果実の門
乞局
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
満足度★★★★
カミサマすごい…
初見なので、あーあのキャラが出てる!というのを感じられなかったのがちょっと残念でした。
クセの強い人々が織り成すあやうい生活が濃かったです。
娘以外みんなほどよくいや~な空気をまとっていました。
ネタバレBOX
みんなめっちゃ怒鳴るので小心者ゆえにびくっとしていました。
セキコさんのいらつきがよかった。
下着がかわいかったです(笑)
風間杜夫ひとり芝居 五部作一挙上演!!
トム・プロジェクト
本多劇場(東京都)
2010/11/03 (水) ~ 2010/11/10 (水)公演終了
満足度★★★★
演じるってイイなぁ。。。
風間杜夫演じるサラリーマンの独り舞台。
短編5本を一挙上演で、途中15分休憩を2度あるものの、13時開演で、幕が18時10分の大熱演。
実際は、女性客が圧倒的に多かった為、トイレが激コミして、20分以上の休憩だったような気もしますが。
内容云々は他の方々に任せるとして・・・とりあえず、観劇後数日は、思わず買ってしまった全五作の脚本を声を出して読んじゃったりして。。。
ま、そんな衝動に駆られる舞台でした!
芸は身を助けるといいますが・・・器用貧乏という言葉もありますけども・・・「宴会部長」になる人生もアリかな、と思わせる舞台でした!
楽しかった!!!笑った!!!!!
The Blue Dragon - ブルードラゴン
東京芸術劇場
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2010/11/11 (木) ~ 2010/11/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
なんかヨカッタ。
演出がシルク系の人らしく(この分野は不案内なのですが・・・)、正直期待はしていなかった。。。
「シルクの公演の様に内容が良くわからなくなっちゃって、途中で寝ちゃうかもなぁ」って思ってました。
座席はD列の4番目・・・端っこです。。。
「この位置は苦手だなー」と思っていたのですが、塞翁が馬。。。
前後左右に観客がおらず(実際には左側には、5席向こうに一人いた)、舞台まで視界をさえぎるもの無し。
肘掛も使い放題(?)で、かつてないほどにリラックスした格好での観劇。
これがヨカッタ!!!
居間で寝転がって鑑賞しているような気分だったからか、なんともやるせない(というか情けない)主人公のカナダ人男性に「うん、そういう恋愛ってあるよなぁ」と妙な連帯感を感じちゃったりして。
それにしても、舞台装置&美術は凄かったなー。
諸先輩方には「そんなの井の中のナントヤラ」と言われるかもしれないけど・・・場面の切り替え、照明の使い方・・・どれもこれも「よくわからんけど、スゲーっ!!!」って。
ま、聞き取りやすい英語&まったくわからないフランス語が行き交う舞台に酔いしれただけかもしれませんが。
同じ席なら・・・同じように寛いで見られるなら・・・また見たい!
畏まって鑑賞する舞台では無かったかなー。
押忍!!ふんどし部!
キューブ
山野ホール(東京都)
2010/11/19 (金) ~ 2010/11/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
テニミュから派生?
本家のテニミュを観てたら、笑いのツボがもっと良く分かったかなあ。テニミュねたっぽい箇所が何カ所もあって、回りの子たちにはウケてたし。
会場は劇場っていう雰囲気は皆無で、学校の体育館そのもの。そのまま、高校の学園祭と化していました。フンドシ姿でよく頑張った!ここまでストレートにばかばかしいと、すがすがしい。
客を巻き込んで無理矢理盛り上がらせるっていうアイデア、いいね。
クリストフ・マルターラー『巨大なるブッツバッハ村ーある永遠のコロニー
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2010/11/19 (金) ~ 2010/11/21 (日)公演終了
満足度★★★★
永遠のハーモニー
ガレージ、事務所、居間が合体融合した、いびつなはずなのに恐ろしい程に
調和の取れた舞台空間に、反対に空虚で弛緩し切った動きや言葉。
そして、そこを突き破るようにハッキリと聞こえる人々のハーモニー。
でたらめに投げ込まれているように見えて、実は観客の集中力を
途切れさせないよう、ちゃんと構成された進行もあって、二時間以上の
決して分かり易いとは言いにくいこの劇を最後まで楽しむことが出来ました。
最後のシーンは静かで、それでいて本当に感動的です。
これだけで、観に来た意味があるといえます。
ネタバレBOX
序盤から、新聞記事、人々の手記、人文書、哲学書、文学書からの
カットアップされた引用、援用の台詞の応酬が続く。 大半は意味が
分からないけど、時折「資本主義」に対する言及があったりして刺激的。
ほとんどの引用元は分からなかったけど、ナオミ・クラインの議論を
踏まえてあったり、ジェレミー・ベンサム『立法と道徳の原理序説』のからの
一節が銀行の出納係の台詞として引用されてたりしました。
元ネタが分かる人はもっと楽しめると思います。
人間カンナ(笑)でほどほどに笑いを取ったり中盤までは役者の緩慢で
どこかユーモラスな動きに焦点を当てていく。 正直、ゆっくり過ぎて
キツいのだけど、ちょうどいいタイミングで合唱を入れてきたりと、
とにかく構成が上手い。
中盤。序盤から頭を見せていた「資本主義」、というより、その裏側に
隠されているモノ、資本主義を屈折させていく人々の「虚栄」「欲望」
「学習しなささ」が徹底的にあげつらわれ、コケにされる。
序盤では、かの金融崩壊で家具を差し押さえられ、泣き出す人々の
様子が描かれたりと、米国震源地であるリーマンショックが海の向こうの
ヨーロッパに与えた影響、またそのことに対する怒りと強烈な批判が
この作品の背景にあります。
かのリーマンショックで財産を失った為、ガレージを美容院に改装
せざるを得なくなった女が、いずれは失ったはずの金は戻ってくるはず、と
まるで根拠の無い願望を吐露しながら、銀行員に無利子での貸付を依頼。
その少し前の場面では、ブランド物やPC等人々の欲望を喚起するような
商品群が舞台の端で次々にゴミ箱に投げ込まれ、捨てられていく。
中盤は、上記のエピソードに加え、相当過激な口調で「人々の欲望が
経済成長につながる」「経済成長あってこその、幸せな暮し」といった感じの
言説がぼっこぼこにされます。 相当痛快で面白いけど、それまでの
緩さからの急展開ぷりにギャップを感じざるを得ない(苦笑
いや、でも、某国政府の首脳陣や○前○一みたいな経済評論家陣にも
観せてあげたいですよ、本当に。
最後、人々が全員でガレージに閉じこもり、「生命の息吹」の歌を合唱する。
警官に扮した体制側がガレージの扉を閉ざしても、歌は決して消える
事が無く、静かに、しかし、力強く歌い続けられる。 ガレージのシャッターを
超えて舞台の上、客席の人々の頭上に、そう、暗転するまで。 ずっと。
それまでの生気の無い雰囲気から一変、地の底のような閉塞した舞台
空間からまるで芽がゆっくりと確かに芽吹くように。
人々が、資本側の人間で無い、一般の人々が生命賛歌を口ずさむ。
その時、この歌は人々の「再生」を意味すると共に、現状にはびこる
人間を操り人形としてしか捉えないねじ曲げられた資本体制への
カウンターパンチ、再び立ち上がった彼等の「革命歌」の役割をも
同時に果たしたのです。
地味だけど、最高に美しい瞬間で、力づけられる、人間的な歌の響き、
時間でした。 全てが素晴らしかったです。
りんごりらっぱんつ
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
別役 実 VS 竹本 穣 Part-Ⅱ
Pカンパニー
西池袋・スタジオP(東京都)
2010/11/17 (水) ~ 2010/11/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
とてもおもしろい
とてもおもしろい。
役者さんが全員とても良い演技をしている。
こんなに出来の良い別役劇を見たのは久しぶりです。
楽しく笑えます。
半分は子供に見せるために書かれた戯曲だから、難しくない。
分かりやすい。
図書館的人生 vol.3 食べもの連鎖
イキウメ
HEP HALL(大阪府)
2010/11/16 (火) ~ 2010/11/20 (土)公演終了
満足度★★★★★
オブラート一枚の向こう側にある非日常
この劇団の公演を見るのは初めて。
4話からなるオムニバス。全体を通して、演出は淡々と進むタイプ。演技、衣装、装置など何一つ派手なものはない。ごく普通に、日常を切り取ったかのように淡々と話は展開していく。
ただし、「日常を淡々」だけならばなにも舞台を見る必要がないわけで、ではなぜ演劇として成立しているのかというと、オブラート1枚の隔たりで「変」な世界に入って行ってしまっているから。オブラートなので日常の世界が透けて見える、そしてちょっとの水分で溶解してしまいそうな気がする、だけど厳然と「非日常」である、という面白さ。これがこの劇団の魅力なんじゃないかと思う。
ネタバレBOX
基本的にセリフのやりとりによって場が進行していく。そのセリフが、派手ではないがほんの少し、作者の独特のセンスによって日常とは「軸」がずらされている。ストーリーの展開というよりは「状況の説明(言葉による説明ではなく、会話を重ねることによって状況が浮かび上がるという内容)」なのだが、その「状況」が、ありそうであり得ないこと(4話の中には「あり得る話」もあるが)、なのでいつの間にか作者の構築した「変」な世界に入り込んでいく。
#1 Entrée/前菜(要するに「第一話」)「人の為に装うことで、誰が不幸になるっていうんだ?」
#2 Poission/魚料理 「いずれ誰もがコソ泥だ、後は野となれ山となれ」
#3 Viande/肉料理 「人生という、死に至る病に効果あり」
#4 Dessert/デザート 「マヨネーズの別名は、全体主義的調味料」
この4話がシンプルでほころびのない演出で淡々と進行していく。基本的に静かな、大きな盛り上がりのない展開なのだけれどもそれでも飽きずに見ていられるのはセンスのよい台詞の軽妙さと、工夫された動きによる。舞台装置は料理教室で使われていたキッチン台(4台あったように思う)。これを縦横に動かしたり、くっつけたりして時には食卓、時にはスーパーのレジ台、時には病院のベッドなどいろんなものに見立てる。展開を文章で説明するとなると非常に深刻になる(特に第3話)が、実際には何分かに1回はクスリと笑いがもれる程度のくすぐりが入り(決して爆笑ではない)、テンポよく進行していくため、暗さも深刻さも感じない。
オムニバスの各パートにつけられた「前菜」「魚料理」「肉料理」「デザート」がいい得て妙だ。話のボリュームという点でもそうだし、日常からの距離という点でもちょうどそれくらいの感覚かな、と思う。
「前菜」は「通常でも起こりうる範囲」。しかしあくまで芝居という「虚構」の世界の出来事であって、通常で起こり得ない部分をほんの少し、付け加えている。それは夫である甘利文雄がガラスを突き破って外へ飛び出すという点だ。肉だと思っていた料理が実は植物性タンパク質のグルテンだった。そこで激昂するという場面は日常にはあるし、実際に充分起こり得る風景だ。たとえその激昂ぶりが度を超えていても、「日常」の範囲をはみ出してはいない。しかしコース料理が進むにつれ、そのはみ出しぶりが少しずつ、段階的に「日常」を越えていく。
メインの「肉料理」では「飲血による不老」という、全くの虚構をベースとしたドラマへとはみ出していく。その踏み出す段階の付け方が絶妙だ。そしてあくまで演技は淡々と、「自然」だ。
劇団のサイトから主宰者の作・演出家前川知大氏のブログに飛べるが、その中の日常を描いた記事がそのままさらりと舞台になった感じ。見ながら「これ、舞台よりもむしろ映像向きなんじゃないか」とか、「文章の面白さがそのまま3D化している」と思った。
「さらりと自然に」といってもそれは舞台で演じる上での「自然」であって、素で行動しているわけでは全くない。舞台上の演技であるからには発声も身体の所作も、きちんと訓練された「表現を見せる」ものであるに違いないのだが、そこに少しの力みも舞台上の演技臭いものも感じさせない。そこに非常に高い技術を感じる。
だいたいが私は若い頃からやたら力んで勢いで見せる芝居ばかりを好んで見てきた。レビュー芝居もその延長にある。目一杯のてんこ盛りが好きだ。だからその対極にあるようなこの劇団の芸風はとても新鮮で、なおかつ面白く観劇している自分を不思議に思った。
それは多分こういうことなのかも知れない。表面に現れる演技や装置や衣裳、台詞回し、ストーリー展開などはあくまでさらりとしている、しかし「さらり」と感じさせるための緻密な計算や訓練や構成力とそれを組み合わせるセンスが、実は水面下では「てんこ盛り」なのだ。例えるなら出汁をしっかり取った上での究極の薄味、というかんじ。
あと、この劇団の他の作品、特にオムニバスではないものはどんなになっているのか。この「究極の薄味」はインターバルの短いオムニバスだからこそ飽きが来ずすんなり見られたのではないか、という思いもあって、今度は是非1本ものを見てみなくちゃ、と思っている。
2WEEK コンタクト~まだ使えると思ふ~
山田ジャパン
サンモールスタジオ(東京都)
2010/10/23 (土) ~ 2010/11/01 (月)公演終了
観劇
大野さん、ただのさんが好きです。出るだけ喋るだけで笑ってしまう
そんなの俺の朝じゃない!
ライオン・パーマ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2010/11/18 (木) ~ 2010/11/21 (日)公演終了
満足度★★★
シュールな笑い + ほっこり
劇団ライオン・パーマは今回初見。
シュールな笑いに、家族愛、夫婦愛がほっこりあたたかい。
コメディーだけど、ほっこり。
(一緒に行った友人はサザエさんをかんじたらしい。
こんなサザエさんがあったら大変ですが…)
キャラクターがなかなかぶっ飛んでいていい味だしてる!
ぶっ飛び担当のさわだまきさんと前田無有子さん、
柿杉満州男氏が気になった。
火山火山の登場シーンは神々しいけど笑える。
初日のバタバタでセットの動きやら何やら大変だったけれど、
きっと今日からはばっちりのはず。
ネタバレBOX
火山火山(ヒヤマカザン)は実直で真面目な男 ナイスな親父でした。
「水の手紙—群読のために—」/「朗読劇 少年口伝隊一九四五」
こまつ座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/21 (日)公演終了
満足度★★★★
ゲストで選ぶ
小曽根真さんと神野三鈴さんの日に伺いました。だだ泣き。
果実の門
乞局
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
満足度★★★★
狂人達の物語
意外にこういった構図は一般社会そのもののようだと思う。ただ、ここまでは濃く激しくなくとも、似たような薄さで存在する人間関係があるのが今の社会だ。だから、社会を風刺したような舞台とも取れる。それぞれが内に秘めた闇や傷を持ちながら、残りの人生を弱火のまま過ごそうとしている人たちの町に引っ越してきた家族の物語。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
外部からの集合体のような町に元警官の家族がやってくる。夫は警官をクビになったが未だに昔の栄光や威厳を忘れられない男だった。そんな鬱積したものを抱えながらこの町を統制しようとする。その妻と娘は不満ながらも夫と一緒に引っ越してきたのだった。
しかし、この町の住人らは元警官からみると不審者ばかりだ。そんなことを考える元警官も既に精神疾病者だ。
町の住人らはこんなだ。
妻を亡くした男とその男をヒモにして変態プレイを楽しむ尺子。尺子のスナックで働くヌエは美人だが首の骨を折る悪食を持ち、堪らず手から涎を出す癖がある。
×4男だがメッポウモテる男、ヒステリーで自分に見合った男を追求する独身女、その独身女の下着の匂いを嗅ぐ男、両親を知らない男、自らの手のひらを切り流血で絵を描くバイト男、弟が亡くなった傷を抱えたままの男、多重人格障害者、これらの中で実は一番大人なホームレスら。
序盤、ホームレスらが話すエピソードが素敵だ。また個々の事情をホームレスが説明する場面での演出がお見事でとにかく解りやすい。ホームセンターでの店長と店員の会話はコメディかと勘違いするほど不条理満点でむしろ愉快だった。
抱えた傷の程度はそれぞれだが、元来、人間はどこかしら欠けているのだから、既に狂人なのだけれど、それを理性と言うベールで隠しているだけに過ぎない。だとしたら舞台の上も下も大差ないな、とも思う。
物語は完結しないでストン!と途中で幕が下がってしまった感はある。だけれどこれらの狂人達に「ああ、そうかい。」なんつってこちらが理性的ベールをまとって同情する価値はある。
銀河系ホームレス
宇宙食堂
ザムザ阿佐谷(東京都)
2010/11/10 (水) ~ 2010/11/14 (日)公演終了
満足度★★★
衣装がいい
宇宙を舞台に友情と親子愛をノスタルジックに描いた物語
近未来と昭和が入り混じるような感じですかね。
どこかが突き抜けていれば、もっと良くなる気がして惜しい気持ち。
蛇と天秤
パラドックス定数
ギャラリーSite(東京都)
2010/11/09 (火) ~ 2010/11/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
観てよかったです。
大変、怖い作品でした。役者さんも抑えた中に迫力があり、目が離せませんでした。
果実の門
乞局
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
満足度★★★★
オールスターキャスト的な?
ある共同体に新参者が加わったことにより起こる軋轢と紆余曲折を経て落ち着くまで、的な105分。
過去作品の主要人物ほぼ勢揃いとのことで、歴の浅い身として劇中で見え隠れする過去がそれぞれの作中事件だったのか?などと想像しながら観るのまた愉しからずや。
また、舞台の幅を広くとれるレイアウトでの存在感ある装置も見モノ。
花たち女たち
花組芝居
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2010/11/04 (木) ~ 2010/11/14 (日)公演終了
満足度★★★★
「恋たち」チーム拝見
「夢たち」チームとはだいぶ違う印象をもった。こちらのほうが古風で新派の味わいがあった。主役・正子役の堀越涼の達者さに舌を巻く。何でこんなに美しく巧いのだ。恐るべし。聞くところによれば女形初主演だという。「恋」チームの植本が「初日に堀越くんにサポートに付いてもらったが完璧にこなしてくれた」と語っていたが、芝居用語で言うところの「役が手に入って」いたのだろう。楽しみなスターが出てきたものだ。
脚本が正子と蔦代を善人に描きすぎ、底にある花柳界の澱や女の嫉妬心、競争心が薄まって、きれいごとの友情物語になっているのが物足りないが、花組芝居のファン層向けにそうしたのだろう。
舞台美術の花札屏風は安待合みたいで、「この店はけばけばしくなくていいですねぇ」という劇中の台詞と合わないのが困りもの。
ネタバレBOX
新派と言ったが、花組芝居はお笑いの要素も濃く、女形が素に戻ってしゃべるシーンもあるので、演じるほうも女形にドップリ漬かるわけにいかないのが難しいところだろう。堀越は出の場面の仕込みのころの声の美しさにまず驚いたが、おどけた地声が真面目な場面に切り替えたときも残ってしまうのが難点。終始三枚目に徹した谷山知宏の蔦代にはやりすぎの感があり、疑問も残った。正子・蔦代はいずれ劣らぬ器量良しという設定なのに、谷山の蔦代は正子の引き立て役になっており、オカマそのものだ。蔦代役は八代のほうに軍配を上げたい。正子・蔦代の踊りの場面、蔦代が手をはずす前の揃うべき場面もずれてしまうのが気になった。踊りの修練ですな。蔦代の母・ふじは北沢洋は老け役が巧く、「夢たち」の江藤役の人とは思えない。
歌舞伎役者仙七の桂憲一にそれらしい色気があり、正子との見初めの場面の2人の美しいこと。加納幸和の阿や八は新派の名女形だった先代の英太郎を思わせて上出来。延二郎の秋葉陽司は「お鹿でない・・・お紺」と言われるように太りじしで笑わせる。彼の伊勢音頭って(笑)。秋葉は後年の河村屋の番頭も兼ねるが、主従の役が同一俳優というのはややこしい。
堀越は終幕、愛する男を次々失って子供のように号泣するところに女の哀れさがよく出た。この若さでこれがやりおおせるとは。歌舞伎の門閥以外の女形としては若手のころの坂東玉三郎以来の驚愕。大根で閉口した市川笑也の新人時代と比べると堀越のほうが技量は数段上。
若いころに違和感との指摘もあったが、堀越が20代では子役を使うしかなくなる。役者は70でも小娘を演じなければならない。新派の重鎮・花柳章太郎は50代でも15に見えた。演技力でカバーするべきだ。
夏の夜の夢
明治大学シェイクスピアプロジェクト
アカデミーホール(明治大学駿河台キャンパス)(東京都)
2010/11/12 (金) ~ 2010/11/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
愛だよ、愛
すごく良かった。
本当に良い舞台に出会うと、まったく陳腐な言葉しか出てこない。
本当に、すごく、良かった。
楽しかった。
この芝居は、舞台への愛に満ちていた。
お前らもっと舞台を愛せよ!って言ってやりたい芝居が多すぎる中、
久しぶりに本物の愛に触れる事が出来て私は幸せです。
『三丁目6番地のオズの魔法使い』
CAPTAIN CHIMPANZEE
テアトルBONBON(東京都)
2010/11/17 (水) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
満足度★★★★
な~んだ
オズの国って、すぐそこにあったんだ! バカバカしいというか、楽しいというか、面白いというか・・・。脚本のアイデアが秀逸。オズの魔法使いを知らなくても100%楽しめるのがいい。それにしてもブリキ、ライオン、カカシ・・・・、なんともうまい演出方法だ。途中ドタバタしすぎるような印象もあるが、キャラ設定が見事に確立されているので、見ているうちにだんだんと引き込まれていく。政治家まで動員するなんて・・・・・・・、作者は政治力まで誇示したいのか!?(笑)
幽霊探偵
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2010/11/18 (木) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
推理、愛、哀愁!!
推理小説としての謎解き部分が素晴らしく、そもそも過去の事件を解決しようとした動機にも愛が溢れていて素敵でした。
そして、人の変化の面白さ、哀しさに身につまされながらも大笑いしました。
ネタバレBOX
幽霊なので裏技を使えば全貌を知ることも可能でしょうが、そんな能力は無いということにして、頼りない男の見聞きした内容を通じてちょっとしたことの嘘を見破り、犯人や犯行を推理するところが秀逸でした。
部屋の隅ある証拠品に頼ったりするのではなく、言葉の一つ一つから背景を探り当てたり矛盾を突く、安楽椅子型探偵でした。
15年前に自殺したとされる姉の死に疑問を抱いた妹が、事件現場だったペンションのオーナーでその後夫となった男性への疑念を晴らすために、当時の宿泊者を集めて解決を図ろうとした気持ち、優しさが背景にあるところが素晴らしかったです。
15年経つと、ロミオがおっさんになるのも哀しいです。
登場人物に犀川創平と西之園萌絵をもじった名前があって嬉しかったです。
頼りない男はナイロンの大倉孝二さんを少し意識し過ぎかなという気もしました。
『三丁目6番地のオズの魔法使い』
CAPTAIN CHIMPANZEE
テアトルBONBON(東京都)
2010/11/17 (水) ~ 2010/11/23 (火)公演終了
満足度★★★★
温かくて前向き!
優しい気持ちになりました。
ネタバレBOX
オズの魔法使いに登場するドロシー、ブリキの木こり、ライオン、かかしのそれぞれの人形が、能力的、性格的にぴったりの若者にくっつき、人形劇を行うことで若者が成長する話。
幼稚園跡地の地主さんでもあるクールな女性は人形作家だったお母さんの心を知って他人に対する気配りができるようになり、幼稚園の復活を目指します。弁護士を目指す女性は特に頭が良くなったわけではありませんが、弁護士を目指すようになった動機を思い出し最善を尽くすことを誓い、父親と将来のことで向き合うことのできなかった青年はピアニストを目指すことを率直に伝える勇気を得ることができました。そして、貧しい国から養子として連れて来られた少女は菅にゃおと首相の計らいもあって親許に帰って行きました。
人形を使うとほんわかして楽しくなりますね。
にゃあにゃあ語も楽しかったです。
舞台の後方で行われた紙芝居は、普通の画用紙大で作られていたため良く見えませんでした。また、紙芝居の演者の声はボイスチェンジャーで変換されていましたが、役者さんの本来の声が音漏れしてかぶっていました。