二都物語 公演情報 東宝「二都物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ミュージカルファンにはどうか?
    錚々たるメンバー、鵜山さん演出ということで、個人的に大変期待度の高い舞台でした。

    「ニ都物語」は、ディケンズの作品、ということ以外何も知識のない私には、大変筋もコンパクトにまとまり、人間関係もわかり辛くなくて、さすが鵜山さんという感じではあるのですが、ミュージカル作品である以上、必要不可欠な要素がやや足りないように感じられました。

    たとえ、どんな内容の物語であれ、ミュージカルである以上、高揚感や、夢見心地になれるシーンや、耳馴染みのある楽曲が必須だろうという気がするのです。そういう要素が、この舞台にはやや不足しているように思います。

    でも、そういうミュージカル作品としてのクオリテイを度外視すれば、やはり、期待通りの上質な舞台作品だったと思います。

    すみれさんが、身長が高く、それでいて、まだ舞台慣れしていないせいか、舞台上の佇まいに少し違和感を感じましたが、まだ開幕して日が浅いので、これから、進化されるだろうと期待します。

    キリスト教精神に充ち溢れた芝居で、三浦綾子さんの「塩狩峠」を読み終えた時のような、深い感動を覚えました。

    井上芳雄さんは、相変わらず、ぶれのない好演。浦井さんは、父親になってからの演技に、渋さが加われば、更に説得力が増すのではと思います。

    今井さん、橋本さん、濱田さん、福井さん、宮川さんと、熟練の脇役陣が好演される中、楽曲が役を光らせるタイプの岡さんだけが、貧乏くじを引かれたような気がして、お気の毒でした。

    難解曲が多い中、すみれさんのソロナンバーだけが、耳に残る美しい曲調でしたが、これが、ワイルドホーンさんの追加音楽でしょうか?

    ネタバレBOX

    鵜山さんは、ストレイトプレイの演出家としては、私のベスト5に入る大好きな演出家ですが、この作品を演出されるのは、任ではないのかなとも感じました。

    ルーシーが父親と再会して二人が歌う場面とかで、普通のミュージカルの舞台では、歌う二人にだけスポットライトが当たる場合が多いと思うのですが、この舞台では、後ろに立って聴いている役者さん達の為所がなく、所在無げな感じでお気の毒になってしまいました。台詞劇だと、聞いている役者も、それなりの演技をできるわけですが、ミュージカルだと、どうしても不自然な気がしてなりません。

    それぞれの役者さんが、この作品の役どころをしっかり自分のものにされた時、この舞台は、きっと深みを増して行くものと思います。

    終幕になって、ようやく、ミュージカル作品としての見せ場が揃い、シドニーとお針子の女性との間に、心の絆が生まれるあたりから、涙腺が緩んで困りました。

    観客の一人が、「リピーターは増えそうにない舞台ね」と言っていたのに、同意ですが、私は、進化を期待して、まだ2回観る予定でいます。

    もう少し、メロディラインの美しい楽曲が多ければ、この作品、もっと素敵なものになっていたのにと惜しまれます。

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    2013/07/22 01:40

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