最新の観てきた!クチコミ一覧

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悪魔を汚せ

悪魔を汚せ

鵺的(ぬえてき)

駅前劇場(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/24 (火)公演終了

満足度★★★★★

血をめぐる家族の物語。
美樹本家に起こる恐ろしくも美しいドラマのサスペンスを舞台上で観ているようなそんな感覚になる作品。出演者の個性も光っているだけでなく舞台セット、照明、音響など全てにおいて豪華さも感じる。ラストの福永マリカさんと秋月三佳さんとのセリフのぶつかり合いに驚愕。客席もこのシーンを目の当たりにした時、自分の中の悪魔が目覚めるかもしれない。

余計者

余計者

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/23 (月)公演終了

満足度★★★★

余計者
タイトルと中身がそぐわない感じでした。タイトルと説明から余計者ってこの人のこと?と思った人は違ってました。でも、作者の意図からははずれていると思いますが、サスペンスドラマみたいで面白かったです。

ネタバレBOX

引きこもり少年はともかく、みさおちゃんは助けて欲しかったです。最後の会話の所で「みさおちゃん、早く意識がもどるといいね」くらいは聞けるかなと思っていたのでした。簡単に17年と言っていましたが、楓がどんな経緯で育ち、悪徳金貸しにたどり着いたかの説明がほしかったです。和馬がどうして自分が犯人のような、予知夢みたいな光景を見ることになったのかの理由づけを聞きたかったのに忘れました。Azukiさん、もしこれを読むようなことがありましたら教えてください。
余計者

余計者

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/23 (月)公演終了

満足度★★★

あまりに重い
重い物語、あまりに重い物語でした。ちょっと辛かったです。

ネタバレBOX

特に、両親の自殺現場のシーン。ロープが2本、ぶら下がっているだけで、本当に重々しい感じが表されていました。
中之島春の文化祭2016

中之島春の文化祭2016

ABCホールプロデュース公演

ABCホール (大阪府)

2016/04/30 (土) ~ 2016/05/01 (日)公演終了

満足度★★★★

文化祭Fブロック観劇♪関西の飛翔を感じた2日間♪
Fブロックは、N-Trance Fishさん/ポップンマッシュルームチキン野郎さん/Patchさん/MousePiece-reeさん/スクエアさんがご出演!
引き続き、2日目は奥さんと観劇♪
 
N-Trance Fishさん:ダンス好きな奥さんが喜んでました♪ダンスと演劇の融合のようで、楽しかったです♪今年も本公演伺いたいです♪
 
ポップンマッシュルームチキン野郎さん:すごいポテンシャルです!噂はかねがね伺っている、「サイコロを振る」を是非拝見しに伺います♪
 
Patchさん:爆弾犯の要求に従い、漫才をするイケメン軍団!超良かったです♪
 
MousePiece-reeさん:私の中で、閾値が異常に高くなっています!去年の文化祭以来、全ての公演に伺っていますが、去年の文化祭のインパクトが忘れられません♪今年もとっても楽しかったですが、20分間笑う事を辞めさせて貰えなかった去年のほたえた公演をもう一度観たい♪
 
スクエアさん:楽しかったです♪昨年の湿原ラジオに伺えず、非常に残念!今年は本公演に行きたい!
 
そしてエンディング:大団円!関西の役者さんやダンサーさん、パフォーマンスさん、層の厚さを感じた2日間でした!
来年も楽しみです♪

悪魔を汚せ

悪魔を汚せ

鵺的(ぬえてき)

駅前劇場(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/24 (火)公演終了

実演鑑賞

心臓の弱い方は注意💀
まだチケット有るみたいですよ~!!これは何度でも観たい!
私は観劇後に直ぐリピートでチケットを購入しました。
 

櫻の園2

櫻の園2

劇団ガソリーナ

ザムザ阿佐谷(東京都)

2016/05/19 (木) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

無題1825(16-115)
19:00の回(晴)。

18:00受付、予約完了メールに「当日精算のお客様の整理番号は当日受付順」とありましたが整理券はなく、階段に並ぶようになっていました(もちろん外に出ていてもOK)、当日券の方には整理券があったようです。

18:30開場、靴を脱いで座席へ、桟敷席がありました。舞台は普通の床面なので最前列でも支障はありません。初日、満席で後方には見切れ席があったようです。

19:03開演~20:01、休憩。20:10~21:05終演。また久しぶりにあいませんでした。

1990年の映画「櫻の園」は観たことがあり、 「映画写真集」も持っていますが、内容はだいぶ忘れてしまいました。その代りなのでしょうか、作品の(かなり曖昧ですが)印象だけが強く残っています。それが原因なのでしょう、始まってすぐ「コレハチガウナ」と思い、特に前半は全然ダメでした。「2」となければそれなりに観方もあったかと思いますが...

休憩時間に帰ろうかと逡巡、あと1時間、と思いとどまりました。

ネタバレBOX

役者さんたちはとても一生懸命でよい印象なのですが、脚本(すごく薄くないですか?)と演出(キャラクターがみな同じ--基本、絶叫型--にみえました)が「??」でした。

特に前半は役者さんのお披露目シーンだけで、後半もほとんど新味のない展開。

もしかして映画のストーリーもこうだったのかと思いながら観ていましたが、もしそうなら、なおさら演出があわなかったのだと思います。
許されざる者

許されざる者

シンクロ少女

OFF OFFシアター(東京都)

2016/05/17 (火) ~ 2016/05/24 (火)公演終了

満足度★★★★★

ハッピーver。幸せなのか?
面白い。
魅力あふれるキャラクターを備える5人と、
リズミカルにクロスする場面と会話。
難しい事抜きに楽しめた。
カオスな人間関係が蠢く濃密な物語、許されざる者は誰だったのか?
やっぱりみんな?なの?
とにかく、時間をやり繰りしてバッドエンドもぜひ観たい。
間に合うかな?

ネタバレBOX

本のキャラクターが良いのか?役者さんの演技がスゴイのか?
魅力たっぷりな許されざる5人。
とくにサヤカとナツコは両極端で相反するSとNの様。
しかし根底は同じ人間、
欲と煩悩に左右される女の性と、母なる女の強さは同じだった。コズエもね。
で、許されさるものは誰
8月の家族たち August:Osage County

8月の家族たち August:Osage County

Bunkamura/キューブ

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2016/05/07 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

「女」を傍観
すごい!すごい!!見せ方もいいよね。3時間以上も座っていたなんて思えない位、集中できた。いい感じに休憩も入り良かった。「女」ってどんな生物なんでしょうか??出てくる「男」たちによってさらに考えさせられました。姉妹、母娘…とそれぞれの立場とか思いとか、ぶつかり合いが見ていてスカッとするんだけど重たくも感じました。

何度もすみません

何度もすみません

MacGuffins

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2016/05/19 (木) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

喜怒哀楽
素直に喜怒哀楽全てが湧き上がってくるいいお芝居でした。
キャストが変わるとどうなるのか?
もう一度観たくなるお芝居でリピーター割があるのも素敵です。
当日パンフレット破棄厳禁で。

余計者

余計者

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/23 (月)公演終了

満足度★★★

脚本の風通しの悪さは家族愛のとらえ方に問題か?
昨日から日暮里のd-倉庫で上演しているteamキーチェーン第11回本公演『余計者』の招待券が当たったので出かけてきた。この団体を観るのは初めてで、知り合いの役者も一人としていない。

ネタバレBOX

幼い時、借金に追われ幼い妹は借金取りに連れて行かれ、両親はその借財を生命保険で返すために自殺を図った。その少年が17年を経て、両親と別れ際に約束した「自分も妹も幸せになる」という約束を果たすため、妹を奪った借金取りカップルの住む地元に戻ってくる。地元だから、当然ながら幼なじみもいて、その幼なじみの家に出入りしながら借金取りカップルや妹を金で買っている会社員(その息子は引きこもりで借金取りの家を盗聴・盗撮している)、そして自分の正体を知られた幼なじみの家で知り合った女性までも殺してしまう。そして念願の妹を救い出した・・・と思った時、彼のことも本当の両親のことも幼すぎて記憶に残っていない妹は、自分を育ててくれた借金取りの女性の遺体にすがり「お母さん」と泣き崩れる。それを見た兄である元少年は、こんなはずじゃなかったと呆然と立ちすくむ。


借金取りカップル、妹を買う会社員一家、そして幼なじみ兄弟一家という3つの家族といえるべき人間関係に刑事も加わる複雑な人間関係は、脚本家が考えていたというか計算していたようには風通しの良い整理がなされておらず、どこか混沌として見ていてしっくりこないのが最大の問題点。特に、幼なじみの事件の真相を知っているようなそぶりをさせる理由や、引きこもり少年の存在意義というものが明確に示されていないのが気になった。
役者たちは皆熱心に演じていのには好感が持てたが、細かい仕草や個々の人物設定やその仕草の違い(使い分け)が乱雑であったような気がする。例えば、少年がいつもメモ用紙をなぜ持ち歩いていたのか、刑事が借金取りカップルの女性にだけは連絡先名刺を渡さず女性自身に連絡先電話番号を書かせたのか、警察手帳を上着のポケットではなくズボンのポケットに雑に持ってたのかなど、細かい点までもっと丁寧に演出すべきだろう。
主役とも言える少年や幼なじみの学生やその同級生たちの演技全般は、見ていて一応手応えがあった感じ。

この数週間充実した団体の舞台を見続けてきたせいか、今回はそうした細かな点で若干失望したと言わざるを得ない。
東京ノート

東京ノート

ミクニヤナイハラプロジェクト

吉祥寺シアター(東京都)

2016/03/24 (木) ~ 2016/03/28 (月)公演終了

満足度★★★★

東京そして人間を見下ろす
 岸田國士戯曲賞受賞作である平田オリザ作『東京ノート』(1994年初演)は、青年団などの上演で私はこれまでに複数バージョンを観たことがあります。物語の舞台がソウルだったり、日中韓3ヶ国語上演だったり、広い劇場ロビーでの上演だったり。東京デスロック版では俳優が観客の中に居る状態での上演でした。

 ミクニヤナイハラプロジェクトの演劇作品はたぶん過去に2作ほど拝見していて、俳優が早口で怒鳴るためにセリフが聴こえづらいことが、私にとってはストレスでした。でも今作は予想していたより遥かにセリフが聞きやすく、演出家の矢内原美邦さんが『東京ノート』を通じて示す今の東京、および人間社会を味わうことができたように思います。言葉の意味と激しく動く肉体、強烈な音響、視覚効果が相まった、独特のステージでした。

 出演者は21人と大人数ですが、パっと見ただけでも違いがはっきりしていて、それぞれに違う人間であることが認識できるほど個性的でした。なのに作品全体の印象は全く異なり、彼らはすっかり没個性化され、人間の集団、生命の集合体といった風に十把一絡げに扱われます。変化のスピードがとても早く、客席にいる観客も物語の当事者も、おそらく追いつけないし、その姿を把握できない。でもその渦中にいる…。それが現代の東京なのだと体感しました。

 ロビーの物販コーナーでは過去作品のDVDが充実しており、原作の文庫本(700円)も購入できました。ロビーで写真展も開催されていたようですが見つけられず。上演時間は約1時間15分と短めでしたが、舞台で起こる現象にあてられて、終演後はボーっとしていたかもしれません。

ネタバレBOX

 ほぼ何もないと言っていい空間で、白い床には動画が映写されます。俳優は白い長ズボンを履いており、上半身は色違いのシャツで、役割によってシャツを着替え、複数役を演じます。1役を複数人で演じたり、女性役を男性が演じたりして、俳優の交換可能性が明快でした。天井から四角い枠が3つ降りてきたり、赤く丸い映像(証明も?)が天井から舞台と人々を照らしたり、高度な技術があってこそ成立する緻密な演出効果に目を見張ります。無機的でシャープな美しさがあるものと、有機的でちょっと泥臭い人間存在との組み合わせから、様々な想像ができました。

 『東京ノート』の世界ではヨーロッパで大きな戦争が起こっていて、絵画がアジアに避難してきています。舞台となる美術館のロビーでは反戦運動を行う人、志願兵としてヨーロッパに向かう若者、軍需景気に沸く会社員たちがすれ違います。美術館のロビーで静かに語られる遠くの戦争が、今作では前面に、直接的に表れていました。個人的に、日本が戦争に近づいている実感があるため、掛け声のように機械的なセリフ回しや、足取りを合わせて同じ方向に進む群舞から、運動会、軍隊を連想しました。福島、ブリュッセルという地名は原作にあるもので、新しく追加されたわけではありません。東京電力福島第一原発事故や、ベルギー連続爆破テロを予言しているかのようです。

 俳優は先述のとおり皆、個別の魅力のある方々だったと思います。課されたタスクの膨大さ、難易度の高さは想像もつきません。稽古どおり、ルールどおりに全員で動くためには、俳優同士が慎重にコミュニケートし続ける必要があるでしょう。ただ、密な交流はあくまでもステージ上に収まっており、客席へは向いておらず、何かを伝えようとするエネルギーは感じ取れませんでした。お芝居が好きな私には少々退屈でしたが、高密度のインスタレーションだと思えば不満はありません。

 数年前に肉体関係があった女子大生(稲継美保)と元家庭教師(沼田星麻)の場面が特に面白かったです。私が今までに観た『東京ノート』とは異なる解釈が示されたようで、女子大生の怒りの表出のさせ方が直接的で、スカッとしました。誇張された動きは滑稽でもあるし、ちぐはぐなところに悲哀も感じました。
許されざる者

許されざる者

シンクロ少女

OFF OFFシアター(東京都)

2016/05/17 (火) ~ 2016/05/24 (火)公演終了

満足度★★★★★

☆バッドエンドver☆観劇
凄まじい女の執念でした。

ネタバレBOX

バッドエンドバージョンを観ましたが、バッドエンドバージョンは隣家から上下の関係に変わったものの2014年7月に観た内容と同じような印象でした。

本当に自分が蒔いた種の報いに苦しめられる話でした。作家の男が現在の妻に対して子供を希望しないと言っていたのは、今も共同執筆者であり、現在の妻とも親しい元妻が自分の親友と再婚しようとする男に対して許しがたくいたたまれない気持ちを抑え込み、再婚を許すぎりぎりの条件として子供を作らないことという呪いのような束縛を男に突き付けたことに起因してのことでした。表面の付き合い振りと心の奥底の違いに、女の執念の凄まじさに驚愕し、その描き方の素晴らしさに感服しました。

KAATで本年1月に、趣向『THE GAME OF POLYAMORY LIFE』を観ました。それぞれが複数の相手と性的関係を持つポリアモリーと呼ばれる人たちの話でしたが、そのとき子供ができたときにそれぞれが子供を愛し育てることができるのだろうかと考え、そこを描いてほしかったなと思ったことを思い出し、『許されざる者』の結末が一つの正直な気持ちではないかとポリアモリーでない私は思いました。
愛情の内乱

愛情の内乱

ティーファクトリー

吉祥寺シアター(東京都)

2016/05/12 (木) ~ 2016/05/25 (水)公演終了

満足度★★★★★

TFactory:「愛情の内乱」
 夏のような陽射しの照る土曜日の昼下がり、吉祥寺シアターで末原拓馬さんが出演されているTFactoryの舞台、「愛情の内乱」を観て参りました。

 今回の舞台は、私にとっても、色々と感慨深く特別な舞台でした。

 なぜかと言えば、生前母が好きだった白石加代子さんがこの舞台に出演されていたからで、母の影響で、私も白石加代子さんが好きになり、1度白石さんの舞台を観たいと10代の頃から思っていたのが今日、末原拓馬さんと共演のこの舞台で拝見出来たからだ。

 若かりし頃の母の写真をバックに忍ばせて、母と一緒に観ている気分になる。生きているうちに母にも観せてあげたかった。

 舞台に置かれたちゃぶ台と襖、舞台に有るのはそれだけ。ちゃぶ台は家族の象徴。

 そこで繰り広げられるのは、母と3人の息子の「愛情の内乱」。

 遠い未来の近い過去。とある地方の大きな家。立ち退きを迫られているその家に暮らすのは、母と次男と謎の家政婦。

 家族を絶対的な力で支配しているのは、母。その母から逃れる為に志願して戦場に行った長男と母を愛していながら恐れ、長い間家を出ていた三男。

 退去勧告を受けても尚、家に居座り続ける一家に興味を持つ男が、TVのドキュメンタリーを撮りたいとやって来たのと時を同じくして、戦争で英雄になった長男アニと長い間家を出たままだった三男のジンが帰って来て、家族の歯車は思いもかけぬ方向に回って行く。

 顕になってゆく家族の問題と過去の記憶。最後に待ち受けている結末とは....。

 あらすじを言うとこういう物語なのだが、これはきっと、誰もが思い当たる親と子の物語であり、私の、そしてあなたの物語でもある。

 良くも悪くも母は子供が老人になったとしても母なんだと思う。私の母は子供の顔を見ただけで子供の心や状況を理解して、見守ってくれる母だったが、白石加代子さんの母は、どちらかと言えば、私の父に近い。

 そんな父から逃げたくて、逃れたくて、煩悶し葛藤し、時に憎みもし、父と離れたいと思い続けた母が亡くなった15歳の時から、父が兄の家の近くの施設に入って離れるまでの34年間を、この舞台の白石加代子さんの母を観て思い起こした。

 高圧的で支配的、息子たちにとっては、ある種恐怖でもあり、疎ましくもあり、心の奥底では愛している白石加代子さんの母を見ているうちに、ふと思う。疎ましく重く思っていた父の高圧的な態度は、私への父なりの愛情を間違った発露の示し方だったのだと。

 母を愛し過ぎていた故に、容貌は年々母に似て来ながらも、母のようにはなれない娘の私への苛立ちと失望と、そのことで、私にあたってしまう自分への苛立ちと多少なりとも持ち合わせていた私への愛情を上手く表現できず、誤った表現と発露で埋め戻す事の出来ない溝を作ってしまった父の心に思い至る。

 白石加代子さんの演じる母がそうだったように。

 認知症が進み、苛立ちを暴力で表し始めて兄の近くの施設に入り離れた父は、もう、私のことも忘れ始め、私を私と認識することさえ覚束無くなりつつある。「愛情の内乱」を観て、 ふと、その事に気づいて少しだけ父を赦し、少しだけ理解できた気がして最後に泣いた。

 大場 泰正さんの長男アニは、もしかしたら、私の兄と重なるのかも知れない。両親に反抗したこともなく、親思い、友達ともめることもなく、良く出来た兄と言われ、其れに比べてお前はと比べられて育った私。

 大場泰正さんのアニも正に、良く出来た兄と言われて育った長男。しかし、そう言われ続ける長男のプレッシャーと、「良く出来た兄なのに、反抗ばっかりして、お兄ちゃんを見習いなさい。」と言われ続けていた私は、兄にとっては、家では言いたいことを言える、気楽で我が儘勝手で反面、羨ましいとも見えていたかも知れない。

 誰よりも私の味方で、私を判ってくれた母だったけれど、唯一今でも、それは言わずにいて欲しかったのは、「お兄ちゃんに比べて」「お兄ちゃんを見習いなさい」という言葉と、死のひと月ほど前に言われた、「あなたは、打たれ強いから心配ないけど、お兄ちゃんは打たれ弱いから心配。私に何かあったら、お兄ちゃんを頼むわね。」という言葉であり、その言葉に長らく呪縛され、苦しんだ事を兄は知らないだろう。

 二人兄妹の末っ子でありながら、長女でもある私は、どちらの面も持ち合わせ、どちらの立場も何となく解る。

 そういう意味において、一番感情移入をして観られたのは、兼崎健太郎さんの次男ドスと末原拓馬さんの三男ジン。

 兼崎健太郎さんのドスは、心の奥底では母に愛して欲しかった寂しさと愛情を持っていながら、絶対的な力で支配する母を疎ましく思い逃れたい、家を出たいと思いつつ、残された母と母への思いが踏みとどまらせ、逃れたいと思いながら息子としての葬り去ることの出来ない、家族の愛情というに引き裂かれそうになりながら、自らをこの家と母に縛りつけているという事にさえ気づいていながら、行くも戻るも出来ない自分への苛立ちと諦め、其れに抗う気持ちを持て余し、葛藤しているように思った。

 それは、嘗ての私の姿と重なり、胸が軋んだ。

 末原拓馬さんのジンは、母を好きで愛しているが、その反面、母の絶対的な支配力に、自分が搦め捕られていつか、自分が自分として生きることが出来ないのではないかという不安と、これ以上この家にいて、母の影響下に居続けることへの恐怖から、家に居られないと家を出ることを選んだ。

 その、ジンの葛藤と不安もまた、私が父に対して長年感じ続け、呪縛されていたものでもあった。

 ここまで読むと、重くシリアスな母と子の愛憎の話のようだが、コミカルでユーモラスな笑いも随所に散りばめらていて、鬱々とした感じは一切ない。

 随所に笑いを散りばめながらも、しっかりとそれぞれの抱える痛みと葛藤、母と子、家族の愛情という、厄介で、でも、どうしようもなく愛しい家族の姿がある。

 最後の最後に、母の自分達への愛を知った息子たちは、その先に新しい家族の愛情の形があるのではないかと思わせる。

 その意味で、これはある種のハッピー・エンドの物語なのではないかと思う。
 
 心に様々な思いが兆した舞台だった。

文:麻美 雪

紙の方舟

紙の方舟

シアターノーチラス

小劇場 楽園(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

第20回公演おめでとう 花四つ星
 イエスの方舟事件というのをご存じだろうか? (追記2016.5.22 14時半)

ネタバレBOX

1970年代当初、千石イエスの下に集まった20人ほどの男女は“集団誘拐された、神隠しにあった、更には洗脳されたセックス集団”などと1980年頃から騒ぎ始めたマスメディアの縷言蜚語で攻撃された。殊にその中心に居た千石イエスは非難の的にされたのである。然し後には、参加していた総ての人々が、自ら進んで家庭を捨て、集団生活を営むようになったことが判明。騒ぎは収束に向かった。
 今作は、この事件にインスパイアされた作・演出を担当する主催者の作品である。自分自身、言葉を紡いで生計を立てて来た身でもあり、週刊誌記者となる道も選択肢の一つであっただけに、結果的にその道を選ばなかったが、メディアの取材態度や時流に乗り、或いは時流を作ってゆくことに様々な思いもある。
 ところで今作、日本の家族関係という習慣に疑義を呈したどちらかといえばセンシブルで比較的豊かな社会層に属し目立たなかった人々のうち、習慣としての制度に疑義を抱いて家を飛び出したモラトリアム人間たちのような気がしてならない。中心になっているマザーと呼ばれる人物は無論一度も登場しない。これが、日本的制度の本質だからである。即ち空虚が他者を蝟集する役割を果たすのである。現在、マザーを継ぎそうな者は二人。創設メンバーのイズミ。そして創設メンバーではないもののリーダー格のスミレである。どちらかというと受け身で状況の中で頼って来る者の発する声を聞き取ろうとするタイプで現マザーに近い。それに引き替えスミレは合理的判断に基づき、総てを思うがままに作り上げようとする。どちらが継ぐことになるか議論になろうが、実際に彼女たちの何れかがマザーを継ぐことは無いように思う。何故なら、彼女たちの何れもが現マザーほどの神話を未だ身に纏ってはいないからであり、それを纏う為には継承儀式が必要となり、そうなれば、最早、本物ではなく唯の代理に過ぎないからである。
然しながら、今作に登場するキャラクターのうち、最大の発明は、ウキタというキャラクターであろう。彼こそこの作品がイマージュの基底としている千石イエスの方舟事件そのものを、人間存在の不条理の側から平衡化しているキャラクターだからである。どういうことか? 彼の生は、謂わば生きながらの死である。彼が時々生命を奪わねばならぬのは、自らの生を確認したいからなのだ。だが、他の命を奪うことによってその問いに答えが与えられることはない。単に彼の向き合う情況に更なる虚無を付与する行為であるというに過ぎないのだ。だが彼自身、それを自覚することは未だにできていない。何となれば彼には社会性が無く、それ故にこそ虚無に相対し、虚無から「自ら」を覗きこまれることによって自らを虚体と為しているからである。一方、紙の方舟は世間から見ると疎外された存在であるが、彼らは社会性自体を失っている訳ではない。唯心理的に「シンドイ」レベルに居り、一種のシェルターとして“紙の方舟”と名付けられたモラトリアムの船に載っているだけである。実際、彼らは紙の方舟に乗っていた訳ではなかった。紙の方舟を待っていたのである。
 一方、この方舟の中でも一般社会対方舟の縮図が描かれている事に注意せねばならない。その構造はウキタvs他のメンバーであり、疎外のレベルはこの小集団の中ではウキタが担っているのである。そして彼の疎外こそ、その非社会性の強度に於いて唯一、マザーに対置し得るパップとしての虚体であり、男性原理の本質でもあるのだ。従って彼の魂は彷徨しており、彷徨とは死であることは今更言うまでもない。
 つまり今作が提起している問題の根は、単に大衆によってまき散らされた縷言蜚語が何を為したかではなく、それをそのような形で成立させる為に用いられた謂わば制度の構造とその心的・深的機構、その機構の中心に「存在する」虚についてなのである。
余計者

余計者

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/23 (月)公演終了

満足度★★★★

切ない。
作品を見終わって切なかったですね。思春期にこのような事が起きると感受性が強い時期ですから仕方がなかったのかもしれませんが、それにしても子供は親を選べないですね。切なく複雑な気持ちになりました。

8月の家族たち August:Osage County

8月の家族たち August:Osage County

Bunkamura/キューブ

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2016/05/07 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★★

観てきました☆
豪華な俳優陣のなかで 麻実れいさんの存在感がずば抜けてました!
素晴らしかったです!

シアターコクーンで マイク無し! やっぱり生声がいいですね!

翼とクチバシもください

翼とクチバシもください

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★

観てきました☆
う~ん… 今回はちょっとハマらなかったな~

ネタバレBOX

あまりにも  訳わからないセリフと動きが多すぎ。。   
それと、 クロムらしい  毒気 が足りなかった。。
それぞれの キャラも なんか 薄い感じで。。

まあ、 そんな中で 池村さんと、ゆにばさんは いい感じで良かったです!

でもでも、 消化不良ですね。。  次回に 期待して待ってます!
翼とクチバシもください

翼とクチバシもください

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

サイケ
サイケデリックな世界でアングラな雰囲気があり、幻覚のような感覚で気に入った。「無意味」の比率が高く好みがわかれるだろう。

許されざる者

許されざる者

シンクロ少女

OFF OFFシアター(東京都)

2016/05/17 (火) ~ 2016/05/24 (火)公演終了

満足度★★★★

バッド観劇
記憶違いでなければ、初演のアトリエヘリコプターでやっていたのもバッドエンドverだったのでは。名は体を表すシンクロ芝居、ハッピーエンドverを観られないのが残念。

赤い竜と土の旅人

赤い竜と土の旅人

舞台芸術集団 地下空港

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2016/03/03 (木) ~ 2016/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★

原発、難民問題などを力強いファンタジーに
 ある田舎の島に漂着した旅人が持っていた“釜”の不思議な、巨大な力が、人々の暮らしを一変させます。釜の力の由来や、それを利用しようとする勢力、やがて起こる大きな災害…。物語に日本の原子力政策や東京電力福島第一原発事故、そして事故後の世界を映していることは明らかです。

 そんな社会派と言い切っても問題ないお芝居ですが、オリジナルの楽曲とイスを使った表情豊かなステージング、工夫を凝らした身体表現によって、躍動感のある娯楽作に仕上がっていました。衣装とヘアメイクが凝っていて、役の区別もつきやすく、デザインも良かったです。

 ドローンを用いた予告編ミュージック・ビデオのクオリティーの高さに驚きました。クラウドファンデイングで資金を得て、3/12(土)19時の回は英語字幕付きで、Ustreamで無料中継されました。この作品が生まれるきっかけとなったイギリス・ウェールズ国立劇場のスタッフもご覧になったようで、国境を超えたアーティスト同士のつながりを維持する努力が素晴らしいと思いました。

 本番直前に病気降板になった俳優に代わって、奥田努さんがタンレ役で出演されていました。タンレはいわゆる悪者として物語を引っ張っていく主要人物です。奥田さんが所属されている劇団Studio Lifeは中劇場ツアーも行っている、数十年の歴史がある劇団です。奥田さんは大勢の俳優を抱える同劇団で主役も経験されています。中堅舞台俳優の底力を見せていただけたように思いました。

ネタバレBOX

 片足の少年(村田慶介)、赤い竜(田代絵麻)、土の旅人(野田孝之輔)に込められた意味を探ろうとしたら、便利で危険な釜が登場し、必死で謎に食らい付いていこうとしたのですが、“釜と人間との契約”のところで頭がこんがらがってしまいました。テーマを盛り込み過ぎではないでしょうか。複雑なことも敢えてファンタジー、寓話として楽しむのも方法かもしれませんが、私は“とことん意味を知りたい病”を発症してしまいました。そして快癒できず…。

 釜に物を入れると新品になり、人間を入れると若返って元気になります。役人や豪商がその利権を独り占めしようとしますが、釜から出た人間に穴が開くことがわかります。昔、旅人は自分の故郷を破壊した黒い竜をしとめ、釜に閉じ込めました。そして黒い竜と、「釜に入れた物・人で、旅人の故郷を元に戻していく」という契約を結んだのです。釜に入った人間は元気になりますが、旅人の故郷の穴を埋める代わりに、その人間の体に穴が空くという設定でした。

 旅人の故郷は原爆が投下された街(広島もしくは長崎)だったとわかったところで、黒い竜の正体は原子力爆弾、原子力発電の材料となるウランであると予想がつき、日本が原爆をいつでも作れるように、原発関連施設を保持していることとつながります。
 キャパオーバーになった釜は黒い竜が焼き尽くして爆発。土の旅人の故郷と同じように、ロイの故郷も破壊されました。原子力発電所の輸出や放射性廃棄物の再処理工程を想像してしまいます。それは日本とウェールズをつなぐものでもあります。

 黒い竜がウランで、赤い竜が島に住まう神だとすれば、両方とも土から生まれたものです。私たちの故郷(地球)には常に善悪の種があり、どれも使い方次第。2つの竜のパペットがぶつかりあう戦闘場面は、不思議な感触のクライマックスでした。竜を操る複数の俳優(=人間)の懸命の演技は胸を打つものがありました。

 ほぼ何もない舞台で、俳優は両袖にスタンバイし、舞台に出ていない時も観客の目にさらされます。そういえば俳優は開場時間からステージに居て、それぞれ自由に発声、体操などのアップをしていました。開演まで30分あったのでしょうか。私には長すぎましたね、観ていてちょっと疲れてしまいました。

 俳優の中では、主人公ロイを演じた村田慶介さんの歌声が素直でいいなと思いました。ロイのおば・ミシェ役の野々目良子さんも声に説得力があり、力強い存在感でした。あとは先述の奥田努さんが印象に残っています。

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