
空が飛べると想ってみる。企画展「WA」
Oi-SCALE
宮益坂十間スタジオ・ギャラリー(東京都)
2019/08/17 (土) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/17 (土) 18:00
価格2,300円
林さん(と「輪の席」のお客さんと)のトークセッション的に進みながら終盤で……な内容はいつもの公演での林さんの「マクラ」と本編の比率が逆転したような感じか? 「虚」と「実」の境界ははたしてどこ?なのが好み♪
冒頭(と言うより前説?)で「思いつくままに話しているように見えますがすべて脚本です」とわざわざ断りをいれるものの、例えば「輪の席」のお客さんに夢に関して話してもらう部分などはガチに思われ、しかしその中にかつての公演出演者もいるのでなおさら「虚」と「実」の境界が曖昧になるというシカケ……巧いよね。
また、あの「輪」がキャンプファイアのように感じられたのは林さんがキャンプ好きと知っていたためか時節柄か。「輪になって話す」というのもキャンプの夜っぽいし。
あと、複数の灯りを組み合わせ方によって変化をつけたりしたのもステキ。

DNA
劇団青年座
シアタートラム(東京都)
2019/08/16 (金) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
舞台装置や人の動きはjacrowでやる時とほとんど同じなので、脚本家の意向でしょうか。
ストーリーはjacrowでやる時とは違って会社の問題より家庭の問題が主であるように思いました。
家庭の場面が一番客席に近いし、内容も一番深かったように感じました。
そこは青年座での上演を考慮して、少し切り口を変えたのでしょうか。

盆がえり
演劇集団よろずや
浄土宗應典院 本堂(大阪府)
2019/08/23 (金) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
静かに始まり、徐々に家族のあり方を問うような展開に。ハラハラしながらも優しく、新しい未来を予感させるような終わりを迎えるのがいい。また、観劇したい劇団です。

熱海殺人事件GOOD BYE
劇団 朋友-pengyou-の夜明け
同志社大学・新町キャンパス 新町別館小ホール(京都府)
2019/08/23 (金) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

ギョエー! 旧校舎の77不思議
ヨーロッパ企画
本多劇場(東京都)
2019/08/15 (木) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
■150分弱(途中休憩込み)■
●話をふくらませすぎて、回収できなくなっちゃってた感じ。過剰なサービス精神の表れだともいえるが。

伊勢湾台風STORY「空が落ちてきた日。」
劇団アルクシアター
アマノ芸術創造センター名古屋(愛知県)
2019/08/24 (土) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
人間の持つ底力を見せてもらいました。この台風被害に限らず近年日本全土で吹き荒れている災害、皆さんしっかりと自分の足で立ち上がって頑張っておいでです。が、
特に70年前の台風はまだ戦後の痛みが残っているそんな時代でしたもの。とてつもない力を感じられ素晴しい舞台でした。

さよならはめざめのあとに
劇団ハッピータイム
北池袋 新生館シアター(東京都)
2019/08/22 (木) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
目まぐるしい展開に、狭いスペースを目一杯使っての殺陣シーンも。若い演者さんの芝居にはちょっと物足りなさを感じつつも、なんだか妙な魅力のある舞台になっていて、好みは分かれるかもしれないけど、私は好きです。

伊勢湾台風STORY「空が落ちてきた日。」
劇団アルクシアター
アマノ芸術創造センター名古屋(愛知県)
2019/08/24 (土) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/08/24 (土) 13:00
ミュージカル要素も取り入れた今回の舞台。
時に舞台が上段・下段に分かれたりして、とても見やすかった。
まだ私が生まれる前のお話だけど、この舞台で恐怖・悲しみ・絶望・勇気・希望などが、少しでも感じられた気がした。
子供たちの演技も、う~んと頑張っててとてもよかった(*^^)v

発表せよ!大本営!
アガリスクエンターテイメント
駅前劇場(東京都)
2019/08/15 (木) ~ 2019/08/20 (火)公演終了
満足度★★★★★
公演のあいだ、中央、カミテ、シモテとひと時も離さない展開に釘付け 後半の盛り上がりは周りのお客さんと一緒にワクワク・ハラハラしている感じが堪らなく心地良かった 恋物語の結末は個人的に少し切なく感じたが公演後の後味としては悪くないのかも
戦時中の発表という堅っ苦しいやり取りが、勢いと躍動感とメッセージもある面白い話に生まれ変わっていた 観れて良かった

YES I AM …
W.Strudel 2nd Season
近鉄アート館(大阪府)
2019/08/23 (金) ~ 2019/08/26 (月)公演終了
満足度★
新しいことを定義しているように見えて全然古臭い題材でした。SFなのに。
まだ笑い飛ばせるフリとかがあればいいのに空回りしてぜんぜん笑えませんでした。
AIがテーマなのに最初と最後に主張して終わった。キャラの使い方が勿体無くも感じました。
派手な立ち回りでごまかそうとしても、そんなのでは騙されないぞ、今の観客は。
ただ何人かの俳優は良い演技をしていた。女優はみんなかわいかったです。

肉体だもん・改
劇団ドガドガプラス
浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)
2019/08/17 (土) ~ 2019/08/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
160分圧巻の舞台でした。歌ありダンスあり。何より観客を楽しませようとエネルギー全開。役者さんもシナリオ内容も素晴らしかったです。少し長めでくたびれましたが、自分もエネルギーをもらい熱い舞台に拍手です。

月ノツカイ
劇団だるま座
アトリエだるま座(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
死が身近だからこそ、生が輝き、人々の喜怒哀楽もストレートに現れる。いい舞台だった。北海道の架空の炭鉱町コトロが舞台。由里子と健司の若い夫婦が住む、炭住の一部屋で、1973年の炭鉱夫たちの汗と涙とホコリが立ち上がる。
そして20年後の同じ部屋に住む由里子と娘。二つの時空が交錯しながら、次第に、73年の出来事、東京の学生運動で起きた事故、さらにさかのぼって、健司と由里子の生い立ちの秘密が明らかになる。
「一山一家」という言葉が出てくるように、危険と隣り合わせの炭鉱夫たちは、情に厚くて皆が助け合って生きている。陰のある由里子役の坂東七笑、炭坑夫のまとめ役の剣持直明、謎の老炭鉱夫のすだあきらがよかった。

ナイゲン(2019年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/08/22 (木) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

バルパライソの長い坂をくだる話
岡崎藝術座
ドイツ文化会館ホール(OAGホール)(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
岡崎藝術座の名は数年前F/Tトーキョーのラインナップで知ったが観たのは横浜。象徴的シーンの並列、役者の身体負荷の小ささ、引っかかりのない抽象画のように何も残らなかった。
過剰なテキストという顔をもって再登場した(私の印象)神里氏は形的には荒削りだが自身の体験をそれこそ武器にした思索の軌跡の提示が、ある可能性を感じさせた(イスラをSTスポット、サンボルハを別集団だがやはり横浜で)。
草月会館近くのドイツ文化センターは3度目になるがどれも芸術性の高い作品であった。岸田賞受賞に納得。軽妙と深まりとが波のように寄せて返し、やはり基本モノローグだが静かな語りが壮大なイメージへ誘う作品である。舞台製作はブエノスアイレスで行なったという。演者はかの地で活躍する優れた表現者である四名。船上を模した多様な客席(バーカウンターや二段ベッド、ベンチ、ソファ、礼拝堂の長椅子数列、広い板だけの二等客席などなど)でゆったりと眺める。場所それぞれに趣きがあって良席不良席の別が無い。損得感情からも解放されるこの感覚はかつて訪れたある途上国の空気だ。
効率性の不徹底を「愚か」と感じる呪縛に当時は無自覚で、どこか相手を見下している自分がぶっちゃけあった。このおかしな時代の到来を目の当たりにして、愚かはどっちかと自問せざるを得ない。
演劇を構成するのは「行為」であると言われるが、この芝居では母を連れて父の骨を受け取りに来た息子が、骨を渡した二人組の相手と別れるまでの、会話の時間である。あるのは語りだけ。いつ終るとも知れないやり取りの時間、想念だけが廻る時間、彼に次の予定は無いのか、等と考えるが、劇の都合上なのか、作者の性格なのか、このドラマには急ぎの用があるといった「テンション」は持ち込まれない。言葉だけが連なっていく(意表を突く演出的趣向はゆるっとあるが)。船での長旅にも似た時間、拘束=日常からの解放たる所以でもある。傑作である。

瀬戸の花嫁 再再演
ものづくり計画
ザ・ポケット(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
登場人物はすべて善人で、そこに集った人々の生活環境や状況などを描くことによって都鄙の違いや情景を浮かび上がらせる。島民の減少により活況が乏しくなった状況を説明し、物語の設定へ上手く導く巧みさ。同時に台詞を方言で喋らすことによって、より臨場感が溢れ出し情景の雰囲気を漂わす演出は、観客の感情を揺さぶる。再再演するのも頷ける見事な公演であった。
(上演時間2時間)

瀬戸の花嫁 再再演
ものづくり計画
ザ・ポケット(東京都)
2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白かったです!嫁不足の小さな島でのお見合いを描いた作品でしたが、その中に、笑いあり、人情味あり、ドタバタあり、感動ありと盛沢山でした。役者さん達も、楽しそうに生き生きと演じている感じがしました。楽しくて、気付くと微笑みながら観ている自分がいました。再再演というのも納得の舞台で、大満足でした!

ギョエー! 旧校舎の77不思議
ヨーロッパ企画
本多劇場(東京都)
2019/08/15 (木) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

人形の家 Part2
パルコ・プロデュース
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2019/08/09 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★
結婚、あるいはノラの家出をめぐる対話劇。かなり抽象的な議論といってもいい。
山崎一演じる、夫が非常に良かった。

いのうえ歌舞伎<亞>alternative 『けむりの軍団』
劇団☆新感線
赤坂ACTシアター(東京都)
2019/07/15 (月) ~ 2019/08/24 (土)公演終了
満足度★★★★★
「いのうえ歌舞伎」初体験。面白かった。古田新太の醸し出す「笑い」あり、スリルとスピードの殺陣あり、勝気な姫から破戒僧まで粒だったキャラあり、口先八丁で敵も味方も手玉に取る知的で凝った脚本ありで、最高だった。
しかも今回は黒澤明の映画へのオマージュたっぷりが売りの舞台。中学生の時に友達に誘われて「隠し砦の三悪人」を見て以来の大の黒澤ファンである私としては、涙ちょちょ切れるほど嬉しい舞台だった。
360度劇場と違い、回転はしないけれど、映像を巧みに使った舞台は飽きさせず、面白く、転換も無駄がなく、さすがであった。

シカゴ
TBS/キョードー東京
東急シアターオーブ(東京都)
2019/08/07 (水) ~ 2019/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
説明不要の人気作。米倉涼子がよかった。やはり同じ演目でも、知っているスターがいるのといないのとでは、見る方のテンションが段違いである。そこ行くと、ブロードウエイの米国キャストに混ざって、我らが米倉がいることで、最高の舞台をみることができた。
話としては、性悪の浮気女が、手練手管で愛人殺しの罪を誤魔化し、無罪になる話。欲望と破倫をたたえ、正義をおちょくるものである。
倫理的にはいただけけない話だろう。これがなぜ、大きなバッシングも受けず、大衆に人気があるのか。
考えてみると、第一に、欲望の肯定は人生の肯定であること。あとでも言うが、「自由」を歌い上げていると取ることもできる。
第二に、ふとしたきっかけで罪を犯した人間でも再起のチャンスはあるという、迷える子羊の救済という見方もできる。この点では、主人公は罪人だけど、救われて欲しいという同情を集める存在であることが必要。そこで、「美人は得」という、いたって下世話な経験則にいきつく。劇自体のストーリーもこのセオリーに乗っかっている。「Rocky rocks Chicago」という新聞の大見出しが象徴している。
第三に、堅苦しい正義・秩序の枠にとらわれない、享楽的な自由を描いたから。束縛から逃れ、常識をひっくり返す爽快感がある。そこがこの舞台の最大のカタルシス。しかも「自由」こそアメリカ資本主義の中心理念である。享楽もまた同じ。またこの自由という隠れテーマが、舞台のバカバカしさ、目を見張るようなスタイリッシュな歌とダンスとかみ合って、「日常からの脱出」という芸術・娯楽がもつ普遍的効用を最大限に味わわせてくれる。傑作である所以である。