花たち女たち 公演情報 花組芝居「花たち女たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「恋たち」チーム拝見
    「夢たち」チームとはだいぶ違う印象をもった。こちらのほうが古風で新派の味わいがあった。主役・正子役の堀越涼の達者さに舌を巻く。何でこんなに美しく巧いのだ。恐るべし。聞くところによれば女形初主演だという。「恋」チームの植本が「初日に堀越くんにサポートに付いてもらったが完璧にこなしてくれた」と語っていたが、芝居用語で言うところの「役が手に入って」いたのだろう。楽しみなスターが出てきたものだ。
    脚本が正子と蔦代を善人に描きすぎ、底にある花柳界の澱や女の嫉妬心、競争心が薄まって、きれいごとの友情物語になっているのが物足りないが、花組芝居のファン層向けにそうしたのだろう。
    舞台美術の花札屏風は安待合みたいで、「この店はけばけばしくなくていいですねぇ」という劇中の台詞と合わないのが困りもの。

    ネタバレBOX

    新派と言ったが、花組芝居はお笑いの要素も濃く、女形が素に戻ってしゃべるシーンもあるので、演じるほうも女形にドップリ漬かるわけにいかないのが難しいところだろう。堀越は出の場面の仕込みのころの声の美しさにまず驚いたが、おどけた地声が真面目な場面に切り替えたときも残ってしまうのが難点。終始三枚目に徹した谷山知宏の蔦代にはやりすぎの感があり、疑問も残った。正子・蔦代はいずれ劣らぬ器量良しという設定なのに、谷山の蔦代は正子の引き立て役になっており、オカマそのものだ。蔦代役は八代のほうに軍配を上げたい。正子・蔦代の踊りの場面、蔦代が手をはずす前の揃うべき場面もずれてしまうのが気になった。踊りの修練ですな。蔦代の母・ふじは北沢洋は老け役が巧く、「夢たち」の江藤役の人とは思えない。
    歌舞伎役者仙七の桂憲一にそれらしい色気があり、正子との見初めの場面の2人の美しいこと。加納幸和の阿や八は新派の名女形だった先代の英太郎を思わせて上出来。延二郎の秋葉陽司は「お鹿でない・・・お紺」と言われるように太りじしで笑わせる。彼の伊勢音頭って(笑)。秋葉は後年の河村屋の番頭も兼ねるが、主従の役が同一俳優というのはややこしい。
    堀越は終幕、愛する男を次々失って子供のように号泣するところに女の哀れさがよく出た。この若さでこれがやりおおせるとは。歌舞伎の門閥以外の女形としては若手のころの坂東玉三郎以来の驚愕。大根で閉口した市川笑也の新人時代と比べると堀越のほうが技量は数段上。
    若いころに違和感との指摘もあったが、堀越が20代では子役を使うしかなくなる。役者は70でも小娘を演じなければならない。新派の重鎮・花柳章太郎は50代でも15に見えた。演技力でカバーするべきだ。




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    2010/11/19 12:55

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