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江戸系 諏訪御寮

江戸系 諏訪御寮

あやめ十八番

小劇場 楽園(東京都)

2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

あやめらしい劇場進出
ブラックで闇があり、でも家族の暖かさが心地よく、神秘的で不思議な雰囲気を持つ作品が多いあやめ十八番を、私は気に入っています。
堀越ワールドは、あのざらっとする感じというか、あのざわめく感じが好きで、心惹かれてます。
あらすじは、観た人にしかわからない書き方も好きです。
今回は、民話をベースにした2つの家のお話。
民話、鬼、狭い島という閉鎖空間での土着とも言える風習、普通の家族の生活(篠塚家)と拝み屋(諏訪家)の呪いというか因縁というか。そんな2つの家のお話。そして宗教とデイサービス。
篠塚家のエピソードが落ち着いても、諏訪家のエピソードは、大どんでん返しはあっても、結局は続いていく風習なんじゃなかろうか。
というか、根本的な人食い鬼の存在が続いていくのが、ぞっとするラストでした。
犠牲が当たり前になっている風習が、怖い。
でもそれが、日本の民話っぽさでもある。そんな不思議な作品でした。

生演奏でBGMだったり、効果音を出していて、すごいこだわり感を感じました。
そういうの、私も好きだし、素晴らしいと思いますが、楽園だと狭すぎて、ボリュームが大きすぎる気も否めません。
セーヌ・フルリサイズなら、あの編成で丁度いい気がするんですが、楽園だとうるさいと感じる場面もいくつか。
歌は、堀越さんの年齢がわからなくなるような古い歌謡曲とか、洋楽とかがセレクトされていて、嫌いじゃない。
暗い場面で明るい曲をアレンジしてたり、使い方も面白い。
…けど、曲数は多いかも。バランスが悪く感じる場面もありました。

あ、北沢洋さんが歌い踊るガラスの十代は、個人的に大好きです!素敵すぎる!

2時間の中に盛り込みすぎも感じましたが、作品は素晴らしかったです。
ちょっとマニア向けな気もしますが。
楽園では狭くてちょっと長いかもですが、(あそこで通路も2本使い、扉も使っているので、客席は本当に狭い。)最後まで飽きない作品でした。
もう少しシンプルにすることも出来そうですが。(話的には、複雑で難しい気もするので。)

ネタバレBOX

私の印象に残った役は、

篠塚家側
・春平役の美斉津恵友さん
美斉津さん演じる春平くんは、本当に高校生(正しくは中退)18歳でした。
ご本人は「18歳ですよ。いいのかな?」なんて言ってましたが、全然違和感ないし。ハマり役でした。
なんてピュアで、真っ直ぐなんでしょう!
そして一目惚れからの淡い初恋は、甘酸っぱく、ときめきました。
思いきりも良すぎです。そのエネルギーが羨ましい。
あんな告白、されてみたい!
にやにやが止まりませんでした。
…でも、その恋は叶わない。
何故なら…相手はお祖母ちゃん(見た目、少女。)だから…。
切なく悲しく純粋な、初恋でした。

・お父さん役の北沢洋さん
養子に入った婿殿ですが、それでも一家の主として、家族を考え、支える頼もしいお父さんでした。
たまにお母さんに甘えるのも、はしゃぐのも可愛い!
前回の淡仙女の時の水下さんが演じたお父さんを受け継ぐような、しっかりと家族を想い、ポジティブで、器の大きく、暖かい父親っていうのは、本当に理想的な。きっと堀越さんの理想でもあるのだろうなと思います。

・お祖母ちゃん役の加藤素子さん
民話の朗読も素敵だし、自然に溢れる笑顔に慈愛を感じる、素敵なお祖母ちゃんでした。
孫の為に英語を教えたり、すごく暖かい雰囲気を感じました。
倒れて言葉が不自由になった時に、孫の春平が通訳してくれるシーンがすごく素敵だった。好き。

そんなお祖母ちゃんが、デイサービスに行き、そこで間違ったご祈祷のせいで呼んでしまった鬼に、寿命を「借りて」しまい、記憶をなくした少女(土佐まりなさん)になった後の天真爛漫さ、純真無垢な感じが、明るく眩しかった。
でも最後、孫(大森茉利子さん)と産まれてくる曾孫を守る為に、恐怖に震えながらも鬼に立ち向かう毅然とした姿は、美しかったです。

諏訪家側
・琴美役の金子侑加さん
拝み屋さんです。
とにかく雰囲気があり、美しく、圧倒的な存在感と、カリスマ性を感じる威圧感。素晴らしい。そりゃ信じたくなるし、信仰しそう。
そしてまた、別役とのギャップがすごい!

・志郎役の堀越涼さん
とにかく胡散臭いチンピラ的な長男。神通力もなく、信仰心もなく、ただの欲深い人間であるからこその、裏側を支える胡散臭さ。
ぞっとする。
でも、宗教とデイサービスの抱き合わせで金儲けを考える商才は素晴らしく、経営能力は高そうだ。
流れゆく庭-あるいは方舟-

流れゆく庭-あるいは方舟-

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2014/03/06 (木) ~ 2014/03/12 (水)公演終了

満足度★★★★★

素晴しい!
緊張感があり、全編テンションが保たれていました。役者さんの熱演に感動しました!

ちょっと待って誰コイツ!こんなヤツ知らない

ちょっと待って誰コイツ!こんなヤツ知らない

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

今回はオムニバス 様々な味付け つき
 毎回、奇抜なアイデアとサービス精神で楽しませてくれるポップンマッシュチキン野郎の新作。今回はオムニバス形式の作品だが、客入れパフォーマンスも、幕間に演じられるショートショートも、全体の構成、バランスの良さも、この劇団ならではのものだ。
 毎回、この劇団の作品は、笑わせてくれる。そのドライでバランスの良い、ちょっとシュールな笑いのファンは多かろう。時には、ブラックな笑いも鏤められながら、その根底にある人間的な暖かさと子供の妄想にも似た突飛な飛躍力が、そして、そららをハードな身体表現で演じてくれる優れた役者陣の力が、全体を見通しバランス良く配置する演出と相俟ってこの劇団の魅力だ。(追記後送)

田園に死す

田園に死す

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2014/02/28 (金) ~ 2014/03/10 (月)公演終了

満足度★★★★

スズナリだからこそ
すっごい素敵な舞台でした!
すっごい感激というか、衝撃というか!
ぎゅうぎゅうで、2時間20分くらいの休憩なしは、更に濃密です。
そりゃもう評判の作品なんだろうなぁと思います。最終上演だし。
とにかく迫力がすごかった~。なんだか不思議な気持ちで激しくアウェイ感でしたが、寺山修司の言葉が好きな私には、心地好い言葉と音と洪水でした。
マッチの演出も、好きだなぁ。映像もすごくビジュアルに訴えるものが。
妄想とリアルの繰返しとか、母との親子関係とか。
寺山ワールドに触れるのは、まだ2作目のひよっこですが、なんとなく寺山修司さんの思考に触れられてる気がして、面白かったです。
深山さんのご活躍が嬉しくて嬉しくてたまりませんでした!
すっごい似合う役でした!いまだに子役(中学生くらい)が出来るって、本当にすごいです。
観に行けてよかったです。
スズナリの小屋で上演することの意義を体感したような気がします。

少年十字軍

少年十字軍

Studio Life(劇団スタジオライフ)

シアターサンモール(東京都)

2014/02/08 (土) ~ 2014/03/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

神様、いる。
壮大な歴史と土地感を感じつつ、幻想的な世界を見せてくれる素敵な舞台でした。
あの世界にいられることが本当に嬉しかった。堪能しました。
お話自体、子ども達を利用する大人たちの思惑と宗教が入り混じり、理不尽な話であって、そんなに楽しい物語ではないのですが、メインキャラクターを変えているのに、原作に沿って話が進んで、原作よりも明るい未来を感じさせてくれて終わるっているのが、本当にすごい。
倉田さんこそ神です。
ガブリエルもサルガタナスも神はおわさぬ!とか言ってますが、間違いなく神様、そこにいます。
スピーディーな展開に、最初はびっくりしたけれども、あの原作を3時間(休憩込み)でまとめ、引き込んでいく劇団の底力は本当にすばらしい。
また、今回のキャストも適材適所にて、全部が見所でした。
おかげでチケットは増えました。全7回、通いました。

洋服解体新書

洋服解体新書

玉造小劇店

座・高円寺2(東京都)

2014/02/06 (木) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★

時代の闇。
桂さんも佐藤さんもあらけんもわかぎさんも山藤さんもうえださんも素敵でしたー。
ダークなお話ではあったけれど、すごい心に染みる舞台でした。
時代の闇って、どうしようもないっていうのが、なんとも切ない。
やっぱりわかぎさんの作品は、言葉もテンポも心地よい。

オペラ『吾輩は猫である』『セロ弾きのゴーシュ』

オペラ『吾輩は猫である』『セロ弾きのゴーシュ』

オペラシアターこんにゃく座

俳優座劇場(東京都)

2014/02/06 (木) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★

忙しすぎるスケジュール
2年前に亡くなった、大好きな林光先生の歌劇場。
短い期間に3演目(流石にコンサートは行けなかった。)もやるなんて…。鬼だ…。(涙)と、思いましたが、林先生がご存命の時に観そびれていた作品も多々あり(好きでも、なかなかスケジュール合わなくて行けなくて。)、林先生の残した作品は、やっぱり観ておかなきゃ!と思ったので、頑張ってスケジュール詰め込みました。

「吾輩は猫である」は、2時間半以上の、大作でした。猫も3人で表現していて、面白かったです。可愛いかった。

「セロ弾きのゴーシュ」は、意外と短くて90分でコンパクトで。
しかも舞台セットを立てるところから見せてくれて、すごく興味深かったです。旅公演仕様だけど、舞台セットって、こうして建てるのね。
次々とゴーシュのところをたずねる動物たちも可愛いかった。

どちらの公演も子供連れ率高く、それはそれで微笑ましいのですが、セロ弾きは短いので何とか我慢できるのですが、我輩は長すぎて飽きてしまう子供も多く、集中力がそがれる部分もあって、楽しみに見に行く側としてはちょっと残念でした。
親子で観られるオペラって、貴重だとは思うんですがね…。

楽屋

楽屋

劇団チョコレートケーキ

「劇」小劇場(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

シナリオの陰影を見事に表現
 若手演出家コンクール2012最優秀賞受賞記念公演として上演された、今回の「楽屋」。売り出し中のチョコレートケーキの番外公演という形をとっている。選ばれた作品は、清水 邦夫の名作「楽屋」。これまで多くの劇団、多くの役者、演出家が、挑んで来た作品を敢えて選んだチョコレートケーキの志の高さを先ず評価したい。
 良い舞台というものは、シナリオ、演出、演技は無論のこと、フライヤーにせよ、舞台美術にせよ、総てに亘ってセンスを感じさせるものだ。今公演も、そういった作品の系譜である。キャスティングが、良い。このメンバーで他のキャスティングは無いと思わせる所に収まっているのだが、それは始めから決まっていた訳ではないという。出演者が其々、役を回して収まるべき所に収まったということだ。それだけに実によく嵌ったキャスティングになっている。(追記後送)

一郎ちゃんがいく。

一郎ちゃんがいく。

ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2014/01/22 (水) ~ 2014/01/30 (木)公演終了

満足度★★★★

設定年齢をはるかに凌駕でも、皆、違和感なし。
DVDで観ていて、生で観るのが楽しみだった作品。
それを各劇団代表みたいな看板役者さんたちが集っているというのも、ものすごく濃密だし、なんといっても升さんのかっこいいことかっこいいこと!!
素敵でした。
円形、近くて迫力だったー。
あの劇場の特性は、ほかにないから、やっぱり貴重ですよね。
なくなっちゃうの、寂しいな。

サヨナラの物語 東京公演

サヨナラの物語 東京公演

劇団PEOPLE PURPLE

新宿シアターモリエール(東京都)

2014/01/23 (木) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★

泣かせに来る劇団
菅野さんの活躍ぶりがものすごくて、号泣。
絶対いるよー。こういう情けなさ全開だけど、プライドを捨てきれないパパ。
その普通さを普通に出せるのがすごい。
泣かせる王道の要素がてんこ盛りなところは、やっぱりずるいと思いますが、現実とファンタジーのバランスが心地よく、愛犬たちの活躍ぶりと、人間たちの絆やコミュニケーションが心揺さぶる舞台でした。
ORANGEの衝撃には負けるけれど、いい作品だと思います。
えーと。終演後にサイン入りパンフを販売されてたんですが、即完売でした。
というか、販売部数少なすぎですよ。(苦笑)もっと出そうよ。

ヒア・カムズ・ザ・サン

ヒア・カムズ・ザ・サン

スカイロケット

博品館劇場(東京都)

2014/01/22 (水) ~ 2014/01/26 (日)公演終了

満足度★★★★

スカイロケット、すごい。
キャラメルっぽいテイストもありですが、充実した有川先生の世界がとても素敵な舞台でした。
人気作家の実力を感じる、見ごたえある作品になっていました。
パラレル具合も面白い。キャラメルボックスのヒアカムも観ているはずだけれども、上書きされてしまいました。(苦笑)
第1弾を観なかったことを後悔しましたし(DVDを観て。)、第3弾も期待。
また副読本の充実振りといったら、私が舞台を見始めて最高のクオリティです。これは素晴らしい!

月見草一夜 ツキミソウヒトヨ

月見草一夜 ツキミソウヒトヨ

soulstory

遊空間がざびぃ(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

無題1034(14-073)
19:00の回(曇)。18:30受付、開場。ここは久しぶり、入ってみると周りが暗幕で覆われていてだいぶ印象が違います。入口側が客席、ベンチシートと椅子席(ひな段)、下手に卵型で妖しげな明りを放つもの、やや上手に「柱(ここも暗幕で覆われています)」。

18:55前説(アナウンス)、トイレ待ちでややおし、19:05開演~20:30終演。こちらは初めてで、風戸さんが出ていらっしゃるので観に来ました。ADの組。4話の朗読と各話毎のダンス。命が時を超え、姿(生態)を変え、何度となくめぐり合うお話。

朗読がガイド役となり幻想的な舞がよりいきいきと伝わってきます。BGMは録音されたものですが、和太鼓は実奏、力強く感じられ、衣装や仕掛もとてもよい雰囲気を醸し出していました。

ようやく風戸さんのダンスを観ることができました、次回は7月の公演で。

虚像の礎

虚像の礎

TRASHMASTERS

座・高円寺1(東京都)

2014/03/06 (木) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

生きること、考えること
初めての劇場で、初めてのユニットの演劇に触れるとき。この「初めて」への期待と、少しの不安が心地好し。

で…、本作、
重く、深かった…です。

「繁栄」「ヒューマニズム」「争い」をキーワードに。
人の価値が数値化、可視化された近未来において、人々が織り成す虚像と実像の狭間を埋めるものとは? その人生を豊かにするものとは?…何か。

鬼気を帯びた俳優陣の迫力に、普段は使っていない脳をぐるぐると掻き回され、「考えろ」と突き付けられる140分。
とりわけ、林田麻里さんの「心」の表現には、感情を鷲掴みに。ホント震えました。

こういった趣の作品との「初めて」は、とても幸せなものとなりました。
この機会を活かし、人生に深みを加える作品と出会っていきたいものです。

考えなくちゃ、ね。

ちょっと待って誰コイツ!こんなヤツ知らない

ちょっと待って誰コイツ!こんなヤツ知らない

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2014/03/14 (金) ~ 2014/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

おもしろい~!
下ネタもあるけど。。星新一氏のショート・ショートを彷彿とさせる、汗だくな疾走感溢れる熱い芝居。
笑ったり、ぞっ。。としたり、ぐっ。。ときたりする、感情のジェットコースター体感劇♪
ダンス、アクション、パロディと盛りだくさん。
大人がお馬鹿なこと(褒め言葉)を全力でやるかっこよさが好き♪

ネタバレBOX

ショート・ショートを紡いでいって、ラストにつなげる展開。
どんでん返しが多くて、ラストもそうきたか~と。

レディ・ガガ、ドラゴンボールのパロディには大笑い。
いろいろと大丈夫なのかと余計な心配をしたり。



異能怪談的公演「赤異本」

異能怪談的公演「赤異本」

劇団た組

仙行寺(東京都)

2014/03/10 (月) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

闇に響く怪異
怪談の朗読劇というのは初体験でしたが、シンプルな中にも、狭く暗い会場の特性を活かした「音」の活用がとくに印象的で、ゾワッとすることしきりでした。闇の中、小さな灯りのボーッと照らし出す演者さんたちの輪郭が、それぞれの観劇者にそれぞれの想像の中の実像を投影させて、恐怖を体感させる。いえ、ネタバレしないように書くのが難しいですが、例は悪いかもしれませんが、お化け屋敷のライドに乗ってバタンがたんギャーという音の中を突き進むような、そんな面白さがありました。また見てみたいです。・・・そういえば、撮影会なんですが、終演後カメラを出して撮ろうとすると、何度やってもおかしな音をたてて記録されず、挙句縦に引き伸ばされたような奇怪な画像がモニターに写ったりと・・・

江戸系 諏訪御寮

江戸系 諏訪御寮

あやめ十八番

小劇場 楽園(東京都)

2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

満足度★★★

なんだかんだで
色々とチャレンジはされていたが、どれもこれも中途半端になってしまったごった煮な公演でした。もっとシンプルに物語を表現出来ていたらグッとくるものになったのではないでしょうか?

ネタバレBOX

音楽が生演奏ということで楽しみにはしていたのですが、どうも選曲の問題もあるのか、イマイチでした。もっと芯が通った感じになっていれば印象も違ったのでしょうが、脚本の方に一つのテーマ性のあっただけにやはり音楽がゴチャゴチャだったのでより心が離れてしまうのが残念でした。
イエドロの落語 其の壱

イエドロの落語 其の壱

イエロー・ドロップス

新宿カールモール(東京都)

2014/03/08 (土) ~ 2014/04/11 (金)公演終了

満足度★★★★

機動力増
古典落語3編をアレンジしイントロとアウトロを付けて1つのストーリーに仕立てる新手法により全体的なまとまりが出てきた感じ。
二人芝居となり以前より身軽になったことから地方も含めて、イベントの出し物や老人ホーム慰問など、いろんな所での公演が可能なのではないか?とも思う。

『恋煩いのなおし方』『紙風船』

『恋煩いのなおし方』『紙風船』

トレモロ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2014/03/08 (土) ~ 2014/03/09 (日)公演終了

満足度★★★★

岸田作品で「まさかのアレ」
1編目(「恋煩い…」)がトレモロにしては極めてオーソドックスで「ありゃりゃ?」と思っていたら、まさかの岸田で「アレ」を…。(笑)
しかし考えてみるとメインの人物2人が普通に芝居をしている中、1場面専属の3人がバックグラウンド的に「アレ」を演るという新手法、本編の状況に適合して鮮やか。確かに走り出した列車感があったもんなぁ。

新しい等高線

新しい等高線

ユニークポイント

シアター711(東京都)

2014/03/11 (火) ~ 2014/03/18 (火)公演終了

満足度★★★★

面白い題材
良かったのですが、全てが八掛けのような気がしました。

ネタバレBOX

印刷業の木村さん、田舎から預かった親戚筋の娘さん純子を、もし女中として預かってくれなかったら女郎にするしかないなどと脅して強引に色彩堂に押し付けた割には、伊豆に疎開するときに純子を伴おうとするなど、アレっと思うくらい結構いい人でした。資産を処分すればとは言え、伊豆で悠々と暮らせるだけの人が女郎にするしかないなどと言って押し付けるものかと少々疑問でした。

足の悪い永井さん、唐突にいなくなりました。出番も無くなりました。手紙に検閲があることが常識であったなら、本編中にあったようになぜ天皇陛下の馬鹿と書いたのか疑問です。戦闘で生き残ったことへの悔恨の情から出た言葉だったとしたら、特高に捕まったままというのも不思議です。思想的に本当にそう思っていたのか、どういう流れの中での言葉だったのか、真意を知りたいと思いました。そして、実際に特高が色彩堂に乗り込んで来るくらいの緊張感もほしかったです。

終戦後、永井が戻って来て純子とのロマンスが実ってもバチは当たりません。それくらいやってあげましょうよ。

義父が版権を狙っていたために東京大地図が刊行されなかったのかと思っていましたがそうではありませんでした。義父もいい人でした。社長がこれから米国によって壊される東京を偲び難く思って美しい東京の地図の刊行を差し控えたとのことでした。そうなんでしょうが、地図を刊行することで、国民や権力者に東京を破壊から守ろうとする意識、空襲を回避させる方策、即ち戦争終結ということを考えさせる一助になったかもしれないと思うとやはり疑問でした。

演劇をするために満州に行った二人も心配です。甘粕さんの名前を聞いて満映の様子を描いた『さらば八月の大地』を思い出しました。どちらも昭和20年8月までしか描いていないので、無事日本に帰れたのか肝心なところは不明です。

役者さんたちはどこか素人っぽさが残っていました。

舞台装置は綺麗でしたが、しょっちゅうしているはずの将棋盤や駒は新品のようでした。夏暑いと言っていましたが、カーテン閉めて窓を閉め切っていればそりゃそうでしょうと言いたくなりました。

軍事的に重要な施設を公園と表記するなど戦時下の状況については勉強になりました。
これから…。

これから…。

見上げたボーイズ

博品館劇場(東京都)

2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了

脱 老人ホーム?





『見上げたボーイズ』にしては珍しく、多数の高齢者が客演する。
もちろん、演劇に年は関係ないと思うが、セリフといい、立ち回りといい、スピードといい、オリジナルキャストとの「格差」が目立った。

話の骨格はよい。

「老人ホーム」に入居することになった74歳の“演出家”と、介護職員として働く23歳の“彼女”、そして娘を心配し毎日来館する“義理の父親”との三角関係は爆笑必至だろう。


ただし、合間にタップダンス等の演出が挟まれるのだが、これはシチュエーション・コメディに専念した方が、物語の展開に集中しやすい環境だったのではないか。


また、介護職員を「ボランティア精神」に位置付け、入居者への虐待といった負の面を追うアプローチも皆無だった。おそらく身体機能低下、認知機能低下の軽微な高齢者が集う「老人ホーム」なのだろう。
しかし、ハートフル・コメディを目指すばかり、残念ながら論証的な「現場」ではなかった。
タイトル『これから』も、恋愛に限定したことだとすれば、高齢者への「偏見」と「差別」を助長しかねないと思う。


ここで、舞台となった「老人ホーム」を考えてみたい。


沖縄県から北海道まで老人ホームは建っているが、「即ゼロ」にすべきだ。



中京大学の武田邦彦教授は その著書で「子が親の世話をするのは自然界のなかで人間だけだ」と述べている。


身体機能、認知機能が衰えた高齢者を、国が約25兆円の税金を投入し、若い世代が 労働力をもってして その「ケア」をするというのは、少なくとも「自然の摂理」に反する。


もっとも、「子が親の世話をする」が道義的に崇高な「人間らしさ」だとすれば、カネで雇う「介護職員」は反倫理だろう。


讀賣新聞社主筆・渡辺恒雄氏のように、90歳近くであっても頭脳明晰の「現役」はいる。


老人ホームという施設で、日本経済を支えてきた高齢者が第三者との関係において「童謡」を歌ったり、初歩的なゲームを楽しむ姿は「尊厳を奪う光景」である。


若い世代が(道端の)(健常な)高齢者女性に対し、まるで少女のような話し方をしていると、私は「無礼」に感じる。


実は「尊厳ある老い方」こそ、世界一の長寿大国に求められる社会構造ではないか。


「高齢者介護」は、基本的に家庭内で完結されなければならないと考える。これは心理学的にも ある程度の説明は可能だ。


介護職員が「善いことをしている」と自認してしまえば、それは心理学的見地からいうと「モラル・ライセンシング」に移行する。
「モラル・ライセンシング」とは、「善いこと」をした分だけ、「悪いこと」をしたくなる性質をいう。ベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・マクゴニガル)が詳しい。


血縁者、恋愛、金銭見返り、または縁故を除く「依存関係」は必ず破綻する。たとえ雇用されていたとしても感覚が麻痺するはずだ。(ここでは介護職員と被介護者を指す)
「老人ホーム」=「介護福祉」はマクドナルドのように合理化されたシステムだが、思想背景としての「宗教」がなければ、それは破綻する運命にある。



本作『これから』は、そうした「破綻」がハートフル・コメディに隠されていたように思い、問題提起が ほぼ なかったのが残念だった。









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