよ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2014/08/15 (金) ~ 2014/08/18 (月)公演終了

満足度★★★

不思議な感じの公演
具体的なモチーフは、三宅島・雄山の噴火をイメージした。そして物語に出てくるジャッキーという“生きもの”は、映画「ロック」(実話らしい)を思い出した。上演後、作・演出の大原渉平氏と話をする機会があり尋ねたところ、三宅島は意識したが、映画のことは知らなかったようだ。もっとも映画は、自分が本公演と重ね合わせたものであるが。
さて、この公演の演出は一見ファンタジー、そして舞台美術は手作り(パペットも含め)のようで温かさがある。しかしテーマは示唆に富んでいたようだ。

ネタバレBOX

当日パンフには、幼い頃親しんだ怪獣映画の記憶や当時へのノスタルジーなど諸々の要素を詰め込んで創作した旨のことが書かれている。さて、脚本はピーター・ポール&マリー楽曲「パフ」をモチーフに作ったとある。公演全体がリリックで優しさに包まれているようだ。
しかし、その描く内容は鋭い。島内住民はみんな知り合いで好きな人たちばかりだが、近頃は抽選で火星に移住してしまう人が多い。さびしい思いをしながらもジャッキーと遊ぶ。しかし、とうとう島の火山噴火で脱出せざるを得なくなり、自分と兄が先に避難船へ、その後両親が続くはずだったが…。そしてジャッキーは乗船できず。
究極的な状況下における非理を問う公演だが、その演出はギニョールを用い婉曲に表現しており好感を持った。
居間 オブ ザ デッド

居間 オブ ザ デッド

ワイアールジャパン

劇場HOPE(東京都)

2014/08/14 (木) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★

ゾンビもの…本質は硬質
自分にとってゾンビのイメージは、何かの力によって死体が蘇って街を徘徊する…いわゆるダークで怖い存在だ。公演は、ゾンビを登場させているが、明らかに本質は別なところを描いている。当日パンフに演出家・成島敏晴氏は、「話は難しいけど実は簡単に解決出来てしまう、けどそれがなかなか難しいというややこしい事がテーマ」と記している。
さて、公演のタイトルだが、ゾンビのイメージを決定付けたアメリカ映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデット」に似ているのだが、意識したのだろうか。
さて、公演の本質は…。

ネタバレBOX

人間(界)は“他の界”を攻撃し絶滅させてきた。辛うじているゾンビ(界)や魔法(界)は、隠遁生活を余儀なくされている。この件は別にゾンビを引き合いに出すまでもなく、人種・人権差別そのもの。個人的には好きなテーマだが、敢えてゾンビにする必要性があったのだろうか、という疑問が残った。ゾンビのイメージは”死者の蘇り”であり、血みどろの形相をしているというもの。しかし、父親の若かりし頃、人間の娘と恋仲になり、そのことが人間に知られて”家族を殺された”という。この公演は、自分にとってイメージのギャップが大きく感情移入が出来なかった、もっといえば違和感を覚えたことが残念であった。
今後の公演を楽しみにしております。
ひょっとして乱で舞ー

ひょっとして乱で舞ー

時々、かたつむり

小劇場 楽園(東京都)

2014/08/14 (木) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★

ひょっとして、乱悔いか
劇団ホームページ、当日パンフで作者変更の知らせとお詫び。脚本が1ヶ月前になっても出来ていない。その状況で公演を中止せず敢行したと…。しかし、内容的には厳しいものになった。
アイデンティティも含め、自分のコピー(芝居では「印刷」と表現)を出現させ…というような物語だが、テーマの深堀やそうなる必然性が弱い。辛うじて骨組みだけ構成し、肉付はこれからといったところだ。

ネタバレBOX

舞台最初と最後のダンスの意味は、アフタートークで明らかになる。当日の観客は誰も分からなかった。芝居に込められた作者の思いは伝わらないということだろう。ちなみにロボットダンスのような動きは「印刷&シュレーダー」している様子らしい。「印刷」は違法と知りつつ行為を行い、不要になったら裁断するという身勝手さ。しかし、「印刷」が行動している間は、自分(オリジナル)は行動(姿を見せられない)できないという不自由さがある。その不合理は、自分の愚かな行為によって招いたもの。その恐ろしさを描いた芝居だと思うが、その本質的な訴えは理解し難い。本当に残念な公演であった。
ボンゴレロッソ

ボンゴレロッソ

A.R.P

サンモールスタジオ(東京都)

2014/08/12 (火) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★

女性の30歳同窓会って…
本公演、一部加筆した再演だという。そして作・演出のA・ロックマン氏のあいさつ文にはお気に入りとあり、自信作を窺わせる。実際、楽しく面白い、というのが第一印象である。
まず、脚本の面白さである。当然何らかの訳ありがあり、芝居は盛り上がるのだが、やはりお約束通りあった。結末は…観てのお楽しみだが、自分も他の方がネタバレで書いたことを想像していた。
演出は、同窓会メンバー一人ひとりを丁寧に紹介し、状況説明を上手く行っていた。それも主要キャストはピンで、それ以外のキャストは、ダブル、トリプルなど複数にすることで軽重を持たせるところが良い。演技はどのキャストもキャラ(メイク、衣装なども含め)を上手く作り込でおり上手い。そして演技力の差をあまり感じさせないところがよかった。
同窓会メンバー以外のキャストも含め、16名の女性の生き活きした芝居は元気がもらえる…と思う。
さて、もう一度あいさつ文を引用させていただくが、「最初に断言しておきます。この作品にメッセージも訴えたい事もなにもありません!!」とあるが、これは逃げ口上か、謙遜か、はたまた自信の裏返しか。
いずれにしても高校卒業後の12年間の女性のいろいろを観(魅)せてくれた好公演だった。

ネタバレBOX

自分も優等生(相田愛子)役の市川円香さんと上演後、坂本先生は性転換し、16番目の女性として登場していたと思った、と話たところ。本作では、最後まで坂本先生は現れないが、この演出方法はよく見かけるところ。映画では、話題になった「桐島、部活やめるってよ」などがあった。ストーリーを牽引するには上手いやり方で、もともと女性しか登場させない意図で制作しているのでしょうから当然か。
しかし、見事に”自分の記憶の断片にこびりつく作品”になった。
今後の公演に期待しております。
妖怪酒場

妖怪酒場

物の怪エンターテイメント企画 『妖-AYAKASHI-』

タイニイアリス(東京都)

2014/08/13 (水) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★

妖怪もいろいろ
妖怪に関して昨今の話題…子供を中心に妖怪ゲーム(名前は略)がブーム、一方、鬼太郎ブームの漫画家の水木しげる氏が「最近戦友の夢を見る」とのニュース配信。妖怪の捉え方も世代や状況によって異なるものだと思った。
さて、本公演…主人公は妖怪作家であった父の七光りで生活している青年の物語。しかし世の中そんなに甘くはなく、人生に悲観した折、ひょんなことから妖怪酒場へ…。この主人公を通して見た妖怪との関わりが芝居の魅力を左右する。その描き方が浅かったと思う。
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

パンフには「人間って窮屈。人間て不自由。(中略) いつからか妖怪に生まれ変わりたいと願うようになっていた。」と…。妖怪酒場へ行くキッカケは自殺を図ろうとしたことだが、妖怪のほうが生き易いのか。妖怪の何体かが人間界へ関わりを持ち、さらには人間になりたい妖怪までいる。

当日パンフにあるキャッチの「くだらない、しょうもない、世知辛い世界で僕は真実も知らずに隣の芝生を羨んでいた」をもっと掘り下げて、妖怪との飲み比べも含め、主人公(佐藤信一)の心的変化を観せてほしかった。

脚本は、信一が幼い頃に父は交通事故で他界しているが、一通の手紙でここまで思慕するかがわかり難い。父他界後の信一の生い立ちにもう少し説明がほしいところ。演出は、せっかく妖怪を登場させているのであれば、その雰囲気(少なくともメイク、衣装などの工夫)を出してほしいところ。

そして演技が緩いような。”演技”における「妖怪と人間の境界線って」どう描いたのさ!と…。

今後の公演に期待しております。
おせっかい母ちゃんリビングデッド

おせっかい母ちゃんリビングデッド

ぬいぐるみハンター

駅前劇場(東京都)

2014/08/08 (金) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★

役者のキャラ作りは面白い
母親にとって息子は、何時までも可愛く、また心配な存在なんだろう。金属バットをフルスイングされてもね。さて、この公演は特にインパクトがあるわけでも、演出においても特別技巧を凝らしているとも思えない。目立ったのは、作り込んだ役者のキャラ。その役者の競演…といいたいところだが、母ちゃん役=神戸アキコが牽引していたと思う。台詞にセリフを被せ応酬する会話は、テンポよく迫力もあった。即興・アドリブもあったようだが、あくまで演技だけに止まった感じである。やはり脚本・演出がもう少し練り込まれていたら、と思った。
今後の公演に期待しております。

UNIQUE NESS(ユニークネス)

UNIQUE NESS(ユニークネス)

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2014/08/01 (金) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

虚勢もまた素晴らしい
舞台中央にベッド、そしてランダムに吊るされたような額縁や鏡枠、その傍らに椅子が置かれ、常時役者が座っている。このGADGET(ガジェット)?が面白い。”枠”のみは、まさしく虚そのもの。
さて、主人公(ハロルド)に関わった者が時と状況に応じてベッド周辺で絡むという演出だ。それまでは舞台上にいるが、あくまで傍観者を装っていたようだ。なにしろハロルドが台詞を噛んだ時にはニヤニヤしていたのだから。
さて芝居は、死期が近づいているにも関わらず…

ネタバレBOX

梗概は、 未確認動物“ネッシー” 1934年ネッシーの姿を捉えた写真、通称「外科医の写真」が新聞に掲載され、外科医は一躍有名人になった。 この写真の関係者のハロルドの死期が近づき、入院し次々と人々が見舞いに訪れる。 そうハロルドに人生を狂わされた人々だ。 妹で看護師のハンナは複雑な思いで見舞客を迎える。 そして彼の人生が終わりを迎えようとしたその時、真実の姿が現れていく、というもの。

普通の人が目立ちたい、人生に何らかの足跡を、と考えたことによる悲喜劇。誰もが思うような絵空事であるが、その内容(ことの重大性)の影響が大きければ...そのアイロニーがよく表現されていた。その観せ方が、色々な角度から見ることができるよう枠・鏡が配置されている。内心のありようが具象化されるという感じである。

自分の人生が身内・友人を巻き込み...その予想外だったかもしれない反響は、満足だったのか、それとも後悔だったのか。その生き様が役者の演技によって十分体現されている。ここが青年座の演技・表現力の素晴らしいところ。
この脚本・演出・演技と、その技術効果の完成度の高さが、この公演を面白くしている。

次回公演を楽しみにしております。
痕跡 〈あとあと〉

痕跡 〈あとあと〉

KAKUTA

青山円形劇場(東京都)

2014/08/10 (日) ~ 2014/08/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

細い川が大河の如く…心魂へ
大袈裟に言えば、良くも悪くも引っ括めて過去にしか「痕跡」は残せない。本公演は登場人物の痕跡を細い脇筋のように扱っているが、結末はそれらを紡ぐ太い物語になる。その演出は日常が坦々と流れるが如くである。登場人物は決して善人ばかりではないが、人が持って生まれたもの、または形成されてきた人格を上手く描いていると思う。公演全体が大きな優しさに包まれ、心地よく感じたのは自分だけだろうか。そして感動的なラストシーンは…想ってほしい。
青山円形劇場という舞台を気にするなというのは無理であろうが、それにしても主たる演劇要素である、脚本、演出、美術・効果はもちろん、役者の演技も素晴らしかった。
ただ些細なことだが、気になる点が…
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

第一に、探し続けなければ子供を見捨てたに等しい…という旨のセリフがあったと思う。10年を経て余命半年と宣告されて、子の生死を確認しようと行動する点。行方不明(事故)になった当初こそ、必死に探したが、月日の流れとともにその気力も失う。現実にはそうなんだろうと思うと、探索動機としては弱いような気がする。
第二に、無国籍の状況説明に中国、韓国の不法就労を用いたところ。確かに新聞、雑誌等のメディアで見聞するが、偏見にとらわれないような工夫も必要であろう。
第三に、本公演の視点はどこか。当然、余命幾ばくもない母親であろうが、この事故/事件に関わった人の人生が大きく左右されるのであれば、加害者と見做される人物の苦悩の痕跡がもう少し描き込まれてもよいのではないか。

当日パンフで被害者・加害者と峻別している以上、逆立場の両者の苦悩を其々の痕跡として観せてほしい、というのは贅沢だろうか。

改めて、素晴らしい公演でした。
人狼 ザ・ライブプレイングシアター #13:VILLAGE VII 夏草がそよぐ村

人狼 ザ・ライブプレイングシアター #13:VILLAGE VII 夏草がそよぐ村

セブンスキャッスル

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/07/29 (火) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★

セリフの綻びを…
脚本はなく役者が人間、人狼という与えられた役割を即興的に演じる。舞台上の人間と人狼の闘い(暴きあい)は、観客も参加し楽しめる趣向になっている。だから役者同士の理論・心理の綻びを見つけて悦に入ることも出来る。
ただし、過去に観た“人狼”に較べるとセリフの迫力とミステリアスさに欠けたと思う。また、ビジュアル的には、メイクや衣装が見劣りする。
さて、本論だが即興性が試される芝居は、自分だけの演技に陥った時ほど、観客は置いていかれるだろう。
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

人狼シリーズは、役者が場面状況を的確に捉え、即興的に演じなければならない。本公演についてみれば、役者が独善的になり、その都度、流れを確認するシーンが多かった。役者各々が自分の役割に埋没しまわりの状況を把握していない、即興を重視するあまり早口になっている。そういう意味では観客本位に立った公演になっていたとはいい難い。その証に”人狼当クイズ”のような観客参加の試みも前回同様あったが、誰一人当てることが出来なかった。観客に考えさせる、楽しませる余裕がなかったと思う。
公演全体として、前回観た時に比べると見劣りするところが多く、残念に思った。
今後の公演に期待しております。
(P・S)
出張があり、追記が遅くなり申し訳ございません。
スノードロップ

スノードロップ

みどり人

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2014/08/01 (金) ~ 2014/08/06 (水)公演終了

満足度★★★★

続きが”気になる”
連ドラ風四話完結公演の第一話と第二話を小空間「絵空箱」で上演…。
当日配付の案内には、「”許せない”気持ちを生き方にした人間の復讐劇」とある。ミステリー仕立てのようにいくつかの伏線を張り巡らしている。その張り方がストーリーのほんの少し先…さしずめ懐中電灯で足下の先を照らすような感じで目が離せない。細かいことはあるが、ほぼ素舞台ながら状況説明は十分で、上手い演出だと思う。そして最後にタイトルの意味と公演後半(第三話、第四話)の上演スケジュールの案内へつなげる。
ただ気になることが…。
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

全四話のうち、第一話第二話を上演し、後半二話を12月に上演するという。さて、映像(映画、テレビ等)は、編集という技術でダイジェスト版を放映することが出来るが、芝居ではどう演出するのか興味がある。一話が約60分(一話・二話は長短あるが、途中10分休憩を入れ2時間)とすれば、よほど前半部分を簡潔に説明しないといけない。第三話・第四話だけを観る人にとっては、そのダイジェスト部分が生命線になるであろうから…演出手腕に期待しております。

(P・S)
出張があり、追記が遅くなり申し訳ございません。
The Kaidan アルプス一万尺 Final

The Kaidan アルプス一万尺 Final

劇団 CAT MINT

シアターサンモール(東京都)

2014/07/30 (水) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★

実は悲しい話
説明にある「最後に少女の口から語られた怪談話とは…」ラストは悲しみでいっぱいだ。
背筋がぞっと寒くなる怪談話で紡いだ一夜の物語。ハートフルミステリー、とあったが、実は悲しい百物語。
観ればわかるが、上演後に「登場人物アフタープロフィール」の配付…、心遣いが嬉しい。
さて、繰り返すが怪談話と言うよりは悲哀話のようだ。
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

全員が若くして亡くなっている。当日「登場人物アフタープロフィール」には、亡くなった時の状況説明が記されている。
さて、芝居は篝火を囲み、怖い話を披瀝するはずが、可哀そうな話に終始したように思う。夏場=怖い話ではなく、パンフレットにあるような事故死、自死に相対した無念、悔恨・怨念などの情を語るほうがわかりやすかったと思う。それこそ霊を迎え・送る(盂蘭)盆の時期なのだから…。
さて、ラストは冒頭、怖い話をしている輪に闖入するような形で参加した娘…実は山荘の主人の亡くなった(交通事故死)三歳の娘が大人の姿を借りて会いに来ていた。自分としては、背筋が凍るより胸打つシーンで終幕になったのが救いであった。

(P・S)
出張があり、追記が遅くなり申し訳ございません。
祀(MATSURI)

祀(MATSURI)

劇団め組

吉祥寺シアター(東京都)

2014/08/01 (金) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

時代劇とDJのコラボ
勧善懲悪の典型的な時代劇…安心して観ていられる。趣向を凝らしたといえぱ、DJとのコラボレーション。邪魔ではないが、敢えて入れる必要もない。
さて、説明を読んでみよう。「~その森には事実古来から七人の神々が棲んでいた。大黒天、恵比須、毘沙門天、弁財天、寿老人、布袋そして吉祥天の七神(略)」は変じゃないか。吉祥天は七福神だったか?

ちなみに公演場所は、吉祥寺シアターであるが…。
(ネタバレBOX)(後日追記)

ツナガル

ツナガル

セロリの会 

「劇」小劇場(東京都)

2014/07/31 (木) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

母娘の確執…知られざる真実
母が病に倒れ入院した。母に対し快く思っていない一人娘が帰ってくる。子供の頃に母親に厳しく躾けられたことに対するわだかまり。説明には、女三世代とあるが、実質は母と娘の確執。
しかし、ラストでは怒涛のように氷解する。
そして真実が明らかに…娘の哀願するような叫び「おかあさん~」は感動!
その真実とは…
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

母は、口癖のように世界をまたにかけて活躍するピアニストに育て上げるため、友達付き合いにも苦言を呈すというもの。
子供心に相当傷ついた思い出の家(音楽教室経営)。母親のことを「あの人」と呼ぶほど苦々しく思っている。
しかし、母親には娘を一流のピアニストにしたい理由と役割があった。
実は娘は、大学時代の親友の忘れ形見(遺児)であった。親友はピアニストの才能に恵まれながら、妊娠中に結婚していた男性とドライブ中に交通事故で死去。奇跡的に助かった赤ん坊(主人公娘)を引き取り育てる決心をする。どうしてもピアニストへ…その思いは子供に知る由もない。自身は独身のまま…いわば他人の子供を育てる大変さ。
ラストまで母親は娘に対し厳しく接した姿しか見せない。その切ない思いは語ることなく死去する。

母の死去という悲しみを乗り越え、真実が明らかになった娘の今後の人生…清清しい余韻を残した好公演でした。
見果てぬ夢

見果てぬ夢

ランプの伯爵

上野ストアハウス(東京都)

2014/07/30 (水) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★

しみじみと
病院の中庭、そこには花壇やベンチがあり患者が集っている。そこに、がん告知された男性…妻は妊娠三ヶ月。状況設定だけで泣けてくる。
この男性を取り巻く病院関係者、家族、友人などの交流が胸を打つ。

当日配布の案内に、本作を書いたときの気持が記されており興味深く拝読した。その中で脚本に対するイメージを「ストレート」、「ベタ」と表現していたが、それは観客に伝えたいメッセージが明確なこと。それだけに強い印象を与える作品になっていると思う。

さて、主人公の病は進行して…ラストは感動。
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

主人公は手術に成功して、無事退院する。

糖尿病で入院している患者が倒れ、車椅子生活になった時のこと。患者は回復(リハビリ)に対して消極的な態度。半ば自暴自棄になるが、そんな態度に医師が放った言葉が衝撃的だった。

人はいつか死ぬ。人生は初めから負け試合のようなもの。それでも立ち向かっている。どう生きたかが大切なのだ。
がん告知が出来ず、その練習までする気弱な医師が、本音で諭すセリフ。まさしくストレートでベタなシーンであるが、胸が締め付けられる。
脚本は見事であるが、演出もあまり暗くそして重たくならないよう、所々に下世話なシーンを入れ工夫している(テーマに対して少し軽くなったかも)。
実に見事な公演でした。今後の公演にも期待しております。
グッドモーニング、アイスパーソン

グッドモーニング、アイスパーソン

天才劇団バカバッカ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★

社会性も垣間見えて
文部科学省所管の研究施設におけるドタバタ劇。二万年前に氷結した人体の研究を進めるうちに、当のアイスパーソン(マン、ウーマン)が蘇生し…。
公演は群像劇のような感じで、生活様式・文明発達への警鐘など、示唆に富む内容が展開され見応えがあった。
(ネタバレBOX)

ネタバレBOX

発達した未来社会では127名しか存在しない。そこでは互いに干渉しないことから争いごとがなく平穏な日々が続いていた。未来ではロボットが生活手段(ハード面)や話相手(ソフト面)を担うという。しかし人類滅亡の危機に瀕した時、過去へタイムスリップ⇒氷結状態という選択へ。その間に秋葉原殺傷事件をモチーフした状況が挿入されるなど、ストーリーが破綻しそうになる(この件の状況説明が分り難かった)。
言い尽くされた言葉だとは思うが、人は一人では生きられない。人間同士に生まれる感情(負の感情-誤解や嫉妬などを含め)など、何らかの関わりがないと…。研究員の悪意による実験でアイスパーソンの行動態様を観察するシーンは現代社会に対する警告(人種・性による差別)として捉えた。
演出はポップ調であるが、その視点は鋭く冷徹のようである。見事な脚本・演出と、キャラクター豊かな登場人物を的確に演じた役者陣。とても素晴らしい公演でした。
今後の公演にも期待しております。

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