検察官
柿喰う客
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/11/12 (土) ~ 2011/11/28 (月)公演終了
満足度★★★★
お見事
初観劇の字幕芝居とバイリンガル芝居と言う事で構えて行ったのですが、その不安は稀有に終わりました。
肉体言語と言うか芝居言語と言うか、その演出力と演技力のおかげで全く気にならずに入って来ました。
初見だった韓国の役者さんも日本の役者と違った色気があって良かったです。
箱祭
箱庭コラァル
ラ・グロット(東京都)
2011/11/19 (土) ~ 2011/11/20 (日)公演終了
満足度★★★★
ひととき
まずトークショーでは、普段聞くことのないクラッシックの作曲家の話などが聞けて面白かったです(手の大きい作曲家など)
ただ、演奏時のステージが高かったのと会場が解りにくかったのが気になりました。
あと、夢十夜は、十話まで続くのでしょうか?今後の展開も含めて楽しみです。
芝居というよりは、物語を語って(綴って)いくように感じました。
最後に、会場では質問できなかったのですが、和装での演奏(芝居)の理由が聞きたかったです。
雑種愛
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/11/24 (木) ~ 2011/11/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
太一君は僕だ
ドラマは登場人物の変化であり、人間関係の変化だ。
角角ストロガのフの話は、その変化して行く様、狂ってゆく様をまざまざとえぐり出すように描き出してゆく。
かなわないな。
僕が惹かれるのはそこだ。
太一君も聖奈ちゃんも僕自身を描き出されているようだ。
ネタバレBOX
やっぱり死人も出たし、やなことがいっぱい起きた。
でも僕は今回の話はハッピーエンドだったんじゃないかと思っている。
いままで観た角角ストロガのフで初のハッピーエンドだ。
INDEPENDENT:11
インディペンデントシアタープロデュース
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2011/11/24 (木) ~ 2011/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
二日目終了☆
二日目も通して観て、これにて一巡目終了。
昨日と続けて、これで全組観れたことになります。
いやぁ~どの組も見応えありますね!
色合いが全然違っていて、一人芝居博覧会。
去年と違い、きわをいくテイストなものはないもの。
いろんな観劇ファンの好みに合う、どんな人でも一組は必ずこれ!とぴたりとくるものがある、そんな素晴らしい12組です!
二日目の中で一番だったのは、大西さんでした。
書いてるのは玲央さんで、演出は日呂さんなのに、なんで?ってくらい柿色。
魂こもってました、舞台からあふれ出そう、というよりあふれ出ていた熱量。
30分間保ち続け一瞬たりとも隙なく芝居し続ける、その半端なさ。
凄まじい芝居でした。
まだやっと一巡目、感想はここまでにとどめます(笑)
各組感想は、また後日。
今日から二巡目。今日と明日は11組+トライアル一組が一挙に上演。
見逃せません!一組たりとも!
女優X
東京ギンガ堂
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2011/11/24 (木) ~ 2011/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
二人による芝居
米倉紀之子さんが綺麗で、光っていました。
ネタバレBOX
二人芝居というのか二人による芝居でした。
活弁の位置で、山本悠生さんが活弁的しゃべりによってその他を演じる手法、座布団の上には誰もいないのにまさに義父がいて、彼女と話しているように見えました。
伊沢蘭奢が若くして脳出血で死亡したため描かれた範囲が十数年と狭かったので、伝記物にありがちな冗長さを感じることもなく、キリッとした作品に仕上がっていました。
赤と黒の舞台にラスト蘭奢の赤と黒の衣装が映えて、とても美しかったです。
雑種愛
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/11/24 (木) ~ 2011/11/28 (月)公演終了
満足度★★★★
異質な人たちが
転がり落ちていく様、面白かったです。
ネタバレBOX
早熟早老症の少年とその家族、医者であり年を取らない病気の少女の父親、少年の小学校時代の元先生たちが破滅への道へ転がり落ちていく様が良かったです。
特に少年の母親役の島崎裕気さんの壊れ方がいいですね。家庭崩壊劇にはピッタリの役者さんです。
ブスの先生に自分の境遇を慰められることにむかついたというのも強烈でした。
6ヶ所に分けられた舞台の使い方も素敵でした。
染色体にくっついているヒモが分裂の度に短くなるのが老化ですから、新薬が開発されたからといってヒモが再生されるまでには至らないのじゃないかとつい考えてしまういけない私もいましたが、少年があんな美少年になれるんだったら飲んでみたい、そして染色体のヒモを伸ばしてみたいとしみじみ思いました。
ただ時々感じる中学生的性の発想、早熟なら16歳で初夢精は遅すぎるような気がします。
女性刑務官が家政婦のミタさんのようで面白かったです。
官能教育第四弾「藤田貴大(マームとジプシー)×中勘助『犬』」
Produce lab 89
音楽実験室 新世界(東京都)
2011/11/23 (水) ~ 2011/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
原作を原点に取り込んで・・・
演劇の構造自体にまで座標軸を広げて・・・。
重なりがしなやかに作りだされて。
リーディングの態を逆手にとって
役者の力、さらには演劇の力が
がっつりと引き出されていました。
ネタバレBOX
客電が落ちて役者が現れます。
冒頭の素を演じる山内健司的自己紹介、
カンニングペーパーを示して
この舞台の原点にピンを立てる。
青柳いづみ的な距離感が
観る側に、原点からのいくつもの彼女の立ち位置を観る側に示す
尾野島慎太郎的なあからさまな存在感が
それぞれの立ち位置にリアリティを注ぎ込んでいく。
いくつかの台詞と身体で
刹那に場をすっと立ちあげていく作り手のメソッドが生きる。
浮かび上がる表層的なキャラクターの姿と空気の染まり方、
風景の現出・・。
役者としての女性、キャラクターを演じる女性、
リーディングされる作品中の女性
二人の青柳さん、そして三人の青柳さん・・・、
認識の共有を確認する言葉が
素敵に脱力系な言い回しで織り込まれていきます。
一見ルーズに、でも極めて確かな足腰で
役者たちがイメージを広げ始める。
ひとつずつの世界の中に、
織り込まれていく動きの秀逸、
描き出され、繰り返され、実存感に満ちていく空間・・・。
藤田作劇の引き出しが、
役者たちの豊かな力量とともにしなやかに場を組み上げていく。
それは平板にリーディングされる中勘助の原典であり、
そこから作家の創意とともに浮かび上がる風景であり
演劇の世界を演じる態でさらに派生した楽屋の光景。
観る側に密度をもった肌触りを与え続ける中でも、
かっちりと演劇の世界が定義されていることで
それぞれの世界が混濁し滲むことがない。
観る側は原点にあるカンニングペーパーからの各階層を
舞台の流れに従って降りた戻ったりしていく感じ。
そして少しずつ重ね描かれていく世界たちに
広がりが生まれる中で、
まるで、回転錠の番号が揃ってロックが外れるように
それがどの階層にも織り込まれた「犬」の世界のコアが重なる。
、
淡々とつぶやかれ、並べられるように
女性の性的体験が導かれて・・・。
視線に込められ、あるいは突然に姿を現わす劣情、
男性がすっと縛めから解き放たれ
女性の扉が押し開けられて、
さらには男たちの殺生の世界へと広がっていく。
刹那の繰り返しに加えて
階層ごとに描かれた物語の重なりが、
よしんば、あからさまな表現であっても
それを観る側の劣情だけに丸めこまず
人が普遍的に持ち合わせた
歯車のかみ合わせの感覚にまで導く。
醜さと美しさと淡々とした普遍の感覚・・・。
それらがあたりまえのように観る側に降りてきて・・・。
でも、世界がカタストロフ的に崩れて
カオスに陥っていくわけではないのです。
観る側にとっても演じ手にとっても、
「そういうことになっている」という
演劇の骨組みに守られている感覚があって。
作劇の秀逸が空間を共有する規律を醸し出し、
演じる側も踏み越え得るし
観る側も受け取りえる世界が
端正な容貌を崩すことなくそこに生まれる・・・。
女性の体験や想い、
さらには男性の憎悪や殺意は
観る側にとって好奇な想いや
目を背けるような感覚や、
触れることへの嫌悪を伴うもの。
でも、そのコアの部分を混沌に埋めたり、
拡散させたりぼかしたりせず、
そのままに舞台の技法にのせて現わしていく作り手の姿に、
なんだろ、原作に対する矜持のようなものも感じて。
ピュアとか昇華されていくというのとは少し違う。
圧倒的な重さや切っ先があるわけでもない。
観終わって、エロさも衝動的な感覚も
浄化されることなく残る。
なにか、情けない感覚が浮かんだり
刹那がどこか滑稽で面白かったりもする。
終演後の素舞台を眺める中で、
初めて
それらを含めて抗うことができず、圧倒され、
幾重にも捉われていたことに気がついたことでした
アラカン!
劇団テアトル・エコー
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2011/11/11 (金) ~ 2011/11/23 (水)公演終了
言えてる
いわゆるシニア演劇が話題の昨今、「あるある」というシーンや台詞が多く、しばしば苦笑しながら楽しませていただきました。シニアたちを苦々しく思いながらもじぶんたちも何かをみつけていくことが予想される劇団側の描き方もよかったです。プロ、アマの区別なく、演劇はだれにとっても楽しめるものだと思います。
それにしてもプロの役者さんはすごいですね。
green flowers vol.11 かっぽれ!
green flowers
テアトルBONBON(東京都)
2011/11/25 (金) ~ 2011/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★
初日から絶好調
すごいワクワク感あり、流暢なしゃべりとリズミカルな切り替わり、特に「柳田」の
挿入芝居は迫力あり。脇差無くとも傘なくとも風景が見える演技。涙あり・義理人情・絆・思いやり・・・忘れ去られそうな日本人の心が見えた。最後のかっぽれの踊りでの赤いタスキがかけられなかった女性、けいこ不足?それこそ誰かがサポートすべきだったね。全員で踊るには狭くてせっかくの踊りの楽しさが半減したかも。出来れば特一の人が踊って他は囃しに回ってもよかったように思う。でも久々にいい感じ。師匠に小話でもやってもらえればもっとよかったかも。
雑種愛
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/11/24 (木) ~ 2011/11/28 (月)公演終了
満足度★★★★
これは面白い!魅せられた!!
個人的には、とても良い時間を過ごせた!
「笑い、切なさ、喜び、悲しみ、怒り、恐怖、絶望」等、様々な感情をぎゅっと凝縮した不思議な世界観を体験できた!!
数々の芝居を観劇しているが、出会っていそうで、出会っていない世界観だと思った。
舞台美術もよく考えられており、観劇しやすかった。
高低差のある舞台なので、席は2段目か3段目が見やすいかも。
あっと言う間の110分!
ネタバレBOX
早熟性早老症という病気のため、16歳なのに60歳の外見をしている少年の話。
<良かった点>
・脚本・演出(角田ルミさん、名前覚えました!)
少年の目を通して、自分の周辺の人間・社会がどう映るのかを描いている。
まず登場人物の状況、事情が描かれている。
最初は、病気でありながらも一見幸せな状況であった。
それから人間関係が徐々に壊れていく過程・少年が犯罪を犯すまでの魅せ方に、私は惹かれた。
それでいて、下ネタ満載!笑えるところも多かった。
細かくみると矛盾点や?点もあるのだが、この世界観を堪能するという観点からは許容できる程度であった。
・舞台美術。観劇しやすかった。
舞台を上下4段に分け、それぞれで場面展開。
同時に複数箇所で芝居が進行するときも有り。
1番上:少年の通う病院、少年の家の茶の間。
2段目:少年の部屋。
3段目:道路。
4段目:少年のバイト先(漫画喫茶)。
<ちょっと残念だった点>
映像を使った演出(テレビで事件のニュースを報道)があった。。
映像を使う手法は良いと思うが、映像と演技が今ひとつに感じた。
ちょっと安っぽく見えてしまった。
<役者陣>
各々の役柄を、皆さん好演していた。
特に印象が強かったのは4人。
ジジ・ぶうさん:少年役。お年なのに、少年の気持ちがとても伝わってきた。
すっと、感情移入できた。
島崎裕気さん:少年の母親役。
このお芝居の雰囲気を作っていたように思えた。
幸せでコミカル~壊れていく~不幸な雰囲気を彼女の芝居
から感じた。
鈴木聖奈さん:家出少女。
クラッシック音楽が流れる中で、壊れていく演技が
特に印象的であった。この場面は観入った!
椿かおりさん:看護婦役。あえぎ声がリアル過ぎて笑ってしまった。
会場爆笑!
雑種愛
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/11/24 (木) ~ 2011/11/28 (月)公演終了
ジジ・ぶぅさんが、いい!
ジジ・ぶぅさんのような16歳の高校生が学校にいたらきっと楽しそう。
人気者間違いなし、と思うけど、周りとの違いを受け止めきれないのが高校時代なのかも、とも感じさせられました。
高さ奥行きがある装置の上で並行して進む物語。
この美術・装置が緻密に作られてますよね。小道具や衣装にもこだわりがあるし。ほんの一瞬見せて暗転するシーンとか、音響照明の細かいところもあちこち作り込んでるなぁとおもいました。
内容的に重くもなるものを個性的な音楽とともに軽妙に料理するのが角田流かと。
カメコが笑った日
Theatre劇団子
SPACE107(東京都)
2011/11/23 (水) ~ 2011/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
安定感
抜群に安定感のある芝居でした。のっけから引き込まれて最後まで途切れずに楽しめます。そして芝居が上手い。噛んだところをネタにして笑いを作るなんてところもお見事。もちろんそれだけではなく,人の思いがビシビシ伝わる舞台です。さすが再演だけある。いい演劇を観れたと素直に思います。となると,新作「トキタ荘の冬」をどうするか。カメコの完成度が高いだけに,そのままにしたいという思いと素直に10年後が見たいという思いが交錯しています。悩みどころです。あと,今公演限定で過去のDVD2作品が割引価格で販売されているのも嬉しいところ。これだけの芝居をする劇団ならばハズレはないはず。飛びつきました。
線路は続くよどこまでも
劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)
シアター711(東京都)
2011/11/22 (火) ~ 2011/11/27 (日)公演終了
満足度★★★★
かつて朝鮮総督府鉄道という、日本が建設した鉄道があった。
その朝鮮鉄道に、小宮さんのお父上が勤めていたことがあった、という事実からできた芝居だと言う。
ネタバレBOX
前説から小宮さんが務める。
前説で、父親の話と、自分の話、そして、朝鮮鉄道とはどのようなものであったのかを、簡単に説明してくれる。
日露戦争の翌年からわずか2年間で半島の南北を貫く鉄道建設したという事実に驚く。
その距離は、東京・神戸間に等しいらしい。
現在の北朝鮮にあった、新安州駅に勤める駅長が主人公。
てっきり小宮さんのお父上が主人公かと思っていたが、そうではなかった(舞台の中では同駅の助役として出てくる)。
駅長が主人公で、終戦の翌日から1年後、半島を縦断して釜山までたどり着く様子を描く。
植民地でありながら、駅長の奥さんは、故郷と思っている土地であるし、駅長もとても好きな土地でもあった。
しかし、終戦のため、職を辞し、その地を離れることになる。
駅長は、駅長であるということの責任とプライドで、最後の日本人引き揚げ者がいなくなるまでその地に留まると決意し、実際に最後の引き揚げ者たちと、地獄の半島縦断を体験するのだ。
終戦翌日の、韓国の人々との関係の変化や、日本人たちの混乱ぶりが描かれ、創氏改名についても触れていく。
鉄道員という仕事に誇りを持つ者としての役割と、土地への愛着、しかし、そこは他国であり、植民地であるということの露呈が、終戦によって初めてなされる。
そして、引き上げ行の辛さは、(こういう言い方はあまり適切ではないかもしれないが)今までいろいろな本などで見聞きしたものであり、紋切り型とも言えるのだが、歴史的なこういう事実を知らない世代もあろうから、それは、きちんと伝えなければならないことなのだろう。
小宮さんのひとり芝居なので、その状況を、ちょっとしたユーモアを交えながら、淡々と、ときには熱く語っていく。
ひとり芝居なのだが、ある人物ひとりを演じていくという形式ではなく、何十人もの役をひとりで演じるという、いわば、落語的なひとり芝居であった。
そのため、会話をする場面では、会話ごとに場所を移動してその役の台詞を言う、ということになるので、やや会話のつながりに「間」ができてしまう。
この「間」というものが問題である。つまり、「笑わせるシーン」では、笑わせるためるの「間」として、適切ではなくなってしまい、観客が先にオチを想像してしまうことになってしまう。
だから、「間」が大切なシーンではあまり笑うことはできなかった。それは、後々にかかわってくることだけに残念である。
通常の芝居とは違う「間」や台詞の構成にすべきであったように思う。
ただ、そういうところにスマートさはないものの、熱演が伝わり、それが心を打つ。
ぐっときてしまうシーンもあった。
今回、この舞台を観る前に、『ソウル市民』5部作の上演を観ていただけに、なんとも気持ちに深く入ってくる。
植民地と一般市民の関係だ。
『ソウル市民』では、ある意味呑気な市民たちであったが、こちらは、鉄道という仕事と、終戦後ということもあり、当然感覚的には異なるのだが、新たに見えてくる日韓関係というものがあるのかもしれないと感じた。
韓流ブームが定着して、韓国に感じる想いが違う世代にとっての関係性、それは、加害者・被害者という単純な2軸だけで見るのではない、新たな関係が見えてくるのかもしれないと思ったのだ。
この作品の戯曲は、鄭義信さんが書いている。鄭さんにとってこの作品には複雑な思いがあったのではないかと思う。つまり、日本人の駅長からの視線で描かれているので、逆から見るとどうだったのか、という視線のあり方についてなどだ。
劇団衛星のコックピットE16-17
劇団衛星
武蔵村山市民会館・展示室(東京都)
2011/10/22 (土) ~ 2011/10/23 (日)公演終了
満足度★★
なんだろ、この残念感…。
その昔、タイニーアリスでこの劇団を観て、もの凄く面白かった。
その後、この『劇団衛星のコックピット』を東京でも上演したのだが、日程が合わず観ることができなかった。
それだけに「観たかった!」の気持ちが高まっていたのだが、なかなか東京にやって来なかった。
そして、今回である。
しかも公演内容は見逃した『劇団衛星のコックピット』だ。
これは期待せずにはいられない。
ネタバレBOX
受付には企業の受付とか工場見学の案内にいそうなコンパニオンの女性が制服でいる。
どうやら、松戸重工という企業の開発した大型ロボットに、観客たちは見学に来たようである。
今回見学する大型ロボットのパンフも配布され、社歌まで載っている。
誰も気がついていないようだが、松戸重工のCMがロビーの小さなモニターに流れている。しかし、内容は短くてやや中途半端。
少人数での観劇になるのだが、小学生ぐらいの子どもの数が多い。
市報とかで「巨大ロボットを舞台にした演劇」を見てやってきたのか、市民の招待なのかは知らないのだが、とにかくわいわいやっている。
開演になり、コンパニオンに従って、室内に入る。
正面にはロボットのコックピットが設えてあり、期待がさらに高まる。
コンパニオンが前説を行う。松戸重工の社歌まで歌ってくれる。
やっぱり期待は高まる。
ニコニコしてしまう。
のだったが、いざ本番になると…。
ん?
なんだろ、この感じ。
面白要素満載なのに、不発、不発。
Fジャパンさんが、変なポーズや表情で、子どもたちを笑わせるぐらいな感じ。
役者の人たちは、みんなうまいとは思うのだが、いろいろな設定の意味がなく、主人公が曖昧で、かと言って群像劇にしては、個人の持っている物語があまりにも薄すぎる。
これって、本当に何回も再演されていて、今も全国の市のホールなどを回っているの? と思ってしまう。
ごちゃごちゃしすぎた印象で、何が言いたいのかイマイチわからない。
日本の、マスコミの、というテーマなのかもしれないが、それも弱い。
設定の曖昧さは、例えば、メインモニターが故障ということで、見えない設定なのに、サブモニターの様子を観客に見せるために、メインモニターにそれを映し出す。だったら、メインモニター故障中の意味もなく、普通に使うべきで(CGの制作費などの問題かも)、使わないならば、最後まで使わず、サブのモニターに映っていることは、観客には見せずに、台詞だけで伝える、とかにすべきではなかったのだろうか。
また、そもそも入口から前説までは、企業の製品をデモンストレーションするというような、設定だったのにもかかわらず、本編が始まると、観客は、「ロボットにやって来たお客」ではなく、普通の「演劇を観に来た観客」になっているというのは、いろいろ凝ったことしている割りには意味がないように思えるのだ。
観客参加型ならば、最後までそうすべきだったのではないだろうか。
子どもたちも公演中はあまり盛り上がってないし。
武蔵村山市民会館は、わが家からもの凄く遠い。
そして、この残念感。
ぐったりしてしまった。
好きなタイプの劇団なので、次に期待したい。
お母さんの十八番
アジア舞台芸術祭制作オフィス
水天宮ピット・中スタジオ1(東京都)
2011/11/05 (土) ~ 2011/11/06 (日)公演終了
満足度★★
独特な演出
もとはワークショップで生まれた10分の作品だったらしい。
それをフルバージョンとしての上演。
日本語での上演で、演出は韓国の方。
なんと無料。
ネタバレBOX
シンプルな舞台装置。
遺影が正面に飾ってある。
外が見える窓が開いているのだが、役者たちが閉めていく。
亡くなってしまった「母」を中心にした家族の物語。
とても不思議な展開なのは、もととなった10分の作品を自由に広げていったことと関係なるのだろうか。
緊張から緩和への手法が面白い。
というか変わっていた。
シーンごとのつなぎ部分に、必ず、仕掛けがある感じ。
意表を突かれるところもある。
特に回想シーンで、そこに登場しない役者が、動物を演じるのが意外だった。
深刻でしんみりしたシーンの後に、ちょっとユーモラスな動物たちを演じる役者が出てくるからだ。
ただし、それが、後々のシーンに効いてくるとということはなく、一過性のもの。
後のシーンにそれらが効いてくるような、飛び抜けたモノになっていないのは残念。
ただ単に役者に動物のマネをさせただけで、終わってしまっている。
確かにその場では面白いのだが、全体的なトーンや、伏線になっているわけでもないところに疑問だけが残る。
「何かあるんじゃないか」という期待だけが取り残されてしまった。
また、父親が心象を吐露する台詞がかなりある。「ああ俺は何をしてしまったんだめろう」的なそういう台詞には違和感しか感じない。
これも全体のトーンとの違和感もある。
ひょっとしたら、そういう「今どきそんなこと言う?」というような、心象吐露台詞を吐くということ自体がギャグなのではないか、と思ったら、そうでもなかったようだ。
動物のマネと今どきあまり聞かない台詞が、てっきりセットになって、メタな芝居空間を創造していくのではないかと、最後まで、少しだけ期待していたのだったが、そうではなかった。
普通に冒頭のシーンのおさらいをして終わった。
そして、何よりエンディングで亡くなった母親が、吐く台詞は、あまりにも実も蓋のなく、好きではなかった。
『いい日旅立ち』の歌はいい感じだったし、また外が見える窓を順番に開けていく感じはちょっといいな、と思ったのだが。
10分のオリジナルのほうも同時に観てみたかった。
たった一人の戦争
燐光群
座・高円寺1(東京都)
2011/11/18 (金) ~ 2011/11/28 (月)公演終了
満足度★★★★
未整理で、未消化な「今」を切り取る
「演出の都合上、長くはありませんが、お立ち見いただくことがございます」という但し書きがあった。
「何だろう?」と期待しつつ、座・高円寺の劇場へ。
ネタバレBOX
会場に着くと、まず、腕に腕章を付けられ、この場所を説明するパンフを渡された。
そして、オレンジの作業着で黄色いヘルメット姿の人たちの前に、付けられた腕章の色と番号に従って並ぶ。1つの色のチームは8人編成。
この場所「檜谷地下学センター」の注意事項などを聞かされる(観劇に関するものではなく)。
受付前には、なんだかよくわからない(モグラ?)ゆるキャラが愛想を振りまいており、手にしたカセットデッキからは、この場所、すなわち「檜谷地下学センター」の解説が流れている。
まるでテーマパークのアトラクションに入る前ようだ。
観客たちのざわつきが気持ちを高める。
時間になり、劇場内へ。
そこはどうやら大きなエレベータのようだ。
観客はそのエレベータで地下1キロの場所へ行く。
着いたのは、檜谷地下学センターが、地層科学研究をしている場所の地下。
地下に降りると所員からこの場所の説明がある。
しかし、それを遮る者がいた。彼女によると、ここは実験施設の名目で作られているが、ゆくゆくは放射性廃棄物の処分施設になるのではないか、ということだ。
彼女を含む、観客と一緒に地下に降りた、あるグループのそれぞれのエピソードが語られていく。
(観客は席に誘導されて着席する)
彼らは、この施設を運営する側から見ると厄介者のグループであった。例えば、この施設の上にかつて住んでいた者(本来はこの施設の上−地上−は、ダムになる予定だった)だったり、福島からやって来た者だったり、この施設の危険性を訴える者だったり、などなど。
私たちの多くが、震災後の福島原発の事故で知った事実がある。
例えば、使用済み核燃料の廃棄の問題。例えば、原発に絡む交付金の問題。例えば、避難地域に指定された場所のこと。
そういう、テレビや新聞、雑誌やネットなどで目にし、耳にした情報が戯曲に織り込まれていく。
特に舞台となる地下の実験場(核廃棄物保管施設)のエピソードは、『100,000年後の安全』というドキュメンタリー映画にもなったフィンランドのオンカロを模しているようであり、内容もそのドキュメンタリーからの引用が多いように感じた。
また、それ以外の、例えば避難地域に指定され、一時帰宅した家族のエピソードも散々テレビ等で報道されたものの、サマリーのようでもあった。
もちろん事実であろうが、そうした情報を集めて作り上げた印象が強かったのだ。
ただし、演劇的なシーンも数多くあり、それらの情報を有機的に結び付けていた。
例えば、ダム建設のときに1人で戦っていた男の影や、地下にいる不気味な煉瓦職人たちと、玉にした放射物質を含む土、携帯小説を書いている女性と他人には見えないパートナー。
そんな仕掛けが、特に煉瓦職人たちが、あまりにもアングラであり、楽しいのだ。
そして思いの外、「音楽劇」だと言ってもいいだろう。「歌」がひとつのキーになっていく。
妙にリアルな情報群とそれらの虚構的、演劇的な要素が、もうひとつしっくりとこないのは、情報が生々しすぎるからではないだろうか。
それは、また、坂手洋二さんの想いが強すぎて、いろいろ盛り込みすぎた、ということもあろう。
しかしこれは、「今」を切り取っていて、「今」でしかできない舞台である。
つまり、現在進行中であり、「整理」も「総括」もできていないからだ。即時性のある舞台であると言っていいだろう。
未整理で未消化で、だけど、「今言っておきたい」という想いの強さが溢れていると言っていい。
後10年、あるいは50年経ったときには、このときの出来事を誰かが総括して、舞台化してくれるかもしれない。
それまで待っていられないという焦りと憤りが感じられた。
テーマパークのアトラクションのような導入と、虚構の物語をまぶしてはいるが、そこで観たモノは、「え、それってウソだろ?」と言ってしまいそうな真実である。
そんなウソのような酷い真実の中に私たちは、今、生活しているということなのだ。
だから、テーマパークのアトラクションのような導入は、実は哀しい。モデルになったらしい施設でも行われている見学会は、何かを隠蔽するような企みでもあるからだ。
開演後、係員に否応なしに誘導されて、エレベータで地下1キロに降りた私たちは、そのエレベータでもとの地上に戻ることはなく、腕章を入口で返却して帰宅した。
だから、実はまだ、アノ地下1キロのところに私たちはいるままなのだ。
ウソのような世界の中に。
劇中で歌われる以下の歌が、坂手さんが声を大きくして言いたいことなのだろう。
作品のタイトル『たった一人の戦争』がここでクローズアップされていく。
「たった一人で歩いていたら、歌を歌いたくなった
たった一人で歩いていたら、子供の頃の歩き方になった
たった一人で歩いていたら、帰り道がわからなくなった
たった一人で歩いていたら、地球を救うのは自分だと気づいた」
(『たった一人の戦争』より)
この舞台となった地下学センターのモデルらしき場所がある。「幌延深地層研究センター」という場所だ。
http://www.jaea.go.jp/04/horonobe/center.html
劇読み!Vol.4
劇団劇作家
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2011/11/23 (水) ~ 2011/11/29 (火)公演終了
満足度★★★★
良いイベント、24日、風の・・・。
24日風の贈り物。この作者はずっと創作継続すれば、TV単発ドラマ系統の作品にむいてるかたです。演劇より、小説、ラジオドラマに挑戦してほしい。現代戯曲しかも小劇場となると、もっと器用に舞台をつかうとか、キャラクターの発展意外性がいる。
台詞、人物行動が直線的で、ドラマ全体の軽さを感じた。
ホテルにいった男女もこじつけにみえた。そのミッドポイントの位置がうしろすぎる。バランス悪し。
Aと考えている人がAと発言するところにはドラマくささが生まれない。ホン改造でこじつけてもかまわないと思うなら、台詞をもっといじれ。人物行動をいじれ。
ネタバレBOX
わたしはシナリオを直す、シナリオクリニックを業としてやっております。がんばってください。またいつか行きます。
平成中村座 十一月大歌舞伎
松竹
隅田公園内 特設会場(東京都)
2011/11/01 (火) ~ 2011/11/26 (土)公演終了
満足度★★★★★
芸の真髄と芸の継承の素晴らしさに酔う
最近どんどん変な方向に行っているコクーン歌舞伎より、何百倍も素晴らしい!!
夜の部の座組み、演目の並べ方、演者、全てに大満足しました。
3演目、一度も眠くなりませんでした。
4時間の平成中村座、私の個人的心の琴線を揺らし続け、亡くなった最愛のあの女性に、どうしても見せたかった舞台でした。
もう40年以上のご贔屓の仁左衛門さん、あなたの芸には打ちのめされます。
勘三郎さん、一ヶ月の舞台をお勤めになれる体力が戻られて、本当に良かった。
中村屋の若き、有望な兄弟の精進…。
演目の素晴らしさも手伝って、歌舞伎の魅力に満ち溢れていました。
最初は、使い勝手が悪かったトイレも、行く度、使う身になった工夫が凝らされ、サービス業や、興行側の方達に、お手本にしてほしいと感じます。
東宝や四季の案内係の方に、是非、平成中村座で研修して頂きたく思いました。
ネタバレBOX
猿若江戸の初櫓…中村屋の若き兄弟の見目麗しい舞踊に、ただただ心を奪われました。勘太郎さんは、所作や表情が、お父上に瓜二つ。勘三郎さんじゃないよねと思わずチラシを確認してしまいました。最後に背景が割れ、実際の隅田川の流れがバックになって、素晴らしい!!コクーンの駐車場が見えても、だから何?という感じですが、平成中村座の隅田川には風情があって、感嘆しました。
沼津…伊賀越道中双六を通しで観た記憶はありませんが、沼津は、これまでも何度か観ている筈。でも、こんなに心を締め付けられたのは、初めてでした。70近いお歳には全く見えない仁左衛門さんの十兵衛は、実際は年下の勘三郎さんの息子にちゃんと見えてしまいます。これは、芸の成せる業。本当に、この話はよくできている。最初、大いに笑わせて、後半、親子の情と、義理の板ばさみで、葛藤する平作と十兵衛の、慟哭が、胸を締め付けるような悲劇へと転換する作劇の巧みさ。情の通う名演技の3人の取り合わせも絶妙で、全てにおいて、極上の演目となりました。
弁天娘女男白浪…歌舞伎を観たことない人でも、たぶん、誰でも知っている、通称「白浪五人男」。浜松屋の場面は、騙り芝居の名作中の名作。詐欺のやり方が巧妙で、きっと、このサイトの御仁には、大好物の演目ではないかしら?古今東西、詐欺も騙りも、ここまで行けば、芸術かもしれません。
黙阿弥の台詞は、本当に気持ちよく、私も、子供の頃、勢揃いの場の名乗りの台詞を暗誦して、担任に胴上げされて、やんやの喝采を受けたことが思い出されました。
ついこの間生まれたばかりのような国生さんが、もう若旦那の役を演じるようになったのかと、感慨深い思いでした。
日本駄右衛門の橋之助さんに、役の風格が出て、とても良かった。
菊之助の七之助さんは、あまりにも美し過ぎて、男とわかってからも、線も細く、どうしても女性にしか見えませんが、声は精一杯、骨太にして、健気に演じていました。(この役は、音羽屋さんの家系の方が敵役なんでしょうね。)
勘太郎さんの南郷力丸は及第点。
二人の、花道の引っ込みの坊主替りのやり取りは、絶妙のコンビネーションで、5年後ぐらいに、再度、この二人の浜松屋を観たいと思いました。
勢揃いの場では、新悟さんも、品格があって、目を惹きました。
演目のチョイスのセンスもさることながら、演目の配列センスが冴えていて、近来稀に見る、素晴らしい歌舞伎の世界を堪能させて頂きました。
最後の勢揃いの場の、白浪男の名乗りに被せて、ずっと私語してるおばさんがいなければ、パーフェクトの観劇だったのに。それだけが、残念無念。
「日本振袖始(にほんふりそではじめ)」「曽根崎心中(そねざきしんじゅう)」
国立劇場
国立劇場 大劇場(東京都)
2011/11/03 (木) ~ 2011/11/26 (土)公演終了
満足度★★★★
初めて見ました
芝居の参考にと観劇しました。
とても面白かったです。
追い剥ぎ
非・売れ線系ビーナス
湾岸劇場博多扇貝(福岡県)
2011/11/22 (火) ~ 2011/11/25 (金)公演終了
満足度★★★
今までにない
別の視点から見れました。
舞台もシンプルにまとめておられました。
ネタバレBOX
大量の紙をバラマク演出にはまってしまい
セリフを聞いていなかったことに気がつきました。
すいおません。