満足度★★★★
面白かった!
現代日本云々とは思いませんでしたが、素直に面白かったです。
ネタバレBOX
冬の午後、山田さんの家に大ガラスを運ぼうとする三人の話。
山田種子は子役だった三条はるみで、大人になってからはAV女優の三条るみということで、ココらへんのごちゃごちゃさ、三つ巴の貸し借りの面白さ、見えないガラスに対して冬なのに冷やし中華の現物を撒き散らしたり、勝手口はあるものの玄関がなかったり、あっけないことで割れるなどの不条理さを楽しむことができました。三条とは後藤の半分なのでしょうか。
割れる前の大ガラスの長さは一定のはずなので、役者間の距離は極力一定を保つようにしてほしいと思いました。寒いと言いながら汗をかいているのも少し気にはなりました。
そして、30年も前の作品で今更ですが、大鴉は鼻濁音、大ガラスは濁音で、ダジャレとしては完璧ではないということだけは作家さんに言っておきたいと思います。
満足度★★★
宇宙空間が見える
ざっくばらんな軽妙さが、ちょっとわざとらしく感じました。
ネタバレBOX
宇宙空間の巨大構造物で暮らす人類の話。回転する洗濯槽の内側に住んでいるようなイメージ。
政府は居住環境を守るため、エリート以外にはあまり知恵を付けさせない政策と密告による監視制度を採用しているようです。先進的女性社長はロケットを飛ばしたいと願い、地下を掘り進み、とりあえず最後の壁にまで辿り着いて、宇宙空間に夢を馳せるところで終了。
洗濯槽という例えは素晴らしかったのですが、それ故に空は中心方向、宇宙空間は足の下ということが分かってしまい、先の展開が読めてしまいました。
満足度★★★★
【宮殿のモンスター】 観劇
私たち四人で全てを表現している、景色も見えてくるだろうと言った自信満々な演技はちょっと苦手でした。
ネタバレBOX
多発性硬化症の父の症状を隠し、一緒に暮らし続けたいと願う娘の話。
勝つことは負けることのような言い回し…、娘も社会に出て行かなければならないし、父親にも父親の世界、友人関係があるし、一部を市のお世話になってもいいじゃないかということです。
日本流に言えば、介護には頑張り過ぎないことが大事と言ったところでしょうか。最後、中央を狭く四角く囲っていた白いテープを四人の役者で剥がすことで、娘の心が開放され、社会に旅立った様子が伝わりました。
宮殿とは少女的夢想の世界とオンラインゲームの世界のこと、モンスターとは父親が乗っていたオートバイのこと、ナレーションを入れながら場面展開を行うのは、顔をズームアップしてシーンが変わる海外ドラマのようでした。
奇しくもこの日7月16日に文枝を襲名した三枝さんのお弁当のCMで、若手芸人が見える、見える、炊き込みご飯が見えると言うのに対し、三枝さんはオヨヨと言って、俺の芸はそこまでではないよ、見えないよと暗示しているかのように、役者さんたちの自信の割には景色は見えてきませんでした。市の職員とかオンラインゲームの仲間とかも、別に演じ分ける必要は無いと言わんばかりの演技でしたが、演じ分けができていないように感じました。
満足度★★★
現実とはこんなもんだ
そんな風には思いました。
ネタバレBOX
生活力が無さそな男と同棲している女性の半生記というか四半世紀(四半生記)。
幼馴染がフランスへバレエ留学していたとは、嫉妬心もあるでしょう。それでも、この男と生きていこうという決意をラスト数分間におけるカレーの早食いで感じさせてくれました。
ただし、幼少期から今日に至るまでのエピソードは、わざわざお芝居で確認するほどのことも無かろうにと思える程度のことでした。
先日観たウラダイコク『頗りたい-スコブリタイ-』も、ビッグになりたかったけれどなれなかった女性の半生記プラスお葬式の合計一代記の話で、少し共通するところがありましたが、感動したのはウラダイコクの方というのも事実です。
満足度★★★★
ありそで無さそで、
しかし、想定の範囲内。
ネタバレBOX
客中劇とでも言いましょうか、最前列の三人と後方の一人による常識外れな客とその連れのコント…、最初、客席に入ったときに前の奥の方から順番に詰めて座らされたので嫌だなあと思いましたが、CD1枚だしと我慢しました。実際、平場の二列目で本当に見づらかったです。でも、お客さんコントのための仕込みのためには必要だったのですね、納得しました。
前半がゲネプロ、反省会や小道具が無くなったり客中劇があったりして、後半は演出家兼役者が始まってすぐに自律神経失調症で倒れ、急遽代役を立てたもののハチャメチャな本番となってしまうという構成。
しかし全体で約2時間30分、客中劇だけでも30分以上はあったのではないでしょうか。長過ぎで疲れました。
ペリエネタは、もっと泡立つのかと期待していましたが大したことはありませんでした。さらに、もう一本飲まなきゃ。それが無理ならゲネプロも調整しておいて、本番なのですからゲネプロと同じことをしなくちゃダメでしょう。
満足度★★★★★
緊張感
撮影現場の変化の様子を面白く拝見しました。
ネタバレBOX
役でそうなっているのですが、足が壊死して靴の中の小石に気が付かなくなっていたかのようなベテラン俳優は、今回の撮影を通して恩人のこと、恩人の葬式にも行かなかったことを思い出し、この後悔が彼にとっての靴の中の小石だったのですが、監督が恩人の娘であることを知ってから、力の抜けたいい演技に変わりました。
他の俳優やスタッフたちにも空気が伝わり、引き締まった撮影現場になりました。
このことは即ち、嫌な感じのベテラン俳優と少々太り気味の女優さん、まとまらないチームワークなど、前半の散慢なお芝居が後半の引き締まったお芝居に変化したことを表していて、観客としてもどんどん引き込まれて行きました。
劇中劇の演技は、正直それほどやり過ぎた演技だとは思いませんでしたが、ラスト近くのシーンを見るとやはり違っていて、微妙な変化や劇的な変化を楽しむことができました。
戦争中の南方で船が沈没する回想シーンなど目に浮かぶようでした。ジーンと来ました。
あえて言えば、プロデューサーがクールで無表情過ぎて、お芝居全体としてもキリッとし過ぎ、カッコつけ過ぎ感がありました。
舞台挨拶は一人ずつ登場する必要は無いと思いました。時間が掛かり過ぎました。また、主宰の方が最後に去るのは理解できますが、感動を与えてくれた主役級の役者さんが最後に去ってほしいと思いました。
満足度★★★
【ロボット三姉妹】観劇
もっと楽しくバカバカしいものを期待していましたが、なんか理屈っぽい感じでした。
ネタバレBOX
巨乳コンプレックスと親子一族の絆の話ばっかりでした。
ペチャパイが三人集まっても巨乳には対抗できないけれど、一人っ子よりも三姉妹の方がいいでしょ的に家族の結束でごまかすというか、隔世遺伝の不思議さを通して一族の大切さを謳い上げていましたが、なんか理屈っぽく、説明っぽく、押し付けがましい感じがしました。
満足度★★★★
大笑いシーンあり!
こんなに腹を抱えて笑ったのも珍しいくらいでした。
ネタバレBOX
昨年末のオウム事件特別指名手配犯の出頭とつい最近の逮捕劇、それに八王子スーパー殺人事件をモチーフに、これらの事件を賞金稼ぎが解決する話。
コント的な部分は最高でした。
スーパー三平で行ったお肉と魚と野菜のヒーローショーの面白かったことといったらありません。ベタなんですが腹を抱えて大笑いしました。出家名が出る度にへんてこな祈りの格好をするところも笑いました。
一方、ストーリー的にはもやもやするところがありました。
魚と野菜が当然のように倒れているシーンが何度かあり、なぜ倒れているんだろう、そうなるべき伏線のシーンがあったっけかと、その都度何か置いてけぼりを食らったような感じがしました。
最後、事件は賞金稼ぎが解決してくれましたが、一人の婦警さんには何があったのだろうとか、今ももやもやしています。
満足度★★★★★
【ノーマルバージョン】観劇
テンポのいい展開が心地よく、ノーマルバージョンでしたが大いに笑いました。
そして、みんなにはそれぞれ役割があるんだということで、世の中捨てたもんじゃないなと元気がもらえたホラーコメディでした。
ネタバレBOX
ゲームオタクのセリフにもありましたが、ゾンビはそれ以上死なないし、広がる一方という固定観念があり、幽霊についても医者と同じように存在そのものを否定しているので、観る前は少し心配していましたが、ゾンビ菌は宇宙船の空気に含まれる宇宙人にとっては単なる雑菌程度のものだということが判明して対処法が見つかるなど、かなり論理的な展開に満足しました。幽霊の方も今を大切にするという青年の言葉を素直に受け入れる素直な女の子で良かったです。
警官はアイドルを守り、アイドルはキュウリを提供、作業員は機材の提供、女子高生は工業高校の技術を活かし、ゲームオタクは攻守の要、医者はワクチン製造、宇宙人は抗体と宇宙船の提供、河童はワクチンを増やして宇宙船から散布等々、みんながそれぞれの特技を活かし、連鎖反応を起こしながら難関を乗り越えていく、何とも爽やかで心地良い展開でした。
前の役者さんたちがさぁーっとはけて次の役者さんたちがさぁーっと登場する場面転換も、スピード感があり好感が持てました。
背景の黒いカーテンに光を当てて窓のように見せる手法は意外にもこれまであまり見たことがなく斬新でした。舞台装置は初めから無いものと諦めるのではなく、限られた中で最大限の工夫をしようとする努力が感じられました。
ところで、あの稲川さんはどうしちゃったんでしょうね。
満足度★★★★
いい人たち
重たい話が背景にあるのですが、面白くて前向きでした。
ネタバレBOX
小名浜のソープが舞台、従業員や客の地震発生時から一年間の話。
福一(福島第一原発)で働く作業員や、漁業補償を貰っている船長さんの実情など興味深いものがありました。ソープの流儀も地域差があるとのことで、小名浜の泡姫として努力しようとしたり、あるいは結婚で辞めたりと従業員側にも色々ありました。
最後は、信金の営業マンが地域振興のためにと、脱サラして鮮魚のインターネット競り市を起業するというもの凄く前向きな結末にとても嬉しくなりました。
さて、こうした振りのための伏線だとは思うのですが、スタート早々から金融機関の融資姿勢に関することで大きな間違いがあり、ずーっと気になってしまいました。
金融機関は反社会勢力や風俗営業に対して一切融資はしません。ですから、そもそも建物修繕費用を見積もるための調査をすること自体あり得ません。このことはソープのオーナーが一番良く知っているはずです。ソープを建設したとき自己資金で建てたでしょう。そして、何か事が起きたときのためにと、せっせと自己資金をプールしてきたことでしょう。
やはり、ソープに遊びに来て漁業者の実情を聞き及んだ信金マンというくらいが丁度良いのではないでしょうか。
因みに、飲食店に信用保証協会付きの融資を実行するときは、風俗営業を営んでいない旨の宣誓書を提出してもらうのが融資条件になっています。それくらいのものです。
このベンチャー企業についてもですが、ソープのオーナーが社長だと資金がソープへ流用されると推察される恐れがありますので、出資者や役員に関しては注意された方が良いと思いますです。
牛乳の雨宮さんや、ゴールデンエアマットがカナダに漂着したなんて大笑いでした。
満足度★★★★
レベルの高い
歌とダンス、良かったです。
ネタバレBOX
芸能高校に入学した高校生たちの群像劇ですが、プライドが高くわがままですぐに芸能コースを外されてしまった女子高生が主役。しかも主観ではありますが、ドリームハイという6人組ユニットの中ではこの子よりも他の女子二人の方が可愛いという珍しい設定でした。
皆さん美男美女で歌もダンスも上手く、現実社会でも勝ち残るのは大変そうです。
怪我がもとで耳が聞こえづらくなった彼は、本番で聞こえない瞬間があったのでしょうか。あれだけ悩んでいたのに本番でのフォローはありませんでした。
三人を特待生に選んだ理事長って何者で、どのような理由で選んだのでしょうか、全く説明がありませんでした。
満足度★★★★★
皆さん芸達者!
いきなり笑わせてもらい、小ネタを混じえたおバカなな展開に盛り上がっていきました。
ネタバレBOX
グリーン銀行坂上支店が舞台。大いに笑いましたが、このお話は銀行強盗の話ですから結局は成功するか失敗するしかなく、終盤にかけて人質がとことんストックホルム症候群に陥り、銀行員も含めて人質全員が強盗グループに共感してしまってからは、舞台上の人物の間における対立構造が無くなり中だるみが生じました。
さあどう再構築するというところで、俺たちに明日はないかの如き展開に気が引き締まりました。犯人および彼らが射殺されてしまうというブラックな終わり方になったかと思いましたが、デジャヴの感覚が効いていました。銀行を爆発して、全員はトンネルを使って逃げおおせるという、幸か不幸かは分かりませんが、ハッピーエンドとなりました。
満足度★★★★
ガキさん貧乏性!
最初に出てきた少女を見たとき、ハロプロエッグの人かと思いました。それくらい最初は幼い感じのガキさんでした。
秋本奈緒美さん主演の舞台かと思ってしまうほど秋本さんがイキイキしていて良かったです。
ネタバレBOX
お母さんが靴下脱ぎっぱなしなのをようやく本音で言えて、ぶちまけることができて、そうしたら、飲み終わったコップを片付けない癖があると逆にお母さんから指摘されたりして。オレンジジュースを飲んだ後、また飲むかもしれないと思って片付けないって貧乏性なガキさん。でも牛乳を飲むときは混ざるのが嫌なので新しいコップを使うんだって。そしてそのコップはまた牛乳を飲むかもしれないと思って片付けないんだよね。ははは、癖はあるもの、直すに越したことはないけど、言いたいこと言い合えて良かったね。
百田君が来て家中引っ掻き回して、みのりもアドバイス貰ったりして社会に出られるようになったんだとは思いますが、そして好きにもなったんだろうけど、最後の好きでしたの言葉でもちろん分かるけど、毛嫌いしていたのがいきなり話を聞く姿勢になるまでのそこのところの心境の変化が今一つ伝わってこなかったような気がしました。
優しすぎるのも疲れます。お父さんも離婚したら、再婚したら、けじめ付けなきゃ、今の家族を大切にしなきゃダメですね。
百田君が戻って来てお母さんが幸せなのはそれはそれでいいと思いますが、戻ってこなくても良かったんじゃない?!通り過ぎた小型台風のような存在でも良かったのではないかとも思いました。
途中で着替えようとしていたワンピース、最後の舞台挨拶で着てくれればいいなと思いながら見ていたのですが、みのりの自立シーンで着て、演出が上手いなと感心しました。
せっかくなんだから会計士の勉強も続けてほしいものです。
満足度★★★
主宰さんの気持ち
つべこべ言わずに舞台を、舞台美術を見ろやっ、そして注文しろやって感じですか。
ネタバレBOX
始まってすぐ状況が全く分からない内に、ぼそぼそと、しかもほぼ横向きなので聞こえにくい上に、理屈っぽいことを言い出すのでいきなりテンションが下がってしまいました。その直前のことですが、劇団関係者の友人らしき人たちが開演時間が過ぎても通路でしゃべっていたり、席に着いてもスマホの電源を切らずにいたりして、何だこのグループはとイライラさせられていたのですが、そんな気分も消え去るくらいのマイナス衝撃でした。因みにこのグループの一人は終盤トイレか何かで退席してしまいましたが、もう何をか言わんやです。
本作品は夢に向かって努力している若者たちの世間に認められようともがく様子を描いた群像劇ですが、舞台美術で独り立ちしようとして現在事務所でアシスタントをしている女性は正にこの劇団の主宰さんのことでした。
ここの先生は、自分の提案をキャンセルしたクライアントのことを下衆と呼んでいました。悔しいのは分かりますが、下衆とはあまりにも下品な表現でちょっと引きました。
アシスタントの女性が試作した舞台装置の模型は先生に褒められました。自信もついたことでしょう。
さあそこで現実の話ですが、そうだよ、売り込みに行ってもアイデアを評価してくれないなら、誰も声を掛けてくれないなら、いっそのこと自分でお芝居を企画して舞台美術を演劇関係者に見てもらえばいいじゃん、業界向け見本市を開こうというわけだったのですね。確かに、すのこ状の板を立体的に折り曲げて配置したような舞台美術は綺麗でした。
それまでの既成概念を大きく覆すほどの感動を与える刺激を甘い感情と定義していたようですが、甘い感情が演劇関係者に伝わるといいですね。
ところで、お客さんが座り直す際に生じる椅子の軋む音がこれほど頻繁に聞こえてきたお芝居も珍しかったです。長いのと単調だったせいだと思います。あんなコンプラ無視の会社の話なんて全く要らないと思いました。彼は反社会勢力の人ではなく普通のサラリーマンなんでしょう。だったら毅然としろよって言いたくなりました。
満足度★★★
まるでOB会
正直、今のソニーを知りたいと思いました。
ネタバレBOX
戦時中から井深さんが1997年に亡くなり、盛田さんが亡くなった1999年頃までの話。
開演前には客席に井深さんに会ったことがあるという70代くらいのソニーの元社員が話していたりして、まるでOB会のような雰囲気。
大きな弁当箱状の舞台の周りにはくすんだ色のチョッキを来た女性客が座っていて、そうだあの色はソニーの作業着だ、最近見掛けないなあって思いました。あとで聞いたらあの女性たちはやはりソニーの関係者でした。
カラーテレビが製品化されるまでは舞台上の光による表示はモノクロで表現され、トリニトロンが製品化されてからはカラーで表現されました。分かり易いっちゃあ分かり易いってもんです。舞台の周囲のお客さんの前には箱状の物が置かれていましたが、何とお弁当でした。それも日本を代表するソニーということもあり、日の丸弁当でした。井深さんと盛田さんとソニー関係の女性たちが一緒に食して終了。
結局はソニーの成功物語までの話、ここ数年のていたらくを二人はどう思っているのかが知りたかったですが、二人の伝記に基いて書かれたお芝居ですから残念ですが望むべくもありません。
満足度★★★★★
いかにも昭和53年
開演前には昭和53年当時のヒットメロディが流れていて、あの頃を思い出しました。
ネタバレBOX
バイク事故については、秀一君は後ろに乗っていたんだ、不幸中の幸いというか精神的には救いがあるなと思った瞬間、それこそ中学生の頃からバイクに乗っていたかもしれないくらいのシノケンが普通のカーブで事故を起こすかー、警察がそんな甘いはずはないと思いました。
実際、秀一君の口から自分が運転していたとの告白がありました。真実を聞かされた人間の立場としてはどうあるべきか、あの場では2対1ですぐに警察に行くべきでしたが悩ましいですね。猪原元先生の過去の恥ずかしい真相を聞いて、次元は随分違いますが、彼の父親やシノケンの母親と話をして彼らの思いを受け止めた上で決断するというところまで秀一君は考えが進みました。
娘の婚約で過去の秘密も笑い飛ばすことができるようになり、またそうしなければなりませんが、重たい話とそんな良かったね的な話の緩急を楽しむことができました。
ラストシーンは寅さんと教授のエピローグのようで、いかにも昭和テイストという感じがしました。
満足度★★★
乙女チック
予想通りの乙女チックな話でしたが、終盤の展開には少し興味を惹かれました。
ネタバレBOX
ユンカースが三つの夢を叶えるというところで、彼女はお父さんの幸せとお母さんの幸せを願い、最後にユンカースが普通の犬に戻って幸せを全うすることを願いました。
お父さんとお母さんの幸せは娘の幸せに繋がることでもあるし、ちょっとずるいよねー。それに、魔法使いをネズミに変身させて食っちまった猫の話のような展開にはちょっと驚きました。
そして、本物の犬が上手から出てきて下手に去っていくのはサプライズでした。
そういえば、木根尚登さんが7月1日まで出演されていた坂上忍さんの『レッドカードファミリー リターンズ』にも本物の犬がいて、凄い偶然だと思いました。
その木根尚登さんですが、先週は臨場感溢れる台詞回しをされていたのに、今回の会話部分はいかにも本を読んでいるって感じでした。朗読劇らしさの表れなのでしょうか、それとも練習不足なのでしょうか、少しばかり気になりました。
満足度★★★★★
重
人前でしゃべるとか文章にするとかすると、考えは纏まるものです。そしてその結論は自分自身に重くのしかかってきます。
ネタバレBOX
折り合いの悪かった義母が死んでもいいと思って家に娘の服を取りに帰らせたのか、育児ノイローゼの母親は子供を殺したのか、息子は寝たきりの父親を見殺しにしたのか、東日本大震災から一年経った日に起きた茨城沖大震災の津波によって引き起こされた悲劇の裏側をヒヤリングする話。
地震が起きた時お姑さんのことをあんなに心配したのに、ちょっと時間が経つと知恵が働いたのかもしれません。最終的には夫から離婚を言い出された女性、美元さん、素直に受け止めていました。
已むを得ないとは思いますが、津波の激流の中で娘の手を離した母親。
因果応報…、寝たきりの父親を見捨てた息子は、彼の娘から働き盛りの男が何で今にも死にそうな人より先に死ぬくらいの消耗をする必要があるの、あれで良かったのよと言われ、ああ自分も歳を取ると娘から見捨てられるんだと悟る因果応報さに愕然とさせられます。
なぜコブ付きと結婚した女性は夫に声も掛けずに義理の娘と逃げたんでしょうか。地震のときにお母さんと初めて呼ばれたからだったんですね。
家族を捨て東京へ向かったことにより自分だけが助かったインタビュアーの時間を巻き戻したかに見えたときの、ヒヤリングした消防団員の自殺の知らせ、痛かったです。重かったです。
満足度★★★★
異常さと、ある意味健全かもと
3月のダム・ウェイター(料理用エレベーターのこと)に続くピンター作品。
回転スピードに緩急をつけた回り舞台、人間性を無視した施設内の不思議な話でしたが楽しめました。
ネタバレBOX
何かの施設、一般職の人たちは収容されている人たちのお世話をしたり施設を掃除したりする人たちで、専門職の人たちは収容されている人たちを調べたり観察したりする人たちのようです。
施設内の鍵を管理する係に着任したばかりの男に対する電気ショックを与えるような性格判断の実験を見ても、被験者への行為は過酷なものがあったと思われます。所長に仕えていたギブスの報告によると、最終的には専門職の人たちはギブスを除いて全員が収容されている人たちの暴動によって殺されてしまったそうです。ギブスの策略のようにも思えますが真相は分かりません。
そして、殺された所長もそうでしたが、今度はギブスが所長に昇格することになりました。
変な話ですが、内部昇格があることがある意味健全なような気がしました。日本じゃ責任者は本省から新たに天下りで派遣されて来るでしょうからね。
最後に少しだけ登場した半海一晃さんの、東海林太郎が足を悪くしたような本省の役人振りが印象に残りました。鍵の管理者の行方を探せという適格なアドバイスをする一方で、見つかろうが見つかるまいがどうでもいい、施設に秩序が戻ればそれでいい、報告書を綴り込めばお終いという役人らしさがよく出ていました。
満足度★★★★
ケーモー的
ゲイが絡んでちょっとやっかいにはなりますが、元々家族には色々あります。
ネタバレBOX
ゲイをカミングアウトして父親から勘当された長男を巡る10年越しの話。
地震があったんだし、別に意地を張る必要もないとは思いますが、ま、父親が勘当を解かない限り正式には会えませんよね。でも会ってしまえば、「おっ」てなもんですか、伊集院光さんのとこみたいに。
胸のつかえを下ろして亡くなったおばあさんの話にあったように、家系は血の繋がりが基本ですが、由緒ある家ほど色々ありますって。受け継ぐ者は謙虚さと誇りで全うしていくだけです。
それにしても、一目でバレバレなゲイと、そうでないゲイの存在には笑いました。