KAEの観てきた!クチコミ一覧

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節電 ボーダー トルネード

節電 ボーダー トルネード

クロムモリブデン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/12/20 (火) ~ 2011/12/30 (金)公演終了

満足度★★★★★

幸田尚子さんの魅力に酔いました
この劇団は、他に類を見ない魅力に溢れていて、いつも、感嘆しつつ、家路につきます。

青木さんの当パンのご挨拶文で、震災をモチーフにした芝居らしく、ちょっと、肩に力を入れて、身構えて見始めましたが、何だろう??

粗筋とか、全く空気を伝えられるようにコメントするのは不可能ですが、脚本、演出、振り付け、演技と、何もかもが、大変絶妙な匙加減で、一体感があり、内容の説明し辛さとか、考えてる余裕もなく、クロムモリブデン色にどっぷり染まって、観てしまいました。

たぶん、私の知る限り、どこにも似ていない、独自のカラー。
もはや、私は、クロムの魔術に魅了され、やや中毒症状かも。

ネタバレBOX

この劇団の役者さんは、全員が、大変個性的で、尚且つ、別個の魅力に溢れた方ばかりで、いつも、目を見張ります。

あの変なダンスも、すごく好き!

一見、架空の世界の出来事のような描き方ですが、これぐらい、今の社会現象を忠実に再現した芝居もないのではと感じるくらい、胸の奥が、微かに痛んだり、共感したり、感情を揺さぶられる場面が随所にありました。

誰もが魅力的で、嘘のない演技の中、特に、秀逸だったのが、どんちゃん役の幸田さん。
レイプされて、神経を病んでいる女の子の心情を、デフォルメした演技にも関わらず、実にきっちりと、実在の人間の感情として、表現して下さいました。
どんなに早口で喋っても、一言一句聞き漏らさないように、客席に伝えられる技術は大したものです。

目撃者を自慢する、とかげさんの飄々とした演技、可憐で可愛い天使のような金沢さん、大人の女性の魅力を放つワレタさんと、ここの女優陣は、それぞれ、あまりにも魅力的で、客演の七味さんの存在感が霞む程でした。

井上陽水の「傘がない」ではないけれど、被災した当事者でない者の、日常が、シュールな世界の中で、とてもリアルに描かれて、秀逸な作品でした。

竜巻をただ単に、カメラマン根性で、撮影したいだけに見えたニジが、何故に竜巻を追いかけて、シャッターチャンスを狙っているのかの本音が語られた時は、胸がジーンとしました。

神経を病み、でも必死に再生しようとする幸田さん演じるどんちゃんに、心から声援を送りたくなりました。
竜巻が去って、忙しくなくなった後の、優しく事情聴取する巡査役の森下さんの表情の変化が秀逸でした。

節電ガレキーズのパワフルな演奏シーンには、同性の私でも、メロメロになります。

とにかく、曰く言いがたい、魅力に溢れた劇団。

最後のシーンで、たくさんの一般生活者が、普通の生活をしている日常を切り取った光景が、同一人物が演じ分けているとは思えない程、誰も彼も、実在人物のように、立ち居振る舞いしていて、何という、底力に満ちた劇団かと、感嘆しました。
欲望という名の電車

欲望という名の電車

劇団青年座

世田谷パブリックシアター(東京都)

2011/12/15 (木) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

パロディ芝居以下の出来栄えに思う
唖然・呆然・愕然!!!

期待が大き過ぎた分、落胆度が大き過ぎて、心の中は、ずっと3階席で仰け反り通しでした。

舞台上に、ブランチいないもの。ただバラエテイでも御馴染みの高畑さんがいるだけだもの。

ブランチとスタンレィの二人の迫真の山場、ブランチとミッチの愁嘆場が、ドッと笑いが巻き起こる「欲望という名の電車」なんて、生まれて初めて観ました。
まるで、コメディみたいなんだもの。

これが、私が大好きな鵜山さんの演出の筈はないと、何度も、チケットを確かめてしまいました。
これが、岩谷時子その人を体現してくれた、名女優?「セイムタイムネクストイヤー」で、私を益々、演劇の虜にした、あの高畑さん???
と、我が目を疑ってしまいました。

神野ステラ以外、観るべきものなし!!!

ネタバレBOX

内容があれでは、幾ら、小曾根さんが、ピアノで、盛り上げても、逆に、舞台の陳腐さを露呈するだけのように感じました。

テネシー・ウイりアムズ、泣いていないかしら?

悲壮感も、悲哀も、微塵も感じさせてくれないブランチに、絶句しました。
8人の女たち

8人の女たち

Quaras

ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)

2011/12/09 (金) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★★

女優陣競演の視点では満足
チケットにまで、出演者名の最後に、(五十音順)と断り書きされていて、笑えました。

昔、演劇界の事情に詳しい家庭で育ったせいで、このキャスト順で、揉めて、降板した女優さんをたくさん知っています。

そんな周囲が気を遣う程の豪華配役陣で、さぞかし、まとまりのない舞台になるのかと想像していましたが、各人、なかなか適材適所で、熱演されて、あくまでも、物見高い観客目線で言えば、堪能できる舞台だったと思います。
若い女優さんお二人も、物怖じする様子もなく、ベテラン勢と互角に渡り合っていました。

荻野目さんは、コメデイタッチの演技も秀逸で、彼女の出演が、良いスパイスの役目を果していたと思います。

牧瀬さんは、若い頃は、清純派の役柄が多く、私は、彼女の任には合わない気がしていましたが、今回のふてぶてしい家政婦役は、はまり役でした。

戸田さんの演技が、やはり最高!ただ彼女が台詞を言うだけで、何だか嬉しくなってしまいました。

大地さんも、相変わらず、綺麗で、存在感があり、いつもの独特の言い回しが緩和されていて、安堵しました。

何と言っても、大地さんと戸田さんが姉妹で、その母親が加賀さんなんて芝居、そう滅多に観られそうにないので、それだけでも、観劇甲斐があったというものです。

ただ、最後の謎解きをする女優さんが、あまりにもアッケラカンと説明するので、この台詞にもう少し情感が籠められた方が、エンディングの出来事が、もっと衝撃的に感じられたのではないかと思いました。

ネタバレBOX

カトリーヌの謎解き、だいたいは納得できましたが、犬の死体のトリックは、どういう風にしたのかしら?
犬の様子は、3人くらいが確認しているわけだから…。

荻野目さん、過去に辛い経験をされ、こういう内容の芝居って、過去を思い出されたりしないのかと、気になってしまいました。でも、そういう感情を超越されたからこそ、こういう素敵な演技ができる、素敵な女優さんに成長されたのだろうなあと感慨深く思いました。

中央に舞台がしつらえてあり、退場後も、休憩される女優陣が目に入る点は、私の席からは、それほど、気にはなりませんでした。
むしろ、この8人の女優の競演タッグマッチ風で、面白いアイデアだと好意的に受け取れたのですが…。
うつくしい世界

うつくしい世界

こゆび侍

サンモールスタジオ(東京都)

2011/12/14 (水) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度

成島さん、ご健在ですか??
と何度も、心の中で、疑問符が沸きました。

あの繊細で、緻密な成島演出が、全く不在な印象を受けました。

各人が、それぞれ、自分の裁量で、勝手気ままに演じている雰囲気で、トテモ秀逸な演技をする方がいるかと思えば、できれば、二度とこの方の出演している舞台には遭遇したくないと思う方も…。

そんな中で、一人卓越した演技で魅了してくださったのが、ウピ役の小石川さん。
彼女の出演作なら、また是非拝見したく思いました。

ピコ役は、浅野さん、ご健闘されていましたが、個人的には、この役は、佐藤さんで拝見したかったと感じました。

ネタバレBOX

空気が汚れ、清浄な空気を配給されている世界なのに、息で、風船を膨らますというシチュエーションにまず疑問が湧きました。

大変、緊迫感を必要とするストーリー設定なのに、キャスト陣のてんでんバラバラな演技が、その都度、その人カラーで、寸断されて、舞台にリズムも生まれず、ヒートアップして行く筈の緊迫度も、どんどん希薄になって行き、こゆび侍観劇で、初めて、時計を3度も見てしまいました。

佐藤みゆきさんは、最初の看護婦役のちょっとの登場シーンでも、表情の変化が素晴らしく、やはり彼女は名女優さんだと感心しました。
本役の方は、まるで、「スイニートッド」のキムラ緑子さんを思わせましたが、ここでも、空気を袋に詰める演技すら、本物で、驚きました。

でも、こゆびの佐藤さんを観たくてチケットを買った人には、ちょっと誇大広告的な役柄だったのではないでしょうか?

小石川さん、猪股さん、宮崎さんと、役を生きて舞台にいる俳優さんがいる一方で、急場しのぎの即興学生演劇まがいの演技とも呼べないレベルのキャスト陣がいたのが、全く舞台に統一性を感じさせず、残念でなりませんでした。
『タンバリン・スナイパー』

『タンバリン・スナイパー』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ワーサルシアター(東京都)

2011/12/07 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

一般客が心底楽しんでいた舞台でした
観劇3回目なので、統括を。

最初は、こなれていなかった部分もあり、やはり、雄太さんの作品ありきの8割世界かな?とも感じましたが、観る度、深さを感じる石原戯曲の虜になってしまいました。

終演後、後方席から、名前を呼ばれ、すぐにはどなたかわかりませんでしたが、息子の幼稚園の同級生のお母様で、卒園後、20年振りぐらいに会う
旧友でした。

何でも、「ガム噛め!」でファンになり、今回も劇団からのメールで上演を知り、遠くまで、観にいらしたそうで、終演後の表情が、目がキラキラして、楽しそうでした。
昔は、映画ばかり観ているヒトでしたが、8割世界のお陰で、芝居の楽しさに目覚めたとのこと。嬉しそうに、「ガム噛め!」のDVDを買って、帰って行かれました。

石原戯曲は、登場しない人物までが愛おしくなる、秀逸な作品で、そこに、各役者陣が命を吹き込み、まるで、実在するかのような保育園風景を見せてくれました。

あ、そうそう!一つ思ったこと。すみれお姉さんの惣介への冗談話、3回とも、お客さんがクスりとも笑わなかった、あさりがほたてになるって話、あれは、はまぐりぐらいにした方が笑えそうに思いました。それだと、鰤とハマチの例もあるし、惣介が信じてもおかしくないけれど、あさりとほたてじゃ形状が違い過ぎて、観客も無反応でいるしかないのだと感じました。

今日で千秋楽なのがとても残念!
この舞台、きっと、たくさんのヒトを演劇好きにする資質を備えた作品だと思いました。

ネタバレBOX

この舞台に登場しない、きらりちゃん一家、れいこ先生と前髪だけのスーパー店長のご主人の夫婦関係、岡島さんの別居の奥さんや、娘のりなちゃんの心情…、そういう、話題だけでしか登場しない人間や相互関係までが、きちんと掘り下げて描かれていて、登場キャスト以外の人物までが、気になり、愛おしく感じる、素敵な脚本でした。

ずみとじゅんちゃんがデートで行ったケーキ屋さんのケーキも食べてみたくなるし、久保さんが資格を取れるかも気になるし、水原コーチは、無事、婚約者とよりを戻せるかしら?とか、とにかく、細部のその後までに、たくさん興味が湧くのです。

水原コーチの、スナイパーに対するプロとしての厳しい視点や、世界の格言等、雄太さんの脚本だと、かなりちゃらんぽらんに描かれるのではと思うような、枝葉末節までが、きちんと描かれていて、ありえなさそうなストーリーに、リアルさを感じさせます。

惣介の「大きな栗の木の下に」論も、本当に、そういう解釈が成り立ちそうに感じさせられてしまいました。

いやあ!ホントに、観れば観る程、味わい深い素敵な作品で、惣介の台詞ではないけど、小劇場の芝居が、皆この作品みたいに、心底楽しめる舞台だったらいいのにと、心から、感じました。
『タンバリン・スナイパー』

『タンバリン・スナイパー』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ワーサルシアター(東京都)

2011/12/07 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

楽しさが倍増していた
今日は、小林肇さん目当てで、2回目の観劇でした。

先日より、ずっと笑いどころが満載になっていました。

先日は、数人、まだ固く、ぎこちない感じだった役者さんも、今日は、皆さん、その役その人に見えました。

好きなシーンがたくさんできて、話を知らずに観た前回より、ずっと笑って観ていられて、幸せ感アップ!

作者石原さんと演出雄太さんの味のブレンド具合が、いい感じに交じり合って来たみたい。二人が煮詰めた出汁がいい味になって、そこへ、彩りよく、たくさんの役者さんのエッセンスが加味されて、なかなか絶妙な味わいでした。

ネタバレBOX

お遊戯のシーンの役者さん達の風情が、自然になって、それだけでも、心がウキウキしました。

一芯さんの惣介に演じてる感がなくなって、本当に、博愛主義の旦那さんに見えました。だから、家宝に拝む場面や夫婦の接近場面に嫌らしさがなくなって、作品世界に広がりができていました。

岩滝さんのちか先生と、吉岡亜沙美さんのみき先生の小競り合いも、自然さが増して、舞台に弾みをつけていました。

廣島さんの玲子先生が、その二人を諭す場面が大好き。吉岡和浩さんの酔っ払い振りが好き。日高さんの美奈子先生と、智恵野さんのあやめ先生のタンバリン練習場面が楽しい。
小早島モルさんの徐々に悲壮感漂っていく表情の変化が秀逸。
松木さんのすみれお姉さんが、惣介を出鱈目話で説得して行く間の取り方が好き。今野コーチが、子供からもらった虫を握り締めて足掻いてる場面が可愛い。
智恵野さんのあやめ先生の天真爛漫さが愛おしい。(昔愛読していた「チッチとサリー」のチッチみたい)

そして、初めて舞台を拝見した時から、注目していた小林肇さんの主任さん、啓司さんとはまた違ったスパイスで、良い味付けになっていて、これは見逃さなくて大正解!キリン組に外された時の哀愁に満ちた表情に和みました。
肇さんには、これを機に、8割の常連さんになってほしいなと思いました。
虎ニじいさんは、啓司さんの方が存在感あったけれど、主任さんは、どちらもそれぞれの味があって、美味でした。

最後の皆さんの歌声が今も、頭の中でリフレインしています。
『タンバリン・スナイパー』

『タンバリン・スナイパー』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

ワーサルシアター(東京都)

2011/12/07 (水) ~ 2011/12/18 (日)公演終了

満足度★★★★

友達の代役で行ったので
詳しくは、また今度まとめて書きますが、チラシからは想像できない、ほっこり系で、安堵しました。(あのチラシは、この芝居の動員目的としては、逆効果な気もします。あちこちで目にする構図だし…)
でも、女性の石原さんの脚本なので、ややきっちりプロットが出来すぎていて、まとまり過ぎ、もう少し、ラフな変化球的遊びがあっても良かったのではと思いました。

まあ、もう少し、ゲラゲラと大笑いしたかっただけなのかもだけど…。

ガム噛めの女性コンビ、奥山・日高さんは今回も魅力的に大活躍ですが、私個人的には、W吉岡さんの自然体演技に魅了されました。

啓司さんの日しか予約していないことに気づき、以前から注目していた役者さんだったと気づいた小林さんも拝見したくて、もう一度、観に行く回数増やしそうです。

ネタバレBOX

あやめ先生のご主人、いくらお風呂上りでも、クリスマス前の寒い頃に、幾らなんでも、あのカッコウじゃ風邪ひかないかな?

それと、「シャワー」は「入る」でなく、「浴びる」ではないかと…。

後、気になったのが、熊が出没してるのに、いなくなってしまった子供の安否。そこも、登場人物、心配しないと!と雑念が湧いてしまいました。

前日観た、ライトコメディとやらが、ライトではなく、チープだったので、さすが8割世界のコメディは、中身が濃くて、ほっとしました。もう少し、笑いたかったけど、最後はほっこり!ちょっとウルっと来そうになり、年末に相応しい、素敵な作品でした。(声高でなしに、それとなく、問題提議してる塩梅も絶妙でした。)

あのストリップ劇場みたいな舞台は、幕が開くまで、興味津々で、客席に座った瞬間から、お客さんのワクワク感を紡ぎ出し、秀逸な舞台設置だったと思います。
お悩みはご一緒に!!

お悩みはご一緒に!!

ttk

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2011/12/07 (水) ~ 2011/12/11 (日)公演終了

満足度

ある意味快挙!
スゴイ!!

私、60年代の日本最初のミュージカル上演から、40年以上、中身の薄いミュージカル作品に遭遇することもままありましたが、ここまで、完全に中身のない作品は生まれて初めて観ました。

とにかく、1幕の間中、主人公の状態が一向に変化しないんだから!!

でも、不思議と、嫌な気持ちにはならなかったのは、たぶん、キャストが精一杯、役を懸命に演じていたから。
映像作品と違って、こういうライブの舞台では、誰かが誠心誠意仕事を務めている限り、観るべきものは必ずあるということを痛感しました。

てにどうの役者さん達には、飄々とした演技に好感を持ちましたが、でも、たぶん、この劇団は、行く気になれないだろうと思いました。
コメデイと銘打ちながら、こんなに面白くない舞台は、私には前代未聞でしたから。

それにしても、この芝居に「台本」という台詞、どれだけ出て来るかしら?
たぶん、100は下らないと思う。

ネタバレBOX

彩輝さん演じる、女性劇作家が、締め切り間際なのに、一行も台本を書けない…

この状態が、開幕から、1時間30分、1幕の幕切れまで、ずっと変わらず続きます。

その間、彼女の書く筈の芝居に登場する人物が、ステージ上で、苦悩する彼女の周りで、歌ったり、踊ったり、とにかく書けとタダ闇雲に勧めたり…。
でも、彼女は、他愛ないことで口喧嘩紛いの別れ方をした恋人のことばかり、考えて、益々、芝居の案が浮かばない。

1幕後半に登場する演出家のアイデアを借りて、ようやくキャラクターの性格づけと関連性を思いついたところで、15分の休憩。

2幕になって、ようやく、少し筆が進んだところで、自分と恋人をモデルにしているカップルの行く末で、又アイデアが枯渇したところで、いきなり、恋人が、プロポーズに来て、台本も、実人生もハッピーエンド…

と、もう、私にすれば、なんじゃこりゃ!!の驚くべき脚本でした。

その芝居の登場人物11人より悠に多すぎる実際のキャスト数にも、???連続で、おまけに、曲は、有名ミュージカルの盗作かパロディか不明ですが、聞き覚えのある旋律ばかりで、戦慄が走りました。(後で、関係者のブログ等読むと、これは、確信犯的行為のようで、わざわざ、有名楽曲をアレンジしたんだとか。でも、全くパロディでも何でもないのよ。新感線の有名作のパロディ作のように、意味ある行為ならそれもいいけど…。)まるで、とある国のデイズーランド紛いの遊園地のようで、嫌な気分になりそうでした。

だいたい、子役二人の存在意味も皆目わかりません。意味もなく、ずっと舞台に拘束されてて、お気の毒な気がします。

とにかく、何から何まで、想像を絶する作品でしたが、キャストの皆さんが、投げやりにならずに、演じて下さっていたので、2時間半、不快感なくは、観劇でき、最後は、少しほっこりできたのが救いでした。(観ている段階では、楽曲の確信犯的盗用の件は知りませんでしたから)
流星ワゴン

流星ワゴン

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2011/12/03 (土) ~ 2011/12/25 (日)公演終了

満足度★★★

キャストは好演してるけど…
たぶん、原作のせいだと思うのですが、どうも気持ちが入り込めませんでした。

父と息子の関係はうまく描かれてるようにも思うけれど、どうにも、この登場人物の二人の母親像に納得が行きかねます。

主人公、永田役の阿部さん、初舞台から拝見している三浦さんの役者としての器の広がり、今のキャラメル現役で一番好きな西川さんの安定した演技が良かったけれど、ぶっちぎりの好演は、林さん演じる健太君。
本当に、男子小学生に見えて感服でした。

ネタバレBOX

重松さんのこの原作本は未読なので、明確なことは言えないのですが、坂口さん演じる読者がこの原作を読んでいるという設定から考えると、内容は、原作に忠実なのだと解釈します。
それに、成井さんはいつも、それほど、原作を逸脱する脚色はしない方だから…。

とすれば、私の不満の原因は全て原作のせいということになるのですが、どうも、ここに登場する二人の母親、永田美代子と橋本仁恵の行動が、私には全く理解不能です。

確かにこういう人物は世の中にたくさんいるのかもしれませんが、他者との関係性において、この二人は、あまりにも、ありえない行動をしているんですね。

中学受験で息子が日夜勉強に頑張っている頃から、挫折して、公立に進学し、イジメで不登校になり、家庭内暴力にまで追い詰めれて行くまで、美代子は心の隙間を埋めるためだか何だか知らないけれど、何年も出会い系サイトで知り合った見知らぬ男性と肉体交渉を続けていて、それを、たとえ、過去から来たとは言え、夫が非難も問い詰めもせずに、寛容に受け入れるというのも不可思議だし、あんなになさぬ仲の夫と息子の架け橋になろうとしていた良妻賢母の鏡のような仁恵が、愛する夫と息子の事故死の後、1年もしない内に、再婚してしまうというのも、どうも解せませんでした。永田の父親に「橋本さんの奥さん」と呼び止められ、頷いているので、別に、事故で記憶喪失になったわけでもなさそうだし…。

そう言えば、以前、何冊か読んだ重松作品も、皆、女性の描き方に不満があったことを思い出しました。

客席の多くのお客様(いつものキャラメルとは全く客層が違うけれど)は、鼻をすすって泣いてる方が多かったので、変に正義感や道徳心が強い私には、個人的に不向きだっただけとは思いますが、橋本父子や、永田父子の関係性が微笑ましかっただけに、女性の人物像がおざなりな気がして、気持ちが冷めてしまったのが、大変残念でなりませんでした。
おやすみ、かあさん

おやすみ、かあさん

メジャーリーグ

あうるすぽっと(東京都)

2011/11/26 (土) ~ 2011/12/04 (日)公演終了

満足度★★★

リアルなんだろうか?この芝居
とてもリアルな芝居のように一見思えるのですが、果してそうかな?とずっと疑問でした。

良くも悪くもすごく演劇的な作品だという気がします。

映画監督である演出家の舞台にしては、真っ当に演劇的な演出で、気に入りました。

白石さんと中嶋さんのがっぷり四つの二人芝居は、大変エキサイティングで、魅力的です。

でも、私は、芝居の中で、登場人物に何か変化がある戯曲が好き。どこかに夢や希望や醍醐味の感じられる作品が好き。
その点において、この芝居を誰にでも勧めたい気持ちにはなれませんでした。

ネタバレBOX

ある意味、昨日観た「ヒトノカケラ」に共通する部分がありました。

あの作品には、登場人物の心理的な変化がしっかりと描かれていました。

でも、この作品に登場するジェシーは、終始、決心が変わらず、最初からすると決めていたことを実行します。

途中で、母から知らなかった事実を告げられ、葛藤はあったでしょうけれど、結局、有言実行するのみ。母は、娘をただ見守るしか術がありません。
こういう芝居は、あまり感動しにくい体質の私には不向きだったようです。

私は、「ヒトが死ぬ芝居は書かない」とおっっしゃっていた井上ひさしさん派なので…。
劇読み!Vol.4

劇読み!Vol.4

劇団劇作家

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2011/11/23 (水) ~ 2011/11/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

「ヒトノカケラ」はやはり名作
長男が、篠原さんの教え子だった時に、一緒に観に行った「ヒトノカケラ」ですが、今回、密かにファンの小山さんに期待して、再度、見聞。

やはり、名作中の名作でした。

キャスト陣も、芸達者揃いで、むしろ、本舞台よりクオりティの高い出来栄えでした。

震災や、不可思議な事件の多発する今、改めて、胸に迫る台詞がたくさんあって、何度も、涙が出そうになりました。

映画化にも向いていそうな作品。是非、近い将来、しっかりとしたキャストで再演してもらいたい作品だと感じました。

しかし、チケット買った客は、補助席にまで、ぎゅう詰めなのに、何故か、観易い関係者席が7つも空いていました。
私のお隣の、このサイトの某男性ユーザーの方は、もったいなくも、ほとんど熟睡されていました。

なるほど!今回の劇読み!はこのサイトが応援されているんですね。
腑に落ちたけど、腑に落ちない…。

いつの世も、芝居よりも、現実社会の方が悠に、不条理な世界のようで…。

ネタバレBOX

期待の小山さん、やはり適役でした。他のキャスト陣も、本舞台の演技過剰な役者陣より、個人的には、好みでした。

谷役の関根さんが、深刻な芝居の緩和剤の役割を見事果たされ、楽しく拝見しました。芹沢役の西原さんも、小憎らしくて、素晴らしかった!

サスペンスタッチで興味を繋ぎつつ、、人間社会の矛盾や問題点をジワジワと観るものに訴える篠原戯曲の巧みさに感服します。

芹沢の何気ない台詞に、自然に生まれた父と息子より、医学や科学の力で、人工的に作り出された親子の方が、真の肉親の情に恵まれているという皮肉も見え、篠原さんご自身が、当パンでも書いているように、今年の日本で、、新たに胸に堪える名台詞がたくさん心に響く作品でした。
つい最近も、臓器移植のために、養子縁組までして、大金はたいて、という事件も発覚しましたし、いろいろ思うところの多い芝居です。

最後、病気の進行した聡子に、皆が愛を込めて歌う「ハッピーバースディ」の歌。このエンディングがとても好きです。
平成中村座 十一月大歌舞伎

平成中村座 十一月大歌舞伎

松竹

隅田公園内 特設会場(東京都)

2011/11/01 (火) ~ 2011/11/26 (土)公演終了

満足度★★★★★

芸の真髄と芸の継承の素晴らしさに酔う
最近どんどん変な方向に行っているコクーン歌舞伎より、何百倍も素晴らしい!!

夜の部の座組み、演目の並べ方、演者、全てに大満足しました。

3演目、一度も眠くなりませんでした。

4時間の平成中村座、私の個人的心の琴線を揺らし続け、亡くなった最愛のあの女性に、どうしても見せたかった舞台でした。

もう40年以上のご贔屓の仁左衛門さん、あなたの芸には打ちのめされます。
勘三郎さん、一ヶ月の舞台をお勤めになれる体力が戻られて、本当に良かった。
中村屋の若き、有望な兄弟の精進…。

演目の素晴らしさも手伝って、歌舞伎の魅力に満ち溢れていました。

最初は、使い勝手が悪かったトイレも、行く度、使う身になった工夫が凝らされ、サービス業や、興行側の方達に、お手本にしてほしいと感じます。

東宝や四季の案内係の方に、是非、平成中村座で研修して頂きたく思いました。

ネタバレBOX

猿若江戸の初櫓…中村屋の若き兄弟の見目麗しい舞踊に、ただただ心を奪われました。勘太郎さんは、所作や表情が、お父上に瓜二つ。勘三郎さんじゃないよねと思わずチラシを確認してしまいました。最後に背景が割れ、実際の隅田川の流れがバックになって、素晴らしい!!コクーンの駐車場が見えても、だから何?という感じですが、平成中村座の隅田川には風情があって、感嘆しました。

沼津…伊賀越道中双六を通しで観た記憶はありませんが、沼津は、これまでも何度か観ている筈。でも、こんなに心を締め付けられたのは、初めてでした。70近いお歳には全く見えない仁左衛門さんの十兵衛は、実際は年下の勘三郎さんの息子にちゃんと見えてしまいます。これは、芸の成せる業。本当に、この話はよくできている。最初、大いに笑わせて、後半、親子の情と、義理の板ばさみで、葛藤する平作と十兵衛の、慟哭が、胸を締め付けるような悲劇へと転換する作劇の巧みさ。情の通う名演技の3人の取り合わせも絶妙で、全てにおいて、極上の演目となりました。

弁天娘女男白浪…歌舞伎を観たことない人でも、たぶん、誰でも知っている、通称「白浪五人男」。浜松屋の場面は、騙り芝居の名作中の名作。詐欺のやり方が巧妙で、きっと、このサイトの御仁には、大好物の演目ではないかしら?古今東西、詐欺も騙りも、ここまで行けば、芸術かもしれません。
黙阿弥の台詞は、本当に気持ちよく、私も、子供の頃、勢揃いの場の名乗りの台詞を暗誦して、担任に胴上げされて、やんやの喝采を受けたことが思い出されました。
ついこの間生まれたばかりのような国生さんが、もう若旦那の役を演じるようになったのかと、感慨深い思いでした。
日本駄右衛門の橋之助さんに、役の風格が出て、とても良かった。
菊之助の七之助さんは、あまりにも美し過ぎて、男とわかってからも、線も細く、どうしても女性にしか見えませんが、声は精一杯、骨太にして、健気に演じていました。(この役は、音羽屋さんの家系の方が敵役なんでしょうね。)
勘太郎さんの南郷力丸は及第点。
二人の、花道の引っ込みの坊主替りのやり取りは、絶妙のコンビネーションで、5年後ぐらいに、再度、この二人の浜松屋を観たいと思いました。

勢揃いの場では、新悟さんも、品格があって、目を惹きました。

演目のチョイスのセンスもさることながら、演目の配列センスが冴えていて、近来稀に見る、素晴らしい歌舞伎の世界を堪能させて頂きました。

最後の勢揃いの場の、白浪男の名乗りに被せて、ずっと私語してるおばさんがいなければ、パーフェクトの観劇だったのに。それだけが、残念無念。
太陽

太陽

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2011/11/10 (木) ~ 2011/11/27 (日)公演終了

満足度★★★

この劇場には不向きな芝居に思える
イキウメの世界感って、特殊だから、物語の世界に、他者を感じず、自分だけが入り込まないと、置いてきぼりになると思うのです。
だから、視界には、今目の前で繰り広げられる、前川ワールドだけが入った方が絶対効果的に思える。

そういう観点から、イキウメの芝居は、この劇場には不向きだと感じました。

2種類の架空の人間が舞台上にいて、その向こうに、実在の人間の顔が見えてしまうのは、ちょっと興を殺がれました。

天井の照明器具が、ペコペコ音を立てるのも、やや耳障りでした。

鉄彦役の大窪さんの著しい進化に、目を見張りました。
鉄彦と、浜田さん演じる森繁との人間関係の推移には、大変引き込まれたのですが、その分、他の登場人物の描写が、いつになく、散漫な気がして、イキウメファンとしては、やや不満が残る舞台でした。

ネタバレBOX

伊勢さん演じる玲子の役に、かなり疑問がありました。

どういう人物として、前川さんが設定したのかが、私には、理解できませんでした。

鉄彦と、森繁の、立場の異なる、異人種の心の通い合いと、理解し得ないもどかしさという、二人の心の流れが、丹念に活写されていた分、他の人物が、どうも類型的な感じで、ちょっと残念に思いました。

若い、大窪さんと加茂さんが、あっという間に、イキウメの要に成長されていて、とても嬉しく感じました。
ノーアート・ノーライフ

ノーアート・ノーライフ

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2011/11/05 (土) ~ 2011/11/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

勘に従って、見逃さずに済んで、正解
何だろう??

曰く言い難い、理屈抜きの面白さ満載の芝居!!

こんなに、涙目になるくらい笑ったのは久しぶりでした。

私の稚拙な表現力では、説明できない類の面白さに満ちていて、ケラさんの頭の中ってどうなってるのかと覗き見たい好奇心に駆られました。

ベタで、自然を装うマヤカシのリアリズム芝居とは対極の作風なのに、見事に人間社会の不条理や仲間意識、嫉妬、友情などが、そういうマヤカシ自然主義芝居より、悠に描き込められていて、その手腕に舌を巻くばかりでした。

実物よりも、贋作絵画の方が、名画に見えることがある如く、このケラ流芝居は、贋作芝居の傑作のように感じられました。

今のところ、今年のベスト1の舞台かも。

ネタバレBOX

最後の映像で紹介される、登場人物のその後に、大ウケしました。

どんな名舞台でも、収束がイマイチと感じる舞台が多いのですが、この芝居、最後のタイナカの名案が、手を打ちたいくらいに、最高センスでした。
まるで、大岡裁きみたい。

役者さんが、全員、適材適所で、この舞台、劇作面、演出、演技と、どの分野でも習作のテキストになりそうです。

いつものケラさんの芝居にある、毒や暴力もなく、何だか全国の演劇好きな老若男女全員に推薦したくなる作品でした。

無性に嬉しくて、観劇後、一人乾杯して来ちゃった。

たまには、女優さんのいないナイロン100℃、大歓迎です。

山崎さんと三宅さんと大倉さんの演じる、ナイロン版「アート」を夢想しました。
彼のことを知る旅に出る

彼のことを知る旅に出る

ペテカン

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/11/12 (土) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★★

いい役者さんが揃っている
やっぱり、ペテカンは好きな劇団でした。

やや作為的過ぎる部分もあるものの、基本的に、この劇団の芝居には、観る者を不快にしない、演劇人の心があると感じます。

お涙ちょうだいモノはあまり好きではないので、この芝居、自分にとって、ベストペテカンではないけれど、笑わせどころが、自分好み。(捻くれ者のせいか、泣かせようとされるほど、涙が出なくなって、一番泣いたのは、最初の彼女の台詞のところ。もう一度会いたいヒト、たくさんいるんだもの。)

この劇団は、主宰の濱田さんと、作演の本田さんが、共に出演もしながら、決して出しゃばらないのも好き。

役者力のあるキャストばかりで、大変気持ちの良い舞台でした。

ネタバレBOX

死んでしまった彼役の宮原さんの佇まいがとても素敵で、一目惚れしてしまいました。

小劇場にも、こういう存在感のある役者さんがいるんだなあと嬉しい発見でした。

亡くなった人の人となりを残された者が関係者に尋ね歩くというストーリーは結構あると思いますが、この作品、死んだ彼とはほぼ無関係な話をする友人や知人の描き方が面白く感じました。

本田さんの作り出す笑いのネタは、いつも、人間的な優しさがバックにあって、好きです。

めぐみ、せいこの今時女子コンビ、るみ、まみのチァリーダーコンビ、六郎、詩織のお互いを尊重する名夫婦コンビがとにかく愉快で、心がほっこりとしました。
チャラ男に見えた翔ちゃんの言ってることが嘘じゃなかったところにも好感が持てます。

台詞で、一番心に沁みたのは、彼の母親がアルバムを見ながら語る場面。
何気ない台詞に、息子への愛情が滲み出て、母親である私の心の琴線に触れまくりでした。

途中に入る歌やダンスも楽しく、心が和みます。

彼の子供時代のアルバムがやや古すぎる(あれは、今の50代のヒトの子供時代のアルバムみたい)のは、気になりましたが、全体的に、とても気持ちがホンワカする素敵なお芝居でした。
天守物語

天守物語

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2011/11/05 (土) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★

平岡図書之助はなかなかでした
『天守物語」は、子供の頃から、歌舞伎や新派等で、何度か観ているのですが、正直言って、あまり面白いと思ったことがありません。

だいたい、亀姫のあたりが退屈で、図書之助登場まで、眠ってしまうことが多くて…。

でも、さすが白井演出!厭きさせませんでした。

奥村亀姫はチャーミングだし、御付の田根さん、坂元さんの演技も愉快。
腰元達も、いつもの歌舞伎上演以上に活躍場面があるように感じ、それぞれの個性も出て、存在感がありました。

鏡花芝居は、主要キャストに、華や色香がないとつまらない場合が多いですが、その点、平岡図書は、及第点だったと思います。

ネタバレBOX

篠井さんの富姫に、もう少し妖艶さと、色香があれば良かったのにと惜しまれます。

図書之助に一目惚れして、「帰したくない」と言うところ、もっと、言い様があるのではと思いました。玉三郎さんの冨姫には、こちらもドッキリするような、搾り出すような想いを感じたものですが…。

平岡祐太さんの図書之助には、若武者の一途さや清廉潔白さが匂い、見た目にも麗しさがあり、素敵でした。
何度か歌舞伎で観た、見た目だけ抜群の図書之助より、悠に、心根の表現が優れて観えました。

腰元が、ただの脇役にならず、それぞれ、個性までも演出され、普段は退屈な冒頭場面が楽しく感じました。
特に、昔、養成所の声楽発表会で注目した小見さんの踊りが艶かしくて、ドッキリしました。

高校生の団体観劇と鉢合わせしましたが、彼らも、結構、面白かったと言っていたので、昔の私よりは、堪能できる舞台だったのではと思います。

最後の月が、物凄く美しく印象に残りました。
ニューヨークに行きたい!!

ニューヨークに行きたい!!

東宝

帝国劇場(東京都)

2011/10/29 (土) ~ 2011/11/20 (日)公演終了

満足度★★★

戸井さんの役者力の進化に感嘆!
何だか時代錯誤なテーマだし、1幕は、特に構成が悪く、テンポない間延びした展開に、ややゲンナリしたのですが、2幕になってからは、結構楽しくなりました。

一番驚いたのが、コスタ役の戸井さんの役者としての驚異的進化ぶり。今までは、真面目なご性格が、素の戸井さんと離れた役を演じる時に、邪魔をしているのではと感じる舞台がずいぶんあったのですが、今回は、バックにいる時も、常にコスタであり続けていらして、感動しました。

浅丘ルリ子さん、とってもチャーミングでした。

ストーリーとしては、かなり疑問になる点もありましたが、さとしさんファンとしては、とりあえず満足しました。

子役の男の子が、まるで、座長の如く大活躍でした。彼の存在が、舞台に躍動感を与えていました。

ネタバレBOX

3組のカップル中、戸井・泉見組のゲイカップルが抜きん出ていました。
ともすると、際物になりがちな役どころを、お二人が心を込めて丁寧に演じ、二人の心情の通い合いがしっかりと表出され、不覚にも涙が出そうになる瞬間さえありました。
3組の恋愛模様で、一番共感できるお互いへの愛情をきちんと客席に届けて下さいました。

ニューヨークの自由の女神像の下での結婚に憧れたり、不測の出来事でもないのに、テレビキャスターの、恋愛と仕事の選択を、まるで、究極の選択のように描くラストには、どうも不可解な違和感を感じてしまいますが、キャスト陣が楽しんで演じている様子に、自然と心が和みました。

瀬奈さんと橋本さんの「ミス・サイゴン」の「アメリカンドリーム」場面を彷彿とさせる、デュエットシーンが、とても、楽しく観られました。
いと愛し

いと愛し

劇団競泳水着

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2011/11/01 (火) ~ 2011/11/06 (日)公演終了

満足度★★★★

三者三様の女優の魅力が光る
いつも構成力抜群の上野さんと、劇団員3人の女優さんだけで、創り上げた舞台は、破綻がなく、魅力に溢れていました。

3人の女優さんが演じる役と、衣装が又見事にマッチング。

全てにおいて、一定レベル以上のセンスに溢れていて、厭きさせません。

競泳水着の3女優さんは、それぞれ、ドキドキするほど魅力的で、これ、男性が至近距離で観たらタマラナイでしょうねえ。

ただ欲を言えば、と言うか自分の好みから言えば、後半の展開にやや、必要以上の作意が感じられ、それがちょっぴり残念ではありました。

ネタバレBOX

最後の終り方が、あまり好きではない。と言うか、この作品では、もう少し、しんみりと終ってほしい気がしました。

最後は、一人残った細野さん扮する門脇玲子の死者への想い、他の二人への想いを押し出して、エンドマークという方が、余韻が残って良かったように感じました。

何故、玲子があそこまで、甘栗を拒絶するのかも、ちょっと不明でした。
私が玲子だったら、最後に一人残った部屋で、甘栗を泣きながら口に含むように思うのですが…。

コンビニのエピソードは、アクセントとして、面白かったけど、あの終り方は、ちょっと、3人のスタンスとして、作為的過ぎて、好きになれませんでした。
恋するブロードウェイ♪

恋するブロードウェイ♪

PROMAX

赤坂BLITZ(東京都)

2011/11/03 (木) ~ 2011/11/03 (木)公演終了

満足度★★★★★

日本のミュージカル界の明日は明るい
ビックリしました。

このコンサート、企画の最初の段階で、本当に僅かだけ、超間接的に関わりがある程度で、出演者も、3人以外の方に関しては全く無知でしたが、とにかく、岡さんの選曲が素晴らしい!!

それぞれの色に合わせた選曲がどの曲もドンピシャり。
演出、振り付け、選曲、歌唱、どの視点から観ても大満足の楽しく素敵なコンサートでした。
最後のメドレーも、他ではなかなか聴けない配列で、どの曲も歌い手の個性とマッチングして、素敵でした。

全部の曲にフリがついているので、視覚的にも大変心弾むコンサートでした。

自分の息子よりも、若いミュージカル俳優さんばかり。誰もが、すぐに主役ができそうな実力で、名曲を清々しいまでに熱唱する姿に、大のミュージカルファンとして、歓喜しました。

できれば、これからも続けて頂きたい企画です。

ネタバレBOX

有名アイドル事務所の口パク主役のミュージカルなどを観ると、悲しくなる、大のミュージカルファンとして、こんなにも実力ある若手が育っているということが、とにかく無性に嬉しくなるコンサートでした。

スーパーバイザーの岡幸二郎さんも、今日は、完全にスタッフとして嬉しそうに会場に立っていらっしゃいました。

浜畑さん演出のコンサートでも感じましたが、こうして、楽曲のことも歌い手のことも知り尽くした方が演出や選曲をされると、本当に、ミュージカルの良さが引き出されるコンサートが可能なんだなあと気持ちが晴れ晴れとしました。

デモテープを聴いた時絶句した小野田さんのソロは、やはり生で聴くと尚のこと絶品でした。
海宝さんも、相変わらず丁寧な歌唱で、聴いているだけで、清々しい想いが心をいっぱいにします。
松下さんは、先日までの公演の影響でソロは1曲のみでしたが、色気のある歌声が本当に素敵!

存じ上げなかった、太田さん、大山さん、内藤さん、味方さんも、それぞれ、個性を生かした選曲で、好感が持てる歌唱でした。

若い男優さんばかりの息の合ったダンスやバックコーラスも目にも耳にも心地良い刺激となりました。

関係者の皆様に、素敵な時間をありがとうございましたと、心からお礼申し上げます。
眠れぬ雪獅子

眠れぬ雪獅子

TSミュージカルファンデーション

世田谷パブリックシアター(東京都)

2011/10/21 (金) ~ 2011/10/30 (日)公演終了

満足度★★★

後半、俄然持ち直す
正直、1幕を観た限りでは、これ、本当に、謝さんが演出振り付けされてるかしら?と疑念が湧くほど全く弾まない舞台に、暗然とした思いがありました。

脚本に構成力がなさ過ぎて、これではせっかくの実力者揃いのミュージカルなのに、もったいないと、キャスト陣をお気の毒に思う程でした。

ところが、2幕中盤から、舞台に弾みがつき、途端に良くなりました。
ちょっと、猿之助さんのスーパー歌舞伎を思い出したりしましたが、結局最後はウルウルしてしまいました。

東山さん、伊礼さん、小西さんと、演技も歌もダンスも、バランスの取れた若手ミュージカル界の実力あるメンバーが揃い踏みで、ここに、ベテランの保坂さんや今井さんが援護射撃。とにかく、キャスト的には、何も文句のつけようのない布陣でした。

それと、衣装がとても美しく、目の保養になりました。

ネタバレBOX

正直、1幕では、かなりガッカリとして、帰ろうかと思うくらいでしたが、2幕で、テンジンとドルジェの間に心の絆が結ばれるあたりから、俄然、舞台の空気が変わり、魅せるTSに挽回されて、ほっとしました。

ストレートプレイだとちょっと臭い台詞になりそうなところも、歌詞になると、結構同調して観られるから不思議です。

仏教を守るために、暴君を暗殺したラルンとその弟が、輪廻転生して、後世に、テンジンとドルジェとして、再会するのだと思うのですが、この4人を演じた小西さん、山田さん?、東山さん、伊礼さんの、真っ直ぐな若者の熱情が、ダイレクトに、観客に響き、ストーリーに感動したと言うより、この先の楽しみな若いミュージカル俳優さんの存在に、ミュージカルファンとして、嬉しく感激する気持ちが湧き上がり、興奮しました。

日本のオリジナルミュージカルに風穴を開けたTSなんですから、どうか、もう少し、脚本に構成力を加えて、どこから見ても、遜色ない劇団として更なる進化をしてほしいと切望します。

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