きれいなお空を眺めていたのに 公演情報 こゆび侍「きれいなお空を眺めていたのに」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    久々、好きなタイプの芝居
    こゆび侍は、たぶん「はちみつ」から拝見しているのですが、今でも思い出すだにぞっと戦慄が走る、まるで、3・11の原発事故を予知したかのような芝居から、どうも、自分の好みからかけ離れてしまって、今回も観ようか観まいか、かなり躊躇しました。

    でも、息子と御縁が深い役者さんも出演されているし、何より、こゆびの佐藤みゆきさんを拝見したくて、伺いました。

    結果、オーライでした。

    また戦慄が走るSF的なストーリーかと思いましたが、ちゃんと、現実世界に根ざしたお話でした。

    同じ動作を繰り返す中での感情の変化を表出するには、佐藤みゆきさんの演技力は、他を圧倒しているといつも感じます。

    ネタバレBOX

    最近のこゆび侍の芝居は、何だかいつも人(擬人化した虫も含め)が殺されてばかりでしたので、今回の作品は、とにかく、誰も殺されなくて、ほっとしました。

    いつぞや観た外国の世紀末芝居や、松田正隆さんの作品を彷彿とする場面もかなりありましたが、その中にも、成島さんの世界が構築されていたのが、嬉しく感じました。

    サルマークを集めて、砂漠を緑にしようとしている女子高生二人の関係性や、引きこもりの息子がいる夫婦が、何とか食事だけは家族揃ってしようとする場面などに、表面的には、SF的な世界を描きながら、バーチャルだけでは解決しない、リアルな人間関係の絆がさりげなく描かれて、秀逸だと感じました。

    虐めは、人間が存在する限り、皆無にするのは不可能だと思いますが、この芝居に出てきたような「美じめ」的な手法でなら、ある意味、かなりましな方法だと容認できる気もしました。

    体操着に、装飾を施して、恥をかかせる「美じめ」は、被害者さえ、受け止め方を変えれば、笑ってちゃらにできそうな悪戯に思えましたから。

    最終場面で、新谷夫妻が、延々と、チョキを出し続けて、ジャンケンが終わらないシーンは、作者の意図が見えていても、まんまと、あの秀逸さにノックダウンさせられました。夫婦役の、日暮さんと佐藤さんの演技力に負うところ大のシーンですから、キャスティングの成功が、作品をより良く見せたお手本のような気がします。

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    2013/06/22 20:26

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