なしかの観てきた!クチコミ一覧

601-620件 / 663件中
アイドル、かくの如し

アイドル、かくの如し

森崎事務所M&Oplays

本多劇場(東京都)

2011/12/08 (木) ~ 2011/12/29 (木)公演終了

満足度★★★★

夫婦が微笑ましい
岩松さんの作品は相変わらずざっくりとした感想しか述べられないです。
役者としての宮藤さんや津田さんのテンパリ具合、伊勢さんの伊勢さんらしい役柄を存分に堪能させてもらいましたw。
夫婦の軽口叩いているけど、意外と深ーい会話が洒落てた。

ネタバレBOX

玄関脇の睡蓮の感想を皆口々に言うが、それは世間が思い描いている、くららのイメージと思った。
古賀はなんだかんだで妻が好き。
祥子の古賀へ見せる女の顔と、他人に接する時の社長の顔の違い。
そんな夫婦二人をくららが繋いでいるように見えた。
実の母親以上の信頼関係にも思えた。

粗野というか粗暴な面はあったものの、岩松さんの作品で死人とか、暴力的な場面がほぼ出ない展開も珍しかった。
90ミニッツ

90ミニッツ

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2011/12/03 (土) ~ 2011/12/30 (金)公演終了

満足度★★★★

立ち位置で変わる倫理観
滑稽に見える笑いはあったけど、今作に笑いを求めてはいけない。
役者2人の迫力に、地味だけど緊張感のある90分だった。

*一夜明けて追加加筆しました。たいした事は書いてないですが。

ネタバレBOX

事故で救急病院に搬送された9歳の少年。たまたま父親の同窓会でそこに同行したが、街で見るものが珍しかったのか、父親が目を離した隙に道路に飛び出しバイクに撥ねられ事故に遭う。手術しないと命は助からない切迫した状況。
担当医師の整形外科の副部長はもちろん手術を行うつもりで、家族に手術の同意を求めるが、その父親が手術しても良いが輸血はしないでくれと頑なに拒否。なぜなら先祖代々から土着な風習に基づいた地域で生きていたから。
少年の生命を助けたいという根底は同じだけど、時々その主張に苛ついたり、考えたり。
父親への共感は出来んが、どちらの主張も漠然と理解出来る。
危篤状態の少年のタイムリミットが迫ってくる中、輸血手技を含めて手術に同意しても、裁判は起こすと言う父親。
現在の社会状況を考えたら、父親の方がややモンスターペイシェントに近いと捉えられ、医療リスクに対する裁判とかになったら医師側が勝ちそうだけど。
時間が「90分」と限られた設定だったので、医師の性格や患者としての少年の接し方、父親へのインフォームドコンセントの描写が薄かったのが少し残念。もう少し葛藤する描写も見たかった。切羽詰まった状況で見殺しになりかねない主張に医師はきつく説得しても良かったんじゃないかとも思ったけど。
息子の「イキタイ」の言葉に、あの父親なら「生きたい」ではなく「逝きたい」って判断しそうで薄ら寒かった。
それとは別に、父親の信念と後悔が、少年への懺悔に変化しないように無事に手術が成功すれば、とも思った。

万人に受ける内容でもないし、重かったけど見応えありました。
ただし、漠然とした腑におちない観賞観もあり。
『タンバリン・スナイパー』

『タンバリン・スナイパー』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ワーサルシアター(東京都)

2011/12/07 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★

対象年齢全世代
あらすじとチラシイメージで見に行きました。
もっとハードなイメージを抱いていたので、笑えた場面の多さに面食らった感じです。
舞台が幼稚園で、それに絡めて童謡とお遊戯が盛り込み過ぎのように感じ途中見飽きそうになり、それもあってか開演遅れの2時間越えの上演時間はちょっと長いようにも思えました。
狙撃練習と幼稚園というミスマッチ世界のあり得ない状況にあるけど、ちゃんと愛情ある視点も見受けられ、魅力的な舞台でした。
小劇場の客席に小学生位のお子さんも数名居て、幅広い年代に受ける要素のある劇団と、その辺りも印象に残りました。

ネタバレBOX

マシンガンは練習シーンのみだったのが残念、出来ればマシンガン連射するぐらいの上達された勢いの場面を見たかった。
主人公夫婦の後半の心情の変化、感情をぶつけあうシーンが今ひとつ弱いように思えた。夫の「言葉を駆使」する、の大部分端折られていたように見え、わかりやすいようで上手く伝わって来なかった。
白熱し始めると、喜と怒と驚の表現が一緒くたに見える役者さんが居たように思う。
一作だけの観劇ではわからないので、次回も見に行こうと思う。
RICHARD O'BRIEN'S『ロッキー・ホラー・ショー』

RICHARD O'BRIEN'S『ロッキー・ホラー・ショー』

パルコ・プロデュース

KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)

2011/12/09 (金) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★

盛り合わせが多い舞台
完売している日もあるそうだが、自分が見た日は空席がちらほらあり自分の隣も空席のままだった。新感線ならおなじみの爆音上等のノリの良い音楽、全員が歌上手い出演者、話はエログロお馬鹿テイストなので、同じように馬鹿になって見た方が楽しめる。特に前方席は。
観客のゴスロリファッション率の多さとお似合いさに感心。
話の内容はあんまり深く考えない方が良いですねw。藤木さんが憎らしいくらいダンディでした。

ネタバレBOX

古田さんのお姫様抱っこはああ来ましたか・・!シンゲン君頑張れ。
自分は中央席から後方辺りだったので、手拍子打つので精一杯でした。
だからといって前の方でもなかなか立ち上がって踊れないだろうな・・。
ピカレスク・ホテル

ピカレスク・ホテル

ジェイ.クリップ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/12/13 (火) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★

劇場に一歩足を踏み入ればそこがピカレスクホテル
ベルボーイさんが開場お手伝いして、束の間のお嬢気分。
初演が20年前なので何となく、バブルっぽい片鱗があったような気もするがそこは劇場マジックにかかったせい、と思うようにしよう。
ちょっと刺激的でエロいけど力を入れず笑わせてくれる一話の「リボン、ちゃんと結びなさい」と倦怠感丸出しの絶妙な会話が堪能出来る二話の「男か、女か、」
どちらも面白かった。
上演時間約90分。

ネタバレBOX

「リボン〜」
出張先で男が毎回利用しているサービス頼んだら、来たのはかつての教え子だった。確かにセーラー服着てるけど教え子成人してるしって、ここに来てこんな格好で話し合い。要所要所で学校時代のやり取りがつい出たりして、なんだかんだで昔話に花は咲く。結局知らない間柄でもないし、メンズマッサージ受けたりして。
一歩間違えれば犯罪スレスレだけど、システム変わった事も知らなかった真面目優しい男のおかやまさん。
そんな男が調子乗ると一瞬でS嬢に豹変する内田さんが良かった。
非喫煙者ですが、煙草の紫煙が舞台上にほんのりと漂っていたのも、良い場面に見えた。もうこんな場面に出くわす事もなくなるんだろうな‥。それぞれのこれからが幸せであれば良いなと思った結末。

「男か、女か、」
交際12年目のカップル。
男は過去にも彼女にプロポースしたものの、なんだかよくわからない理由で断られ続け、恋人状態のまま。今日こそは!と決意したもののやっぱり「離婚するのが見えるので無理」じゃ、付き合っている意味ないから別れようと口にした途端、「なんでなんで?」と引き止める。
そこらへんの内容が巷で会話してるカップルと何ら変わりないように聞こえ妙に笑える。
悩みまくる長谷川さんとひょうひょうと説き伏せる江口さんの掛合が何とも面白かった。
彼女のケータイ追跡機能と仕事相手とはいえ、女と会うのは禁止!
宇宙の「ウ」!
ルート99

ルート99

さいたまゴールド・シアター

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール(埼玉県)

2011/12/06 (火) ~ 2011/12/20 (火)公演終了

満足度★★★★★

質の高さ、見応え有り
登場人物の構成が多面的で最初混乱しかけたけど、なんとか話に追いついて見ていた、と思う。
舞台という虚構の世界の話のはずなんだけど、沖縄の問題とか今の日本の放射能汚染とか透けて見え、舞台上の役者さんと見ている観客の状況は常に背中合わせと感じた。
劇中劇の場面で、島民の方がステージを囲み見ているシーンがあるが島民の何名かほんとに楽しそうに見ているのが微笑ましかった。
役所の人のカワバタさんが良いキャラw、ドラマ「相棒」に出演されてた益田さん、声に張りがあって良かった。
男性では、毎回倉澤さんと遠山さんが何故か気になっている。

ネタバレBOX

カメラマングループ、ミラの家、島民、基地内で働く人、市役所職員、他所から来た劇団員とスタッフ、基地に反対する地主。

ミラの家/劇団制作と市役所、2組の姉と妹と立場。
制作の姉の芸術を追い求める姿に、手に掴めそうで掴めないもどかしさが、いつも呆然と見て結局舞台の内容を理解出来ないでいる自分に重ねそうになった。
姿を現さない(現せなかった?)恋人のタチバナを忘れる事を選択した姉とヨシユキのこれからの関係。
ヨシユキと与平の真面目さ故の行為。
ミラの妹の悲しさ。
毒まんじゅうばらまいて逮捕された2人。
強制的に土地を奪われ、そのまま物故者となり紋付袴の礼服姿で亡霊となって島の現状を嘆き訴える地主達。
毎回裏切られ、解決策のない「善処します」の一語で片付けられ答えが出ないまま日々が過ぎていく空しさ。
白地の布に吹き付けられるミラの姉の鼻出血。その様子が日の丸に見え、いろんな物に汚染されつつあるこれからの日本の様子にも思え心苦しくなった。
コッコの挿入歌もちゃんと聴いとけば、もっと違った印象になるんだろう。蜷川さんの終盤BGMは代わり映えなかったけど。

ゴールドシアターのダンスレッスンや発声練習等の風景は見応えがありました。
次回作も期待。
深呼吸する惑星

深呼吸する惑星

サードステージ

紀伊國屋ホール(東京都)

2011/11/26 (土) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★

タイムスリップ感覚
その当時の活躍は見聞きしてはいたけど、金もない貧乏学生だったので観劇にはほど遠く、観劇のチャンスがあった時は封印されていた。
すみません、過去の作品をちゃんと見た事はありません。
そんな状態で挑みましたが、会場の入り口は一つだけど中に入れば間違った所の同窓会に出席したような感じで見る事に。

一時代を築いただけの事はある、華のある役者さん達が揃ってました。
話の内容は現代の新作というより、過去の題材をミックスされたような話に感じ、タイムスリップして2時間近く幻覚を見たのかな、という印象。

ネタバレBOX

架空の星の世界で繰り広げられる話だけど、どこか身近な国で起きている話にも受け止められる。
お約束だと思われるダンスとかは、現在の主流である激しい踊り方に比べたら(比べちゃイカンけど!)やっぱり時代を感じる。
その時代の躍動感と軽薄さが良い匙加減で垣間見えたけど、なんだろう舞台や衣装のpopさに赤面したり。
解散公演という名目で、かつての仲間や観客の前で完結させる様を堂々と見せつける行為はそういった意味では、なんだか生前葬を見ている気分だった。
まあ、自分も中年の土俵に足を踏み入れているんですがね。

高橋一生さん目当てで見に行ったのだが、彼はあの作品や劇団の中において完結させる役割を担っていたのかな。
女優陣に和みつつ元気で可愛かった←妙齢の女性に対してこの言葉もどうかと思うが。
筧さんはその当時から芝居の自由度が徹底してるのがわかり、小須田さんや大高さんは乱れているようでちゃんと遊んでいた、が締めるとこは締めて素敵だった。

劇中の台詞(ちょっとあやふやだけど)で
「虎死んで皮を残す。人は死んでアカウントを残す。」
「年は取っても大人になったかわからない。」
の二点が印象に残った。
その妹

その妹

シス・カンパニー

シアタートラム(東京都)

2011/12/02 (金) ~ 2011/12/26 (月)公演終了

満足度★★★★

文芸が密着している時代と暮らし
現代から見れば、大正時代の地味な話なんだけど出ている役者さんが皆上手。あらすじの内容を丁寧に表現されてた。その時代の言葉遣いにしてはちょっと早口だったけど、ゆったりしてると上演時間がもっとかかるか。

ネタバレBOX

決して報われるとは言えない結末を受け入れる品のある妹。
兄妹の状況に惹かれる編集者。
その夫に為す術無く自分達の行く末を案じる妻。

盲目の兄の周りを探り探りする動作や表情が秀逸。
最後の最後までやや卑屈で自己満足な生き方に、兄の屈折感がよく出てた。
探索

探索

城山羊の会

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2011/12/01 (木) ~ 2011/12/11 (日)公演終了

満足度★★★★

歪んでるけどなんか笑える
男と女の恋愛脳って奇妙で複雑。そして危うい事件。
もういろんな所で苦笑いしっばなしだった。これから見る方は出だしから注目が集まる展開なので、なるべく遅れないようにご注意をw。

傾城反魂香

傾城反魂香

劇団山の手事情社

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2011/12/01 (木) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★

モダンなメロドラマ
和洋ミックスの衣装や、シンプルな舞台セットの中に映し出される和の景色が美しく、声がきれいで台詞が聞き易く、文楽人形のような俳優陣の身体能力の型の凄さに目を奪われました。

ネタバレBOX

絵師だからってまんま絵を描くのではなく、漢字で「虎」「松」と映し出したのが妙に面白かった。
遊女のみやに夫貸し出すって、凄いメロドラマだな。
執念とかではなく、想いを巡らせる恋愛模様。
最後、元信の前から現れては消え見え隠れするように姿を消したいったシーンで大事な人を失ったと理解させるとこはまた幻想的で不思議な余韻もあり。まさに不思議な体験だった。
黄金時代(仮)~【公演終了致しました。皆様、有難うございました。次回作もご期待下さい。】

黄金時代(仮)~【公演終了致しました。皆様、有難うございました。次回作もご期待下さい。】

劇団夢現舎

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2011/11/19 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★★

本能から煩悩まで
どこの劇場で目にしたのか忘れたけど、チラシに惹かれたのがこの舞台を見るキッカケでした。
100席にも満たない劇場に大勢の観客、その前で繰り広げられた、小劇場ならではの濃密な世界に閉じ込められて、緊張と静寂とアングラ風不条理感、仕掛け演出の面白さを見た舞台でした。

ネタバレBOX

凶事を犯した三人の女の共通点は「風が吹いていたから」
その象徴の風呂釜、女に殺される男(一人三役+別の役、役の切り替えが見事)、犯行時の風。事件の立証を得る為に警察はカウンセラー依頼して事件と同じ風景、状況にさせ記憶を呼び覚ます。その立ち会い人は見ている観客。逢瀬を重ねた濃い血の原因は原始の時代まで遡り、その時代から人間は残忍で本能的に生きていた、て事でいいのかな?

以下、気になった点。
リフレインの多い台詞はちょっとクドかった。
きのこ人間は面白かったけどその他で少し笑える部分があったら気が楽になったのに、内容がシリアスだったのでちょっと肩が凝った。
絶叫場面はふとギャートルズを思い出してしまった。
男と三人の女が一つの傘のシーンは綺麗だった。あそこで終らせてもよかったのに、とも思った。
日本の問題

日本の問題

日本の問題

ザ・ポケット(東京都)

2011/11/27 (日) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★

Aチーム観覧
谷賢一さんと詩森ろばさんの作品に興味があったので。元々この日しか時間が合わず。結局Bチームは見られずじまいです。

チラシに書いてあった、『終演後の「日本の問題」にふさわしいゲストを招いてのトークセッション』とやらは単なる雑談でした。谷さんが必死に盛り上げようとしてその姿勢は好感が持てましたが‥。
公演内容について興味を惹いたのは「天使なんかじゃないもんで」「博物学の終焉」の2作。「金魚〜」「ボレロ〜」はなんかやかましかった、という印象。

ネタバレBOX

「金魚の行方」
新聞や雑誌に掲載された、みんなの声を寄せ集め、これが現在の世相なんですよー、とまとめてみましたって感じ。未来から来た青年やナガレは何が言いたかったんや?政治批判?等、考える間もなくモヤッとしたまま終ってしまった。理解出来ない自分が程度が低いのかな‥と不安になり。笑わせるような内容の舞台でもないんだけど、お笑いコンビのネタはほんとに面白くない。お笑い本職のネタとはいかないまでも、もうちょっと洗練された話に出来たと思うんだが。

「天使なんかじゃないもんで」
茶髪が見え隠れするシスターかっ、と思いきや、そんな立派な筋書きではなかった。日本人の曖昧な宗教感がよく出てたと思う。気軽に笑えた。最後の余韻が良かった。

「ボレロ、あるいは明るい未来のためのエチュード」
出演者18名+谷氏+「金魚/天使」の数名。
舞台と客席を所狭しと暴れ回り、もとい動き回り、各々替わる首相の所信表明を述べる。随時注目発言の揚げ足取りに近いニュースコメントやらが入ったりする。日本語の言葉の伝わり辛さ、報道をきちんと伝え、それをちゃんと聞いているかが試されているような作品。ただ、前の席に座っているとジャッジのゴングや台詞がやかましい!耳痛くなるわ!

「博物学の終焉」
希望と絶望を両天秤にかけたような作品、言葉で伝えるでなく態度で示し。風琴工房作品のダイジェスト版というか、導入部分というかそんな印象。前三作に対しポエム作品のような後味。
太陽

太陽

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2011/11/10 (木) ~ 2011/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

重くて切ない望み
大窪さんと加茂さんのこれからの活躍が楽しみ、と思わされた舞台。
色っぽい伊勢さんも良かった。
寓話であって欲しい分、現代の問題要素も連想させ考えさせられるけど、良い舞台でした。

ネタバレBOX

若い故からの行動なのか、鉄彦の青臭い考え方と、人の良さと衝動的に怒ったりする森繁のエロ本の心の交流(笑)から始まる二人の間柄に対して、曽我夫婦の関連はちょっと薄かったような印象。
ノクスの差別的感情という言葉を聞いた時、いい子ぶる気はないが胸の奥がヒリヒリするような思いがした。
原因を作った克哉がまた憎たらしいと思わせる行動と発言を繰り返し、強烈なインパクトがあった。

選ばれた人間の明と暗。
キュリオからノクスに変わる様はあっという間だったが、各親子が揃い、結が溌溂と「これから」を吐露し始めるところから涙腺が緩くなってきて困った。
それに応える純子さんと黙って聞いている草一さんの姿が切なすぎる。草一さんの後ろ姿しか見えなかったけど、花嫁の父ぽかった。
故郷は同じ場所なのに、ノクスの金田とキュリオの草一を隔てる見えない壁。何処かでこぼれ落ちた金田の心。彼の最後に取った行動にまたホロリ。
またそれまでの行動から、鉄彦と森繁の間に信頼が芽生えたように思えてたので、尚更、最後の手紙を破るシーンの表情を見たかった。(自分の席からは彼の顔が見えないとこだった)
でも、きっとそこから先に進もうとする決意ある顔をしていたんじゃないか、と希望的想像解釈してみる。

良い舞台でした。
袴垂れはどこだ

袴垂れはどこだ

TPT

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2011/11/17 (木) ~ 2011/11/30 (水)公演終了

満足度★★★★

若いって素晴らしいw
広い駐車場の中に倉庫内劇場出現。それだけでTPT空間って感じでした。舞台に茣蓙敷いていて、激しく動き回るため藁が舞い前方席の人は注意した方が良いかも。

20人近くのコロスが登場。出だしは大人しいなーと思っていたら、袴垂れが絡み始めてからが面白さが加速。
昭和の熱気のある時代の作品でした。
じい様の真那胡さんとあの男の山本さんがやっぱり良い。
殺陣の上手い人の芝居見てると、見ているこちらもテンションあがりますわー。
小菊の鈴木さん歌上手く聞きやすかった、時々節回しがJ-popぽく聞こえたけど。

音楽も聞き易く、劇中音楽をDLしたいと思ったのは久しぶり。販売してくんないかな〜。

ネタバレBOX

袴垂れを義賊と信じ、偽袴垂れとなり自ら徹した袴垂れの掟を守り放浪する村人達。
道中、ある男に出逢い、人を殺める禁じ手行為が発生。それの原因を起こした人こそ袴垂れその人で。
若人達の暴走と理想が破れた瞬間、皮肉で哀れな幕切れでした。
「袴垂れ」って、元々盗人等を指す言葉なんですね。初めて知りました。

馬に跨がり颯爽(笑)と登場した、領主だったか代官だったかどっちか忘れたけど、村人と小競り合いしているシーンは新感線の劇中みたいでちょっと笑えた。
コロスの踊りが盆踊り+ソーラン(ややYOSAKOI風?)節ぽかったけどダイナミック。
村人衣装がほんとにボロ雑巾みたいで、困窮具合が良く伝わってきた。
天守物語

天守物語

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2011/11/05 (土) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★★

現代から魔界の世界へ
「優美」という言葉が思い浮かぶような舞台だった。立体の舞台セットが見栄えがあって面白かった。
着物デザインが素敵、江波さんの女の貫禄の凄い事。
和装なのにキレがあり、四肢の柔らかさが見える女性ならではの踊り方は感心し、坂元さんの動き方は見ていてホレボレする。
やっぱり扇子は指突っ込んで廻したくなるよねw。

メイクと殺陣が歌舞伎ぽかった。御神楽風?の邦楽も耳に馴染んで聞き易かった。
篠井さんはもちろん良いけど、平岡さんの今作にあった美青年ぷりと奥村さんの憎たらしいくらいのツンとした澄まし顔の姫君も印象に残った。

ネタバレBOX

冒頭が現代人の篠井、平岡、小林氏だったけど、意識を失っている篠井さん=富姫を、平岡氏=図書之助が抱き起こし、それを見届けている小林氏=桃六という構図でエンディングに繋がっていたのが面白かった。
岸田國士傑作短編集

岸田國士傑作短編集

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2011/11/04 (金) ~ 2011/11/13 (日)公演終了

満足度★★★★

近代の新古典文学
各組の夫婦の会話に、帰路クスッと思い出し笑いするような作品でした。
三島文学とはまた違う、気の利いた台詞まわしで日本語の美しさを堪能。
クルムトが見え隠れする奥村さんの美術も素敵。

ネタバレBOX

「明日は天気」避暑に来たのに天気雨に降られ遊ぶ事もままならず、妻相手によく喋る夫の浅野さんが可愛かった。
「驟雨」男と女の心の内側は夫婦と言えど、理解するのはなかなか難しい、時代変わっても考えなきゃいけない事は普遍的なのか。夫にテンパリ気味に説明する奥さんが見ていて愛おしかったw。
「秘密の代償」小間使いが強かで翻弄させられたのに、世間様への見栄と虚勢の仕方が日本的なんだけど、鷹揚に構えるやり方が欧米的小金持のようにも見え、思わず苦笑い。垣間見えた結末がヨーロッパ風の洒落た締め方のようで素敵だった。
往転―オウテン

往転―オウテン

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2011/11/06 (日) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★

プレビュー観劇
高田・大石組、峯村・杖組の関連性が一番好みでした。
リエさんの役柄のような性格・口調の人って、実際結構居そう!
聖子さんの静かな人物像が儚くて綺麗。

ネタバレBOX

緩やかな間と時間軸を交互に見せ、それぞれの明暗が分かれ、だからといって全てを明かす訳でなく、見ている側に深く余韻を残すような作品でした。
MY GREATEST HITS

MY GREATEST HITS

キューブ

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2011/10/28 (金) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

次回公演の予告編つき
構成は昨年とほぼ同様でしたが濃厚な2時間でした。
厳選された作品の演目、忘れていた内容もあったので笑いながら思い出していった感じ。
どこまでも不真面目でふざけているけど、どっかで真面目な部分が見え隠れしてて、最後の〆の作品は切なくて良い話でした。でも、贅沢を言えば去年の「帰郷」の方をやってほしかったかな。
松田優作氏は出ないけど渡部篤郎氏は出演されたましたw。

ネタバレBOX

冒頭着替えながらのフリートーク。見ていない映画を語る、大御所俳優さんと架空の電話の会話、某大作テレビドラマ番組の昭和なのに後ろ髪長い子供は丸坊主かおかっぱ!

全体で8作くらい有ったと思ったが、チラシに各タイトル記載なかったので自分が覚えている作品が
「穴」
「UNCLE-おじさん」
「メカカ」
「500」
「**茂(名字忘れた)の一生」

次回作3本予告編つき。もちろん一人で。次回も楽しみにしています。
イロアセル

イロアセル

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2011/10/18 (火) ~ 2011/11/05 (土)公演終了

満足度★★★

少し不思議な話
漠然としたイメージのまま見終ってしまって自分にはちょっと難解。
終演後頭上から降ってきたチラシを読んでようやく補完出来た。

最後の挨拶、芸人さんのコケが見事でした。

ネタバレBOX

刑務所は彩色のない孤立した場所、そこへ色のイメージついた(見える?)島の住人達が入れ替わり訪れ、色が見えない分本音をさらし、その後囚人の文字に本音が映り込み。途中そこまでが単調に見え、終盤の展開が目まぐるしく唐突に終った印象。
う〜ん、不気味とかではなくそれ以上の思想が加わるともっと薄ら怖くなるんだろうな、と思った。
熱狂に包まれた終り方は以前見た幾つかの倉持作品(不満足な旅や審判員は来なかったとか)を彷彿。
ひとよ

ひとよ

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2011/10/21 (金) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★★

見ました
芯が強く苦難を吹き飛ばすかのような生き方の母親、色々巻き添えを食らっているのにぎりぎりの所で踏ん張りつつそこまで堕ちていない兄妹、何処かで実際に居そうな職場と家庭。個々の役柄からも容易に人と也が想像出来、様々な人生模様が透かして見える。深刻に見えるけど家族愛に溢れた後味のいい作品。もたついて見えた箇所もあったけどいい舞台を見た。
最後の吉永さんのアナウンスまで聞き逃せない。

このページのQRコードです。

拡大