人形の家 Part2 公演情報 パルコ・プロデュース「人形の家 Part2」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    結婚、あるいはノラの家出をめぐる対話劇。かなり抽象的な議論といってもいい。
    山崎一演じる、夫が非常に良かった。

    ネタバレBOX

    抽象的な対話劇というのは、前半のノラとばあや、ノラと娘の会話はとくにそうで、結婚を否定するノラと、結婚を肯定しノラの夫と子を捨てた行為を非難する側との平行線の議論に終わる。

    最後、ノラと夫の対話劇になって、俄然、議論に血が通ってくる。山崎一のくたびれた中年男の風情と、ユーモアを醸す間合いが、得てして言葉だけになりがちな議論に肉体を与えてくれる。
    元になったイプセン作との大きな違いは、夫が、変わろうと努力する人間になっていること。
    最後にノラは「離婚なんてどうでもいい」と言い出す。これはなぜかがポイントなのだが、はっきりとは示されていない。
    ただ「さあ、準備は出来た」と、ノラは扉を開けて出て行き「再出発」する。
    19世紀のノラそのままでは、現代には通用しない。ノラが自分のしたこと、他者の思いにも十分心を配った上で、21世紀の現代に女性の自立を求めて出ていく、その準備が出来た再出発なのだと思った。

    ノラは流行作家になって経済的心配はない。一緒に見た妻は「いま女性が一人で経済的心配がないなんて、レアケース。非正規の働きでは本当に大変。野良も経済的に困難な状況にあって、もう一回家に来たほうが良かったと思う」と言っていた。ただ、それでは対等な議論ができないのではないか、ノラの「私がこうなったのはあんたたちのせいよ」という恨み節になるのではないかという心配はある。

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    2019/08/24 09:07

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