90ミニッツ 公演情報 パルコ・プロデュース「90ミニッツ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    立ち位置で変わる倫理観
    滑稽に見える笑いはあったけど、今作に笑いを求めてはいけない。
    役者2人の迫力に、地味だけど緊張感のある90分だった。

    *一夜明けて追加加筆しました。たいした事は書いてないですが。

    ネタバレBOX

    事故で救急病院に搬送された9歳の少年。たまたま父親の同窓会でそこに同行したが、街で見るものが珍しかったのか、父親が目を離した隙に道路に飛び出しバイクに撥ねられ事故に遭う。手術しないと命は助からない切迫した状況。
    担当医師の整形外科の副部長はもちろん手術を行うつもりで、家族に手術の同意を求めるが、その父親が手術しても良いが輸血はしないでくれと頑なに拒否。なぜなら先祖代々から土着な風習に基づいた地域で生きていたから。
    少年の生命を助けたいという根底は同じだけど、時々その主張に苛ついたり、考えたり。
    父親への共感は出来んが、どちらの主張も漠然と理解出来る。
    危篤状態の少年のタイムリミットが迫ってくる中、輸血手技を含めて手術に同意しても、裁判は起こすと言う父親。
    現在の社会状況を考えたら、父親の方がややモンスターペイシェントに近いと捉えられ、医療リスクに対する裁判とかになったら医師側が勝ちそうだけど。
    時間が「90分」と限られた設定だったので、医師の性格や患者としての少年の接し方、父親へのインフォームドコンセントの描写が薄かったのが少し残念。もう少し葛藤する描写も見たかった。切羽詰まった状況で見殺しになりかねない主張に医師はきつく説得しても良かったんじゃないかとも思ったけど。
    息子の「イキタイ」の言葉に、あの父親なら「生きたい」ではなく「逝きたい」って判断しそうで薄ら寒かった。
    それとは別に、父親の信念と後悔が、少年への懺悔に変化しないように無事に手術が成功すれば、とも思った。

    万人に受ける内容でもないし、重かったけど見応えありました。
    ただし、漠然とした腑におちない観賞観もあり。

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    2011/12/23 01:45

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