月ノツカイ 公演情報 劇団だるま座「月ノツカイ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    死が身近だからこそ、生が輝き、人々の喜怒哀楽もストレートに現れる。いい舞台だった。北海道の架空の炭鉱町コトロが舞台。由里子と健司の若い夫婦が住む、炭住の一部屋で、1973年の炭鉱夫たちの汗と涙とホコリが立ち上がる。

    そして20年後の同じ部屋に住む由里子と娘。二つの時空が交錯しながら、次第に、73年の出来事、東京の学生運動で起きた事故、さらにさかのぼって、健司と由里子の生い立ちの秘密が明らかになる。

    「一山一家」という言葉が出てくるように、危険と隣り合わせの炭鉱夫たちは、情に厚くて皆が助け合って生きている。陰のある由里子役の坂東七笑、炭坑夫のまとめ役の剣持直明、謎の老炭鉱夫のすだあきらがよかった。

    ネタバレBOX

    突然起きた事故。坑内に遺された13人の生死不明だが、発生から3日もたって、坑内の火災の消火のため、注水するかどうかの選択を問われる。この設定から81年の北炭夕張事故を思い起こした。作・演出の増澤ノゾムさんも、この事故を札幌にいた中学生の時にニュースで見て印象が強いそうだ。そこからモチーフを得たとのこと。

    由里子の部屋に、鉱山会社の社員の横塚、学生運動の元の仲間、炭鉱夫たちが、次々出入りしては、ドラマを進める。とくに、横塚が些細な用事のたびに「書類にハンコをもらうのを忘れて」と、由里子目当てで来るのだが、その伏線が、クライマックスの苦渋の選択につながる。

    留守電の小道具も生きている。「小道具は3回使え」という津上忠さんの口癖そのままだった。

    0

    2019/08/24 13:39

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大