満足度★★★★★
七之助の熟成演技に陶酔
私の物心ついてから、歴代一、嘘つきで、それでいながら、歴代一嘘が下手な首相が、戦後70年を数のマジックで、戦前元年にすり替えてしまった日、歌舞伎版の「阿弖流為」を観て来ました。
中島さんの脚本には、政府批判が散りばめられていたように感じます。
七之助さんの熟成演技に、陶酔しました。「お染の七役」も楽しみになる演技力の躍進ぶりに目を見張ります。きっと、お父様が、喜んで観ていらっしゃりそう!
勘九郎さんの田村麻呂も、とても良かった!萬次郎さんや、亀蔵さん、新悟さんなんどの脇役の配置もお見事。どなたも適役でした。
だけど、ちょっと残念なのは、主役の染五郎さんに、初演時の熱量が感じられなかったこと。阿弖流為の心をもっとダイレクトに表現して頂けたら、最高だったのにと、やや不満が残りました。
まあ、でも、この時代に観ると、改めて、戦争の不条理を感じるし、つくづくよくできたお芝居だと、感じます。
歌舞伎と、新感線の融合ぶりにも、感服させられました。