最新の観てきた!クチコミ一覧

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僕らの声の届かない場所

僕らの声の届かない場所

ろばの葉文庫

The Art Complex Center of Tokyo(東京都)

2010/01/12 (火) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

芸術へのそれぞれ想いがより際立って
08年夏の空想組曲によるオリジナル版と比べて人員的にも時間的にもコンパクト(後で聞いた話によると台本の頁数は増えたそうな)になり、しかも笑える部分が増えたことにより、芸術に対するそれぞれの想いがより際立った感じ?
凝った装置のオリジナルに対してこちらは割とシンプルということも含めてその印象に既視感的なものがあったのは、コロブチカの『証明』とダルカラの『プルーフ』の時と似ていたからなのね…。
でもって、その時にしても今回にしても、内容がより迫って来たように感じられたのは、演出の違いだけではなく1度観ていたからという要素も多分にあるワケなんだが…(笑)
また、オリジナル版の自分のレビューを読むまで省略された部分に気付かなかったのは、改訂の巧さに加えてσ(^-^) の記憶能力の衰えによるものも少なからずあると思われ…(自爆)
あと、劇中では「絵画に対する」想いや才能ではあるものの、内容的には芸術全般に拡大解釈できるワケで、演ずる側も身につまされたりするのかしら?などとも思ったり…(大きなお世話?(笑))
いずれにしても、古典的な作品ではなく、こういった最近の作品を新たに仕立て上げるという企画も面白いので今後のトレンド(の1つ)になったらイイなぁ。

黒いインクの輝き

黒いインクの輝き

ブルドッキングヘッドロック

サンモールスタジオ(東京都)

2010/01/07 (木) ~ 2010/01/18 (月)公演終了

満足度★★★★

抜群の安定感
北関東にある売れっ子女流マンガ家の自宅兼仕事場で、打ち合わせを始めようにも肝心のセンセイの行方がわからず、アシスタントたちや編集者(+α)が彼女を待っている一夜(+回想シーン)に垣間見える人間関係…な物語。
全体の印象はジックリ基礎固めをしたシッカリした土台の上にガッシリ建てられた堅牢な建物の如く抜群の安定感あり。
邸内の3つの部屋をうまく組み合わせた装置の中で描かれる時折ドス黒いものが噴出する「女の園」、各人物もそれぞれ個性が際立って存在感があり観応え十分、的な。
また、回想シーンとのクロスのさせ方も巧みで、5年前や10年前の場面ではちょっとした違いだけなのにちゃんとその期間分若返っているのも見事。
さらに、センセイの状況を明示せず、しかし推測させるに十分なヒントを与えて各人の想像に委ねて終わるのも余韻が残って面白い。(賛否あるかもしれんが…)
こりゃあ次回以降にも期待だな。

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

冨士山アネット

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/01/14 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

みた。
全団体初見。モモンガがステキでした。ままごとも観れてよかった。ライン京急はあれでいいんだなと思いました。CASTAYAは本気でやってほしい。岡崎藝術座は、物足りないけど他の公演が観たい。冨士山アネットはダンスが上手くなかった。
旬な団体をまとめて観れて楽しかったです。

小鳥のさえずり

小鳥のさえずり

SPPTテエイパーズハウス

銀座みゆき館劇場(東京都)

2010/01/14 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

サスペンスではなかったような気がします
どちらかというと、ドタバタコメディだったような気がしましたが。
とにかく面白く笑わしていただきました。
年明けに相応しい演劇でした。きちんと細かいところが繋がっていて、
後々の伏線になっていたりするところが、作りが丁寧で楽しめました。

ネタバレBOX

インコのピピちゃん、擬人化して加わってくるところが合ってましたねぇ。
燕尾服がピッタリです。籠揺らされてガクガクされる所とか笑えました。

始まりの携帯のパネルライトによる顔の浮き出しの演出は、
ホラー物の劇かと思わせる、面白い演出でした。

キャラクターがしっかり立っていて、きちんと矛盾無く絡んでいき。
話に撓み、無理が無く納得できるところが良かったです。

過剰に反応する「ドタコン」の笑いネタが、
のちのち繰り返されて生きてくるところとか、笑えました。

玄関の引き戸の開け閉めの音とか、ケータイの着信音とかも。
きちんと合わせていく丁寧な仕事が見ていて心地よく感じました。

いつものオヒネリシステム、なかなか芝居していて好きです。

3姉妹の登場も、あいまって。
往年の「やっぱり猫が好き」を思い出しました。

個人的には、昨年末寝正月だったので。
きちんとした年越しの擬似的追体験をさせていただいたので、
大変嬉しく思いました。ありがとうございます(^^)
S高原から

S高原から

三条会

ザ・スズナリ(東京都)

2010/01/15 (金) ~ 2010/01/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

過剰と余剰の果ての衝撃的感動
ときとして過剰で、あるいはまた余剰に満ちた演出だと、途中まで感じていた。
そこを楽しむ舞台なのだと、思っていた。
けれど、じつはカメラのフォーカスをずらしながらピントを合わせるように、
最後にはかっちりと焦点があう作りになっていたとは!
まさに衝撃。そして感動。

ネタバレBOX

原作戯曲は、サナトリウムの内と外を対比させて生と死を描いていたように認識しているのだけど、
本作では、
サナトリウムの内と外の垣根を取り払って、
生と死の本質を浮かびあがらせてしまったような印象。
第45回関東高等学校演劇研究大会

第45回関東高等学校演劇研究大会

関東高等学校演劇協議会

ひたちなか会場(ひたちなか市文化会館)(茨城県)

2010/01/16 (土) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

中央大学附属高等学校「急遽演目を変更いたしました」
脚本:臼井 遊 (高校1年生・生徒創作 )
優秀校入賞、第56回全国高等学校演劇研究大会に推薦される。

東京芸術劇場で都大会公演の時には公演直前に女子部員がマイクを持って説明していた。「申し訳ありませんが、本日、インフルエンザの為に部員が欠席して急きょ部員の4人だけで芝居を演じることになりましたので、急遽演目を変更しました。」とのことだったが、今回は「申し訳ありませんが、本日、センター試験の為に部員が欠席して急きょ部員の4人だけで芝居を演じることになりましたので、急遽演目を変更しました。」と言った!(笑)
随分、手の込んだ芝居じみた芝居だと感心したが、次回は何て説明するのだろうか?(苦笑!)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX


西暦3003年、核兵器の使用により地球は砂漠化、男性はモヒカン化していた。悪の帝国「苦利金団はその混乱に乗じて圧政を続け、人々は希望を失う。地球に降りた女戦士兼レンタルビデオ屋の久美子はすぐさま苦利金団を倒しに向かう・・。GS(ギャラクシーソルジャー)久美子物語。

ってな内容がパンフに載っていたけれど、実際は弟と姉の会話劇から始まる。あやしげ研究会のオフ会に出かけるという姉に弟が「なんでそんなオフ会に?」から始まるショートコントのような内容だった。この姉がGS久美子。要はレンタルビデオ屋のバイトをしている高校生の設定だが高校には行っていない。不登校だ。だから家でゴロゴロしながらベントラ精神世界からベントラ逃げ出した久美子。(笑)

この姉の話を弟が聞くという設定で芝居は流れていく。悪玉をオニに例えて「オニがやってくる」とか松ぼっくりのものまねとか箱の中に小人が入ってるとか、未来とか、エコロジーとか、怪しげな体験はやっぱベントラ精神世界だ。笑

で、最後の終わり方はどうだ?ってことなんだけれど、このショートコントのような緩いコントが少しずつ繋がって最後に箱の中に松ぼっくりが入ってた。という流れで序盤に撒いた伏線が繋がる。これはもう感覚の世界だから説明するよりも観てもらうほかない芝居。

五反田団の前田氏が「負けた!」と言っていた内容だけにきっと素晴らしいのだろうがワタクシはそこまで大絶賛するほどの好みではなかった。まあ、芝居とは感受性の問題だから・・。

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

冨士山アネット

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/01/14 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

観劇
観劇いたしました。

キミ☆コレ~ワン・サイド・ラバーズ・トリビュート~ 

キミ☆コレ~ワン・サイド・ラバーズ・トリビュート~ 

シベリア少女鉄道

タイニイアリス(東京都)

2010/01/06 (水) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

惹きつけられて捕まる
ちゃんと見てしまうような冒頭、
でも、そこをきちんと観てしまった段階で
作り手側の手のうちに
がっつりと閉じ込められてしまいました

ネタバレBOX

劇団初見。

いろいろと噂は聞いていたのですが、
イメージが全然湧かなくて、
まさかこんな内容だとは思いませんでした。

それゆえ、
冒頭からどんな展開になるのだろうと
かなり真剣に舞台を見る。
でも、冒頭の流れをそのまま見せられた時点で
がっつり作り手側の手のうちにはいりこんでしまったよう。

もとになる物語が
したたかにわかりやすいのです。
後で思えば
冒頭の舞台の流れが、
何気に観る側に印象強いように仕組まれていて。
何度か繰り返されるルーティンの
ベースの作り方がとても巧みなのです。

で、観る側に記憶が適宜刻みこまれたところに
妄想が重ねられて
いろんな動作に言葉がのせられていく。

その妄想の展開力がかなりすごい。
発想に対する笑いと
ネタが積み重なっていくことでの笑いの
バランスがすごくよいのです。

いろんなパーツが次第に一つの形を成していく。
前のルーティンの記憶をたどっているのだけれど
先読みができなくて、
それゆえ、展開からやってくる充足感にしっかりとやられて・・・。

もう大満足でした。


美しいヒポリタ

美しいヒポリタ

世田谷シルク

小劇場 楽園(東京都)

2010/01/13 (水) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

シェイクスピア×モバゲー
「夏の夜の夢」はガラスの仮面レベルの知識しかないまま観劇。
知ってないよりはおおまかなキャラクターと関係と流れだけでも知ってた方が楽しめる、けど知らなくても楽しめる。シェイクスピアは一小節引っ張ってくるぐらいが丁度いいという事実に眼から鱗。
だけどこの舞台、状況が身体に浸透してくるのに大分時間が要った。なんだろう。MEの音量?

前進座初春特別公演

前進座初春特別公演

劇団前進座

京都四條南座(京都府)

2010/01/03 (日) ~ 2010/01/21 (木)公演終了

満足度★★★

5月に思いを馳せ
「双蝶々〜」は、良いお芝居なんだけど、もう少し何かぐっと惹かれるものが欲しいような。

國太郎さん&広也さんの芝居は相変わらず良い。すごく、演技が“通い合ってる”感じがする。
5月国立劇場の「切られお富」は、お富が國太郎さん、与三郎が広也さんなので、楽しみです。

ネタバレBOX

色々事情があるのでしょうが、ラストの立ち回りが大幅にカットされてたのは残念でした。
黒いインクの輝き

黒いインクの輝き

ブルドッキングヘッドロック

サンモールスタジオ(東京都)

2010/01/07 (木) ~ 2010/01/18 (月)公演終了

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

EKKKYO-!(公演終了!次回3月[家族の証明∴]は1/30より発売)

冨士山アネット

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/01/14 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

ガールフレンド

ガールフレンド

国分寺大人倶楽部

インディペンデントシアターOji(東京都)

2010/01/14 (木) ~ 2010/01/18 (月)公演終了

満足度★★★★

発想も面白いけれど・・・。
アイデアも面白いのですが
そこからの展開が絶妙。

単純な妄想・夢物語ではなく、
もっと滴るものがたっぷりありました

ネタバレBOX

男どおし3人のクリスマスという
なんともとほほなシチュエーションから
妄想の彼女を存在させるに至るという
そのは発想が
そもそも凄いのですが、
でも、発想だけでなく、
そこからの展開にこそ
作り手の才能が垣間見えます。

それぞれの彼女との付き合い方が
まるでうぬぼれ鏡に映ったキャラクター達の姿を
あからさまに映し出していきます。
すごく彼女のことに気を使っているように見えても
そこから、見え隠れするのはやさしい男だと彼女に認識されたいという
願望の表れだし・・・。
クレジットカードの返済に追われながら、
その現実から逃避した上に
「いろいろと考えているんだ・・・」とか妄想の彼女に言わせて、
自らを支えるその根拠がとてもプアーなのも
すごく切なく可笑しくて・・。
さらには
モンゴル人の女性が隣に引っ越して来るという設定が
「オチのようになっている」という発想が
妙にまっとうに思えたり・・・。

彼らが妄想のディテールに
拍車をかければかけるほど、
妄想が具現化すればするほどに
その反対にある現実のどうしようもなさが
浮かび上がってくるのです。

部外者ともいえるバイト先の店長の来訪時に
女の子たちが台所に押しやられる表現もうまいなぁと思う。
彼女たちが暗い台所でたたずむ姿に
現実と妄想の乖離の狭間での
ぎりぎりの選択が感じられて。

さらには
架空の彼女の去の去り方からも
それぞれの女性に対する温度というか
コアにある女性観がしたたかに滲み出ていて
その表現のしたたかに舌を巻きました。

気持ちよいお片づけ(あれだけきれいになるとは思わなかった)後の
最後のシーンも秀逸で
男女を超えたどうしようもない満たされなさが伝わってきて。
河西裕介の世界観の広さと
イメージを具現化していく力を感じたことでした。

そうそう、前回公演や15minutesを観たときにも感じた
染み込むのではなく、ざらっと残るようなペーソスが
今回はぐっと洗練されていたような気がします。
前回公演でも
客入れの音楽から、ミラーボールの使い方、
さらには場面の転換にいたるまで、
独自の色をしっかり打ち出せる
強さを感じていたのですが
今回の公演ではそこにデリケートさというか
繊細が加わったように感じて、
荒削りだったペーソスに細かい肌合いが生まれたような。

なにか次の公演も、楽しみになってしまいました。




S高原から

S高原から

三条会

ザ・スズナリ(東京都)

2010/01/15 (金) ~ 2010/01/18 (月)公演終了

満足度★★★★

寝不足で半分寝ながら見てましたが
なんか面白かったです。よくわからないところもあったけど、それも含めて楽しかった。

冬のライオン

冬のライオン

幹の会+リリック

東京グローブ座(東京都)

2010/01/15 (金) ~ 2010/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

名コンビ誕生、堪能しました
『山の巨人達」の時も、このお二人、相性抜群と感じましたが、平さんと麻実さん、ピッタリのコンビネーションでした。
半年前にこの芝居を観ていたら、たぶんチンプンカンプンでしたが、「ヘンリー6世」上演の折、かなり英国王室の歴史を勉強させて頂いたお陰で、人物関係も歴史的背景も概ね理解でき、楽しんで観劇することができました。
とは言え、レトリックや皮肉がかなり散りばめられた台詞の深い意味合いを瞬時に理解するのにはやや労力が要り、時々睡魔に襲われてしまいましたが…。結構、あちこちで、ご同類がいたのか、寝息が聞こえて来て、熱演の役者さんには申し訳ない気分でした。
でも、王家の歴史はさて置いても、夫婦の愛憎劇として観れば、かなり興味深い内容でした。長年連れ添った夫婦なら、どこの国でも、いつの時代でも、共感できる部分があるのでは?
でも、これ、名優お二人の主演だからこその成果かも?もっと実力のない役者さんが、この作品をやったとしたら、ずっと眠ってしまったかもしれません。
とにかく、平さんと麻実さんの応酬が圧巻で、「いよォ、名コンビ!」と心の中で、掛け声掛けてしまいました。
座った席からは、時折舞台裏が見えてしまって、興をそがれたのが残念です。

美しいヒポリタ

美しいヒポリタ

世田谷シルク

小劇場 楽園(東京都)

2010/01/13 (水) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★

シェイクスピアに見せたい
「夏の夜の夢」の世界がこんなふうにアレンジされるのかと興味深かった。アイディアが秀逸で、俳優陣も良く、楽しめました。泉下のシェイクスピアに見せたかったですねぇ。

ネタバレBOX


単に登場人物がキャラクター化されているというのではなく、シェイクスピアの劇中の台詞もきちんと聞かせ、「夏の夜の夢」の惚れ薬の効果が、携帯電話コンテンツ中の仮想世界に置き換えられるのが面白い。パスワードとニックネームを取り違えて入力したために起こる混乱や、出会い系サイトの現実など、面白く描かれていた。目立たない感じの社長の妻がタイテーニアとして傲慢に大胆に振舞う場面は出会い系サイトでの仮想人格を表現しているのだろうか。性別など実像がわからない中で、手探りでコミュニケーションをとり、タイテーニアがロバ男をステキな男性と思い込むように、相談に乗ってくれた男性と思い込んでいたのが夫の会社のOLだったとは。妻が夫の会社に手伝いに来て紹介される際、さりげなく夫の肩のゴミをとる仕草で、夫への思いが感じられる。妻は夫を愛しているが、たぶん、IT企業で仕事が忙しく、あまり妻をかまっていないのだろう。この妻はたぶん、それとなく、夫の浮気も感づいているのかもしれない。つい出会い系サイトにはまってしまったものの、家庭を壊そうという気はないのだ。夫の社長はカップルを作るのが趣味というか偶然というか・・・となっているが、自分の不倫相手の仲人を意図的に何組もやってのけるという上司が世の中にはいるというから、この社長も案外、そのくちかもしれない。「君だって結婚するんだろう」と柊(緑茶麻悠)に言う最後の台詞に男のずるさが出ている。堀川炎と岩田裕耳が演じる社長夫妻(タイテーニアとオーベロン)のリアルさがとても良く、「お互いを大切に、幸せになってくださいよ」と願わずにはいられなかった(笑)。岩田のキャスティングは堀川のたっての希望で実現したそうだ。作家には、脚本至上主義で俳優にはあまり興味を示さない人もいるが、ふだんから他劇団の俳優をしっかりチェックしてオファーを出す作・演出家を私は評価したい。
原作では主役級で女優が演じることも多い妖精のパックが、生真面目なSEの上杉になぞらえたのも面白い。塚越健一の秋葉(ライサンダー)も原作のイメージとは異なり、これはこれで面白いし、俳優としての演技も良いのでこの劇では違和感がない。ただ、ライサンダーとディミートリアスはいずれも甲乙つけがたい美青年であるがゆえに、惚れ薬のいたずらでハーミアがライサンダーにすげなくされ、ヘレナが両手に花状態になる皮肉や絵面の美しさもまた、「夏の夜の夢」という芝居の魅力であることを再認識した。ブスではない青木(ヘレナ)がイケメンでもないオジサン風の秋葉(ディミートリアス)にブス呼ばわりされるのはちょっと抵抗があった(笑)。
三月の5日間

三月の5日間

オーストラ・マコンドー

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/01/07 (木) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★

観ました
自分の好きな芝居ではありませんでしたが、とても刺激的でした。
観てよかったと思ってます。

世界の秘密と田中

世界の秘密と田中

ラッパ屋

紀伊國屋ホール(東京都)

2010/01/09 (土) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★

期待した割には・・・
「世界の秘密と田中」という大げさな題名と、ここでの高評価からものすごく期待して観たせいか、自分の場合は正直言って落差が大きかった。確かに大人向けの芝居と言えるし、人生の悲哀も描かれているが、常識の域を脱しないというか、自分にはグッとくるものはなかった。他の小劇場系劇団に比べれば観客の年齢層は高いし、終演後、「どう?胸に突き刺さる台詞が多かったんじゃないの?」などと仲間をつついている人も見受けられたが、彼らと同世代である自分にはなぜかそこまで迫ってくるものがなかった。この芝居の登場人物の何人かとそっくりな状況に置かれた人たちを現実の世界で見てきたせいか、現実の人々のほうが数倍もドラマチックで感慨深いため、所詮、作り物めいて見えた。
鈴木さんは「コミュニケーションの大切さ」を一貫して訴えてきた作家だそうで、この芝居も「コミュニケーション」が描かれる。先年、放送されたNHK朝の連続テレビ小説「瞳」でも「どんな思いも言葉にしないと通じない」というキーワードが出てきたが、朝ドラは視聴率もふるわず、ドラマの感想を話し合うサイトでも不評の意見は多く、演劇を観ない層は鈴木さんのキャリアも知らず、かなり辛らつな脚本家批判や欠点への指摘も出ていた。だが、私は朝ドラという制約があるからでは、と差し引いて解釈していた。しかし、本作を観ると「瞳」と共通する点もあり、ドラマ同様の不満を感じてしまった。大きく分けて40歳と、さらに下の世代、もっと上の定年近い世代が登場し、それぞれが壁にぶち当たって悩みながらも希望を見出していく「応援歌」のような芝居だが、自分を含めて、年齢的に人生の岐路に立ち、それぞれに問題を抱えている自分の知る何人かの身近な人を思い浮かべたとき、この芝居を観て元気がもらえるかと考えると、そう単純には思えなかったのだ。私が求めているのはもっとグレードが高い芝居だったので期待はずれだった。
舞台装置上の制約もあり、家具付きアパートの一室で間取りも同じという設定で、何人かの住人が入れ替わり立ち代り出てきて、さまざまな会話を交わして劇が進行していく。何だかロールプレイングゲームのようで、単調で退屈する場面もあった。そのためか、私の周囲ではいびきや寝息が聞こえてきて、とても気になった。「大人の観客が多い」ためか、珍しく諸注意アナウンスがなかったが、案の定と言うべきか、マナーモードの「ヴィーン」という唸り声がいびきや寝息に混じって響き、うるさいこと。とても芝居を楽しむ環境とは言いがたかった。

ネタバレBOX

NHK「瞳」も隣近所事情が筒抜けの長屋的な世界だったが、本作もアパートの住人や友人、家族らがみな知り合いである。地方のアパートでさえ、隣人はどんな人か知らないのがいまやあたりまえというのに、例外的なアパートがあったものだ。友人が少ないという玉村(木村靖司)さえも、アパートの住人の相談相手として信頼され、夜中でも相談者がやってくる不自然さ。普通、これだけ面倒見が良く、人恋しい性格なら友人が少ないこともなかろうに。サラリーマンで40歳独身の田中(福本伸一)は、派遣社員の恋人礼子(岩橋道子)と交際しているが、礼子のほうが忙しく、すれ違い状態。田中の母(大草理乙子)は夫が認知症になり、介護のストレスがたまっているさなか、住人の田部(おかやまはじめ)と関係を持ってしまう。「枯れていたとばかり思っていたのに、こんな情熱が残っていたなんて」と感動する田部と対照的に、関係を引きずるまいと意を強くし、滑稽なほどサバサバしている田中の母。「学生運動やってて若いころはステキだったのよ」と夫を語る場面以外、「夫婦のありよう」がほとんど語られないので、母の屈折した思いが伝わらず、安易で乾いた浮気にしか見えない。私にも夫を介護する同じ状況の友人がいるが、もっと張り詰めていてとてもこんな軽はずみな行動をとる余裕はないので、観ていてしらけてしまった。田中家の介護の問題は、田中の妹(弘中麻紀)の渡米問題もからみ、この物語の芯になるが、それにしては実に描き方が薄っぺらで状況説明に過ぎる。
同じく住人のミッチー(三鴨絵里子)と田部の友人村田繁(俵木藤汰)の関係も、ミッチーの携帯小説のネタづくりといういい加減な結びつきかただ。田中の母もミッチーも、女性の側は単なる「浮気」気分で、田部も村田も男の側はけっこういちずで純真なのである。感動的な愛ではない。玉村のアドバイスで田中の仕事が順調になり、またも恋人とはすれ違いに。玉村に相談に行った礼子は、今度は玉村と恋仲になってしまい、結婚が決まる。
それぞれの事情が交錯するだけで、物語に感動する要素がほとんど感じられなかった。とりあえず、コミュニケーションをとってつながってればよいということか(これも「瞳」のサイトでさんざん指摘されたことだが)。
ミッチーと田中の妹がそろって舌足らずのしゃべりかたをするのが鬱陶しく、なぜ舌足らずでないといけないのかわからない。三鴨は往年の吉田日出子を思い出したが。
唯一面白かったのは、田中がどうにも玉村と礼子の結婚を祝福する気になれず、めちゃくちゃな恨みの歌を考えたり、激辛カレーを作ってパーティーで食べさせようとしたり、暗黒舞踏で締めくくろうと提案したりする妄想場面だった。これをすべて実行して、別の結末があれば、芝居としても何か感じたかもしれないが、予定調和で毒もなく、無事終わるのではNHKドラマと同じである。これが「笑いとペーソスの芝居」なのか。私には説得力不足に感じた。
相棒

相棒

宝塚歌劇団

【閉館】日本青年館・大ホール(東京都)

2010/01/15 (金) ~ 2010/01/22 (金)公演終了

満足度★★★★

楽しいじゃないか♪
ドラマは数回しか見たことがないですが、ドラマキャラは皆、ハマっていて見事。「相棒」の舞台化というより、「相棒」のコスプレ芝居って言ったほうがぴったり。宝塚ってコスプレ芝居、得意だもんね。

終盤の、臓器移植キャンペーン風の場面はメッセージが強すぎていかがなものかと思う。そういうことは、ちゃんと臓器移植をテーマにした作品でやるべきだ。

しかし、それを補ってあまりあるのは、交通課の三人娘の尋常ならざるカワイさ。生まれて初めて萌え死にするかと思った(笑)

推理劇としては物足りないが、コスプレ・キャラ萌え芝居としてはメチャ楽しい作品。

第45回関東高等学校演劇研究大会

第45回関東高等学校演劇研究大会

関東高等学校演劇協議会

ひたちなか会場(ひたちなか市文化会館)(茨城県)

2010/01/16 (土) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★

専修大学松戸高等学校「 交番へ行こう 」
脚本は既成のもの。
とあるところにちょっぴり田舎くさい雰囲気の交番があった。そこに万引き少女とスーパーの店長が押し掛けてくる。交番が舞台の芝居。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

スーパーの店長は反省の色が見えないといって万引き女子高校生のひかるを近くの交番に連れてくる。熱血婦警の日下部は最初、丁寧に高校生に対応していたが、彼女の態度にだんだんキレてくる。一方でベテラン警官の手塚はひかるの万引きに対して少し寛大な様子を示す。

ひかるの父親の再婚話が浮上したことによって、父親とちょっとした言い争いをして、父親に殴られ、それでカッとなって家出してしまった事情がひかるにはあったのだったが、それを言い出せない。子供の純粋さというのは様々な気持ちを生み出す。それが家族や社会などに抗う気持ちだったりする。その思いや悩み、そして万引きという過ちを犯して交番へと連れてこられたのだったが、ここでのおまわりさんが実にいい味を出してる。地域に密着する交番で、登場する大人たちはみんな優しく温かいのだった。この大人たちの対応にひかるは少しずつ心を開放していく。ふれあう事で変われる人間の素晴らしさ、親の気持ち、希望を表現した舞台。

大げさなコメディ部分は実に笑えた。しかし本がありがちな内容で新鮮味に欠けた。


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