カタルシツ『語る室』 公演情報 イキウメ「カタルシツ『語る室』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    心が洗われるファンタジー仕立て
    たぶん、現実社会があまりにも、不条理の連続だから、今回の前川作品には、救いが用意されていたのかもしれないと、観ながら、作者の姿勢に感銘を受けました。

    いつもの得体の知れない、不気味さはなく、久々に、誰にも、悪意のない、爽やかな劇後感の残るファンタジーでした。

    不条理な運命に抗うことはできなくても、与えられた運命の中で、人間同士、できる限り、お互いに傷つけ合わずに、相手の気持ちに想いを馳せ、支え合いながら、生きて行こうよと、作者の前川さんが、今の世に、そっとメッセージを込めた作品なのではないかと感じました。

    安倍政権のせいで、最近、心労が絶えず、体調不良でしたが、前川さんの静かなメッセージに、久しぶりに、舞台のマジックに、癒された帰路でした。

    同じ国に生まれた、人間同士、できる限り、相手の想いを尊重して、他者の心に、土足で踏み込む生き方はしないで済むようにと、この芝居に癒されながら、痛切に願った観劇タイムでした。

    ネタバレBOX

    後半、全ての登場人物の関係性が見えて来ると、、この芝居の、人間愛に、何度も涙が込み上げて来ました。

    警察官が、取り調べの最中に、相手を逃がしてしまう失態には、最近の警察の不祥事と重なり、作者の予見性に、驚いてしまいました。

    戸籍のない人間は、、DV被害者の妻が、元夫の戸籍に子供が入ることを恐れて、かなり、実在すると聞いています。

    そういう、現実の不条理を、巧みに織り込みながら、むしろ、現実社会が悲惨だからか前川さんは、今回の登場人物には、全ての人間に、相手を思いやる優しさを、加味しました。

    だから、たとえ、やむにやまれず、犯罪を犯しても、全ての人物が愛おしく思えます。

    真実を知っても、相手に言わない配慮も、ある種の優しさかもしれません。

    人間誰しも、未来も過去も、どこかで、繋がっている。聖人君子なんていないけれど、お互い、同時期に生まれた人間同士、一人一人は微力でも、支え合って励まし合って、生きて行こうよと、作者が、そっと訴えている作品だったのだと、勝手に理解しました。

    最後バーベキューのシーン、本当に、胸を打たれました。

    不条理な世の中に、愛の詰まった芝居を、観て、心が浄化された思いです。
    イキウメに、感謝!!

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    2015/10/01 02:17

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