遠くに行くことは許されない 公演情報 セロリの会 「遠くに行くことは許されない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度

    人間を描いてほしい
    芝居というのは、所詮虚構です。
    劇作家が、テーマを決め、登場人物を造型し、それを役者が演じる、嘘の世界。でも、作者は、生身の役者の肉体を使って、本物の人間の姿を舞台に再構築するものではと、私は思います。

    相変わらずの、お茶の間芝居的な、自然な会話のやりとりに、前半、ヒロセさんらしい、至近の人間の喜怒哀楽芝居かと期待しました。

    でも、後半の展開は、滅茶苦茶です。人間の性を全く無視して、作者が、頭で考えたストーリーだけが、私の心を置き去りにして、どんどん進み、愕然としました。

    たとえば、拉致被害者の家族の心情を想像してみてください。
    もし、めぐみさんが、目の前に現れた時、横田さんご夫妻ならどうされるでしょう?あんな状態で、探し求めた家族を放置するでしょうか?

    芝居は、所詮虚構で、登場人物は、作者が創り出した架空の人間です。
    でも、わざわざ舞台で上演するのなら、舞台上の人物は、実際にいそうな人物であるべきです。

    この作品は、再演だとのこと。ならば、尚のこと、この展開には、疑問が湧くのみでした。
    役者さんの演技には、何も問題がないだけに、この曰く言い難い不快感が残念でなりませんでした。

    ネタバレBOX

    作者が、どういうシチュエーションで、何を描きたかったかはわかり過ぎる程、わかるつもりです。

    でも、22年探し続けているゆうちゃんらしき女性が、あーいう形で、目の前に現れた時、誰一人、ロープを解こうとする人間が皆無なのは信じ難い行動です。さすがに、作者も、後ろめたかったのか、後で、ロープをしたままの状態の言い訳を何人かの登場人物に語らせますが、そんな言い訳めいた台詞を書いても、この穴は埋まらないと思いました。

    他にも、作りごとだと感じる箇所は幾つか散見されます。具合を悪くして、床に伏せる母親が舞台に登場しないのは納得しますが、子供達と一緒に、ずっと娘の行方を捜していた父親も、娘らしき女性が帰ってきたと聞いても、一か月も帰宅しないなんて…!!あり得ない!!!

    説明では、娘探しに協力してくれた人へのお礼行脚で、北海道から戻れないんですって!!

    ゆうちゃんが、みつかるまでは、誰も幸せになれないなんて、枷をはめられたような生活を続ける家族なのに、そんなことは、あり得ない!!
    こんな無謀な設定にするなら、父親は死んだことにしておけばよかったのに。

    美しい優が、施設から貰われた子だったとわかり、育ての親や家族に違和感を感じていたと吐露する台詞でも「、親兄弟に似ていない」だけにしておけばいいのに、「犬や亀にも似てない」なんて台詞を言わせる。

    客席に、確かにクスクス笑いは起きるけど、こんな小ネタで客席を笑わせる意味があるでしょうか?ドタバタコメディなら、構わないけれど、これはシリアスな芝居なんでしょう?

    何か、全体的に、劇作の根本をはき違えている作品だと思いました。

    そうそう、人の気持ちを思いやれる人だから、愛が好きになった花井家の弟が、幾ら優が説得に応じなかったからと言って、妹だと思う女性を縛りあげ、頭に紙袋を被せて、強引に拉致してくるというのにも、無理を感じました。

    これでは、好演されている役者さんが、大変お気の毒な気がします。

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    2013/07/27 20:56

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  • セロリの会様

    決して、耳障りの良くない意見に対して、真摯に受け止めて頂き、恐縮です。

    事細かには書きませんでしたが、他にも他の方が指摘されているような、気になる点は多々ありました。

    ヒロセさんの作・演作品が好きな人間として、今回の舞台には、残念な部分があまりにも多かったので、正直に書かせて頂きました。

    舞台設定や、人物配置が、前回の舞台と酷似していた点も、やや気になりました。

    次回の公演で、またヒロセ作品を好きだと感じられることを楽しみにしています。

    2013/08/15 02:00

    KAEさま

    お忙しい中、ご来場頂き、誠にありがとうござました。
    また、貴重なご意見ありがとうございました。
    真摯に受け止め、今後の参考にさせていただきます。

    暑い毎日が続いております。
    お体には十分お気をつけてお過ごしくださいませ。・

    2013/08/14 20:23

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