humming 4 公演情報 ポかリン記憶舎「humming 4」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    目を見開き耳を澄ましたくなる
    日本家屋の一部になって
    そこに流れる時間の揺らぎを
    感じる。

    家が含みもつ空気と物語が重なって
    豊かに浸潤されました。

    ネタバレBOX

    靴を脱いでその場所に入った時
    贅沢な日本家屋のもつぬくもりにやわらかくとりこまれる。
    意外と高い天井、
    ライトアップされた庭。
    まるでパズルのように観客が壁際の席にはめ込まれて
    その家の空気が肌に馴染んだころに
    すっと物語が始まります。

    この場所では空気が
    観客をしっかりと捉えてくれる。
    登場人物が現れるたびに
    空気の色や密度が
    やわらかく、でもしっかりと変化していく。

    登場人物たちの想いを伝える台詞が
    断片的に語られ
    空気が廻るようにつながっていく。
    家自体のことが説明されていくくだりなどは
    とても饒舌なのですが、
    それ以外のことは、
    その場にあるべきものがあるべき色で
    あるがごとく語られていく感じ。

    ただ、おかれた言葉は
    現の世界とは異なり
    散りきらず、その場にすこしずつゆっくりとつもる・・・。

    静謐さが観る側の五感を研ぐ。
    音・・・、足音、カップやグラスを置く音に
    現と物語の世界が重なり
    さらには劇中の梅干しの味が
    観る側の体をめぐる。
    現と物語の世界のボーダーが曖昧になって
    姉弟それぞれの想いが
    積もった言葉やしぐさから浮かび
    観る側の腑に落ちる。

    ありふれたひと時のスケッチでありながら
    観る側にとどまる質感が
    鈴の音とともにスタンプされて・・・。
    結末を急がない終幕とともに
    この場所の一コマとして心にのこる。

    ひとときを内に留め感じることの豊かさを
    たっぷりと実感することができました。










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    2010/06/07 10:58

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