モリー先生との火曜日 公演情報 加藤健一事務所「モリー先生との火曜日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    賞賛に値する真の感動作
    かなり以前、「週間ブックレビュー」で紹介された時から、ずっと気になっていた作品の舞台化。もっと、朗読劇に近い雰囲気なのかと想像していましたが、さにあらず。私が過去に観た2人芝居の中でも、最高作の一つに数えられる、秀作舞台でした。
    とにかくまず驚いたのは、高橋さんの役者としての進化の目覚しさ。過去にかなり高橋さんの舞台は観ていますが、こんなに硬くない彼の演技は初めて観たように思います。加藤さんも、ここ数年、幾度か台詞を咬むことが多々あったのに、この舞台では、そんな気配は微塵もなく、活舌も良く、本当に、お2人の演技表現が過剰にならず、シンプルだったので、自然に、このストーリー世界の住人になることができました。この年齢になっても尚、演技者としての進化を続けているお2人の表現者に、まずは、心底敬服の念を抱きました。

    高瀬さんの演出も、作品の良さ、誠実さを損ねることのない、程の良さ。決して、過剰にならず、感動の押し売りもせず、ジワジワと胸に浸透する秀逸な感動の漣が心地良く感じられました。
    モーリー先生の人柄と、その師に魅了されて行く生徒の心の交流が、実に自然に描かれて、間違っても、お涙頂戴ものの作りでないことが、何より嬉しく感じました。
    良い作品があり、それを見事具現化した、キャスト、スタッフの、並々ならぬ力量の結集作。
    モーリー先生の住居は、彼の心の内のようにシンプルで、清々しく、セット、照明、音楽、場転のスタッフの動き、全ての舞台表現が、この作品の良さを阻害することなく、テーマと一体化していました。

    最後のカーテンコールの、観客から発せられる、本物の感動の拍手が、とても耳に心地良く、心の奥底までずっと響いていました。

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    2010/06/15 01:34

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