KAEの観てきた!クチコミ一覧

81-100件 / 855件中
関数ドミノ

関数ドミノ

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/05/08 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

イキウメらしい舞台を堪能しました
相変わらず、浜田さんが好演されていました。
安田さんも、イキウメでしか拝見したことないのですが、気になる役者さんのお一人です。
昔、星新一や清水義範のSF物に熱中していた頃、こういう世界感を演劇で成立させる劇団が出ようとは夢にも思わなかったので、イキウメは、私の夢を具現化してくれた、素敵な劇団。前川さんの才能に心酔しています。
終始、ハラハラドキドキ目が離せない芝居でした。

ハンナとハンナ

ハンナとハンナ

TACT/FEST

あうるすぽっと(東京都)

2010/08/14 (土) ~ 2010/08/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい秀作に涙しました
フライヤーから想像した通り、「モジョ・ミキボー」の女の子版的ストーリーでしたが、それ以上に、描かれた世界は哀切な感情を湧き起こす芝居でした。

全くの2人芝居。双子のお2人だからこその、ハーモニーの美しさが随所に光る、期待以上の秀作舞台で、2人の舞台挨拶が終わった後も、拍手は鳴り止まず、再登場したお2人の清々しい笑顔に、心が洗われました。

公演期間が短かったので、是非、また再演してほしい作品です。

それにしても、2人の声の美しさには感動しました。

ネタバレBOX

あの「二人っ子」のマナカナちゃんが、もうこんな素敵な大人の女性になったかと、まず感嘆!実は、お二人の舞台を観るのは初めてでした。

人間性とかでは以前からファンでしたが、こんなに実力を身につけた女優さんに成長されているとは思っていませんでした。

イギリス、マーゲットに在住のイギリス人ハンナと、コソボ難民のハンナの、16歳の同名少女の出会いと別れの物語。

イギリスのハンナは、佳奈ちゃん。キュートな現代少女振りが可愛い!
コソボのハンナは、茉奈ちゃん。コソボで、悲惨な体験をして、どこか陰を引きずっている。
名前は一緒でも、立場や体験が異なる二人は、反目しつつも、ある事件で、心が通じ合い、お互いに、音楽好きで、一緒に楽しく歌って、一気に仲良くなるのに…。

舞台は、素舞台。両側の映像が、観客の理解と想像を助け、効果的。
ほぼ、二人交互の説明台詞で、ストーリーは進みつつ、時々、話の中の人物を演じる形で、進行します。
小道具は、数個の大きさの異なるスーツケースのみ。
簡易な舞台空間が、二人の少女の心の軌跡を、スケール豊に想像させる、秀逸な演出で、プロの演出の醍醐味を味わいました。

二人が、時々歌う歌は、演奏つきもあれば、アカペラの場合もあり、その両方の歌唱とも、大変魅力的でした。
二人の少女の人生の岐路で、歌う、アバの「マンマミーア」の歌詞が、見事、その時の二人の思いと重なり、この曲を聴いて、こんなに涙することになろうとは…。二人の心と声が一体化して、胸を打つ、素晴らしい歌唱でした。

声高でなく、こういう静に、民族の争いや、戦争の悲惨さを、語る作品こそ、本物なんだと、また強く感じて、本当に、見逃さずに済んで良かったと思いました。

佳奈ちゃんは、コメディエンヌとしても、楽しみな女優さんでした。双子のお二人が、キャラクターの違う少女を共に好演され、また楽しみな女優さんをみつけたと嬉しくなりました。(今更ですけれど…)
パパは犯罪者!?

パパは犯罪者!?

LEMON LIVE

駅前劇場(東京都)

2010/01/30 (土) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

愉快痛快傑作コメディの掘り出し物
こんなに幸せな気分で、小劇場で、楽しく笑えるコメディを観たのは、チャリT企画と8割世界以来かもしれません。

青年座の山路さんと、文学座の浅野さんが、小劇場で共演する面白そうな芝居と、作品そのものには、ほとんど期待もせず行ってみたら、これがもう、宝くじに大当たりしたような気分になる、素敵な超傑作コメディの決定版でした。

後ろ席の小学生の男の子が、ひきつけおこさないかと心配になるくらい笑い続けで、お母さんに笑いすぎをなだめられるくらい、万人受けする、ホントに傑作痛快劇でした。
作演の斉藤栄作さんは全くどんな方か何の知識もないのですが、一度で、大変気になる作家さんになりました。さりげなく、哲学的なメッセージを織り込まれる手腕も見事。作演のあざとさが微塵もなく、本当に観客本位の舞台創りをなさる方とお見受けしました。
コメディを愛する方や、コメディを上演する劇団の方には、必見劇だと是非おススメしたい、文句なし、超一級喜劇でした。

ネタバレBOX

何度か拝見して、あまり好きな役者さんではなかったみのすけさんが、初っ端から、信じられない好スタートで客席の笑いをかっさらい、その後登場される役者さんも、皆さん、すごく自然に客席に笑いを生み出す方ばかりで、始まり5分で、この芝居は大当たり!の確信を持ちました。
山路さん、強面の革命家が、拘るとこはそこかい!と、突っ込み入れたくなる、愛嬌のある役を楽しげに演じてらして、浅野さんは、カトケンでも何度かコメディのご経験はあるものの、今回程、コメディセンスを磨き上げられたなあと感嘆させられることはありませんでした。
紅一点の山神友恵さんの雰囲気もとても好感が持てて、一度でファンになりました。
皆さんのコメディならではの間の取り方が抜群なので、自然に楽しく笑えるし、ストーリーも予測できない展開で、最後のオチも気が利いていて、文句ない超一級娯楽劇の傑作でした。一回目のカテコで役者さん退場の後も、いつまでも熱い拍手が鳴り止まず、再度登場された皆さんのコメントがまた素敵で、久しぶりに幸せな気持ちで、劇場を出てまいりました。
LEMON LIVEさんに、心からのお礼を言いたい!!
ミリオンダラー・カルテット

ミリオンダラー・カルテット

TBS

東急シアターオーブ(東京都)

2012/09/05 (水) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★★

陰の名プロデューサーの悲哀に涙
たぶん、日本広しと言えど、こんな気分で、泣きながら、この舞台を観ていたのは、私一人だけかもしれない。

この歴史的一夜の出来事は、私がまだ2歳の冬。ですから、当然、この出来事に個人的思い入れも皆無なら、プレスリーを、当時、テレビ映像で観た以外は、後の3人の歌手のことはほとんど知りません。

では、何故、こんなに、涙が頬を伝うのでしょう?

それは、この作品が、陰の名プロデューサーの悲哀をきちんとドラマ化しているからだと思うのです。

祖父や父や叔父や主人を通して、これまで、たくさんの無名な名プロデューサーのその世界(出版界、演劇界、映画界、音楽界)への愛情と悲哀の歴史を、山ほど見聞して来ました。

先日も、演歌界のゴタゴタのニュースを見たりしました。

だから、この舞台に登場する、サン・レコードのサムが、私には、祖父や父や夫の姿に見えました。何もかも、心の琴線に触れて、涙を堪えることができませんでした。

ロックンロールの上手い下手はよくわからないのですが、キャスト陣、噂に違わず、超一流揃いでした。

もっと、物真似ショー的なステージを想像していたのですが、さにあらず!
本当に、素晴らしい人間ドラマでした。

何だか、宣伝が、画一的で、ロックンロールファンでないと、観る価値がなさそうに感じる宣伝の下手さが、この作品の素晴らしさを一般に伝えていない気がして、非常にもったいないなと思いました。

経済とHの佐藤さんが、現地でご覧になった感想をネットで発表されていて、大絶賛はされていなかったので、逆に、観てみたいと思ったのですが、行って本当に良かった!!劇場も、大変観易くて、素敵でしたし、これは音楽ファンでない方にも、是非おススメしたい舞台でした。

ネタバレBOX

構成が、なかなか巧みでした。

奇跡のセッションの単なる物真似ショー的な、ストーリー性の弱いステージを想像していましたが、全く違います。

細かい部分まで、登場人物の心象表出がしっかりと演出されています。

ところどころで、サムの回想シーンをうまく織り交ぜ、4人のシンガーの代表曲の披露などもあり、エンタメと、人間ドラマの交互の見せ方が上手でした。

プレスリー役のエディーさんの歌唱は、耳に覚えのあるプレスリーにそっくり。ジョニー・キャッシュ役のデレクさん、プレスリーの恋人役の女優さんの歌が抜群!カール役のリーさん、サム役の男優さんの演技の確かさ、ジェリー・リー・クライス役のリーウ゛ァイさんは、演技も、ピアノ捌きも文句のつけようがない、芸達者ぶり。

久しぶりに、質の高い来日ミュージカルに魅了されました。

最後に、サムが育てた歌手が、皆自分から離れて行くことを知らされた彼が、「記念写真を撮ろう!」と提案して、シャッターを切った瞬間、一瞬場内が暗くなり、フラッシュがたかれ、明るくなると、実際の4人の本物の記念写真が壁に映し出され、客席に歓声が沸きあがりました。

何と、感動的な幕切れかと、更に涙で、見えなくなってしまいました。

その後の、カーテンコールでの、ミニコンサートは、往年のファンの方には溜まらないスペシャルサービスのひと時でした。
広い世界のほとりに

広い世界のほとりに

TPT

ベニサン・ピット(東京都)

2008/10/29 (水) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

様々な登場人物に共感して、泣きました
千葉さん、役者さんとしても名優ですが、演出家としての才能もある方と認識して、大変見応えある舞台を堪能できた時間でした。
若者、その親、またその親と3世代の苦悩が色濃く、繊細に描かれ、近年にない重厚な家族劇でした。
それぞれの役に、自身の思いが投影でき、誰彼共感しては、泣いてしまいました。
安奈淳さんがお元気になられたことも、涙の一因ではありましたが。

モリー先生との火曜日

モリー先生との火曜日

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

賞賛に値する真の感動作
かなり以前、「週間ブックレビュー」で紹介された時から、ずっと気になっていた作品の舞台化。もっと、朗読劇に近い雰囲気なのかと想像していましたが、さにあらず。私が過去に観た2人芝居の中でも、最高作の一つに数えられる、秀作舞台でした。
とにかくまず驚いたのは、高橋さんの役者としての進化の目覚しさ。過去にかなり高橋さんの舞台は観ていますが、こんなに硬くない彼の演技は初めて観たように思います。加藤さんも、ここ数年、幾度か台詞を咬むことが多々あったのに、この舞台では、そんな気配は微塵もなく、活舌も良く、本当に、お2人の演技表現が過剰にならず、シンプルだったので、自然に、このストーリー世界の住人になることができました。この年齢になっても尚、演技者としての進化を続けているお2人の表現者に、まずは、心底敬服の念を抱きました。

高瀬さんの演出も、作品の良さ、誠実さを損ねることのない、程の良さ。決して、過剰にならず、感動の押し売りもせず、ジワジワと胸に浸透する秀逸な感動の漣が心地良く感じられました。
モーリー先生の人柄と、その師に魅了されて行く生徒の心の交流が、実に自然に描かれて、間違っても、お涙頂戴ものの作りでないことが、何より嬉しく感じました。
良い作品があり、それを見事具現化した、キャスト、スタッフの、並々ならぬ力量の結集作。
モーリー先生の住居は、彼の心の内のようにシンプルで、清々しく、セット、照明、音楽、場転のスタッフの動き、全ての舞台表現が、この作品の良さを阻害することなく、テーマと一体化していました。

最後のカーテンコールの、観客から発せられる、本物の感動の拍手が、とても耳に心地良く、心の奥底までずっと響いていました。

どん底

どん底

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2008/04/06 (日) ~ 2008/04/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

ケラさんの才能に気付かされた作品
「どん底」は、昔々、滝沢修さんの舞台を拝見したことがあり、もうとにかくひたすら暗いという印象しかなかったのですが、今回のケラ版を観て、あまりの面白さに面食らいました。
キャストも適材適所だし、生演奏などもあり、2幕の明るい外の風景にも目を奪われました。
こんな、若い人には見向きもされないだろう、新劇の古典を、若者向きに見事にアレンジした、ケラさんの天才肌の演出にただただ感服しました。
映像役者さんではダントツごひいきの江口さんの好演も嬉しくなりました。
ずっと以前から、江口さん、舞台でも活躍されたらと期待していましたから。
山崎一さんの演技が切なくて、涙が出ました。段田さんは、まさにはまり役。
こんな「どん底」なら、また見たくなると思いました。

華麗なるミュージカル音楽の世界 ガラコンサート2012~サットン・フォスター来日記念スペシャル~

華麗なるミュージカル音楽の世界 ガラコンサート2012~サットン・フォスター来日記念スペシャル~

サンライズプロモーション東京

新国立劇場 中劇場(東京都)

2012/09/15 (土) ~ 2012/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

申し訳ないような気分
トニー賞を2度も受賞された、サットン・フォスターさん、皆さん、日本のミュージカルシンガーが口を揃えて、「可愛い!」とおっしゃっていた通り、お人柄も素敵な雰囲気で、日本キャストの中にも自然に溶け込んで、全てに魅力的な女優さんでした。

歌良し、ダンス良し、演技良し、スタイル良し、性格良しで、非の打ち所がない感じ。

他の日本側の出演者も実力派揃いで、日本にいて、こんなチケット代で、堪能させて頂けるなんて、幸せな一夜でした。

ネタバレBOX

サットンさんは、特別枠で、ご出演なのかと思っていたら、普通に、日本キャストと同じ配分で、歌唱曲数も、出演時間も、特別扱いなし。

それを、嫌な顔もせず、真面目に、ステージを務めて下さる姿に、一目でファンになりました。

毎年、トニー賞の授賞式はテレビで観ているので、目の前に、本当にサットンさんがいるだけで感激!夢のようでした。

いつもなら、しゃしゃり出過ぎな俳優さん達も、サットンさんがいるからか、悪目立ちする人もなく、静かに、ミュージカルの名曲を、心ゆくまで、堪能することが出来ました。

サットンさんは、もちろんのこと、いつもより10歳は若返って見えた綜馬さん、
歌がどれもピッタリだったシルビアさん、キュートな昆さんと藤岡さんの微笑ましいデュエット、保坂さん真骨頂の「マンマミーァ」、姿月さんの「レベッカ」、石井さんと彩乃さんの「ウェストサイド」のデュエットなど、見どころ、聞き所満載でした。

玉野さんも、「クラブ7」が終ってすぐの振り付け、ご出演で、大変だったでしょうに、見事に、統一の取れたステージを見せて下さいました。
最後の、サットンさんの「モダン・ミリー」は、日本キャストの上演を観なくて正解だったとつくづく思わされました。英語の歌詞はわからなくても、表情と歌い方で、彼女が如何に演技力が素晴らしい方か、存分に思い知らされた歌唱に息を呑みました。

サットンさん主体の選曲なので、無理もないのですが、最初に、日本のミュージカルファンには、比較的馴染みの少ない、コール・ポーターの曲を集中させた点と、「エニシング・ゴーズ」で、アンサンブルのタップの音がややうるさかった点を除けば、選曲、構成共に、充実した内容だったと思います。

ただ、欲を言えば、綜馬さんと石井さんの「チェス」の女性デュエット曲の選択は、やはり選曲ミスではと感じました。

先日の「ミリオンダラーカルテット」と言い、トニー賞受賞者を3人も、日本にいながらにして拝見できて、何だか申し訳ないような気分です。

そうそう、気になっていたことがあり、演劇ライフを見たら、じゅれさんのご感想で、腑に落ちました。レミゼの「ワンディモア」のアンジョルラスの陰声はどなたかと思っていたら、どうやら姿月さんだったようです。
今思えば、2度と拝聴できないレミゼカンパニーですね。しっかり記憶に留めます。でも、できれば、姿月さんのアンジョルラス、肉眼で観たかった!
(以前、記念公演の余興で拝見した、大浦アンジョの雄姿が未だに忘れられません。)
フットルース

フットルース

劇団スイセイ・ミュージカル

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2013/08/08 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

小野田レンは大成功!
小野田さんの歌唱力は、高校時代のデモテープを拝聴した頃から認知済みですが、ダンスはどうかな?とやや心配でした。

でも、幕開きから、その不安は払拭されました。

彼は、メインとしての華があるだけでなく、チームを統率するリーダーシップも併せ持っているようなので、この役には、ピッタリでした。

「ヒーロー」は、いつ聴いても、元気をもらえるし、歌唱力のある人の歌う「オールモストパラダイス」は、心に沁みます。

行けて、観られて、聴けて良かった!

若かりし頃、彼と観た映画館での会話も懐かしく思い出され、60近い年齢になっても、胸キュン現象、起きました。

ネタバレBOX

カーテンコールで、牧師役の川崎さんと、奥さん役の川島さんが、劇中では歌わない「オールモストパラダイス」をデュエットされ、そうか!何十年も前なら、このお二人のレンとアリエルの組み合わせも良かったかもなんて思いました。レンの母役は、たぶん、「ひまわり娘」の伊藤咲子さん。ずいぶん、時は流れたなあと実感するばかりでした。

牧師役が、熟練の川崎さんなのも、成功キャスティングだし、川島さんの奥さん役が、意外とはまり役で、舞台に真実味を増しました。

スイセイミュージカルの方達のダンスも息が揃い、観ていて、爽快感がありました。

この作品、何度観ても、レンとアリエルの気持ちが接近して、高架線の陸橋下での「オールモストパラダイス」のデュエットに繋がる場面には、心が揺さぶられます。今回は、小野田さんと、星野さんの歌唱力も安定し、二人の声もピッタリ合わさっていたので、尚更に感動的な場面でした。
ミュージカル 『レディ・ベス』

ミュージカル 『レディ・ベス』

東宝

帝国劇場(東京都)

2014/04/11 (金) ~ 2014/05/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

天にも昇る気持ち
何しろ、ずっと待ち侘びていた花總さんの主演舞台復帰作、拝見できただけで、夢見心地でした。

花總べス、山崎ロビン、吉沢メアリー、古川フェりぺ、石丸アスカムのキャストスケジュール日でした。

一番目を奪われたのはセットの美しさ。簡易なセットなのにもかかわらず、映像と照明で、その場をそれらしく感じさせるスタッフ技術に息を呑みました。

べスにとっては、敵役の、石川、吉野コンビの見事な息の合い方にも拍手喝采もの。

曲は、難解なものも多く、訳詞があまりはまっていないようにも感じましたが、全体的に、キャストがすこぶるはまり役ばかりで、これは、久しぶりに、リピートしたくなるミュージカルでした。

ネタバレBOX

先日、別の劇場で、「9デイズクイーン」を観たばかりだし、たまたまテレ東の歴史情報番組で、ヘンリー8世の知識を仕入れた矢先だったので、幾らヨーロッパの歴史に疎い私でも、人物関係が容易く理解できて、助かりました。

「9デイズクイーン」の後日譚でもあり、その舞台では、上川さんが演じたロジャー・アスカムを石丸さんと山口さんが演じています。

濡れ衣を着せられ処刑された、悲劇の王妃アン・ブーリン役の和音さんの透き通るような歌声が、わが子べスを見守る亡霊として、慈愛に満ちて、素晴らしい歌唱ぶりでした。

べスを亡き者にしようと画策する、ガーデイナーの禅さんと、シモン・ルナールの吉野さんの名コンビが、相性ピッタリで、歌も、台詞も息の合い方が気持ちいい!二人のデュエットシーンは、極上の一言でした。

ロンドン塔に幽閉されて以降の、花總さんのべスには、気品と威厳が供わり、待ち侘びた甲斐があったと、心が舞い上がる心地でした。

ロビンは、虚構の人物なんでしょうか?これまで観たエリザベス関連の映画や舞台では、知らなかった人物ですが、彼が、どうしてべスの心を射止めたのか、今ひとつ理解できず、二人のラブシーンにはあまり共感できないのですが、育三郎さんよりは、加藤さんの方がこのシーンには向いていそうなので、急遽、加藤ロビンも拝見する予定を立てました。

先日の、テレ東の番組で、ロンドン塔を実際観ただけに、べスが、船着き場に着くシーンが胸に沁みました。幽閉された壁だらけの寒そうな部屋から、ちょうど断頭台が見下ろせるのですね。あの部屋で、精神の異常をきたさずに、しっかりと自分を保つことができたエリザベスは、やはり、偉大な女王になるべき運命だったのだろうと、実感します。
ザ・キャラクター

ザ・キャラクター

NODA・MAP

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2010/06/20 (日) ~ 2010/08/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

言葉遊びが、本質を焙り出す見事さ
まず、会場に着いて驚いた。四季の劇場かと思った。
高校生らしき学生団体が、引率されて来ている。
ちょうど、あの事件が起きた頃に、生まれた世代。
こんな芝居を学校で観に来る時代になったかと、まず感激!

そして、野田さん!「ハイパー」で、もう才能が枯渇したかと心配になって、実は、恐る恐る観劇。
大丈夫でした!!やっぱり、野田さんはスゴイ!!
稀有な劇作家でした。

あの事件を、こんな舞台設定にして、言葉遊びと見せかけて、見事に、人間の本質を焙り出して行く才気に満ちた台詞選びの術。
そして、事件をただ踏襲するだけのドキュメンタリー的な芝居ではなく、きちんと、野田さんの劇世界に変換する作劇の妙!!
素晴らしい!!こんな劇作家は、やはり他にはいそうにありません。

役者さんんも、皆良かった!宮沢りえさんの台詞は、どうしていつも、あんなにストレートに、心にダイレクトに響くのでしょう?
スゴイ女優さんだといつも思う。
藤井さんの舞台も、観る度、思う。この方、本当に、才能ある俳優だなと。
野田さんは、いつでも、安定した女優さん振り。チョウ・ソンハさん、演技も動きも期待通り。銀粉蝶さん、やはり、適役。
古田さんも、役に合って、実に良かったし、橋爪さんも、「ハイパー」より、ずっと、橋爪さんであるべき必要性を感じた。
ただ、アンサンブルの役者さん達は、動きは、演出の言う通り実践できて、素晴らしかったのですが、まだ経験不足な方が多いせいか、台詞が明瞭に聞き取れない方が多く、その点は残念でした。

やっぱり、こういう、本当に頭脳明晰な劇作家の書く芝居は、脳と心を刺激してくれて、演劇の醍醐味を思う存分感じました。

ネタバレBOX

あの事件を、書道教室に設定にした、野田さんのアイデアに、まず心底感嘆しました。字を書き、写経する内に、刷り込まれていく危うい情報の怖ろしさが、ストーリー展開上、違和感が全くなく、だからこそ、他の芝居にも増して、野田流言葉遊びの術が生きて来る、素晴らしい構成術。

野原に置きざられた、中からは開けられない冷蔵庫とか、ギリシャ神話とかと結びつけるアイデアも、とにかく、他の作者には、思いもつかないような、野田さん独自の知恵の凝縮した、スゴイ作品でした。
あんな大それた事件を起こす集団だと認識していなかった、テレビの中のワイドショーメンバーの呑気な笑い声と、テレビ番組のリアルさにも、身の毛がよだつ思いがしました。


あの事件の生々しい記憶がやや風化し始めた折に、静かな怖ろしさの再体感で、気持ちがザワザワとしました。
血や、猛毒の薬は実際目に見えないのに、書道教室の床に流れた、夥しい墨汁の跡が、どんなリアルな小道具より、数等不気味に見えました。

フツウが、だんだんんと変容して行く様子が、本当に壮絶な感覚で、観る者の心に刺さる、衝撃の舞台でした。

重い気持ちを引きずって帰ろうとしたら、後ろから、「ねえ、あの弟役の俳優、良かったね。誰だか知らないけど…」という、声が聞こえ、かなり以前からのチョウ・ソンハさんファンとしては、大変嬉しい気持ちになり、少し、気持ちが明るくなれて、幸いでした。
フロッグとトード ~がま君とかえる君の春夏秋冬~

フロッグとトード ~がま君とかえる君の春夏秋冬~

シーエイティプロデュース

博品館劇場(東京都)

2007/07/27 (金) ~ 2007/08/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

初演は最高でした
昨年の再演は、川平さんが変にいじってしまい、何だかがっかりでしたが、初演のこの舞台は、私の観劇人生でも、ベスト20には入るような素敵な素敵な舞台でした。
演出、脚本、衣装、照明、音楽、美術、キャスト…、何を取っても一級品の舞台!!
子供達にも、四季のミュージカル以上に絶対必見にしてほしい作品でした。
もう、カタツムリさんのお手紙運び、最高でした。

沈没のしらぬゐ【池袋演劇祭にて豊島区町会連合会会長賞受賞!!有難う御座いました!!】

沈没のしらぬゐ【池袋演劇祭にて豊島区町会連合会会長賞受賞!!有難う御座いました!!】

蜂寅企画

小劇場てあとるらぽう(東京都)

2012/09/05 (水) ~ 2012/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

恩師に、時代劇作家中尾ありと報告したくなる
今でも、心の中に往き続ける、時代小説の大家である、我が恩師に、「知り合いの中尾さんという劇作家が素晴らしい才能なんですよ」と墓前に報告したくなってしまいました。(バックの中の遺影には、早速報告しましたが…)

旗揚げから、拝見していますが、今回の作品は、今のところ、最高傑作だと思います。

人物一人ひとりの心情が丁寧に描かれているし、観客に、情報提示する、脚本の頃合が絶妙で、構成の巧みさに感心します。

舞台セットのセンスも抜群。

役者さんも、公演の度に、進化されて、有名な脚本家の作品を、商業演劇で上演する時代劇などより、悠にクオリティの高い作品でした。

ただ、欲を言うなら、髪型と、帯に、もう少し、配慮がほしいと思いました。
特に、花嫁姿の場合において。

会話の中に、人魚のたとえ話が出て来ますが、ヨーロッパならともかく、あの時代の日本で、人魚という概念があったかしらと、その部分も、ちょっと違和感を感じました。
「浦嶋太郎」の方は、似たような伝承が、中世から伝わっていた筈で、OKかなとは思うのですが。

ネタバレBOX

花嫁の死因を、関係者が、それぞれ、証言していく構成。

導入部分から、観客の興味を持続させる、脚本の構成の巧みさに、舌を巻きました。

何人かの関係者の証言によって、構成する芝居は、ともすると、時間経過が不明瞭になったり、同じような場面が微妙に変化しつつ、何度も繰り返されたりして、観客としては、頭が混乱したり、結局、何が真実なのか見えなくなって難解な芝居になりがちですが、中尾さんの脚本は、その情報提示の頃合や、人物の心情描写の順序設定などが、絶妙で、ストーリー運びとしても、矛盾が一切なく、終始不愉快な気持ちにさせられずに済み、爽快でした。

登場人物の人数や、性格づけ、エピソード、他の人物との関係性等、全てが、脚本的に卓越していました。

見終えてみたら、悪人が誰もいなかったなと気づき、その点でも、好感触でした。

キャストの皆さんも、それぞれ、役をしっかりと生きて良い演技をされていましたが、特に、たつき役の山口さんの健気さが、胸に沁みました。
マイワン・アンド・オンリー

マイワン・アンド・オンリー

東京グローブ座

青山劇場(東京都)

2012/03/10 (土) ~ 2012/03/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

極上の愛の賛歌
観る前は、かなり迷いましたが、行って本当に良かった!

素直に感動しました。

単なる、お気楽な、ボーイ・ミーツ・ガールの良くあるミュージカルかと、高をくくっていたのですが、してやられっぱなし。

久しぶりに、日本の上演ミュージカルで、プロの仕事ぶりを見せて頂きました。

主役の坂本さんは、所属事務所のイメージからか、真のミュージカルファンには敬遠される向きがあるのかもしれませんが、四半世紀も、ミュージカルを観ている自分的には、今や、日本の10本の指に入る、名エンタティナーのお一人ではと感じます。

大和田美帆さんも、同様で、彼女も初舞台から拝見しているので、最近の実力を観るにつけ、如何に努力されたかが、推量できます。

お二人が踊るシーンは、古き良き、アメリカミュージカル映画を観るようでした。

他のキャストも、それぞれ、役を楽しく演じられ、久々、観ているだけで、幸せになれる、素敵な作品でした。

最近、翻訳ミュージカルを観る度、違和感ある訳詞にゲンナリすることが多かったのですが、この訳詞は、グッドフィットでした。

ガーシュインの音楽が良いのはもちろんですが、訳詞がしっくりしているので、素直に舞台に酔いしれることができて、満足でした。

最後のカーテンコールで、ミュージシャンの挨拶を、映像で済ませたのも、奥ゆかしくて、好印象でした。

最近、やたら、出演者以上に、目立とうとして、最後に、我が物顔で挨拶するある指揮者に辟易しているので、この奥ゆかしさには、敬意さえ感じました。

昔から、何千という演劇を観て来ましたし、たくさんの演劇人や業界人にも会いましたが、とかく、プロ中のプロ程、出しゃばらず、謙虚なものですね。

ネタバレBOX

なかなかに含蓄のあるストーリー展開でした。

結婚式での牧師の祝辞には、思わず目頭が熱くなりました。

川平さんのミスターマジックスは、出番は少ないけれど、最高のインパクト。

鈴木綜馬さんは、珍しい憎まれ役を軽妙に演じ、大和悠河さんは、宝塚ファンの方には不満が出るのではと危惧していたら、最後の方で、カッコいい決めポーズもあり、アンサンブルの皆さんのレベルも高く、まさに、これぞ、スタンダードミュージカルという醍醐味に満ち溢れて爽快でした。

やっぱり、演出・振り付けが、本場の方だからでしょうか?

いつも、このぐらいのレベルのものを見せて頂けたら、チケット代も高いとは感じないのにね。

照明の美しさも殊の外で、この照明で、うまく場転をする技術にも感嘆!

とにかく、全てにおいて、プロの仕事を見せて頂いた感じがします。

この公演は、坂本さんや大和田さんを食わず嫌いな方にも、できれば是非観て頂きたくなる舞台です。
ミス・サイゴン

ミス・サイゴン

東宝

青山劇場(東京都)

2012/08/22 (水) ~ 2012/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

新妻キム、更に良し!!
今日は、当初観る予定ではなかったのですが、ひょんなことから、観劇。

先日、新演出に、驚嘆したので、今日は、わかった上で、丹念に、注視して、再観劇。更に、満足度が高まりました。

先日は、気づかなかった、エレンの新曲も、よく耳を欹てて聞いたところ、メロディは、以前の曲の方が印象深いものの、内容的には、エレンの心情を良く説明していて、理解度が増した気がしました。

新妻さんのキムは、初演の時には、ぎこちなかったのですが、その後、いろいろな難役を経験されて、深みの増したキムとして、戻っていらっしゃいました。

こうなると、知念キムも、もう一度拝見したくなりますが、時間もチケットもなくて、残念無念。

相変わらず、幼少のタム役者君に、脱帽!

ネタバレBOX

いつも、公演中盤から、市村さんのアドリブが加速するので、今回も危惧していたら、先日は、なかった台詞が幾つか加味されていました。

今日のところは、舞台内容に支障がない範囲ですが、基本的に、コメディでない作品に、あまり個人的なアドリブを持ち込むことには、賛成出来かねる思いがあります。

客席のカーテンコールの拍手が、喜びに満ちていて、一緒に行った長男が、幕間に、「ミス・サイゴンって、こんなに、面白い作品だったっけ?」と驚いていました。彼も、本田美奈子さんと岸田聡さんのコンビから、観て、今回の観劇は4回目でした。

満席の理由がよくわかる、素晴らしい、改良「ミス・サイゴン」、更に、実感を強めました。
演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地 『Disk』

演劇集団 砂地

シアタートラム(東京都)

2013/01/24 (木) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

濃密かつ秀逸極まる!
今まで観た全ての芝居が陳腐に思えると錯覚してしまう程、まるで上質な翻訳劇のような、味わい高度な作品でした。

人物の一挙手一投足、台詞の一字一句に、目も耳も一瞬たりとも離せない、濃密度の濃い舞台でした。

こういう硬質な演劇を構築できる船岩さんの才気に、衝撃を受けます。だって、私の長男より、年下でいらっしゃるのに…。

途中まで、この作品の観劇には不釣り合いな若い女性のけたたましい笑い声が後ろから聞こえたのですが、後半は、固唾を呑んで凝視していたような気配。彼女に、感想を聞いてみたい気がしました。

これ、外国語に翻訳して、オフブロードウエイとかで上演したら、トニー賞とか取るようなレベルの舞台ではないでしょうか?

ネタバレBOX

開幕前に田中さんがひたすら走るのも、落下物と共に人物が登場するのにも、きちんとした意味合いが理解できて、どこかの誰かさんのマンネリ演出とは雲泥の差を感じました。

カバンや衣類の落下は、対人する人間の心の中に、その人物の存在がドスンと音を立てて、落下するという印象を受けました。

言い争いなどの台詞の応酬に、自然さが溢れ、まるでドキュメンタリーを観ているかのよう。

説明台詞がほとんどないにも関わらず、この登場人物一人一人の心象描写が機目細やかで、彼らのこれまでの人生の呻きが、自分の経験かと錯覚するような、不思議な感覚が走りました。

死んでしまった恋人が、何度も、恋人に向かって「描かないの?」と同じ台詞を口にしますが、観客は、その都度、この主人公の心の内に同化して、疑似体験することで、この繰り返しの台詞が、どんどん重く響く感じがするんです。

兄と妹の関係、二人の両親の関係が、観ている私にまで、伝染し、心が呻くような思いがありました。

他の登場人物達の何気ないような台詞の中にも、たくさん共鳴する部分がありました。

砂地体験は、これで3度目ですが、これだけ、独自性のある息詰まるようなオリジナルを生み出せる船岩さんには、これからも、どんどん、古典をモチーフにしない創作も期待してしまいます。

最後のシーンで、外国にあるという設定の自販機に、伊右衛門らしき、純日本的なペットボトルが見えたのだけが、やや残念でした。

あー、それにしても、田中壮太郎さん、ファンになって10年くらいになりますが、益々好きになりました。

妹役の小瀧さんも、かなりご出演作を拝見していますが、今回が最高!昔観た「ミスターグッドバーを探して」を思い出してしまって、自分には全く経験ないこの女性のトラウマが、己の過去のように感じて、自分も、昔、兄にキスを迫ったような気さえしました。私、一人っ子なのに…。
吉例顔見世大歌舞伎

吉例顔見世大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2016/11/01 (火) ~ 2016/11/25 (金)公演終了

満足度★★★★★

ニ左衛門さんの至芸に酔う
成駒屋さんの襲名公演以上に、もう一度、ニ左衛門さんの綱豊卿を拝みたくて、夜の部を観劇しました。

何度も、観た御浜御殿ですが、拝見する度に、綱豊のキャラクターが確立される様に圧倒されます。

それに、本当に、真山青菓の台詞劇の巧みさには、その都度、舌を巻くばかりです。

一時期、歌舞伎役者としての演技がふら付いた感のあった染五郎さんの助右ヱ門も、見事に復活されて、安堵しました。

肝心の、芝翫さんの「盛綱陣屋」の方は、幸四郎さんの台詞が籠り、3階席にまでは明瞭に聞こえなかったのが残念でした。
そのため、周囲の席の方々も、左近君の登場までは、眠くなったと、異口同音に話していました。

成駒屋への掛け声以上に、「高麗屋!」の掛け声が、連発されるのも、ちょっと考え物だと思えてなりません。

ネタバレBOX

口上での、成駒屋さんの3人のお子さんの成長に、目頭が熱くなるばかりでした。

三田寛子さんのアイドル時代からのファンなので、どんなにか、息子達の成長振りに、目を細められているかと思うと、同じ母親として、いろいろな思いが交錯します。

新、橋之助さんには、特に、兄弟の長としての風格があり、本当に、今後のご活躍が楽しみでなりません。

「芝翫奴」は、福之助さんの初日のようでしたが、腰はもう少し、落とした方が良いとは思うものの、若さが溌剌とした舞踊に、大いに元気をもらいました。

お父様のペナルティを、3人の頼もしいご子息が、払拭してくれると、信じています。
たいこどんどん

たいこどんどん

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2011/05/02 (月) ~ 2011/05/26 (木)公演終了

満足度★★★★★

下世話が光放つような演出に、陶酔感あり
迷いましたが、これは観て正解でした。

6歳の頃からの橋之助ファンとして、嬉しく思える作品でした。

現代歌舞伎の趣のある、大変スピーディな道中物で、長時間の観劇を感じさせない芝居でした。

改めて、井上ひさしさんの偉才ぶりを痛感すると共に、井上作品と、蜷川さんの相性の良さを実感しました。

ネタバレBOX

幕開き後しばらくは、古田さんの早台詞がほとんど聞き取れず、このまま行くのかと心配になりましたが、きちんんと会話は聞き取れ、ほっとしました。

たぶん、古田さんは、狂言回し的な解説台詞は不向きな役者さんだなと感じますが、でも、この太鼓もちの役は、大変任に合っていました。愛嬌ある役なので、ピッタリだったと思います。

橋之助さんは、子供の頃から、素質のある役者さんでしたが、今回、初めて彼の歌を聴いて、驚きました。なかなか巧いんですもの。声もいいし…。

また、彼の歌う芝居、観たくなりました。

心配していた鈴木京香さんも、何故か、映画の演技よりずっと良かったし、宮本裕子さんが、相変わらず、見事な猥雑感を醸し出して、絶品艶技!同性の私が観ても、何かドキドキでした。

地味ながら、市川夏江さんが、良い老女ぶり。昔の新国劇を思い出してしまう雰囲気がありました。

大林さんは、背が高いせいもあるでしょうが、普段着物を着ている女性に見えず、借りてきた猫みたいな風情が残念でした。彼女が登場すると、突然、アマチュアの芝居のようになってしまうので。

モンキーズの「デイドリーム・ビリーバー」が、時代劇なのにも関わらず、うまく劇中に取り入れられていて、暗転が楽しく感じました。

3・11以来、何度も耳にする地名がたくさん出て来る芝居で、最後の場面、主人公二人の見聞きした江戸の現状が、今の日本の置かれた状況とダブり、心をざわつかせましたが、作品全体の空気は、大変痛快で、娯楽時代劇の様相でした。

心からのカーテンコールの拍手が何度も続き、久しぶりに、コクーンで、満足感を得られた公演でした。

いつか再演があるなら、この太鼓もち役、今度は浅野和之さんか、段田さんで観てみたい気がします。

ただ、一つ思ったのは、もう鏡はいいんじゃないかな?いい加減、マンネリ感あり。
八百屋のお告げ

八百屋のお告げ

グループる・ばる

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2006/11/17 (金) ~ 2006/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

もう一度観たい
もうね、これは、本当に、最高でした!
聡さんと裕美さん、両鈴木さんの、最高傑作のひとつだと思います。
松金さんのあの演技、もう一度生で観たいです。
再演してくれないかなあ?

シャドーランズ

シャドーランズ

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2010/01/06 (水) ~ 2010/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

静謐な愛の物語
思った通り、春風ひとみさんの出演が、この作品を成功作に導いていました。
春風さんが、舞台に登場した途端、舞台が波打ち、みるみる気持ちが引き込まれて行くのがわかり、二人が心を通い合わせて行く気持ちに寄り添いながら、最後まで、見守ることができました。
日本人では、なかなか口にしないようなストレートな愛情表現も、加藤さんと春風さんの口から発せられると、なんの違和感もなく、素直に感情移入できて、清々しい気持ちになりました。

取り立てて、センセイショナルな物語進行ではないので、春風さんでなく、演出が鵜山さんでなければ、これ程、感動的な舞台に形成するのは、難しい題材だったかもしれません。
それに、ストーリーに重要な役どころの子役さんが、本当にいい演技をされて、お二人の名演に水を注さなかったのが、救いでした。
主人公の、神に対する思いが、彼女との関係を通して、微妙に変化して行く様子も、静かな流れの中で丁寧に描かれ、主人公の思いを、観客が追体験できるような上質な舞台でした。 

若かりし頃、ズートルビの一員として、バラエティタレントだった新井さんが、中年になって、得がたい役者さんになられたことも、感慨深く拝見しました。
「ナルニア国物語」、読んでみたくなりました。

ネタバレBOX

昨日、大切な友人の訃報を聞いたばかりなので、涙が禁じえませんでした。
洋服ダンスのセットと照明の工夫が素晴らしく、童話の世界に自分も誘われた気持ちになりました。
身近な家族や友人に、ありったけの愛情を注いで、毎日を潔く生きたい思いに駆られる、素敵な物語でした。

このページのQRコードです。

拡大