ミリオンダラー・カルテット 公演情報 TBS「ミリオンダラー・カルテット」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    陰の名プロデューサーの悲哀に涙
    たぶん、日本広しと言えど、こんな気分で、泣きながら、この舞台を観ていたのは、私一人だけかもしれない。

    この歴史的一夜の出来事は、私がまだ2歳の冬。ですから、当然、この出来事に個人的思い入れも皆無なら、プレスリーを、当時、テレビ映像で観た以外は、後の3人の歌手のことはほとんど知りません。

    では、何故、こんなに、涙が頬を伝うのでしょう?

    それは、この作品が、陰の名プロデューサーの悲哀をきちんとドラマ化しているからだと思うのです。

    祖父や父や叔父や主人を通して、これまで、たくさんの無名な名プロデューサーのその世界(出版界、演劇界、映画界、音楽界)への愛情と悲哀の歴史を、山ほど見聞して来ました。

    先日も、演歌界のゴタゴタのニュースを見たりしました。

    だから、この舞台に登場する、サン・レコードのサムが、私には、祖父や父や夫の姿に見えました。何もかも、心の琴線に触れて、涙を堪えることができませんでした。

    ロックンロールの上手い下手はよくわからないのですが、キャスト陣、噂に違わず、超一流揃いでした。

    もっと、物真似ショー的なステージを想像していたのですが、さにあらず!
    本当に、素晴らしい人間ドラマでした。

    何だか、宣伝が、画一的で、ロックンロールファンでないと、観る価値がなさそうに感じる宣伝の下手さが、この作品の素晴らしさを一般に伝えていない気がして、非常にもったいないなと思いました。

    経済とHの佐藤さんが、現地でご覧になった感想をネットで発表されていて、大絶賛はされていなかったので、逆に、観てみたいと思ったのですが、行って本当に良かった!!劇場も、大変観易くて、素敵でしたし、これは音楽ファンでない方にも、是非おススメしたい舞台でした。

    ネタバレBOX

    構成が、なかなか巧みでした。

    奇跡のセッションの単なる物真似ショー的な、ストーリー性の弱いステージを想像していましたが、全く違います。

    細かい部分まで、登場人物の心象表出がしっかりと演出されています。

    ところどころで、サムの回想シーンをうまく織り交ぜ、4人のシンガーの代表曲の披露などもあり、エンタメと、人間ドラマの交互の見せ方が上手でした。

    プレスリー役のエディーさんの歌唱は、耳に覚えのあるプレスリーにそっくり。ジョニー・キャッシュ役のデレクさん、プレスリーの恋人役の女優さんの歌が抜群!カール役のリーさん、サム役の男優さんの演技の確かさ、ジェリー・リー・クライス役のリーウ゛ァイさんは、演技も、ピアノ捌きも文句のつけようがない、芸達者ぶり。

    久しぶりに、質の高い来日ミュージカルに魅了されました。

    最後に、サムが育てた歌手が、皆自分から離れて行くことを知らされた彼が、「記念写真を撮ろう!」と提案して、シャッターを切った瞬間、一瞬場内が暗くなり、フラッシュがたかれ、明るくなると、実際の4人の本物の記念写真が壁に映し出され、客席に歓声が沸きあがりました。

    何と、感動的な幕切れかと、更に涙で、見えなくなってしまいました。

    その後の、カーテンコールでの、ミニコンサートは、往年のファンの方には溜まらないスペシャルサービスのひと時でした。

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    2012/09/13 21:22

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