平成中村座 十一月大歌舞伎 公演情報 松竹「平成中村座 十一月大歌舞伎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    芸の真髄と芸の継承の素晴らしさに酔う
    最近どんどん変な方向に行っているコクーン歌舞伎より、何百倍も素晴らしい!!

    夜の部の座組み、演目の並べ方、演者、全てに大満足しました。

    3演目、一度も眠くなりませんでした。

    4時間の平成中村座、私の個人的心の琴線を揺らし続け、亡くなった最愛のあの女性に、どうしても見せたかった舞台でした。

    もう40年以上のご贔屓の仁左衛門さん、あなたの芸には打ちのめされます。
    勘三郎さん、一ヶ月の舞台をお勤めになれる体力が戻られて、本当に良かった。
    中村屋の若き、有望な兄弟の精進…。

    演目の素晴らしさも手伝って、歌舞伎の魅力に満ち溢れていました。

    最初は、使い勝手が悪かったトイレも、行く度、使う身になった工夫が凝らされ、サービス業や、興行側の方達に、お手本にしてほしいと感じます。

    東宝や四季の案内係の方に、是非、平成中村座で研修して頂きたく思いました。

    ネタバレBOX

    猿若江戸の初櫓…中村屋の若き兄弟の見目麗しい舞踊に、ただただ心を奪われました。勘太郎さんは、所作や表情が、お父上に瓜二つ。勘三郎さんじゃないよねと思わずチラシを確認してしまいました。最後に背景が割れ、実際の隅田川の流れがバックになって、素晴らしい!!コクーンの駐車場が見えても、だから何?という感じですが、平成中村座の隅田川には風情があって、感嘆しました。

    沼津…伊賀越道中双六を通しで観た記憶はありませんが、沼津は、これまでも何度か観ている筈。でも、こんなに心を締め付けられたのは、初めてでした。70近いお歳には全く見えない仁左衛門さんの十兵衛は、実際は年下の勘三郎さんの息子にちゃんと見えてしまいます。これは、芸の成せる業。本当に、この話はよくできている。最初、大いに笑わせて、後半、親子の情と、義理の板ばさみで、葛藤する平作と十兵衛の、慟哭が、胸を締め付けるような悲劇へと転換する作劇の巧みさ。情の通う名演技の3人の取り合わせも絶妙で、全てにおいて、極上の演目となりました。

    弁天娘女男白浪…歌舞伎を観たことない人でも、たぶん、誰でも知っている、通称「白浪五人男」。浜松屋の場面は、騙り芝居の名作中の名作。詐欺のやり方が巧妙で、きっと、このサイトの御仁には、大好物の演目ではないかしら?古今東西、詐欺も騙りも、ここまで行けば、芸術かもしれません。
    黙阿弥の台詞は、本当に気持ちよく、私も、子供の頃、勢揃いの場の名乗りの台詞を暗誦して、担任に胴上げされて、やんやの喝采を受けたことが思い出されました。
    ついこの間生まれたばかりのような国生さんが、もう若旦那の役を演じるようになったのかと、感慨深い思いでした。
    日本駄右衛門の橋之助さんに、役の風格が出て、とても良かった。
    菊之助の七之助さんは、あまりにも美し過ぎて、男とわかってからも、線も細く、どうしても女性にしか見えませんが、声は精一杯、骨太にして、健気に演じていました。(この役は、音羽屋さんの家系の方が敵役なんでしょうね。)
    勘太郎さんの南郷力丸は及第点。
    二人の、花道の引っ込みの坊主替りのやり取りは、絶妙のコンビネーションで、5年後ぐらいに、再度、この二人の浜松屋を観たいと思いました。

    勢揃いの場では、新悟さんも、品格があって、目を惹きました。

    演目のチョイスのセンスもさることながら、演目の配列センスが冴えていて、近来稀に見る、素晴らしい歌舞伎の世界を堪能させて頂きました。

    最後の勢揃いの場の、白浪男の名乗りに被せて、ずっと私語してるおばさんがいなければ、パーフェクトの観劇だったのに。それだけが、残念無念。

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    2011/11/26 03:47

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