二都物語
東宝
帝国劇場(東京都)
2013/07/18 (木) ~ 2013/08/26 (月)公演終了
満足度★★★★
舞台慣れが裏目に出てる役者さんが…
3回目観劇、マイラストデイで、やや残念…。
前回、すみれさんも進化されていて、嬉しかったのですが、今日は、中日を過ぎて、演出家の目も届かなくなったのか、舞台慣れが裏目に出て、自己判断芝居をされる役者さんが数人いらっしゃいました。
変に笑いを取る必要はない芝居だと思うので、作品世界の空気を壊さない演技を追及して頂きたいなと思いました。
でも、ラストに向かう場面になると、涙腺緩むのは、必定!
何年後かに、更に熟成した「ニ都物語」再演を今から期待します。
LOVE,LOVE,LOVE
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
歪だけど、リアル
全くどんな芝居か、内容を知らずに観に行ったので、ある意味衝撃的でした。
この芝居の主役の、ケネスとサンドラの思考形態や、価値観には、あまり共感は覚えませんが、それでも、これはイギリスの多くの家庭で、実際に起こりえる事象を丁寧に、転写表現した作品だという実感はありました。
大家さんの舞台は、数えきれない程観ていますが、今回の作品ほど、彼が魅力ある役者さんだということを認識させられた経験はかつてなかったと思います。
松熊さんは、以前から、上手な女優さんだなと注目していましたが、今回のサンドラ役の身を呈した乗り移りぶりは、快挙的な素晴らしさでした。
ジェイミー役の前田さん、お若いのに、先輩俳優の間で、実に繊細な役どころを無理なく演じていらして、驚きました。昔観た映画で、少年時代のブラッド・ピットが、自閉症の少年を好演していましたが、それを彷彿とさせる秀逸な演技でした。
安藤さんは、養成所時代から既に完成した演技力を有していましたが、青年座団員になられてしばらくは、才気が先走ってしまう、過剰演技が、彼女の良さを隠してしまう懸念を感じたのですが、今回のローズ役では、自然に近い演技の見事さに息を呑みました。安藤さんの女優としての躍進に期待が持てると、少なからず御縁があった人間として、嬉しくなりました。
嶋田さんは、少し前までは、役を深く考え過ぎて、役に演技を封じ込められるような迷いを感じる役者さんでしたが、柔軟性ある演技をものになさったようで、今回のヘンリー役、こちらまで、感情移入してしまうリアルさがありました。
創立当時から、新劇嫌いな父が唯一、目を掛けていた劇団が、旗揚げメンバーが次々と他界された後も、力を失うことなく、新しい才能や風を積極的に受け入れて、健在どころか、益々、価値ある劇団に進化している様を拝見し、個人的にも、万感胸に迫るものがありました。
フットルース
劇団スイセイ・ミュージカル
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2013/08/08 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
小野田レンは大成功!
小野田さんの歌唱力は、高校時代のデモテープを拝聴した頃から認知済みですが、ダンスはどうかな?とやや心配でした。
でも、幕開きから、その不安は払拭されました。
彼は、メインとしての華があるだけでなく、チームを統率するリーダーシップも併せ持っているようなので、この役には、ピッタリでした。
「ヒーロー」は、いつ聴いても、元気をもらえるし、歌唱力のある人の歌う「オールモストパラダイス」は、心に沁みます。
行けて、観られて、聴けて良かった!
若かりし頃、彼と観た映画館での会話も懐かしく思い出され、60近い年齢になっても、胸キュン現象、起きました。
あかい壁の家
オフィス3〇〇
本多劇場(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
不可思議な感動
「ゲゲゲのゲ」で、中川さんの才能にインスパイアされたらしいえりさんの、中川さんの存在故の音楽劇の誕生に、息を呑みました。
16年ぶりの舞台という緑魔子さんと、中川さんの共演は、まさに奇跡的なコラボという感覚があります。
芝居の内容自体は、頭の整理が追い付かない部分もあるのですが、何だか目ではなく、心の深淵で観た芝居という感覚です。
見逃さなくて良かったと心底思いました。
ただ、えりさんと同い年の私には、中のエピソードは全て理解できますが、若い観客には、少々不親切な部分もありそうな気はしました。
歓喜の歌
劇団姦し
ザ・スズナリ(東京都)
2013/07/31 (水) ~ 2013/08/05 (月)公演終了
満足度★★★★
他愛ない日常のスケッチが絶妙
取り立てて何か大きな事件が起こるわけでもない、3女性の小旅行の二日間の出来事を、スケッチ風に描いた芝居。
普通なら、退屈になりそうな素材なのに、切り口が良く、描き方が、脚本も、役者も丁寧なせいで、とても集中して見守ることができました。
会社の同僚の3人の女性が、意気投合して、ちょっと非日常のプチ家出という設定ですが、むしろ、描かれた世界は、実に日常そのもの。
学校時代の友人ではないので、3人は、お互いの生活や性格もそれほど深く知らない間柄。でも、きっとこの旅行から帰った後は、3人はかけがえのない友人関係になりそうだという予感を感じさせて、ふと、心がほっこりとしていました。
3人3様の服装やバックが、その人らしさを表出して、小道具に至るまで、齟齬がありませんでした。
ただ、スズナリは、カンフェティで買ってはいけないということを忘れていて、背もたれのない椅子だったので、後半、背中が痛くなって、舞台が早く終わってほしいという気持ちにされられたのは、やや残念でした。
カタルシツ『地下室の手記』
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2013/07/25 (木) ~ 2013/08/05 (月)公演終了
満足度★★★★★
安井さんの芸を堪能しました
ドストエフスキーの原作というのは、全く知らないので、どこまでが、原作に忠実なのか、どこからが、前川さんの創作なのか、皆目見当がつきませんが、とにかく、とても面白く拝見しました。
半分以上は、安井さんの一人芝居状態で、彼の芸の力に魅せられました。
前川さんの気の利いた舞台構成にも、ワクワクの連続。
特別でない人間の特別でない日常が、活写されて、ちょっぴり、胸に堪える匙加減が絶妙の、魅力的な舞台でした。
二都物語
東宝
帝国劇場(東京都)
2013/07/18 (木) ~ 2013/08/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
芝居としての深みが増していた
2回目観劇。今日の席は、非常に良席でしたので、先日より、一層舞台に集中することができ、一瞬たりとも目が離せない展開でした。
先日、違和感を指摘した、ルーシーとドクター・マネットのデュエットシーンも、後ろで聴いているキャストがきちんとリアクション演技をしていて、芝居としての完成度が高くなっていました。
岡さんも、悪役として、徹した演技をされていて、先日より、憎たらしくなっていました。(笑)
どなたなのか、パンフを購入していないので、わからないのですが、マダム・ドファルジュの兄役の役者さんの歌唱が素晴らしく、印象に残りました。
すみれさん、もう少し、イギリスの上流家庭の令嬢の品を体現できるようになれば、更に、物語に深みが増すと思うのですが…。
8月に、3度目の観劇ができる日が、心底楽しみになりました。
それにしても、福井さんと宮川さんの、ミュージカル脇役俳優としての存在感は、ピカ一で、お二人の登場シーンは観ているだけで、ワクワクします。
遠くに行くことは許されない
セロリの会
「劇」小劇場(東京都)
2013/07/25 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★
人間を描いてほしい
芝居というのは、所詮虚構です。
劇作家が、テーマを決め、登場人物を造型し、それを役者が演じる、嘘の世界。でも、作者は、生身の役者の肉体を使って、本物の人間の姿を舞台に再構築するものではと、私は思います。
相変わらずの、お茶の間芝居的な、自然な会話のやりとりに、前半、ヒロセさんらしい、至近の人間の喜怒哀楽芝居かと期待しました。
でも、後半の展開は、滅茶苦茶です。人間の性を全く無視して、作者が、頭で考えたストーリーだけが、私の心を置き去りにして、どんどん進み、愕然としました。
たとえば、拉致被害者の家族の心情を想像してみてください。
もし、めぐみさんが、目の前に現れた時、横田さんご夫妻ならどうされるでしょう?あんな状態で、探し求めた家族を放置するでしょうか?
芝居は、所詮虚構で、登場人物は、作者が創り出した架空の人間です。
でも、わざわざ舞台で上演するのなら、舞台上の人物は、実際にいそうな人物であるべきです。
この作品は、再演だとのこと。ならば、尚のこと、この展開には、疑問が湧くのみでした。
役者さんの演技には、何も問題がないだけに、この曰く言い難い不快感が残念でなりませんでした。
七月花形歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2013/07/04 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★
久々怖いお岩でしたが…
全体的には、深みのない四谷怪談でした。
菊之助さんは、お岩を丁寧に演じていて、その上、身震いするほど、恨みを前面に押し出した怖さのあるお岩でしたが…。
この演目は、私の個人的な思いからすると、主役二人と同じくらい、直助と宅悦、お梅を誰が演じるかが重要なんですけれど、今回満足したのは、お梅だけでした。
30年ぶりという「蛍狩」の場面、30年前は子育て真っ最中で、しばらく歌舞伎は御無沙汰の時期で、今回初めて観たのですが、染五郎さんと菊之助さんの踊りはため息が出るほど美しかったものの、どうもいつも見慣れている舞台進行と違って、違和感を感じてしまいました。
個人的好みから言えば、直助とお袖の夫婦の場面の方をむしろ観たかった気がします。
ウィーン・ミュージカル・コンサート2
梅田芸術劇場
東急シアターオーブ(東京都)
2013/07/20 (土) ~ 2013/07/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
楽日だから、更にパワフルでした
先日、オーチャードホールの公演に感激したので、急遽、チケットを買って、楽日に参りました。
素晴らしい内容なのに、残念ながら、今日も、2階席は半分も埋まっていませんでした。
でも、会場の観客は、総立ちで、心からのブラボーを叫んでいました。
容姿、歌唱力、全てにおいて、クオリテイの高いメンバーが集結しているので、目も耳も蕩けそうになりました。
特に、トート役のマークさん、人造人間ではと思うほど、生身の人間とは思えない完璧な造型で、オペラグラスを覗く度、にやけてしまいそうでした。
ウイーンミュージカルは、楽曲がとても優れているので、できれば、毎年でも来日公演して頂きたくなります。
ワーニャ伯父さん
演劇集団円
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/07/19 (金) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★
極寒の観劇で、心ここにあらずでした
さすが、カンフェティ席!寒いの何のって!!羽織るものを慌てて出したけれど、そんな物では追いつかず、まるで、冷凍室で観劇という拷問を受けているかのような寒さで、体中が痛くて、早く終わってくれと念じながらの、過酷な状況でした。
そんなわけで、集中できずにいましたが、そうでなくても、あまり上出来な舞台ではなかったように思います。
「ワーニャ伯父さん」を、普遍的な物語として、今の日本で上演するなら、それ相応の演出の工夫があってしかるべきと思うのですが、私が観る限り、そういった演出意図は感じられませんでした。
まあ、以前観た芝居では、エレーナ役の女優さんがお世辞にも、美人とは言い難く、台詞で、「美しい」が連発される度、違和感を感じたので、今回の舞台のエレーナ役は、魅力的な女優さんで、ほっとしましたが。
ワーニャの金田さん、医師アーストロフ、ソーニャ役の役者さんは好演されていたと思います。
二都物語
東宝
帝国劇場(東京都)
2013/07/18 (木) ~ 2013/08/26 (月)公演終了
満足度★★★★
ミュージカルファンにはどうか?
錚々たるメンバー、鵜山さん演出ということで、個人的に大変期待度の高い舞台でした。
「ニ都物語」は、ディケンズの作品、ということ以外何も知識のない私には、大変筋もコンパクトにまとまり、人間関係もわかり辛くなくて、さすが鵜山さんという感じではあるのですが、ミュージカル作品である以上、必要不可欠な要素がやや足りないように感じられました。
たとえ、どんな内容の物語であれ、ミュージカルである以上、高揚感や、夢見心地になれるシーンや、耳馴染みのある楽曲が必須だろうという気がするのです。そういう要素が、この舞台にはやや不足しているように思います。
でも、そういうミュージカル作品としてのクオリテイを度外視すれば、やはり、期待通りの上質な舞台作品だったと思います。
すみれさんが、身長が高く、それでいて、まだ舞台慣れしていないせいか、舞台上の佇まいに少し違和感を感じましたが、まだ開幕して日が浅いので、これから、進化されるだろうと期待します。
キリスト教精神に充ち溢れた芝居で、三浦綾子さんの「塩狩峠」を読み終えた時のような、深い感動を覚えました。
井上芳雄さんは、相変わらず、ぶれのない好演。浦井さんは、父親になってからの演技に、渋さが加われば、更に説得力が増すのではと思います。
今井さん、橋本さん、濱田さん、福井さん、宮川さんと、熟練の脇役陣が好演される中、楽曲が役を光らせるタイプの岡さんだけが、貧乏くじを引かれたような気がして、お気の毒でした。
難解曲が多い中、すみれさんのソロナンバーだけが、耳に残る美しい曲調でしたが、これが、ワイルドホーンさんの追加音楽でしょうか?
象
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2013/07/02 (火) ~ 2013/07/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
木村さんの台詞を届ける力に驚嘆する
木村了さんは、ドラマで凄い役者さんが出てきたと注目してから、何度か舞台も拝見しましたが、今日ほど、彼が役者として、存在してくれていることの喜びを噛み締めた日はありません。
これだけ、難解な不条理劇の台詞が、客席で、耳に頭に自然に浸透する体験は、今まで一度もありませんでした。
もう55年以上、ありとあらゆる芝居を観て来ましたが、彼ほど、全てを兼ね備えた役者さんを観るのは、初めてかもしれません。木村さんの演じる、ドリアン・グレイとかいつか観てみたいなあ!
不条理劇にはそぐわない観客が多数いたせいで、舞台の世界観を邪魔されずに味わうのが難儀でしたが、木村さんや神野さん、奥菜さんなどの役者陣の力量に助けられ、出色の不条理劇が完成したと思いました。
非常の人 何ぞ非常に ~奇譚 平賀源内と杉田玄白~
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2013/07/08 (月) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
名作ではないでしょうか
マキノさんの舞台はずいぶん拝見していますが、面白い時とそうでもない時が両極端で、正直、この舞台には、それほど期待していませんでした。
でも、観てビックリ!とても切り口が斬新で、素敵な人間賛歌の作品だったように感じました。
キャストが、これまた秀逸!岡本さんの舞台もかなり拝見していますが、今回の杉田玄白役、私は、最高に好きです。たくさんの役を演じ分ける、篠井さん、奥田さんの演技力も、魅力のひとつ。
特に、篠井さんは、ありとあらゆる脇役を楽しげに演じていらして、こちらまで、嬉しい気持ちになれました。
高校時代、「天下御免」で、平賀源内には興味を持った私ですが、彼の内面の悲劇には、その頃は思い至ることはありませんでした。今回の舞台を観て、改めて、源内の生涯に興味を感じてしまいました。
それにしても、マキノさん、万人受けする劇作の方法を体得された気がします。この作品、杉田玄白や平賀源内のことを何も知らなくても、十分楽しめる作品です。空席があまりにももったいないので、是非、皆さまいらして下さい。
もちろん、蔵之介さんファンには必見舞台間違いなしです。
ウィーン・ミュージカル・コンサート2
梅田芸術劇場
Bunkamuraオーチャードホール(東京都)
2013/07/05 (金) ~ 2013/07/06 (土)公演終了
満足度★★★★★
夢のようなステージに酔いしれました
2008年の大坂のみのコンサートを行きたいよと項垂れて過ごした東京在住ミュージカルファンにとっては、実に待望のコンサートでした。
それに、今回のキャストは、歌声はもちろんのこと、ビジュアル的にも素敵な方ばかり。
目にも耳にも麗しい素晴らしいコンサートでした。
回替りアフターボーナスショーというのが、毎回必見要素満載なので、できれば、全回制覇したい気分。
帰宅後、千秋楽のチケットも買ってしまいました。
今日も、2階席、3階席、ガラガラでもったいないと思いました。
安くチケットが買える立場の方、どうぞ、ウイーンミュージカルを観たことがなくても、是非いらして下さい。知らない歌でも感動できること、保障します。
ドレッサー
シス・カンパニー
世田谷パブリックシアター(東京都)
2013/06/28 (金) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
情感を掘り下げた「ドレッサー」、好配役で成功
この作品は、過去に二度拝見しています。
いつも、座長は良くても、ノーマンに不満とか、その逆とかで、脚本が素晴らしいだけに、残念な思いの残る観劇体験でした。
でも、今回の配役は、申し分なし。それに、三谷さんの演出も、座長と、付き人、妻、舞台監督それぞれの関係性を、深く掘り下げ、理屈でない、人情の機微を的確に描いて秀逸でした。
声だけの出演者も含め、贅沢な布陣。
大泉さんが、台詞の言い間違えをしたのは、ちょっと残念でしたけれど…。(奥様に向かって、「奥様にお知らせして来ます」と言ってしまわれたのが)
DOWNTOWN FOLLIES Vol.9 ~もっと男らしくもっと姦しく~
Aux-Sables
THEATRE1010(東京都)
2013/06/26 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
初回からずっと観てるので
どうしても、初回の感動は抜かない印象ですが、今回、玉野さんと吉野さんが不在の割には、まとまりのある良い舞台になっていました。
ミュージカル特集ということで、かつてのサスペンス特集のような、いつもとは様相が違うのかと思っていましたが、いつもながらの作風で、私としては、もう少し楽曲優先舞台を期待していたため、やや残念な部分もありました。
島田歌穂さんの変わり身の早さは、やはりこのレビューショーの醍醐味。
香寿さんが参加すると、いつも締まって、決めが利いて、わさびのような存在感を感じます。
北村さんの、替え歌の歌詞が妙に哀切感があり、感涙しそうになりました。(笑)
ただ、パロディの元ネタのミュージカル作品が、マイナーなものが多く、私は、全作観ていますから、わかりましたが、もう少し、ポピュラーな作品を取り上げた方が、観客には親切だったのではないでしょうか?
ミュージカル「シルバースプーンに映る月」
Quaras
東京グローブ座(東京都)
2013/06/14 (金) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
監視社会を体感!
芝居の内容に言及する前に、どうやら、テロリストの嫌疑を掛けられたらしい顛末を…。
楽しく観劇中、いきなり、係員の女性に、「お客様、バックの中の点滅がとても気になります。中を見せて下さい」と言われたんです。一瞬、何のことかわからず、あー、携帯の電源を切ってから、バックの奥底で、充電中だったと気づきました。でも、膝に乗せたバックは、私の肉眼では、点滅なんて確認できません。たぶん、どこかで、赤外線サーチか何かで気づいたんでしょうか?
周りのお客様にも迷惑だし、休憩がない公演でしたから、もし盗撮とか盗録とかを疑われたのなら、終演後、私をとっ捕まえて詰問すればいいわけで、わざわざ観劇中に尋問するなんて、爆弾でも持っていると疑われたのかしら?
バックから携帯を出して、「充電してただけですが」と言ったら、充電辞めてとも言わず、何か囁かれて、無罪放免になりましたけど…。
しかし、あまりにも驚いて、その後の芝居はどこか心ここにあらずで観ていました。こういうことがあるのなら、事前に、「観劇中の携帯の充電も御遠慮下さい」と御忠告頂けたら良かったのにと思いました。
そんなわけで、途中からは集中できない環境でしたが、芝居そのものは、キャストも素晴らしい人材ばかりで、脚本も、G2さんのオリジナル作品の中では一番好きなタイプの芝居で、大いに内容的には満足しました。
ただ、セットも洋館風ですし、この舞台、日本の設定にするよりは、どこか架空の国だとしても、外国の設定にした方が、内容に馴染んだ気がします。
グローブ座、久々に行ったら、観切れの多い3階席最前列に、背もたれのマットが置かれていて、舞台の観難さが緩和されていたのは、大変ありがたく感じました。
崩れゆくセールスマン
劇団青年座
青年座劇場(東京都)
2013/06/14 (金) ~ 2013/06/23 (日)公演終了
満足度★★★
昔の詐欺事件がモチーフの様子
昔、豊田商事事件というのがありました。
ペーパー商法で、顧客に金を売ったと見せかけて、実際の金はどこにもなかった、濡れ手で泡の商売。
我が家にも、頻繁に、この会社から勧誘の電話がありました。
でも、私は、いつも応戦して、逆に、演技の勉強をさせてもらっていたりしました。
だから、変な話、妙な懐かしさを感じました。
青年座の役者さんの演技には、大満足。特に、息子と同期だった嶋田さんの演技の幅が飛躍的に伸びたことが実感できて、嬉しさひとしおでした。
ただ、期待した野木さんの脚本には、やや不満も残りました。
女優さんの台詞に、苦心されたからなのかもしれませんが、野木さんの本領が発揮されていないように感じました。
きれいなお空を眺めていたのに
こゆび侍
王子小劇場(東京都)
2013/06/19 (水) ~ 2013/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★
久々、好きなタイプの芝居
こゆび侍は、たぶん「はちみつ」から拝見しているのですが、今でも思い出すだにぞっと戦慄が走る、まるで、3・11の原発事故を予知したかのような芝居から、どうも、自分の好みからかけ離れてしまって、今回も観ようか観まいか、かなり躊躇しました。
でも、息子と御縁が深い役者さんも出演されているし、何より、こゆびの佐藤みゆきさんを拝見したくて、伺いました。
結果、オーライでした。
また戦慄が走るSF的なストーリーかと思いましたが、ちゃんと、現実世界に根ざしたお話でした。
同じ動作を繰り返す中での感情の変化を表出するには、佐藤みゆきさんの演技力は、他を圧倒しているといつも感じます。