祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~【KERAバージョン】 公演情報 Bunkamura「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~【KERAバージョン】 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    時間を置いてまた見たくなる作品
    ケラさんの過去作「東京月光魔曲」や「百年の秘密」と、対に見えたような作品だった。両A面アルバムみたいな淀みない舞台。
    音楽、映像、共に良し。三姉妹の衣装も素敵だった。

    純な青年トビーアスが徐々に暴力的に変化していく過程や、裕福な家庭で不自由なく生きて来た三姉妹の末っ子マチケの眩しさが良い。
    ケラさんは、毎回この手の役者さんを上手に見せてくれるので、役柄にハマって役者さん自体にも好印象を持った。

    ネタバレBOX

    怪物が牛耳る閉塞感のある街。貧困の中、希望を持つという事のささやかな祈り。見えない何かに汚染され、生きる事が必死の愚行のようにさせてしまう権力者の横暴さに、考え過ぎだが、どこかしら現状の風景を臭わせて背筋の寒くなる思い。

    寓話的な人間像が多い中で、一番人間臭いと思ったのがおばあちゃん2人、対極な暮しをしている2人だったけど、感情の赴くままに発する台詞がそう思わせた。最後のおばあちゃんの姿にはビックリして笑ったけど。
    白痴のパキオテが見せた、道化師的な行動から来るメメ夫婦との関係に一瞬だけ救済者かも、と感情に流されそうになり。
    そんな事分った上で行動を共にし、誰にも不幸にしないかわりにパテキオの行動に右往左往させながら、無心で行く末を待っているかの様なダンダブール。片腕の存在を失ったダンダブールもこの街の犠牲者なのかも。
    「倫理」という言葉を発した(と思う)父親の倫理観は、見ているこちら側もある、独自で放漫な心境かも。情け容赦ない性格でも血の繋がった娘達は大事、そこら辺の家族愛も違和感なく描いているにも関わらず結末がいかにもの、痛快ブラックさ。

    感想が多過ぎて上手くまとめられないけど、大変面白い舞台でした。

    0

    2012/12/29 02:47

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大