遠くに行くことは許されない 公演情報 セロリの会 「遠くに行くことは許されない」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    切ない気持ちになった
    22年前に行方不明になった妹が見つかったことから始まるストーリー。

    妹ではないかと思われる人物・上原を発見し、連れてくるところから、不思議な感じになっていく。

    ネタバレBOX

    「逃げるかもしれない」と、ずっと縄でくくりつけたままにする次男。
    次男と二人で上原を「妹」と言い聞かせる愛。
    次男の言うことを信じて、ひたすら上原を「妹」と思い込んでいる長女と千鶴子。
    実は違う人物だと分かっている長男。
    ずけずけと割り込んでくる青木と久保。

    なんだか、すべてがおかしくて、不思議な感じだった。
    「まともな人はいないのか?」と何度も思った。

    最終的に、上原は、実は違う人物だということになり、次男の子どもを妊娠した愛と次男は、家を出ることになる。そして、残された3人(長男・長女・千鶴子)は、また、同じような日々を過ごす、ということになった。


    しかし・・・もう少し穿った見方をすることはできないだろうか、と2日経って考えた。

    上原は完全なる被害者。
    本当は、愛と次男の宏が企てたトラブルではないかと。

    愛は、宏の子どもを妊娠し、焦っていた。このまま「妹・ゆうちゃん」探しを続けていれば、子どもを産むことで、周りから責められるに違いない。いや、産むことさえ許されないかもしれないと。年はどんどんとるし、自分の幸せをつかむことさえ許されない今の関係性につかれてきたのではないかと。
    だから、上原という「ゆうちゃん」の代わりになりそうな人物を探し当て、さらってきた、と考えた。
    だとしたら、愛と宏は、無責任だ。
    いや、無責任ではない。
    自分たちで自分たちを苦しめているのではないだろうか。
    この5人が、自分たちで「ゆうちゃんが見つかるまでは、自分が幸せになってはいけない」と思い続けたことが何かの問題なのかも?
    でも、一方で、家族が行方不明になったとしたら、自分の幸せなんて探していられないのかも。
    だから、第三者の誰かが「幸せになってもいいんだよ」と言ってあげる必要があったのかもしれない。
    でも、この芝居に描かれる第三者はいない。
    第三者的な立場である青木や久保も、結局は花井家とガッツリ関わっている。だから、違った視点ではあるが、第三者ではないように思う。
    そう思うと、この家族が、とても可哀想なものに思える。

    ラスト、長男と長女、そして千鶴子がいつも通り、朝食を食べていた。
    そこに愛と宏の姿はない。(勿論、青木や久保もいない)
    だから余計にこの3人が切ないように感じた。
    妊娠して、幸せな2人の姿はそこになく、過去に取り残された3人だけがいつも通り過ごすしか方法がない。

    2年前に自分が感じた思いが、そこにあったように感じた。
    突然、妊娠して幸せを歩み、目の前から消えた同僚と、突然訳も分からない仕事を押し付けられて、苦しんだ自分。

    異論はあると思うが、この芝居を見たことで、自分を振り返る事ができたと思う。
    そして、願うのは「ゆうちゃん」が見つかることだ。

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    2013/07/28 12:56

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  • tomocoさま

    ご来場、誠にありがとうございました。
    また、ご感想ありがとうございます。
    とても鋭いご視点で見ていただけてうれしいです。

    「幸せになってもいいんだよ」と言ってあげれる第三者、
    残された3人(篤、淑子、千鶴子)にこの先、現れてくれるといいな、と
    関係者も思っております。

    今後もセロリの会をどうぞよろしくお願いいたします。


    2013/08/14 20:35

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