アメリカン家族 公演情報 ゴジゲン「アメリカン家族」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    舞台は崩壊し、家族は(一瞬)再生する
     あらすじ→母が突然出て行ってしまい、3人の兄弟と父親だけが残された。そんな非常事態に、次男の誕生日パーティーに参加しようと長女とその夫が帰ってくる。しかし次男は友人を2人連れて来て、家族水入らずの雰囲気ではなくなってしまった。さらに見知らぬ男まで家に入り込み・・・。

     作・演出の松居大悟さんが終演後のトークで話されていたとおり、役者さんの即興(エチュード)からシーンを立ち上げる作劇方法をとっていらっしゃいます。役者さんの魅力を伝えやすいという利点はあるものの、どうしても脚本の精度は低くならざるを得ないと思います。必要だとは思えない会話が積み上げられては捨て去られていくので、私には何を見て、何を感じ取るべかを選べない混沌状態でした。でも最後にあっと驚く演出で、ぐるりと世界をひっくり返してくれたのがとても面白かったです。

     役者さんの中では母のボーイフレンド(?)役の津村知与支さんが特に印象に残りました。一人芝居としても観られる完成度で、ありえない事態をしっかり成立させていらっしゃいました。

    ネタバレBOX

     「全てをぶち壊す」シーンで、役者さんが家の壁に突進して破いてしまいます。服を脱いで舞台の外に投げて、照明器具に引っ掛けるという暴挙に感動(笑)。マンションの1室が広い世界とつながり、居間とゆるやかなスロープ、その上にある個室との間に隙間(装置の間の溝)があることにも納得できました。

     家族だけで食卓を囲み、互いの悪口を言い合う場面は密度が高まってとても良かったです。
     1人ひとりの誕生日を盛大に祝うのが、この家族にとって絶対に欠かせない恒例行事だということでした。次男(奥村徹也)が事前連絡なしに友達を連れてきたことさえも、その行事を面白くするためのアイデアだったのではないか・・・とまで考えてしまいました(笑)。こんなに想像を広げられたのは、最後の家族の結束に説得力があったからだと思います。

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    2010/06/07 11:16

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