ミュージカル 「TOP HAT トップ・ハット」
梅田芸術劇場
東急シアターオーブ(東京都)
2015/09/30 (水) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
レベル高いキャスト陣で、ワクワクの舞台
ストーリーは、お定まりの、単純なたった一つの勘違いを延々引き摺る話で、何ということはないのですが、何と言っても、美しく揃ったダンスシーンの見せ場の連続に、心躍りました。
キャスト陣は、演技力も確かな方ばかりで、役柄に合った、容姿端麗な出演者の舞台表現力は、誰一人存じ上げなくても、終始、観る者を惹きつける魅力に満ち溢れていました。
やはり、シアターオーブの来日ミュージカルは、どれも、クオリティが高くて、嬉しくなりますね。
今日は、友人の恩師のノーベル賞受賞の朗報もあったし、久々に、心躍る一日になりました。
第十七捕虜収容所
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2015/09/29 (火) ~ 2015/10/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
客演陣との違和感もなく、全て秀逸
内容は、以前、鈴木裕美さんの演出舞台を観ていたので、知っていました。
だから、スパイが誰か、最初から知っているのですが、それでも、展開に、終始目が離せないインパクトのある舞台でした。
主役のセフトンを演じた土田さんは、初見の俳優さんでしたが、一目で、その魅力に取りつかれました。小劇場で、こんなに華がある俳優さんを観るのは、久しぶりでした。
鈴木演出の舞台とは、スパイが誰かがわかる場面の設定がちょっと違うように記憶していますが、今回の舞台の方が、舞台ならではの緊迫感があり、演劇の醍醐味を感じさせて頂けました。
青年座初見の友人が、すっかり、劇団の虜になって、帰って行ったのが、創立以来応援していた父の娘として、大変嬉しい出来事でした。
期待に応えて下さった青年座に感謝!
NINAGAWAマクベス
ホリプロ
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2015/09/07 (月) ~ 2015/10/03 (土)公演終了
満足度★★★
再演なら仕方ないか
きっと、初演当時は、斬新この上ない演出だったろうと思います。
でも、さんざん蜷川さんの舞台を観ているせいか、え、またこういう手法?と思う部分も、多々ありました。
さいたまネクストシアターの若い俳優さん達、健闘していますが、やはり、台詞が明瞭でない難点がかなり見受けられました。
吉田さんも、最初から、叫び過ぎな感じが…。
とにもかくにも、市村さんが、お元気に、楽日を迎えられたことを、拍手喝采したい心境でした。
照明と、美術は、大変幻想的で、美しく、この舞台が、外国で、賞賛された理由はよくわかります。
でも、何故、舞台が日本に置き換えられているのに、役名が原作どおりなのか、演出意図がわかりませんでした。これなら、「蜘蛛の巣城」の舞台化で良かったような気もするのですが…。
カタルシツ『語る室』
イキウメ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/09/19 (土) ~ 2015/10/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
心が洗われるファンタジー仕立て
たぶん、現実社会があまりにも、不条理の連続だから、今回の前川作品には、救いが用意されていたのかもしれないと、観ながら、作者の姿勢に感銘を受けました。
いつもの得体の知れない、不気味さはなく、久々に、誰にも、悪意のない、爽やかな劇後感の残るファンタジーでした。
不条理な運命に抗うことはできなくても、与えられた運命の中で、人間同士、できる限り、お互いに傷つけ合わずに、相手の気持ちに想いを馳せ、支え合いながら、生きて行こうよと、作者の前川さんが、今の世に、そっとメッセージを込めた作品なのではないかと感じました。
安倍政権のせいで、最近、心労が絶えず、体調不良でしたが、前川さんの静かなメッセージに、久しぶりに、舞台のマジックに、癒された帰路でした。
同じ国に生まれた、人間同士、できる限り、相手の想いを尊重して、他者の心に、土足で踏み込む生き方はしないで済むようにと、この芝居に癒されながら、痛切に願った観劇タイムでした。
RED レッド
シス・カンパニー
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2015/08/21 (金) ~ 2015/10/04 (日)公演終了
満足度★★★
セリフ劇としては致命傷
ひょっとしたら、難解な芝居ではないのかもしれません。
台詞がきちんと聞こえてさえいれば…。
むしろ、単純明快な、人間関係を描いた芝居なのかもしれません。
台詞が、聞き取れてさえいれば…。
語られる、様々な人物について、知識がなくても、たぶん、語られるセリフが耳に届けば、それほど、理解不能な芝居ではないと思えました。
小栗さんの舞台は、たぶんほとんどを観劇しています。
初舞台から、ずっと拝見しているので、舞台俳優としての進化を目の当たりにして、いたく感激もしました。
でも、残念ながら、彼が、自身の過去を語るシーンで、その呟くような台詞が、全くと言っていいほど、聞き取れないのです。
舞台役者としての経験豊富な田中さんでさえ、時々、聞き取れない語りをされていました。
これは、役者側の責任と言うよりは、演出側の不備だと感じます。
お二人が、せっかく、濃密な芝居を展開しているのに、会話劇としての、この実情には、致命傷的な欠陥を感じて、大変残念でした。
二人だけのお葬式
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2015/09/17 (木) ~ 2015/09/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
山路さんの魅力炸裂
青年座の舞台に、もっと頻繁に山路さんにご出演頂きたい、ホーム山路ファンとしては、この上なく、嬉しくなる演目でした。
岡本家の実情は、常人には、理解し難い部分もあるのですが、この作品の描岡本家の家族の在り方には、大いに共感できる部分がたくさんありました。
かの子の不思議な魅力に翻弄されながら、その生き方を喜びに変えて暮らす男達の在り方に、たくさんの男性の魅力が詰まっていた気がします。
かの子役の、津田さんは、佇まいの表現は絶品でしたが、何度か、大事な台詞を噛まれたのは、やはり残念でした。
新劇嫌いで有名だった、亡き父が、青年座だけは、旗揚げからずっと応援していました。私と同い年の青年座は、常に、時代と共に変化しながらも、成長と進化を確実に成し遂げて、本当に、頼もしい劇団だと、改めて、認識しました。
これからも、どんなジャンルの芝居でも、超一流で、あり続けていただけるものと確信しています。
赤坂大歌舞伎
松竹
赤坂ACTシアター(東京都)
2015/09/07 (月) ~ 2015/09/25 (金)公演終了
満足度★★★★
見事な七之助七変化!
初演の時には、老女役の演技が発展途上でしたが、今回の舞台では、七之助の七役の演じ分けは、お見事な成長ぶりを遂げていました。
台詞回し、声音、物腰、どの役も、きちんと、その人物の人となりを、表現できる才気を、この数年で体得された努力に、敬意を表します。
玉三郎さんの御指南の賜物と思うと同時に、七之助さんの歌舞伎役者としての覚悟を観た気がして、心底嬉しくなりました。
国生さん、新伍さん、鶴松さんの成長にも、目を見張りました。
中堅役者さんを次々失って、今後の歌舞伎の行く末が心配になりますが、こうして、若手が力をつけているのを観ると、将来への希望を感じます。
デモも、歌舞伎も、若い力が育っていることに、心から、期待します。
ブロードウェイミュージカル「PIPIN ピピン」
キョードー東京
東急シアターオーブ(東京都)
2015/09/04 (金) ~ 2015/09/20 (日)公演終了
満足度★★★★
とても哲学的でした
若い頃に、日本人キャストで観た時には、あまり理解できない内容でしたが、還暦を過ぎた今観ると、とても哲学的なストーリー展開だったことに気づかされました。
キャストが、皆さん、実力派で、アクロバットとストーリーが、見事に融合して、素敵なエンタメステージを堪能しました。
デモに行かずに、劇場で、観劇している後ろめたさを感じながら、どうか、こういう素晴らしいステージを心から楽しめる平和な時代が続いてほしいと念じて観ていました。
オールスターチャンピオンまつり『五右衛門vs轟天』
劇団☆新感線
赤坂ACTシアター(東京都)
2015/07/29 (水) ~ 2015/09/03 (木)公演終了
満足度★★★
イベントとしては大成功
芝居としての評価は、全く不能ですが、お祭り、ファンイベントとしては、大成功!
客席で、新感線ファンとして、見守っていると、何故か幸せな気分に満ちて来ます。
とにかく、35年間も、これだけ、力技を貫いて、観客を楽しませてくれる劇団の力に、ただただ感謝したくなりました。
とうとう、30代の役者さんが皆無になったのだとか。
皆さん、体を張って、演劇を続けて下さっているパワーに、脱帽します。
閣下の特別出演も、嬉しかった!
まだまだ、活力を漲らせて、観客を楽しませて下さることを期待しています。
外交官〈前売券完売/当日券若干枚あり〉
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2015/07/31 (金) ~ 2015/08/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
骨太の歴史フイクション劇を堪能
やはり期待通りのコラボレーション舞台でした。
「東京裁判」同様、野木さんの創造する歴史フイクションドラマの、史実と見紛うまでの緻密な構成劇に、心底脱帽しました。
パラドックス定数の役者さんも、演技力には劣るところはないものの、年齢的に幅がないので、今回の青年座書下ろしの芝居には、早くから期待感を持っていました。
重厚な脚本、ぶれない演技力の結集、シンプルな舞台に、時代の流れを見事に投射した、演出力、三位一体のプロの演劇人の描く舞台の力に圧倒されながら、最後まで、目の離せない芝居でした。
今の時代に、多くの人に観て考えて頂きたい作品だと思います。
トロイラスとクレシダ
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2015/07/15 (水) ~ 2015/08/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
戦争の愚かしさ
蜷川演出で以前観た作品ですが、鵜山さんの演出には、人間と、戦争の愚かしさと、それによって起こる悲劇が、より鮮明に描かれていたように思います。
個性的な文学座の役者さんと、商業演劇畑の役者さんのコラボが、成功していました。
小田島さんの訳は、歌舞伎の隠語のように、耳を欹てて、聞くと、かなり意味深な台詞が多く、卑猥な言葉が、うまく修飾されて、さすが、プロのお仕事だなと感心しました。
戦争は、いつの世も、実に愚かしい理由から始まり、それに翻弄された人達は、勝っても負けても、多くの痛みと犠牲を伴うものだという事実が、いつになく、胸に迫る舞台でした。
どんな戦争にも、正義などないし、結局は、意に沿わない相手を抹殺するために行われる殺人行為でしかないということを、わが国の愚かな為政者達に、思い知らせたくなります。
エリザベート
東宝
帝国劇場(東京都)
2015/06/11 (木) ~ 2015/08/26 (水)公演終了
満足度★★★★
更に深みの増した花總エリザベート
今日は、井上トート、田代フランツ、京本ルドルフ、剣ゾフィー、山崎ルキーニ初見。
想像通り、井上トートは、見た目は美しいものの、エロティシズムが、かなり不足して、エリザベートとの関係性の変化に、ドキドキしない欠点が。死という、人間ではない存在の摩訶不思議な威圧感もないので、トートダンサーに埋没してしまう箇所もあり、存在感が希薄でした。コンサートで歌っている域を出ないトートでした。
山崎ルキーニには、猥雑さや凄味が不足。ただの狂言回しの域を出ず、終始、殺人犯ルキーニとしての、立居振舞が観られないのは残念でした。
京本ルドルフは、容姿端麗で、初々しくはあったものの、自殺前のダンスに、まだ型通り踊ることに気を取られているふしが見うけられました。将来が楽しみな俳優さんだと思いました。
片や、花總エリザベートは、各シーンでの演技が、より深まり、特に、「私だけに」のソロで、エリザベートの決意表明までの、心の軌跡が、手に取るようにわかる歌唱描写力に、感動を余儀なくさせられました。気品があるエリザベートで、本当に、長年待っていた甲斐があるなと嬉しくなりました。
花總、城田、佐藤、古川、香寿、尾上の組み合わせの日がもしあれば、是非もう一度拝見したいなと思います。
天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)
Bunkamura
東急シアターオーブ(東京都)
2015/07/15 (水) ~ 2015/08/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
楽しくて、ノリノリになれる舞台
森くみさん主演での日本人キャストの公演がとても楽しかったので、期待して、来日公演に伺いました。
キャストの歌唱力は、どなたも素晴らしく、歌を聴いているだけで、ワクワクしました。
シスター達のノリノリのダンスにも、大いに元気を頂きました。
でも、演出や、場面転換の鮮やかさは、日本版の、山田演出舞台の方が勝っていたようにも感じます。
今度は、蘭寿とむさんや、石川禅さんなど、新たなキャストも加わっての再演があるようですので、こちらも、また楽しみです。
ミュージカル『サンセット大通り』
ホリプロ
赤坂ACTシアター(東京都)
2015/07/04 (土) ~ 2015/07/20 (月)公演終了
満足度★★★★
5年後あたりに再演を!
初演を安蘭さんで観たので、今回は、濱田さんのノーマを観たくて、伺いました。
宝塚時代から、美しいコンビの娘役さんとして、注目していた夢咲さんが、素敵な佇まいで、ベティ役を好演され、退団後初の役柄を魅力的に勤めれて、今後のご活躍が楽しみになりました。
柿澤さんのジョーは、屈折した売れない脚本家の心情吐露は、お見事でしたが、ノーマを虜にする、セックスアピールは、やや乏しかったような気もします。
歌唱力の点では、皆さんに、文句なし!
濱田さんは、カテコのご挨拶で、ご自身が語られていたように、第一線から退いた大女優の、長年の淋しさや情念を表出するには、まだ引き出しが少し足りなかったようにも感じます。
安蘭さん共々、後5年後ぐらいに、また再演して頂けたら、お二人とも、ノーマの境地を更に色濃く演じられるのではと、楽しみです。
阿弖流為
松竹
新橋演舞場(東京都)
2015/07/05 (日) ~ 2015/07/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
七之助の熟成演技に陶酔
私の物心ついてから、歴代一、嘘つきで、それでいながら、歴代一嘘が下手な首相が、戦後70年を数のマジックで、戦前元年にすり替えてしまった日、歌舞伎版の「阿弖流為」を観て来ました。
中島さんの脚本には、政府批判が散りばめられていたように感じます。
七之助さんの熟成演技に、陶酔しました。「お染の七役」も楽しみになる演技力の躍進ぶりに目を見張ります。きっと、お父様が、喜んで観ていらっしゃりそう!
勘九郎さんの田村麻呂も、とても良かった!萬次郎さんや、亀蔵さん、新悟さんなんどの脇役の配置もお見事。どなたも適役でした。
だけど、ちょっと残念なのは、主役の染五郎さんに、初演時の熱量が感じられなかったこと。阿弖流為の心をもっとダイレクトに表現して頂けたら、最高だったのにと、やや不満が残りました。
まあ、でも、この時代に観ると、改めて、戦争の不条理を感じるし、つくづくよくできたお芝居だと、感じます。
歌舞伎と、新感線の融合ぶりにも、感服させられました。
七月大歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2015/07/03 (金) ~ 2015/07/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
中車さん、お幸せ!!
10代の頃から、何度となく観ている「牡丹燈篭」、今回は、何と、玉三郎さんにお付き合い頂いて、歌舞伎役者としては新参者の中車さんが、伴蔵をやると言うので、これは何としても目撃せねばと、前日の戻り券を買って、歌舞伎座に馳せ参じました。
想像以上に、ドンぴしゃりの役を得て、歌舞伎役者としての所作も板につき始めた中車さんの熱演に、涙が出てしまいました。
それにしても、玉三郎さんの熟練のお峰という最強の共演者を得て、また玉三郎さんの手取り足取りの演出も受けつつ、この大役を、歌舞伎座で演じられる中車さん、本当にお幸せだと思いました。
吉弥さんのお米の幽霊っぷりも、傑作!
杉村さんが、松緑さんと演じた、大西信行版の脚本なので、いつもの歌舞伎の「牡丹燈篭」より、より現代にも通じる悲喜劇となっていて、胸に沁みる演目となっていました。
「熊谷陣屋」の方は、海老蔵の時代物に、進化が観られましたが、まだ特に言及するほどの出来映えではなく、途中、眠くなりました。
cube三銃士 Mon STARS Concert
キューブ
草月ホール(東京都)
2015/07/04 (土) ~ 2015/07/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
超楽しかった!
最前列かぶりつきの席で、3人の銃士の手作り感溢れる、饗宴を堪能しました。
タイトルの意味に気付かなかったのですが、「三銃士」で、ダルタニアンを演じた井上芳雄さんが参加しているスターズを意識したものだったのですね。(笑い)
選曲から、構成まで、出演者3人が、知恵を絞って、ファンのために、心を籠めて、用意してくださったことが、如実に感じ取れるコンサートで、本当に、幸せな一夜でした。
この日のゲストの和音さんの澄み渡る歌声も加わり、至福の時間でした。
エリザベート
東宝
帝国劇場(東京都)
2015/06/11 (木) ~ 2015/08/26 (水)公演終了
満足度★★★★★
陶酔しました
花總さんが、宝塚を退団したその日から、いつかこの日が来るのを待ち侘びていたので、感無量でした。しかも、トートは、見目麗しい城田さんだし、ルドルフは、前回評判が良かった古川さん。門外漢の松也ルキーニには、不安を感じていましたが、意外にも、かなり満足の行く及第点。
香寿ゾフィーは、申し分ないし、個人的には、今までで、最高の理想的なキャスティングでした。
周囲の観客の存在を忘れて、陶酔できた観劇は、何年振りでしょう!
個人的ベストキャスティングの日は、全部観たくなりました。
東海道四谷怪談
新国立劇場
新国立劇場 中劇場(東京都)
2015/06/10 (水) ~ 2015/06/28 (日)公演終了
満足度★★
演出意図が不明
南北大好き人間として、とても不満だらけの「四谷怪談」でした。
何もかも、中途半端な印象。
演出家が、この舞台で何を見せたいのかが、不明でした。
コクーン歌舞伎の真似したかったのかしら?と、ちょっと思ったり…。
お岩の悲哀と、伊右衛門の、人間の弱さが、表出されない「四谷怪談」は、私にとっては、フェイクでしかないと感じられました。
ホテル・スイート
劇団昴
俳優座劇場(東京都)
2015/06/20 (土) ~ 2015/06/27 (土)公演終了
満足度★★★★
人情の機微に心震えた
やはり、人間関係の微細な描写力に掛けては、ニール・サイモンの右に出る作家はいないなと思いました。
一柳さんと宮本さんの、ニコルズ夫妻の関係は、一般的にはあまりない事例ですが、お二人の演技が素晴らしくて、まるで、ドキュメンタリーを観ているかのように、感情移入して、何度も涙腺が緩みました。
片や、もう一方のマイケルズ夫妻の方は、シチュエーションコメディ担当で、こちらには、大いに笑わせて頂きました。
酒井さんの演出が、素敵な塩梅で、この二組のカップルに、命を与え、観ていて、とても心地よいお芝居でした。
現実社会が、何もかも不安でいっぱいな昨今、せめて、芝居でぐらい、こういう素敵な人情に触れて、心を潤したくなります。