瀬戸の花嫁 再再演 公演情報 ものづくり計画「瀬戸の花嫁 再再演」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    登場人物はすべて善人で、そこに集った人々の生活環境や状況などを描くことによって都鄙の違いや情景を浮かび上がらせる。島民の減少により活況が乏しくなった状況を説明し、物語の設定へ上手く導く巧みさ。同時に台詞を方言で喋らすことによって、より臨場感が溢れ出し情景の雰囲気を漂わす演出は、観客の感情を揺さぶる。再再演するのも頷ける見事な公演であった。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台セットは瀬戸内海に浮かぶ小島…戸美島の集会所いったイメージ。下手上部に別スペースを作り出す。大漁旗がいかにも海・島を思わせる。

    梗概…高齢化、少子化さらに島の若者は島を離れ都会へ。その状況を何とかしようと結婚相談(所)会社を通じて集団見合いを企画する。島の男たちの願いが叶い、都会暮らしの女性4人が応募して来た。その紹介映像を観て、さらに期待膨らむ男と島民。その準備の過程…見合いの時の話題、趣味趣向などをシュミレーションする姿が滑稽に描かれる。そして様々な誤解・勘違いも絡んだドタバタ騒動。そして見せ場である見合い当日を迎える。一方、都会から来た女性たちにも色々な事情があるようで、果たして集団見合いは成功するのか…。

    公演は、都会暮らしの女性の悩みや苦労を際立たせることで、島での暮らしの良さを引き出す。例えば過重労働で退社、引き籠りになった。シングルマザーとしての苦労など、都会に限らずありそうな現実を一人ひとりの生活の影として繋げる。そのネガティブ状況と島の温かな雰囲気、ポジティブな対比が巧み。同時に主人公の兄・妹にも変化が…。この悲喜交々が実に生き活きと描かれる。

    実際、島という閉鎖的と思われる土地で、行き違いがあれば気まずい思いを引き摺りそうである。しかし、この島の人達はみな優しく温かい。島が一つの家族であり助け助けられという相互扶助が見えてくる。しがらみと閉鎖性というネガティブなことを連想しがちだが、ここでは真逆の「しがらみ」⇔「親和性=家族的」、「閉鎖性」⇔「受容性」としてポジティブに描いている。都会…東京砂漠・隣人何する人などという言葉は無縁である。娯楽施設や大型スーパー等は考え難いが、それでも島の良さが溢れている。そんな島に嫁が…。1人で島民になる不安が集団見合いで解消されるか。そんなところも見所だろう。

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2019/08/24 09:58

    1

    0

このページのQRコードです。

拡大