七月大歌舞伎 公演情報 松竹「七月大歌舞伎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    中車さん、お幸せ!!
    10代の頃から、何度となく観ている「牡丹燈篭」、今回は、何と、玉三郎さんにお付き合い頂いて、歌舞伎役者としては新参者の中車さんが、伴蔵をやると言うので、これは何としても目撃せねばと、前日の戻り券を買って、歌舞伎座に馳せ参じました。

    想像以上に、ドンぴしゃりの役を得て、歌舞伎役者としての所作も板につき始めた中車さんの熱演に、涙が出てしまいました。

    それにしても、玉三郎さんの熟練のお峰という最強の共演者を得て、また玉三郎さんの手取り足取りの演出も受けつつ、この大役を、歌舞伎座で演じられる中車さん、本当にお幸せだと思いました。

    吉弥さんのお米の幽霊っぷりも、傑作!

    杉村さんが、松緑さんと演じた、大西信行版の脚本なので、いつもの歌舞伎の「牡丹燈篭」より、より現代にも通じる悲喜劇となっていて、胸に沁みる演目となっていました。

    「熊谷陣屋」の方は、海老蔵の時代物に、進化が観られましたが、まだ特に言及するほどの出来映えではなく、途中、眠くなりました。

    ネタバレBOX

    円朝と、馬子久蔵の二役の演じ分けが見事だった、勘三郎さんの姿を偲びつつ、新配役の「牡丹燈篭」を心から楽しませて頂きました。

    たぶん、適役だろうと予想した、中車さんの伴蔵は、所作も台詞も、合格点に近く、この先も、こういう世話物を中心にして、歌舞伎役者としても、精進されたいと、心底期待感が膨らみました。

    大西脚本は、歌舞伎の演目で、ともすると冗長になる場面や、登場人物をカットして、枝葉末節を切り捨てて、より、伴蔵とお峰の、夫婦関係の変遷を、濃密に、見せて、人間ドラマとして、秀逸でした。

    特に、いつも、伴蔵の豹変ぶりが、どこか腑に落ちないと感じる、殺し場が、土手の殺人ではなく、お六の夢遊病者のような風体に誘発されての殺しにしたことで、人間の心に住み着く、一瞬の魔がさした殺人として描かれて、ストーリーに真実味が増し、余計、幽霊に翻弄された仲良し夫婦の悲劇が、胸に迫りました。
    海上自衛隊の父親による、子供4人の焼死事件があったばかりですが、彼も、この伴蔵のように、魔がさしたのではと、人間の業のようなものは、いつの時代にも、共通するなあと、感慨深くなってしまいました。

    玉三郎さんの声が、3階席までは届きにくいのだけが、ちょっと残念でした。

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    2015/07/09 01:57

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