えりおの観てきた!クチコミ一覧

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天守物語

天守物語

少年社中

吉祥寺シアター(東京都)

2011/06/03 (金) ~ 2011/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

本物だった。
ここまで完成度の高い作品を観たのはいつ以来だろう・・・。

観終わった後はただもう『すげぇ・・・』の一言。

キャンプファイヤーで炎の近くに立っているかの様な、そんな熱気を舞台から感じた。

ラストに向かう怒涛の流れはとにかくもう圧巻。
それこそ近くにいる自分の服が燃えちゃうんじゃ?ってくらいの熱気だった。

ネタバレBOX

これはいったいいつ書いた脚本なんだろう?なんだか色々と思いを巡らせてしまった。『苦しくても生きろ、生きることは苦しむことなんだ』の言葉は、震災で苦しむ人々へのメッセージに違いなく、そのなんとも有無を言わせない言葉には、いつかいいことがあるだとか、生きてればきっと報われるだとか、そんな嘘くさい優しい言葉にはない真実と、力のこもった応援の気持ちがあるように思われた。

生きて苦しめ・・・か。

なるほど。
人生なんてそんなものかもしれない。

最後のダンスシーン、瞬きするのがもったいないくらいに、それどころか瞬きするのを忘れるくらいに圧倒的なシーンだった。

まったくもって圧倒的に素晴らしい作品だった。
おまんじゅう

おまんじゅう

多少婦人

OFF OFFシアター(東京都)

2011/06/02 (木) ~ 2011/06/06 (月)公演終了

満足度★★★★

ユル面白かった。
うわぁユルいなぁ・・・

というのが一本目を観た感想でした。
けれど、そのユルさが意外と嫌いじゃないんです。
ベルトだってギチギチに締めたらお腹が痛くなっちゃいますから。

腰パンできるくらいのユルさが今の時代はいいかもしれません。

けれど、
三本目、四本目辺りになるとなんだか少々方向が変わってしまい、いやちょっとそれは受け付けられないかも、というか意味がわからないかも・・・となってしまいました。

ただ、役者さん達はなんとも味があってよかったです。
遠藤夏子さんなんて最高ですね、いるんですねああいう人って本当に。実在することに感動を覚えました。

そして石井千里さん、別の芝居で見てその存在感にすっかりやられてしまい、いったいどこの何者なんだろう・・・と思っていたら、まさかこういう場所でこういう色もの系をしてるなんて・・・その贅沢な使い方に劇団の計り知れない可能性を感じましたが、できるだけもっと前面で使ってあげて欲しいなと思いました。

ネタバレBOX

結局、無理してまんじゅうに絡める必要ってなかった気がします。

オブラートに・・・あ、いや、まんじゅうの皮に包まず言ってしまうと、ほんと三本目、四本目は意味が不明でした。まんじゅう星人にしても、もうちょっとわかりやすくして欲しかったです。

なにしろすっきりしませんでした。
『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

『十二人の怒れる男』/『裁きの日』

劇団チョコレートケーキ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/05/25 (水) ~ 2011/06/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

十二人の怒れる男
まさに怒れる男達が怒りまくってました。

たまにビクッ!ってなったり・・・
ガタッ!って椅子がなったり・・・

そんな一時間四十分でした。

とてもルデコちっくで、
濃密に濃厚に濃縮された空気を感じました。

ネタバレBOX

十二人の怒れる男は以前から観たかった作品なので、観れて良かったです。それだけに最後にどうなるかを知らず、そして出演者の中に声の出演、などとあるものだから、これはさては最後、被告人が無罪の判決を受けた後、独白的に『本当は俺がやったんだけどな』的なものがあるのかな、と思っていたのですが、まったく違いました。声は初っ端、出演者入場時に背後に流れていた声だったのですね。すっかりやられました。

なんにしろとても面白かったです。
関ヶ原でダンス

関ヶ原でダンス

劇団6番シード

吉祥寺シアター(東京都)

2011/05/25 (水) ~ 2011/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★

少し消化が不良でした。
まぁ、10円のチョコを万引きしたり、たばこを吸ったりする程度の不良度ですが、それでもなにしろ消化しきれないところがあったのは確かです。

汚ないことを書くと、とうもろこしや繊維の多いニラなどを大量に食べた感じかもしれません。そして若干もやもやとしています。

役者さん達はとても上手で貫禄すら見せていて、舞台セットは素晴らしく、衣装も本物テイストで非常に良かったですし、物語を切り取ってみればどれもこれもが名場面になるような、そんな総合的にはとてもよい作品なはずなのですが、なにしろもやもやとし、なんだか置いてきぼりにされた感じがするのはなぜなんでしょうか。

ネタバレBOX

それはたぶん、次のようなことが原因じゃないかなと。

西軍も東軍も遥か遠くから関ヶ原という戦場に来ているはずなのに、なぜか百姓の嫁さん達が戦場まで来ていた。というか来れてた。これは凄いことです。まぁ、これは近場の百姓達という設定であれば問題ないですが、それでもわざわざ夫達の活躍を見守る為に来た嫁達が、物語の終盤では開戦前に帰されることになり、その為に雨を降らせるという流れが少々『???』でした。

まぁこれは自分がちゃんと理解していなかっただけなのかもしれないのですが、そもそも雨乞いの踊りで本当に雨が降るなんて・・・と、少々SFチックな感じに戸惑いを覚えてしまいました。

いやこれも別に実際そうじゃなく、やっぱり雨を降らすことは出来なかったじゃん、と言われれば確かにそうなのですが、あの何万人も集まっていた関ヶ原でこういったドタバタが行われていたのかな、と思うとなんだか、うーん、となりましたし、母親の死体を掘りおこしてきてしまうところや、瀕死の・・・というか実際一度死んでしまった侍が生き返り、その後も意外と元気だったりだとか、どうも消化がヤンキーになるくらい不良になってしまいましてなんとも残念でした。

けれどなにより一番残念なことは、最近の6番シードさんの作品は人数が多過ぎて、本来観たい劇団員達の活躍を目にする機会が減ってしまっていることです。少人数であっても大きな舞台を彩ることはできるし、スケールを大きくすることもできると思うんですけど・・・。
ビタースイート

ビタースイート

studio salt

Space早稲田(東京都)

2011/05/25 (水) ~ 2011/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★

ほろ苦い。
四本の短編がどれもほろ苦かったです。

劇場は非常に狭く、雨のせいでムンムンと蒸し暑く、通路まで全て塞がれた形で、今ここで火事でも起これば大パニックで逃げ場のない状態だな・・・などとほろ苦い考えを抱いていたのですが、物語はどれも充分に楽しめる、そして笑える、ほろ苦さの中に甘さのある、まさにビタースイートな感じでした。

ネタバレBOX

年齢のいった役者が揃ってるっていいですね。設定に無理がない上にベテラン的な安心感や重みがあってなんとも深みが出てました。

放射能の話、なんとも今的な話で考えさせられました。そしてやけにキュウリの匂いが鼻につきました。味噌はもっとです。

舞台上と最後列の自分との距離を簡単にキュウリの匂いが飛び越えて来たことを考えると、やっぱり放射能は東京辺りに蔓延しているんだなと、そう思いました。そういうことをあのキュウリや味噌で表していたんでしょうね、きっと。
神様の言うとおり

神様の言うとおり

NICE STALKER

池袋GEKIBA(東京都)

2011/05/27 (金) ~ 2011/05/31 (火)公演終了

満足度★★★★★

脚本がまず素晴らしい。
言葉の選び方が最高ですね。

つまりセリフが秀逸で、何度も何度もクスリとやったり、アハハと笑ってしまいました。

それだけでも観る価値充分なのに、揃えた役者が他の劇団でも活躍するようなS級クラスなものだから、とても安定してるし、芝居のうまさに魅入ってしまいました。

マルチエンディングということで、残念ながら自分の回はバッドエンドで終わってしまいましたが、それでも最高に楽しめました。

ネタバレBOX

とにかく出てくる言葉がどれも素晴らしく、台本を手に入れたいなと思いましたが、今のところ公開する予定も販売する予定もないそうで、非常に残念でした。なんだか人生の教訓になりそうな言葉がたくさん詰まっていたので是非とも販売して欲しいものです。

劇団『犬と串』から出演者がいるとは知らなかったので、出演者、客席に来た役者さん達を見れてちょっと得した気分になりました。北京蝶々の方も見れて良かったです。
戦争にはいきたくない

戦争にはいきたくない

らくだ工務店

駅前劇場(東京都)

2011/05/20 (金) ~ 2011/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

本物を観た。
完璧ですね。
なにからなにまで。

もうなんだかジワジワと凄かったです。

脚本なんかはこれがまたじっくりねっとりと練られているんでしょうね。じつは少し前に観たお芝居が登場人物がそれほどいないにも関わらずいったい誰が誰なのかまったくわからないままモンモンとした思いを抱きながら観終わったという経験を強いてくれたのですが、こちらの芝居ときたら絶妙なタイミングで出演者の名前がセリフの中に組み込まれていたり、呼び掛けたりで、自然と誰が誰なのかわかるようになっているものですから、ズンズンと物語に入り込むことが出来ました。テクニックですね、ああいうのって。素晴らしいです。

ネタバレBOX

お父さん役の方、最高ですね。
ラストの散歩に誘う場面、たまらなかったです。

それにしてもあの肉片のようなものはなんだったのでしょうか。

髪結う時 【無事終演致しました!ありがとうございました!】

髪結う時 【無事終演致しました!ありがとうございました!】

TOKYOハンバーグ

千本桜ホール(東京都)

2011/05/25 (水) ~ 2011/05/31 (火)公演終了

満足度★★★★★

ただもうたくさんの人に観てもらいたい。
そう思った。

人間ってよくできていて、目の下、眼底辺りに小さな穴が空いていて、涙が分泌された時には溢れ出てしまわないようその穴を通って鼻まで流れるように出来ていて、悲しい物語でも観たときには涙は鼻水へと変わり、雨は雪へと変わり、誰もがグズグズグズと鼻をススることになるわけだが、まさに今日の千本桜ホールはその鼻ススリの大競奏会になっていた。

ただ、その細い穴では通りきれない程の涙を大量に分泌し続けた自分はもうずっとずっと泣き続けていたせいで、脱水状態の放心状態で終わりを迎え、グッタリ状態だった。

そのくせなんだか心には、ふんわりと焼き立ての温かみが湯気を立てていたから人間って不思議だ。

とにかくね・・・

この物語はとても悲しい話かもしれないけれど、愛に溢れた温かい話でもあって、胸が張り裂けそうなくらいに切ないけれど、それ以上に幸せの姿を見ることができる、そんなとても心に響く、誰彼構わず、ねぇ観てよ観てみなよ、と勧めたくなる、そんな話なわけだし、話なわけさ。

ネタバレBOX

歳を取った幸子さんがとても可愛らしいからこそ成り立つ芝居だったのかもしれない。

幸せな夫婦、幸せな家族、結婚の許しを求めるシーン、出産を控えた幸せな時間、どこを切り取ってみても自分にはないものばかりでどうしようもなく涙が出てきた。

ラストのシーン、幸子さんが笑ってくれたら、とんでもなく泣けたかもしれない。
サリー【s'aeli】《当日券あります!》

サリー【s'aeli】《当日券あります!》

アフリカ座

TACCS1179(東京都)

2011/05/20 (金) ~ 2011/05/23 (月)公演終了

満足度★★★★

グッと来た。
口コミって怖いなって思った。

例えばこの観劇サイトでも、
知りもしない赤の他人の評価を見て、
その作品の評価を決め付けてしまうんだから。

そういった意味でこの作品、なんだか評価が悪く、雨の中マイナーな街、下落合まで足を運び、休息を取るべき日曜の夜を退屈な作品を観ることに時間を費やすことになるとすれば嫌だなと、そう思いながら観劇したわけだが・・・

結論から言うと、とてもいい作品で、まさにいい意味で期待を裏切られることになった。

まぁ正直自分男だから、それなりの男の性を持っているわけで、だから、まぁ少々出来が悪くても、AV女優さん達を目の前で見れるのであればそれはそれでいいんじゃないか?なぁおい?と自分に言い聞かせながらの観始めだったのだが、次第に彼女達の堂々とした演技に引き込まれ、たぶん実生活と被るような内容も演じているんだろうなと思うと、もうなんだかグッと来てしまって・・・

最後は彼女達を単なる役者として見ている自分がいて、そして、感動している自分がいた。

ネタバレBOX

がんばれ!って、そしてがんばろう!って、なんだかお互いを励ましあってる姿がとても印象的だった。

春蘭丸と乙月?の夢を語るシーン、目に涙を浮かべながらの本気の演技でこちらまで泣けてきた。

すーたん役の日高さんがおもしろすぎることにびっくりした。

そしてオウジ役の結城さんが、どんどん可愛く見えてきて、最後は完全に恋してる自分がいた。

ダンスを交えた舞台、とても良かった。
空気ノ機械ノ尾ッポvol.17

空気ノ機械ノ尾ッポvol.17

空気ノ機械ノ尾ッポ

ザムザ阿佐谷(東京都)

2011/05/19 (木) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

舞台ならではの舞台。
ザムザ阿佐谷といえば、階段状の客席から舞台を見下ろす形の劇場だが、それを反転させ、普段は舞台である場所を客席にし、普段は客席である階段状の舞台を見上げる形になっていた。

それが舞台に立体感を与えていたし、上下左右を縦横無尽に動き回る芝居にはとても合っているように思えた。

場面展開がとても早く、ポンポンとテンポ良く進むものだからなんだか考えが追っつかなくなりそうになり、であればもう考えずに観たまま感じろ!と自分に言い聞かせて激流に飲まれていった一時間半だった。

ネタバレBOX

初っ端から役者達が駆け回り汗だくになっているものだから、おいおい大丈夫か?と思ったら、最後までちゃんと乾かず汗をかき続けていたからまぁ大丈夫だったんだろう。若さって素敵だ。

ちなみに女の子達も汗だくだったが、そのくせ近くまで来た時、ふわっといい匂いがしたからさすが女の子だなと思ったし、萌えっとした。女の子の匂いって素敵だ。

最後、ネコを描いた布をバサッと客席にせり出すように掲げるつもりだったようだが失敗してしまい、観客全員が『???』のまま舞台が終わったわけだが、あそこはせめてひとことでも説明して欲しかった。関係者は何を言うでもなく、なんとなくな感じで終わっていたのが非常に残念。なんならやりなおしてくれてもよかったのに。

なんにしろ完成度の高い非常にいい芝居だった。
こんなん舞台でしかできんだろ?の見本みたいな作品だった。
お願いだから殴らないで

お願いだから殴らないで

MacGuffins

pit北/区域(東京都)

2011/05/19 (木) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

パワフルでスピーディー。
変にコテコテと盛り盛りしてなく、テンポがよく、観やすかった。

特に説明もないままに早い展開で進んで行くのに、なんの違和感も疑問も無くすんなり受け入れられた。

途中途中使われる映像がよく出来ていて、これがいいアクセントになっていた。

ネタバレBOX

主役の好演が舞台をいい感じで引っ張っていましたね。それと息子役、かなり声量があって舞台で映えてました。あとは旅館の店員の女性、靴紐が左右で違うのが気になりました。

ジャンケンで負けない男、いいですね、そんな男になりたいです。

タカジンの競技が面白かったので、そこをもう少し膨らませてくれても良かったかもです。
「コンサギ」

「コンサギ」

東京パチプロデュース

劇場HOPE(東京都)

2011/05/17 (火) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

王道の笑い。
いい感じのコメディーでした。

まるでコメディーの伝統芸能を観ているような、そんなどっしりとした安心感がありました。

変にひねくり回されることなく直球で笑わしてくるものですから、こちらも素直に笑うことができました。

王道ですね、笑いの。

ネタバレBOX

ハルカが結婚詐欺師だってのは観客の誰もがすぐに気付いたと思うのだけれど、そこをあえて刑事と言わせる辺り、いったいどこまでが計算だったのだろうか?まぁ、あれが無ければ話は長引かない。

バカップルがとてもいい味を出してました。
真ん中にきちんとしたストーリーがあっての、いいアクセントになってました。女の子の店員もそんな役割でしたね。

終盤、五百万を渡してしまうところで、あれ?これがじつは手で、やっぱり風祭は騙されてるのでは?と思ったが、そうではなかったところに書き手の素直さみたいなものを感じ、変にひねってないところに好感を感じた。

ハッピーエンドっていう終わり方自体、最近はあまり見掛けなくなっただけになんともすっきりした。最後の疑い合う二人の姿がハリウッド映画のラストシーンのようでした。
ガクラン

ガクラン

THE 黒帯

テアトルBONBON(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

ガクランに愕然。
現在、過去、未来〜♪

と歌っていたのは誰だったろう?
すっかり忘れてしまった。
昔の話過ぎて。

けれどついつい口ずさんでしまった。
なんだか気分が良くなって。
観終わった後に。

それくらいに、
歌なんて歌うくらいに、
なんともおもしろいお芝居だった。

ネタバレBOX

現在と、過去と、未来の話。

と思いきや、ホントは現在よりちょっと未来と、結構な未来と、かなり未来という三時代の話。

その三つの時代がうまいこと切り替わりながら、そして絡みながら、テンポ良く物語が進んで行くものだから、単調な感じがまったくなく、二時間近くを飽きることなく、時計を一度も見ることなく、観終わることができた。

ちなみにこの時計を見るか見ないかってのは自分の中での芝居を評価する上でのある程度の基準になり、というか、退屈な内容だとどうしても知らず知らず、何度も何度も時計を見てしまうわけだし、そうでなくても一回は見る。

それが一回も見てないということであればかなり集中していたし、かなりおもしろかったということになる。

まぁ、どうでもいい自分話だが・・・。

それにしても正直、まさかこんな内容だったとは・・・というくらいに想像とは違い、チラシの感じとも全然違い、壮大な物語で驚いた。

役者さん達は、舞台慣れした安定感を持ち、たまに慣れ過ぎてる感じもあったが、観るに耐えうるルックスと、観てて楽しい演技力を持っていた。

なんにしろ脚本が良かった。
おもしろかった。
とても。
夏葉亭一門会vol.2(公演終了!!ご来場ありがとうございました!)

夏葉亭一門会vol.2(公演終了!!ご来場ありがとうございました!)

王子落語会

王子小劇場(東京都)

2011/05/09 (月) ~ 2011/05/09 (月)公演終了

満足度★★★★★

ダメでしょ。
全然ダメでしょ。

だって・・・

役者なのにこんなに上手に落語しちゃって、
だったらもうそっちにしちゃいなよと、
そっちの道でがんばっちゃいなよと、
そうしちゃいないよねぇユウと、
そうも言いたくなるでしょ、
ジャニりもするでしょ。

うん。

いやいや本当、
笑わせ過ぎだから。
つゆだくに汗かくから。
加齢臭出始めて迷惑だから。

それにしても・・・

彼らを知らない人達がこれを観たらなんて思うんだろう?
たぶん、若手落語家達の会だと思うに違いない。
そして、すこぶる精鋭達の集まりだと。

それくらいにおもしろかった。

うん、
そういった意味で、
やっぱりダメでしょユウ達。

ネタバレBOX

さてさて落語会。

夏葉亭・・・?

と文字を見て『???』
言葉に出して『なつばてい』

ああ、
夏バテにかけているのか・・・ふむふむ。

と合っているのかいないのか、
まぁなんとなく納得しながら劇場へ向かった当日。

午後六時からのスタートはサラリーマンには少々キツい。
けどまぁ仕方ない、今日の王子小劇場は長丁場、三時間の落語会だ。
始まりが遅ければ終わりも遅くなる、そういった配慮からの時間設定だろう、ありがたやありがたや。

本当は早退でもして足を運ぼうとしたのだが、そこは社会人、やるべきことを終え、耐え難きを耐え、忍び難きところを忍び足で終了のチャイムと同時に会社を抜け出したのだが、劇場に着いたのは六時十分。

一番の目的だった七味まゆ味さ・・・あ、いやいや今日は夏葉亭ナッツさん・・・の落語が既に始まっている中、慌てて席に着き・・・ふぅ、と一息、そして始まった。

■夏葉亭ナッツ(七味まゆ味)

オリジナルの落語らしく、エイ!ヤァ!タァ!といった感じで進めて行く現代的な落語はなんとも芝居を観ているようで、というか元ネタは芝居らしく、軽快で観ててなんとも・・・萌え〜っとなった。というかあの場でよくあそこまで話せるものだとひとしきり感心。

■夏葉亭ジンジャー(登米裕一)

いやいや、あれは芝居ですよねぇ?などと七味さんについてのコメントをアドリブチックにアド街ックに話す辺り慣れてるなぁ・・・と感心。そして、他の人のコメントを見て知ったが『権助魚』というネタを披露。うーん、おもしろい。

■夏葉亭ハスカップ(鬼頭真也)

僕、枕が長いんですよ、などと前説の長さを語ったのがこの鬼頭氏だっただろうか、その感じがまた落語家然としていて憎い。ネタの『初天神』、これがまた子供と父を見事に演じ分けていてうまかった。うん、すごい。

■夏葉亭空豆(齋藤陽介)

いかんいかんいかん、この齋藤氏はいかんかった。面白すぎた。あんなに笑ったの十年ぶりくらいじゃないか?いやもう老人の尿みたく笑いが漏れて仕方がなかった。ネタの『時蕎麦』はどこかで聞いた事があるような有名なネタだったようだが、これをまたうまいこと語るものだから、もう笑えて笑えて、はぁ、疲れた。蕎麦すするだけで笑えるんだからもう、いかんよ。汗かいた。

■夏葉亭メロン(小玉久仁子)

この方、なんだか独特のアクセントのある語り口で『火焔太鼓』なるネタをやるものだから、これがまたおもしろくて、ずっと笑い続けてた。

■夏葉亭ポルチーニ(中川智明)

出た!演劇界の殺し屋。絶対何人か殺してるでしょ?と尋ねたくなるくらいの落ち着き様で話す中川氏は絶対に観たかった役者。いやいや、すごかった。見入ったし魅入った。『紙入れ』というネタらしいが、奥さんを演じる時の色っぽいことったらなかった。うまいなぁ・・・自分の見せ方も話し方もなにもかも。うん、予感が確信に変わった、絶対殺ってる。

■夏葉亭金保丸(多田直人)

いやもう皆さん落語家にしか見えなくなってる中にあって、またこの多田氏がうまい。最初の語り部分がうまく、ネタの『死神』、これがまたプロじゃなかろうかとぼんやりと思うほどにはんなりとやっておくれやすから、はぁ、すごい。

■夏葉亭みかん(村上誠基)

何があっても観たかったのがこの村上氏、さて、どんな落語を見せてくれるのかと思い気や、謝罪の言葉から入るものだから、おやおやいったい?と思っていたら、誰かとネタが被っているとのこと。とはいえこれ、ホントはわざとでは?と思うほどに同じネタ(『権助魚』)でもアレンジしてあるものだから別物を聞いているような気分になり、また違った落語の楽しみ方を教えてもらったような気がした。というかこの村上氏、語りがうまい。本物の落語家にしか見えなかった。もう林家を名乗ってもいいのでは?

■夏葉亭雛菊(永島敬三)

今回二回目なんですけどね、だからってトリって・・・僕、今回の最年少なんですよ?といった枕から始めた永島氏、敬三というから三男か?と関係ないことに気を奪われてるうちに本筋が始まった・・・途端に、落語家に豹変。早口でまくしたてるところがもうなんとも耳に心地よく、ああ、すげぇすげぇすげぇすげぇ、とドンドンとテンションが上がっていき、あ、あ、あんた、そりゃトリだよ、トリに相違ねぇよ!となんだか変なところに気持ちが向かって行った。恋とかしてたのかも・・・。


・・・と、まぁ、九人の落語家達がそれぞれの味を出しながら最高の落語を披露してくれた三時間があっという間に過ぎ去っていたわけだが、なにしろ感動した。すこぶる感動した。ちょうど少し前にイギリスで例の彼の盛大な結婚式があったがそれくらいに感動した。うん、そうそう、この場所、王子なだけに・・・

おあとがよろ、って、長っ・・・全然よろしくない。
PerformenVI~Paradiso~

PerformenVI~Paradiso~

電動夏子安置システム

吉祥寺シアター(東京都)

2011/05/07 (土) ~ 2011/05/15 (日)公演終了

満足度★★★★

長丁場。
二時間十五分三十秒・・・なかなか長かった。

後ろの老婦人達がああだこうだちょいちょいしゃべり、ついには携帯電話まで鳴らしてしまったのにはびっくりしたが、意外と許せた。

たぶんそれはこの作品がなかなかに難しい内容で、ん?あれ?これってそういうことか?どうなんだ?という箇所が何度もあり、後ろの老婦人達がまさにそれに対して疑問を投げ合っていたからだと思う。

つまりそれくらい難しい内容で、なんとも頭をひねるわけだが、それでも間あいだに入れられている色々な試みがおもしろく、そこがもうなんともツボをツンツンと突くものだから、自分も後ろの老婦人達も何度も何度も声を上げて笑ってしまっていた。

たぶん、観劇していた皆さんそんな感じだったのではないだろうか?パフォーメン?ん?神?なんなの?よくわかんないや・・・けど、あれ?なんか、ここ、あはは、笑える・・・みたいな。

そんな作品だった。

ネタバレBOX

前説をやっていた男性と主役の女性、ものすごく存在感ありました。

それにしてもあれだけの人数がいると、どうしても全くセリフを持たない人が出てくるものなんですね。ちょっと驚きました。

正直ちょい長かったかもですね。
全部入れてやろうって感じでしたもんね。
もう少し削ってもらった方が観やすかった気がします。
湯河原ドリフターズ 菊の間

湯河原ドリフターズ 菊の間

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/05/06 (金) ~ 2011/05/10 (火)公演終了

満足度★★★★

演出勝負。
同じ脚本で演出を変えるとなればそりゃ派手にもなるってものでしょうね。自分がその立場でもそうします。

とはいえ、二本扱えるとあれば一本はしっとりと行くのでしょうか。そんなことを考えながら、二本を手掛けるこちらの演出家さんの、たぶん派手な方の作品を、その狙うところである笑わせてやるという考えにすっかりハマりながら、バカ笑いしながら、ずっと笑顔になりながら、楽しませてもらいました。

ネタバレBOX

濃い口醤油をさらに濃縮させたようなキャラの濃い役者さん達が頭から離れません。

それにしても、ルパン三世の格好って日常世界の中ではあんなにも浮くんですね。

ハッピー!!―夢ヲ見ルマデハ眠レヌ森ノ惨メナ神様―

ハッピー!!―夢ヲ見ルマデハ眠レヌ森ノ惨メナ神様―

おぼんろ

GALLERY LE DECO 1F(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/05 (木)公演終了

満足度★★★★

いいと思いました。
やりたいことをやりたいように自由にやって、それが客に受けて。その流れでどんどん大きな箱へとステップアップしていけばいいと思いました。

あまり日本では見かけないスタイルですが、ラスベガスのマジシャンなんかはあんな感じでやっていたなとふと思い出しました。おおいに客に語り掛け、客をいじり、客を盛り上げていくやり方のことです。シャイな日本人にはあまり向かない気がしますが、元々温かい気持ちのファンが集まっているああいった場では効果的な気がしました。

それにしても繭だとか蚕だとか、よくその題材からあれだけの物語に仕上げたものだと、その想像力に驚かされました。

狭い客席にぎゅんぎゅんに押し込まれ、こりゃ短時間で音を上げてしまうかも、と思いきや、一時間半集中して観終えることができました。

ネタバレBOX

雨を降らすのにまさか窓の外側に水を流すとは・・・やられたと思いました。ギャラリーならではの、その場所を見事に使い切った演出、すばらしいアイデアです。室内をこれっぽっちも濡らすことなく完璧に雨を降らせて見せましたね。

最後の最後がいまいちわからなかったのですが、なぜタクに飛べと?もう少し他の終わり方であれば最高の作品になった気がします。

前回に比べ格段に解りやすい作品になっていて、今後、さらなる大量のファンを得る為の準備が整った気がしました。

もうあと数歩先くらいのものじゃないですか?シアターコクーン。
よ~いドン!!死神くん

よ~いドン!!死神くん

ポップンマッシュルームチキン野郎

吉祥寺シアター(東京都)

2011/04/29 (金) ~ 2011/05/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

観れて良かった。
どうしても観たかった作品なので観れて良かったです。

そういうのってあるじゃないですか?どうしても食べたいものがあって、それを食べれた時の感動って。『焼肉食べてぇ』って時に食べれた焼肉って最高じゃないですか。

ましてやそれが叙々苑だったら最上級じゃないですか。

この作品はまさにそれでした。

それどころか、本当は焼肉なんて食べたくなかったのに・・・って時に出されたとしても『うわっ!うめっ!』となるくらいに游玄亭でした。

ネタバレBOX

ええ、焼肉が食べたい気分なんです、実は今。

それにしてもいい話でした。
漫画と現実が交錯する辺りに少々戸惑いを覚えましたが、そんなのは味付けがタレか塩かくらいの違いでしかなく、本来の肉の味を見失うことはありませんでした。

お父さん役のつまりは小林役の方がうま過ぎて、なんだか泣けてきました。色物に見えての名演技はホルモン系の王様シマチョウですね。

ちょこちょこ差し挟まれる刑事ギャグなど、なんだか味付けのいいキムチのようでなんともいいアクセントになっていました。

なにしろ全体的に素晴らしかったのは脚本の良さと、役者さん達の技量の高さから来るものですかね。舞台セットも良くできていて感心しました。焼肉屋でいえば・・・ってもうくどいですね。

なにしろ游玄亭クラスの叙々苑でした。
最高でした。
さくらノート

さくらノート

TEAM 6g

ザムザ阿佐谷(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/05 (木)公演終了

満足度★★★★

良かった。
そして泣いた。

女優さん達が綺麗だったので、それだけでも観てて飽きなかった。劇場全体をうまく使ってたし、舞台セットがよくできていた。

ネタバレBOX

ただ、選曲がちょこちょこ違うなと思ったのと、音量はもう少し大きくていいかもと思った。
ニューヨーク、ニューヨーク

ニューヨーク、ニューヨーク

東葛スポーツ

Glad(東京都)

2011/04/22 (金) ~ 2011/04/24 (日)公演終了

満足度★★★

おもしろい試み。
渋谷のライブハウスでラップのみを駆使しての芝居、ということでいったいどんなのかなと、まったくの手探り状態で観てきました。

場所が少々わかりにくく、最初隣のライブハウスに入ってしまい、受付の女子二人に『ここで今日芝居ってやります・・・?』と、催し物の状況を尋ねると『はぁ?今日ステージに立つのはシンガーだけですけど?』と、ガムでもクチャクチャやりそうな勢いで答えられたのと、英語混じりの回答に驚きを隠せず『え、し、しんがー?』と聞き直すと、もう一人の優しめの女子が手でマイクを握るフリをしながら『歌手ですよ、か〜しゅ』と丁寧に教えてくれたのですが、それが逆になんともその場にいることへの場違い感を感じさせてくれ、いたたまれない気持になりました。

なんだか都会に出てきたばかりの田舎者の気分でした。

まぁ実際そうなのですが。
まぁ関係ない話ですが。

会場に入ると喫煙可の状態で、隣の男性もたばこをくゆらせていましたが、場内が煙っていたのは演出上のスモークで、他の方が言う程気になることはありませんでした。

一時間の短い時間設定はこの舞台ではちょうど良かったですが、10分以上も遅れてきた客の来場を待つ意味がわかりませんでした。

たしかに冒頭部分、おもしろい趣向を凝らしていましたが、遅れたから話が繋がらないってこともないでしょうし、そもそも遅れて来た数人の為に、間に合うように早く来ている数十人を待たせるというのは、真面目な客達を少々バカにしているのでは?と思ってしまいました。

ましてや席は散在タイプで、遅れて来てもある程度融通が効く感じな様子でしたし。

ネタバレBOX

昔観たエミネムの映画なんかを想像していたが、残念ながらラップの能力があまりよろしくなく、聞いていて気持ちが良くなるようなレベルでは無かった。

なにしろ本物のラップはそのリズムと、韻を踏むことでの繰り返し感と、言葉を繋げることに隠されたアイデアに『おおっ』となる感嘆とによって聞いていて気持ちがよくなるものだが、あまり韻も踏めていなかったせいで、こちらとしては少々ノリきれなかった。

本物のラッパーでも用意すればおもしろかったと思うし、なにも全編ラップにしなくても、ここぞというところだけ、ちゃんとしたラップをバシッと決めてくれた方がよっぽどいい作品になり、心にぐっと来たと思う。

ミュージカルだってずっと歌ってるわけじゃないんだから。

最後、女の子が車椅子に乗るところは、ちょっと最後にスパイス効かせてみよっかな的な脚本家の下心みたいなものが見えてしまい、少々頂けなかった。伏線でも張ってあれば別だが、そもそも途中の薬局のくだりで男が女の子に自分で買いに行かせる話をしてるわけだし、それ必要?と心の中でつぶやいてしまった。

ただ、なにしろ試みはすごくおもしろくて、ここからさらに洗練されたものが出来上がることを期待したい

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