満足度★★★
舞台は崩壊し、家族は(一瞬)再生する
あらすじ→母が突然出て行ってしまい、3人の兄弟と父親だけが残された。そんな非常事態に、次男の誕生日パーティーに参加しようと長女とその夫が帰ってくる。しかし次男は友人を2人連れて来て、家族水入らずの雰囲気ではなくなってしまった。さらに見知らぬ男まで家に入り込み・・・。
作・演出の松居大悟さんが終演後のトークで話されていたとおり、役者さんの即興(エチュード)からシーンを立ち上げる作劇方法をとっていらっしゃいます。役者さんの魅力を伝えやすいという利点はあるものの、どうしても脚本の精度は低くならざるを得ないと思います。必要だとは思えない会話が積み上げられては捨て去られていくので、私には何を見て、何を感じ取るべかを選べない混沌状態でした。でも最後にあっと驚く演出で、ぐるりと世界をひっくり返してくれたのがとても面白かったです。
役者さんの中では母のボーイフレンド(?)役の津村知与支さんが特に印象に残りました。一人芝居としても観られる完成度で、ありえない事態をしっかり成立させていらっしゃいました。