別役実短篇集  わたしはあなたを待っていました 公演情報 燐光群「別役実短篇集 わたしはあなたを待っていました」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    「いかけしごむ」
     中央やや下手にベンチ。ベンチの背の奥に“ここに座らないで下さい”の張札を付けたスタンド。上手に運命鑑定の雪洞を付けたテーブル。その両側に椅子。占い台の奥辺りにどういう訳か電話機。板奥には階段。華5つ☆
     一応、誤解の無いように申し上げておくが、公演は2作品で1公演が基本形である。作品評を1作ずつ評価する為に、評者の判断でこのような形にしている。

    ネタバレBOX

     演出、演技。音響、照明、余計な物の一切無い舞台美術総てが有機的・無機的のアワイ(境界領域)を別役実の独特な論理癖の創造する言語空間と交感させ昇華させている。見事である。華5つ☆
    サングラスを掛けた女が入ってくる。階段を降りると「ここは、街で最も深い場所だ」と呟く。その深部にあっては、総てが見通せない。それが理由で運命鑑定の雪洞がついたテーブルが在るのだと説く。この占い台の横には命の電話がある。
     ベンチに座らないで下さいとの指示だと思われるベンチ奥の張紙は誰かが心理的な悪戯を仕掛けていると解釈、平気な顔をして腰掛け編み物を始める。直後、1人の男が階段を降りてくる。男は黒い鞄と黒い塵袋、傘を持っている。女は、男が立て看を立てたと決めつけ、隣に座ることを許可する。何となれば彼女は男が看板を立てた理由は、話しかける切っ掛けを掴む為だと強引に決めつけており、占い師として彼のプライバシーを暴き立てる。そして男の弁解をことごとく否定、女房にも逃げられ乳飲み子であった娘を絞め殺し風呂場で解体してその遺体を塵袋に詰めているのだと言い募る。男の言い分は異なる。塵袋の中身は烏賊なのだと主張する。彼はサラリーマンをする傍ら烏賊を用いた消しゴムを発明、特許を申請・取得しようとしているのだと主張する。然し、これを面白く思わない消しゴム業界はブルガリア暗殺集団に彼の抹殺を依頼。彼はその組織に追われているというのだ。女は袋の中身をぶちまける。出て来た物は? 結果、女は男に命の電話に電話を入れその指示に従うことを薦める。電話の答えは“死ね“であった。男は自首を勧められこの結界から出て行くが、直後刑事らしい男がこの場所に現れ女に尋ねる。「この辺りで男を見掛けなかったか?」と。何でも近くで男の遺体が発見されたのだが、奇妙にも男は塵袋を持っており、その中には生の烏賊が大量に入っていたと言うのだ。刑事が去った後、女は言う。男は烏賊を用いた消しゴムを作りブルガリア暗殺談に殺されたのだろうと。だが、彼女の見解は変わらない。実は彼女こそ彼の下を1年程前に離れた女であり、この結界内ではこの女の主張する論理もキチンと成立するのだと。
     

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    2021/06/29 23:41

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  •  注意書きが遅れて申し訳ありません。
                 ハンダラ 拝

    2021/06/30 02:25

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