
アルマゲドンの夢
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2020/11/15 (日) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/11/15 (日) 14:00
日本の訳書では「世界最終戦争の夢」、オペラでは「アルマゲドンの夢」うまい使い分けだと思う。(この機に及んで、「アルマゲドンの夢」に直して増刷しないところがよい)
前者のタイトルでないとウェルズ読者は納得しないであろうし、後者のようにしないとオペラファンは食指が伸びないであろう。
世界初公演の初日、まさにまさにの世界初公開。どんな舞台も初日は緊張するのだろうけれど、オペラ新作の世界初演の日というのは、関係者にとってどんな日なのだろう。この日を迎えられたのは私個人にとっても天恵。そう表現するに見合う作品、というか、私のテイストにずばり嵌った。その快感。
演劇を頻繁に観ている者でも、オペラだ、バレエだ、歌舞伎だ、人形浄瑠璃だ、となると、その敷居がどうも気になるのだけれど、新作においてはその敷居自体を感じないことが多く、各表現の枠組みは守られているものの、格式に気圧されるようなことがなく、比較的ストレートに受け入れられるものだ。その典型がここにある。歌曲は人物表現であり、物語の道しるべであり、目に見えない舞台装置で、1時間半を突き抜けていった。
それはスピード感とは異なる、じわりじわりとした得体のない圧迫感の通底で、それを登場人物たちの舞台衣装と配置、動きで、私の神経を蝕むように刺激する。
恐怖のない恐怖(だって夢だから)、しかし確かに存在する恐怖がそこにあり、少しずつ少しずつその渦中に心を引きずり混んでいく。ベラが殺され、クーパーが死んだ時、物語は反転し、世界戦争は夢から現実になり、むしろほっとした解放感まで味わった。
さすがコロナ禍の今、ブラボーの掛け声もなく、熱狂とは言えない終幕に、むしろこの作品の価値を見た。ステロタイプの拍手喝采もなく、そうだよな大騒ぎしないよな、というような雰囲気にむしろほっとする、不気味なオペラだった。
ベラの半身のような役柄インスペクターを演じる加納悦子の存在感がよい。悪魔譚かと思わせるジョンソンや冷笑者の登場。一縷の清冽な子供の歌声の不気味さ。そして、白い仮面と甲鎧をまとった兵士たちの圧巻、迫りくる戦渦の喧騒。繊細さと絢爛さ両立の舞台は見事。

「女がつらいよ」「パンダが降る日」
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2020/12/02 (水) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/12/13 (日) 18:00
『パンダが降る日』を観た。2017年に初演された作品を改作しての再演だが、初演は観てない。ただただシンプルに面白かった。
劇団の主宰のトモが恋人を振り切って稽古に行くと、遅れて来たヒロから、外はカナブンがいっぱい飛んでると言われる。稽古と言うのでもなくグダグダして、外と連絡を取ると、魚が空から降って来たり、奇妙なパンダが人間を喰っていると言われ、そのうちに外と連絡が取れなくなる…、という物語。奇妙な話だが、妙な説得力がある一方で、グダグダ話が妙にリアルで笑いながら観ていて、やや切ないエンディングを迎える。MCRらしいと言えば、そんな作品だが、何かが残るというわけではない、感触系の芝居だった。今の時代には合ってるような気がした。

ブカブカジョーシブカジョーシ
オフィスコットーネ
小劇場B1(東京都)
2020/11/12 (木) ~ 2020/12/10 (木)公演終了
満足度★★★★
コメントしていなかった。
配信期間が長かったので何週間か空けて二度目を視聴したが、中盤を随分忘れていた、というより一度目は途中半分程見ていなかった(「少し意識が飛んだ」自覚はあったがこれほど長かったとは)。
会社人間である課長(高田恵篤)と、扱いにくい神経質な部下(野坂弘)のコミュニケーション齟齬から破滅的な結末へ至る話。上司が幻影を見ているのか、実は部下の幻覚なのか、それとも現実なのか・・不分明だが、見終えた時課長にとって会社、人生とは何か、彼は何に納得して生きている(きた)のか、問いが残る。現代ではこういう「会社人間」的存在はシーラカンスであるかも知れないが、吹く風になびいて人が右往左往する風景は会社という建物を出て広がっているかも知れない。
舞台は開帳場のような四角の台の奥に背中合わせのデスクが置かれているのみ。周囲は暗く、居て落ち着く場はない。他の登場人物は、課長演じる高田が部下の母を(部下の自宅)、部下を演じる野坂が課長の上司(部長・社長・専務3人セット)と、課長の妻(課長の自宅)を、コピー紙にマーカーで目鼻を描き殴ったような面を付けて演じる。常に狂気を帯びた部下は上司を翻弄する。部下の狂気がエスカレートするのか上司の精神が揺らいで風景が歪んで行くのか・・作者大竹野がどう書いたかは分からないが、最後に命果てた課長は「会社人生」の残骸に見える。
人が不安に見舞われる時、確かに「見たくない」光景が脳裏を掠めている。想像に過ぎないそれは得てして生々しく、ただしそれは殆ど意識されずただ怖気だけを残す。この芝居はその光景を描き出したようにも見える。だが作者的狙いは恐らく(庭劇団ペニノが以前作っていたという)深層心理の映像化、とは異なる感じ。部下は、標準的会社人間である上司を効果的に追い込む攻撃を繰り出すものの、それが確信犯であるのか逆なのかは、どちらとも読めるというサスペンスな作りになっている。そして二人のやり取りの中に社会批評が読み取れる、という構図になっていると思う。
部下が自宅で母とかわす会話には、彼が神経病みである線が強く滲むが(彼は今29歳で以前やっていた登山の仲間から電話で誘いがあったと伝え、健やかでスポーティだった息子に戻って欲しい願いを込めて誘いに応じる事を勧める)、他の場面=会社では上司側から見た部下が、確実に上司に打撃を加えようとして来ているように見える、
境界線上を行くような不条理劇が領分とも言える佃氏の演出は、激しく緩急がありかつ不気味に不安の漂う舞台を作っていた。

「女がつらいよ」「パンダが降る日」
MCR
OFF OFFシアター(東京都)
2020/12/02 (水) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
「女がつらいよ」を観劇。
MCRだな。冒頭からMCRの世界に引きずり込まれる。
そこから展開するおかしな話は、面白くて目が離せない。
切なさと笑いのミックスは、今年最後の観劇にぴったりでした。

エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜
劇団印象-indian elephant-
駅前劇場(東京都)
2020/12/09 (水) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2020/12/09 (水)
面白かった。それぞれの考え方主義が未来を変えている。変えていく。
それが正しいかどうかはさておき、ケストナーの想いを貫く気持ちとか、流れに乗り夢をかなえる友人たちとか…。
色々考える隙を残してくれてあり久々に演劇を観た!!って感じがしました。

エーリヒ・ケストナー〜消された名前〜
劇団印象-indian elephant-
駅前劇場(東京都)
2020/12/09 (水) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
劇団印象は初めて観劇しました。
また次回も観劇したいと思わせる内容でした。
劇団チョコレートケーキの古川さんとのアフタートークも興味深かったです。
事実の奴隷になるな、事実に対する尊敬は忘れるな的な名言も良かった。
(記憶力が悪いので違ったらすいません)
レニの「雪山を登った後に、雪が解けてから正しい道を示されても」
という台詞も好きでした。記憶力が良くなりたい。

プライベート・ジョーク
パラドックス定数
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2020/12/04 (金) ~ 2020/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/12/07 (月)
宇宙がみえた。まったく前知識なしに観劇。なるほど
なんかいやぁ、スゴイ。
5人であれだけの世界観が表現されているって思うと本当に。

プライベート・ジョーク
パラドックス定数
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2020/12/04 (金) ~ 2020/12/13 (日)公演終了

てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。 そのなかに、つまっている、いくつもの。 ことなった、世界。および、ひかりについて。
マームとジプシー
小金井宮地楽器ホール 大ホール(東京都)
2020/10/02 (金) ~ 2020/10/04 (日)公演終了

窓より外には移動式遊園地
マームとジプシー
LUMINE 0(東京都)
2020/12/08 (火) ~ 2020/12/13 (日)公演終了

23階の笑い
シス・カンパニー
世田谷パブリックシアター(東京都)
2020/12/05 (土) ~ 2020/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
第2場の最初、最若手で語り手のルーカス(瀬戸康史)が、間違って机でボヤを出し壁を黒焦げにしたら「こいつもイカれてる」と認定されて採用された、と語る。言われてみると、壁には黒々と、天井までの焦げ跡。1場ではなかったのに。私はここで笑いのスイッチが入って、それまでのストッパーが外れた。あとは舞台のコントに素直に笑い続けられて、最高だった。
なにより、みな芸達者。なかでも病気ノイローゼで遅刻常習犯のアイラ役(梶原善)が、本当に、ねじが外れてた。声量も他を圧するボリューム。ブライアン(鈴木浩介)との、コント合戦も笑えた。コメディアンのマックス(小手伸也)も、いかれぶりがハンパなかった。ジュリアス・シーザーのコントの練習が最高潮の一つ。ルーカスがブルータス役なのに、足が震えて、シーザー(マックス)に剣を向けることができず、マックスが「ブルータス、お前もか!」の決め台詞が言えないために、じれまくる場面は爆笑だった。唯一作家ではない秘書のヘレン(青木さやか)の一回だけの幕間のコントも良かったし、またいかれた放送作家たちにはかなわないずっこけぶりも良かった。
テレビの人気バラエティ番組を支えた構想作家たちのドタバタ、おかしな毎日を描く業界裏話なのだが、赤狩りが物語のなかで意外に強調されている。最初にマッカーシーによる英雄将軍も共産党員呼ばわりから始まり、スターリン死去もはさんで、マッカーシーへのけん責決議で終わる。彼らの作る番組がどんどん時代から取り残されていくところに、ただのドタバタではないペーソスが生れる。予算カットで7人の作家のうち、1人を首にするためのくじで「マックス」という名前が出てくるところは、大笑いしながらも、ぞの優しさがジンときた。ただ、マックスの凋落と赤狩りとは直接関係ない。
サイモンにのっとりながらも、今の日本の観客向けに脚色しているところが、成功のもう一つの要因だろう。翻訳臭さがなかった。三谷幸喜にとって「ヒトの本」だけど、三谷カラー全開で、楽しくやれたのではないか。

シバの町から
EVENT-STATION.
EVANS CASTLE HALL(奈良県)
2020/11/25 (水) ~ 2020/11/25 (水)公演終了
満足度★★★★
荘厳で歴史観溢れる公演を得意とされるEVENT-STATION.さんですが、今回の公演はゆる~い感じ。
えすらじでもコメントされてましたが、良い意味でくだらない(褒めてます)公演でした。
3人の女優さんが本気で精一杯全力でPowerUpおふざけで、わちゃわちゃ!愉しかった。

INDEPENDENT:20
INDEPENDENT
一心寺シアター倶楽(大阪府)
2020/11/19 (木) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
11/23 16:30ブロック観劇
h:巣山賢太郎
身体表現が凄い。ただ30分は少し長く感じた?
j:鳩川七海
女性の一生の英語劇。歌にダンスに鳩川さん凄すぎ!ただ全編英語って必要?
b:石畑達哉
コロナで狂った人生。焼そばに込めた想いが切ない。超~感動ものです。
f:佐々木ヤス子,大熊隆太郎
共存不可な2人の1(2)人劇、面白かった!

INDEPENDENT:20
INDEPENDENT
一心寺シアター倶楽(大阪府)
2020/11/19 (木) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
11/23 14:00ブロック観劇
c:犬養憲子
くいくがりは人に、ウチナンチューはナイチャーに…
沖縄の隠れた思いがズーンときた。
a:浅雛拓
記憶をなくした男の過去。役者はこれで幸せ?複雑な気持ち。
d:小川敦子
女優(他称)に成りたい。強い思いと悩みが伝わった
このブロック3作でしたが見応え有り

INDEPENDENT:20
INDEPENDENT
一心寺シアター倶楽(大阪府)
2020/11/19 (木) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
11/23 11:00ブロック観劇
t2:長尾淳史
地元を流離って…現代っ子らしい悩み!素直に応援したくなる。頑張れ!
t1:しおと、ひかり
親友の告白、横恋慕、恋と呵責の綱引き。空気感好き。
i:ドヰタイジ
御様御用·山田浅右衛門、無茶振り1人殺陣?!を完遂、凄!!!!超逸品!!!!
g:末次由樹
暖かな家族像と猟師の獣道、兄弟は…恐っ

slatstick 第3回公演「No Time」
スラステslatstick
ACT cafe(大阪府)
2020/11/19 (木) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
働きつつ作家活動続ける千晴と、海外で暮らす夏澄は、スラステのお2人の様に仲良い従姉妹同士。
千晴を突然訪ねる夏澄…
重力に負け続け、年を重ね。
それでも重力に勝つ事を夢見、希望を抱き続ける強い女性の姿が、微笑ましく、そして心強い感じで良かった。
現実は決して甘くないのは分かっている、でも背中を押す様な、元気貰えた。

クロンダイク・クーラー
演劇計画プラネットナンバー
イカロスの森(兵庫県)
2020/11/21 (土) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
酔潰れて終電逃した女を部屋に上げ、女の作るカクテルの為か、売れない作家の姉と彼氏の話を語りだす…
寂しさを埋める為、お互いに依存し合う人達。
人の弱さと優しさ、人生経験が滲み出てる感じ、引き込まれた。

こちょこちょ★Party
劇団☆kocho
豊中市立蛍池公民館 第2集会室(大阪府)
2020/11/21 (土) ~ 2020/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
■〈第一部〉笑う門には花が咲く
野の神カヤノが古の神々を巡る、古事記ファンタジー!
ミュージカル仕立でとても愉しく面白かった。
■〈第二部〉桜小町ミニコンサート&トーク
桜小町さんは初見でしたが可愛いお嬢さん達でした。
コロナ禍で活動大変ですが頑張って!
小学生から…そりゃ仲良い筈ですね。
ゲスト出演のチョコベリーさんは、一心寺以来、2度目の拝見。
歌も凄っ、上手っ、でした。

(A)銀河ってギャラクシー/(B)明日の世界の過ごし方
劇団ちゃうかちゃわん
大阪大学豊中キャンパス学生会館2階 大集会室(大阪府)
2020/11/20 (金) ~ 2020/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
『銀河ってギャラクシー』観劇
コロナ失業中の芸人、笑いの神、騙される純愛、謝金取り、そして貧乏人が300万円獲得に蠢く!
桜の笑い声、PayPay起動…等々
兎に角パワフルで、何より役者さん全員が楽しそう!
私達も観てて愉しかったが、役者さん裏方さんの方が公演を楽しんでるご様子。
公演がうてる悦び!良かった!

(A)銀河ってギャラクシー/(B)明日の世界の過ごし方
劇団ちゃうかちゃわん
大阪大学豊中キャンパス学生会館2階 大集会室(大阪府)
2020/11/20 (金) ~ 2020/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
『明日の世界の過ごし方』観劇
SF実行委員会の学祭の出し物「アポカリプス·ドリーム·ザ·ライド」それは世界を滅亡から救うVR
の筈が…
勇気と友情で4人はここから脱出できるのか?
久しぶりのちゃうかさん、愉しく拝見。
これが現実なら中々怖い話。
コロナ対策も万全。
面白かった。