満足度★★★★
死が身近だからこそ、生が輝き、人々の喜怒哀楽もストレートに現れる。いい舞台だった。北海道の架空の炭鉱町コトロが舞台。由里子と健司の若い夫婦が住む、炭住の一部屋で、1973年の炭鉱夫たちの汗と涙とホコリが立ち上がる。
そして20年後の同じ部屋に住む由里子と娘。二つの時空が交錯しながら、次第に、73年の出来事、東京の学生運動で起きた事故、さらにさかのぼって、健司と由里子の生い立ちの秘密が明らかになる。
「一山一家」という言葉が出てくるように、危険と隣り合わせの炭鉱夫たちは、情に厚くて皆が助け合って生きている。陰のある由里子役の坂東七笑、炭坑夫のまとめ役の剣持直明、謎の老炭鉱夫のすだあきらがよかった。