北村メーカー
劇団虎のこ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/06/02 (水) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★
Queen北村を観た
正直申し上げて好みではなかった芝居。ワタクシの観た回は主役の西慶子が噛みまくり、かちゅぜつ悪まくりだった。本はコメディとはかなり遠い内容。ちょっとザンネンな芝居だった。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
地球のテロや戦争を避けるために地球ではない惑星に住居型宇宙船「たまご」に乗ってやってきたロボット5体がシェルターの中で1000年の命を持て余しながらも、密室だからこそ、暇な時間をゲームやら研究やらに打ち込み、ギャーギャーと騒ぎながらの小芝居。
以外にくだらない。序盤は騒がしいだけで本の練りも甘く、ぐちゃぐちゃだな・・。と感じた。後半になって事の内容が呑み込めたものの、コメディとは名ばかりであまり面白くもない。キャストらの演技がどうこうではなくて、本の内容がどうでもいいような些細な事に拘り過ぎていたため、全体的なロマンが欠けていた。
また脚本家や役者らは自分たちの作ったお芝居だから、愛してやまないのかも知れないが、一度観客として観た方が全体的な欠点も解るのではないか?とも思う。「劇団虎のこ 」は過去に一度、観劇したことがあるが、あの舞台の方が良かった。つまりはチーム別として、King北村◇Queen北村◇Joker北村の3パターンを公演するには力不足だとも感じた。
シビアな意見だがこういった意見も今後の為に役立ててほしいと思う。ちなみにワタクシはタダの一般観劇者なので何処の劇団に対しても媚びもなければ思惑もない。外からの外圧もなければ抑制もない。だから、毎回、素直な意見を自由に述べてるつもりだ。誤解なきよう・・。
恋女房達
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/08 (火)公演終了
満足度★★★★
期待以上
六つの短編オムニバス、どれも面白く、特に「押しかけ女房」は秀逸です。未見の劇団でしたが、期待以上に満足です。大入りで、私が観た回も桟敷を増設してました。全くもって羨ましい。次回作も大いに期待します。
しゃぼんのころ
マームとジプシー
STスポット(神奈川県)
2010/05/26 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了
満足度★★★★★
記憶の中のリアリティ
それは、今を観る目にとっては
まとまりに欠けたものであっても、
記憶のスケッチという視点からは
とても精緻な造形の描写なのだと思います。
いくつもの感触が
あるがごとくに伝わってきて
息を呑みました
ネタバレBOX
中学校の風景、
冒頭から様々な記憶の断片が
コラージュのように繰り返され
ジグゾーパズルのピースが埋まっていくように
とある三日間が観る側に広がっていきます。
同じ時間が何度も繰り返されたり
同じ事象の視点が変わったり
時間が行き来したり
一つの事象からいくつかの事象が広がったり・・・
その時間の外側の出来事が挿入されたり。
それは、あたかも記憶達の反芻の
細密な描写のように思える。
その再生から伝わってくる
事実ではなく感覚としてのリアリティに
次第に取り込まれていく。
表現される個々の想いが
ステレオタイプにではなく
あいまいに
なんとなくわかりだしていくような感じに
前のめりになる。
感じると理解するの中間あたりに
いろんなものが置かれているよう。
野宿、彼氏の部屋、学校のこと、
上履きのサボテン、トイレでのおしゃべり
晴れでもりでも雨でもない天気。
なんとなく息がつまるけれど
でも溢れてしまうほどでもない、
やわらかく行き場なく閉塞した感じ・・・。
縮れた赤毛の女性が出てくる小説(第七官界彷徨)の
作家から取ったというミドリという猫の存在が暗示的で・・・。
いつか見たというどろどろになった猫と重なっていく、
記憶の重なりから醸し出されるような
第七官界での感覚に取り込まれて・・・。
たくさんの感覚が
流れ込んできて
それが単純にまとまることなく
クラウドのように心に広がっていく。
終演しても
その感覚のアドレスが見つからず・・・。
にもかかわらず、占有されふかく浸潤された感覚が散らず、
しばらく席を立つことができませんでした。
☆☆★★★
アメリカン家族
ゴジゲン
吉祥寺シアター(東京都)
2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了
満足度★★★
舞台は崩壊し、家族は(一瞬)再生する
あらすじ→母が突然出て行ってしまい、3人の兄弟と父親だけが残された。そんな非常事態に、次男の誕生日パーティーに参加しようと長女とその夫が帰ってくる。しかし次男は友人を2人連れて来て、家族水入らずの雰囲気ではなくなってしまった。さらに見知らぬ男まで家に入り込み・・・。
作・演出の松居大悟さんが終演後のトークで話されていたとおり、役者さんの即興(エチュード)からシーンを立ち上げる作劇方法をとっていらっしゃいます。役者さんの魅力を伝えやすいという利点はあるものの、どうしても脚本の精度は低くならざるを得ないと思います。必要だとは思えない会話が積み上げられては捨て去られていくので、私には何を見て、何を感じ取るべかを選べない混沌状態でした。でも最後にあっと驚く演出で、ぐるりと世界をひっくり返してくれたのがとても面白かったです。
役者さんの中では母のボーイフレンド(?)役の津村知与支さんが特に印象に残りました。一人芝居としても観られる完成度で、ありえない事態をしっかり成立させていらっしゃいました。
ネタバレBOX
「全てをぶち壊す」シーンで、役者さんが家の壁に突進して破いてしまいます。服を脱いで舞台の外に投げて、照明器具に引っ掛けるという暴挙に感動(笑)。マンションの1室が広い世界とつながり、居間とゆるやかなスロープ、その上にある個室との間に隙間(装置の間の溝)があることにも納得できました。
家族だけで食卓を囲み、互いの悪口を言い合う場面は密度が高まってとても良かったです。
1人ひとりの誕生日を盛大に祝うのが、この家族にとって絶対に欠かせない恒例行事だということでした。次男(奥村徹也)が事前連絡なしに友達を連れてきたことさえも、その行事を面白くするためのアイデアだったのではないか・・・とまで考えてしまいました(笑)。こんなに想像を広げられたのは、最後の家族の結束に説得力があったからだと思います。
humming 4
ポかリン記憶舎
GALLERY藍染(東京都)
2010/05/27 (木) ~ 2010/06/02 (水)公演終了
満足度★★★★
目を見開き耳を澄ましたくなる
日本家屋の一部になって
そこに流れる時間の揺らぎを
感じる。
家が含みもつ空気と物語が重なって
豊かに浸潤されました。
ネタバレBOX
靴を脱いでその場所に入った時
贅沢な日本家屋のもつぬくもりにやわらかくとりこまれる。
意外と高い天井、
ライトアップされた庭。
まるでパズルのように観客が壁際の席にはめ込まれて
その家の空気が肌に馴染んだころに
すっと物語が始まります。
この場所では空気が
観客をしっかりと捉えてくれる。
登場人物が現れるたびに
空気の色や密度が
やわらかく、でもしっかりと変化していく。
登場人物たちの想いを伝える台詞が
断片的に語られ
空気が廻るようにつながっていく。
家自体のことが説明されていくくだりなどは
とても饒舌なのですが、
それ以外のことは、
その場にあるべきものがあるべき色で
あるがごとく語られていく感じ。
ただ、おかれた言葉は
現の世界とは異なり
散りきらず、その場にすこしずつゆっくりとつもる・・・。
静謐さが観る側の五感を研ぐ。
音・・・、足音、カップやグラスを置く音に
現と物語の世界が重なり
さらには劇中の梅干しの味が
観る側の体をめぐる。
現と物語の世界のボーダーが曖昧になって
姉弟それぞれの想いが
積もった言葉やしぐさから浮かび
観る側の腑に落ちる。
ありふれたひと時のスケッチでありながら
観る側にとどまる質感が
鈴の音とともにスタンプされて・・・。
結末を急がない終幕とともに
この場所の一コマとして心にのこる。
ひとときを内に留め感じることの豊かさを
たっぷりと実感することができました。
、
罪と、罪なき罪
リリパットアーミーⅡ
座・高円寺1(東京都)
2010/06/05 (土) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
期待どおり
どちらかと言うと、ラックシステムを多く観てきたように思いますが、この、史実に基づいたフィクションには毎回感服です。ラックよりも少々お間抜けな感じがまた良いです。テーマをきっちりみせながら、役者さんひとりひとりが個性豊かに表現されている。もちろん、作・演出の凄さが先にあるのかもしれませんが、やっぱり安心してみていられるのは心強いです。スズナリの満杯に比べると、座・高円寺は舞台も客席も広々としていて、良い意味で贅沢でした。
『SHIBAHAMA』 遂に本日千秋楽!!!当日券出ます!!ぜひぜひおこしください。
快快
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★
ヒドミから遠くはなれて
劇場に足を踏み入れると、
そこは折込チラシの置かれた客席が滑稽に見える舞台空間。
そこで展開する大人の学芸会。
このでたらめさ加減は間口を狭めてるよなぁ。
みんな目が笑ってないから何か恐いし。
もはや客席も劇場も必要としない団体になってる。
「芸劇eyes」なるラインナップに組み込まれてるのはおかしいよね。
M-1のテツandトモというか、直木賞にノミネートされた京極夏彦というか。
ネタバレBOX
客イジリ満載なので、嫌いな方はやめといた方がいいです。
携帯電話の電源切らないで芝居観たのは久しぶりだな。
つちのこ
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2010/06/04 (金) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
新劇の劇団
舞台は1972年、岐阜の片田舎の民宿。私は小学生でした。横井さんが帰ってきたり、日の丸飛行隊が活躍したり、あさま山荘の中継があったり、角さんが総理になったり、今更ながら激動の年だったのですね。
20代の若者から、おしゃべり好きのおばちゃん、民宿の無口なおじいちゃん。とにかく、世代世代の役柄を、限りなく実年齢に近い役者さんが演じている。これこそ新劇の劇団の強みです。
青年座は結成以来、時代時代の新しい脚本家に作品を依頼しているそうです。今回も劇団員さんのつながりから実現した脚本のようです。舞台がどんな時代でも、場所でも、ちょっと不思議な日常をみせてくれる「新劇の劇団」から、当分目が離せません。
夢の痂(かさぶた)
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/20 (日)公演終了
満足度★★★
天子様から国民の象徴へ
天皇陛下が天子様といわれていた戦前、戦後に陛下が行幸されることになった東北地方での話。角野卓造さん、三田和代さんは安定した演技。3部作の終章。これから新生日本が始まったのである。
露出狂
柿喰う客
精華小劇場(大阪府)
2010/06/04 (金) ~ 2010/06/08 (火)公演終了
満足度★★★★★
すさまじすぎる
テンション上がりっぱなし、キャラ立ちまくりの100分間。
なぜこれほどのものを作れるのか甚だ不可思議。
ネタバレBOX
サッカー部という形はあるけれどサッカーシーンは無い。
だけどスポ根(魂?)ものとしては限りなく完成型に近い。
一見すると過激で不条理極まりないストーリーなのだけど、説得力を持たせるための小さな仕掛けを沢山用意しているので、スンナリと飲み込んでいける。
何より14人の登場人物、設定と配置が絶妙。
完全な善人も悪人もいない上にそれぞれの思考に理由があることが分かりやすく描かれるから誰一人として嫌いになれない(個人差はあるだろうけどね)。
「部活=閉鎖的社会」を如実に表した狭い作りのセットをものともせず、あちらこちらで活き活きと動き回る女優陣が本当に魅力的。
ゴキ:周囲に振り回されているようで実はその空気を支えてる。部活の部長っていうのは案外こういうタイプこそがうまく務め上げちゃうんだよね。そんな抑えた立場を熊川ふみ嬢が好演。
サソリマチ:話をドカドカ転がしていく体育会系ヤンキーキャラをコロ氏(「嬢」はなぜか使えない。無論、褒め言葉だ)が熱演。時々ツッコミに回れる器用さも必要で、劇団員としての信頼を感じる配役。
シラミネ:頭脳派でメガネで巨乳でガーターベルトのストッキングってまるでそういうゲームかコミックから出てきたような奇跡のキャラ立ちじゃないだろうか。新良エツ子嬢が好演。
ヒル:すごく強い意思を持っているからこそテンションの振り幅もひときわ大きくて、この作品の中でも一番大事なテーマを体現しているキャラなんだろうなぁ。深谷由梨香嬢が相変わらずの熱演。
クラゲ:ストーリーの半分以上を狂言回しする役割にも関わらず、独創的な喋り方、佇まいは崩さない。ものすごい技術を要する役だったと思う。岡田あがさ嬢が好演。
ノミヤ:外見は普通、というかむしろ地味な雰囲気なんだけど、ストーリーが進むにつれ内面からぶっ壊れていく様に戦慄すら覚える。中盤からますます話をややこしくしていくキーキャラクター、右手愛美嬢が熱演。
ガマゴオリ:非常にわっかりやすいヤンキーの後輩キャラ。最も周囲に翻弄された、最も愛するべきキャラの一人かもしんない。おいしいシーンも他に比べて多めだったな。梨澤彗以子嬢が熱演。
ハエダ:ガマゴオリ同様に、サッカー部に勧誘されなければもう少しは幸せな道を歩めていたであろうかわいそうなキャラ。ま本人がある場面で見せた小さな欲のせいもあるんだろうけどね。佐藤みゆき嬢が好演。
ウジガワ:ハエダの腰ぎんちゃくのような登場をしながらも、サッカーの実力は一番下というアドバンテージ(?)が中盤の展開を面白くする、うまいポジションのキャラ。細野今日子嬢が好演。
マイマイ:「いっしょうけんめいなまねーじゃー」キャラと思いきや終盤での豹変が見事にキマってた。あんなエネルギーを隠し持ってるとかズルすぎる。山脇唯嬢が熱演。
ハブ:サソリマチとカブり気味な部分はあるが、サッカーの実力ナンバー1(=ウジガワの対極ポジション)がゆえにややこしさに拍車をかける。なにげに一番純粋にサッカーを楽しもうとしてた人なんじゃないかしら。佐賀モトキ嬢が好演。
コウモリ:キャラ立ちナンバー1。3期生の人間関係の中枢を担う上に、独壇場タイムまでもらっちゃって、とにかくおいしすぎる。山本真由美嬢が怪演。
クモン:控えめなポジションながら確かな存在感を示す。何よりもクオリティの高いカタコト喋り。わざとらしくないカタコト喋りってネイティブな日本人には難しいはずだぞ。八木菜々花嬢が好演。
ウツボ:外見から物腰から所作に至るまでインパクト絶大。存在感は間違いなくナンバー1(キャラ立ちとは違う次元にある)。理屈じゃ説明つかない化物キャラクターを七味まゆ味嬢が超怪演。
これだけの顔ぶれが揃って、これから先、再演なんて可能なんだろうか。
観て損はない、どころじゃない。観ない人は損してるレベル。
まだの人は今すぐ劇場へ急げ。
SUPERNOVA
あなピグモ捕獲団
シアター711(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★
好みが分かれる
スピーディな場面転換とかプロジェクターを使ったわかりやすい演出とか、なかなか凝った見せ方が印象に残る舞台だった。中味は「ささやかで壮大な誰かの物語」ということだったが、個人的にはストーリーが抽象的な内容で、好みとは若干ずれていた。
目が明く藍色
くロひげ
BAR if(神奈川県)
2010/06/04 (金) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★
まどろ観ました
お菓子+ドリンクに誘われていきましたが・・・。
演劇から音楽をイメージすることは出来なかった。
Barという限定された空間内で表現するのなら、
M-TVみたいなプロモーション風のの芝居に徹した方が、
共感や理解は得られたのではないかと思われた。
ネタバレBOX
女性二人による会話+ダンスの芝居でいいのかな
二人揃って演技上、照れが入っていたように見受けられました。
1時間近い芝居ながら、観客に伝える情報量は少なく感じた。
専属パティシエ「ごん」さんのスイーツは、かなり甘かったが美味しかった。
またタイトルに合わせたカクテルも、よかったです。
ですので、星+1です。
(イメージ的に「ぬいぐるみハンター」さんに近い感じを受けましたね)
『SHIBAHAMA』 遂に本日千秋楽!!!当日券出ます!!ぜひぜひおこしください。
快快
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★★
真面目な人たちの真剣勝負なお楽しみ会
これは、全身で楽しもうとする能動的な態度で臨まないと楽しめない。
そういう「意志」を継続させないと、楽しめないかもしれない。
気を抜いて観ると「飽きる」ところもある。
ぶつ切り的な感じだからだろうか。
全体的な印象としては、「ああ、やってる人たちは楽しいんだろうなあ」というもので、「お楽しみ会」的な印象を受けてしまう。ただし、それがちょっとうらやましかったりもする。
出たいわけじゃないけど。
ネタバレBOX
全体的に言うと「楽しかった」のだが、確実に飽きてしまうところもあり。
特に最初のステインアライブが流れるところは、なんだかつまらない。すぐ飽きた。
とは言え、その後は持ち直し、面白いことが次々と。
しかし、こちらが気を抜くと、あっという間に「飽きて」くる。
「出し物」1個1個が、ポツン、ポツンとあるからで、その繋がりと、言葉による紹介の手際がイマイチのような気がする(そこのあたりがお楽しみ会的な)。
もちろんうまく繋いでいるところもあるのだが、音楽と台詞のサンプリングが全体的なトーンを形作っているのだから、それをノリシロにしてもっとうまくウェーブのように全体をコントロールできたのではないだろうか。
音楽に乗せたり、台詞のサンプリングを流したり、個所に仕込まれたスイッチを触ることで音が出たりという、音によるグルーヴが試みられていたが、どうもそれがグルーヴにはなっていないように思えた。
もちろん、ちょっとした瞬間に気持ちよさが現れてくるところもあったが、動きの音感が、イマイチ、「手順」のように聞こえて(見えて)しまい、「波」や「うねり」になっていかないのだ。これは練習しても身につかないのかもしれないのだが、そこに「飽き」が来てしまう原因があるように思えた。
また、首を絞めて落としたり、の後のスタンガンのくだりとか、本気ボクシングとかは、身体を張っていたりしたやつは(ホントに落ちたか、スタンガンを当てたのかは別にして)、演じる側のリスクと見合うだけの面白さはなかったように思える。もちろん、ボクシングなどは面白かったのだけど、その面白さは、例えば、会場全体を使ったTVゲームほどの一体感や面白さまでには到達しなかったと思う。
身体を張ったあれらは、やってる本人の充実感はあるのだろうけど、どちらかと言うと、他の出し物のようなぐだくだしり、どうでもいい感じのほうが、よかったように思えるのだ。
リアルに何かが行われるよりも、どうでもいいことが、リアルさなしに行われたほうが面白かったし、全体的なトーンも合っていたように思える。
ただし、ボクシングのときに周囲を固める出演者やスタッフたちの、ただならぬ目つきだけは、見応えがあった。が、それも結局のところ全体のトーンを壊していたように思えた。
全体的な印象としては、かなり本気モードで行われており、口調とか様子とは別に、観客の容赦ない視線があるだけに、真剣そのものだったように思えた。
「真剣そのものに見えた」ことはプラスに働いていたかどうかは別として。
一見楽しそうに見えているんだけど。
今回のゲストは、歌の郷拓郎さんとアイドルユニットのフルーツ☆パンチだった。
歌は、全体的に浮き足立っていた中で歌われたのであまり集中して聞くことができず、よさげな歌だっただけに、きちんと聞きたかったような気がした。
アイドルさんたちは、とってもかわいいんで、これはちょっと得した気分。
毎回ゲストが変わるということは、当然内容も微妙に変わるということで、その融合具合、接触具合によってはとてつもなく面白い日もあるのかもしれないし、ないのかもしれない。
ついでに言えば、芝浜という作り話の虚構とアイドルという虚構のぶつかりが見えたら言うことはなかったように思えた。日替わりゲストなので無理だけど。
なぜ「芝浜」なのか、というところは、私の中では解決しなかった。理由なんてないのかもしれないが。
あえて言えば、芝浜という落語の作り話は、落語家の手によって、観客のイマジネーションの中に生きてくる。今回の舞台は、フィクションとノンフィクションとの狭間にあって、ウソとして見せたり、ホントとして見せたりというあたりが「芝浜」だったのかもしれない。
フィールドワークのエピソードとしての合法○○ッグや、スタンガンの使用など、そのあたりの見せ方が、狭間にあった。
いろんな法的な感じにしても狭間にあったかもしれないし。
全身全霊を込めて、てきとうさを醸し出していたり、バカバカしかったり、悪のりしすぎたりしていたら、もっと楽しめたような気がする。
取り組む姿勢が真面目すぎなのかもしれない。例えば、監視カメラの映像は意味ありげだし、その映像が監視カメラのものであると説明したり、サゲがアゲっていうオチも、最初にサゲの言葉を説明したりするし。真面目なのは結構なのだが、その真面目さが見えてしまうところが問題なのかもしれない。
こんな雰囲気だったら、観客も舞台の周辺をぶらぶらさせたり(一定の範囲内で)、あるいは舞台のところに入れて、一緒に踊ったりさせてもよかったように思える。そういう「演出的な危険」や「ハプニング」まで取り込んだほうが刺激的だったのではないだろうか。
奥の通路(トイレ側)の壁にこの宇宙がビッグバンによって始まってから芝浜を演じるまでの略歴の展示があったが、気がつかなかった人も多いのではなかったかもしれない。
グッズを入り口付近で販売していたが、サボテンのアレとか販売していたら面白かったような気もする。無理だけど(笑)。
まあ、あまり考えずに、観て、いや見て、はは、とか、ふふ、とか思っていればよかったのだろう。いや考えすぎてもよかったかもしれない。
しかし、見終わってから、劇場を出た後の虚しさは何だったのだろうか。
『SHIBAHAMA』 遂に本日千秋楽!!!当日券出ます!!ぜひぜひおこしください。
快快
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
ポジティブさに恐怖
どうもこれはChim↑Pomに遭遇した時と似た感覚。
今はまだただ、UMAに遭遇した直後のような放心状態。
芸術劇場ってああいう空間になるのか。
おすすめはしないが観ておくべき舞台な気はする。
露出狂
柿喰う客
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了
満足度★★★★
ものすごいパワー
初の柿喰う客。
人間の持っている、力、勢いを表現したいとのアフタートークの通り、役者のテンポ、元気さを物凄く感じた芝居でした。
すべて女優だけの芝居。
キンキン声が耳につき、耳障りに感じてしまった半面、それも女性ならではの感情表現のひとつ。
元気な劇団「柿喰う客」ストレートに色々と表現できるのは魅力です。
おくりびと
TBS
赤坂ACTシアター(東京都)
2010/05/29 (土) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★
おいおい
こんなに人を死なせて良いの???
最後、付け焼刃で締めた感が少なからずあるけど・・・
最後、カーテンコールもあっさりし過ぎてて物足りず。
座席費用に比べるとモトは取れませんでしたね。
ネタバレBOX
なんかなぁ、演技、あっさりしすぎじゃないですかね?
それに観に行ったのは千秋楽なのに、挨拶無し。
客をなめてますね。
TBSが絡むと悪くなる。
馬鹿テレビ局は採算しか興味ないのでしょうけど。
ア ペンション・プリーズ
ウワサノ…
こった創作空間(東京都)
2010/06/03 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★★
ほんわか
あったかい雰囲気で見やすかったです。ほんとにペンションの日常の一幕という感じでした。最後は若干予想できましたが(笑)それと客層の幅広さにびっくりしました。
バイ・バイ・ブラックバード
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2010/05/13 (木) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★
定番
と言えば簡単なのだが。。。
製作総指揮の加藤氏の比喩に倣えば
人気だという世評を信じ行って見れば
少しマニアック向けのラーメンだったか
というような感触ですねぇ。
悪くは無いですよ、ただ、主人公のアクの強さ、
物語全体のトリッキーさを考えると
いつものキャラメルボックスとは違うかなぁ、と。
繰り返しますが、悪くは無いですよ。
個人の感受性の違いかな。
ネタバレBOX
終演後のカーテンコール、
何度も出てきてくれてありがとうございました。
空気を読めない人たちがやたらアンコールを誘うような
手拍子を続けてましたが
無いものは無いですよねぇ。
なので、最後、みんなで正座して
無いものは無いとあっさりと言ったのは正解ですよ。
甘え
劇団、本谷有希子
青山円形劇場(東京都)
2010/05/10 (月) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
甘え。
小池栄子さんすてきでした。
ウェルダン
リトルモア地下
リトルモア地下(東京都)
2010/06/04 (金) ~ 2010/06/06 (日)公演終了
満足度★★★★
肉食系ダンス
モチーフは肉だった。肉食に始まって肉食に終わる60分。開演前から、ステーキ用の生肉が天井からいくつも吊り下げられている。上手にはコンロがあり、開演するとまもなく背中に負ったホットプレートをコンロに乗せて焼肉が始まる。
珍しいキノコ舞踊団のダンサー篠崎芽美による初のソロ公演。ダンスの作り手としては未知数だし、実をいうと公演案内チラシの絵柄(顔の上にステーキが載っているやつ)があまりにもグロテスクで、最初は見る気をなくしたのだが、公演が始まってみるとなかなか評判がいいようなので、急遽当日券で見ることにした。チラシによって公演を見る気になるというのはたまにあるが、チラシによって興味が萎えたというのは今回が初めてかもしれない。
しかし実際に見てみると、評判通りの面白い内容だった。彼女の顔の特徴である鋭くとがった顎。作品から感じられる独特の感性とも無縁でないように思えた。
舞台下手奥の隅にテントふうに張られた縦長の三角形の布。その上部から顔だけを出して歌いつつ、天井から下がっている肉をパクつくところから始まる。そのあと赤い布の下部の裂け目から下半身を現わすところでは、なんだか出産を連想させたりした。衣装は男子の体操選手が着るような白の短パンと袖なしのシャツ。鍛えられた体は実際、体操選手のように筋肉質だった。
一踊りした後、肉を焼きながらしばしトークが入る。ネットの検索で見つけたという「肉占い」についてあれこれと。こういうしゃべりを気軽に入れるところは珍しいキノコ舞踊団仕込みだろう。
そのあと開脚で床にうつぶせの状態から、自分の体を肉という物質として、ちょっと突き放した感じで探り始める。木の床に当たってペタペタと音を立てる手足の肉。皮膚に口をつけて息を吹きかけるとまるでオナラのようにブブゥと音が出る。ひざの裏や脇の下でも同様に音が出せる。自分の体を不思議そうに探るその感じは子供のころの感覚を思い出させる。
後半ではぬいぐるみをいったんバラバラにしてつなぎ合わせたような被り物で登場。顔の部分は目と口があいていてマスクのよう。立ち上がると下半身が出てしまう大きさ。獅子舞っぽくもある。ギターを弾く男性が共演。白い机ふうの台を舞台に置く。篠崎は被り物のまま台の中にもぐりこむ。手と足を両側に出して這い進むと、台がまるで亀の甲羅のようにみえる。ギター弾きが台の上に飛び乗ったときにはひやりとしたが、亀が手足を甲羅の中に引っ込める要領で、直前に台を床まで下げたので、手足にダメージを受けることはなかった。この辺はダンスというよりも、道具を使ったインスタレーション的な面白さかもしれない。予想のつかないアイデアが全体を通してちゃんと盛り込まれていたので、終始興味をひきつけられた。床に体育座りという苦しい鑑賞環境で、後半は腰が悲鳴を上げていたにもかかわらず。
終盤にも奇妙な装置を背負って登場した。フラフープのような輪が二段になっていて、それぞれに肉が吊るしてある。電動式になっていて、それがくるくると回転する。発想の奇抜さがなんといっても独特で、作り手としての才能を感じずにはいられない。
音楽も何曲か使われたうち、グロリア・ゲイナーのヒット曲「I wil survive」が誰かのカバーと本家のと2回流れたのが印象に残る。最後もゲイナーの歌に乗って、同時に焼けた肉をほおばりながらの、彼女ならきっとどんな逆境でもサバイバルするだろうと思わせる、たくましいダンスで締めくくった。