満足度★★★
千両みかん/屋上庭園
面白い。「千両みかん」の方が楽しめたかな。
ネタバレBOX
「千両みかん」
若旦那がみかんが食べたくて病に罹り、安請け合いした番頭がなんとかみかんを売っている店を探すが、千両で買い取るハメになる。みかんを食べた若旦那から3房のみかんを受ける番頭は、自分の境遇を見つめ、みかんを持ったまま逐電する…。
枕も含めて、二人芝居での「千両みかん」を演じる。役を固定せず、途中途中で切り代わり、トントンと話が進む。身体パフォーマンス含めても面白い。
落語だと同時に複数の役は舞台上には存在しない(演じられている役以外の役は、客の想像で存在することになる)けども、今舞台は二人芝居なので同時に役が存在している。落語におけるそんな特徴を排した舞台であることに意義があったのかなと。そういう舞台のつくりってとこでは、その効果がよくわからなかった。
「屋上庭園」
とあるデパート?の屋上の庭園でばったり会った、旧友の並木(糸山和則)と三輪(沼田星麻)の両夫妻。裕福そうで人生順調そうな三輪と妻(毛利悟巳)に対して、見栄を張る並木。三輪の夕食の誘いも断った並木に、妻(榊菜津美)は優しくその身を案じる…。
ブロックに板を置いた舞台が屋上。すれ違うにも窮屈な板の上で微妙な人間の距離(並木妻の脇を通る三輪夫妻への仕草とか)を表現する。
両妻が買い物をしている中、屋上で会話をする並木と三輪の繊細な心の動きがいい。そして、三輪夫妻が帰ってからの並木夫妻の会話がさらにいい。「あなたの友達がどんどんいなくなる」と心配する妻を(板から下りて)同じ目線で抱きしめる並木。不安定な心(板)から開放されたように、並木の心に安心が生まれる。並木の卑屈さを癒す妻のやわらかい愛情が美しかった。
満足度★★★
正直に
飽きなかった。
ネタバレBOX
パーが降ってきて世界が終わるといううわさがあって、桂蔵(日暮玩具)と妻・和子(佐藤みゆき)は、チョキで対抗しようとしている。娘の正子(小野寺ずる)は、和子の友人のカリスマ美容師・真亜子(小園茉奈)の夫・峻(白川哲次)と不倫し、息子の直也(勢古尚行)はひきこもりでヴァーチャルな彼女・ゆらら(篠原彩)とシケこんでいる。おまけに、桂蔵の妹・さび子(墨井鯨子)は連日デモに参加し怪我してくる。
ウェディングスタイルで家族写真を撮ろうと提案するも、皆自分のことばかり。当日、桂蔵と和子は皆を待つかどうかをジャンケンで決めようとするが、チョキのあいこを笑顔で続ける…そしてパーが降りてきた時に、皆チョキを天に向ける…。
家族から舐められながらも家族を愛そうとする桂蔵、結婚式も挙げられずにアラフォーになって寂れた美容室を経営する和子、父への反抗から犯した峻との関係を終わらせる正子、ヴァーチャルな関係から現実の世界に戻った直也、それぞれが人生に対して自分に対して正直になった、終盤の清清しさ(とか開放感とか)がキモかなと思った。桂蔵と和子のジャンケンシーンが眩しくて、素直になった表情が美しかった(照明も眩しかったけど)。
狙いかどうかしらないけど、中盤までの鬱屈したような閉鎖感(世界の終わりだから当然だけど)が、ややダルイ(和子と真亜子のやりとりシーンは見ごたえあったけど)。パーが降りてくるって要素が、すんなり受け入れられるようだったら、色々見方が変わった気もする。
満足度★★★★
うそつき
面白い。
ネタバレBOX
港と砂漠のある小都市国家のはずれのガススタンド。顔に傷のあるギーコ(右手愛美)とおかし作りにせいを出すスランプ(笠井里美)と何かの研究をしているナイル(松下仁)の前に、板垣と名乗る男(渡邉圭介)がやってきて、ギーコに貸した金を返してとせまる…。
序盤のヒリヒリした空気が上手い。なんとなくしっくりくるもいかがわしい感じが上手い。
徐々に話が紐解かれていきつつ、ラストのギーコがエレファント(ナイルの作った人工物)だったという引っ掛けに繋がる。んで、板垣の心を探る面々。おまけにスランプがエレファントでしたというところで幕…ナチュラルに騙されて楽しかった。
戦争が身近にある近未来SFな設定と、舞台情報をきちんとコントロールしているとことで、世界の広がりを感じさせてくれる。セリフもキレてた。
満足度★★★★
美人な名前
面白い。100分。
ネタバレBOX
初演も観たけど、今回も面白かった。ストーリー知ってる分、ブスというかモテない女の性分が味わえた。
携帯の女(ヒロシから選ばれた女)が許せない文殊四郎(内山奈々)が、龍宮(二宮未来)を撲殺してからの演技がいい。ヒロシ以外の男から相手にされず見向きもされずな人生を送り、ヒロシに騙されてもヒロシに固執するサマの、狂気と悲哀が素敵。ブスの鑑だ。
ラスト、白鳥(石澤美和)を毒殺し、西園寺(異儀田夏葉)に好きだったと告白する譲羽(高野ゆらこ)と、死んだ面々のメイドファッションでのダンス。ヒロシと実は繋がってんじゃないかと疑う西園寺に絞殺される譲羽のシーンが、一際美しかった(角度のせいかな)。一見美しくない女心を最後まで描きながら、どこか親近感の湧く内面に価値がある舞台と思った。
満足度★★★
作文
面白い。
ネタバレBOX
山城(大森南朋)…教師。あかねと付き合う。
あかね(二階堂ふみ)…山城と付き合っていることを隠しつつ、久子らと仲良くする。
久子(趣里)…学校の会長の娘。山城のことが好き。
弥生(大西礼芳)…あかねと久子の友人。めがねっ子な板ばさみ。
リカコ(黒川芽以)…ファッションマッサージ。山城を客として応対する。
教頭(岩松了)…いろいろ頭を悩ますけど、飄々とした教頭。
教師と生徒の恋って材料を、不穏な空気とコミカルな空気で彩った作品。序盤のリカコの店のシーンに到達するまでを描く。ここのシーンがけっこう印象的で、舞台の人間くささを匂わせる。
ストレートな表現よりも、人間の生々しさとかもあっとした不安をじわじわ浸透させるような描き方。クセはあるが空気は感じる。そんな舞台。
二階堂や趣里の女生徒な女演技は良かった。岩松の演技は、舞台へのいい味付けだった。
満足度★★★★
R
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。前日案内メールもしっかりしてる。
ネタバレBOX
不思議さでランキング(マイノリティランキング)される不思議の国。かわいいを求めるアリス(川添美和)は、変貌を遂げた姉さんのネイサン(丸山翔)にビックリして、38年振りに起きてしまう。ランキング9位に位置するも、かわいいに番号は不要と一蹴。ランキング1位の女王(佐藤由紀子)に無礼を働き、キノコ(白鳥晴菜)を庇い、アリスは追われる身になるが、同時にかわいいを求める。再び、女王の前で審判にふされるアリスは、路上でリンゴを売る刑罰に処され、かつ老いてかわいくなくなり、惨めのどん底に落ちる。そこにネイサンや他のかわいい仲間がやってきて、かわいいに溢れたダンスに興じる…。
独特なかわいいに価値を置くアリスとか、立つことに価値を置くルールー(山口清裕)やドードー(根来武志)とか、ネイサンとか、マイノリティな価値観を持った面々の、自己自立闘争的舞台。実際変革とかにはならないけど、ラストの笑顔なダンスシーンは良かった。立つってことにプライドを持つルールーらのように、ただそこに存在することの価値を見出しているものたちの賛歌というか、そんなパワーが見もの。
話的には、女王らとマイノリティらとの格差がもっと鮮明になると、メリハリもつくかなと思ったけど。ひねったようで、ストレートなスタイルは良かった。
(衣装が)セクシー、かつ(性格が)粗野っぽいアリスは、そのバランス感覚がいい。かわいい者たちの中心にもっと位置づけてもよかったけど、いい役だった。ネイサンとの終盤のシーンとか、王道らしく盛り上げても良かったとも思った。
女王のランキングは嫌いランキングでしたってネタもいいけど、かわいいたちだけでなく、こっちもランキングの価値が低いという認識でいるので、ちょっとピンとこない。マイノリティ側の描き方に負けないくらいの描写が、王族サイドにも欲しかった。
中盤、ダレたとこもあったけど、テーマとか終盤の展開とか好みだったのか、楽しめた。
満足度★★★★
算術
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
女生徒(蔭山ひさ枝)が先生(大石宣広)の家に授業を受けにやってくる。すべての博士号を三週間で取得したいとのたまう女生徒に、足し算の問題をだす先生。次に引き算の問題を出すが、女生徒はてんでできない。のくせ、すべての掛け算を暗記しているという。ヒートアップしていく先生は、言語学の授業を始める。メイド(太田夏子)にやめとけと言われても授業を始める先生は、女生徒が歯が痛いというのもお構いなしに、バンバン教授をしつづける。そして、女生徒をナイフで刺殺してしまう。メイドがまたですかと呆れたように告げ、二人で死体を片付け、そしてまたインターホンが鳴る…。
約60分の三人芝居。シンプルながらも妙な面白さが詰まってた。
フランスなんだけど和服な衣装、能のような動き、博士号を目指すといい足し算引き算の問題、そして、言語学の授業からの先生の暴走。妙な塩梅が気に入った。
言語学のシーンの蔭山の困った感と恐怖感が上手かった。大石は目つきも変わったらなお良かった。しゃべりはとても達者だったし。出番は少ないが要所要所で出てきて、平然とした空気を醸す太田もいい。
足し算引き算のくだりの、すべての物事は足し算引き算だといわんばかりのセリフが気に入った。よくわからんが、シンプルな哲学を感じた。
あと、女生徒がインターホンを押してメイドが応対するシーンが美しかった。
満足度★★★
ライトなファミリー
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
三男・ウィルバー(野村侑志)と四男・オービル(ひら凌一)が、どっちが動力付飛行機の初飛行者になるかで揉める。末妹・キャサリン(西岡裕子)が見守る中、過去回想をはじめるが…。
回想シーンがとびとびで展開されるためか、なんとなく集中力が続かない。笑えるとこも何個もあるけど、それもブツ切れになっちゃう印象。
終盤のキャサリンの名づけエピソード(名前をつけるのは大切だから)は良かったし、病死した母・キャサリン(向田倫子)と長男次男の結婚エピソードも良かった。家族愛なものが支柱にあって形作られる作品は好みだし、ここらの演技良かった。ピリッとしたとこもあって甘ったるくない。
コインのイカサマをしたウィルバーが「家族だからいつでも仲直りできる」ってセリフは、ブラックな印象を受けた。もっとブラックな感触でもいいけど。あと、オービルへの嫉妬吐露シーンとかも。
母や父のエピソードをもっと盛ってくれたら(家族話にもっと寄ってくれたら)なお良かった。
お絵かき演出自体悪くない。なかなか凝ってるなと思った。
演技も概ね良かった。声が大きいなと思った。次男・ローリンを演じた近藤貴久は、バッチリはまってた。
満足度★★★
女たち
面白い。
ネタバレBOX
「彼女たち」(黒川陽子)
今年結婚するという客(長瀬みなみ)と美容師(佐々木なふみ)の彼氏が同一人物であると分かり、「彼女」としての意地がぶつかりあう…。
傍からみれば、慶応ボーイな彼に二股かけられた女二人の嘘つき合戦。だけど、当事者の彼女らには負けられない戦い。ある意味瀬戸際な彼女らの狂騒が楽しい。年齢がもっと上の設定だったら、もっとダークで血をみる作品になったのかなと想像する。
「Compassion」(オノマリコ)
来るか来ないか判然しない女を待つ男(菅野貴夫)に、1000円でどうと近寄る売春婦な女(阿波屋鮎美)。おまえは誰なんだという男に、女は10,000円で自分の情報を売るという…。
イラつく男としれっとした女の会話が楽しい。体より自己に価値をおく女の設定が面白い。男が、女に切り込んでから話が動く。ふられて相手を殺したという女の悲しさに、男の不安が重なったのか、二人の距離が近づく。そして離れていくサマがいい。中盤ややダレたので10分くらい短くてよかったかも。実直そうな男と、男を自分のペースで動かそうとする女を、両役者が好演してた。
「バースディ」(モスクワカヌ)
夫のバースディを祝うため、ケーキを作る女(直江里美)と、夫の浮気相手の女でイタズラ電話をかける女の話…。
「彼女たち」にような女と女の戦いか。ただ、趣はかなり違う。場所を隔てた戦いを、その場で言い合っているような手法が面白い。
「親指姫」(坂本鈴)
メール代筆屋「親指姫」の佐藤(河南由良)と佐藤の彼氏で同じく代筆屋「こゆび侍」の中島(木内コギト)のメール合戦…。
コメディテイスト。漫画チックというのか。キャラづけや振り、設定がコミカルで笑える。有栖川(菅野)のキャラがベタだけども笑ってしまう。
メールとかラインとかが生活の一部になっている現代を皮肉ったような作品で、踊らされまくる登場人物が滑稽にもみえる。代筆屋である二人も、一方は小説から一方はギャルゲーからの「経験」でメールを打つという、実態のないところに存在しているワケだけど、ラスト実際に対面するという展開がいい。笑えるけど、なかなかピリっとした作品だった。
満足度★★★★
俺の世界
面白い。井上製紙のチケットもいい感じ。
ネタバレBOX
井上(玉置玲央)が社長の井上製紙の会議室。集められたバイトらに、同僚の女が死んだから自白遺書書いて死ぬ人間を選べと、社長が告げる…。
井上の幼馴染である日高(山崎彬)以外は、出所してきた面々。そんなバイトらを人間扱いしない社長に、バイトらはビクビク。トイレを禁止された村田(岡田あがさ)は失禁し、社長の愛人的同僚の女のことが好きだと舐めた態度の百日(村上誠基)は、首元噛みつかれる。
女が持ってたICレコーダーを再生し、犯人役を買って出る日高。そして、女が日高をすきだったこと、日高が井上の母の死に関わっていたこと、社長が女の手首を切って食べようとしてたこと、その手首を日高が食べたこと、日高の記憶障害が嘘だったことを、棺おけのような舞台の中、ぶつけ合う二人。そして、日高は井上を殺し手首を奪う…。
キレた社長を玉置が好演。もっと暴力的でも爬虫類的でもいいけど。OPのあの笑みは気色悪くてよかった。
もう一人のキーマンである、日高を演じた山崎も、朴訥な雰囲気がうまい。終盤は、井上を飲み込むくらいの狂気が観たかった。
舞台には登場しない女に対して、皆(社長含め)なんらかの気持ちを持っててとこと、井上と日高の特別な関係ってとこが、終盤のシーンで爆発する構成。中盤まで大人しい日高が、どう牙を剥くのかに注目しとけばよかったと思った。「俺の世界」だと言い切る社長とか手首カットとかいい素材だけど、欲をいえばヌメリが欲しかった。つながりがテーマという話もあったけど、そのつながりから出るヌメリが。
演技も達者でテンポよくて面白い、集中できる110分だった。その反面もう一声とも思った。
音楽良かった。村上の笑いを引き出すテク?がやはり上手い。
満足度★★★★
月のブランコ
「女生徒」未読。面白い。
ネタバレBOX
みすずちゃん(藤澤志帆)の一日。
朝起きて低血圧なみすずちゃんは、どっか行こうとして会社に出て仕事して、先輩のクラモト(蔵本康文)からはフラれて、お姉ちゃん(赤松直美)と一緒に家帰って、伸ちゃん(美斉津恵友)から昔思い出して、そして寝る。明日が来ると信じて…。
女生徒読んでないけど、それの現代版な作品かな。妄想ってのがキーなんだろうけど、けっこうリアリストなみすずちゃんだなと思った。20歳くらいの(まだ少女性の残るような)OLで、観察好き自分を見つめるのが好きってゆう。
それでいて、内省的なテンションになりがちなところを吹き飛ばすようなエンタメな見せ方と展開が上手い。演じた藤澤の明るい表情が舞台を照らすようでもある。飽きずに90分見られた。美術館とかロンバケは大いに笑った。
楽曲の使用もツボを抑えたようでよかった。お星様的な美術とか照明具合も○。半月のブランコとか、動物のスツールとか、かわゆい。みすずちゃんを中心にやわらかくて、あたたかで、ちょっと元気になれる舞台だった。くすぐられた。
満足度★★★★
ダイスケ
面白い。
ネタバレBOX
バレーのコーチと教え子が結婚し、ダンナが精神的に弱ったのを切欠に田舎に移った夫婦。庭師と浮気する妻にへいい出せない夫の前に、この家の精霊が現れる…。
基本笑える。上手いなと思った。飽きさせない笑いというのか。若干くどいと思うとこもあるけど、あんまり気にならない。平日夜に最適。吉田麻生の「縁側が生まれる」は最高に笑えた。あと、ツッぱってる山口奈緒子の演技も妙に笑える。コミカルさと、下品になりすぎないバランス感が、いい笑いを生み出してた。
ストーリーは、夫が妻に子を作ろうと伝えて、夫婦も精霊も満足ってラスト。妻が浮気してたって忘れるくらいに笑えてたから、あっさりストーリーでよかった。
公演ラストの、小林健一一人コメディは、結構な時間をかけてなかなか面白い。ファンサービスな時間にも思えるけど、見ごたえあった。
満足度★★★★★
職場にて
面白い。当日パンフ挨拶文もいい。
ネタバレBOX
秋元(金子岳憲)…新婚だけど高橋が好き。佐々木を絞め殺す。
神埼(松本まりか)…部長が嫌い。小松課長と不倫する。うそつき。
田ノ浦(岡部たかし)…離婚したので給料upを望んでる。一番リーマンっぽい。
佐々木(松澤匠)…総務から異動。高橋の元彼。けっこうDVっぽい。仕事に命をかける男。
添島(白石直也)…高橋の彼氏。佐々木より優しいけど、暴力的な男。
高橋(吉田彩乃)…ナチュラルに病んでる系。
部長(石橋けい)…仕事を優先し、職場にいらないものを排除しようとする。専務と不倫してたっぽい。
小松課長(鈴木浩介)…部長の腰ぎんちゃくな男。けっこうリアルか。
専務(岩谷健司)…客観的に、色々理解のある男。
「効率」を優先する職場で、水面下の「恋愛」感情が交錯しては笑いのおこる快作。職場独特の微妙な人間関係のもつ空気を醸して、時にピリっとさせてもくれる。金子とか岡部はここんとこ上手い。みんなナチュラルに上手かった。
んで、添島が不慮の事故で死んで、混乱する高橋をよそに、平穏を保とうとする面々。しまいに、佐々木も死んで、死体が二つ床に転がる。それでも高橋へ見た目いやらしく接する秋元とか、仕事が優先だと言い切る部長とか、こえーってなる。なんか監獄的な。職場って監獄だったのかとね。
死体が専務にバレて、心が折れそうになる部長は、専務にここで抱いてとせがみ、デスクでSEXをはじめる。面食らう課長をよそにラストまで行き着く二人の声が響く…。
SEXしながら課長に電話出てって指示する部長は仕事人なのか。ATで、部長の不倫経験と神埼への同視、仕事一筋の姿勢についての言及があったけど、なるほどと。地味ながら面白いポジションだったなと思った。あと、震災後も普通に会社へ行ってた一般の人らも部長のようだってコメントもなるほどと思った。
恋愛も仕事も自分のためにしかやらんものだから。
満足度★★★
砂場に残したチックタック
ちょっと群像劇過ぎた気がする。
ネタバレBOX
光の差し込まない村のランプ磨き大会で一番になったドリ(塙育大)はランプ職人になって、村に光を届ける灯台守になりたかったが、ペン博士(林里容)からのランプ磨きの言いつけを守らずにいた。ドリの友人で笛で世界を救いたいタボ(畑雅之)と、ミスランプになれなかった風子(戸泉真衣)の船出を新しい光で照らすドリだったが、自分の光を見つけられず、次第に酒びたりになり、灯台守の評判も落ちていく。博士の過去の話(好きな女性との別れと死、その子供であるよし子の夢)の話を聞いて、再度自分の光を探し、夢を追い始める…。
転換が多いせいか、集中力が続かなかった。ドリの夢って柱をくっきり描いて中心に据えてほしかった。話の中心にはあったけど、腰がすわってないような感触だった。で、ドリと繋がっている人々が更にドリの存在を押し上げるって構成だと、見やすいと思った。
ランプって素材はいいし、世界観的にもファンタジーで暖かなのは良い。照明的にもそこらへんのファンタジーさや温かさの表現がほしかった。
満足度★★★★★
天国からのビデオレター
面白い。75分。
ネタバレBOX
龍人(はしいくみ)…亡くなったひばりに会いたい、チン毛の生えてる5歳。
留美(よこえとも子)…サザエさんヘアーな弁当屋。ひばりの妹。龍人の子を身篭りたいと思っているため、龍人の性成長を促すナニかを食事に仕込んでいる。
かな(星原むつみ)…近所の中学生。ショタコン。龍人を狙う。少年をレイプし殺害する殺人鬼。父にいたずらされてた。
篤子(久保明美)…ひばりの友人。飼ってた犬が死んで、代わりに龍人を飼おうとする。いい匂い。
ひばり(鈴木潤子)…龍人の母。天国からビデオレターを送り、龍人をこっちにこいと誘う。人を殺すなどのチカラがある。龍人に父に居所(宇都宮)を教える。
5歳の誕生日。母に会いたいと願った龍人にビデオレターが届く。バルスのシーンを皆で再現することで、天国と現世が繋がって龍人を天国に連れようとする母。次々に死んでいく留美、かな、篤子。そして、誕生日ケーキのシーンに戻る。3人のドス黒さを知った龍人は、かなと篤子を追い出し、留美から宇都宮の位置を聞いてお礼を言って駆け出す…。
3人の女が5歳児を狙うってシンプルでダークで笑える要素が上手い。んで、感動ファンタジー的な天国からのビデオレターが届き、感動的なBGMが流れ出してからがまた、上手い。ビデオのひばりの表情とか笑うセールスマンなジェスチャーとか、龍人らのリアクションもいい。前半の伏線から一段階上に引き上げた舞台にしている手腕がいい。照明や音響も○。
ひばりの表情がアレだから、ホラーにも見えるが、実際は母が息子を守った感動話なのか。あのまま行けば、レイプされて殺されるか、犬な生活を強いられるかな男児に、常人以上の生きる活力を与えたという。ハートフルな話をハートフルな話に見せないところに魅力があった舞台だった。
3人の女性に狙われる男児をはしいくみが好演。アホ演技も良かった。「後ろ毛見てほしかった」は笑った。あと「バルス」シーンも良かった。
満足度★★★★
トマホーク
面白い。120分。
ネタバレBOX
ヌル(長井短)…女子高生。とり人間コンテストに出たい。オダヤマに体育館裏でヤラレタ。
マサオ(森崎健吾)…ヌルの兄。ヌルに乳首をなめられて、ヌルじゃないと勃起しない。終盤でヌルを犯す。
サブロウ(野沢ハモン)…ヌルの父。妻が沼で死んで、沼の存続を願う。
冬子(力徳朋)…根暗な女子高生。ヌルと相撲をとって、ちょっと打ち解ける。
カスミ(菊川朝子)…冬子の母。姉のサクラを殺したキジマの罪を問う。
スミレ(堂本佳世)…カスミの妹。サクラ死亡後、離れていたがオーストラリアの鳥の顔がキジマに似てて舞い戻る。キジマを恨む。
トマ子(日高ボブ美)…ロンスカでパワフルな女子高生。なんだかんだいって物事に一番理解がある。
キミドリ(津和野諒)…ムコウジマらの友人。マサオが好き。ツッコミが冴えてた。
ムコウジマ(糸山和則)…成績優秀な高校生。勉強だけでなく筋肉質で飛んだり跳ねたり。
オダヤマ(野田慈伸)…粗野っぽい高校生。
キジマ(成瀬正太郎)…ヌルらの教師。元苛められっこで、サクラを殺し首を切断する。
カイバラ(渡邉晋)…用務員。ブルマの収集に励む。
片親、セックス、いじめ、ひきこもりなど、思春期っぽい材料がぶっこまれた作品。歌とか、派手めなアクションとか、かなり強引な作品運びで、ストーリー的なうんぬんは掴みにくいが、潔いパワフルさがいい。描き方が十分かはわからないけど、群像劇的な意味で、各人のエピソードの絡まり方やバランスは良いと思う。
下ネタが多いが、笑える箇所も多いのもいい。20分くらい短めにしてさらに加速度上げた舞台だどなお良かった。独白なとこはカットでも良い気もするし。ヌルが終盤でトリになって産卵するシーンは、折角の見せ場?なのに、落ちた卵が見えにくいのが残念。
満足度★★★★★
相対性理論
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
絵画教室の先生と妻(李そじん)と娘が二人(井上みなみ・小瀧万梨子)のとこに先生の弟(亀山浩史)がやってきて、先生が死んだと告げる。そして弟は先生と呼ばれ「家族」となっていく…。
衣装や装置、照明をみて、ふわふわしたテイストかななんて想像してたら違った。相対性理論の音に乗せて、手を合わせるゲームが始まって、スクワットやって、かわいい振り付けで踊って、壁押して、汗だくになって…。
かわいさの丸っこさの中に、硬いものが入ってるような、スマートな見た目で中身ゴツいような、ヘンテコで妙な舞台であったけど、とても気に入った。愛らしい40分。
YOUTUBE「いないかもしれない動ver」を観たけど、面白そうだった。
満足度★★★
死に方
面白い。「カラカラ天気~」のほうが好み。休憩10分の120分。
ネタバレBOX
「小さな家と五人の紳士」
ダンボールに座ると気持ちいいとか話してる5人の前に、「母」を鎖に繋いだ女性がやってくる…。
なんか観念的。自分が他者をおもうことと、他者が自分を思うことのギャップとかそんなのかな。つまんなくないけど、いまいちピンとこなかった。
「カラカラ天気と五人の紳士」
棺おけが当たった男らの中で、死ぬことになった男を電柱に登らせ、死なそうとするも男は死なずにいるところへ、女性が二人やってきて、虫干しだといって化粧品等を並べはじめ、これから死ぬという…。
電柱のくだりからして面白い。話的にも、演技的にも良かった。女性が加わってからも面白い。いい感じにぶっ飛んでた。セリフがキレてていい。
平良の声の調子がすき。他の俳優も声の感じに特徴があって良かった。日高望は、前回観た「受付」の女役も良かったように、不条理劇の意味悪さを体現するような演技が上手い。
満足度★★★★
クロスワード
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
組長が殺された時に情事にいそしんでいた、組長の妻・亜希(千葉雅子)と下っ端の伴(土田英生)は、組から追われ数十年、田舎のアパートの一室に身を潜めている。亜希は居酒屋を経営し、伴は外出しちゃ見つかるからとクロスワードが趣味のヒモ生活。クロスワード雑誌の最新号を買ってこなかったといって亜希をなじり、当時に関係をもったことを責める伴は、亜希に不満をぶつける。謝る亜希は誘惑にかかるが、伴は気味悪がるばかり。伴は、亜希の店の女子大生に入れ込み、今の亜希のことを妻ともみず、脱出時の服装も忘れてしまっていた。亜希が仕事に出て行った後、インターホンが鳴り、銃声が響く。翌朝、誰もいない部屋にクロスワード雑誌とせんべいを持った亜希が戻ってくる…。
頭が悪く度胸もなさそうな伴のキャラがいい。序盤から自然にガンガン笑わせてくれる。
んで、元々お嬢様っぽい亜希がヤクザ組長の妻になり(逆プリンセス美智子か)、異常な世界に嫌気がさし、伴との関係を楽しんでいたことを回想するシーン。それでも、伴は何も感じず、亜希の心は冷めていく。そして、伴にとっての私はなんなの、この数十年はなんだったのと静かに見つめる。
亜希がS(当時の若頭)といつからつながっていたのかは明確じゃないけど、伴の居所を教える引き金になった「女心」の表現が、ひねてなくていい(女心自体はひねてるかもしれないけど)。表面上リアリスティックな亜希も、内面の少女性の発露がかわいくもあり、グロテスクでもある。女子大生の話をしてテンションのあがる伴を前に、内心がどんどん黒くなっていったんだろうなと想像する怖さがある。
そして、伴が死んだと思われる翌朝、伴が買ってきてと頼んだと思われる品を持って帰ってくる。これが女心なのか。
本もいいし演技もいい、良質な二人芝居だった。60分程度。
満足度★★★★
B
いい作品だけど、中央机にも客席つくると普通に邪魔でしょ。
ネタバレBOX
「取引にあらず」
又蔵(宮崎雄真)が主人のタバコ屋に若い男(野口卓磨)がやってきて、手持ちがないから尺八を担保に売ってとせがむ。その後に老紳士(蓮根わたる)がきて、その尺八が値打ち物であり、300万出してでも買い取りたいとせがむ。又蔵が中間に入って男から100万で譲ってもらい、老紳士に高く売ってやろうとほくそ笑むが、二人はグルだったと分かる…。
又蔵のアッパーテンションと冷めた妻(でく田ともみ)と娘(土屋咲登子)らの対比がいい。転換を利用した詐欺師二人のアッパーなダンス(とパニる又蔵ら)も○。そして、島岡は学生には見えない。
「ヂアロオグ・ブランタニエ」
とある男に好意を寄せるセーラー服な由美子(小宮一葉)と奈緒子(遠藤留奈)。女心が衝突してしぼんで爆発し、ハイテンションで着替えて外に飛び出す…。
男が別の女とくっ付いたら死ぬという由美子と、逆に男を殺すという奈緒子の違いがいい。実際は男は由美子を選んでいるワケで、それでも自信なさげな由美子が一見いじらしく、虚勢を張る奈緒子も乙女心全開の作品。女の子らしくかしらないけども、突っ切った先に弾けた表情で着替える演出が気に入った。表情豊かで動きの軽快な遠藤がかわいい。
「ここに弟あり」
音大出の洪次郎(後藤剛範)と同棲する紅子(安川まり)の家に、洪次郎の兄・基一郎(兼田利明)がやってくる。同棲の相談もなく、どこの女かも知らず、親からは反対されているという現状に心配する基一郎は、紅子に一旦家へ戻るよう説得し、自分がケツを持つと約束する。よく話を知らない洪次郎は、感情的に出てけと兄に言い放ち、兄は出て行く。誤解だったと知り、また紅子に金を渡した兄の真意を知った洪次郎は、ピアノを弾き鳴らす…。
親の心子知らずな作品。そして、弟からしてみればコンプレックスな兄への微妙な心を描く作品。後悔にくれる洪次郎もいいが、兼田の兄演技が抜群にいい。ずっとずっと弟と想って想ってきて、弟から誤解され疎まれても、それでも想う兄の姿がかっこよくて眩しすぎる。
90分。