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ダディ・ロング・レッグズ ~足ながおじさんより~

ダディ・ロング・レッグズ ~足ながおじさんより~

東宝

シアタークリエ(東京都)

2014/03/01 (土) ~ 2014/03/22 (土)公演終了

満足度★★★★★

美しすぎる歌劇
3/01(土)。
ええと自分坂本真綾さんのファンクラブ入ってますが、
だから坂本真綾さんが「美しすぎる」っていう意味じゃないです。

(あしながおじさんの原作はほとんど知りませんが)
あしながおじさんによって高等教育を受けられる事になった孤児院の少女が、
おじさんからは返事はもらえないまでも毎回送る手紙の内容、
そしてそれに対するおじさんの気持ち、とってしまった行動など
全てが2人(坂本真綾、井上芳雄)のとてもきれいな歌
(単独、かけあい、ハーモニーなど)で綴られた、
本当にとても美しいミュージカルだと思いました。

コンサートと言っても通じるぐらい、会場中すばらしく声の通る
(自分はミュージカルを理解しきっていないのでこう呼びますが)
「素晴らしい歌劇」だったと思います。

3/4(火)18:30坂本真綾&井上芳雄合同FC回観賞。

前回はかなり前目の席だったけど今回は観客席一番後ろぐらいで
演者さんの表情も良く見えない距離。

しかしだからこそ歌の歌詞だったり
曲(舞台裏で演奏してるオケの皆さん)だったり
セットに合わせほどよく抑えた演出などを中心に
堪能出来た(とも言える)。

2度目でもやっぱり2人の歌のお芝居に惹きつけられ、
そしてやっぱり最後泣けました。


3/15(土)夜。

3回観賞して一番泣けた。
なぜか?

最前列だったから。

※ ただ単に坂本真綾さんとか井上芳雄さんとかの
  ファンだから近くで見たいって事じゃなくて
  前2回の観賞では
  ・ 2人の歌の素晴らしさ
  ・ 物語の感動
  はあったものの、大劇場ゆえの舞台との遠さに、
  2人の熱意/熱さがまったく(という事はないか)
  伝わってこなかった。
  本当に遠く観客として観ている感じ。

今回、最前列で2人の歌に乗せてのお芝居(主に表情芝居)が
観れて、それにより楽しい場面、悲しい場面、それぞれでの
2人の歌と演技に込めている気持ちが伝わってくるように、
こちらも気持ちを乗せて観賞する事が出来た。

だから、最初から最後まで2人の物語
(主にジルーシャからの手紙)が展開する度に
何故か笑いと共に涙が出た。

またその結末にはボロボロと泣けた。


本当にいいミュージカル、歌劇だと思う。
(出来れば毎年公演してほしいぐらい。)


だからこそ思うのが、大劇場は難しい。
今日の自分と同じぐらい舞台上の2人に気持ちを
引っ張られたのは、だいたい前から何列目ぐらいまでだろう?

ある程度の距離が発生してしまうと、表情が見えず、
(アクロバティックに)身体を使う舞台でもない為、
共感性が薄くなる、と自分は思います。


かなりの集客が見込める事からの大劇場舞台でしょうが、
これが小劇場で演じられたらそれこそ会場全体の人間の気持ちを
鷲掴みに出来たのではないか、と思うと、
「有名俳優/歌手/声優の舞台も難しいもんだな
(ファンに出来るだけ観てもらおうと思えば思うほど、
会場が大きくなりファンとの(気持ちの)距離が離れていく)」
と感じました。

まあ、遠くから観てもこの歌劇の素晴らしさは☆5ついってる
事には変わりないんですが( ´ー`)

いやあ、ファンクラブ入って1年待って良かった。。。

ネタバレBOX

3/01(土)
────────────────────
書架というか図書館のような古い本が本棚に詰まったセットの中、
(待遇も良いとはいえない)孤児院で過ごす最年長の
少女ジルーシャ(坂本真綾)に対して、

「書いた作文が面白かった、この少女は文才があるので高等教育(大学)へ
行かせてぜひその能力を磨いて欲しい」と援助する約束をするが、
ただしいくつかルール

・ 自分に礼を言うな

・ 自分の事を知ろうとするな

・ 毎月自分に近況の手紙を送れ

・ ただし返事はしない

などを設け、と素性を明かさずにチャンスだけを与えた篤志家ジャービス(井上芳雄)。


ジルーシャは帰りの車に乗る篤志家の背中、ライトで照らされた長い足の影から
「ダディ・ロング・レッグ(あしながおじさん、というよりあしなが蜘蛛)」
というアダ名をつける。


当初は単に「面白い物語を書ける小説家が生まれればそれでいいし、
そうならなかったとしてもそれ以上の事には興味がない」という風で
善意でもない、単なる変わり者として援助を行っていたジャービスに対して
毎回毎回自分の近況その他をとても興味深い手紙として送り続け、


※ 返事はしない約束でしたが、ジルーシャが病気で臥せり滅入っている時、
  ジャービスは花束を贈り少女に「ダディは私を見守ってくれている」
  というイメージを植え付けてしまいます。


ジャービスに「なんとかジルーシャという少女に会ってみたい、
しかし自分で設けたルールをどうしよう、
そうだ、少女のルームメイトは自分の遠縁に当たるので
その知り合いとして会いに行く、という形を取ろう」
とジャービスはジルーシャに近づき、


※ ジルーシャはジャービスをルームメイトの嫌味な上流階級少女の遠い親戚、
  ただしこの人だけはちょっと変わり者でいい人らしいと認識している。

※ また、ジルーシャはダディの事を老人で白髪あるいはハゲの人と思っている。


そしてジルーシャに恋に近い気持ちを持ってしまったジャービスは、
ジルーシャが他の男子と仲良くなる機会などを手紙で知る度に
「篤志家の秘書」の名の元に「そこへ行ってはいけません」などと
横槍を入れて邪魔をする、という子供のような行為を行う事になる。


そんな2人の関係(ジルーシャは毎月ダディに手紙を送り、
手紙に返事はしないがルームメイトの知人としてかなり近くに現れる)が
温かく続いて行くが、


ジルーシャが他の男子と仲良くなるのにヤキモチを焼き過ぎ、
知人としてジルーシャを怒らせてしまったジャービス、

そして「本分に立ち返り、自分はこの娘を見守る事にしよう」と
その距離を置く事になる。


そして大学卒業の日、ジルーシャは
「ジャービスとも仲違いしてしまい、自分には誰も卒業を喜んでくれる人が
いない、ぜひダディに会いに来て欲しい」とせがむが、
知人ジャービスとしては現れられても結局何も明かせないままで、
ジルーシャは「ダディは来てくれなかった」と悲しむ事に。


そしてジルーシャは大学と自分の努力で学んだ文才を活かして
小説を出版社に売り込み、自分のいた孤児院の理事になる事が
出来るまでに成長する。


そして、ジャービスは(ダディではなく)ジャービスとして
ジルーシャの元へ現れ結婚を申し込むが、ジルーシャは
「自分が親の顔も知らない孤児院育ちだと知ったら
ジャービスはきっと後悔するかも知れない」とその申し出を断ってしまう。

この全てをジルーシャはダディ(=ジャービス)へ手紙として送ってしまう。


そしてダディ=ジャービスであり、ジルーシャの想いの全てを本当は
知っているジャービスは、ダディとして「1度会おう」とジルーシャと
とうとう対面する事になる。


・ ジャービスが自分の手紙を読んでいた事に怒り、

・ ダディの知り合いだと思って怒り、

・ そしてダディが老人ではなく若々しいジャービスであった事、
  それを隠して自分に会いに来ていた事に1度は怒るジルーシャ、

しかしそんな事もまた許して結ばれる2人。


まさに自分が聞きかじりで知っていた「あしながおじさん」のお話でした。




で、すごいのがこの物語が全て
・ ジルーシャからダディへの手紙、という歌

・ ダディ(ジャービス)の反応、という歌

など、歌に継ぐ歌、歌、歌で演じられている事。


坂本真綾さんの歌声の綺麗さは知っていましたが、
それに応じる井上芳雄さんもこれまた張りのある良い声で
真綾さんの問いに返す、といった形で
2人のハーモニー、かけあい、などが歌で綴られます。


はっきりいって「ここまで全てを歌で表現する」
ミュージカルは観た事がありませんでした。

※ 演劇の合間に歌が入るのではなく2人の歌に聴き惚れる事で
  物語が進んでいく、という形。

自分、実際はこのミュージカルを観たいが為に
坂本真綾さんのファンクラブにまで入りました。
(前回買おうとしたらとんでもない早さでSOLD OUTし、
ファンクラブ会員しか無理なのかな?と思ったので)

坂本真綾さんの歌も好きは好きですが、
元々長年の歌手活動の歌のほとんどを知らないので
そもそもはファンクラブまでは考えてませんでした。。。




いやあ、でも本当にファンクラブに入ってこのミュージカル公演を
見る事が出来て良かったと思います。

最後に2人がキスしてしまう所はちょっと「うわっ!」と照れ(*ノωノ)と
男としての悔しさ(それは鈴村健一さんが思うべきものか)なんかも
ありましたが、この2人とそのバックで演奏を続けたバンドメンバーの皆さんの
舞台は本当に素晴らしいものでした。


自分、ミュージカルには詳しくないのですが、
「団体で演じるもの」というイメージがあるので、
これは「ミュージカル」というより「歌劇」と言った方が良いのかな、
とか意味ない所で悩んだりもしてしまいました。


前半1時間ちょい、休憩20分を挟んで後半も1時間ちょい、
合わせて2時間半ほどの長丁場を、「歌」で全て表現しきった
このメンバーのお芝居は本当に素晴らしいと思います。


いやあ、この歌劇にたどり着けて良かった、
という実感がすごく湧いています。

PS.坂本真綾さんのファンって男よりもアラフォー女子とかが多いんですかね、
  今日の会場を見ててそう思いましたが・・・
  まあ、だからといってどういう事もありませんが( ´ー`)


─────────────────────────
3/4(火)18:30坂本真綾&井上芳雄合同FC回観賞。

「さて2回目はどういう観方(観劇の仕方)しようかなー」とか
思ってたら今回は最後方席と言っていいような席だったので
坂本さんも井上さんも表情はよく見えない。

そういう意味でも
「せっかくのミュージカルなんだから(1回は)
演者さんの演技よりもその歌と歌詞、生オケ演奏、
そして演出面に集中して観賞しよう、と決めた。

・ 歌については(ムード的に)「明るい場面」「暗い場面」などで
  (印象はガラッと変えて演奏してるが)使いまわされる曲
  (それに対して歌詞の方はその場面のお芝居に合わせ変更したもの)や、
  本当にキーとなる場面でだけ演奏するメイン曲/歌詞だったりと
  メイン曲と汎用曲とが使い分けられてるのかな?という印象を受けた。
  (実際CD予約したのでそういう構成だったか後で確認しよう。)

  歌詞の方は場面を表すセリフ的なものと
  原作のテイストとも言える英単語/フレーズを組み合わせたもの
  (チャリティー(義捐/支援)など)と、
  よく聴いてみるとお芝居の進行として以上に
  なんだか味のある内容が多かった。

  それも単に1人で歌い、2人で歌い、ではなく、
  1人が歌ってその合いの手を2人目
  (主にあしながおじさんジャーヴィス(井上さん))
  が入れたり、と中々技巧に凝った歌い方も多く見受けられた。


・ 演出面は、まずセットが少女ジルーシャ(坂本真綾さん)の日常を表す
  前側と、その後ろ書庫/図書館といった趣のあるジャーヴィスの事務所。
  そこに対してスポットライトで2人のシーンの切り替えをしたり、
  窓を開けると夏の日差しがあったり、
  舞台上に配置された数多くのトランク/箱を
  時にベッド、時にトランクそのもの、時にテーブル、時に山、
  など色々なものに見立てるという面白い試みがされていたり。


※ あと、初回演者さんに集中するあまり見逃してしまっていたのが、
  ジルーシャの手紙一通一通をジャーヴィスが本棚のいたる所に貼っていく場面。
  前回は中盤の休憩でスタッフさんが貼っていたのかと勘違いしていたが、
  進行に合わせ1枚1枚ジャーヴィスが貼っていたのだった。
  (スタッフさんも貼っていたようだけど)


全体俯瞰で(舞台全体を視野におさめ)、その歌詞の内容を
(一部聞き取れない部分もあったが)理解しつつ観劇すると
初回の2人の歌劇そのものに感動していたのとはまた違う、
演者として各役の2人の心情面が
(歌詞やその歌い方/感情の込め方、また演奏のされ方などから)
分かってきて、少し違う楽しみ方が出来た(と思う)。


前半1時間20分ぐらい、後半1時間20分ぐらい、
と2時間40分ぐらいの構成のほぼ9割が歌で構成されているこの舞台、
終演後のトークショーで聞いた所によると、
2人そろっての練習はそれほど出来ていない(個人練習がほとんど)、
だったらしい。

それにしては(井上さん?真綾さんだったか?)が言っていた、
「初演時は2人の歌の終わりがずれたりと色々合わせきれなかった面もあるが、
今回はそういう部分がこなれてきたのかピッタリ合うようになった。
これで4日目、まだまだ舞台は続くのできっともっと2人の息も合うようになる。」
との事だったが、本当にすばらしく2人の歌とその掛け合いが
見事に合っているな、と思った。


あと井上さんが「ジャーヴィスも思えばかわいそうなんですよ、
お金持ちの名門貴族に生まれたからといって、
名門貴族ゆえの義務として福祉その他を行わなければいけない立場にあった」と。

だから、あしながおじさんの始まり、ジャーヴィスは
(義務として)支援はするが自分の事は勘ぐるな、関るな、
と9箇条を設けてジルーシャに対して壁を作っていたのか、と
なんとなく当時の貴族の生活が理解できたような気がした。


もう1回観るけど今度はどの辺の席かな、
1回は完全に目をつぶって歌と演奏に聞き入るのもいいかな、
と思う(ただ、周りの雑音(ビニールがさがさやって飴食ってたりと)も
かなり聴こえちゃうんだよなあ…自分神経質なのかしら)


────────────────────
3/15(土)

今回ネタバレないので感想は表にあげてしまいました。

なので、気にした点といえば、

2人の協奏(曲)、そして競争、
最前列で観賞する際
・ 2人がそれぞれかぶせて歌う時どちらを見ればよいのか
・ 片方が歌い片方が歌に合わせたお芝居をする時どちらを見ればよいのか

近すぎるがゆえに迷う場面が沢山でした。


表情劇や小芝居では井上芳雄さんに一日の長があるな、
と思いましたが、
ジルーシャの全ての手紙を歌い切る坂本真綾さんは
「これこそ一流の歌手!」と思わせるものがあり
(井上さんの歌もすごく良かったですが)、
この2人の共演あってこそのこの舞台なのだなあ、と。

また、近くから観てやっとセット上の気付かなかった演出に
いくつも気づきました。

・ ダディロングレッグズを見た時、ジルーシャに光が差し
  それがダディならぬジルーシャ自身の影をあしながおじさん状態に
  していた事

・ ロックウィロー農場の場面、2人が窓を開けますが、
  同時に書庫の本棚の後ろにも
  ロックウィロー農場の風景が広がっていた事。

その他もろもろ。


3回の観劇で真ん中、一番後ろ、一番前、と
観劇を楽しむ為の全ての位置で観れて良かったな、と思いました。


ああ、幸せ( ´ー`) ファン以外のみんなにもこの気持が伝わるといいなあ・・・
ボクの妻と結婚してください。

ボクの妻と結婚してください。

(株)タイズブリック

天王洲 銀河劇場(東京都)

2014/02/27 (木) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★

いくら芸人ウッチャンとはいえお芝居に無用な映像演出、コントはいらなかったのでは?
序盤から物語や演技としてはかなり泣かせるものがあったのに、
お芝居で行くべき所に(金をかけた)TV映像(コント映像や報道映像など)を
下手に混ぜられて結局TV屋の(TVの人気者達を使った)お芝居か、
となんだか残念な気持ちになりました。

でも中盤以降涙腺は壊れまくりのいい
お話でもあったので☆4つ。
いいお話だからこそ演出が残念だったかな、と。

ネタバレBOX

朴訥(ぼくとつ)というかシャイというか、
自分から「結婚しよう!」とも言い出せず
妻に「で、どうするの?」と言われて結婚した
(式もあげていない)ぐらい押しの弱いTV番組(バラエティ)
構成作家の旦那(ウッチャン)。


夫婦として問題もなく子供も中学受験に向けて頑張っている、
そんな普通の家庭だったが旦那に唯一の悩みが。


実は自分はガンのステージ4で余命あと3ヶ月だという事が分かった、
これ自体はもう気持ちとして受け入れられている旦那だったが、
それを押しの弱さゆえに妻達に言い出せずに困っていた。。。


構成作家という職業柄もあり、ノートPCに
考えるべき事を入れておいて眺めたり考えを打ち込んだりと
そうやって整理して出た結論は、

「妻に別の男を好きにさせてしまおう、
そうすれば妻と子は家を出るだろうから
ガンの事は告げずに済む」

という奇想天外かつ消極的なものだった。

計画のタイトルは「ボクの妻と結婚してください」


で、妻の代わりに婚活を始めちゃう旦那(男なのに男を探しに)。

そしてこういう事にめっぽう顔が効くという知り合い知多(ちた)を通し、
ついに理想の亭主(となるべき男)伊東を見つけるが。

・ 自分が亭主である事

・ 妻子にまだ夫がいる事


を隠し、

伊東「子連れでもかまわない、自分はこの人生仕事に専念しすぎて
家族というものを考えて来なかった、
今からでも温かい家庭を持ちたいと考えている」
という言葉に、あとはうまく妻と会わせるだけ、となった時。


自分に好意を寄せていた女子アナウンサーとの密会(キス)の現場を
妻に目撃させ、自分は浮気しているという事にして、
あとは(妻との共通の)知り合いである知多にまかせて
うまく妻と伊東を会わせよう、と画策するが、
密会の場面は報道にスクープされていた上、

女子アナウンサーがTVで
「全て自分に非がある、構成作家は”妻に悪いからこんな事はできない”と
断り続けていた」と全ての非を認め、土下座までして謝罪する。


それをTVで知った妻は、
「何故こんな事をしたのか?この頃ずっと何か隠しているでしょう!」
と旦那を問い詰め、
そしてついに余命があと1月(それだけ長い時間を無駄にしてしまった)、
という事を明かす事に。


泣き崩れる妻、作戦は失敗したと諦めた旦那、
そこに知多から妻への電話が。




翌日妻は「伊東さんとお見合いします」と宣言。
騙されていた事に怒っていた伊東の方も、
「ぜひこの話を進めたい」と。

そして、なぜかデートには旦那も同行する事、
というルールを作られ
旦那、妻、伊東の3人でデートをする事に。


その間にも刻一刻と近づいていく余命、
ある日子供と散歩に出た旦那に、
子供が「僕は女の子になりたいんだ!」とドッキリをしかけ
びっくりした旦那に「ドッキリ大成功!」の看板を持たせた写真を撮る。


そして、妻から用意された離婚届けにサインし

※ 夫婦は離婚後、半年の間再婚できない

余命数日にして、旦那は入院する事を認める。


そして余命最後の日を家で過ごす事にした妻と旦那、

元の計画であった「ボクの妻と結婚してください」について、
妻の「ちゃんと物語を完結させなきゃ!」との薦めでノートPCに向かい、

「奇跡が起こった。」の出だしで
普通の毎日が本当に幸せで奇跡だった、
という事を書き残し、亡くなる旦那。




そして半年後、旦那の遺影を前に
妻、子、伊東、その他旦那の多くの仲間たちが
勢揃いし結婚式に臨むが、

そこで旦那の遺影を子供が昔撮った
「ドッキリ大成功!」の看板を持った写真に変え、

妻「これはみんなに頼んで行った壮大なドッキリだったのよ、
あなたの言う通りになったふりをしようっていう」
と、離婚した旦那との結婚届けに再びサインする妻。

という物語。




ウッチャンの朴訥とした演技やら夫婦の関係やら
伊東の誠意やら本当にいいお話だったんだけど、

・ 去年の紅白でイカ大王がウケたからと無理やり物語に
  関係のないイカ大王ネタを盛り込んで
  せっかくお芝居で作った空気を濁らせたり

・ ノートPCで思考を整理する、その内容を上部スクリーンに映す、
  妻や子供が撮影した写真を映す、という所までは
  スクリーンの使い方良かったんだけど、
  自分のやってるバラエティ番組映像(ホリケンさん出演)や
  女子アナがTVで謝罪するシーンなども
  全部豪華映像作って流してしまうなど、
  どうしてお芝居なら舞台上で勝負してくれなかったかなあ

という所がすごくがっかりでした。
(周りの観客は喜んでたけど。)


そういう意味で、悪くないお芝居だけど(TV/芸人依存しすぎているなどの)
難点があるな、と自分は思ってましたが、
中盤以降の旦那、妻、伊東の奇妙な三角関係や
旦那(ウッチャン)や妻の、
どこにでもあるような普通の家庭の普通の事が
ほんとに幸せだったんだなあ、
と思わせる演技/セリフの数々に
涙腺はかなり崩壊させられました。

だからいいお話という事で☆は4つなのかなあ、と。


次回はほんとに「お芝居」で勝負して欲しい、かな。

PS.原作があるそうですが、このドッキリを旦那の死後に明かす、っていうのは
  どうなんでしょうね。
  ドッキリなら生きてる本人に「騙された!」と思わせてこそだと思ってしまいます。
ゴーストライターズ!!

ゴーストライターズ!!

企画演劇集団ボクラ団義

SPACE107(東京都)

2014/02/28 (金) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

超パワフルコメディ演者陣&脚本パズルの天才久保田さんのすごさに感嘆
2/28(金)夜。
ボクラ団義さんひさびさの完全コメディ(SF要素あり)との事で
一体全体どういうものになるのだろう?と観劇しましたが、
表方裏方ボクラ団義メンバーとゲストキャスト全員の
身体を張ってのお芝居/笑いネタ/ダンスその他に
もう「パワーコメディー」(本気で笑いを取りに来ている)と
いってもいいような舞台でした。
しかし、単に笑い要素だけで終わらせないのもこれまたボクラ団義、
自分にとっていつも以上に2度観、3度観が楽しみな作品になりました。


3/2(日)昼
「もう一度見る前に聞こうゴーストライターズ!!の裏話」回観劇。

2回目なので初見の驚きではなく「全てを知った神の視点」(のつもり)で観劇。

のつもりだったけど、
・ 前回はかぶりつき(舞台直近)席でその瞬間注目すべきメイン
  (スポットライトの当たった)演者に集中してたのに対して、

・ 今回が舞台全体を視野に捉えられる席だったのもあり、
  垂れ幕演出の全体映像や、前回自分が観ていた場面のその裏側
  (スポットライトの当たってない場所)では、
  こういう小芝居(もちろん悪い意味じゃありません)が行われていたのかー、

とまたちょっとボクラ団義のお芝居の細微へのこだわりに感動。

あと物語を知った上で観ていた事もあり、場面場面を単なる笑いネタとしてよりも
泣ける話へのつながりを想像してしまった事もあり、
常時笑い半分泣き半分の気持ちで観賞してました(涙腺かなりゆるみまくり)。


「もう一度見る前に聞こうゴーストライターズ!!の裏話」で
聞いた話で驚いたのが、ボクラ団義のお芝居は
脚本/演出が久保田唱さんといっても、すべての小ネタまでを
久保田さん1人で決めてる訳じゃなく、各役者それぞれが
自分に割り当てられた役に対してその背景設定などを深堀りし、
必要に応じて色々な追加設定や小ネタ/小道具などを
自分達で追加していっている、というお話。
特にヤマケンさんの今回の追加ネタについては、物語をより引き立てるもので
「この上手さはヤマケンさんのアイデアだったのか」とこれまた驚き。

単純に天才脚本/演出家に頼ってるんじゃなくてメンバー全体脳を活かした
劇団だったんですね、ボクラ団義。


3/7(金)夜観賞。
3回目でもまたまた「おっ、こんな所に伏線が!」「こんな所の小芝居が!」と
色々な事に気付かされた。覚えておいてお家で感想書きたいなあとも思ったけど、
劇に集中してたら忘れちゃいました。

メインストーリーに対して大きく影響する要素ではないけど、
ここもつながってると知るとちょっとうれしくなる、そんな細部のこだわり部分。
なんだか同じ観光地へ行く度毎回新しい小さな発見にうれしくなる、
そんな演劇ですよね、ボクラ団義さんは。


3/9(日)12:00観劇

最終的な感想は大山小山色々な山場がいくつもある、
(沖野さんが良く使う言葉)「ボリューミー」なお芝居だな、という事。

笑いに泣きに驚きにといくつもの山場が
(ただ単に連続して平坦になってしまう事なく)
うまく起伏や強弱がつけられた上で
観客に「あっ!」と言わせるタイミングで仕掛けられているという。

まさに「笑えるコメディ」でそして「楽しめる物語」でした。

最後の最後の千秋楽夜回まで、頑張ってください。

そして今回本当に長丁場「今公演はまことにまことにお疲れ様でした!」と
言いたいですね( ´ー`)

ネタバレBOX

(同じ人の感想ばっかり投稿するとCoRichがあまり有用じゃなくなる、
という話があったので今回から感想は1投稿にまとめます。複数追記する形で)

2014/02/28(金)夜
───────────────
前説4人はちょっと人出過ぎで収拾つかなくなってたような(??)


で、本編。

ボクラ団義ひさびさのミステリ要素なし?のSFコメディ、
パンフに「何も考えずに観て」とあったので
出来るだけ何も考えないように(無理だけど)観劇開始。


冒頭のダンスで大泉議員の突然の死が描かれた後の議員事務所、
まだ何も知らない政策担当秘書(沖野さん)、
事務所所員(今井さん)、そして公設第二秘書になったばかりの
大泉議員の馬鹿息子(すいません、竹石さん)。


この部分、間近で観せてもらったおかげもあるんだろうけど、表情劇がまずすごかった。
最近シリアスめな演技の多かった沖野さんのひさびさの完全な笑いキャラも面白かったし、
竹石さんのボンボンの息子な公設第二秘書との各人との絡みがとにかく面白い。

超ハイテンションで仕事しようと政策担当秘書に絡んではあしらわれ、
事務所所員にからんではまたあしらわれ、
この3人のやりとりがしょっぱなの5分ぐらい延々と繰り返していくんだけど、
それぞれの演技(特に表情)、あしらい方などが見事コメディのお芝居してたと思います。


観てるこちらも
「このテンションでここまで笑い取りに来る=今回は完全にコメディ一色で来る!」
とミスリード(?と考えちゃっていいのか?)されてしまいました。




しかし、公設第一秘書高柳(城咲さん)と湯谷秘書(中村さん)、
上総秘書(大音さん)が現れ、大泉議員が亡くなった事を知ってから

・ マスコミにその死をしばらく伏せる必要がある

・ 書いていた小説についてもゴーストライトなりなんなりで
  なんとか死を隠し通す

・ その為に亡くなった大泉議員の元へ行ってはいけない

という約束事を決めるまでの流れ、
そういった事に反発する息子(竹石さん)、娘(遥香さん)に

「アレ?どうやらやっぱりシリアス系ドラマに入るようだぞ?」

と思ったら、幕開けまさかのタイムマシン&どっちみちさん登場。
(パンフに記述ありましたがまさかこんな早くに
「とっても大好きドラ○もん」なタイムマシンが現れるとは思いませんでした。)

どうみても怪しい物体でしかないタイムマシンとどっちみちさんについて、
不審がるメンバーに対してタイムマシンのすごさを力説する高柳秘書(城咲さん)。

この力説ぶりがまた力(りき)入りまくってて、
やっぱり完全コメディで行くのか、と納得し

それからのタイムマシンを使った計5ネタ?の流れや
ボクラ団義メンバー&ゲストキャスト陣の身体を張ってのダンス/殺陣
(まさか今回も殺陣があるとは)の流れに、

「今回は本当に笑い一色で行くんだな、本気で笑い取りに来てるし面白い」と思いつつ、
「だけど自分はいつもの深みのある物語のボクラ団義が好きなんだよなー」
と少しだけ反発する気持ちがないでもなかったような。


と思っていたら、やはりそれだけでは終わらないのがボクラ団義。


序盤より娘が歌をやめた理由など、小さく張られた伏線はともかくとして、
完全に笑いのネタとしか思っていなかったタイムマシンの各人のネタが
単なる「(使い)捨てネタ」ではなく、ちゃんと物語に関わってきて
大泉議員の意を汲んだ娘のゴーストライトを助けるキー要素になってくるとは。。。


娘(遥香さん)がゴーストライトを決心し、その役に立つ為に各人も
再びタイムスリップする場面でのダンスシーンで、
各人ほとんどが天を仰ぐそぶりをしているのを観て、
「ゴーストライトは失敗してしまったのか(??)」
と思ったら
「ゴーストライトは見事成功、小説もちゃんと掲載された」
と、ここで大団円を迎えるかと思ったらまさかの大どんでん返し。


マスコミに大泉議員が既に死去している事や
なぜか死後発表された小説の事などをバラし、
贈賄その他すべての罪をなすりつけるとは、
悪い人達は本当にひどい事を考えるなあ、と思いつつ、
「もう逆転の目はないのか?」と思ったら、

ここで再び各人のタイムスリップがキーになってくる、
そしてそれまで謎のタイムマシン開発者だったどっちみちさんが
まさかこの物語の一番のキーマンだったとは・・・


大泉議員と娘:歌う舞:油小路秋元夫妻と未来の死に目の場面では、
それまでパワフルとまで言えるコメディ展開してきた物語の流れに反して
急に涙腺が緩んでしまってまいりました。
(ツイッターで京佳さんに「笑いと泣きのパーセンテージは?」と質問して、
「半々ですかね」と言われていたのを思い出しました。)


そして、それぞれのタイムスリップを活かして
1つずつ最悪の状況を脱していく場面
・ 上総秘書の「賄賂はいけません」
・ 湯谷秘書の「あまり策をめぐらせるべからず」
・ 財務省のお母さんからの田上議員の不正の事実受け取り。
・ それらを持って、事務所所員が惚れたADさんの時間帯へLet'sGo!

いやー、2度もタイムスリップパズルを物語のピースに当て込んでくるとは
脚本の久保田さんがすごい。
もうここまで来ると「何も考えないで観る」なんて無理で
脳が活発に活動開始しちゃって強い興奮状態でした( ´ー`)


その間にも、自分の死を避けるべく高柳秘書(城咲さん)が
ヘルメットにグローブでなんとか野球部の連中のテロ?を防ごうとしてたりと
コメディ要素はちっとも減らない。


最後までコメディとして、そして立派に物語として楽しませていただけました。


最後の最後、「必要なものはすべてそろった!」という場面で閉幕したかに見せて、
突如タイムマシーンに乗ってる丸井光越秘書、
そう、彼が望まずおかしてしまった殺人を未然に防ぐという、
最後のオチに「これまたやられたー!」という気持ちにさせられました。


やっぱりコメディですから、善人みんな幸せになれる終わりがいいですよね、ほんと。

PS.あ、あと横浜凱旋公演に続き、前席の座布団サービス
  ありがとうございます。おかげさまで完全に観劇に集中できました。


3/2(日)13:00
───────────────
今日思った事。
・ 前回かぶりつき席から今回全体俯瞰(舞台全体が視野に入る)席での観覧で、
  更に色々なものが見えて、毎回新しいお芝居を見ているかのよう。

  出来る事なら毎公演、かぶりつき、真ん中、一番後ろ、と3段階で観てみたいですね。

・ まだ3日目ですが沖野さんその他の方の声(喉)がちょっと荒れ気味に、
  (確かに台詞量も多いし、笑いを取りに行く大声量場面が多いのはツライのかと思いますが)
  まだまだ続く長丁場、体調管理お気をつけください。
  (まさか風邪ではないですよね・・・役者さんは毎回大変だあ(((( ;゚д゚)))))

・ ボクラ団義メンバーとゲストキャストさんの垣根がとれてきたのか、
  序盤そのかけあいなどのつながりが良くなってる(更に息があってきてる)、
  といい方が目立ったのですが、
  その後ちょっと台詞のトチリ/ミスも目立ったかと
  (緊張もそろそろ取れてくる頃なのでしょうか?)。

・ 「単なるコメディではない」という事を念頭に置いた上で演じられる
  お芝居を観ていると結構泣かせる場面も多いと思いました。

  特に大泉議員(過去、ゴースト)と舞(現代)のやりとりは本当の父娘のよう、
  そしてどっちみちさん化する前の油小路夫妻と未来、
  そこへどっちみちさんがチュッパチャプスをそっと置いて消え
  それを油小路夫妻が拾う場面はかなり泣けました。

・ 自分、團さん回しか観れてないのですが、舞(過去)の高山さんの歌が
  初回よりも上手くなって(声も出て)いるように思えました。
  舞台は日々成長ですね。




「もう一度見る前に聞こうゴーストライターズ!!の裏話」
(覚えてる限りでは)

・ 城咲さんは舞台稽古開始前に初演版「ゴーストライターズ!!」をかなり観賞した上で、
  その台詞まで全部覚えて来たというほどの熱の入れよう。
  TVでは単にイケメンおもしろタレントさん、というイメージでしたが
  すごくストイックで真面目で(更にシャイ)な人なんですね。

  しかしその後渡された脚本と過去版の差異に苦しみ、
  芝居中初演版の台詞を言ってしまったり、というまさかのうっかりも。

・ タイムマシン&どっちみちさん初登場時、どっちみちさんの「怪しい人ぶり」を
  アピールする為の自転車でのスタンディングポーズ登場、
  自転車を持ち込む事は山田さんのアイデアだとか。
  そして未だに久保田さんのOKはいただけてないとか。。。

  更に常時チュッパチャプスを身につけていて、
  それを油小路夫妻/未来の場面でも使うようにしたのも
  山田さんのアイデアだとか。
  チュッパチャプスは未来の好物で未来の事を忘れない為に、
  ずっと身につけている、という背景を作ったという・・・
  (なかなかの頭脳派ですね、ツイッターではゴリラ呼ばわりなのに。)

・ 舞(現代)の團さんと舞(過去)の高山さんは実は年齢は逆で
  高山さんの方が年上だったとか。

  團さんは自分が成長した姿を演じるにあたり、どうやって落ち着いた演技をしようかと
  (周りのハイテンションコメディの演技に巻き込まれないようにするのに)努力し、

  逆に高山さんはどうしても出てしまう落ち着き/アイドルとしての大御所感を
  どうやって若く見せられるようにするかに悩み、
  若い娘に度々絡んでくれる城咲さんとのトークを利用して
  初々しさを出す事に成功したとか。

・ 広哉が倒幕の時代に飛ばされた際に慌てて出してしまった女性ものパンティは
  竹石さんのアイデアで、
  「ちゃんとそれにも理由(父を亡くした悲しみから来る背景設定)があるんだー!」
  と訴えつつも、大泉議員(矢内さん)に「お、俺のパンツなのか!」と突っ込まれて
  しどろもどろになってしまったり、
  何故かパンティが初回後、1枚から2枚に増えていたり。。。

・ 女学生本郷さんの永吉さんは、まだストーリーについて何も聞かされてない
  時に、沖野さんからいきなり「僕のお母さん役だから!」
  と言われ、びっくりどっきりどう演じればいいのか悩んだとか。

など、おもしろネタどころを色々聞けました。
(15分のアフタートーク、毎回設けて欲しいぐらいですね、
おもしろ話が出るわ出るわ(´∀`*))


────────────────────────────
3/7(金)今日は観劇した訳じゃないけど思った事を追記。
今回感想数が本当にすごい。

で、他の方の感想で
「エンディングの丸井光越が、大泉議員の暗殺を止めて本物語すべてを0に戻す所、
そもそも暗殺が分かった時点でこうしていれば良かったのでは?」
という事だったのですが、

・ 当初ゴーストライターズは大泉先生が病気で亡くなったと思っていたので
  その時間に行っても助けられない、と考えていた。

・ OMTの関係で行きたい時間に行けない上1度行ったその時間以外へは行けない

(暗殺が分かった時点でもうゴーストライターズには
それを止める術はなかった。)

という事で、(丸井さんがどこまでタイムマシーンの話を聞けていたのかはともかく)

あの最後の場面でタイムマシーンに座っていた丸井さんは
「先生を救える可能性の為に」タイムマシーンに乗ったというより、
単に元SF研究会としての興味でタイムマシーンに乗った、という印象でした。
(決死の覚悟というより、単に「(誰もいないうちに)タイムマシーン乗っちゃえ」
という)

そしていざタイムスリップしてみたら、
なんと大泉先生が暗殺されるその瞬間で、
つい「ちょっと待ったーーーーーーー!」と叫んでしまった、と。


こういう観劇後しばらく経っても色々考察出来ちゃうのがまた面白いお芝居の良さですね。
他の方の感想が沢山あるからそれがきっかけでまた色々想い出したり考えたり出来るし。
ほんと1人じゃなくて、他の観劇者と語り合ったりしてみたいものですわ( ´ー`)
────────────────────────────


3/7(金)夜観賞。

メインストーリーはちゃんと1回目でカチッと全てのピースがハマりながらも、
2回目、3回目と観に行くと更に知らなかった物語のサービス的な
ピースに気付かされる(小伏線や小芝居や)、
そんな細部にまでこだわった演劇なので
1回観るだけでももちろん楽しいけど、複数回観るとなお楽しい、
そんな気持ちで観れるお芝居でした。


今回もまた気づいた色々な事を感想に書きたいとは思いつつも、
笑いと涙を誘う物語に集中してるとそんな事も忘れてしまいました。

例.油小路さんとその妻の会話で大泉舞さんの話が出た時、
  妻「まだ引きずってるの!」
  という辛辣なつっこみが実は亡くしてしまった娘未来が
  舞の歌が大好きだった、しかしそれを油小路さんの過激取材のせいで
  聴けなくしてしまった事に対してつなげってくるとか、
  1回目だと物語の進行順序上伏線という事に気づかず
  そのまま単なるお芝居としてその場面を観てしまいましたが、
  すべてを知った上で見直すと、
  「ここからもうメインストーリーへの呼び水のような
  お芝居が始まってたんだなあ」とちょっと感激。


  あと、各人のセリフで「どっちみちさあ~」とか出る度に
  どっちみちさんが「おう」とか返事してたり。


あと思ったのですが、毎回お芝居に一部ゲストキャストさんを当てはめますが、
それがまた物語の内容/性質に見事に合ってる方々なのも
ボクラ団義さんかなあ、とそんな事を考えました。

ゲストキャストさんの人気による集客的な強みもあるとは思いますが、
今回の「ゴーストライターズ!!」にしても
本当に(劇団自体は若手(20~30代後半)主体のボクラ団義に対して)

見事今回の物語に必要なキラキラ眩しいピースを追加してくれる、そんな感じでした。
(前田さん&京佳さん回はスケジュール合わず観れませんでしたが)
城咲さん、團さん、高山さん、矢内さんなど、
見事に今回の物語/配役にマッチしていたかと思います。




で、今回は「久保田唱さんのゴーストライターズ!!一問一答」回。
先行予約開始時、このイベントを我先にと予約しました。

ぜひ、毎回毎回ほんとに物語と演出の細部にはこだわりまくった上で
叙述トリックで観客を騙し、そして脳を混乱さえた上で
最後の最後で「すべて謎は解けた!」と言わんばかりに
(3000ピース以上の)パズルを完成させる、
そんな舞台脚本/演出の魔術師といえる
(ラジオ、TVでは団員から”鬼”と言われてましたが)
久保田さんの話はぜひ聴いてみたかったです。


で、本日当日のツイッターを見てたら
「一問一答がどうやら観客との質疑形式らしい」との事。
(それまでは事前に質問をアンケート同様書いて提出しておく
形かと思ってました。)

通勤電車で色々物語を想い出し妄想し、
「あー、これとこれとこれとこれとまだまだ聴きたい事たっぷりある」
と思いつつもメモも取れない状況なのでなんとか4つ、
質問を決めて会社で仕事そっちのけですぐ
テキストにまとめて印刷しておきました。


でも、公演後のイベントも演者さんみんな+久保田さんが勢揃いするのを
見ていて、「めっちゃ緊張して質問なんて出来ないかな」と思ったのですが、
他のお客さんがそれほど質問する雰囲気ではなかったので
勇気を振り絞って挙手させてもらいました。

竹花さんにマイク借りつつ、2回も質問しちゃいました。

・ 最後の最後、オチのオチで丸井さんがタイムマシンに
  神妙とも言える表情で座っていましたが、あの時その心情は
  「大泉議員の暗殺を止めに行くつもりだった」
  「元SF研究部としてタイムマシンをどうしても試したかった」
  など、一体彼は何を考えてタイムマシンに乗ったのでしょう?
  ⇒
  久保田さん
  あの時丸井は「自分はこれから警察に自主したりと色々あるけど
  とりあえず今事務所には誰もいないし、
  タイムマシンがぽつんと置いてあるしでこんな自分が
  タイムマシン試しちゃってもいいのかなあ?」
  とかそんな事を考えていたとか。
  だから、ちょっと遠慮がちにボタン押してたんですね( ´ー`)

  そして丸井の行き先についても本当は決まっていなかった
  (他のゴーストライターズと同様)、とか。

  しかしもっと驚いたのが、
  この丸井さんのオチのオチ(大泉さん暗殺を止める事で、
  今回の物語自体が大泉さん生還という形で初期化されるか、
  あるいはタイムパラドックスで最終的にまた暗殺ルートヘ
  戻ってしまうのか)など観客にその終わりの先について
  色々考えさせる深い締めが、
  実はお芝居稽古中には存在せず、舞台開演の直前に思いついて
  付け足したものだったとか。

  「虹色の涙 鋼色の月」が横浜凱旋公演した際、
  色々な部分に観直しをかけられていたのもそうですが、
  本当に観客に与える面白さに対しては
  妥協を知らない劇団/メンバーなんだなあ、と。
  (沖野さんの言う「全てはお客様の為に」のスピリット、
  実践してますよね。)


・ 深層心理を読み取ってOMTの力を集め、
  タイムスリップした先が女学生時代の母親の元だった、
  という桐谷秘書。

  彼の深層心理のマザコンぶりは、
  若い頃のお母さんに会いたいとか
  いったいどういうものだったのでしょうか?
  ⇒
  久保田さん「彼(沖野さんではなくあくまでも桐谷秘書)の
  マザコンぶりはともかく、その行き先が
  女学生時代だったのは、彼自身の女性に対する好みに
  起因しているものと思われます。」

  これはその場での即興回答だったのかも知れないけど
  沖野さんがいじられまくって爆笑の渦でした。

  いやあ、振ったネタをこんなに大きく拾ってもらえると
  素人ながらめっちゃ嬉しいもんですねえ( ´ー`)


とにかく、最高に楽しかった。

で、前から思ってたけど、ボクラ団義公演、大神さんのビビットカフェ、
と同様に脚本/演出家久保田唱さんのトークショーも
ぜひイベント化しないかなあ、と本気で思いました。
多分自分ら観客もそうですし、同じ舞台その他の脚本家さん達も
気にしていると思います、久保田さんの動向その他。


────────────────────────────
(観劇前ですがまたまた思った事)
・ 本劇およびボクラ団義舞台では一部の役の方にとても
  個性的な名前をつける事がよくあると思いますが
  (今回でいう油小路さんやどっちみちさんなど)。

  物語が山場を迎え油小路さん一家+どっちみちさんの涙を誘うシーンなど、
  そういう部分での印象を劇中分かりやすくする為の
  「キーワード」的な使い方をしているんですかね?

  あとで物語を振り返る時、「いやあ、どっちみちさんの本当の目的や
  油小路さん一家とともに死にゆく未来を見送るシーンが泣けた」
  など、観客自体にそのシーンの印象を更に強く心に残させ
  イメージさせる為、とか。

・ あとどっちみちさんは未来に大泉舞の歌を聴かせる為に
  2010年に向かおうとしたが失敗して2014年に到着し、
  「それでは2010年に向かうOMTを持った人を探そう」
  として今回大泉事務所に接触してきた、
  など、物語のネタが本当に深く絡み合っているなあ、と
  いう事をこれまた想い出しました。
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2014/03/09(日)

【思った事など】
・ 今回の劇はジャンルがコメディという事で
  ボクラ団義さんのお芝居で自分がこれまで観劇してきた
  ミステリやファンタジーとは違い初回でネタバレを知った後でも

  「またあの喜劇パートで大笑いさせてもらおう、その上で泣かせてもらおう」

  という気分で何度でも通う気になれました。
  (今までは初回でネタを知り、2回目3回目で細部を見直す、
  という感じで良くて計3回観れればいいかな、ぐらいに思ってました。)

  あとロングラン公演の中で素敵なイベント回を
  何度も設けてもらってたのでそれが観たかった、
  というのも観劇回数が増えた理由かと。


・ 2回目3回目と観劇していると、
  実際「ここでネタをぶっこんでくるぞ!」という箇所で
  自分は笑いつつもまわりの観客の反応も気になるんですよね。
  (このネタに笑ってくれるか、あるいはスルーされてしまうのか、って。)

  かなりみんな「ゴーストライターズ!!」に仕掛けられた
  笑いネタに爆笑してくれてたのがなんだか我が事のように
  嬉しい気分でした(舞台上と観客の一体感を感じられるからでしょうか)。


・ ただちょっと休日かつ千秋楽回という事で客層がいつもと違う感じでした。

  特にマナーの悪い人が少し多かったかな、と思いました。
  (ツレ同士の私語や舞台上のネタに本当につっこみ言葉を投げてたり、
  荷物の紙やビニール袋などをずっとガサゴソいじってたりと。)

  自分は楽しい舞台を観て聴きたいんであって、
  あなた達の雑音を聴きたい訳ではないんですよ、と。
  (まあ、これは劇団のせいでは全くありません。)

  ※ CoRichだからこそ指摘したいのですが、
    私語が多いのはほとんどが壮年および年配の方だったかと思います。

    ここCoRichで色々感想読ませてもらったり参考にさえてもらったり、
    尊敬してる方達もまた年配の方が多いので、
    同じ年配でもこういう観劇マナー守れない人達もいるのか、
    とちょっと残念な気持ちになりました。


・ 今回のメイン曲(ローズインメニーカラーズさんの「幽霊」)以外にも
  オープニングから各箇所でかかるBGM曲が結構ツボでした。
  (芝居やダンスと非常のマッチしてたかと。)

  その上で舞台上の芝居と各BGMが見事にリンクしてる部分があり面白かったです。
  ───────────────────────
  ゴーストライトの為、各時代の人達の力を借りようとするが
  思ったようにいかず、BGMの「なんとかなんとかノー!」という部分に
  合わせ天を仰ぐゴーストライターズメンバーや、

  (どういう場面だったか忘れてしまいましたが)
  ローズインメニーカラーズさん自身の「幽霊」(歌付き)が
  かかっている場面での舞台と歌とのリンク。

  あとはもちろん舞が唱う「幽霊」の時の無声芝居で、
  物語の起伏に合わせ歌のボリュームも強弱させたりと見事にリンクしていたかと。
  ───────────────────────


※ 公開初日~千秋楽お昼回まで4回観ましたが、一番お芝居の
  精度的に良かったのは初回だったのかなあ、と。

  (呼吸が合ってきた、歌がうまくなった、
  など回数を重ねるごとに良くなった面も多いのですが)
  2回目、3回目と数を重ねるごとに、緊張感が薄れてくるのか、
  2週近い長丁場にメンタル的、体力的に疲れてきたのか、
  演者全員のセリフのトチリ、ミスが目立つようになってしまいました。
  (+最後は照明その他演出担当の方まで、
  タイミングを間違う場面を見かけてしまいました。)

  (まあ普通にお芝居観てて許容できる範疇ではありましたが)
  初回を観た自分は得をして、ミスの多かった回を観た人は損をした、
  そんな考え方もできちゃったので、
  今後うまくお芝居の質を毎回保てるようになるといいなあ、と思います。
ダークナイトライジング

ダークナイトライジング

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2014/02/13 (木) ~ 2014/02/18 (火)公演終了

満足度★★★★★

吉久さんの特撮会話劇にハズレなし
前回ヒーロー達の会話劇「アヴェンジャーズ」をやって、
今回は悪役達の会話劇「ダークナイト・ライジング」。

カプセル兵団さんというと「動」
(ビジュアルイマジネーション演出、やっと覚えた)
をまず思い浮かべますが、(スーツアクターである事を含め)
特撮へのこだわりづくしの会話劇にもこれまた
演劇の(というか会話の)妙があるように感じられました。

「おもしろい!」(会場中大爆笑)
※ 僕は特撮そんなに詳しくないんで
「多分あの辺のヒーローかな?」
ぐらいの知識で観てるんですが
それでも古いネタから新鮮なネタまで
食いつかずにはいられない。
ドリフのような笑いの空間が観客席中に
生まれていたと思います。

はっきりいって今年度初舞台は大成功だったんじゃないでしょうか。

ネタバレBOX

「もったいなすぎる!」と思いました。
本劇公演を知ったのが先週、それまで他の舞台などで
カプセル兵団さんの今年度初舞台の情報は
全く入ってきませんでした。

本日は大雪の為もあるかと思いますが、
ちょっと観客席に空きの目立つ状態。

アヴェンジャーズの時は確か満員だったかと・・・

あれに並ぶか超えるか、と思える会話劇だっただけに、
今年度1月2月の宣伝への力の入れ方が
ちょっともったいなかったなあ、と思えました。



物語は
──
パンフで最初に読みましたが、
いろんなヒーロー達に自分達の居場所を奪われてしまった悪役キャスト達、
そんな悪役に「集まれ!」と言わんばかりの囁きが・・・
その声に惹かれて集まった悪役キャスト達の裏話あり、
(アヴェンジャーズでもありました)
吉久さんの世界史/日本史/近代史、そしてヒーロー論
(今回は悪役/陰謀論)、
聞けば聞くほど「なるほどなあ、そういう考えはありうる」
と納得してしまう自分がいました。
笑いの中にそういう深みを入れるのがまたうまい。

悪役の立場で言わせてもらうけど、というお話に、結構
「言われてみると、悪っていうほど悪じゃないんじゃない?この時代」と
思わせられる発言も多々ありました。

正義も悪もどちらの言い分も五分五分になってしまいますね、
前作と合わせると。。。
──


他では叩かれてしまいそうな
演劇中のタバコについても
・ 今回はマスクを配って回っていた
・ その他寒さ対策としてコーヒーのサービスも
など、劇団として
「どうしてもこの会話劇にはタバコが欲しい」
という想いを持ちながら、
お客さんに対しては出来る限りの対応はさせていただきます、
という劇団側の対応が非常に良かったです。

※ 僕はタバコをすいませんが
  あの会話劇の雰囲気(会社でいうタバコ部屋や
  今回のBAR設定のような)は
  本物のタバコなしでは出せないのでは、
  とも思えてしまいます。


そして(すいません、僕はどなたか存じませんでしたが)
スーツアクター界、特撮撮影界においての巨匠の方をゲストに
読んでのトークパート、ここもまた
「特撮のうんちくからなにから」でおおいに笑わせていただきました。
また、この方の腰の低さにも非常の好感がもてました。
恐れられいた「悪の大幹部の更に大幹部とは一体・・・」、
多分ググれば出てくるんだろうなあ( ´ー`)


そして、会話劇の中で
最近のヒーロー劇について
「悪の連中を集めるだけ集めて掃討する為にやってるんじゃないか」
と思える、というセリフに対して、

あのオチの締め方。

ダークな連中の話だけあって、ダークなオチをつける所が
また見事でした。


こうなると3作目は、「何」をターゲットに特撮を語ってくれるのか、
(あるいはアニメその他?)すごく気になってしまいますね。




演目終了後の「打ち上げ会」、自分は
雪で帰れるかすら分からなかったのですぐ
帰ってしまいましたが、
どんな事話してたんだろうなあ、
とすごく気になりました、うらやましい( ´ー`)
ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド

ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド

X-QUEST

王子小劇場(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

素朴な疑問「横方向の殺陣と四方八方の殺陣ではやっぱり後者が難しいのかな?」
王子小劇場の標準形なのか、X-QUESTさん用に特別に組んだのか、
今回の舞台はまさに「リング」でした。
(四方を観客に囲まれたリング、ロープはないけど)

四方を囲まれたリング上、演者達はどうやって
場面転換などやってのけるのだろうと思ったら
前説(スピーチ)にあった「リングサイドを演者が駆け巡る」の通り、
まさにリングとそのリングサイド(観客目の前)+角2つの出入口を使って
場面場面演者がリングに飛び上がり、のしあがり、そして飛び降りの
まさにプロレスのようなシーンの転換ぶりでした。

リングコーナー脇で次の出番を待つ演者
(もう観客のほんとお隣りさん状態)に、
何かプロレス全盛期の懐かしさすら
感じるものがありました。

そして、4面すべての客に伝える演技と、
どの面からでも迫力の伝わる四方八方の殺陣/ダンス

※ 多分ですが100分中60分は殺陣とダンスの繰り返しだったかと、
  いやはやすごい体力です。

そしてX-QUESTといえば空想や(誰かの)思考世界を描くような
ちょっと現実味を離れた舞台、というのが僕の印象だったのですが、
ファンタジー色/パラレル要素など
その特色は今回も健在でした。

「筋ではなく目の前で繰り広げられる展開を
そのままに受け止めるのがX-QUESTの楽しみ方」
と自分は思っていましたが、
今回はその「筋」の面でも一本太いものを通してきたので大満足です。

ネタバレBOX

ブラック西遊記の最初のCMチラシなどで
「ちょっとダーク色の強い悟空の表情」から、
西遊記を背景として「まったく異色の物語」をやるのかな?
と思ったら、今回はベースはストレートに西遊記、

それでいて物語はその中に実際あってもおかしくないような
別日譚(うまい言葉が見つかりません)、

それもまさにメイン/サブタイトルどおり
「ブラック西遊記 ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド」
だったのに驚きです。




まず入場して驚いたのが、「会場がリング!」
(四方八方を囲む劇場といえば青山円形劇場がありますが、
あそこともまた違った本当に四角い劇場内中央にリングをドーンと置いた形)、
そこを囲むように観客席が並び、
まさに「リングかぶりつき」状態で観客が並びます。


西遊記、という事はこのリングの上でX-QUESTのあの途切れる事のない
アクションが展開していくのだな、という所までは想像できたのですが。。。




物語は
・ 人はまだなく
・ 天と地がひとつ
・ 石の中から生まれた斉天大聖 孫悟空
・ その悪事からお釈迦様に石の中に閉じ込められて
  50年(この時点で500年でしたっけ?)
・ 世乱れる時その世を正す為の聖なる書物を取りに旅する
  三蔵法師との出会い

から、飛んで
・ 沙悟浄、猪八戒と全員集合し、
  金角・銀角を相手に大暴れ
・ 四聖獣(はフィクションなのかな?)の出現
とここまで西遊記の流れで進んでいたと思ったら


・ 偽(?)悟空、沙悟浄、猪八戒の出現
と物語がパラレル/ループ展開を始めます。


「よし、ここからがいつものX-QUEST、
筋など追わず、あるがままを感じとるぞ!」
と(妙な)意気込みを持ってお話を追っていましたが、

・ まず殺陣がすごすぎる
  殺陣1つ1つの練度/精度については、
  全方位から見られている、という事で
  逃げ場はなく、「粗(アラ)」ととれる部分も
  多少は見えつつ、
  その大立ち回りが総計60分近く続けられた、
  演技だって大変だとは想いますが、
  あれだけの長さのしかも四方八方全角度からの
  観賞にたえるだけの殺陣を続けるのがまずすごい

・ 誰の視点かも分からなくなってくる
  パラレル/ループ展開していながら、
  ちゃんとそこに「筋」を立ててきた。

  ぶっちゃけて言いますと、
  今回のすべての原因は
  「天竺へ到着し、悟空と別れる事になった三蔵法師の
  ”別れたくない!まだ旅を終わらせたくない!”という
  想いに起因している」と。
  
  そう考えると西へ向かっての旅に対して、
  西を守る白虎の言動/行動など、
  気づけば分かりやすい伏線が貼られていました。

  そして、(うろ覚えですが)昔TVドラマの西遊記を観た時の感想から
  (天竺まで辿り着いたのか覚えてませんが)
  確かに三蔵法師がこういう思考(煩悩)を持ってしまってもおかしくないな、
  と納得させるだけのものが、このネタバラシをするまでの
  冒険譚の中には感じられました。

自分の欲ゆえに暗黒面(この辺、ブラックホールやらなんやらもう
時代考証は不要!とばかりにいろんな単語が出てきましたが)
に堕ちてしまった三蔵法師をどうやって、
元の自分に立ち戻らせるか、という物語の最後の見どころ、
アクションに始まりアクションに終わり、
そして最後は三蔵法師を斬ったものとして、
再び悟空が500年、石にされる(というか石のおもしを載せられる?)し、
再び三蔵法師と出会うという

※ あー、でも自分が途中でした妄想だと、最後お釈迦様の目の前で
  「これで旅も終わり」と三蔵法師/お釈迦様が言う所で、
  悟空「次は北でも西でも南でも、どこでもおともしますぜ!」
  みたいな友情エンドをちょっと期待してました(´∀`*)


演者と観客の距離を出来るだけ近づけて、その演劇の中に
観客の気持ち自体を引き込んでしまう「体感する演劇」、
ゆえに「筋」の方はあまり求めないのかな?
と思っていたX-QUESTさんが、ここまで明確なオチ(三蔵法師のダークサイド堕ち)を
用意していたくれた事にも驚きましたし、
普通の舞台会場での横の殺陣だけでも大変だろうに
まさか四方に観客を置いての四方八方大立ち回り、
今回は超力作だったと思います。


PS.TシャツはXLないんですか?全サイズ希望です。
  パンフは帰ってからの楽しみにしたいですね
  (実はこんな話も隠れてた、とか裏話とか)。

  あと写真撮影がなにげに嬉しいサービスでした(´∀`*)
  (他劇団では肖像権その他の関係もあってNGが多かったので)

  今作の出来で、「写真存分に使っていいよ!」と言われたら
  ほんとそれこそ色々と
  (と言ってもツイッターぐらい?)
  アピールして回りたいです。

  観劇後の皆様:
  http://2sen.dip.jp/cgi-bin/upgun/up1/source/up75085.jpg
ショコレ06

ショコレ06

演劇ユニット『MOSH(モッシュ)』

テアトルBONBON(東京都)

2014/01/28 (火) ~ 2014/02/02 (日)公演終了

満足度★★★

やはりお芝居って日に日によくなるものなんですね
(2連投すいません)タンバリンズ編に続き、
サロペッツ編観てきました。
今日はちゃんと演技で笑わせてくれたし
(トラブルもあったけど)、
最後ちょっと笑いの空気に飲まれて
グダった(噛み、とちり多々発生)のを
除けば良かったと思います。
会場はまたまた爆笑の渦でした。
「笑いたいな」「笑わせてほしいな」なんて気分の人には
きっとオススメの舞台だと思います。

ネタバレBOX

昨日のタンバリンズ初演では、
噛んだりとちったりの連続を
笑いでごまかすような空気があり(グダグダする、という感じ?)、
「ちょっといただけない」と思ってしまったのですが、
今日は前説からメインキャストの皆様を中心に
結構力(りき)入ってて、いい演技だったと思います。

そうして演技の方が良くなると不思議な事に
「昨日は笑えなかった」お芝居についても
ちゃんと「面白い」と思えるからあら不思議。
ちゃんと全編にわたって「笑えるお話」だったと思い直しました。

最後の方、演者さん自身が笑いに飲まれて
とちりだしてしまったようでしたが( ´ー`)
(多分明日明後日とタンバリンズ、サロペッツともに
またまた良くなっていくのでしょう。)

自分は「一発芸や単発のコント」的なものよりも
「物語」があり、その中に笑いのテイストが
少しずつ込められているものの方が好きなので、
短編集の中でも

・ カメラマンのお話(笑いなしですが、演技として良いと思いました)

・ 教室のうん●のお話(笑い話として良くできているかと)

・ 半分田さんのお話
  (倍返しの人のドラマ観てないので顔ぐらいしか
  ネタは分からなかったのですが)

  昨日より今日の実際に土下座の半分田さんを
  踏んじゃうぐらいの方が、
  より憎しみが溢れてて良かったです。

・ かくれんぼ(シリアスな大人の物語のようで、実際子供のかくれんぼだった、
  だけど子供の心の中も実際は大人と同様どす黒いものがあるのかも・・・)

とかが気に入りました。


ただ、タンバリンズ、サロペッツとも
(知ってる演者さんは3人ぐらいしかいないのですが)
結構個性的な演者さんを色々集められているので、
もう少しその個性を活かした配役/短編を入れて欲しかったかな、
という気がします。


昨日が☆3つで今日は「良くなってたな」と思ったので
本来なら☆4つなのですが、
「好みの問題」という事で☆3つにさせてもらいました。

多分、「笑い」が大好きな人からすれば
☆4つ5つな舞台だったのかも知れません。


あと、即興芝居の1発目、ひさびさ即興芝居がちゃんと
成功するのを観れたので良かったです。
(2組目もあと5秒あれば、立派な女性楽器が・・・)
ショコレ06

ショコレ06

演劇ユニット『MOSH(モッシュ)』

テアトルBONBON(東京都)

2014/01/28 (火) ~ 2014/02/02 (日)公演終了

満足度★★★

「笑わせた」半分「笑われた」半分
MOSHってコント中心の短編集だったんですね。
半分笑って半分シュールさに(??)となって、
一本シリアスもの(これは言っちゃっていいのかな?)では
演者の力量を見た、という感じでした。
せっかく色々な劇団から役者さん集めたのだから、
もっと色々な「お芝居」が見たかったです。

ネタバレBOX

観てて思ったのですが、コントの方が実はお芝居って
演技力や脚本の力、計算力が問われるんじゃないかなー、と思いました。
シリアスやアクション、泣きモノなどはテキトーなお話であっても
演者さんが熱演すればその熱で観客も引き込まれますが、
コントはネタがまず面白くてそれを絶妙な
テンポ/タイミングで演じて初めて笑える。

そういう意味で今日初演は、
「笑わせた」半分
「笑われた」半分
じゃないんでしょうか?

「笑わせた」のは演者と脚本の力
「笑われた」のは噛みやとちりなどミスを観客が良い方にとらえての事

今回会場は終始爆笑の渦でしたが、なんだか後者が多かったような気がして、
自分は笑えない場面が結構多かったです。

あと「シュール」なネタは「本当に笑えるネタか?」というのを
演者および脚本家はちゃんと客観視した上で出してきたのでしょうか?
(とりあえずネタとして出してしまえば
あとはアドリブで「笑いなどどうとでも取れる」なんて
思ってませんよね。)


場の空気からいって、なんだかお芝居というよりは
「自分のお気に入り演者さんを観て楽しむ会」
そんな風に感じてしまいました。

即興劇(エチュード)でもう少し各演者さんの力量が
見れるかなあ、と思ったのですが、
初日はさすがにチームの息も合ってなかったのかな。。。


タンバリンプロデュースさんの舞台数回行ってますが
どれもそれなりにお芝居としての面白さもあるものだったので、
今回はちょっと残念です。
(MOSH自体6回も続いている舞台だから、と期待しすぎたのかもしれません。)

本日のタンバリンズに引き続き、
サロペッツの方も観る予定ですが、
同じネタかつ同じ練度だとしたら多分笑えません。。。
虹色の涙 鋼色の月

虹色の涙 鋼色の月

企画演劇集団ボクラ団義

相鉄本多劇場(神奈川県)

2014/01/11 (土) ~ 2014/01/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

公演期間中に進化する舞台に劇団の矜持を見せてもらいました
(本公演含め3回目の感想すいません、
感想ストッパーになってしまっていないかと
今回は感想あげないつもりでしたが、
あまりに衝撃を受けたのでやはりあげさせていただきます_(x x)_ )


東京→大阪公演中/後に急遽決まった横浜凱旋公演、
しかし大阪公演終了からこの凱旋公演までの期間が中途半端な長さである
(すぐというほど近くなく、しかし十分練習し直せるできるほど長い期間でもない)
と思われる上、ボクラ団義メンバーやその他ゲスト様それぞれ
次のスケジュール(別舞台その他の準備など)に入られているのを
ツイッターなどで知り、「今回の凱旋公演は(劇場がまた変わる事も含め)
元のクォリティに近いものを観せてもらえたらそれだけで御の字なのかな?」
ぐらいに考えていました。

しかし、「すべてはお客様の為に」をモットーとしている
ボクラ団義さんにはまたまた驚かされてしまいました。

私自身は東京で2公演観て舞台内容に大変満足させていただき
☆5つつけさせていただいていましたが
ボクラ団義さんは更なる妥協を知らない劇団でした。


(大阪公演を観ていない為、大阪、横浜どの時点で
このテコ入れ(?)が行われたのか分かりませんが)
演者さん自身が演じてみて/裏方さんが実際観てそれぞれ感じた事や
観客のアンケートの内容その他を反映し、
元の内容でも十分良い出来のモノだったのを
メンバーそれぞれ十分な練習期間が取れないであろう中でも、
更に改善/昇華させていました。
(具体的には若干不明瞭と思われた役の行動の動機付けや
その他分かりにくさの見られた(と思われる)部分などを
脚本/演技自体手直しされていました。)


元のクォリティどころか、更に良くなった舞台を観せていただけて
「横浜凱旋公演(チケット)取って良かったー」と感激させられました。


ほんとスゴイですね、元内容のレベルを保つだけでも
全然劇団のスタンスとして問題はないだろうに、

「元のもの以上のものを凱旋で観せる!」

しかも(大阪でもそうだったと思いますが)
劇場施設の広さその他の関係からも演技/演出、大道具など
公演自体の為に色々な手直しが必要になるでしょうに
(SPACE107に比べ相鉄本多劇場は少々狭い為、
その分ダンスその他から演技からを少しずつ
微調整していく作業が必要になったかと)、
その上での舞台自体の改善(昇華というレベルかと思います)、
とても素晴らしいものでした。


今までもとてつもなく凝りまくった設定/脚本を演じ、
しかもそれをちゃんと観客に理解させる、
というかなり高度な舞台をつくり上げる、
スゴイ劇団だとは思っていましたが、
こういう思ってもみなかったサプライズを知ると、
劇団としてのポリシー、矜持(?)を
本当に高いレベルに設定しているのだなあ、と
今更ながらに感心させられました。


ネタバレではないので表感想に長々と書いてしまいすいません、
今までも「ファン」ぐらいの気持ちは持っていたつもりですが、
観客として更に押したい気持ちにさせられました。

PS.あと、座布団はとてもうれしい心配りだと思いました。

ネタバレBOX

今回の観劇では、劇場自体が違う事、自分の観劇位置が俯瞰めだった事もありますが

・ イセの殺陣が以前より更によくなっていた

・ イセの情熱的な物語を表とするなら、ダークサイドに当たる
  カイの狂気が更に引き立てられていた

かと思いました。

そしてテコ入れ(というとまるでダメな所を直したような言い方になってしまいますが)として

・ アキカゼの死、一連の無声芝居部分の拡張がはかられた

・ (勘違いでなければ)サンゴの正義→欲への切り替わりがより明確になった

・ ジンがなぜ弟のサカイガワの手にかかって死ななければならなかったか、
  に明確な設定がついた

などの部分が非常に自分には分かりやすくなり、
今まで以上に物語が胸にストンと落ちる(腑に落ちる)感じがありました。

その他にも、旅立ちの際の帆の見せ方(イメージさせる形を取った)など
色々な部分に手が入っていたのかと思います。


【気になった点】
・ 1つだけ、アキカゼのナイフについての説明が増えていましたが
  「ナイフがない」の連呼、殺される場面でもなお
  「ナイフがない」の音響、あれだけ
  どこを補完する為だったのかイマイチ分かりませんでした。
  (最初、クッキーがアキカゼのナイフから船の模型を作る所につなげるのかと
  思いましたがそれっぽくもなかったような)
  
  ここだけ元の舞台よりコントチックになってしまっていて、
  笑っていいのか泣くべき所なのか迷ってしまいました。


・ 相鉄本多劇場は舞台/客席とも小さめで、スモークがけっこう回っていたのもあり
  SPACE107での観劇とはちょっと舞台上(景色)の見え方に違い(違和感?)を感じました。
  マイナスポイントという訳ではないのですが、
  DVD&Blu-ray化するのに、映像の鮮明さならSPACE107、
  でも物語はより昇華された相鉄本多劇場、とどちらを
  選択されるのかがすごく気になります。
  (大阪もありうるのでしょうが)


・ 相鉄本多劇場(あるいは大阪)用に新たに起こされた
  鉄の船(戦艦と言っていいのでしょうか?)、
  あの舞台の大きさでSPACE107よりも強固な鉄の船を
  観せていただけたのは良かったのですが、
  ちょっと先端の3パーツそれぞれがヘタった感じで
  「旅立ちの一番感動的な場面で、まさか倒れてしまうなんて
  アクシデント(笑いは取れると思いますが)はないよな!?」
  とそこだけ別の意味でドキドキさせられました。
  無事、17:00回の千秋楽をくぐり抜けられればよいのですが・・・


まだボクラ団義さんを観劇させていただいて1、2年ですが
2013年は本当にいい舞台を沢山観せていただき、
その上で2014年そうそう「劇団としての矜持」のようなものまで
見せていただけたので、今年の活躍に期待させていただきたいと思います。


PS.そうそうPlay Againも全部DVD/Blu-ray化されるのでしょうか?
  自分がワラワレのPlay Againから入ったもので
  ぜひ観直したいなあ、と
水銀の花嫁 改訂版

水銀の花嫁 改訂版

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2013/12/28 (土) ~ 2013/12/30 (月)公演終了

満足度★★

キャパシティーオーバー?
カプセル兵団総力戦でやるようなSFチックな物語をほぼ1人でこなす。
動きがない分、物語自体をより掘り下げる。
成功してたら☆5つだったと思うのですが、
今日は演者さん自身が完全パニクってしまっていたように思えます
(舞台中半分近くトチりや「今」の自分の立場を忘れての無言、
その他色々ミスだらけだったかと)。

再演との事でかつてはこなしてみせたのだろうと思いますが、
今日観た限りでは、各人、各世界設定、それらの説明セリフ、
擬音その他すべてを1人でこなすにはちょっと
大きすぎる(動きすぎる)お話だったのかなあ、と。
(練習不足とは思いたくないですが、
ちょっと1人のキャパを超えちゃったのかなあ、
という気がします。)

明日、明後日と良くなっていくと思いますが
「今日」観た僕は残念無念…

ネタバレBOX

年末最後に1人芝居をやられるという事で、
先日の「男達の会話劇」のように「静」のタイプの
お芝居(本当に1人を演じる、など)をやられると思っていました。

しかし当日現地でチケットをよく読むと、
1人芝居だがパフォーマーの方が数人入る、と。

もしかしたら「動く」タイプのお芝居をするのかな?
とも思いましたが、劇場内で壁にあしらえられた
花嫁衣装のようなものを見て
「これを”水銀の花嫁”に見立ててやはり「静」の芝居をするのかな?」
と安易に考えていましたがまったく違いました。


カプセル兵団が一番得意としているSFチックな
ストーリー展開を1人で始めてしまいました。

序盤うまくいっているうちは
「これを1人でやるとはすごい試みだな」
と思っていましたが、物語が1度転じて更に転じて、
と動く中でアラが出始めました。

・ セリフ間違い

・ 今自分が「誰か」の認識間違い

・ パニクったりいろいろ飛んでしまったのかのような無言

など、「アレアレアレッ?」というぐらいいつものカプセル兵団らしくない。


物語はいつものシンプルさに少しだけ深みを加えたような、
泣けるテイストの入ったいいお話だったと思います。
(ちょっとここに物語内容自体書こうとは思いませんが、
泣ける場面もありました。)

しかし、説明セリフから1人芝居からでいつものように
グイグイっとお芝居の世界に引きこんでくれるか、
という所でミス、そして「アラッ」と思ったら更にミス、
あの形でたびたび物語が切られると
観客がお芝居に集中し
(カプセル兵団がいつも色々な表現方法で描いてくれる世界や情景を)
頭に描くのが難しくなってしまいました。

パフォーマーさん達の演技に問題はなかったかと思います。
※ そもそもパフォーマーは演者の演技/場面を引き立てる為の役なので
  演者さん自身がトラブってる状況では
  まったくそっちに目が行かない、というのもありましたが…


言い方きついかも知れませんが、
演者がパニクったら観てる客もパニクります。


気持ちとしては、
「もう一回仕切りなおして落ち着いていきましょう!」
と言いたくなってしまいました。

まだ「明日」「明後日」と公演が続くとの事なので、
今度こそ描きたかったものをちゃんと描けるといいですね( ´ー`)
ウルトラマリンブルー・クリスマス

ウルトラマリンブルー・クリスマス

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2013/12/05 (木) ~ 2013/12/25 (水)公演終了

満足度★★★★

最後は主人公同様抱き合って回りたい気分に(千秋楽だからここまで書いていい?)
始まりの説明部分、なんとなくぬるい空気で物語が進んで、
全然ハマれなかったんですよね、
だから時折飛ばされる笑いのネタにもクスリとも出来ず。

「あれ?キャラメルボックスさんってこんなもんだったっけ?」
と思ってしまったんですが、中盤の盛り上げパートから
演者さんの熱の入った演技がぐんぐん自分の心を引きつけて、
最後にはキャラメルボックスワールドにはまってしまいました。

(千秋楽だから書いていいんでしょうか?)
主人公同様、「メリークリスマス!」って言いながらみんなに
感謝のハグをして回りたい気分、まったく同じ気持ちになれました。

物語の展開がうまいなあ。

ネタバレBOX

十数年前、1度だけキャラメルボックスさんの公演観た事があったんです。
人生初の観劇で確か泣けるお話だったと思うんですが、
すごく興奮して感動してその後の飲み会で熱く語ってしまうぐらいでした。
(その後いろいろあって10何年お芝居観てなかったんですが・・・)


で、今日ひさびさのキャラメルボックスさん観劇、
しかも気付かなかったけど、これチケットぴあの抽選で当たった無料チケットだった。
(まあ、タダだからってそれだけで「最高でした!」なんて言いませんけど)


で、昔と変わらぬサンシャイン劇場、ちょっと広めな空間の
後ろの方の席だったのもあって、
「お芝居の空気、ここまで伝わるかな?
演者さんの気持ちが(自分に)ノルかな?」
ってちょっと心配してたんですが・・・




で、開幕。
(自殺しようか迷って)橋の上に立ってる所を天使に助けられるはずが
逆に天使が川に落ちてそれを助けに飛び込んで
心筋梗塞(心臓マヒ?)で死んでしまった、という主人公青年、

天使達が「あなたの死は間違いだったので人間界に戻ってください」と言うも、
主人公(建築会社社長)は
「戻れない、このまま死んで天国へ行かせてくれ」と。


で、そう思うに至るまでの理由がお芝居として演じられるんですが、
このパートがぬるく(起伏がなく)長い、
はっきりいって全然物語に入り込めませんでした。

・ 親父が建築会社社長、「お客様の為に安くていい家を建てる」がモットー

・ 弟が昔川で溺れたのを助けた際に主人公は片耳を悪くしてしまった

・ 主人公は高校時代かなりのピッチャーだったが、
  肩を壊して「外野手に移れ」と言われ、目標を無くしていた所で
  ガガーリン(?)が宇宙へ行くのを見て、
  「自分自身が(片耳悪いので)宇宙飛行士になれなくても、
  宇宙飛行士が乗る宇宙船を作りたい!その為に東大に行きたい!」
  と目標を持つ。主人公はかなり頭がいい。

・ 親父は自分と妹(叔母)で経営していた建築会社を主人公に
  継いでもらうのが夢だったので反対する。

・ 弟が「俺が継ぐよ!」と言ってでるが
  「馬鹿のお前じゃ無理だ」と家族中から総スカン。

・ しかし主人公が独学、バイトで2浪した上で東大合格すると
  家族みんな納得して「宇宙船を作る夢、頑張れよ!」と。

・ しかしそんな日に父親が倒れ、そして亡くなってしまう。

・ 主人公の建築会社を目の敵にしている大不動産屋の社長に
  会社を譲れ、と迫られる。
  しかし、叔母と主人公でやっていくから「NO!」と断る。

・ 東大を1年休学して、建築会社を手伝う主人公。

・ (なんでだったか)
  弟にそのままじゃ建築会社をまかせられない、と
  「お前は大学で経営を学んでこい!俺は東大をいずれまた受け直す!」
  と更に建築会社社長を続ける主人公。

・ 4年経って弟は戻ってくるが、なんと許嫁連れ、
  しかもその親は大会社の社長で婿に入れ、と。

・ 結局、東大で勉強して宇宙船を作る夢を諦め、
  建築会社社長として
  親父のモットー「お客様の為に安くていい家を建てる」を
  続ける主人公。

・ 途中、学生時代図書室でお互いに意識しあっていた彼女と結婚。

・ 新婚旅行当日に自分が昔家を売った地域で水害が発生し、
  それを助けに行って結局新婚旅行代まで全部使ってしまう。
  そんな主人公に「またいつか新婚旅行には行きましょう!」
  と優しくはげます妻。

・ 娘誕生。

・ モットーが客を呼び、仕事は忙しいが金にはならない毎日。
  未だ妻との新婚旅行にも行けず。

という日常がダラーっと続きます。


この辺特に感情移入できる場面がなく、
「うーん」という感じで観てたんですよね、
笑いのネタを振られてもなんか感情がノらないから笑えない。


「このまま終わっちゃうのかなー、かつて観た
キャラメルボックスさんってこんなレベルだったかなー?」
と思っていたら、舞台が急変します。


友人がやっと家を買う、という事になり
手付金の500万を主人公に渡し、
それを叔母が銀行に届けに行くのですが、
仕事の疲れからか倒れてしまい、そのまま病院へ。

そしてその場に残された500万の入った封筒を
なんと敵対する不動産屋社長が盗んでしまいます。


その500万を明日中に振り込まないと、銀行のいろんな引き落としが
できず、倒産してしまう、その上そんな日に限って
税務調査官がやってきます。
500万の行方が不明となったら、脱税だって疑われる!


主人公は色々な方面を駆けまわりなんとか
500万を工面しようとするのですが

・ 500万も貸してくれるような人はいない

・ 弟はパーティー参加で船の上

・ 敵対する不動産屋にも頼むがムゲに断られる
  (社員になれば貸してやる、とは言われますが
  「自分の建築会社を守る!」と断る主人公。)

など、どうにもなりません。

妻や嫁に相談しようと家に戻りますが、
子供に八つ当たりしてしまった上で相談も出来ず家を出ます。


そして、どうにもならないと
バーで酒を煽り、(その時自殺を思いついたのか)
橋の上で天使と出会い・・・と。


この急展開する場面でやっと演者さんの熱が伝わってきました。

焦り、恐怖、誰に当たっていいのか分からないもどかしさ、など。
はっきりいってこの場面からやっと自分の気持ちが
物語に引っ張られていきました。


そして「自分が死ねば生命保険1000万が家族の元に入り、
家族も会社もすべて助かる。
そもそも自分の人生すべて間違いだったんだ(宇宙飛行士に憧れたり云々)、
自分なんていなければよかったんだ・・・」
という主人公に対して、

天使「じゃあ、あなたがいなかった場合の世界に連れて行ってあげましょう」
と。


そして、先ほどまでの街に案内される主人公、
そこでは

・ やさぐれてしまった友人達

・ 張り合うべきライバルもなく、体調を崩した不動産屋

・ (自分が助けなかった為)死んでしまった弟

・ 誰とも付き合う事なく孤独に暮らしている妻(だったはずの女性)
  なんとか話をしようとしますが、知らない人間に警戒し、
  逃げられてしまいます

そんな世界を知った主人公は、
「自分がいない事で世界がこんなに悪くなってしまうなんて・・・
会社なんて潰れたって生きていけるじゃないか!」
と(開き直り?)前向きさを取り戻します。


そして「元の世界に帰してくれ!」と天使にお願いすると
すでにそこは元の世界。

会う人会う人みんな自分の事を心配してくれていた事に感謝し、
妻や弟が金策に駆けまわってくれていた事に感謝し、
「生きていてみんなと知りあえてよかった!」と
会う人会う人に「メリークリスマス!」と抱きついてまわります。


このマイナスからの脱却での主人公のテンションの上がりようが
なんだか自分にまで伝わってきて
(途中一度主人公が会場から消え、通路から観客の中に現れ
「メリークリスマス!」と叫ぶ演出が見事)
なんだか「生きててよかった!何があってもやりなおせる!」
と、啓発されてしまった気分でした。


※ しかし結局最後まで盗んだ金を返さない不動産屋は悪い人だなあ・・・




と、最終的にはやっぱり演劇の雄「キャラメルボックス」はすごいな、
こんなオチ(ハイテンションオチ!)に持っていくなんて、
と思いながらも気になったのは、
「物語のそれぞれのパートの比重に問題あったのかな?」と。


説明部分をダラダラと流すよりも
・ 500万を盗まれてからのシリアスパート
・ 自分のいない世界、という悲しい世界のパート(特にこの部分の深堀り)
・ 生き返って「世界すべてがハッピーに見える!みんなメリークリスマス!」  というパート
などにもっと比重を置いてたら、号泣モノだったのじゃないかなあ、と。


最近とにかくボロボロ泣けるお話が観たくて、
その中では本物語は少し涙腺緩んで泣けたかな、
というぐらいでしたかね。




千秋楽記念でたった今お芝居したばかりのメンバーが
「キャラメルボックスのキャラメル」を配ってくれたのは
うれしかったです( ´ー`)

PS.物語が始まってすぐ思ったのは「発声がいいな」
  (自分の席は遠い方だけど十分にセリフが聴こえる)という事でした。
  他劇団など役者でないアイドルその他を入れてる所だと、
  その子のセリフだけ何言ってるか分からなかったり、と
  ガッカリする事があったので
ザ・ランド・オブ・レインボウズ

ザ・ランド・オブ・レインボウズ

天才劇団バカバッカ

六行会ホール(東京都)

2013/12/11 (水) ~ 2013/12/15 (日)公演終了

満足度★★★

ハマると面白い劇団なのかも
バカバッカさん、初めて観てきました。
「コメディ」という事だったのですが、
(毎回こうなのかは不明ですが)お芝居というより
ミュージカル、パフォーマーのパフォーマンスなどを
中心に楽しむタイプの舞台のようです。

今日の観劇では自分はやはり「物語」の部分に
目がいってしまい、周りの観客同様に
「単純に面白い事を笑う」という事が出来ませんでした。

きっとこの流儀に慣れる
(というか深く考えるより目の前で
起きるものを観たままに感じられたら)
きっと爆笑してしまうような舞台だったと思います。

「お客様を喜ばせたい!」という意志は、
舞台からも、観劇後のパフォーマンスショー、
トークショーなどからもひしひしと伝わってきました。

もう10数公演やられているとの事ですが、
今後が期待できる劇団だと思いました。

ネタバレBOX

最初、
・ 全席自由=少しでもいい席で観たいなら早めに行って
  並ぶ必要がある、と考えていたのですが、
  開場は開演30分前、
  では何時頃行って並べばいいのだろう?とよく分からず、
  結局1時間前に六行会ホールへ行きました。

  六行会ホールは舞台と別に広いスペースがある為、
  そこで待たせてもらえたら寒くなくていいなあ、
  と思ったのですが門は固く閉ざされていて(スタッフのチェックもなく?)、
  10人程度が30分以上夕闇の中外で並んでいました
  (多分早い人は更に30分以上?)。

・ 開場し、席についてからもスターウォーズその他の
  音楽が流れるだけで(地下は電波も届かずスマホをいじる事すらできず
  かなり暇を持て余す)、開演時間18:00になってもブザーが
  「ブー!」っと鳴っただけで前説諸注意や開演遅延の説明もなし、
  更に時間後に遅れて来る観客も結構多く(毎回時間にルーズな劇団という事?)
  18:00開演から10分以上待ってやっと再度ブザーが鳴っての開演でした。
  (多分予約客全員来るのを待っていた?)

そういう部分からも、ちょっと対応(というか要領)の悪い劇団なのかな?
というイメージがありました。

ただ、2名客が「並んで座れる席はありませんか?」など
係の方に質問すると、別の観客にお願いして席をずらしてもらうなど
係の方の対応は悪いものではありませんでした。




【物語】
ある映画監督(脚本家?)が
「虹のなんとか(すいません、映画タイトル忘れました)」
という映画の始まりと終わりだけを決めていたが、
映画づくりに欠かせないプロデューサー
(スポンサーから役者から色々なスタッフまでを調達、
管理して映画づくりをサポートしてくれる重要な役割)
がいなくなった事からこの映画を実際制作する事は出来ず、
その夢をまだ子供だった孫とその友人に託しました。

そして彼らは大人になり、
1人はプロデューサー(孫、主役)、1人は脚本家、
1人は監督、1人はカメラマン・・・というように
それぞれ映画づくりに関わる役割に付き、
会社を起こして何本かの映画(ドラマ?)などを制作しました。


そして、今回ついに
(「虹のなんとか」の配役上欠かせない黒人役者として)
ウィルスミスへのオファーに成功した事から
スポンサー数社が付いて「虹のなんとか」を制作する事になりました。

しかし、ウィルスミスは息子の腱鞘炎(ゲームのやり過ぎ)により
結局キャンセル(その上、契約条項に本人またはその家族の健康上の理由による
キャンセルの場合、報酬の支払いは無効にならない、
というものがあり、6000万円もの出費をおってしまいます)、
スポンサー達もそれでは、と離れだし、映画製作が難航しだします。

・ ウィルスミスの代役探し

・ スポンサーになんとか取り入りお金を出してもらう
  (その代わり、映画脚本についてスポンサーの無理な要求を聞くハメに)

・ 各スタッフとそれに関わる人達も好き勝手に動き出す

して、プロデューサーである孫の目指した
「虹のなんとか」からは大きくかけ離れたものの
制作が進んでいってしまい、そして・・・

というお話。




これを、
・ 大人数でのドタバタ劇

・ 歌と踊りのミュージカル
  (ヒップホップその他を取り入れた新鮮な形のものが多々)

・ パフォーマーのパフォーマンス
  (ダンサーのダンスやバスケットボールパフォーマーのパフォーマンスなど)

・ 物語(お芝居)

など組み合わせて進行させていくのですが、
とにかく物語以外の部分の比率が高く、笑えるのですが、
物語の深みが思った以上に出ない展開に思えました。

冒頭から「キャストが多くて覚えられないと思うけど~」という
歌/ミュージカルダンス、を何度か繰り返していたのですが、

その言葉通り、中心人物である映画制作担当すら
その個性が全部よく分からないままに物語が進んでいきました。
(ドタバタ劇のパートでも説明は続いていたのですが、
その辺なにぶんにも人数が多い上、それぞれがバラバラに
動きセリフを言う場面が多くて集中して把握する事が
できませんでした。)

  ミュージカル部分が大人数なのは迫力が増して良いと思うのですが、
  セリフを聴いて理解しなければならない物語のパートでも
  大人数である事があり、これには
  「目と耳と理解が」ついていけませんでした。

  もっと物語のメインと脇を固める役者陣とを分けて
  構成したら良かったのかな、とも思います。
  全員に名前や役割があるのはいいですが、
  それをあの流れの中ですべて覚えるのは難しいです。
  (メインには個性を、脇はミュージカルなどの場面以外では
  あまり個性を表に出さないようにするなど。)

  あと、理解しにくさの一因となっているのはテンポの
  早さのせいなのかも知れません。
  映画制作陣の物語があって、ミュージカルがあって、
  その次には脚本家が悪女につきまとわれている、
  など(すいません、順は覚えてませんが)。
  これでは、脚本家も悪女もその背景がよく分からず
  個性も設定も薄すぎます。  
  もう少しお話の流れの部分をゆっくりと丁寧に
  説明していっても良かったかと思います。


周りのお客様はバカバッカさん自体慣れているのか、
単に笑いのツボにハマったのか爆笑していましたが、
自分はせっかくの「良い物語」を提示されていながら
それがちっとも深堀りされていかない事が残念でなりませんでした。


結局、ミュージカルやパフォーマンスなど光るものは
多々ありながらも(自分は)お芝居としては楽しめませんでした。


・ (自分の思った良かった所)
  冒頭の記者会見で、目の前の出来事に集中しようと
  していたら自分たちの席より後ろから色々な声がかかり、
  そこからも演者達が登場してくる、というシーンは
  「記者会見」という場面の表現に
  会場/観客自体をまきこむ「うまいやり方だな」と思いました。




この日は特別コーナーとして観劇後にこの劇に関わる
パフォーマーの方々のパフォーマンスを披露し、
その上でトークショーを行う、との事でした。

・ ボイスパーカッション日本一のボイパ演奏
  (以降のダンスなどもずっとBGMとしてボイパ演奏し続けてくれました)

・ ジャイアンの人のラップ

・ ダンサー2人のそれぞれのダンス

・ バスケットボールパフォーマーのボールテクニック
  サッカーボールのパフォーマーは観た事があったのですが、
  バスケットボールもすごいですね、
  フリスクの角でボールを回したり、
  ペットボトルのキャップを回るボールで開けたりと

などについては、お芝居とはまったく別に
心ゆくまで楽しませてもらいました。


劇団の色として(最初の悪かったイメージは)
お芝居の時点からすでに払拭されていて、
「とにかく観客を喜ばせたい!」という意識の強い
劇団なのだな、と思います。

そういう意味で、あと何公演か通ったら
自分もファンになっているかも知れません。

バカバッカさん自体も、「物語」よりも
「観て、笑ってほしい」という考えなのかも知れません。
(毎公演、変わったパフォーマーの方を必ず
劇に組み込んでいるそうですし)
『げき☆えん』

『げき☆えん』

アフリカ座

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2013/12/12 (木) ~ 2013/12/16 (月)公演終了

満足度★★

最後のクォリティを最初から出してくれてたら…
チラシ、声優松来未祐さんの出演などから
コメディ、熱血方面の作品なのかな、
と思って観ました。

大阪を思わせるコテコテの笑い運びに失敗し、
最後の最後でやっとまともな芝居が出た、という感じ。

最初から最後のクォリティでやれてたら面白かったと思うんですけどね、
人気声優がファンに対してのトークで取る笑い(空気を読んでのアドリブ)と、
お芝居の流れの中で取る笑い(計算されたもの)を勘違いしてませんか?

ネタバレBOX

思えば最初からひどかった。

・ 45分前開場のはずが更に10分ぐらい開かず。
  (まあ、初回ですしよくある事かと)

・ 3、4人の男性劇団員が何か勘違いしたような
  威勢の良すぎる声で
  「いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!」
  と1人観客が来るごとに延々叫び続ける劇場内。
  観客への感謝の気持ちはともかく、
  (マイク越しの松来未祐さんの前説、というか諸注意以外)
  居酒屋のような挨拶だけが開演まで30分以上
  ずっと続いていて少しも落ち着けませんでした。
  (昔、他の劇団の感想で「開演前にそんなに騒ぎ過ぎたら
  客が落ち着けない」というものがあったのですが、
  「これか!」と思いました。)

・ 座席アサインのミスが多々発生していた模様。
  同じ席のチケットが何枚も出ていて
  観客同士「あのー、そこ僕の席なんですが…」という場面を
  多々目撃しました。
  しかも、当日券まで重複する始末。
  自分がその客だったらかなり気分悪かったと思いますよ。
  (座ってて「席間違えてないか?」って言われるのも
  既に座ってる人に聞くのも、そして
  代わりの席をあてがわれるのも)
  (今までの各劇団公演ではあっても1件とかそのレベルでした。)

・ 空調や開演時間が伸びた事との兼ね合いか、
  スモークの炊き直しがひどい。
  観客席に煙まわりまくってました。


この時点での印象ははっきりいって「素人劇団」。




【開演後】
・ TVでも聴いた事のあるナレーターの方のナレーションと
  演者のやりとり的な始まりでしたが、
  あくまでも始まりだけでその後ナレーションが出てくる事は
  ありませんでした。
  せっかくのナレーションの使い所のバランスが悪いのでは?
  (物語の最初に出すのなら、最後もそれで締めるとか
  もう少し考えようがあったかと…)


・ 舞台上の高校に個性的な劇団員が集まっているはずが、
  その個性もそれほどアピールできないうちに
  それぞれの劇団サポート要員の勧誘活動が始まります。
  (あまり必然性を感じない)ダンス、殺陣など
  物語の場面場面の流れ、シーンの転換がずさんかと。


・ (同様に)場面、シーンの転換について、演者も演出(照明、BGMなど)も、
  全部がひどい出来。

  演者側の問題か、演出側のタイミングミスか、
  シーン転換する場面で照明の移動が遅れたり、といった
  「素人か!」と突っ込みたくなる場面を多々目撃しました。


・ 大阪風のコテコテお笑いを狙ったのか知りませんが、
  完全にコメディのパートがはずしてました。

  物語なのだから起伏があってその中で
  「この流れで落としたらきっと笑える」など意図を持たせると思うのですが、
  意味なく笑いのネタを投入しまくりで逆に引きました。
  (観客から愛想以外の笑いは出ていたのでしょうか?)

  トークショーで演者の方がおっしゃってましたが、
  「自分らはあのダンスで歌うキャストに笑ってたのに、
  いざ本番では観客誰も笑ってないのでビビった」とは、
  完全に内輪の笑いで満足してしまっていて
  お芝居としての「流れ」などが見えていなかったのではないでしょうか?

  「笑いのネタ!」「笑いのネタ!」「笑いのネタ!」と振られ
  仕方なく愛想笑いを返していても、
  そこで場面転換してダンスが始まり
  そこに歌が入っていたとして、それが”また”「笑いのネタ!」だとは
  もう判別つきませんよ・・・


  有名声優がそのファンに対してトーク中アドリブネタをつっこんで
  笑わせるのと、お芝居の中で笑いを取る事を一緒だと
  考えてないでしょうか?
  (はっきりいって「よく考えてない」笑いのネタが多すぎです。)


最初チラシを観た時は、
「劇団自体は結構色々公演やっていて、そこに今回たまたま有名声優陣を入れる」
という形だと思っていたのですが、このあまりにひどいコメディ(らしきもの)の
流れを見てると、(失礼ですが)昔観た
「声優人気で人だけ集めてあとはロクに練習もしていない芝居で金を取る」という
声優人気頼みのお芝居を思い出しました。


たった1時間50分とはいえ、「こんなのが続くなら席立ちたいな」
と思ってましたが、中盤に小さく張られた伏線から、
物語がやっと動き出し、シリアスパートに。


・ ここでやっと劇団+声優陣の本気の演技が観れたような気がします。
  演出担当なども同様しっかりしてきました。

  (コメディパート中浮ついて見えた)演技もしっかり熱のこもったもの
  となって声も張り、お芝居がシリアスな雰囲気のまま、
  演者の熱意が見えるかのように流れ始めた時、
  やっと本来のこの劇団の「クォリティ」を観せてもらったような気がします。

  お芝居の中のお芝居では、殺陣、ダンスにもしっかり「意味」を
  持たせる事が出来たかと。
  (物語全体の4/5が終わってやっと気持ちを重ねられるお芝居になった、
  という感じです。)


はっきりいって、「お笑い」についてちょっと馬鹿にしてないですかね?

他劇団のコメディ調お芝居を観ても、ちゃんと笑わせる(狙い)所、
物語をちゃんと成立させる進行部分、それぞれを演じ分ける事で
(笑いその他)単調にならず、ちゃんと「物語」として成立させて
いると思います。

そういった所が終盤のシリアスパート並みにできて、
やっとコメディとして成立するのではないでしょうか?




「松来未祐さんってどんな舞台やるんだろう?」
ただそれだけの理由で平日会社休んで観に行った舞台だったので、
あまり期待していなかったのですが、
はっきりいって「もったいなすぎる」タイプの「(残念な)期待ハズレ」です。

本公演中にその辺って変わっていくものなんでしょうかね。。。
(脚本自体の問題だとしたら無理かなあ、と)
虹色の涙 鋼色の月

虹色の涙 鋼色の月

企画演劇集団ボクラ団義

SPACE107(東京都)

2013/12/04 (水) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

すいません、ベストコンディションで観たら最高の舞台でした
(2回目の感想失礼します。)
すいません、何はともあれまずは前回の感想で自分が思った事、
観た(つもりになっていた)ものについて勘違いなど多々あった事、
それらをベストな状況で観劇しなおしたら改めて気付かされました。

「前回の感想ごめんなさい」と謝りたい気分です。
(申し訳ないのですが、前回の感想は確かに前回の感想なので
メンテせずに残し、こちらに今回の感想で書かせていただきます。)


OVER SMILE(Play.Againの方)を2回観劇した時から思っていたのですが、
ボクラ団義の舞台には
1.「初見の楽しみ」と更に
2.「2度観(目)の楽しみ」があるな、
と今回もやはり思わされました。

初見では複雑怪奇な物語が展開され紐解かれていく
(観客自身が理解していく)様に驚きを覚えながら観劇し、

そして2度観ではネタをひととおり知ったがゆえに分かる、
初見では気づけなかった役者陣の一挙手一投足、演出その他に
込められた更なる伏線などボクラ団義の舞台の芸の細やかさに
更に驚きを覚えながら感激してしまう、
という楽しみ方があるのかな、と。

特に今回は1回目は椅子のせいで否定的な気持ちになっていたのか、
「いつも通りよく出来ている物語/舞台、だが…」のような
自分に合わなかったかのような感想を持ってしまっていたのですが、
今回ちゃんとベストな状態で観なおしてみたら全然違う感想を
抱いた事に自分自身も驚きました。
(残念なのは今回「初見の楽しみ」が椅子のせいで奪われた事でしょうか…)

※ ただ、確実に前日よりもお芝居が更に良くなっているような気もしました、
  これは劇場慣れなどといったものなのか、
  あるいは舞台公演中も演者の皆様日々精進されている
  成果なのでしょうか?


話は変わりますが、CoRichの感想欄だけで僕と他の方1件、
SPACE107の前席(X~Z)の辛さについて指摘していました。
(=実際は他にも多くの方があの椅子に辛さを感じて、
この劇の本当のポテンシャルを楽しめていなかった
可能性があると思います。)

次回公演もSPACE107を使うとの事で、
僕らが次回前席に座らなければいいというだけの問題ではなく
ハンズで売ってる600円ちょいのクッションをつけるなど
なんらかの対応をとっておいた方がよいのではないでしょうか?
(椅子ごときの為に舞台の感想が変わるなんて
(申し訳ない話ですが)もったいなすぎます。)

ネタバレBOX

前回の反省を活かし今回は携帯用クッション持参で参りました。
空気を入れるタイプ(かなり携帯性にすぐれる)も
持ってきたのですが、ぽっちゃり系な自分が座る事で
これがパンクなどしたら舞台自体が壊れてしまうとの恐れから
こちらの実戦投入は避け普通のクッションタイプのものを使用しました。

多少席の狭さは気になるもののお尻、脚ともにすごく快適でした。

※ もしかしたらクッションのせいで自分の座高が上がり、
  後ろの人の観劇の妨げになっていたかも知れません。
  そうだったらごめんなさい!




で、舞台の方ですが、初見ではなくアフターパンフレットも
本格的パンフレットも読んでの2度観でしたが、
やはりボクラ団義は面白かった、完全に気持ちを持ってかれた、
という感じです。


・ まず驚かされたのは、初回は普通に観てしまっていた冒頭から
  もう表情や身振り手振りで伏線を張りまくっていた、という事実でした。


  最初にルナからイセが海の色を聞かれた時の表情、
  若干の間と返答自体に含まれたニュアンス的なもの、
  それがイセも色盲、更にはジンの息子であった事に
  ついての伏線であったとは・・・
  (初見では、ミナトから指摘があった時初めて
  「ああ、そういえばそんな事言ってたような」程度しか
  記憶していませんでしたが、それがこんな形で
  最初から細やかに演じられていたとは思いませんでした・・・)


  そして、予見の力を使う際のあの片目を隠すポーズ、
  これがジンに始まり、その死をきっかけとして
  ルナ、カイ、最後にはイセまで、
  (予見の力の説明が出る中盤よりもかなり前から)
  物語が展開する際にたびたび表現されていたとは・・・


  あとこれは完全に単なる見落としでしたが、
  カラブリは剣なりなんなりいろんなものを空振りしてたんですね( ´ー`)


・ ミステリ部分について、
  初回を(ダメなコンディションで)観て、
  アフターパンフレット、本格的パンフレットを読んで、
  それでもまだ理解しきれない
  (物語としてそこだけ成立していたかどうか疑問になっていた)
  部分があったのですが、
  ベストの状態での二度観で、やっと長の死、少女の証言、
  そこから生じる矛盾、
  その後の各人の行動、第二第三の殺人、
  すべての真相について
  劇中の内容が自分の中で腑に落ちたような気がします。

  単純に初回のコンディションが悪かったからか、
  あるいは今回は結構難解なお話だったのか、どちらだろう(??)


・ 色々な箇所で少しずつ涙腺に来るものがあったのですが、
  イセとジンとの最後の別れだったか、
  あるいはイセが第二第三の殺人の容疑をかけられてしまう
  無声芝居の場面だったか、
  あるいはルナがニホンの少女の話を聞き、それに対して
  自分は何も出来ない事を悔いる(恥じる?)場面だったか、
  どこかの場面で確かに泣いてしまいました。
  (泣いたり笑ったり喜怒哀楽の感情を表に出す事や涙を流すのは
  健康にいいなどと言いますが、こうやって舞台上の役者の演技や
  役柄などに気持ちを重ねて自分の感情を刺激してくれるのも、
  役者と観客とが同じ空間で演じ、それを観劇する
  お芝居の良い所だと思います。)


・ 1つの大きな物語(メインストーリー)の中でいくつもの人達
  それぞれの物語も同時に展開している事に改めて気付かされました。

  ・ 「美しい雪、では雪とはいったい?」という失われた過去から来た
    自分の名前や「孤島」「南海」「東の月」などの謎の言葉に興味を持ち、
    そして殺人事件を追う邏卒でありストーリーテラー的な役割を果たし、
    最後には捜査日誌は航海日誌となり、
    綺麗な雪、その雪降る国ニホンへ向かうミユキの物語

  ・ 殺された長ジンとイセ、そしてジンとサカイガワの間に
    隠されていた物語
    (まあ、これはメインストーリーですね)

  ・ (今回もやっぱり気になった)
    愚直なまでに母と自分の正義を信じていたのに、
    自分が悪事の片棒を担がされていた事を知り、
    そして殺されそうにまでなって
    悪と権力への欲へ落ちてしまった、サンゴ

      ミチサキがどの場面でサンゴの手にかかったのか
      初回はイマイチ分からなかったのですが、
      2度観でウエシマと組み合っている所を
      ミチサキごとなで斬りにするサンゴの姿を
      見て、「ああ、こういう形だったのか」と
      分かりました。
      母親を盲信し続けた若者の悲しい形の親離れ、ですかね。。。

  ・ 海へ出たい、海に立ちたいというあこがれをイセ同様に持ちつつも
    島のしきたりに従い海辺での釣りと素潜りだけで漁をしてきた
    漁師たち、そして仲間の死とそれに対して何も出来ず
    逃げ出したイセへ怒りをぶつけ、
    イセが宮へ乗り込む時には「俺たちは何もしない」
    と言いながらも加勢にかけつけ、
    最後にはそれぞれの適正を活かして海へ乗り出していく
    仲間思いの漁師たち

    そしてサンゴに殺されてしまったアキカゼの無念・・・
    (網の話だけ最後なんか笑いのネタになってましたね。゚(PД`q。)゚。)

  ・ 新たな造船技術を求めて孤島へ辿り着き、
    それが引き金となって島中を争いの中へ落としてしまった原因でもあり、
    そしてみんなに「みんなが乗れる大きな船を作って島を出よう!」
    と大演説をぶって、
    ただ刀、武器を作る為だけに鉄、鋼を叩き続けたウツセミや
    とにかく金の為に立ちまわるゴンドウ達を説得したクッキー

    初回はイセの海にかける情熱が一番目立ったのですが、
    今回はクッキーの大演説シーン(それぞれにかける言葉の1つ1つ)が
    かなり記憶に残りました。

  ・ 「古代の兵器を復活させた、この島はもう終わりだ」と
    争っていたカイやサンゴを止め、「自分はこの島に残る。
    まあ、残った者達もしばらくすれば仲良くなるだろう」
    と、この孤島に残る道を選んだ
    (ジンの最後の願いである「後を継いだ」ともいえる?)
    サカイガワ(とヒラセ)

  その他にもカイやエミリの物語も・・・


・ (いつもそうだったのかも知れませんが)
  お芝居中に入るダンスに、
  物語の先の展開などを予兆させたものと
  物語のシーンの一部としてのものと
  そういう使い分けがされていた事に初めて気づきました。


・ 笑いを取りに行くべき部分と、ここは取らないでおく、
  という部分の使い分けがすごい、と感じました。

  「サスペンスファンタジー」とは言ってもボクラ団義、
  ちゃんと観客みんなの笑いのツボは押さえてますよ、
  と物語中に多々織り込まれる笑いのネタ、
  しかし、ここぞという場面では「笑わせに行く事もできるが!?」
  と観客にも思わせながら、しっかりシリアスな劇にしていたり、
  という笑わせる部分とそうでない部分の緩急の付け方が
  これまたうまいなあ、と
  (「サスペンス」としてちゃんと成立させられる
  絶妙な笑いの配分だったと思います。)


・ (これは初回も感じたのですが)
  例えば群衆での殺陣については実際は相手の身体の離れた所で
  止められた刀を剣戟の音と観客(自分)自身の想像力を働かせて、
  「ここでは壮絶な争いが繰り広げられている」とイメージしていた
  つもりなのですが、

  イセ(竹石さん):カイ(沖野さん)の1:1の戦いで
  「やっぱりこの2人の殺陣は映えるな!」
  と思わされたら更に続くカイ:サンゴ(加藤さん)の殺陣もいい、
  更に・・・と

  これらの時は想像力の力を借りるまでもなく迫力が違う、
  剣と剣が本当にぶつかりあいかわしあいしているのが観ていてわかる、
  この凄さは今回のキャスト全員の修練の賜物でもあるのでしょうが、
  やっぱり沖野さんがすごいのかな、と

  あのダイナミックかつアクロバティックなアクションを観ると、
  「(本人否定の)アクション俳優」の名に恥じない
  素晴らしい殺陣でありアクションだと思います。

  沖野さんが絡むと殺陣の迫力が変わる。。。


・ 初回観劇時は多分歌詞が頭に入っていなかったのでしょうが、
  火矢に沈みゆく船に合わせて
  ローズインメニーカラーズさんの

×  「しーずーみーゆーくー、船を見ーてるー」

12/11ツイッターでご本人に指摘されました(´∀`*)
  「沈んでく船を見て」

  という歌詞が、13年前の楽曲とは思えないほど
  ピッタリマッチしている事に驚きです
  (脚本/演出も13年前にこのシーンを考えて作った(笑)という
  ローズインメニーカラーズさんもスゴイ!)。

  だからあのタイミングであの楽曲が入り、
  歌の盛り上がりに合わせ、物語の更なる展開を仕込んできた、
  という事か、と納得と驚きです。


・ 前説で、今回とうとう出演者陣から大神さんだけでなく
  客演の宇野さん(でしたよね?)も投入されましたが、
  やっぱりアドリブで笑いを取るのが上手いですね。

  大阪人のDNAにはいつでもどこでもボケとツッコミと
  笑いのネタが取り出せるアドリブ神経のようなものが
  組み込まれているのか、と感心(というか感嘆)しました。



【以下、すいません、勘違いしてた、気持ちが変わった部分】
・ 長ジンがサカイガワに「もう楽にしてくれ」と確かに言ってました。
  昔兄弟で争っていた事を前振りにした上で、
  死に際の苦しみの中でジンは確かに
  「もう楽にしてくれ」と、弟サカイガワに懇願して、そして・・・
  の行為でした。
  確かに最後に手を下したのはサカイガワ、で物語すっきりしてますね。

  ただどうして女邏卒ミユキが2人が兄弟である事と
  手を下したのが本当は誰か、という所まで推理できたのか、
  については、更に観劇しないと分からない謎ですかね。。。


・ 「虹色の涙」は決してイメージとして弱くない。
  イセにのみ予見の力が残りルナは色を感じる事が出来るようになった
  (と推測される)、

  アヤブキが「色の分からない姫にも、色調の違いで楽しめるように」
  と仕立ててくれた虹色の船の帆、

  そして争いの中破滅に向かう島を何も出来ずに脱出した後悔と
  これから向かう未知の国への期待その他色々なものが
  感極まった瞬間のルナの涙、

  エミリが「帆の色は何色に見える?」と聞いた時に
  「涙で見えない」との事、

  この虹色を見つめた涙を指して「虹色の涙」、

  パンチは十分でした。


  ただ、順で言うと「鋼色の月 虹色の涙」なのかなあ、とか思ったり


・ OVER SMILEの世界との繋がりは「イイ!」と思えてきました
  ・ (OVER SMILEの物語で)
    世界が争いに滅び、ニホンに逃げ延びた一部の人々が更に争い、
    いつしか3つの色に分かれて更に争いは続き、
    しかしその争いをたった1人の少女が終わらせた、
    というクッキーの説明に対して

    同じ少女でありながら何もできない自分を責めるルナ

  ・ そして、真犯人が分かったはいいが、それが元で島を分けての
    争いになってしまい、
    漁師イセは父親である長ジンの
    「ルナやその他の人を守って島から脱出して欲しい」という願い、
    自分の仲間である漁師その他の人々もこの争いから助けたい、
    そして何より長く禁じられ知る事もなかった海とその外の世界について、
    島民として漁師として1人の若者としてのあこがれから
    海へ出る、クッキーのいた国「ニホン」を目指して

  ・ イーストムーンの人々は元々戦火のニホンを逃れて、
    孤島イーストムーンへ渡ったというクッキーの説明に対して、
    ニホンでの言葉を名前に持つそれぞれの人々のニホンへの憧れ

  そういう色々な意味をあわせると

  やっぱり東の太陽「ニホン」とその更に東の孤島「イーストムーン」、
  この物語がつながるのは意味がある事なのかな、
  実際舞台上の各人と同じ気持ちで考えた時、
  クッキーの言う「ニホン」は憧れの地であり、
  そのあこがれの「ニホン」がOVER SMILEの舞台であった
  あの世界である事からOVER SMILEを観劇した人にとっては、
  「憧れ」「新天地」など色々なイメージを膨らませる
  (膨らませやすい)材料になるのかな、という意味で
  やはりOVER SMILEとつながる事は良かったと思います。


以上長々とすいません。
大阪公演頑張って下さい。


PS.すいません、忘れてました。
  第二第三の殺人の後イセがミユキの元を訪ね、
  犯人はカイである、カイは次にイセかルナを狙う、ルナが危ない、
  と言った瞬間にスポットライトが移り、
  カイとルナの会話、そしてカイのルナを殺そうという決心
  (幸いエミリが現れた事で回避されましたが)
  こういったストーリーの流れ流れでの上手な場面の転換に
  「TVドラマを観ているかのようなテンポの良さ、シーンの切り替わり」が
  これまたすごいな、と思いました。
  1つの舞台の中でほんとにいくつものシーンを使い分け、
  そしてその切り替わりのテンポがほんとにいい、
  こういった上手さもボクラ団義流舞台の強みだと思います。
虹色の涙 鋼色の月

虹色の涙 鋼色の月

企画演劇集団ボクラ団義

SPACE107(東京都)

2013/12/04 (水) ~ 2013/12/08 (日)公演終了

満足度★★★★

アフターイベントに(僕が)救われた気分
今回の作品の設定からPVからどれもこれも自分にはドストライクで
「これをボクラ流でやったら面白くならない訳ないでしょ!」
と思っていた作品。

しかし、、、運良く取れた前の席の椅子が低くて硬い時から
「もしかしたら…」って予感してたんです。

開場から実際開演まで少し伸びて30分ぐらい、
そして開演してから10分そこらでとにかくお尻と脚が痛い
(情けない話ですが椅子が硬いのか低くて姿勢が良くないからか)。


宣伝チラシの「サスペンスファンタジー」の謳い文句が、
最初のシリアスシーンからどう展開していくのかにワクワクしながらも
とにかく痛みに耐え続ける3時間でした。


悲しいかな、とても情熱的な若者が初めて---(ネタバレ禁止)な
シーンに、気持ちを重ねたいけどとにかくお尻が痛い。

座るポジションをずらせばよかったんだろうけど、
あの椅子だと下手に動くとお隣さん達に迷惑がかかると思い
それがまた裏目に出て、
物語は頭に入るけど、気持ちの方が全然込められなかった、
そんな情けないかな、悲しい観劇3時間弱でした。

(目の前では必死の演技と「この場面の表現に入れるか!」という
ドハマリのダンス/無声芝居といつも(もしかしたらいつもより?)
かっこいい殺陣と
BGM(色々なシーンの表現にいつもより多用してた気が?)、
という最高にこだわった演劇が展開されていたのに・・・)


と、大波乱の物語の終わりまで「次の観劇回こそはちゃんと観よう」と
そういうマイナスの気持ちでいたんですが、
アフターイベントでローズインメニーカラーズさんと
(OVER SMILEに続き2回目の)無声芝居+生歌の掛けあわせ、
これが観れて(僕が)救われました。

観劇中のこのシーンを思い出し、あの場面で受けたショックと
演者さんと気持ちを重ねて驚きや悲しい気持ちになったのと
いろんな想いをちゃんと感じていたのが思い出せました。

それからはアフターパンフレットを眺めつつ、
自分がどういう気持で物語を観ていたか、
だんだんと想い出せてきたから不思議です。

ネタバレBOX

お尻の件はイレギュラーだったとして


色々な事を思ったんですよね、確か。

・ 前説に出演者自身(ブバイガハラ)が出てきた時の服装を見て、
  「この孤島は日本の時代劇のような古い時代かつ
  和風の生活をしている所なのかな?」
  と想像していたら、孤島の登場人物それぞれがかなり
  バラバラの和洋折衷、南国から洋風からアジアンテイストから
  色々をとりいれた服装をしていたり
  (前回のOVER SMILE並に衣装にこだわってました)
  これもOVER SMILEとの繋がりへの伏線だったんでしょうか?

・ ナニモノにも縛られず孤高をゆき、島で唯一長の息子を「王子様」
  娘を「お姫様」と呼ぶ漁師の青年(イセ)の言動や行動に
  ちゃんとした「理由(長の次男だった事など)」が存在していたり

・ 物語のキーの1つである「フネ」、初めて木の船で青年達が
  船出するシーンを大道具の足場(なんというんでしょうか、
  ああいった段差を作る為の台は)の閉じていく様で、
  島から離れていくというのをうまく表現していたり


  このシーンでそれまで海辺で魚釣りや素潜り、
  泳ぐ事はあったとしても
  海上を(船で)疾走る、海上から島を眺めたりと
  初めてづくしの経験に漁師の青年イセや姫ルナ達が感激する様など、
  「同じ気持ちになりたいなー!共感したいなー!」と
  思わされた場面でした。


・ 権力を失うのを恐れて長を殺した王子カイ、
  というメインストーリーの中で
  それまで愚直なまでに母親(参謀)ミチサキに従いながらも
  自分なりの正義を通していた息子サンゴまでもが
  権力への欲に傾いていく、そして最後には母親ミチサキにまで
  手にかけてしまう様、

  そして王子カイとサンゴとそれぞれを盛りたてる島の住人達により
  島(イーストムーン)中で争いが繰り広げられる様、
  鉄と鋼の武器がぶつかり合う様を
  「鋼色の月」と表現していた事に気づき、
  また、この物語のキーの1つは「権力」とその「欲」なのかな、と

・ 長がまず殺され、そしてイセ達が船に乗り、何者かの火矢により
  船を沈められ、そして宮で一夜を明かした後の
  第二第三の殺人の時のイセを中心とした無声芝居と
  そのBGMとしてかかるローズインメニーカラーズさんの楽曲、

  ルナに無実を証明する事もできず逃げ出し、
  そして更に同じ漁師仲間の死にまで遭遇し、
  やっと逃げ延びたと思ったら仲間の漁師達に殴られ蹴られと
  散々な扱いを受けて最後に邏卒(警察)のミユキの元へ現れる
  漁師の青年イセ、
  ここにもっとも気持ちを重ねたかったです。

  驚き、くやしさ、かなしさ、そして何が起きているのか分からない
  (実際はあの時犯人はカイ、と分かっていたのでしょうが)、
  という恐怖など色々な感情があの無声芝居の中で
  繰り広げられていたと思います。

・ あとどのシーンかちょっと思い出せないんですが、
  もう1箇所物語の表現をうまくダンスにした部分があって
  「ああ、(ボクラ団義さんは表現がやっぱり)うまいなあ」と
  思わされました。

・ 終演後のトークで添田さんがゲストの方にアドリブトークで
  完全食われちゃってた気が・・・
  が、がんばれ、添田さん∩(*・∀・*)∩フ

・ 真凛さんがアフターで語っていた、
  「曲にセリフを合わせるのがとてもむずかしい」というお話、
  なるほどなあ、と思いました。
  ローズインメニーカラーズさんの曲のもりあがりと間奏に合わせて
  捜査日誌を読むなど、結構タイミング重要だもんなあ、と納得です。


【気になった点】
何点か

・ 長が殺され容疑者を目撃した少女、しかし色盲の少女の説明からは
  どの容疑者もが矛盾してしまうという所について、
  刀の切り傷、洋服に乱れその他はなく争った形跡はなかった事、
  そして洋服についたトリカブトの紫、
  長の一族は能力を持つ限り皆色盲、
  などいくつかのトリックの元ネタは提示されていたのですが、
  ちょっと自分の頭のキャパを越えてしまったのか
  自分にはこれらが全体的にうまく紐付け(紐解け?)られませんでした。
  この辺は本格パンフレットで説明されているのかしら?

・ 外界から流れ着いた男クッキーが実はOVER SMILEの世界で
  争いが終わった後の「日本」から来たという設定について、
  元々色つながりで何か通ずるものを感じていたので、
  「そうか、こうつなげてきたか、それなら長の能力の件も納得できるな」
  とは思いつつ、(自分は)先日のOVER SMILEが
  OVER SMILEの初見だった事もあり、
  この短期の中で物語同士をつなげてしまうのは、
  観劇者側の好みが分かれてしまうんじゃないかな、
  という感じがしました。
  (OVER SMILEを観てない人はそもそも何のことか分からないでしょうが)
  
  あのOVER SMILEはあくまでもあの世界で完結していて欲しかった、
  という人もいるのではないかと・・・
  (自分もそう思っているような、
  せめて2、3年前に観たのであったら「懐かしさ」とか
  別の感情を持てたかな、と)

・ 長を殺したのは最終的に誰だったのか、について
  無理に長の弟である医師サカイガワである必要はあったのかな、
  と思いました。
  憎まれていた訳でなし、あるとすれば息子の手にかかって
  死ぬのが嫌だったとか、「もう楽にしてほしい」とか、
  そういう意味からだったのなら納得なのですが・・・

・ タイトル「虹色の涙 鋼色の月」の「鋼色の月」については、
  非常によくイメージできたのですが、
  それに対して「虹色の涙」が最後に出てきた帆、
  色盲ではなくなっていた姫、というのはちょっとパンチ弱かったかな、
  という気がしないでもないかと。。。
  (あるいは自分が気づいてないだけで更に何かと紐ついていたのかも)

・ 真凛さんの捜査日誌読みはともかく、
  その他で長文でもないセリフで一部
  自分の言葉としてでなく「セリフを読んでる感」を
  感じさせてしまっている場面がありました。
  誰とかそういうのはいいんですが、芝居に入り込めてなかったのかな?


まだまだ色々良い点気になった点感じたものなどあったのですが、
ちょっとお尻の痛みにかき消されてまだ想い出しきれてません。
もう1回観る予定なのでそこでなんとか
(本格的パンフレットはもう読んでしまうつもりなのですが)

・ 演者さんに共感、感情をのせる
  (演者さんの演技自体には問題を感じなかったので、
  アレに気持ちをのせられたらどれくらい面白いのか知りたいです)

・ お話のトリックや繋がりの点をちゃんと理解する
  ちゃんと見直す

したいなあ、と思います。
SPACE一休

SPACE一休

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2013/11/20 (水) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

何もない舞台上に壮大なスペースオペラを描き出す
「SPACE一休」、
一休さんでおなじみのキャラ達が織りなす壮大なスペースオペラ、
まさにその謳い文句に恥じない、
映画スターウォーズに匹敵するほどの
スペースオペラを音と視覚と、自分の想像力を駆使して
堪能させていただきました。

ネタバレBOX

スペースオペラという事で今回は「動」のカプセル兵団、
自分はダストシューターズで初めて体験した、
1人でなく群衆で織り直すパントマイム表現
(名前忘れてググりましたが「パワーマイム」でいいんですかね?)、

今回は劇場が笹塚ファクトリーではなく
「男たちの会話劇」を演じたワーサルシアター八幡山という事で、
スペースの広さや通路構成など劇場の作りの関係から
「あの表現技法は使えないのではないか?」
「何か少し抑えた表現方法を使ってくるのか?」
と、少し残念な想像をしながらの観劇開始でしたが
見事に今回もやってくれました。


しょっぱなの一休とよしみつとの一騎打ちでの壁蹴りを
使ってのダイナミックさ、奥行きの表現など今回は
ワーサルシアター八幡山に合わせた形での表現方法や
パフォーマーのダンスなどを使って、また新しい
(?自分が知らないだけでいつもやってるかも知れませんが)
形での表現にチャレンジされていた気がします。


【お話内容概略】
─────────────────────────
宇宙の戦争を終わらせる為に作られた戦闘兵器バイオロイドの
一休とよしみつ、見事宇宙の戦争を終わらせる事が出来たので、
用の済んだバイオロイドは凍結させよう、と決めた人類に対して
それに納得した一休と納得できなかったよしみつとの戦いにより、
宇宙中へ散らばってしまった宇宙船の魔晄炉(エンジン的なもの?)の残骸
(これだとFF単語ですが合ってますかね)、
そして魔晄を浴びてしまった人たちは
病気やなんらかの特殊な能力を持ってしまい、
人類から迫害される存在になってしまった、という世界。

一休はなんとか魔晄を浴びてしまった人々を救う方法を探しながらも
魔晄を浴びた事で力を持ち逆に自分たちを迫害した人間に対して
悪をなすようになった魔物たちを倒してまわる、
という償いの旅を続けていました。

そこへ宇宙に一大帝国を築いたよしみつから逃げる
「失われた高度な文明を蘇らせる為の鍵」を持った女性
(やや姫でしたっけ?)を助けた事から、
再びよしみつ、そして宇宙の平和を賭けた壮大な争いに
巻き込まれていく。
─────────────────────────


【特に感じた事】
・ 1人何役(パントマイム含む)こなしているのだろうか?
  という凄さ。

  先日、一人芝居を観て「1人で何役もこなすことの難しさ」
  を(自分なりに)知りました。

  しかし、カプセル兵団のSPACE一休では、
  各役者が敵の雑魚(モブキャラ)からメインヒロインまで
  ありとあらゆる配役を、とても早い(テンポの良い)
  場面転換の度に役を切り替えてこなしていきます。
  これがまずすごい。

  一休がいきなり次のシーンでは(服装その他何も変わらないのに)
  魔物の一団の雑魚になっていたり、
  姫が次のシーンでは悪者の配下の雑魚になっていたり、
  また宇宙船の一部だったりミサイルだったり
  「ここにあった壁が一撃で壊れされた」という説明係だったりを
  こなしていくのを、
  「いやいやあんた前の瞬間まで主人公だったでしょ!」と
  笑いのネタとして突っ込む事もできるのでしょうが、
  場面転換時の空気感の切り替えの美味さもあって、
  そのまま自分の心の中で「今この人は悪者の配下の1人」
  「今この人は主人公の一休」など全く迷う事なく
  ちゃんと識別/判別して観る事ができました。


・ 音響およびパワーマイム表現により、ありとあらゆる場面を
  観劇者にイメージさせる演技のすごさ。

  普通、舞台というと物語に登場する各シーンに合わせた
  いくつかの場面セット/大道具などを用意しておき、
  それらを切り替えて数カ所の場面を表現したりするのが
  一般的かと思いますが、
  SPACE一休では「舞台上には何もない!」。

  音響とパワーマイム、更には演者の説明セリフなどを使って
  今がどこでどういう状況なのかをまるでコントのように
  観劇者に示してきます。

  多分この表現方法のどれが欠けても観る側にとっては
  演者の単なる滑稽な姿にしか見えなくなってしまうと思うのですが、
  これらが見事に合わさると
  「ここは砂漠の惑星」
  「今は夜で焚き火を炊いて会話している」
  「超巨大な宇宙船が空からつっこんできた」
  「知らない惑星に辿り着いた」
  など、ありえないほど多くの場面が実際観ているものだけでなく、
  観劇者の想像力の方を刺激して、
  その物語の世界観をイメージさせてくれました。

  もしかして、カプセル兵団のこの技法は、
  「必要な情報は与えた、あとはお前の想像力/イマジネーション力だ!」
  と観劇者の心の力量を試しているのではないか、
  という気すらしました。


・ 場面転換の方法が独特。
  今まで観てきた舞台では、

  1.舞台上にいくつかのシーンを演じるべき演者さんを
    既に配置しておいて、それらをスポットライトその他を使って
    観劇者の視点を切り替え、今は「この人の話」「今はまた違う場面」の
    ように切り替えていく形で場面転換をテンポ良く行っているもの

  2.物語の区切り単位で登場人物の入れ替え、セット自体にも手を入れ、
    別の場面である事を表現するもの
    (テンポは悪くなってしまう)

  などが多かったです。
  ※ お金にものを言わせる大劇団は、必要な全てのセットを
    大舞台上に作っちゃったりしてましたが、
    自分的にはそういう舞台に限って、演者と観客の距離(物理的、心理的)
    が離れすぎてしまい、何も共感できない/集中できない、
    というものが多かったです。


  カプセル兵団の本舞台は、2.に近いといえば近いのですが、
  舞台上に何も置いていない(演者が全てのセットも演じている)、
  演者自体が色々な役を場面ごとに切り替えて演じている、
  などの関係から、
  独自の「ギュルルルルルルルルルン」という効果音と共に
  舞台上から人が去り、そして現れ、あるいはそのまま別の役に入り、
  というかなりのテンポの良さで
  いくつもの場面をTVやアニメ、映画のように1舞台上に1場面、
  という形で表現していました。

  これがまた観ていて気持ちの良いものでした。
  (折角お話に集中してきた時に下手に間を作られて、
  集中が切れる、という事が全くない。)

  後半のバトルパートなど、それぞれの仲間たちの緊迫した場面を
  1カット1カットテンポ良く切り替えていく部分は、
  観劇している自分のドキドキ感をかなり煽ってくれました。


・ 今回は「カプセル兵団」オンリーでの挑戦!との事。
  今までカプセル兵団で観せていただいたお芝居では、
  ゲストキャスト(有名声優さんその他)を組み込む事で、

  ・ 集客的な期待(ゲストキャスト目当てで観劇に来る人も多いかと、
    かつては自分もその1人でした)

  ・ ゲストキャスト人気による笑い取り
    (やはり、有名人がやる行為は何かと観客を惹きつけるものがあるかと)

  なども、お芝居の一部として入っていたのですが、
  それにはメリットと同時にデメリット的なものも感じていました。
  (ゲストキャストが忙しい、などで完全にお芝居の流れに組み込めない場合、
  ゲストキャストの登場シーンだけ「コーナー」的なノリになってしまい、
  今までのお話の流れ/空気感が壊れてしまう、など。)

  しかし、今回は「カプセル兵団」オンリーで仕上げた舞台、との事。

  「今のカプセル兵団自身の力量の全てを見せる」という意味合い、
  意思表示的なものを感じました。

  そしてやはりカプセル兵団のパワーマイムその他を使った独自表現の素晴らしさ、
  他劇団との違いに、
  「カプセル兵団のこの方面の演劇/表現技法は演劇界でも突出しているな」
  と思わされました。

  ※ 自分はお芝居/劇団の知識が少ない為、
    他に同様をやっている所が
    存在するのかどうかは知りませんが、
    少なくとも自分にとっては
    「カプセル兵団はオンリーワン!」
    と思っています。


・ パワーマイムなどに気を取られがちですが、
  殺陣自体もすごくうまい、
  そして公演チラシに記載されていた自ら編み出された
  各表現方法について、改めて観劇すると
  確かに他の劇団では観る事のできない、
  「すごい」の一言では片付けられない、
  とてもおもしろい演技技術が沢山つまっている事を
  改めて知りました。


【ちょっと気になった点】
・ 序盤だけでしたが、いつもの説明セリフがちょっと聴きづらかったです。
  (劇場の大きさその他や自分の集中度合いの関係かとは思いますが)


・ 笑いのネタの功罪
  ジャンプその他から来た笑いのネタが、
  多分30代、40代にドストライクのものが多かったかと思います。
  (自分はツボ過ぎて笑いが止まりませんでした。)

  しかし、若い人や老齢の方などからすると、
  完全に置いていってしまっていたかも知れません。

  この辺、他劇団でもワンピースなど今の若い人なら誰でも知ってるネタを
  使ったりしていて、しかし老齢の方からすれば
  「今の笑いは何故起きた?」
  とポカーンとさせてしまい、せっかく物語に集中できていた
  気持ちを途切れさせてしまう(ものと思われる)部分もあり、
  取り扱いが難しい部分かと思います。


  ある世代にターゲットを絞った笑いネタの
  多用は避けた方がよいのかも知れません。


PS.基本笑いとバトルのスペースオペラでしたが、
  後半の魔晄を浴びてしまった人たちの暮らす星の
  お話では涙腺が緩んでしまいました。
  結局、よしみつ軍団にみんな殺されてしまいましたが
  あの辺もっと掘り下げると泣けるカプセル兵団も
  観れるかなあ、という気がしました。


  あと、これ言っちゃっていいんですかね。
  kala●inaとガンダ●ユニコー●の曲、自分は両方大好きで
  「ぜひka●afinaはミュージカルで、
  ガン●ムユニ●ーンは舞台で使ってくれないかな」
  といつも思っていたので、今回の選曲はベストフィットしていたと思います。
  ただ、どこからかかぎつけてくる怖いJAS●ACは大丈夫ですか?
朗読劇 しっぽのなかまたち3

朗読劇 しっぽのなかまたち3

ドリームプラス株式会社

天王洲 銀河劇場(東京都)

2013/11/19 (火) ~ 2013/11/22 (金)公演終了

満足度★★★★★

現代のペット問題を取り上げつつペットの気持ちに近づける(ような気がする)いいお話
歌手/声優の牧野由依さんの朗読を聞いてみたくて観劇。
(結構豪華な制作陣、キャストについては当日までまったく
把握してませんでした。)
ペット(犬/猫)とその飼い主達に関する短編劇をいくつか、
またその間奏に歌その他の企画が入る、という盛りだくさんな2時間。
各話内容は結構深く現代の様々なペット問題などを
コミカルに組み込みつつも必ず涙を誘われてしまうものでした。
お話だけでなく各演者さんも熱意ある語りっぷりで
良い形で気持ちを持って行かれました。

ネタバレBOX

考えてみたら牧野由依さんについては歌声以外(顔、普段の声など)知らず、
最後の話まで誰が牧野由依さんか分かりませんでした。

制作陣が朗読劇「私の頭の中の消しゴム」(2年連続観賞しました)の
脚本担当の人や、その他も有名人が揃っている事を現地で知りました。
まあ、あくまでも主体は朗読劇の演技(群読)の方だとは思っていたのですが、
「私の頭の中の消しゴム」は2度観て2度ともちゃんと感動できたので、
結構期待度上がりました。


開場時パンフ販売などは見当たらず、
「キャストとそのペットの写真」の販売をやっていたのですが、
どれが牧野由依さんか分からず買えませんでした。
(牧野由依Loveな先輩がいたので自慢したかったんですが( ´ー`))


で、開幕。
まず演奏担当らしき1人が入場(この人は結局全話の効果音から
演奏/劇間の間奏/歌からをこなす、かなり多才な人でした)、
そして物語の始まり始まり。


  どこかで短編集というような話を聞いていたような気もするのですが、
  現地に貼ってあった案内パンフには1つの物語についてしか
  書いてなかったので「2時間長編」を想像していました。

  「朗読劇の2時間長編(休憩なし)は
  かなり気持ちを引き込まれるような良い出来のモノでないと
  とても辛いことになるぞ」

  と、結構緊張しての観劇始まりでしたが、
  短編、間奏、短編、間奏~の良いテンポでの流れだったので、
  いい感じに肩の力が抜けていって良かったです。


※ この朗読劇では登場人物は人もペットもみんなしゃべります。


●母親、少年(子供)、若(い)犬、老犬のお話
耳の聴こえない少年、その母親、老犬、元野良だった若犬、のお話。
老犬は耳の聴こえない少年の耳代わりになって、
炊飯器でご飯が炊けた音を知らせたり、
その他色々と少年を助けてくれていました。

しかしもう歳も歳なので、若犬にその役を継いでもらえないかと
母親は思い、そういう教室に若犬を預けたりもしたのですが、
元野良で自由に憧れる若犬は、そんな事おかまいなしに
勝手気ままに過ごしていました。


「父、母、少年、老犬、若犬、全員で来年も
あの山の向こうの花火を観よう」と約束していたのですが、
当日母親は「急に仕事が入ってしまった」と約束を破ってしまいます。
(※父はこの1年の間に亡くなってしまった模様。)


諦めきれなかった少年は耳が聴こえないというハンデをかかえつつ、
老犬、若犬を連れて、山の向こうの花火を観に徒歩で向かいます。

少年と老犬の脚では山を超えるのはかなり大変で夕方になってしまい、
1匹だけ軽快に進んでいた若犬は
「飼い犬なんてガラじゃない、コレを機にまた野良犬になってしまおう」
と逃げ出してしまいます。

そして、山を登ったあげく迷子になってしまう若犬に対して
少年と老犬が探しに来るのですが、もう真夜中。
結局花火にも間に合わず帰ろうとした所で
老犬の具合が悪くなってしまい、

少年と若犬で「助けを呼んで来るから待ってて」と
2人で山を降りようとします。

そこへ走ってくるトラック、耳の聞こえない少年は気づきません。
若犬は「ワンワン!(おい、車だぞ、危ないぞ!)」と
リードを引いて少年に伝えようとするのですが、
今まで散々勝手な行動をとってきた報いか
またいつものおふざけかと少年は取り合わず、

あわや車に轢かれる!

というタイミング、老犬がなんとか走ってきて少年と若犬に
体当たりして間一髪、みんな助かりました。

この経験を機に若犬は心を入れ替えました。

そして10年後、大学生になった少年、でかける際に
若犬に着せる服には「聴導犬」(耳の聞こえない人を補助する犬)の文字が。
母親と少年、若犬は部屋に飾られている2つの遺影(父親と老犬)に
挨拶をして出かけていく、というお話。


まず、耳の聞こえない少年とそれを助ける老犬、
この関係だけで涙腺がゆるみました。

そして、逃げて迷った自分を探しに来てくれた少年と老犬、
車に轢かれそうになった所を命がけで助けに来た老犬に心打たれ、
少年を助ける「聴導犬」になった若犬の誇らしげな姿が印象的でした。




●動物病院での一幕
・ 大きく育ったチワワと飼い主のキャバクラ嬢

・ 避妊していない発情期の♀猫とそれを溺愛する男

・ 飼い犬のゴールデンレトリバー(歳で心臓が悪い)を
  妻と別れてから更に溺愛するようになった男

そして

・ 動物の言葉が分かる医師

とで繰り広げられるやりとり。

医師役1人に対して、
飼い主3人とそれぞれのペット3匹を3人の演者が順次演じ分けていく、
というのが面白い、と思えるお話でした。

・ 大きく育ったチワワを
  「こんなに大きくなってこれ本当にチワワですか?」
  「彼氏と旅行に行くんでこのチワワは病院にあげます」
  とムチャを言うキャバ嬢。

・ ♀猫を溺愛する飼い主と、発情期の猫の発情ぶり。

・ 「ゴールデンレトリバーが心臓の薬だけ飲んでくれない」
  と心配する飼い主と、
  ゴールデンレトリバー側は
  「奥さんと別れてから自分に更に執心して、
  本人も肺の病気で死にかけたのに
  ペットの自分の事だけを考え、主人は人生を損している。
  主人にこれ以上迷惑をかけるぐらいならもう死にたいから
  治療はしないでくれ」と医師に訴えます。


それら飼い主とペットとのやりとりの中で葛藤し、
そして、「動物の言葉が分かる自分がなぜ獣医になったのか」、
という事に立ち返り(詳細は説明されませんが)、

・ キャバクラ嬢のチワワは
  「うちで引き取るから2度とペットなんか飼うな!」
  と追い払い(引取先もすぐに決まり)

・ ♀猫の件は(??)どうしたか忘れてしまいました

・ ゴールデンレトリバーの件は、
  「ゴールデンもご主人を心配されています、
  ペットは飼い主を見ているものです、
  まず自分の事を大事にして、その上でゴールデンも
  大切にしてあげてください」
  と諭す

という一幕。

ペットをおもちゃやマスコットのように飼う今の風潮や
ペットに依存する飼い主とそれを想いやり過ぎる
飼い主に似すぎてしまったゴールデン(ゴールデンの心情は想像ですが)、
そういったものに現代のペット社会の問題を見たような気がしたお話でした。

どこかの場面でやはり涙腺が緩んだのですが、
どこだったかちょっと思い出せません。
というか、これら全話について泣かなかったお話はありませんでした。




●保健所での一幕
保健所で明日は引取会(一般の引き取り手に気に入ってもらえれば
引き取ってもらえる、ひきとってもらえなければ殺処分)、
という状況の中で
悪ぶる不良犬4匹それぞれの今までの飼い主との関係/人生が悲しく、
またそれを人に好かれる(演技が出来る)かわいい犬にしてあげます、
と教育の為にやってきた老犬、
そのやりとりに笑い、
しかしそれぞれの犬のこれまでの人生(犬生)の悲哀に涙してしまいました。

最後、それぞれの犬について
「これならきっと引き取ってもらえますよ」
とその場を後にしようとする老犬、

老犬も引き取り手が見つからなければ殺処分なのに、
「なぜこんな事をしているのか?」
という質問に、
「15年間自分を愛してくれた飼い主が、自分が病気でもう長くないと
知ったら、死ぬ所は見たくない、と保健所へ連れてきたんです。
もう、みんな(犬達)に囲まれて自分は死にたいんです」
と何かを悟ってしまっていた老犬。

しかし、最後引取会に現れたのはかつて自分を保健所へ預けた飼い主、
そしてその飼い主が話している言葉(人語)を他の犬に訳してもらうと
「ごめん、本当にすまなかった」との謝罪の言葉。

そして閉幕。
みんな引き取り手が見つかるといいなあ・・・( ´ー`)


ペットは飼い主を選べません、
・ 散歩にもつれていってもらえずずっと家に閉じ込められていた犬
・ 何をしてもいつも殴られていた犬
・ ペットショップで自分だけかわいくない、という理由で
  最後まで売れず最終的に保健所送りにされてしまった犬
・ 頭もよく人間の為に尽くしたのに結局保健所送りになってしまった犬
  (ここだけ理由がよく分かりませんでした)
それぞれ悲しいドラマを持った犬達に、
「これって本当にある事なんだよな」と共感し、
そして少しでもハッピーに終わればいいなあ、と思わせられました。

演者(犬)の演技の熱さが一番光ったのはこのお話かも知れません。




●やさしい飼い主(主人公)と飼い猫♂と新たに拾われた♀猫の話
主人公が野良猫だった♂猫を拾いって数年、
ある日新たに♀猫を拾ってきます。

自分は捨てられたんじゃない、と言い張る♀猫、
しかし実は、飼い主一家に愛されて暮らしてきたけど、
飼い主一家に生まれた赤ちゃんが猫アレルギーだと分かり、
ゆずり先を探したが見つからず、最後には
どこか遠い所に放置されて何も食べ物もなく
死にかけている所を主人公に助けられた、という。


しかしある日、築50年のアパートを取り壊すから
立ち退いてくれ、と大家からの一言。

猫2匹を飼える新しい部屋を必死で探しますが全く見つかりません、
ある日「ペット1匹なら飼える家がある」と友達が紹介してくれますが
主人公は「そんなのダメだ!みんな一緒じゃなきゃダメなんだ!
この子達には捨てられるなんてそんな想いもうさせたくない」と。

それを聞いた♂猫が
「実は俺はもう飼われる暮らしに飽きていたんだ、
元野良だから外でもなんとかなるだろう、おれは出て行くぜ」
と♀猫に言い残しボロアパートの窓をこじ開けて出て行ってしまいます。


「1匹なら飼える家があるんだろう?」という♂猫のやさしさ/気遣い、
しかしそれが逆に主人公を追い詰めます。
毎日街をめぐり♂猫を探す主人公、しかし見つかりません。

そして♂猫の方もひさしぶりに出た街はあまりにもきびしく
食べるものすら見つからず死にかけてたどり着いたのは、
かつての自分の家の隣り。

  ここで伏線として張られていた、
  室内飼いなのに、隣りの家のババアが♂猫が庭にうんちをした、
  と思い込んでいてアパートの窓にいると毎回睨んでくる、
  という話が生きてきます。

♀猫が「♂猫の匂いがする!すぐそこに♂猫がいるニャン!」と
飼い主に訴え窓に近づこうとしますが、
主人公は「お前も出ていこうというのか?」と涙してしまい
とりあってくれません。

そこへ隣りのババアの人が「♂猫がうちの庭にいるわよっ!どういうことっ!」
と怒鳴りこんできた事で主人公と飼い猫♂は再会する事ができました。


最後、家が見つかったかどうかは語られませんが、
きっとこの3人(1人と2匹)はきっと離れる事はないのだろうなあ、
とやさしい気持ちにさせられました。

こんなやさしい飼い主さんがいたら幸せだよなあ、と。




各話それぞれペットに対しての今の社会問題を語りつつも、
飼い主に愛され、そして飼い主を愛しているペットと、
それを愛する飼い主との
ほのぼのと心温まるエピソードを織り交ぜた、
非常にやさしいお話だと思いました。


【気になった点】
・ 観客参加型の朗読劇、という事で各お話の序盤/中盤に、
  クイズその他演者と観客とのやりとりの場が入るのですが、
  毎話入るこのやりとりの中で、
  「ちょっと(演者さんが)調子にのって遊びまくったり、
  せっかく入り込んできた話のこしを折りすぎでは?」
  という気分がしないでもありませんでした。
  (素直にお話だけで泣かせてほしかったような。
  しかし、それだと2時間は結構疲れてしまったのかも
  分かりませんが。。。)

・ よく喋る役、あまり喋らない役、いろいろな役がありますが、
  やはり熱が入ってくるとよく喋る役の方の負担は大きかったようで
  噛む場面が結構見受けられました。
  「それぐらい見逃せ」とは思いますが、
  「一番いい場面で」となってしまうと・・・

  そういう粗が結構目立つ部分もあり、
  少し演技力にまだ欠けている部分があるのかなあ、と

・ 集客に困っていたのか、結構観客数が少なかったです。
  わざと席数を抑えているのならいいのですが、
  これだけ良いお話に3階フロアまである劇場の
  1階のみかつそこも埋まりきっていない、という
  (平日だからかも知れませんが)。

  「少し宣伝活動その他に力を入れた方がよいのでは?」と老婆心ながら。

  せっかくのいいお話、演技なのにもったいない。

ペットを飼う事に憧れる子どもたちにぜひ聴かせてあげたいお話でした。
Vivid Cafe~It'sオーケストラ~

Vivid Cafe~It'sオーケストラ~

VIVID CAFE

青山ダイニングカフェtheater(東京都)

2013/11/03 (日) ~ 2013/11/04 (月)公演終了

満足度★★★★★

観劇し、大神さんの芸幅の広さや一人芝居が決して「独り」ではない事に感激し
青山のダイニングカフェでの一人芝居公演。ネタバレは避けるとして一言でまず「面白かった!!」。
その上、開演前からスタッフ(いつもなら舞台上にいる演者さんから裏方さんから)の皆様で
(ボクラ団義という劇団の空気といっていいのかどうか分かりませんが)
アットホームな(褒め言葉にちゃんとなっていれば良いのですが)
いい空気をダイニングカフェいっぱいに作られていて、
一人芝居初観劇の自分にとっては最高の空間で最高のお芝居を味あわせていただきました。
(それにしても、お酒のツマミとして舞台が観れるなんて幸せだなあ( ´ー`))

ネタバレBOX

【観劇中、観劇後1番に思った事】
─────────────────────────
ボクラ団義さんの舞台をいくつか観劇し、
またそれぞれの演者さんの客演舞台もいくつか観劇する中で、
自分の中で各演者さんに対して
「誰々さんはイケメン担当、誰々さんはシリアス担当、
誰々さんはアクション担当、誰々さんはお笑い担当」のような
イメージ(型?枠?)を勝手に持ってしまっていた(ようなのですが)、
ボクラ団義切り込み隊長の大神拓哉さんにそれを見事にぶち破って
もらったような気持ちになりました。
(劇団の皆様誰もがどんな演技も、主役も脇役も張れる
(またその可能性がある)演者さんなのだという事を再認識させられました。)


前回のVivid Cafe案内で初めて本劇を知り、ボクラ団義本公演、
Re.Again(Playでしたっけ?)と同様ずっと気にはなっていたのですが
「大神さんといえばハスキーボイスのお笑い担当キャラ、
その大神さんの一人芝居=単なるお笑いお芝居」と想像してしまい、
「自分が観たい/何かを得たいと思う舞台とはまた違うのかな?」
などと勝手なイメージを抱いていた事が本当に申し訳ない所です。
(いや、お笑いお芝居中心ではあったのですが、
思わぬ深みがあったり印象的かつ考えさせられるものがあったと、
得るものがかなりあったという事をちゃんと言っておかないと、うん)
─────────────────────────


そして、Vivid Cafeが一人芝居であっても「独り」ではない、
劇団総員総当りの舞台である事を感じました。


まず会場であるダイニングカフェ前でボクラ団義ルーキーの女性
(ごめんなさい、お名前覚えてなくて)が会場案内、
そして会場に入るといつもなら舞台の上や前説、物販ぐらいでしか
触れる機会のない色々な方々が自ら案内、
ドリンク/スナックのサービス、前説に当たる説明など、
ボクラ団義スタッフ総当り(これでも全員ではないでしょうが)で
会場の空気づくりをしてくれているのもあって、
なんだか居心地がいい、
(いつもの色々な劇団のお芝居なら)これから始まる舞台にドキドキと
緊張の待ち時間なのにお酒にお菓子にキャストの皆様の会場廻りに
何かアットホームな気分に浸りながら開演を待ちました。


パンフには「深く考えないで感じるままに観て下さい」のような案内があり、
「やはり大神さんの一人芝居という事で、いつものボクラ団義テイスト
(伏線その他色々な深みと感動を与える)とは違う単純なお笑い方向、
と考えた方がよいのかな?」と思っていました。


しかし、開演での大神さんの「オーケストラ」についての説明
(by ウィキペディア)から始まり6つのお芝居が展開されて
(途中休憩もまたいいタイミングでした)
最後のテロップで流れるメインテーマを観て、
「ああ、やっぱり深いお話だったんだなあ」
と改めて考えさせられました。


いつもは観劇中にアンケートを書くなどしてしまうと
「舞台から集中がそれてしまうかな」と考え、
アンケートは終演後に書くようにしているのですが、
今回のお芝居では1つ1つの小芝居(ショートコント、
とは呼ばないですよね、1つ1つの小劇をなんと呼べばよいのでしょう?)の
間に、色々笑いのツボから思わぬ深みのあるお話まで、
いつものボクラ団義本公演とは違う方向でありながら
やっぱり盛りだくさんかつ考えさせられる/得られるものの多い舞台であった為、
思わず気づくまま、思いつくままをアンケート用紙に書きながらの
観劇となってしまいました。


パンフにあった各劇(名前を忘れてしまったので勝手にタイトルつけるとして)
(0)開幕

(1)音楽の先生
(2)女子大生麻衣
(3)ヤクザの銭湯
~休憩~
(4)演出家?
(5)食べるおじいさん
(6)25年?ぶりの歌い手

(7)終幕
までの全小芝居について、爆笑、失笑などの笑いを中心に、
考えさせられるものやちょっとした息抜きまで、
色々なものを本当にうまく演じ分けられていたと思います。

途中でふと思いその後ずっと気になっていたのですが、
6編の本編はそれぞれ何かの時事ネタその他についての
風刺的な意味合いなど何か背景を持っていたのでしょうか?
(後で人からも指摘されましたし、自分も観劇中に
「何かあるのでは?」と勘ぐってしまいました。
あるとすればそこはボクラ団義流
アフターパンフなどで知りたかったなあ・・・)


(1)音楽の先生
いきなり大神さんの「あれ鈴虫が鳴いている~」の歌から始まる本劇、
ここでまず驚いたのは、大神さん=ハスキーボイスだけではない、
歌声での声域の広さでした。
そこから前の先生が国の機関に捕まっていたり、「松村くん」が大暴れしたり、
最後の最後にネズミ講に走ったり、と短時間ながらかなり展開の激しい劇でした。

ここで一人芝居での舞台/空間(ここでは「教室」)の作り方/演じ方を
まず見せてもらいました。


(2)女子大生麻衣
普通の女子大生が普通にバイトして普通に恋をして普通にバイト仲間に相談してそして・・・
という本当によくあるリアル、をこんなに面白い劇にするとは思いませんでした。
「ゆうや君」が君に届けの風早君やスラムダンクの流川君やらに似ていると言われて、
「えー!ゆうや君のイメージがブレまくっててさっぱり分からん!」
と麻衣に突っ込みたい気持ちでいっぱいでした。
(麻衣はというと最後の写真映像が君に届けのサダコ(爽子)
そっくりで不気味ながら可愛かったです。)

そしてあんだけ「バックレしてやる!」とアピールしておきながら実は
「4回め」というオチが完全にツボでした。


(3)ヤクザの銭湯
普通のスーツ姿のおじさんが居酒屋か何かに入って
常連さんに挨拶したのかと思ったらいきなりスーツを床に放おって
シャツも脱ぎ始めて、そして背中のクリカラモンモン(刺青)で
「ヤクザか!」と分かり、更にそこが銭湯である事が分かり、
「銭湯は刺青の人入店禁止でしょ!」とは思いつつ、
どんどんお話に引きこまれていきました。
(名前を忘れてしまいました)部下が風呂が嫌い、という設定なのに
いつの間にか背中流させたりしてて(「スーツのまま背中流してるのか?」と想像)、
勝手に妄想して勝手に失笑しながら見守っている中でまさかの裏切り!
と思わせて更にサプラーイズ!

劇的には他の劇も好きだったのですが、この劇以降各劇が
「どうオチるのか?」と疑心暗鬼的な深みを持った
(と思っている)事からも自分はこれが一番好きなお話でした。


(4)演出家?
とにかく「ヌーッ!」とか1文字擬音が出まくりの演出家?が、
「デヤー!」っとか「ウォー!」とか2文字擬音になるタイミングが
劇の盛り上がりに合わせているかのようで面白かったです。
しかも7つも舞台抱えていたのに最後に「担当が本舞台1つになりました」
その理由が自分の女優に対するセクハラ、という事がこれまたもう・・・
ツボでした( ´ー`)


(5)食べるおじいさん
あの有名な楽曲(すいません、名前分かりません)に合わせ、
おじいさんがとにかくご飯を食べる、
大神さんが本当にご飯や鮭?やピザなどを食べる、
「大神さんの昼食かな?」と思える劇(?言い方難しいですね、このお話は)
で、自分は「こ、これって劇、なのか?」と否定的?に思いつつも
笑いはこみ上げるし「他が結構凝ったお話だったのに対して
ここが一種の息抜き的な場面なのかな?」とやっぱりこのお話も
この6編の中では必要だった気がします。
(必要悪的な小芝居?)


(6)25年?ぶりの歌い手
(大神さんお得意の)フォークギターを抱えて出てきた女性歌手、
それが25年?ぶりの人前での歌であり、歌手をやめてからの半生が
これまたすごいもの(だんな沢山子沢山)であった事、
最初の息子が大麻で捕まって出てきた事、雑草にドレッシングは合う?事、
などをおもしろおかしく演じ、また歌い上げていました。
最後の「よさこい祭り」がいいオチでした。


そして、終幕時のテロップで今回のメインテーマ「オーケストラ」
についての説明が再度流れるのですが、そこで
「6人それぞれのまったく関わらない物語、
それぞれが奏でているハーモニーが絡み合った時、
素晴らしいオーケストラになる」というような説明に、
なんだかこの6編全てを総括する形で「うん!」と
納得させられてしまいました。
(パンフにあった「深く考えないで」がある意味ここにつながる壮大な
伏線だったような気もします。)




すいません、その他にもこの開幕/終幕と6編の中では
お話の色々な動きの中で色々な事を考えさせられたのですが、
もう全部を書ききれません。

いやあ、「壮大」な一人芝居だったなあ( ´ー`)

PS.これまでのVivid Cafe5回のDVDが発売、「サインもするよ!」という事で
  非常に欲しかったのですが、別用ですぐに撤退してしまいました。
  次回公演ではぜひ全編合わせて買わせてもらいたいと思います。

  あと「終焉少女(名前思い出した)」もその頃には売ってるといいなあ。。。


PS2.(すいません、書き忘れてました)
  基本自分の中では、各劇団について舞台として観せてくれたものに対して
  自分が感じた/受け取ったもので(まあ結局は主観的なものなのですが)
  評価しないといけない、批評を書くのならどこかに肩入れなど
  してはいけない、などと勝手に思っているのですが、
  あのダイニングカフェの中にこういういい空気を作ってくれたスタッフの
  皆様(+店員の方も)、そしてこの一人芝居を支える更に後ろにいる
  いろんな方々(脚本映像音楽パンフその他本劇を開幕し無事
  終幕するまでに関わられた全ての方々)、
  その存在を感じさせられてしまうと応援せずには
  いられなくなってしまいますね(そう思わせる事自体が
  「企画演劇集団ボクラ団義」さんの良さなのでしょうか)。
青春ガチャン

青春ガチャン

My little Shine

高田馬場ラビネスト(東京都)

2013/10/25 (金) ~ 2013/10/30 (水)公演終了

満足度★★★★

誰も人の死と関わらずには生きていけない事を再実感
タイトルから「青春」まっさかりのようなものを想像してました。
一部把握しているキャストからも「若さ体当たり!」みたいな舞台なのかな、と。
そして実際観劇してみて思ったのは、本舞台は「青春の1つの節目」に
当たるものを描いているのかな、と。

笑いネタてんこ盛りながらひさしぶりに鼻をすすってしまう
(涙のせいで)という非常に良い舞台でした。
(パンフで脚本家の方が「10年前に書いた作品」と言ってましたが、
細かい部分を現代風にアレンジしている事もあり、
古さはまったく感じませんでした。)

※ ただしこれだけは【内容】の方に書かせてもらいます。
観劇される方は迷わず前席を取って下さい(時間通りに行けば多分取れるかと)。
はっきりいってもったいなすぎるのが、
舞台が客席側センターに向けて下る段差式で作られ
そこが演技のメインとなるのに対して、
客席の段差がなさすぎて3列目の自分ですらメイン部分での演者自体、
およびその表情がほとんど見えませんでした
(前の人が特に背が高いという訳でもないのに)。
多分、周りの多くの人たちも同様だったのでは?

序盤はそこに落胆したものの「観えない部分は想像力で補完しよう、
声で演技は分かるから(我慢しよう)」と思えるぐらいに
お話の良さに助けられたと思います。

舞台をあと50cm高く作ってたらなあ・・・
あるいは自分迷わず最前列取るべきだったかなあ・・・

ネタバレBOX

(すいません、お話自体が結構「動いた」事もあり、
かなり長文になってしまいました。)


ネタバレするとして、(自分も)序盤の結構各演者バラバラな「動き」から
中盤以降それぞれのお話がまとまっていくまでを
一度整理しなければなりません(序盤が結構難しかったので)。
(人名は覚えられなかったので勝手に呼称。)


・ 1人猫と戯れる男(「主人公」)

・ バンドのメジャーデビューが決まり忙しいにも関わらず(「バンド女」)、
  友人女子(「ヒロイン」)と更に別の元ファミレス仲間友人(「おまじない女」)を
  誘い合コンをセッティング
  (ヒロインはここ3ヶ月何十回と合コンを繰り返している)

・ 待っていたのは、大学の(?)同級生達で
  ヒロイン「なんだよー、こいつらかよー」と。
  3人の男、それぞれ
  (バンド女の彼氏、「気配り上手男」)
  (元バンドメンバー、ヒロインに想いを寄せていた「元バンド男」)
  (合コンを拒んでいた、人間スペック的にみんなに対して引け目を感じ
  ちょっと浮いてる「パズドラ男」)

・ (場面変わって)
  主人公の名前を呼びながら、
  「ずっとお前に助けられる度に引け目を感じてた、さびしかった」
  「でもお前がいなくてもやっぱりさびしいんだな」(「ヒッキー男」)

・ (更に場面変わって)
  主人公がヒロインに
  「水族館に行きませんか?イルカのショーってすごいんだよ」
  と告白シーン、告白を受け入れるヒロイン

・ (舞台が合コンに戻る)
  猫が合コンに乱入し、ヒロインの指輪を盗んで逃げてしまう。
  そして追いかける一同。

と、ここまでではまだ少し人間関係が見えた(ように見える)だけで
お話は全く見えません。


そして突然、猫が主人公に話しかけてきます、そして語りだす現実。
(ここから先は順不同ですいません、自分も雰囲気重視で観た事もあり、
流れ全部覚えてないので)


(3ヶ月より前の過去に戻る)
2つの場面
1.バンド女、元バンド男、そして主人公(作詞も担当していたらしい)の
  3人のバンド、
  主人公とヒロインが付き合い、そして結婚を誓い合った事を知り、
  (元バンド男は少しくやしさもあるのでしょうが)
  主人公達をひやかします。主人公まさに幸せの絶頂。

2.ヒッキー男とパズドラ男、そしてもう1人「ブス子」(アダ名)という
  3人組はとても仲良し(この3人でいる時だけパズドラ男も
  ヒッキー男も自分をさらけ出せる)で、
  今日もヒッキー男が気に入っているという女の子(おまじない女)が
  いるファミレスへ。

  実はおまじない女はパズドラ男の事が好き、という事実を
  (空気で察したブス子はいち早く撤退)
  バンド女経由で知ってしまうヒッキー男、
  そのショックから逃げ出し、パズドラ男の必死の言葉にも
  耳を貸そうとしません。


  そして、、、
  その状況にたまたま通りがかった主人公、
  「(ヒッキー男に)ひさしぶりだな、最近会えてなかったけどお前大丈夫か?」
  とヒッキー男をなだめようとしますが

  ヒッキー男「もうお前に助けてもらいたくなんかないんだよ!」
  と強く主人公を突き放します(※突き飛ばす訳ではない)。

  そこへたまたま猫を避けた車が突っ込んで来て・・・
  主人公はあっけなく死んでしまいました。


序盤演じられた今までの場面、実は猫は見えても主人公は誰にも
見えていなかったという・・・


そして、
・ 主人公の死んだ原因は自分にある、と自分を責め続け
  引きこもってしまうヒッキー男
・ 主人公の死で何かが切れてしまったかのようにバンドを辞める元バンド男
・ 主人公の事を忘れようと、合コンを繰り返すも、いつも
  虚しさしか残らないヒロイン
という状況が序盤の背景でした。


猫は主人公に悪い事をしたと思い、主人公に自分(猫)の身体と
不思議な力(「シェー」のポーズで相手に「なんとなく」意志を伝える事が
出来る)を与えます。


と、この流れだときっと主人公(猫)が、
猫の身体と「シェー」を使って各人の問題を解決していくお話かな?
と先を想像したのですが、わたくしごときに想像できるような
単純な持っていき方ではありませんでした(お見事です)。


公園にて猫から指輪を返してもらい誰にともなく
「どうすればいいんだろうね」と泣くヒロインに対して、
つい「シェー」してしまおうとする主人公、
この場面は元バンド男がちょうど現れて「シェー」中止。


そして猫が主人公に、
「今なんて言おうとしたの?生きてる人に対して死んでる
あなたが何を言おうとしたの?」
というような結構厳しいお言葉(詰問?)。


自分は「えー、折角力を与えておいてそのツッコミかよー、
じゃあお話はどこへ向かうんだ!?」
とちょっと心の中で脚本家さんにツッコミたくなりました。
が、もちろん「何も用意してない」なんて事はありませんでした。


その間にも
・ 元バンド男は「ずっとお前が好きだった」とヒロインに告白、
  ヒロインはそれを「今すぐはあなたの気持ちに答えられない」と断る。

など色々な事がありますがすいません、この辺全部は覚えてません。

・ (過去に戻って)主人公がヒロインに指輪をプレゼントするシーン、
  この辺だったかな?


この次の大きな流れは、最初過去話として何気なく振られた
バンド女「あなたの後ろに霊がいるよ」(これは元バンド男にだったかな?)
が実は伏線で、合コン中およびヒロインに指輪を返すまでの流れ全てで、
実はバンド女だけは主人公が見えていた、という事実。


バンド女は「独り言だけどー」と猫と会話を始めます。
そして主人公(死者)の想いを聞きます。


この場面が主人公の決意につながったのだと思いますが、
どういう変遷だったのかはすいません、忘れてしまいました。


で、場面変わって
ずっと家を出ないヒッキー男の為に毎日家に通い買い物をしてやり
「あの事故はお前のせいじゃないよ」とはげまし続けたパズドラ男、
それに対して「もういいんだ。そうだ、この遺書をゴミ箱に投げて
入らなかったら死ぬ」とヒッキー男は自殺を考えます。


そして、突然現れ大家から鍵を借りて部屋に入るパズドラ男とブス子、
そしてブス子は自殺を止めようとしたのではなく、
好きだった彼との仲がおかしくなり、浮気され、暴力まで振るわれ、
という状況に「自分も死にたい」と。


そしてパズドラ男も
「おまえら2人がいないんじゃ俺が生きてる意味もないよ!
失敗したら自分も死ぬ」と。

そして(ここら辺は想像ついてましたが)、
ヒッキー男の投げる遺書を主人公(猫)がキャッチし、ゴミ箱へ。

3人「猫が、、、奇跡だ!」


また場面変わって、

以前の場面で猫、そしてヒロインを探していたバンド女に対して、
手で絵の構図を見るように枠をつくり飛行機をその中にとらえて
おまじない女「このおまじないが10回成功したら願いが叶うの!」
と、KY(といっていいでしょう)な発言、
それに対して、バンド女は
「あんたはヒロインの事じゃなくてずっと飛行機を探してたの!」とキレます。
(まあ、空気からいって当然です、おまじない女空気読まなすぎです)


その事に対して、突然また手で枠をつくり
おまじない女「これで10機目だ、、、
お願いします、神様、(バンド女)ちゃんと仲直りさせてください!」

(空気読めないままだったらパズドラ男との事を願っていただろう、と思う所)
友達との友情をお願いします。


それらを観ていた主人公がとうとう「シェー」を・・・
(すいません、多分話の順間違ってると思います、先に「シェー」したかな?)


主人公「死んでる俺も頑張ってるんだから、過去とか未来とかの事ばかりに
    とらわれないでお前らも今を頑張れよ!」(みたいな事を)
    (過去、今、未来の関係については、確か猫がこれまで何度か
    伏線として差しこんでました。)

    追記.
    「多分、生きてる奴らの問題は、生きてる奴らで頑張って解決しろ」
    って事なのかしら?と今更思ったので追記します。


みんなの心に、何かが届いた。


そしてバンド女がヒロインに電話で「猫に主人公が憑いている」と教え、
ヒロインは猫を探しそして見つけますが、その時には主人公は既に
猫に身体を返し「あの世(消えてしまう?)」へ向かうという・・・


ヒロインは聴こえるかどうか分からなくても主人公に対して
「私頑張るから!今までありがとう!」というような事を叫び続けます。


そして暗転、これで「~ Fin ~」かな?
序盤から考えてうまくまとめたなあ、と感心していたら、
ここで本当の最後の場面が。


かなり昔

主人公がバンドメンバー達に対して
「昔単細胞生物だった時、生命は死ななかったんだ。
でもある日ある単細胞が他の単細胞とくっつこうと考えて
そして生命は進化を得た。そして、同時に死も得たんだ。
多分そいつはイルカだったと思う、あいつら寂しがりだから」
とイルカに絡めた話をします。
(※書き忘れましたが、主人公は度々イルカネタを投げています、
イルカ好きなんでしょうね)


こういう形で「死」について締めくくり、それぞれが
主人公の「死」(という節目)をやっと受け入れて
これからを歩み始めるんだなあ、と。


長文すいません、1時間50分という短い時間にしては
結構盛り沢山ネタ沢山でオチもうまく考えられた話だったと思います。
(書いてませんが、笑いネタがとにかくバンバン差し込まれました。)


PS.
【内容】の方で座席/舞台の視覚的な事についてきつい事を書きましたが
・ 各席に座布団用意してくれてたり、
  遅れた人用に?入り口周辺席を空けておいてくれたり、
  「舞台開演後、照明でかなり部屋が暑くなるので」と
  暑い/寒いという人がいないか聞いてくれたり、
  と制作/運営サイドはかなり気を使ってくれていたと思います。

・ Wキャストなんでしたね、そういえば。
  3人ぐらい入れ替わるようなので、もう1つの舞台が
  どう変わってくるのかも観てみたいなあ( ´ー`)

・ ヒッキー男のゴミ投げのシーン、主人公がキャッチに
  失敗したらどうするんだろう?(簡単な事もプレッシャーがすごいだろうから
  ミスもありえますよね)
  「何事もなかったように拾って入れるのかな」、とは思いつつも
  ・ 3人そろって死んでしまうというショッキング展開
  ・ あるいは思い直し
    「これからあいつ(彼氏)を、これからあいつを、
    殴りに行こうかー(チャゲ&飛鳥)」
  的な展開に持っていくんだったらこれまたおもしろい、と妄想してしまいました。

・ そうそう書き忘れ。
  「青春ガチャン」の「ガチャン」はなんなんだろうなあ?と思ってましたが、
  主人公の死によって、一度みんなの青春/人生が
  壊れてしまった、という意味の擬音表現だったのでしょうか?


本劇の観劇は役者さんからのお誘いメールでしたが、
今度は無事良作を観せてもらえたので良かったです。
(以前、別の役者さんからのメールの時、怒りに我を忘れた感想を書いたので( ´ー`))
紅蓮、還る

紅蓮、還る

ACRAFT

シアターKASSAI(東京都)

2013/10/17 (木) ~ 2013/10/20 (日)公演終了

満足度★★★

シアターKASSAIにあった規模のお話(舞台)だとは思う
「梶研吾×企画演劇集団ボクラ団義」の名の通り、いつものボクラ団義公演とはまったく違う風合いの舞台でした。シンプルめなハードボイルド(というかアウトロー?)のお話に剣劇を絡めた構成という、自分は好きなタイプのお話なんですけどね。「いつものボクラ団義とは違う舞台が観れた!」という良い方にとれるかどうか、ですかね。

ネタバレBOX

オーバースマイルの公演近くになって、
急遽「”紅蓮、還る”という舞台をやります!」という情報が出てきて、
「急な上そんなに短期連続でボクラ団義のあの深みのある舞台が
出来るものなのかな?」と疑問に思ってたんですが、
今回はボクラ団義主催ではなくあくまでも梶研吾さんのお話に対する
客演的な立ち位置だったんですね、ボクラ団義メンバーは。


前説をいつもの久保田唱さんでなく演者さんが担当していた時点では、
「これからはそういう挑戦をどんどん演者さんにさせていくのかな?」
と思ったのですが、そういう訳ではなかったようです。


ヤクザ(?)の地上げに屈しようとしている街で
たった1軒のBARとその客達だけが抗っている、という状況、
そこに剣の師と弟子の因縁が絡んでいく、
というかなりシンプル目なお話でした。


以前ボクラ団義さんが「遠慮がちな殺人鬼」をやられる時、
「シアターKASSAIという劇場で、いつものボクラ団義とは違った舞台を!」
という前口上(?)があった際、「こういう舞台をやるんだろうなあ」
と思ってたんですよね。


いつものボクラ団義さんの
・ とてつもなく深い物語に、叙述トリックなど伏線をはりまくり、
  それをとても分かりやすく観客に理解、回収させていく
  頭脳ゲームのような面白さ

・ ダンス、殺陣、演技、垂れ幕演出など、
  お話の起伏に合わせたテンポの良いシーンの切り替わり

・ 舞台の箇所箇所や照明の当たり方などを利用して
  いくつもの物語を同時進行させる上手い観せ方

とはまた違った、出来る事が限られる、そういった小劇場での
シンプルな物語(会話劇その他)を演じてみせるのかな?と


そういう意味では、自分が1度観てみたかったものを観れた、
ともとれるのですが、ちょっと色々と残念な所が見受けられました。

・ 物語の進み方、演出などのテンポが悪い(特に前半)
  1例として、あの場面で歌を1曲フルで歌わせる必要があったのでしょうか?
  物語のあのタイミングで(失礼ながらそれほど上手いといえない)
  歌を1曲フルで歌われている間に物語の方への
  集中が途切れてしまいました。

  前半途中、垂れ幕が降りて映像が出た辺りで
  「ここからいつものボクラ団義風味になるのかな?」
  と思ったのですが、そうでもなかったですね。
  (後半、剣の師匠と新弟子(?)が出たあたりからは
  お話のテンポもよくなってきたとは思うのですが。)

・ 演技、立ち回り、殺陣(特に殺陣)の練度の差が大きすぎる
  物語がシンプルな分だけお話よりも
  演者の演技、立ち回り、殺陣に目がいきましたが、
  演技自体、殺陣自体練習不足では?
  と思える人などちらほら(プロとアマぐらいに差が目立ちすぎました)

  特に緊迫するべき殺陣の場面で、
  「この練度では興ざめしてしまう」
  と思わせる場面が多々ありました。

  失礼な話ボクラ団義殺陣担当の皆様の組み合わせが
  出てきた時に「やっと真打ち登場か」と思ってしまいました。

  下手な人に上手い人が合わせろ、というのも妙な話ですが、
  何度も入る殺陣のシーンの中で
  ・ この場面はまったく迫力がない
  ・ この場面は「いい殺陣している!」
    (照明が刀身に照り返す部分までかっこいいと思える)
  というように良い場面と悪い場面が存在してしまい、
  バランスが悪かったように思えます。


そういう意味で自分からすると折角のボクラ団義メンバーの
「いつもと違った形の舞台が観れる」という喜びより
舞台としてイマイチな感じが先に立ってしまったような気がします。

ただ、暗転させてヤクザ(?)の事務所とBARのシーンを切り替える、
大道具の切り替えの早さと観せ方は良かったと思います。


PS.悲しかったのは、いつものボクラ団義舞台ならそこまでのお話に
  まず引きこまれているから突然突っ込まれる笑いネタに
  もちろん自然と笑ってしまうのですが、
  話に引き込まれていない状態で笑いネタが出ても素で観てしまって
  笑えない、という事でした。


今年最後の年末本公演に超期待したいです。
ヒルコ

ヒルコ

クロジ

俳優座劇場(東京都)

2013/10/02 (水) ~ 2013/10/06 (日)公演終了

満足度★★★

3組の歪んだ/狂気の「愛」の形を描いている?
それぞれの歪んだ/狂気の「愛」の形を見せたかったのかな?テンポよくつっこまれる笑いの中にも、オドロオドロしい狂気のような怖さが出ている作品でした。

ネタバレBOX

ヒルコ(蛭児を想像)というちょっと怖いタイトルと
パンフにある愛する人の指を、っていう情報から
「ちょっと怖いお話なのかな?」と思いながら観劇。

最初A国、B国、C国のC国に対抗する為にAB国が共同戦線?
(すいません、言葉がでなくて)を張る為に
A王子(?)とB姫(?)が政略結婚させられる、
っていう流れから、実は2人はもともとめっちゃイチャラブ
(こういうラブラブな演技は好きだなあ)で
付き合ってましたー、という所までで
「もしかして喜劇調で行くのかな?」
と自分的にはワクワク期待したのですが、

C国の宣戦布告に対して
「戦になるかも知れない、もちろん自分も前線で戦う」
という王子に対し、今までに王子からもらった
色々な思い出の品を投げ捨て
「思い出はこれからも生きて作る(だから死なないで)~云々~」
と姫が語るまでは良かったのですが、


夜寝静まった頃、目を覚ました姫が突如王子の指を斬ってしまう。


~この場面で王子の叫び声とともに暗転~


え?この後は喜劇調で行くの?悲劇調で行くの?
すごく不安なようなドキドキがありましたが、、、


狂気系の悲劇の始まりでした。
「姫は狂ってる!」
(姫の弁によると、失くならない絆が欲しいのでお互いの指を
切り落として交換し持ち合おうと思った、と。)


  場面転換し、C国の王がAB国の王子姫夫婦の王子が姫に指を斬られた事を
  知って興味を持ちました。
  (この時はこのC王がこの「愛」の形に興味を持っている、
  とまでは推察できず(まあほんとの所はそういう意図だったのか分かりませんが…))。


C国の突如の強襲に対して

※ この場面、少ない人数で構成されるこのお芝居の中、
  C国の王と垂れ幕複数だけで軍勢が攻めて来て征服されてしまった、
  という場面の演出としてすごく良かったと思います。

指を斬られ負傷していて王子が参戦できなかった事もあり、
AB国はあえなく敗退。
そしてC国の傘下になる事になったのですが、

C王「姫よ、俺の女になれ!」
王子が止めようとするのですが、
C王「指を落とされてもまだ愛するか、ならば代わりにお前の腕をよこせ!
  さあどちらにする?」

王子は自分の腕を斬らせて姫を守ります。


うわあ、、、タイトル「ヒルコ」の意味ってやっぱり・・・


(それから先はいつどんな理由をつけられてまた
王子が斬られちゃうんだろう、とその不安が常について回りました(´・ω・`))


それから色々
・ C王はどうやら王子の澄んだ心を壊したい(というか本当の顔をあらわにさせたい?)
・ C王が他人から憎しみであってもいい、注目を受け続ける為に争いを続けている
・ C王は攻め滅ぼした他国の人間を嫁、侍従?、兵士(爆弾作りの人)
  などそばに置いているが、自分を殺させたい、という想いがある(?)
・ 王子は姫を助けたはいいが、姫の愛の重さ(というか歪み、狂気)に耐えられず、
  また指、そして腕まで斬られるハメになったという恨み(?ここの判断が難しい)
  もあって、今度はいとこの娘に走る
・ C王が戦の前祝いに兵士どもに女を供するからそれぞれ差し出せ、と迫った時
  いとこの娘の代わりに姫の方を行かせる
  姫の方もそれで「自分の愛を認めてもらえるなら」と
  身体を捧げに行く
・ 兵士どもに身を汚された姫が(演出表現の目の映像の意味がここで分かる)、
  いろいろな好気の目にさらされるなら(?違ったかな?)
  と、自分の目を突こうとし、
  最終的に王子と手と手をとって目をつく(王子の同意の理由も深すぎて分からん)
など、ちょっとテーマ的に
「愛」のそれぞれの形
(「狂気の愛」とでも「愛ゆえの狂気」とでも「ゆがんだ愛の形」とでも形容すれば
良いのでしょうか?)を描こうとしたのかなあ、と思いつつ、
やっぱり怖い。
笑いもチョイチョイ放り込まれるがそれでも怖い。


最終的にちょっとオチとして自分の中ではストンとハマるものがなかったなあ、と。
自分の印象として残ったのは
・ 姫の王子に対する「愛」、それゆえの狂気(幼さ?)
・ 自分に目を向けてほしい、それゆえに他国に攻め入り他人に
  憎しみの目を向けさせるC王の「愛」?を求める形
  (自分を殺させようとする、この思考ら辺は「愛」と絡むのか自分には分からず)
・ C王に自分の国を滅ぼされた敵でありながら、
  依存するしかない、それぞれの者の(特に嫁の)「愛」
3つの「愛」なのかなあ、と。


自分は喜劇、悲劇、感動もの、オドロオドロしいもの、どんな物語でも
・ まず自分が共感あるいは反感できる(気持ちを持って行ってくれる、感情移入できる)
・ 何か胸にストンと落ちるようなそんなオチがついてくる(消化不良にならない)
ようなものが好きなのですが、
このお話は共感/反感のキャパを越えて感情移入するのすら
「怖いなあ」と感じてしまった為、自分的には好きになれませんでした。
(脚本家/演出家としては全体に流れるテーマを見せたかったのでしょうが、
自分は最初の10分の喜劇だけを観たかった、という感じ。)


村上春樹(?全然違う人かも?)か誰か、こういう系統(愛ゆえの狂気)の
お話書いてましたが多分ハマる人はすごくハマる内容だとは思います。
演技は良好。

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