遠くに行くことは許されない 公演情報 遠くに行くことは許されない」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.2
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  • 満足度★★

    ちょっと展開が…
    物語の説明からして幕開けからドーンと暗いシーンなのかと思いきや、家族団欒の食卓風景という感じでいささか拍子抜けした。


    何がいけないって、22年前に行方不明になった妹が見つかったと連れてこられた女性がいきなりロープでぐるぐる巻きに縛られているではないか。長い間探し続けてやっと見つかった彼女がビックリして逃げないようにという気持ちはわからない訳ではないが、ちょっと行き過ぎではないか。


    また妹として連れてこられた女性、上原優がいつの間にか花井家に入り妹ユウコとして生きていこうとする様や、花井家長男の篤と優がお互いに家族の中で異端の存在であり、似通った生き方をしてきたというだけで、いつの間にか惹かれあい二人して家を出ようと決心するという展開はあまりにも唐突で不自然さを感じざるを得ない。


    別に物語だからあくまでもリアルを追及しろとは言わないが、物語には物語のリアルがあるはずではないか。私にはどうしてもそれを逸脱しているように思えてならない。


    他にも公演チラシに“切ないコメディ”との記載があるがコミカルなキャラクターを登場させて笑いのシーンを作り、コメディと謳うなら、それはコメディとは言わないだろう。それなら全編通して笑えなければならない。もしくは兄妹や幼馴染が上原優を妹と思い込み、異様なまでに必死になる様を「人間の可笑しみ」として広い意味で「喜劇」と捉えるとしても各人の描かれ方が浅すぎてそのように感じられない。


    観客というのは登場人物のセリフ一つ一つに無意識のうちにYes、Noの答えを出しているものだ。そういう意味で納得できない作品だった。


    あっ、それから役者さんはそれぞれ素敵でした。

  • 満足度★★★★

    コメディー?
    ひとつの出来事によって変わってしまった日常。それから月日を重ねて、変わってしまった生活が日常になっている今。そこから、抜けたい人、抜けたいけれども抜けきれない人、そんな姿が描かれていました。ベースの設定が設定だけに、無理にコメディーにしなくてもよかったのではないでしょうか!? あまりコメディーにも感じられませんでしたが... 

  • 満足度★★★★★

    感動しました!
    役者の演技、舞台美術、音響、照明、
    すべてにおいてよく出来た作品だと
    思いました。
    脚本も演出も素晴らしい。
    終盤では鳥肌が立ちました。
    セロリの会は初めてでしたが、今後
    注目します。

  • 満足度★★

    切ない気持ちになった
    22年前に行方不明になった妹が見つかったことから始まるストーリー。

    妹ではないかと思われる人物・上原を発見し、連れてくるところから、不思議な感じになっていく。

    ネタバレBOX

    「逃げるかもしれない」と、ずっと縄でくくりつけたままにする次男。
    次男と二人で上原を「妹」と言い聞かせる愛。
    次男の言うことを信じて、ひたすら上原を「妹」と思い込んでいる長女と千鶴子。
    実は違う人物だと分かっている長男。
    ずけずけと割り込んでくる青木と久保。

    なんだか、すべてがおかしくて、不思議な感じだった。
    「まともな人はいないのか?」と何度も思った。

    最終的に、上原は、実は違う人物だということになり、次男の子どもを妊娠した愛と次男は、家を出ることになる。そして、残された3人(長男・長女・千鶴子)は、また、同じような日々を過ごす、ということになった。


    しかし・・・もう少し穿った見方をすることはできないだろうか、と2日経って考えた。

    上原は完全なる被害者。
    本当は、愛と次男の宏が企てたトラブルではないかと。

    愛は、宏の子どもを妊娠し、焦っていた。このまま「妹・ゆうちゃん」探しを続けていれば、子どもを産むことで、周りから責められるに違いない。いや、産むことさえ許されないかもしれないと。年はどんどんとるし、自分の幸せをつかむことさえ許されない今の関係性につかれてきたのではないかと。
    だから、上原という「ゆうちゃん」の代わりになりそうな人物を探し当て、さらってきた、と考えた。
    だとしたら、愛と宏は、無責任だ。
    いや、無責任ではない。
    自分たちで自分たちを苦しめているのではないだろうか。
    この5人が、自分たちで「ゆうちゃんが見つかるまでは、自分が幸せになってはいけない」と思い続けたことが何かの問題なのかも?
    でも、一方で、家族が行方不明になったとしたら、自分の幸せなんて探していられないのかも。
    だから、第三者の誰かが「幸せになってもいいんだよ」と言ってあげる必要があったのかもしれない。
    でも、この芝居に描かれる第三者はいない。
    第三者的な立場である青木や久保も、結局は花井家とガッツリ関わっている。だから、違った視点ではあるが、第三者ではないように思う。
    そう思うと、この家族が、とても可哀想なものに思える。

    ラスト、長男と長女、そして千鶴子がいつも通り、朝食を食べていた。
    そこに愛と宏の姿はない。(勿論、青木や久保もいない)
    だから余計にこの3人が切ないように感じた。
    妊娠して、幸せな2人の姿はそこになく、過去に取り残された3人だけがいつも通り過ごすしか方法がない。

    2年前に自分が感じた思いが、そこにあったように感じた。
    突然、妊娠して幸せを歩み、目の前から消えた同僚と、突然訳も分からない仕事を押し付けられて、苦しんだ自分。

    異論はあると思うが、この芝居を見たことで、自分を振り返る事ができたと思う。
    そして、願うのは「ゆうちゃん」が見つかることだ。
  • 満足度★★★★

    テンポはいい
    変化を拒んで現状維持というラストシーンは、其れなりにゾッとして嫌いじゃない。全体的にテンポ良く、終わってみて120分弱と意外に上演時間が長いことに驚いた。でも、

    ネタバレBOX

    でも、全体通して納得度が低い。それぞれののキャラの感情の動きが唐突。その感情の変化が、ストリーをドライブするイベントなので、テンポの良さとあいまって置いていかれてしまう。

    平田裕香が相変わらず可愛かった。衣装替えて、髪おろして再登場してくるシーンが特に。はにかみながらの笑顔や怯える演技は印象的。良かった。欲を言えば、もう少しだけ技術ほしい。小さい声でも客席までとおす発声。上手いと感じる役者共通の技術。

    菊池美里も相変わらずの怪演ぶり。掴み合いの喧嘩のシーンでさえ感情が乗ってるんだか乗ってないのかも判別がつきにくいという独特の味わい。終盤の恐怖感を一層引き立てる演技だった。
  • 満足度

    人間を描いてほしい
    芝居というのは、所詮虚構です。
    劇作家が、テーマを決め、登場人物を造型し、それを役者が演じる、嘘の世界。でも、作者は、生身の役者の肉体を使って、本物の人間の姿を舞台に再構築するものではと、私は思います。

    相変わらずの、お茶の間芝居的な、自然な会話のやりとりに、前半、ヒロセさんらしい、至近の人間の喜怒哀楽芝居かと期待しました。

    でも、後半の展開は、滅茶苦茶です。人間の性を全く無視して、作者が、頭で考えたストーリーだけが、私の心を置き去りにして、どんどん進み、愕然としました。

    たとえば、拉致被害者の家族の心情を想像してみてください。
    もし、めぐみさんが、目の前に現れた時、横田さんご夫妻ならどうされるでしょう?あんな状態で、探し求めた家族を放置するでしょうか?

    芝居は、所詮虚構で、登場人物は、作者が創り出した架空の人間です。
    でも、わざわざ舞台で上演するのなら、舞台上の人物は、実際にいそうな人物であるべきです。

    この作品は、再演だとのこと。ならば、尚のこと、この展開には、疑問が湧くのみでした。
    役者さんの演技には、何も問題がないだけに、この曰く言い難い不快感が残念でなりませんでした。

    ネタバレBOX

    作者が、どういうシチュエーションで、何を描きたかったかはわかり過ぎる程、わかるつもりです。

    でも、22年探し続けているゆうちゃんらしき女性が、あーいう形で、目の前に現れた時、誰一人、ロープを解こうとする人間が皆無なのは信じ難い行動です。さすがに、作者も、後ろめたかったのか、後で、ロープをしたままの状態の言い訳を何人かの登場人物に語らせますが、そんな言い訳めいた台詞を書いても、この穴は埋まらないと思いました。

    他にも、作りごとだと感じる箇所は幾つか散見されます。具合を悪くして、床に伏せる母親が舞台に登場しないのは納得しますが、子供達と一緒に、ずっと娘の行方を捜していた父親も、娘らしき女性が帰ってきたと聞いても、一か月も帰宅しないなんて…!!あり得ない!!!

    説明では、娘探しに協力してくれた人へのお礼行脚で、北海道から戻れないんですって!!

    ゆうちゃんが、みつかるまでは、誰も幸せになれないなんて、枷をはめられたような生活を続ける家族なのに、そんなことは、あり得ない!!
    こんな無謀な設定にするなら、父親は死んだことにしておけばよかったのに。

    美しい優が、施設から貰われた子だったとわかり、育ての親や家族に違和感を感じていたと吐露する台詞でも「、親兄弟に似ていない」だけにしておけばいいのに、「犬や亀にも似てない」なんて台詞を言わせる。

    客席に、確かにクスクス笑いは起きるけど、こんな小ネタで客席を笑わせる意味があるでしょうか?ドタバタコメディなら、構わないけれど、これはシリアスな芝居なんでしょう?

    何か、全体的に、劇作の根本をはき違えている作品だと思いました。

    そうそう、人の気持ちを思いやれる人だから、愛が好きになった花井家の弟が、幾ら優が説得に応じなかったからと言って、妹だと思う女性を縛りあげ、頭に紙袋を被せて、強引に拉致してくるというのにも、無理を感じました。

    これでは、好演されている役者さんが、大変お気の毒な気がします。
  • 満足度★★

    後半の展開について行けず
    10年前の作品の再演とのこと。
    当日パンフレットで脅して(笑)いるほど暗くはないが、中盤以降の展開が突飛…どころか荒唐無稽で今一つ劇中世界に入り込むことができず。
    ぶっ跳び過ぎなのでは?

  • 満足度★★★★

    いつか遠くに行くんだ!
    一緒に遊んでいた時に3歳のゆうちゃんが行方不明になるという
    強烈な喪失感と罪悪感を共有する5人は今もゆうちゃんを探し続けている。
    共有する仲間がいるということは“いつまでも忘れられない”ということだ。
    テンポの良い会話に笑いながらも、時に息を詰めて見守るような緊張感があり
    その危うい価値観の行方が最後まで惹きつける。
    シリアスな設定ながらキャラの立った登場人物による強引な展開が面白く
    これはやはり“人間の強さと弱さを描いたコメディ”だ。

    ネタバレBOX

    舞台は和風の居間、上手にソファ、下手には長方形の座卓が置かれている。
    ごはんの支度が整った座卓には、昔の“折りたたみ式はいちょう”がかぶせてあり
    時代と生活感がにじんでいる。

    暗転ののち、明るくなるとそこは花井家の朝の食卓で
    長男篤(尾方宣久)、次男宏(長瀬良嗣)、長女淑子(岩瀬ゆき映)と
    幼なじみの二人、愛(小林さやか)と千鶴子(菊池美里)がごはんを食べている。
    22年前の事件以来、母は体調を崩して伏せっており父は不在がちである。
    5人は今日もゆうちゃんを捜すため、張り切ってチラシを配りに行く。

    この花井家にやって来る人々には思惑がある。
    事件と家族を本のネタにしたい、篤の同級生だった新聞記者の久保(岡田美子)、
    篤の同僚で、篤に好意を寄せるパートの青木(遠藤友美賀)など。
    この二人が”世間代表”みたいな視点で絡んで来る。
    そしてある日ついに宏がゆうちゃんを連れて来る。
    上原優(平田裕香)というこの女性は本物のゆうちゃんなのか・・・?

    後悔の念からゆうちゃんが見つかるまでは幸せになってはいけないという
    暗黙のルール(時に言葉にさえして)に縛られる5人の人生は息苦しそうに見える。
    22年後に現われた“ゆうちゃん”の出現によって
    “ゆうちゃんさえ見つかればすべてが変わる、幸せになれる”と信じていた
    彼らの価値観は強制的に転換を余儀なくされる。

    優を“ゆうちゃん”と信じる姿は狂信的であり無理があり無茶苦茶である。
    だがそこに、そうしなければ22年間が無駄になるという怖ろしさや
    人生の折り返し地点で尚先の見えない不安に押しつぶされそうな心理が見える。
    淑子の、幸せになって家を出て行く人々への激しい攻撃は
    ゆうちゃんが見つかったらどうすればいいのかわからない
    絶望的にからっぽの自分を認めるのが怖くてならないからだ。
    “ゆうちゃんを探してあの日の5人が家族のように暮らすこと”
    それが永遠に続くことしか彼女には考えられない。

    この機を待っていた宏と愛は結婚のため花井家を出て行くが
    篤は優と心を通わせるものの、ついに一緒に家を出ることは出来なかった。
    篤の選択が切なくて、これで良かったのかと思わせる。
    優に「人のために生きている」と言われ、そこが似ているからこそ
    惹かれあった二人なのに、やはり遠くには行くことは許されないのか、許さないのか。

    無理やりな展開の中、役者陣がそうせずにはいられない心情を見せて素晴らしい。
    淑子役の岩瀬ゆき映さん、この人の人生このあとどうなるんだろうと思わせる。
    周囲を振りまわす自我の強さにものすごい説得力。
    篤役の尾方宣久さん、初めて優とそっと抱き合うところがとても良かった。
    無意識に人のために生きている篤が、唯一抑えがたい感情で動いたシーンが印象的。
    上原優役の平田裕香さん、とってもきれいな方でゆうちゃんにぴったり。
    こんな子にゆうちゃんが成長していたら…と皆の期待を一身に集めるような容姿。

    人は悲しみや後悔にすがって生きることもあるのだと改めて思う。
    解決したら途方にくれてしまうような、解決しない状態が幸せみたいな…。
    ラスト、2人減って篤・淑子・千鶴子の3人がごはんを食べるシーンにも
    相変わらずゆうちゃんのための陰膳が置かれている。
    20年後、40年後の淑子の側に、やはり篤はいるのだろうか。
    優と再会することはないのだろうか。
    いつか遠くへ行こうと決心する篤の変化が観たくなるような舞台だった。
  • 満足度★★★★

    なんか方法ないの?
    出だしの食卓を囲んだ時の会話の速さは、すごく自然で素晴らしかった。
    ただ、花井家に女性がやってくるまで、ストーリーにあまりドラマティックな部分がないので、単調になる感あり。
    ラスト近くの場面での篤と花井家にやってきた女性との関係解消に違和感(別れないで、家に残れる方法あるのでは?)有り。
    女性俳優は、皆さん個性的でとても良かったです。

  • 満足度★★★★

    幸せの掴み方
    面白い話と思ったが、残念なことに舞台が観にくい。

    ネタバレBOX

    22年前に3歳の妹・ゆうちゃんが行方不明になった花井家。父は方々を駆けずり回り、母は精神的に参って床に伏せている。長男をはじめ兄弟、幼馴染らは、その後悔や幸せへの渇望、ゆうちゃんの死の可能性を胸にビラ撒きなどゆうちゃん探しに出かける日々。そして、ゆうちゃんが見つかる…。

    篤(尾方宣久)…長男。家族を第一に生きてきた。ゆうちゃんの生き死によりも今の家族を優先している。優と心を通わせるが、遠くへ行けないと、また以前の生活に戻る。
    宏(長瀬良嗣)…次男。どこか頼りない。愛との間に子ができ、優の出現から二人で家を離れる。
    淑子(岩瀬ゆき映)…長女。ゆうちゃんの失踪を後悔し続け、優の出現から「家族」を守ろうと不安定になる。
    愛(小林さやか)…幼馴染。宏の子を身篭る。幸せを掴むため、優がニセモノと知りつつも家を出る。
    千鶴子(菊池美里)…幼馴染。幸せが見つけられない。
    久保(岡田美子)…篤の同級生。新聞記者。ゆうちゃんの件を記事にしようとする。
    青木(遠藤友美賀)…篤の同僚。篤に片思い。花井家に疎まれているが、それを客観的にも見ている。
    優(平田裕香)…上原家の養子。宏に拉致されてきた。家でも職場でも上手く行かず、花井家に居場所を求める。篤と家を出ようとした。

    ゆうちゃんをなくした記憶と後悔、22年という歳月と労力…舞台ではそこまで強調されてないように見えたが、実際かなりヘビーな状況。ゆうちゃん探しが日常化し、一般的な「幸せ」を見失った家族とそれでも「幸せ」を掴もうとする家族と「幸せ」を掴みきれなかった家族の話。
    異常だけども平穏でもある家族の生活に、人生に居場所がない女が入ってきて話が動き出す。みな傷を負って生きていて、何かを掴もうとしているけど掴めない、そんなもどかしさとか苛立ちとか鬱憤が見え隠れする作品。静かな調子だけど、ズシっと重い。

    淑子の、「自分の幸せ」が何なのかわからなくなった様子とか、篤の「幸せ」を自ら手放す様子にガツンときた。タイトルの「遠くに行くことは『許されない』」ってとこがグイグイ心を押してくるよう。演じた尾方や岩瀬も良かった。

    見せ方とかどうあれ、話自体は非常に好み。110分。
  • 満足度★★★★

    落ち着いた作品?
    適度なテンションの会話、適度な速度での物語の進行。全体的に良いリズムだったように感じる。裏を返せば、突拍子な展開やドキドキは少なく物足りないと感じる人もいるかもしれない。
    いくつかの言語化できるようなテーマが盛り込まれていた。「感じろ!」という押しつけがましいものではなく、物語の中で不自然なく現れる問題だった。
    ただ問題に対する明確な主張や救い(ご都合主義な展開を含め)は用意されてはいなかった。これは非難ではなく、作品の一貫した流れに対する評価である。

    最後に、個人的に「平田裕香」さんを見れたのがすごく嬉しかった。六番目の小夜子以来のひょっこりファンだったので生で見れてよかった。

  • 満足度★★★

    なんか
    不思議なテイストでした。。 一見アットホームな感じのファミリードラマチックかと思いきや、違和感というか不気味さ?のようなものが漂う。 面白かったし、役者の方々の演技もとてもよかったのですが、全般的にノリ?というのか話の流れというのかがちょっと単調な感じがしてしまって。。 あと、全体的に無理を感じてしまったかな。 スイマセン。。 そういうことも含めて落ち着かない感じ?というのが狙いということなのかもしれませんが。


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