えのきぃの観てきた!クチコミ一覧

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幸福レコード

幸福レコード

Bobjack Theater

シアターKASSAI(東京都)

2014/02/06 (木) ~ 2014/02/17 (月)公演終了

コメントがまとめられない…
Bチームを観劇。休憩なし、約2時間15分。

自分の文章構成能力の低さに嫌気がするほど、コメントがまとめられない。
コメントがまとめられない、これは誉め言葉です。もうお腹いっぱいで。
とりあえず言えるのは、観劇して良かったということ。
笑った。泣いた。ボロ泣きした。
客席はすすり泣く声に包まれた。

2時間15分、全然長くなかった。
その中に、これでもかというほどの内容が詰め込まれ、しかし全く駆け足ではなく丁寧に描かれている。
展開はポンポンと速いのだが、忙しくなく、すこぶるテンポが良い。
起承転結がハッキリしていて分かりやすい。
一冊の本(宮坂が作中で出版したもの)を軸に、とても練られた脚本。
モノローグが多かったのだが、良い意味で印象的、そして効果的。

舞台美術は、舞台上の空間をすごく有効に使っている。

Bobjack theaterのホームページによれば、主役は今回が初主演らしいのだが、そんな空気は一切ない。
最初はやはり少し固かったけれども。
前半の謎めいた部分と、後半のせつなに出会って変わっていく部分と、とても良かった。
涙のストックがないと話していた彼が大号泣しながら懇願したシーン、失ったものの大きさに気づいて号泣するシーン、今まで泣けずに貯まっていた涙を一気に出し尽くすようだった。
またラストにせつなのボイスレコーダーで、せつなと同じように幸せを集めるラストも泣ける。
印象に残るのは主役池内、編集者真野、作家宮坂、その妻すみれ。
宮坂夫妻の気持ちや関係性の変化は、見ていて本当に切ない。

幸せとは何か、何をもって幸せというのか、考えさせられる作品。

水と油でバシャバシャ!

水と油でバシャバシャ!

〒機巧ぽすと〒 (からくりぽすと)

ART THEATER かもめ座(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/09 (日)公演終了

言葉は発さずとも自分も参加している感覚
team水を観劇。暗転なし約1時間15分。
とある商社の新人研修の一環である討論会。

討論をそのまま脚本としている。
そしてそれがきちんと会話として成立している。
役者各々の実力も勿論だが、更にやり込んだ感じがする。
経過時間の割に、中身の濃い時間を過ごさせて頂いた。

議論が白熱してくると感情も高ぶるのだろうが、叫ぶ(一部「喚く」)のがちょっと多い印象。
皆よく声枯らさずに初日迎えましたね、レベル。
キャラはそれぞれ作り込まれていて、被らずに確立している。
それぞれ愛すべきキャラクター。

終演後、役者が無言で一礼した後、少しだけ話の続き(討論後または後日談)があるというのは初めて観た。
終演後にアンケートのお願いや役者との面会について、舞台上で語る団体が多い中、こちらは音声だけの案内で押し付けがましくなく、この案内方法も私は好感が持てた。

ネタバレBOX

討論の内容としては、「それって、結局個々人の価値観によるものなのでは?」というものが多く、その上そんな簡単に考えを変えられるものでもないので、答えは出ない。
そしてその答えなき討論をさせる監視役の無茶振り。

私は油原を支持する場面が多い。
速水の言うことは、綺麗事に聞こえてしまう。
宇野や油原も言うように、人間には感情がある訳で。
そもそも何を悪とし、何を善とするかも個々人によって違うのだし。
そして速水自体も劇中、そんな清廉潔白な行いばかりしている訳じゃないよね?
「悪は悪、善は善」な人なら、水沢のスーツの袖で鼻かまない。あれだけ油原に「キモイ」と連呼しておいて「女にブスって言う!?」って、それはムシが良すぎる話だろう。

宇野に関しては、もう少し工夫が必要かも。
ヒートアップした討論をクールダウンさせる役割を意図しているのだろうが、話の流れも観客の気持ちも悪い意味でぶった切ってしまっている。
あくまでも「私は」そう感じてしまった。

監視役S・Hは討論の間、「寝てんの?」と思うほど。
公平を期すための演出なのかも知れないが、ちょっと考えもの。

宇野とS・Hのラストのやり取りは少々萎えた。ロープと練炭。
宇野が自殺を考えていたことを明らかにする必要はあったのか。

終演後の挨拶後、歩み寄りを見せる油原。
この討論会で良い意味で一番変わったのは油原なのだろう。
- かさない -

- かさない -

COoMOoNO

キッドアイラックアートホール5階(東京都)

2014/01/31 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

これは「公演」じゃない
チケットプレゼントで観劇。ギャラリーの一室。観客は自分含めて10人程度。

会場に入ってまず拒否反応。
昨今「香害」なんて言葉もあるくらいなのに、アロマだか何なのか、自分の嫌いな香りを充満させている。
会場を出ても髪や服に染み付いて気持ち悪い。

舞台美術は素晴らしい。可愛らしいお部屋がギャラリーの中に再現されている。
せっかくの高い天井なのに、どうして布で隠してしまうのかと思っていたが、朝日を表現するためだったのですね。カーテンから漏れる明かりも良い感じ。

演劇自体はまるでなってない。
料金を払って観ているとしたら、お金の無駄。今回はチケットプレゼントだけど、それでも時間の無駄だと思うほどに。いつ終わるのか時計ばかり気にしてしまった。

まず脚本。
現代に生きる一般人は普通「~だわ」「~のよ」「~かしら」「何故かというと」なんて言いませんから。
役者が台詞を自分のモノに出来ていないといえばそれまでだが。
作中に何度か過去の出来事を挟むが、過去なのか、今なのか、よく分からない。

役者。
棒読み過ぎ。会話になっていない。台詞を垂れ流しているだけ。台詞が自分のモノになっていない。いくら小さなハコだからって、ボソボソ喋りすぎて聞こえない。感情の起伏もない。あんな静かな誕生日鍋パーティーがあるか。
前髪長すぎ、顔見えない。

『美しい言葉と会話で人の心を(ちょっとでもいいから)動かすことを目指す団体。
 ※言葉を相手に届ける 言葉を受け取る =会話をすること
 (シンプルな目標だが案外難しいため 仲間が少ない)』
と当日パンフレットに書いてありましたが、冷ややかな視線を送るしかない。仲間が少ないって、本当に理由それ?美しい言葉か…私には伝わらなかったな。

アンケート用紙に、「いま、どんなお気持ちですか」とありましたが、こんな気持ちです。

終演後、私以外の誰も席を立たなかったのをみると、観客はみんな役者の関係者なのだろうか?

観客に足を運んでもらうこと、お金を払ってもらうこと、アンケートを書いてもらうこと。これらがどういうことなのか、今一度よく考えてほしい。
公演を打つなら、それに見合ったモノを提供していただきたい。もし見合っていなかったとしても、そこに至る努力のあとが
窺えるなら救いはあるものである。

ネタバレBOX

かさない→傘無い、課さない かな。
私はそう理解したんだが、合ってるのかな?
壁あまた、砂男

壁あまた、砂男

劇団わらく

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/01/31 (金) ~ 2014/02/04 (火)公演終了

考えさせられる
受付で、「ほこりが立つので」とマスクを渡される。
その気遣いは嬉しい。が、冒頭スモーク焚き過ぎですから!

現代、現在の状況と否が応でも重ねて見てしまう。
盲信は怖い。考えることの放棄。それが招く社会の歪み。
集団的自衛権とか、秘密保護法案とか、隣国との関係とか、今の、そして今後の日本が、隣国が、砂の国のようにならないことを祈る。

手袋と靴カバーを使った、砂男支持派・反対派・どちらにも属さない者の表現が、視覚的にも分かり易い。

役者がフードを被っていない→その場にいる
   フードを被る→その場にはいない
というのも分かり易い。これで役者が常に袖に下がらず且つ黒子の役割も同時に果たしている。

考えさせられる脚本の中に、所々笑いも入っている。
火星に生物がいる確率の話は興味深い。
役者は好演。
それぞれが、きちんと役の役割を演じた印象。
だから誰が一番良かったとか、あまりない。(誉め言葉です)

ネタバレBOX

作品中には三国がある。
亡国である風の国、舞台である砂の国、壁で隔てられた隣国火の国。
風の国の民は放浪生活を送り、砂の国の民からは「信用ならない」と見られている。
砂の国は100年ほど戦をしていないが、平和は長く続かないものだ、火の国が壁(戦車で簡単に壊れそうな代物)を破って攻めてくると思い込んでいる。砂の国では「砂男」とその親衛隊が国を掌握している。砂男は作中一度も姿を見せない。
砂の国の民の思想は、全てその砂男と親衛隊の洗脳?によるもの。平和の10箇条なるもの(私には「平和に甘んじるな、平和は悪だ」と言っているように感じた)を大音量で放送している。そんな砂の国の南部に生きる家族が物語の中心。

母は砂男の熱烈な信者。父は母の従順なイヌだが、親衛隊には入りたくないと思っている。長女はこの社会に疑念を抱いて反対運動をしている。長男は初めこそ疑念を抱いていたが、合同訓練に参加して以来、親衛隊を善と見なし始める。次女は家族の崩壊を止めたいのみ、反対とも信者ともいえない。

そこに風の国の民や地域住人、親衛隊(舞台には出てこない)が関わって物語は進む。
自国を持たないが故、砂の国の思想に捕らわれず、自由に(自分本位に?)、自分の信念に従って生きる風の国の民。
風の国の民は相手を「人」として捉え、砂の国の民は「風の国の民」として捉える。

砂男への盲信によって、信者達は良い意味でも悪い意味でもまとまっている。
しかし不穏分子に対しては行き過ぎた弾圧を行う。
仲間を助ける為に新兵を殺してしまった姉。疑いから内部分裂をしてしまう反対派。
自分達でさえ、西側の反対派からの「情報」のみを鵜呑みにしていることに気づく。砂男の信者が彼の言葉を鵜呑みにしているのと同じように。

結局、次女は砂の国を捨てて、風の国の民と共に旅に出る。ここではないどこかへ。
「行こう どこかにあるはずだ もっと良い国良い暮らし」と歌いながら。かつて砂の国に現れた「太鼓たたき」がしたように。

あらすじ長い!ごめんなさいm(_ _)m
いや本当、これ書きながらも、すごい考えさせられる。

ラストに舞台が手袋で埋め尽くされ、さらに空中を舞うほどになったのは、砂の国の盲信が加速されて、反対派が居なくなるほどに国全体が熱狂した、ということで良いのかしら?

ろりえの鬼

ろりえの鬼

ろりえ

シアター風姿花伝(東京都)

2014/01/28 (火) ~ 2014/02/03 (月)公演終了

イメージと違った
今回初めて観劇する劇団さん。
開場後、会場の中に入ると、舞台上には不気味な形の「モノ」や大きな目玉がギョロリ。
客入れBGMとして液体が沸騰するような音が続き、時折子供の声でかくれんぼなどの歌声が入る。
舞台の造りは工夫している。舞台上手側の奈落、奥の扉をエレベーターやアパートの扉に見立てるなど。その時々の照明の使い方も良い。

ネタバレBOX

「鬼」って、若い方々が強調の意味で使う「オニ」だったんですね。
そう私は理解したのだが、そうしたら、舞台上のグロテスクなモノたちや客入れBGMって何だったのかと問いたい。そこにあるのは目玉でなくても良かったはずだ。
鬼ってタイトルにしちゃったから、でも脚本上がってみたら全然鬼っぽくなくて、ちょっとでも鬼らしさを残しておかないといけないかな、みたいな感じがして、がっかり。

嵐ネタや、寺山修司ネタは、これが前評判の「ろりえらしさ」なのかな?あのツッコミにあれだけの観客が笑った所をみると、やはり観客は演劇ファンが多いとみえる。
もちろん私も笑わせて頂けた。

過去と現在を行ったりきたりしながら物語は進む。
しかし、混乱はしない。

娘が母を殴ったことが原因で、母が娘のことだけをすっぽり忘れてしまったことは、娘にとって成長できる良い機会だったのかもしれない。
でも、うーん(-_- )……ちょっと有り得ない設定が多すぎて、入り込めなかったかな。
Day By Day

Day By Day

劇団かさぶた

OFF OFFシアター(東京都)

2014/01/23 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

後半盛り返した
豚チーム観劇。

前半は登場人物の設定やその場にいる理由が普通じゃなくて、テンポ・展開も悪い。
前半で面白かったのは隣人の美鈴が登場したシーンくらい。
後半に盛り返し、劇場を後にして「あれ!?まだ1時間半しか経ってない!」と思う程楽しめた。

当日パンフレットからは、劇団の「お客様をおもてなししたい!」という心意気が伝わった。
一枚一枚、生写真が可愛らしいテープでとめてある。
こんな当日パンフレットは初めて見た。

ネタバレBOX

前半。
正直、いつまで「TVが映らない」ネタ引きずるんだろうと思った。
スマホあるならワンセグ見れば良いじゃん。パソコンあるならネットでも何でも勝敗くらい調べれば良いじゃん。(妻・詩織風に言ってみる)
そういう手段が転がっているのに、ねちねちと粘着質なクレーマーだな、というのが夫・照之の前半の印象。
妻たる者が絆創膏の有る無し、引いては場所も知らないとかあり得ない。
TVが映らなくて、「ウチTV映らないんですが、お宅は如何ですか」とアパートの両隣の部屋を訪ねるのは、普通だろう。だが、隣人が歯科医院で働いているからといって、歯痛だと勝手に上がり込むとか非常識すぎる。普段近所付き合いもないのに。

後半。
二人で料理する隣人の彼氏・祐次と詩織の仲の良さや、(後に詩織の妹・あずみの作り話と判明するが)詩織が妊娠していることを言ってくれないことにやきもきしたり、妻に内緒でベビーグッズを友人・関根から調達し必死になって隠したりする夫、好演。
前半の印象から、妻を愛する優しい夫へ印象の変換。
これが盛り返しの大部分。

しかし、こんな大騒動に発展する嘘をついたあずみには共感できない。役者魂といえば聞こえが良いかもしれないが、悪びれる様子もないのは、他人である私でさえ怒りがこみ上げた。
なのに、当事者の詩織はそんな様子もなく「(照之に)謝った方が良いんじゃない?」って……何だそりゃ!?(゜Д゜)
あずみが役作りのために泊まり込むと聞いた時は、「陰毛」連呼しながらあんなに反対したのに?

書き殴り失礼。
でも、楽しめたのは事実です。念のため。
No Regret No Life

No Regret No Life

文月堂

RAFT(東京都)

2014/01/21 (火) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

芝居は楽しめました
「いつもの文月堂とはちょっと違った短編集」
とのことでしたが、私は今回が初見なので違いは分かりません。

三者三様の三人三組が織りなす短編集三本立て。

芝居は楽しめたのだが、あまりのお尻の痛さに、後半は芝居どころではない。
芝居は良かっただけに、残念。

ネタバレBOX

第一話 ー春ー「低気圧ガール」
暴風雨の日、ディスカウントスーパーの従業員控え室。
主任(妻子持ち、今日誕生日、ナオミと不倫関係)、パートのおばさんヨシエ、アルバイトの女子学生ナオミ。
今日が初日だったこともあるのか、序盤は会話になってなかったが、徐々に修正。
何か言いたそうなのだが、言い出せないヨシエ。これ、主任が妻子持ちだと知ってて「好きです」告白しようとしてるのかと思ってた(本当は辞める旨を伝えたかった)。こういうミスリード、好きだ。
ナオミさん!そんな!体張りすぎだよぅ∑(OωO; )滝汗
主任は、ナオミのことどう思ってるのかな?暴風雨の中迎えに行ったのは不倫関係とはいえ大事なのか、主任としての面目を保つためでカラダ目的なのか。

第二話 ー夏ー「朝顔」 三編の中ではこれが一番好き。
尻餅をついてケガした女児カリンの父親、尻餅をつかせてしまった男児マサルの母親、子どもたちの担任。
それぞれのキャラが生きている。各個人の背景を丁寧に描き、その上での「自分はこうだった。だから子供にはこういう教育をしている。自分はこう思う。」という所にすごく説得力がある。
それぞれが間違っていない。だが、他人とは違うのでぶつかり合う。
そして明らかになる真実。和解する二人。突然の告白。
この告白は母親の慰めのシーン(ノーマルな担任)があるから余計引き立つ。冒頭の「特別な事情」ってソレかーい!!(。>A<。)
子供を登場させないが、そこにいる工夫は素晴らしい。
父親が一番印象に残る。明日から、担任とはどういう顔して会うんだろう。って思っちゃうから、担任の思いは告白という手段はとらずに観客に悟らせるだけに留めた方が良かったのかな。作者、演出、役者共にその実力はあったはず。

第三話 ー冬ー「NO REGRET NO LIFE」
第二話「朝顔」での園児達に人気の絵本作家の話。
ノートを開くとシオン(絵本の中のキャラ)の会話が始まる、というのが良い。ノートを閉じてはいても、シオンは舞台上にいて小さくではあるが何かしら動いていることで、カオリ(絵本作家)の心中が分かる。
絵本を書くことで、その中に逃げていたカオリ。一人じゃないと諭すシオン。それを裏付けるミチコの訪問。
直前のカオリの状態があって、そこからのミチコの振る舞いに何かジーンと来る。

櫻ふぶき日本の心中

櫻ふぶき日本の心中

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2014/01/15 (水) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

ラスト30秒の心意気、しかと受け取りました。
終演後挨拶での、「ラスト30秒に命賭けてますから!」
はい、その通りです。
舞台装置は本当に素晴らしいです。
三方を囲む黒、日本の“日”とも読めそうな月、赤い舞台。
そして白の世界。
すっかり心奪われてしまいました。

時代はめぐる。「ゆう」と共に。

椿組は昨年夏の花園神社野外劇以来、二回目の観劇。
理解力の乏しい私には、「何でこうなったの?」「どうしてこうなるの?」って所が多々あるのは今回も同じ。
一つ例を挙げると、終盤の座頭三人が斬り合う理由とか。

しかし、全体のストーリーとしては楽しめた。
色々な時代の、様々な男女模様の、心中。
その時代でなかったら、そこに生まれていなければ、知らなければ、幸せになれたはずの男と女。
泣きたかったなぁ。何故泣けなかったのか…

表面的になってしまったからなぁ…?
各パートとも、相手を殺すほどの狂気はなかったのは確か。

江戸から始まり、時代をめぐり、また江戸に戻る。
時代劇の中に、「(当初の時代からの)未来の回想」という劇中劇が入る、何とも複雑な構成。
劇中劇の中に、今がいつといった正確な説明はないものの、大体の時代やその背景は理解できる。
そしてそんな複雑な構成でも、こちらは混乱せずに観られる。

ギターの生演奏が舞台を盛り上げてくれた。
時代劇にギター?と思って観始めたが、これが合う!

道遠からん

道遠からん

劇団だるま座

アトリエだるま座(東京都)

2014/01/06 (月) ~ 2014/01/16 (木)公演終了

食わず嫌いはよくないな、と。
実は、私は古い(?)戯曲があまり好きではない。苦手だ。
この「道遠からん」は1950年文学座初演だそうだ。
約60年前の作品が古いのか、そうでないのかといった分類はよく分からないが、出だしの言葉遣いで「あ、これ苦手かも」と直感した。
ところが、だ。大いに楽しめた。
食わず嫌いはよくないな、と実感した。

Aキャストを観劇。
ナレーション(スピーカー)「幕。」→暗転の流れはツボにハマった。

ネタバレBOX

舞台は女尊男卑の世界。とある漁村。
作中の300年前までは男は外で働き、女は家庭で働いていた。
しかし、今は女が外で働き、男を養うのが普通。男に仕事(家事含む)をさせるのは恥ずべきことと捉えられる。
この舞台設定から展開される人間関係、本当に楽しかった。
何もせず家事すらさせてもらえない男の、何かしら仕事がしたい!という欲求。
海女として25年間働いてきた誇り。
自分が夫を養っているんだ!という意地(?)や支配欲(?)
許されないからこそ燃え上がる恋。
海女コンテスト出場可否の論戦。
女の、年長者の、命を落としてしまう程の、意地。
そして「何故その結論に至る?」という展開(そこが面白い!)。

登場人物が、そこに生きている。
60年以上前の作品とあって、今では使わない言葉遣いや、論理立てて説明する場面も沢山あるが、役者さんが台詞を自分のものにしているからこそ楽しめたのだと思う。
いや、本当に引き込まれた。

印象に残ったのは、海女イワ・夫シゲ・イワのライバル海女リキ・校長ガク・助役ジン。
ただ一人理解できなかったのは、ユラ。
Touch~孤独から愛へ

Touch~孤独から愛へ

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2013/12/23 (月) ~ 2013/12/25 (水)公演終了

中高生対象…?
この劇団さんの、代表作らしい。1999年初演、上演回数は拠点劇場および全国巡回公演で900を越えるとか。
このたびは、九州地区の中高生対象の巡回公演後の、凱旋公演なのだそうだ。
そんな歴史ある公演…なのだが…うーん(-_- )。。。

これは、現代日本に生きる中高生に理解できるのか?という所からして疑問。
孤児とか、暮らしていくために窃盗やかっぱらい(まず中高生にこの言葉が分かるのか?)で小銭を稼ぐ生活とか、文字を読めない教養レベルとか、度数の高いアルコールを一気飲みしたらどうなるのか、とか。
まず舞台の設定から理解できない(ピンと来ない)のではないだろうか。

調べてみたら、アメリカでの初演は1983年だった。ちょうど30年前だ。私が生まれる前。

私はピンと来なかった。だからあまり入り込めなかった。
素直に受け入れることができないという点では、私はトリートに似ているのかも…

役者達は熱演。文字通り、熱演。演技は本当に素晴らしい。
しかし、所々、テンポが悪い(特に第一部)…のかな?
ハロルドと知り合う前、小さな小さな世界しか知らなかった兄弟の生活と、ハロルドと出会うまでが第一部。
ハロルドと生活を始めた第二部。
第一部の汚い部屋と、きれいに整えられた第二部の部屋、これだけで二人の生活の変化が全て分かるのが面白い。

知らないということは、こんなにも生き方を狭めるのか、と感じた。
逆に知る・学ぶということはこんなにも無限で自由なのだということも。

ラストの、亡くしたものの大きさに気づくシーン、もっと欲しかった。
泣きたかったけど、泣く前に終演してしまった印象(>_<)

黄泉路の果て(再演)

黄泉路の果て(再演)

劇団ICHIGEKI☆必殺

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2013/12/19 (木) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

少し悲しい、ハッピーエンド。
ある村の、違う時代の三つの話。
「少し悲しい、ハッピーエンド」あおり文は本当だった。
私はACT.3が一番好きかな。
役者がちゃんと「会話」してる。

気になったのは、暗転の多さ。
暗転は多すぎると、そこで気持ちがぶちぶち切れてしまうから、入り込めない。
時計の鐘の音の意味がよくわからなかった。
他の方も書いているが、私ももう少し深みが欲しいと思う。もう少し掘り下げて説明してほしいと思う(何でだろう?ということがチラホラある)。

ネタバレBOX

他人から見れば、「狂ってる」としか言えない程の愛。
愛する人を二度死なせてしまった故の精神の崩壊。
自分が原因で、愛する人の変わり果てていく姿を見てしまった故の自我の崩壊。
これらは「この村」のせい。そして愛するがゆえ。
何が正しくて、何が間違っているかーーそんなこと、分からない。きっと正しくもあり間違ってもいる。

後に村を監視する立場である「益田」となる保には、幸せになってほしい。
真相に迫り、命の重さを知っている堂島も同じく幸せになってほしい。

ACT.1 昭和30年代
守彦の「ここにいるけど、ここにいない」「生きているけど、生きていない」そんな感じがよく出ていた。

ACT.2 平成15年
バカップル二人のウザイくらいのハイテンションと掛け合いは、ここまで突き抜けると、キャラとして確立する。前半のハイテンションがあるから、後半の二人の変化がより引き立つ。

ACT.3 平成25年
「手、握っててもらって良いですか」「あいつ、震えてたぞ」「死んで良い人間なんていない」
普段はおちゃらけているが、実は頭がキレて、そして優しい堂島と、夏海が二度目に死ぬ間際に彼に見せた本心は泣ける。
犯行予告

犯行予告

劇団肋骨蜜柑同好会

サブテレニアン(東京都)

2013/12/20 (金) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

現実と妄想が入り混じる
何故、この劇団名にしたのだろう?
このサイトで、初めてこの劇団を目にした時の印象。

クールビューティー(テンション低い&突然吹き出す)山田と、ちょいお馬鹿&いい人御手洗の会話は面白い。
山田曰わく「御手洗さんって、ほんと御手洗さんですよね。」
この二人、仲良い。(山田は「嫌です」と即答しそう)
ツンツンしつつも、ちゃんと御手洗の会話レベルまで降りて会話するところとか、何か良いね。

一つ注文つけるとしたら、御手洗の起こし方かなぁ。
何故お茶っぱの缶?

所々に笑える場面(爆笑でなく、ふふっと笑わせる)も散りばめられている。
そしてラストの展開には驚かされました。
「そう来たか!」と。

ネタバレBOX

終電もなくなった時間の、出版会社。
山田と御手洗は会社に泊まることになる。
その中で、ターゲットの大切なものを盗む「怪盗キース」について話す。
山田と御手洗の“妄想”という形で、キースのある怪盗劇が展開される。
キースは誰なのか?何を盗もうとしているのか?

しかし、これは妄想ではなく、実際に起こった事件だった。

夜が明け、山田と分かれた後、御手洗が山田の「メイクボックス」を開ける。
そこに入っていたものは……。そこに響く神田川警部の声。
そこで観客はすべての真実を知る。

「誰がキースなのか」と考えていた私がいかに浅はかだったのかということを思い知らされた。

その人にとって、一番大切なもの。
時価一億は下らない宝石よりも、大切なもの。
観ながら、自分にとっての「大切なもの」って何だろう?と考えさせられる。
ちょっと、でかけていますので→

ちょっと、でかけていますので→

劇団青い鳥

小劇場 楽園(東京都)

2013/12/18 (水) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

宝石箱のような話
チラシやCoRichの公演情報(特にあらすじ)が全く意味をなさない公演をする団体もある中、今回は公演チラシにあった通り「宝石箱のような話」でした。

公演前の舞台上には、炊飯器が一つ。
公演が始まる暗転の中でも、炊飯器のパネルの明かりがぼぅっと灯る。面白い。
その炊飯器を「電気釜」と呼んだり、他にも沢山、“お年寄り”特有の呼び方、台詞などが散りばめられている。
中には分からないものもあったが、この“お年寄り”特有の台詞・間・動きで笑わせて頂きました。

おりえ・いくこ共に、立ち居振る舞い・話し方、研究し尽くしている。
劇中では85才と80才の設定なのだが、実際の役者はそこまでの年齢ではない。しかし、「あーそう、お年寄りってこう!」と思う。

私は役者達の年齢になっても、こんなにエネルギッシュにいられるだろうか。
主人公二人が老人なのでそんな大きな声や大きな音響はほぼないのだが、それでもエネルギーに満ちた舞台だった。

ただ、よく分からないところもある。あのスーツジャケットの意味、カツラをとった意味(月日が経ったということ?)、発車ベルの意味…わかませんでした。

治天ノ君

治天ノ君

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2013/12/18 (水) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

震えた。
素晴らしい舞台だった。素晴らしい、としか言えない語彙力のなさが情けない。そんなに簡単な言葉で表せるものではないのに。

大正天皇の生涯を軸に、明治の終わりから昭和の幕開けまでを、皇室を中心に描く。
大正天皇の妻である皇后節子がストーリーテラーとなって話は進む。

物語の構成、台詞の一つ一つ、どれをとっても秀逸。登場人物一人一人、それぞれに、それぞれの確固たる生き方(信念、誇り、考え…とかそういうの全部!!)があり、またそれらの全てに無理がなく、どの生き方も理解できる。
作家が紙面に込めた思いを、役者は見事に舞台上に表現した。増幅させた。お辞儀一つとっても、洗練されている。特に大正天皇と侍従四竈の熱演、皇后節子の高貴さ、明治天皇の威厳が印象に残る。
私、公演中何回泣いた?というくらい泣いた。

ラストシーン、あの君が代に身体が震えた。

君が代とか皇室とか書きましたが、軍国主義的な内容ではありません(^^)


インプロスペーストラベラー

インプロスペーストラベラー

即興劇集団 インプロモーティブ

北とぴあ ドームホール(東京都)

2013/12/14 (土) ~ 2013/12/14 (土)公演終了

初インプロ
インプロの公演は、初めて観ました。
笑わせて頂きました。
……が。
何というか、ワークショップをのぞき見ているような感覚。
即興だから仕方がないのですが、悪い言い方をすれば磨かれていない。
演じる側ではなく、外から見ていると、つじつまが合わない所とか分かってしまう。
「あの設定どうした?」「今○○にいるはずだろ!」とか。

でも二時間、趣向を凝らしていると思います。
観客を巻き込んで進む物語、観客の誕生日祝い、某人気アニメや洋画のパロディなどなど。
観客が書いた言葉を使って物語が動くので、どんな風になっていくのか想像が尽きません。(JAXAが開発した………(紙を読む)「だんご三兄弟!」)
そのワクワク感もですが、役者の設定にツッコミを入れたりするのも面白かったです。
状況に応じて布を使ったり、よく分からない説明に「とりあえず危機は脱したんだな?」と確認したり、観客の想像力を助けてくれました。

プラネタリウムの利点を生かした、星座にまつわる話は、インプロの中でも珍しい試みだったのではないでしょうか。

※ただし、かわいい子に限る。

※ただし、かわいい子に限る。

劇団テアトルジュンヌ

立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)

2013/12/10 (火) ~ 2013/12/15 (日)公演終了

正直甘く見ていました、すみません。
いや、本当に。これほどのクオリティのものが観られると思っていませんでした。
女子校の、この年頃の「女」の、すごーくドロドロした感情・表と裏を使い分ける状況を見事に描ききってくれました。
顧問の先生による女子高生の分析も、的確。
大阪さんのモノローグも大変面白かったです。脚本&演出は女性のようですが、何故ここまで男子の気持ちが分かるのだ!?
自分の主張をガーッと言い合って、スッキリして、でも問題が解決される訳じゃない。本当にその通り。結局本編でもそれを貫きました。
だから、後半は終わりのないグダグダになってしまったけれど、実際そうだから、下手に纏めようとしなくて正解。

登場人物の名前が、プロ球団をもじったものというのも面白い(本編ではあだ名で呼び合うから注目度は低いですが。)

ネタバレBOX

女子校の弱小ソフトボール部(人間関係結構ドロドロ)へ、一人の男(大阪)がやってくる。
ジャイ子と呼ばれる部員の彼氏。写真部員の彼は、彼女から、引退する先輩に渡すためのアルバム写真を撮るように頼まれたのだ。
あのジャイ子(男優が演じている)の彼氏!?と部員一同、恋バナに花を咲かせる。
その後、「自分はかわいいのに、皆に可愛がってもらえない。可愛がられるのはいつもジャイ子ばかり」とジャイ子に嫉妬した福ちゃんの、大阪への誘惑(?)やピッチャーつばめの怪我を発端に、今まで表面的に付き合って来た人間関係が崩壊する。常日頃の不平不満や秘めてきた感情を互いがぶちまけ、罵り合う。
明後日に迫る先輩の引退試合の行方はどうなる!?

あらすじまとめるの下手なので悪しからず…
とにかく、一人一人のキャラがしっかり立っている。キャラの役割が明確。
罵り合いから始まるプロローグから、本編への流れも工夫しているな、と感じました。
人物紹介のあの形式は、最近の流行なのでしょうか?嫌いではないです。
『どこか遠くへ行く日』 たくさんの御来場ありがとうございました!!! 次回は4月中旬★

『どこか遠くへ行く日』 たくさんの御来場ありがとうございました!!! 次回は4月中旬★

シアターノーチラス

RAFT(東京都)

2013/12/07 (土) ~ 2013/12/09 (月)公演終了

同じテーマなのに、いろんな話。
「引っ越し」を題材とした、短篇集三本立て。
引っ越しがテーマなので、舞台の後側半分近くは段ボール箱で埋まっている。
ただそれだけのことなのに、何だか面白い、わくわくする。
引っ越し前の高揚感を疑似体験しているのかしら。

狭い会場ながら、超満員。すごい。

第一話「東京タワーと傷口」
確かに、男も女も見ていてイラつく。別れて正解。
一緒にいても互いに益はない。
実は、当日パンフレットをよく読まないままの観劇開始だった。
赤い服の女性が何者なのか?後からパンフレットを見ての答え合わせとなったが、題名見て「あの台詞たちはこういうことか」と納得。
日常を演ずる芝居でも、「舞台の髪型」ってあると思う。前髪邪魔なら一緒に纏めれば良いのに。あの触角を頻繁に触るの、無意識なのかな?私はすごく気になる。

第二話「標本箱と嘘」
冒頭のやりとりからは、こんな方向に話が転がっていくとは思わなかった。
ある人にとっては、貴重な資料。また別のある人にとっては虫の死骸。(私は後者)
妹が何でいきなり踊り出したのか分からず、そのまま終わってしまった。だが、怖い話だからこそ、分からないことでより怖さが増したように感じる。

第三話「ジャムと筆跡」
三女が母の死に関わっているのはすぐに予想できたが、実際は自分の予想とは違った。
でもあの関わりなら、「赤信号で飛び出した」というエピソードはいらないのでは。

三話とも、まだ話が続くかな?というところで終幕する。
だが、それが良い終わり方だった。
幕間で、前の話の登場人物と、次の話の登場人物が同じ舞台上に立つというのも面白い。

あだちンち

あだちンち

東京ジャンクZ

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2013/12/05 (木) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

今後が楽しみな団体ではある(今日最終日なのでネタbox使いません)
まず。観客全てが早稲田大学構内を知っている訳ではない。
初めて足を踏み入れる私には、迷路のようだった。
実際、早稲田大学には着いているのに、構内及び周辺をさまよい、一時間弱会場にたどり着けなかった(地図の読めない女でご迷惑おかけします)。もうこの時点で帰りたくなった。
正門と会場前にしか看板がないのは、外部の人間に不親切。矢印の一つも欲しい。
スモークを客席の後ろに設置するのは初めてのケース。気持ちの良いものではない。吹き出し口直前に座ってしまったので、喘息患者としては、本当に席変わりたかった。観客に向かってスモーク射出するって、ありなの?

さて、本題。「あだちンち」というタイトルであるが、そこに行き着くまでの珍道中という感じ。

まず舞台。いやー気合い入ってます。
舞台の上に更に円形舞台(中心部以外が人力で回せる)が乗っており、その他の舞台上も使用する。
この残ったスペースと照明を使った場転は良かった!

次に脚本。
多少話の展開が強引ではあるが、良いタイミングで笑いを入れていた。笑わせて頂きました。
横浜~東京の地理を知っておくと、すみれがどういう経路でどこまで進んでいるか分かって更に楽しめるかも。
ただ、点在するすみれや西宮が騒ぐシーンは一つ一つがちょっと長いかな。
そしてキャラが生きていない(共感できない部分がちらほらある)
一つ例を挙げると、しばけん。軽い気持ちとはいえ、あだちの不幸を願ってしまい、本当にそうなってしまったら、普通自分を責めないか?すみれでさえフリーズして呆然としているのに、結構スルーだったのでびっくり。そのすみれを心配する気持ちが勝ったとしても、人としてどうなの? というような。

そして役者陣。
言葉を「話そう」。「会話」しよう。言葉を「垂れ流す」のと、「会話する」のは大きく違う。
すみれ、発声練習しよう。これは脚本のせいもあるかもしれないけど、息切らしてる場合じゃないよ。早口の部分は上記のことも含めて。

そして最後に。
アンケートを書いてもらうなら、上演後だけでも、もっと客席を明るくしないといけないと思う。

何か上から目線の内容になってしまったような気がする。
読まれた方、お気を悪くなさらずに。

朝劇「丸の内の二人」【9月10月全話やります!】

朝劇「丸の内の二人」【9月10月全話やります!】

朝劇

CAFE SALVADOR(千代田区丸の内 3 - 2 - 3 富士ビル1F)(東京都)

2013/05/13 (月) ~ 2014/10/26 (日)公演終了

演劇の可能性を見た
素晴らしい、の一言に尽きる。
「観客も共演者」という言葉がこれほど体現された作品は初めて。
(会場はカフェ、観客のいるカフェの席がそのまま舞台。)
いや、作品とか、舞台とか、違う。
ぴったり来る言葉が見つからない。まさに「朝劇」としか言えない。
ライトなんてなくても、音響なんてなくても、これほど人を楽しませることができる。演劇って素晴らしい。

カフェの雰囲気もとても素敵。
ここで、おいしい朝食をとりながら、客として、共演者として、観る。笑う。
そして、ほくほくした気分で店を後にする。
これほど満足感に満ちた気分になるのは久しぶりだ。

開演時間、上演時間、ミニカイロ、上演後の声かけ、どれをとっても観客への気遣いに溢れている。

毎週火曜日、金曜日の朝劇(7:30~8:10)は仕事の都合上観に行けないが、本当に、観たい。是非見たい。

トリコロールバッドエンド

トリコロールバッドエンド

劇団MAHOROBA+α

ギャラリーLE DECO(東京都)

2013/12/04 (水) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

その終末に、光はあるかー。
Aキャストを観劇。
開演直前の前説で、開演を遅らせることを理由説明とともに謝罪なさったのは大変好印象。
ただ、スタッフさんがダメです。役者が舞台上で前説してる最中に「お手洗いご案内お願いします!」とか大声で言ってたらいけません。スタッフは役者の邪魔しちゃダメ。支えないと。
予約席なら、入口から入って見える方向に「予約席」と張っておかないと。どれだけの人が座ろうとしたことか。

さて、本編。
ほとんどが暗闇の中で進む、三本立て短編集。
「-白-見知らぬ、花」は明るい場面が多いが、その他の作品は灯りがほとんどない。あったとしても、ぼんやり見える程度。
暗所恐怖症の方は観劇できません。

脚本や試みは大変興味深い。
しかし、役者陣も脚本も演出も、改善の余地あり、といった印象。
ほとんど見えないので、観客は想像力をもって見ることになる。そしてそれを促すかのように、劇中、様々なことが断定されることはない。

三編それぞれが、バッドエンドであり、ハッピーエンド。
それは作品をどのキャラクター視点で見るかによって変わる。観客がどう捉えるか、それも観客に委ねられる。
私は全体的にバッドエンドと捉えた。

こういった分野の観劇は初めてだ。
見終わった後も、不思議な感覚に包まれたままだ。
喜怒哀楽とか、そんな単純な感情ではない。
好きな人は、すごく好きな作風なのではないだろうか。

私の結論としては、
         赤→光なし
         白→光あり
         青→光あり かな。

ネタバレBOX

『-赤-レスラーの墓』
一言で表すと「世にも奇妙な物語」風(と私は捉えた)。
これ、何か無限ループしそう。
男の「選ぶときは小指を選ぶんだよ、生まれる時は後から生まれるんだよ。」が印象的。
いきなりナニが終わった後、というのは驚いたが、暗闇というのが自然に受け入れられる。
そして、それが続くことで「暗闇」で進む物語ということが理解できる。
「いたい」と「したい」の言葉遊びには笑うしかない。

『-白-見知らぬ、花』
彼女は蜘蛛なのか、花なのか。途中、「あれ、蜘蛛だったよな?」ってなる。
青年とその想い人にとってはハッピーエンド、蜘蛛から見たらバッドエンド。ものすごーくバッドエンド。
青年が「蜘蛛は嫌いじゃないよ、大嫌い。」と去っていったラストは「えぇ!?」ってなった。

『-青-クドリャフカ』
これは光ある結末。それは人間に都合の良い解釈かもしれませんが…。
犬の言葉を幼い無垢な子どもの言葉にすることで、より残酷さを増す。
私は三編の中ではこれが一番好きだ。
「お前は優秀じゃない、褒められたくて頑張ってただけだよな」の言葉は涙を誘う。
優秀であるが故に、人類の進歩の礎となった犬。人類にとっては大きな一歩だが、クドリャフカに待つのは確実な死。
殺されるために訓練する、この矛盾は何だ。
クドリャフカの冥福を祈る。

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