なしかの観てきた!クチコミ一覧

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あの女

あの女

猫のホテル

ザ・スズナリ(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

ノゾエさんの演出がよくわかる舞台運び
猫ホテのメイン男優3人以外の役者さんは、上演前に携帯電話マナーお願い前説有り。毎回内容が違うのかな?観劇日のお願い出演者はヨロ企の本多力さん、強者役者に巻き込まれて頑張って声張りあげる姿が可笑しい。

狭いスズナリの舞台上に、客席に接近するかのような白い背景、それに映し出された影絵。身体の動かし方や効果音の使い方がいかにもノゾエさんらしい、と思った。
千葉さん特有の女の事件簿、といった話の筋だけど、ノゾエ氏が加わった事で今までとはひと味違い、重い内容をマイルドに変化させつつ全力投球の猫ホテ、という感じだった。約100分。

まことさん、今回も男の色気を振りまいてた。素敵だ。
しんぺーさん、声大きいw。近くで観ていると、終盤、鼓膜が破れそうになるよw。
ガンツさん、このままおじさんになっても弄られまくってほしい。

ネタバレBOX

女への執着と嫉妬と歪んだ愛が絡まっていたように思うが、正直、全ては理解出来なかった。
冒頭から男三人(船田/検事、瀬戸/告訴人、山本/弁護人)が、役の入れ替わりと一人の女を演じる。役の切り替え方は見事だったけど、女の役は想像させるだけの存在でも良かったんじゃないかな。

シンプルな舞台上に映し出された樹木の影絵の一部が、女体に見える様は興味深かったです。
国語の時間

国語の時間

風琴工房

座・高円寺1(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/02/28 (木)公演終了

満足度★★★

観終わって複雑
風琴工房20周年記念舞台は、昨年の「記憶、或いは辺境」に続き、戦前から終戦直後を舞台にした話。
日本の統治下にあった京城(現ソウル)の朝鮮小学校で日本語教育を行っている。その時はそれが当たり前だったから。
それを観客に見せつけるかの様に、舞台の板張りの床にも朱色の円が浮かんで見える。
時代に放浪された所為、とは出来ないが、教える事と伝える事の両立の難しさ、国が主導して教育や人を作る事の複雑さは、現代にも似通っている様にも思える。

久しぶりに舞台で見た加藤虎ノ介さん、貫禄ついて(太った、とかではなく)立派になっていたなー。
休憩込みの約3時間。

ネタバレBOX

日本語が得意な息子とそれに葛藤する父親の朝鮮人親子。
母を恨み日本人になろうとした甲斐と、必死に日本語を覚えようとする母。その甲斐の感情的な訴えも日本語の為、完全には理解出来ない母親。
甲斐親子と朝鮮人親子の葛藤の対比も印象に残った。

素晴らしい舞台だったけど、久しぶりに観劇後にどんよりとした気分になった。
後ろの正面だあれ!

後ろの正面だあれ!

椿組

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★

初日観劇
育った家が道路工事の為、実家取り壊しの知らせを受け、成人した姉弟がそこへ帰省してくる場面から話が始まるが展開を理解するのに時間が掛かった。
冒頭全員が歌う童謡が何気に良い。
50代以降の方には子供時代の流行遊びや唄は懐かしく回想され易いのでは。
昭和ノスタルジアな優しい舞台だな、と思っていたらラストのあのシーンに椿組を見たって気がしたw。約95分。

ネタバレBOX

外波山さん演じる木場/新木場の自己紹介シーンに笑わせてもらったが、美根子のサインが原因で、ああなっちゃったのかな?あれが立ち退きのサインだったって訳ではない、と思うけど‥。もしそうだとしたら、立退料が2万円?ファンタジー作だからあんまり深く考えないようにする。
兄弟の末っ子双子のウズメちゃん、童子の佇まいが無垢。
ウズメちゃん、S39に亡くなったと台詞で聞いたような気がするが、それから姉達が成長しているとなると、昭和末期から平成初期の話だったのかな。成人(設定上20〜30代と思ったが)している割に、兄弟の会話のやり取り「天国ってどこにあるの?(だったかな)」等が、やや幼いような気がした。
デキルカギリ

デキルカギリ

G2プロデュース

本多劇場(東京都)

2013/02/21 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★

ちょっと真面目なホームコメディ
G2プロデュース最終作は、過去の歴史から伝えられた事例と、今日的な内容でマジメでデリケートな話だったけど、笑える箇所もあり。
最後のお父さん/久保さんのセリフがいろんな事を想像し、深い余韻を残す。
公演は始まったばかりなので、これから更に舞台に勢いがつきそうな印象。
久保さん重鎮芸、テキパキ岩井さんとキビキビ動く中川さんがよかった。約2時間。

ネタバレBOX

わかり易い話だし、ラストの父親の台詞には切実な願いを感じられて良い舞台だったけど、最終作とあって、笑って劇場を出たかったかな。
つか版・忠臣蔵-スカイツリー篇 Returns-」

つか版・忠臣蔵-スカイツリー篇 Returns-」

劇団扉座

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2013/02/19 (火) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

リターン!
昨年の感想投稿で語り尽くしちゃった感もあるけど、今年もソラノキの膝元へ出向きました。
今回も舞台中央花道を活用、番傘差して歩いてくる山本亨さんのシブい事!テンションの上り下がりが変幻自在な武田義晴さんも良い。
つか作品の戯曲への愛がビシバシ感じられ、泣きながら笑ってしまうけど、出演者全員がカッコ良くて見せ場ばかり。
小ネタとか多少の変更は見られたけど、再演にも関わらず今回も情熱的でパワフルさは健在。
今回も興奮冷めやらぬ、勢いある舞台でした。面白かった!

星5つにしたいけど、時間が無くてポスター資料展示の見学出来なかったのが心残り。って自分が悪いんだけど。

トリオ

トリオ

LEMON LIVE

OFF OFFシアター(東京都)

2013/02/14 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★

浅野雅博さんゲスト回
三人娘が身体を張ったやり取りに劇場内がお茶の間みたいな盛り上がりでした。常連さんが多ったのかな?
70年代前半の歌手や有名人の詳細は(その世代ではないので)多少わかるようなわからないような。でも置いてきぼり感はなかったな。

西牟田さんの粋で男前な姐さんぶり、野口さんの破壊力満点の爆発ぶり、武藤さんの真面目でトボケる小悪魔ぶり。
男を前にすると、女が豹変する素振りをまざまざと見せつけてくれる名場面ばかりで笑った。あんなに暴れまくっているのに、着物が着崩れしない!凄いわw!
ビフォートーク約15分+本編約90分。

ネタバレBOX

面白かったけど、最後は芸人漫才で締めて欲しかったかな。
客席から見て右側の上手側に楽屋セットがあるので、ややそちら側のシーンが多い。
暗転前に、各自が使用する楽器にスポットライトが当たるのも印象的だった。
当日ゲスト浅野雅博さん。
ビフォートークから前説場面へ移る所は、観客の盛り上げ方がお上手でした。やっぱり良い役者さんは咄嗟な事でも対応出来るんだなーと感心。
2013年・蒼白の少年少女たちによる「オイディプス王」

2013年・蒼白の少年少女たちによる「オイディプス王」

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2013/02/14 (木) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

小久保オイディプス王/川口クレオン 回
蜷川さん、狭心症で1/24に入院されて演出補の井上尊晶さんへ引き継ぎの注意事項の説明有り。しかし、随所に蜷川さんテイストがほとばしっていた。蜷川さーん、お大事に!
ネクスト・シアターではおなじみの、大ホール内に常設されたインサイド・シアターでの公演。「コ」の字方の三方囲み舞台で、舞台全体を楽しむなら両サイドかな、中央部の階段は頻繁に王様達の花道。
オイディプス王とクレオンは小久保寿人さんと川口覚さんのダブルキャスト。

情熱的な小久保オイディプス王に対し、クールに見えるが血の通った川口クレオン。二人の距離から見える関係と覚悟、娘達への吐露に思わずホロリときそうになる。ああ、両方見たい!
そいでもって、この手の作品の予言者って余計な事言い過ぎ、ってツッコミをいれたら話が成立せんか。コロスほぼ出ずっぱり、熱を発するような一言一言と行動がエネルギッシュ。セットが無くても充分舞台成立する空間。
最後の日まで声が届きますように。いい舞台でした。
約2時間。

笑う通訳

笑う通訳

電動夏子安置システム

上野ストアハウス(東京都)

2013/02/15 (金) ~ 2013/02/20 (水)公演終了

満足度★★★

2日目 Member班
初見。
二組の通訳を介して話が進むが、どちらも意訳を通り越して見事なポンコツ訳になり、収拾がつかなさそうで、ちゃんとオチまで辿り着く。
交互に演じる場面の役者配置と演技の繊細さに興味湧く。楽しかったけど、ちょっと疲れた。約2時間。

ネタバレBOX

リフレイン場面がやや冗長にも感じ、個人的に後半部分にもう少し笑える場面が多めで、オチの事件告白部分に焦点を絞ってくれたらもっと違う面白さが感じられたかも。
舞姫

舞姫

直也の会

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★

小難しかった
終戦後の昭和23年が舞台だが、言葉遣いや生活行動が昭和レトロを通り越して中途半端に現代的。失踪した小説家が体験した異人たちとの交流、観ているこちらも耽美でパラドックスな空間からパラレルワールドに踏み込んでいたかのよう。
小説という言葉にリンクしている為か、話の構成を三章に区切っていたが、現実と劇中劇と作家が迷い込んだ虚構の区切りが却って曖昧に見えて混乱しそうになる。役者さんは気になる人が多かったんですが・・・。
休憩込みで約2時間10分、全体的に少々長いと感じた。

ネタバレBOX

タイトルにもなっている舞姫の趣里さん。人間の年歳で例えると500歳位、あるものを食して不老不死の踊り巫女だったと後にわかるが、踊る事で会話する能力を備え持っている。登場した時点から台詞を発した時も終始無表情、話のメリハリを付けるため冒頭くらいは表情の変化を見せてくれても良かったかも。どうでもいい事だが、声を荒げる箇所は伊藤蘭さんと声質が似ていて、やっぱり親子だなーと思った。突然いなくなった人々へ捧げる舞は上品で綺麗だった。

ストリップ上がりの女優がいる劇団の舞台を何故か書く羽目になった作家。劇団に関わる人達と接する事で自身の記憶も甦ってくるが、戦時中の「夢」や「希望」等の言動はその当時だったら特高警察にしつこく狙われ易いと思うんだが。あれだけで済んで良かった。導かれた事がわかった瞬間、自身の運命もわかってしまう皮肉さがやっぱり哀れ。

劇団女優の弘美、身体を資本にしていたのなら、態度にそれなりの気風の良さが見えても良かったような。着物帯のお太鼓のたれが垂れ下がっていたけど、あれはわざとなんだろうか。
あの舞台劇は大衆演劇?新派?劇中舞踊はさすがに全員の所作がキマッてた。
編集長の元部/軍人役の河内さん、厳しさと激しさの違いを見せていい感じ。
伊福部役の田島さん、妻との関係や、真実がわかってからのいろんなものが混じりあった表情が印象的。

突如襲った災害の話は、自分の中でどうしても2年前の震災を思い出し、生じて滅する部分が覆ってしまうような心理状態の為、ちょっと辛かった。もっとも、直接的な被害に遭われた方々に比べたら全然対したことはないんだけど。
それらを含めて、生きている事の素晴らしさが作品から部分的に伝わってはきたが、完全には理解出来なかった。すいません。
『モジョ ミキボー』再演

『モジョ ミキボー』再演

モジョミキボー上演委員会

OFF OFFシアター(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

解説付き当日パンフあります
前回にはなかった北アイルランドに関する解説ありました。
出演者2人なのに、合計19役を映像込みで入れ替わり、時には対等、時には対峙と早替わり。だけど、全て別人に見えてしまう素晴らしさ。
かなり重い題材なのに、生き生きとした子供の目線で見る抗争とそこで生きる事の可笑しさと哀しさと無常さに惹き込まれる。

狭い劇場ここまで使うか、っていう位、使っているので前方席で見る場合、映像は一部見えづらい箇所もあり。但し、ある場面で前列ならではの汗被りは堪能出来ますw。

東京コンバット2013

東京コンバット2013

ハム・トンクス

ザ・スズナリ(東京都)

2013/02/05 (火) ~ 2013/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

敵は誰だ
9年ぶり、4回めの再演らしい。
2004年版の公演を見ていたが、前作は廃校の一室が舞台だったような気がする。キャスト名と物語の細部は一部変更しているけど、設定はほぼ同じ。
沈黙と緊張の間がやや多く感じられ、もう少し短く変化あっても良かった気も。
敵か味方か、不信感と疑惑と不安が増す緊迫した中での銃撃シーンは迫力あり、照明とモヤのかけ具合が上手い具合に緊張感を増幅させて見えた。
千葉の軍曹さんがやかましいけど面白おじさん。でもそばにいて欲しくはないw。
最後の場面まで誰がどうなるのか予想を覆す展開ばかり。約145分。

世界を終えるための、会議

世界を終えるための、会議

タカハ劇団

駅前劇場(東京都)

2013/01/23 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★

初見です
今より機械文明が進化している別世界の未来の話か。密室に集まっている11人の男女がある事について議論、キーパーソンの人物を交えた後、答えが出てからも話は続く。
審議内容の件、演じ手の力量の具合で色々転ぶか、と思いきやそうでもなく、教訓めいた展開も見え隠れして古典的要素も多かったように思う。
終演後当たり前の様に、スマホの電源操作しているのに何とも言えず苦笑い。

祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹~

祈りと怪物 〜ウィルヴィルの三姉妹~

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/01/12 (土) ~ 2013/02/03 (日)公演終了

満足度★★★

演出って大事なんだな
世界の蜷川w!!演出に見慣れている分、血みどろ感が強くても、死に方があっさりし過ぎのような印象もあったが、大して気になる事もなく、すぐに納得。
しかし出演人物は同じなのに、役の印象は全く違って見える。
簡素化された背景も終盤のステージ上は余白の美みたいなのを想像し、次第にステージ上に吸い込まれるような感覚だった。
蜷川版は初見だけど話の構成はケラ版と同じなので、そのためか今回の登場人物の心理描写等が理解出来やすかったのも。
メメさんとパキオテのシーンは、ケラ版の方が好きかな。
ドン・ガラスの灰汁の強さはどちらの配役も甲乙つけ難く、カッサンドラの野乃すみ花さん、初見だけど印象に残る。

ネタバレBOX

冒頭のコロス、こまどり姉妹を含めたラップト書き、ステージ背景の全面鏡、上からシャンデリア、降ってくる人(人形)、大雨、搬入口から退場で幕、等、今まで蜷川演出ではおなじみのシーンが多々見られ、御大自身による御大演出の壮大なパロディみたいだった。
2階から見たが、大石さんの腹筋はもしやボディメイクだったのかな?いずれにせよ、身体が引き締まって見えて素晴らしかった。
ケラ版だったら、クールさと奔放な行動が似合っているような三姉妹で主に長女が舵取り、執事のヤルゲンも実直、冷酷、ペラーヨも革命家として信念が感じられたが、蜷川版だったら、情熱的だが品の良さも加わった三姉妹で次女が舵を取り、ヤルゲンは忠実な太鼓持ちっぽいおじさん、ペラーヨはちょっと陰気で意志の弱さのような性格の印象。
トビーアスの森田さんは宮本亜門版の金閣寺で演じた吃音の青年を彷彿したが、ナイーブな青年が狂気の顔つきに徐々に変化していく長台詞の場面は見応えあった。
最後のおばあちゃんの姿も惹き付けられました。
冬物語

冬物語

劇団AUN

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2013/01/23 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★

ロマンス劇
舞台奥に風景画あり、その正面に場面事にテーブル等出てくるが殆どセットらしいものはなし。
プリンスとプリンセスは美男美女と相場が決まっている。
冒頭から激しく嫉妬に狂い、妊婦の王妃に向かい罵詈雑言を浴びせる王の鋼太郎さんの迫力は見もの。
渋いながら、品格と愛情を感じさせるポリクシリーズの大塚さんも素敵だった。
一幕目が王室の愛憎劇、二幕目は牧歌的風景と羊飼い親子と道化やらにぎやか展開。
終結させるまで存分に楽しめた。
上演時間約3時間、休憩1回10分。

ネタバレBOX

一幕め、鋼太郎さん演じるリオンティーズの衣装にシワが多かったのが気になった。
王様なんだから、せめてアイロンかけた服を着させてあげて(苦笑)!
第32回手話狂言・初春の会

第32回手話狂言・初春の会

社会福祉法人トット基金日本ろう者劇団

国立能楽堂(東京都)

2013/01/23 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

古典芸能+手話言語
狂言の基本的な動きはそのまま、演者セリフは手話で表現、その手話に声のセリフをアテレコしての演目。出演者は日本のろう劇団のパイオニア?日本ろう者劇団と三宅狂言会が混合出演。特に難しく見る事なく、笑いに徹した狂言演目。正面から見た方が手話の台詞がスムーズに見やすいが、台詞と動きがピタリと合うアテレコ込みなので話の進行を妨げるような不安はなし。
古典芸能の喜劇作品の面白さがよくわかる三作だった。
「髭櫓」の演目で当初は米内山氏が出演予定だったが、体調不良の為、三宅近成師に変更、手話が出来る狂言師による舞台も見応えあった。
歌舞伎とは違う大胆な柄デザインの衣装の組み合わせも素敵だった。

狂言は一つの演目上演が約20分前後という事、その為、手話通訳の田中清さん付きで黒柳徹子さんによる40分程の前説からスタート。そちらも流石に話術が達者。

ネタバレBOX

言葉使いが粗いですが、あらすじと台詞を現代語にするとこんな感じ?
「泣尼」
信心深い田舎者(施主=アド)が親を思いお堂建立、上京してたまたま立ち寄ったお寺の僧侶(住持=シテ)に説法を依頼する。お金に心が揺らぎ引き受けるも説法苦手だし、泣いてくれる人がいたらもっと盛り上がって良いかもー、と報酬の半分をあげる事を条件に泣き役を尼(小アド)に頼む。アドとシテが田舎に戻り、小アドも気づかれないように着いて行き、沢山の聴衆が待ち受ける中にまんまと紛れ込む。時間は進み話が佳境になったのに肝心の尼はなんと居眠りしている。居眠りしている尼さんに困惑するやら起こそうとしたり四苦八苦する僧侶。終った後で尼からお布施金を要求されるが「おめー、寝ちゃって泣いてねーじゃん!」と逃げて終。
小アドが終始、腰を低くした態勢で動き回る姿に感心。
「鬼瓦」
長らく訴訟の為、都に滞在していた大名(シテ)ついに国許に帰れる事に。その御礼に太郎冠者(アド)と一緒に、日頃、信仰している因幡堂の薬師如来にお礼参りに。参拝も済み堂内見物、建造物の見事さに感嘆してたら、屋根のテッペンにある物にふと目が止まる。鬼瓦だと説明を聞き、その顔立ちについ国許の妻の顔を思い出して泣き出してしまう大名。太郎冠者からもう少ししたら会えるじゃないっすかと慰められ、気を取り直し、「泣いて損しちゃった」と、二人で大笑いして帰る事に。
鬼瓦似の奥さんを思う大名の愛すべき性格と麗しい愛情という事?
「髭櫓」
宮中の大嘗会〜天皇が即位後の初めて行われる五穀豊穣の儀式祭〜に大髭でも良いよと認められ、やや有頂天気味の夫(シテ)、妻(アド)を呼んで諸々準備してと注文するが、家計だって苦しいのに何贅沢な注文してくンの!?と切れ気味になりそれがキッカケの夫婦ケンカ勃発。妻を追い出すも、その妻はご近所の奥さん連中を味方につけ、そんな髭なんか剃りなさいよ!と長刀やら槍やら熊手やら太刀やら斧やらの長道具持参で髭抜きに馳せ参じる。その妻に対抗して髭に簡単ミニチュア装備風の櫓を取り付けて臨戦態勢を整える夫。一大決戦は夫に軍配が上がるも逆襲しにくる妻達。妻の一撃で櫓は脆くも破壊、特大サイズの毛抜きで見事に髭を引き抜く事が出来ましたとさ。
ナンセンスさ炸裂なお話。奇想天外な喜劇で面白かった。
三宅近成師の手話も滑らかな動きだが、役者が表現する動きとは違って見え、その違いも新鮮だった。
冬の短篇

冬の短篇

昨日の祝賀会

座・高円寺1(東京都)

2013/01/17 (木) ~ 2013/01/20 (日)公演終了

満足度★★★

気まずい空気が蔓延
男女混声合唱の素直な歌声から始まる短編5作、エロとブラックユーモアとシニカルさがいい具合に見えて失笑するやら苦笑いするやら。
熱烈なお薦めは出来ないが、脱力感満載の静かな成人指定舞台で魅惑の面白さ。
「流れる」の描写に、思わず「あるある」と苦笑い。

パブリック・リレーションズ

パブリック・リレーションズ

JACROW

OFF OFFシアター(東京都)

2013/01/07 (月) ~ 2013/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

幸先よい今年の初観劇
上司だけど働き盛り、上司と部下の間で自己スキルの計りあい、性差の適性を見誤ったチームの仕事具合とか、見入れば見入るほどどこか合致する部分も多く、自分とは縁もゆかりもない業界のお仕事だが、仕事をする職業の根底はどこも同じ。理想と現実の狭間で仕事をする事がいかに普通で大切な事であるかを見せてくれた舞台でした。面白かったです。
上演前と終演後のスタッフの細かい対応や、もちろん役者さんも全員が上手過ぎて素晴らしかったです。

ネタバレBOX

どの役柄を見るかによって、結末がサッドエンドやバッドエンドになってしまうけど、それもまたそれぞれの人生の道程なんだろうなー。
地震の箇所は、話の区切りみたいなものなのかな。
ハーフ肉まんの件、面白かった。帰り、つい肉まん購入してしまいました。おばちゃんなんで!
音のいない世界で

音のいない世界で

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2012/12/23 (日) ~ 2013/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

詩の絵本を読んでいるような感覚
静けさとうら淋しさの中にもクスッとさせる楽しさもあり。音が「ない」ではなく「いない」という言葉の使い方が確かに合っている。
踊れる出演者ばかりなのに、極力動きは控えめ、だけど隅々まで細やかな演技を見せてくれる。お松さんが可愛い!
冬の夜、思い返せば気持ちよく眠れそうな、美しくて不思議なお話。
客層は大人多い。冬休みの時期だから子供への鑑賞アピールをもっとすればいいのに。約90分。

ZIPANG PUNK ~五右衛門ロックⅢ

ZIPANG PUNK ~五右衛門ロックⅢ

劇団☆新感線

東急シアターオーブ(東京都)

2012/12/19 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★

マンガ雑誌を見ているかの様
新しい劇場を遊び空間に徹し、歌でセリフがてんこ盛り。演技よりも映像仕掛けで見せる話ぽかったかな。若手出演者with新感線の舞台という印象。
エアロビみたいなあのダンスは一緒に踊りたくなったけど、それ以外はあまり印象に残る曲はなかった。出演者全員、歌唱力は聴き応えあったんだけどなー。サントラCDを聴き直せば好きになる曲も出てくるかな。
当日、マイクトラブルの為か所々でセリフ聞こえない場面があり。
ⅠとⅡを踏まえた上で見ると楽しさ増。
面白かったけど、「1」の時より五右衛門の存在が薄いのが残念。

ネタバレBOX

三成と前田の場面やシャルルのウザ可愛さは良かったんだけど、出演者が多い分個性が分散され過ぎて、些か消化不良な感じも。
明智君役の彼、演技初めて見たけど動きがキレイで役柄に合ってたが、二幕は殆ど彼に負担が掛かっていたような気がする。
猫の目お銀、独立させて一話舞台作ってほしいキャラ。
春来尼、ここぞ!という時の存在感がかわいくも不気味で良い。

大見得の後、新感線の舞台らしい殺陣を期待したけど意外とあっさり終って肩すかし。全般的に殺陣数が少ないのは劇団の年齢層が上がってしまったから?
祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~【KERAバージョン】

祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~【KERAバージョン】

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2012/12/09 (日) ~ 2012/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★

時間を置いてまた見たくなる作品
ケラさんの過去作「東京月光魔曲」や「百年の秘密」と、対に見えたような作品だった。両A面アルバムみたいな淀みない舞台。
音楽、映像、共に良し。三姉妹の衣装も素敵だった。

純な青年トビーアスが徐々に暴力的に変化していく過程や、裕福な家庭で不自由なく生きて来た三姉妹の末っ子マチケの眩しさが良い。
ケラさんは、毎回この手の役者さんを上手に見せてくれるので、役柄にハマって役者さん自体にも好印象を持った。

ネタバレBOX

怪物が牛耳る閉塞感のある街。貧困の中、希望を持つという事のささやかな祈り。見えない何かに汚染され、生きる事が必死の愚行のようにさせてしまう権力者の横暴さに、考え過ぎだが、どこかしら現状の風景を臭わせて背筋の寒くなる思い。

寓話的な人間像が多い中で、一番人間臭いと思ったのがおばあちゃん2人、対極な暮しをしている2人だったけど、感情の赴くままに発する台詞がそう思わせた。最後のおばあちゃんの姿にはビックリして笑ったけど。
白痴のパキオテが見せた、道化師的な行動から来るメメ夫婦との関係に一瞬だけ救済者かも、と感情に流されそうになり。
そんな事分った上で行動を共にし、誰にも不幸にしないかわりにパテキオの行動に右往左往させながら、無心で行く末を待っているかの様なダンダブール。片腕の存在を失ったダンダブールもこの街の犠牲者なのかも。
「倫理」という言葉を発した(と思う)父親の倫理観は、見ているこちら側もある、独自で放漫な心境かも。情け容赦ない性格でも血の繋がった娘達は大事、そこら辺の家族愛も違和感なく描いているにも関わらず結末がいかにもの、痛快ブラックさ。

感想が多過ぎて上手くまとめられないけど、大変面白い舞台でした。

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