グァラニー ~時間がいっぱい♥KR-14【神里雄大】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/17 (金) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★★
運ばれてきたお茶は、温かく、優しい味だった。
この企画の4作目にして、はじめて、14歳だった頃のことが甦ってきた。
けっして、
パラグアイからの帰国子女で、日本での人間関係に齟齬があった、
なんて体験はまるで自分にはないにも関わらず。
そうそう、他人と自分との境界や差異がはっきりしだした頃だったんだよなあ~
しかも、中盤以降に炸裂する、“全身を使った饒舌な話法”が魅力的すぎで!
いやいや、伝えようとする力がとてつもなく強い作品、だったのだと思う。
少年B♥KR-14【柴幸男】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/19 (日) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
満足度★★★
狭い、けれど無限の小宇宙
基本的な舞台装置は全6作品共通。
なので、黒基調の床面に白線で描かれたマス目が、正四角形を作れるのは8×8マスが最大だということ(実際には左右に2列ずつ設けられている)は、すでに知っていた。
8×8。
それはチェス盤とおなじ、である(将棋なら9×9)。
そしてこの作品では、開演前から主演のぼく(岡部たかし)が立っている場所は、
チェス盤になぞらえれば「e4」(下手から5番目、奥へ向かって4列目)というマス目。
じつはチェスのオープニング(序盤定跡)では、もっとも一般的な先手側の初手は、「e2」にあるポーン(歩)を「e4」に進める、というものだったりする。
学芸会レーベル♥KR-14【中屋敷法仁】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/20 (月) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★
正確には、高度なお遊戯会
幼稚園で先生が園児(あるいは他の先生、はたまた園児が園児)を操るための“お遊戯な呪文”が上手く作られていて、楽しい。
一方、中屋敷法仁演出の役者を操る呪文は、役者のもっている背景によってか、ちょっと掛かりにくくなったりも。役者個人のアニメや少年漫画との親和性も大きかったような印象。
そんななかで得した部分もあるだろうけど、「木の演技」が素晴らしい。
きっと、非常ベルがなっても逃げなさなかったり、モノを投げつけられても顔をしかめたりしないんだろうなあ(←ガラスの仮面だよ、それは!w)。
遡上 (4/13&20 2日間のみの公演です)
東京ネジ
名曲喫茶ヴィオロン(東京都)
2009/04/13 (月) ~ 2009/04/20 (月)公演終了
満足度★★★★
まるで羊水に包まれるかのような温かさ
子供を産む話が重層的に絡まりあい、出産体験のあるほずもない自分(男性)にも、母親の大変さ、尊さが伝わってくるような作品。そして、名曲喫茶ヴィオロンの歳月を積み重ねたゆえに生まれる雰囲気も含め、とても心地よい時間を堪能。なので思わず、お母さんありがとう! と、童心にもどったかのような素直な気持ちにも。たとえるならこれは“カフェ浴”? ああ、癒されたぁ~
アントン、猫、クリ♥KR-14【篠田千明】
キレなかった14才♥りたーんず
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/04/16 (木) ~ 2009/05/04 (月)公演終了
はじまった、はじまった♪
動きで魅せるカワムラアツノリ(初期型)と、台詞で聴かせる中村真生(青年団)のふたり芝居。初日の段階では、前半はそれぞれの長所がぶつかりあい、後半になって融和しつつも互いの自由度が増していったように思えるのだけど、次回以降、どう完成に向かっていくのかまったく予見できず(こうなればいいなあ、というのはあるけど♪)。
なので、少なくとも、もう一回観ることは決定!
※初日ゆえ評価は控えさせていただきます。
にぎやか動物横丁
ゴキブリコンビナート
タイニイアリス(東京都)
2009/04/10 (金) ~ 2009/04/13 (月)公演終了
満足度★★★★
オールスタンディングの悦楽
やはりゴキコンは、今回のようなオールスタンディング(他の日には観客席も設けられていた模様)で、逃げ回ったりするのが楽しい♪
しかも音楽劇としても秀逸だったので、けっこう、歌に合わせて自由に身体を動かせたのもよかったなあ~
義弟の井戸
黒色綺譚カナリア派
シアタートラム(東京都)
2009/04/10 (金) ~ 2009/04/15 (水)公演終了
満足度★★★★
赤澤ムックの美しい世界感が、
「つるべ」がカラカラと音を立てて手繰りよせられるような、あるいは放たれるような心地よい韻律を刻んで、“鮮やかな闇”をともなって展開する後半が素晴らしい!
7歳の孫にジンを2杯飲ませた祖母
うさぎ庵
アトリエ春風舎(東京都)
2009/04/02 (木) ~ 2009/04/06 (月)公演終了
アルカリ
壁ノ花団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/03/25 (水) ~ 2009/03/31 (火)公演終了
ジャケ買い的観劇
前回の東京公演『悪霊』につづき、フライヤーのイラストはオノ・ナツメ。彼女(?)の大ファンなので、ベケット風な不条理劇に苦手意識を抱きつつも、あえて再見。
たまたま隣に座っていた女性も、開演前に『聖☆おにいさん』を読んでいたりしたので、案外、ジャケ買い的観劇な漫画好きな人も少なくなかったかも?(笑)
と、2回目だと、けっこうわかりやすく感じるんですね!
もちろん、今回のほうがそういう作りになっている可能性もあるのだけど、そこまでは判断できず(笑)。
インテレクチュアル・マスターベーション
パラドックス定数
シアター711(東京都)
2009/03/27 (金) ~ 2009/04/01 (水)公演終了
満足度★★★★★
演劇を観てきたんじゃない、演奏を聴いてきたんだ!
大杉栄や幸徳秋水をはじめとする登場人物たちの知識はほとんどなく、
舞台上ではイデオロギーの“微妙な”対立も繰り返されつづける。
しかも、会話のテンポは速く、
非常に巧みに観客にわかりやすく戯曲が作られているとはいえ、
場合によっては、進行する物語に置いていかれ、取り残されてしまっても不思議ではない状況だ。
けれど、そうやって織りなされるリズムが気持ちよくて、
いつしか昂揚感に包まれていた。
ああ、これは音楽なんだ。
だから、歌詞の正確な意味がわからなくても、興奮したり感動したりできるのだ。
もちろん、パラ定らしく、
役者たちの互いへの思いのたっぷり込められた視線が絡まる様も楽しいだけではなく、
演目にふさわしく“赤”のかならず混じった衣裳も素敵で、
演劇を観てきた充実感もたっぷりとあったのだけど(笑)。
転校生◆フェスティバル/トーキョー09春
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2009/03/26 (木) ~ 2009/03/29 (日)公演終了
本物の女子高生が演じている、にも関わらず、
あんましリアルな女子高生っぽさを感じられなかったりも…。
たとえば、もっと人の話まったく聞かない生物な印象なんだけど、
実際はそうでもないの?
少なくとも、つねに相手に伝わるように意味を込めて順番に均等に喋るのには違和感。
とはいえ、楽日だったこともあり、カーテンコールで感情を抑えきれず涙していた子も少なくなく、その光景だけはかなりリアルで、思わずつられて落涙したのは内緒(笑)。
リア王
東京デスロック
富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)
2009/03/26 (木) ~ 2009/03/29 (日)公演終了
ふつふつと再見したい気持ちがいま、湧いてきてます…。
初日観劇だったのですが、デスロックゆえの“伸びしろ”がたやすく想像できるから、明日の楽日に劇場にいきたくて仕方ない! でも、仕事的にどうしても無理だから、感想を聞いて羨ましがったりしてあげるので、みんな、観にいくといいと思うよ。
エスカルゴ
こゆび侍
王子小劇場(東京都)
2009/03/25 (水) ~ 2009/03/29 (日)公演終了
奥行きを感じた戯曲
初日ということもあってか、鮮烈なフライヤーほどのエスカルゴ感というか、粘度の高さみたいなものが不足していた感じだった、かも。ただ、ネタバレBOXに書いたように、本としての骨格は非常に魅力的で好みなので、二日目以降はもっと良くなっていくんだろうなあ、もう1回観られなくて残念。
コウカシタ◆フェスティバル/トーキョー09春
フェスティバル/トーキョー実行委員会
あうるすぽっと(東京都)
2009/03/14 (土) ~ 2009/03/20 (金)公演終了
満足度★★★★
タイ人と直に語りあえたような楽しさ!
見馴れていない肉体の動きというのは、こんなにも楽しいものかと、最前列で、タイのダンサーたちを堪能。途中、タイ語での芝居も入るのだけど、字幕なしでもなんでも伝わっちゃうよなあ、と思わせてくれる表現力(振付)がすごい、というか新しい言語を習得できてしまったかも! ぐらいな勢い。いやあ、ダンスは技術だけじゃないねぇ~
改造☆人間
田上パル
こまばアゴラ劇場(東京都)
2009/03/13 (金) ~ 2009/03/22 (日)公演終了
天才科学者か、子供にしか作れない作品
動ける役者さんが多いのに、なんだかドタバタした印象になってしまうのは勿体ないなあ、なんてことはずっと感じつつ、でも、なんか変なところがツボに入り、笑いという点に関してはけっこう愉快な観劇ではあったのですよ。あと、とにかく男子は半裸、ということにはべつに触れなくてもいいんだけど、女子はひたすら足を強調、という一貫性には好感を抱いたりした(笑)。
blueLion◆フェスティバル/トーキョー09春
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/03/13 (金) ~ 2009/03/15 (日)公演終了
ダンスと音楽の融和を目指す、洗練された優雅な作品。
ただ、その辿り着こうとした場所の高さゆえか、
出はけの頻度が多いミュージシャンたちの“ふつう”の動きですら、
秀逸なふたりのダンサーとの対比ゆえに、
舞台に不協和音を作りだしてしまっていたようにも感じられてしまったのは、
少し勿体なかったような。
15 MINUTES MADE VOLUME 5
Mrs.fictions
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/03/12 (木) ~ 2009/03/15 (日)公演終了
粒揃い
場の空気に馴染まないと楽しめない性質だったりするので、一作品15分という制限のある6劇団によるオムニバスという設定にやや尻込みしていたのだけど、予想以上に楽しむ。どの作品もすんなり入れるし、話自体のまとまりもいいしで、なかなか粒揃いだった印象。
ただ反面、ちゃんと作りすぎてるなあ、見本市なのに完成度で勝負しようとしてない? こういう場ではもっと破綻した壊れたもののほうがインパクトあるのに、次回以降に自劇団へ足を運んでもらうためのプレゼンとしては全体的にちょっと弱めだったかもしれない、なんて思いも。まあ、あまりに自己主張強すぎでトンガリまくってたりしたら座っているのすら辛かったりする可能性もあるので、そこ、あんまし文句いっちゃあいけないんだけど(笑)。うん、よいセレクトでした♪
MY NAME IS I LOVE YOU
快快
5TANDA SONIC(東京都)
2009/03/07 (土) ~ 2009/03/08 (日)公演終了
満足度★★★★
はじまりの前のはじまりから魅力的
まだ桜の季節の喧噪からはほど遠い目黒川沿いの、ビル街の一角にあるGOTANDA SONICの前の暗がりには、開場前というのにけっこうな人だかりが。おそらく、限りある当日券を求める人も多かったのだろう。はじめて訪れた場所だけに、入口すらどこかわからないまま、予約していたチケットを受け取り、列に並んで待っていると、すぐにガラガラガラと音を立ててシャッターが上がりだし、ようやく会場内の様子が判明。奥にはライトに照らしだされたステージが、それまでの夜闇との対比もあり、皓々とまぶしく輝き期待感を煽る。開場しただけだというのに、けっこう昂揚。一方、手前の入口横のウインドウには、ハート型に折られた無数のパンフレットがクリップで止められ愛らしく貼りつけられ、場合によってはドリンク券がなかに封入されていると告げられながら、観客はそのなかから一枚撰びとりながら入場。もう、それだけで楽しい♥
あらためて、舞台のうえの作品だけが快快の魅力ではないと痛感。なので、あえて野暮な劇評めいたことは省いてしまうのもあり、だよね?
火の顔◆フェスティバル/トーキョー09春
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/03/05 (木) ~ 2009/03/08 (日)公演終了
満足度★★★
生々しくも、頽廃的で美しい、
現代版「恐るべき子供たち」でした。
なので、姉と弟が、いつまでもそのふたりだけの楽園で遊びつづけられたらよかったのに!
なんて、物語を無視した願いとかも、ついw
誰も寝てはならぬ
国道五十八号戦線
神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)
2009/03/05 (木) ~ 2009/03/08 (日)公演終了
満足度★★★
絶滅した演劇の化石って、ちょっとみてみたいかも☆
たとえば漫画の場合だと、その創作の舞台裏を描いた作品に熱い秀作がけっこう多いと思うんですよ。近年でも、日本橋ヨヲコの『G戦場ヘヴンズドア』とか、よしながふみの『フラワー・オブ・ライフ』とか、まだ未完もやまだないとの『ビアティチュード』とかね。あと、熱さということなら島本和彦の『アオイホノオ』か(笑)。
ところが日本の演劇の場合、個人的には、清水邦夫の『楽屋』あたりを除くと、舞台袖や奈落とかで役者やスタッフたちがドタバタしているだけだったり、作家か書けない書けないとぐちぐち呟いているような作品ばかりという、あまりいい印象がないのだけど(いや、ほんとはいっぱいあるのかもしれないけど…)、この作品は演劇好きをも楽しめる“楽屋モノ”という面白い領域に踏み込んでたんじゃないかなあ♪