二手目8七飛車成り戦法
劇団鋼鉄村松
ザムザ阿佐谷(東京都)
2011/12/02 (金) ~ 2011/12/05 (月)公演終了
満足度★★★★
盛り沢山。
劇団初見です。将棋の知識はなくても楽しく観劇できました。コメディ仕立ててで初日の固さからか笑いがすべってしまう部分もあったけれど、後半から役者さん達の力や観客を楽しませようとする思いがバシバシ伝わってきて、演劇への愛、果ては人(役者さんスタッフさんお客様)への愛に溢れた素敵な作風の劇団だなと思えました。将棋の対戦のシーンでは、役者さんに要求されるものがかなり多く難しいものであったと想像できるのですが、名人やザキヤマはもちろん、記録係も含め、よく応えていたなと感心。欲を言えば、対戦シーンの緊張と他のシーンとの楽しさのメリハリがもうちょっと感じられればなと思いました。それもきっと回を重ねるごとにより明確になるのだろうなと予感。
ZOKKYののぞき部屋演劇祭2010
ZOKKY
王子小劇場(東京都)
2010/09/10 (金) ~ 2010/09/20 (月)公演終了
1924 海戦
やなぎみわ 演劇 プロジェクト
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2011/11/03 (木) ~ 2011/11/06 (日)公演終了
満足度★★★
演出が素敵でした。
大正当時のアヴァンギャルドな演出はそのままに、関東大震災後の混沌を今とリンクさせるためにツイッターやTV電話のやり取りで表現したり、土方が客席に座って演出する演技をしたり、劇場見学さながらに観客に舞台を通らせたりと、空間と時間の拡がりをとても感じられた素敵な演出でした。ただ、アヴァンギャルドな部分があまりに難解で、当時の評判同様「大衆の感覚に即していない」「芸術とは何か」ということを過度に考えさせられてしまい、「楽しめる」感覚に至らなかったのはちょっと残念。しかし役者さん達の演技力の凄まじさがかなりのもので、神奈川まで行った甲斐があったと心から思いました。
【追加公演決定しました!】『B4 paper books 2』
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
サンモールスタジオ(東京都)
2011/10/26 (水) ~ 2011/11/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
大好きかも。
赤・黒、両方拝見しました。相変わらずの耽美っぷり。どのシーンを切り取っても、切断面からは美学とエロスが血飛沫の如く溢れ出て、ああ、この凶暴さが海賊ハイジャックだな、と。どの演目も、最初から最後まで緊張感が途切れることなくずっとクライマックスのようで眩暈がする。作・演出の宇野さんはきっとド変態なんだろうなと思わされるのですが(失礼、)その宇野さんの世界観を嬉々として作り上げる役者さん達を目の当たりにしていると、そのグルーブ感が凄い勢いで伝わってきて、なんて素敵な劇団なんだろうと思うのです。受付でのスタッフさんの対応も温かく、海賊ハイジャックという劇団がなんだかとっても好きになりました。
Live forever
キコ qui-co.
Pit昴/サイスタジオ大山第1(東京都)
2011/10/26 (水) ~ 2011/10/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
ダブルコールでした。
阪神大震災でのお話がそのまま今の私達にリンクして・・・という狙いは容易に想像がついたものの、ここまで心を震わせてもらえるとは思っていませんでした。黒沢世莉さんらしい毒のない素直な表現と、攻撃的な映像と美しいピアノの生演奏とが相まって、ノスタルジックな中にもリアルな現実を突きつけてくれて。その上で、放射能塗れのこの日本でもう生きていきたくないと思っていた私に、生きる希望を提示してくれました。こんな風に人の心を動かす演劇を創ってくれる人達がいるなら、まだ生きてみよう、と。きっと日本も、そして世界をも彼らは変えてくれるだろうと、そんな風に感じさせてくれるお芝居でした。あのスタジオでダブルコールはなかなかないのではないでしょうか。私も流れる涙を拭うことなく、拍手をし続けました。
ハロウィン・シックス 【次月は11/19~21】
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2011/10/22 (土) ~ 2011/10/24 (月)公演終了
満足度★★★★
ハッピーハロウィン!
シチュエーションコメディ+エンタメ。ハロウィンという季節にぴったりの、プチブラックでいたずら心満載の楽しいお芝居でした。
若い役者さんが皆キャラ立ちしていて、特に女性は皆さんフェティッシュでとても魅力的。特に採血フリークの看護師(永渕沙弥さん)と無邪気すぎる女児(安田友加ちゃん)は面白すぎ。花見(一橋純平くん)の多重人格が入れ替わり出現する様も笑えるwww ストーリーはちょっと分かりづらかったけど、それがさほど気にならないほど楽しい時間を過ごせました。
ただちょっと、セリフの噛み具合が気になった役者さんもいて、そんなときには「12時間連続公演だから稽古不足なのかなぁ」と余計なことを考えてしまいました。。
しかし「続けられる」ということは凄いと思うのです。12月までこの勢いでぶっちぎって行けますよう。
隣の食卓は美味しくない(全ステージ満席御礼!ありがとうございました!)
劇団イノコリ
Gallery&Café FIND(東京都)
2011/10/21 (金) ~ 2011/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
あたたかで、しっかり。
カフェ演劇ということで、ほのぼのとした空気感を想像していたのですが、意外にがっつりとしたお芝居で見応えがありました。
食卓というと家族団欒の場所で和やかであるものという先入観があるせいか、ずっと続くピリピリムードに、そのうち良い方向に収束するのだろうなとは予想できてもあまりいい気分で観られなかったのですが、おかしな隣人や姉の友人が絡んでくるあたりから空気が動いてきて、いつしか家族を温かく見守ることができました。
血の繋がった家族や、元々他人の夫婦、これから家族になる恋人同士、など「人と人とが関わる上で大切なこと」をいろいろ考えさせられたいい時間を過ごせて楽しかったです。
※チケットには、黒糖飴?(もったいなくてまだ食べてません(笑)) 姿は見せないものの、母・ゆっこの人生が投影されていて、素敵で温かな演出だなと思いました。
聖ひばり御殿
花組芝居
博品館劇場(東京都)
2011/10/14 (金) ~ 2011/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
ひばり。
花組芝居にかかると、ジャンヌの物語はこんなに楽しくなるのですね。楽しかった分、切なさも一入。ジャンヌに留まらない「女」の人生が絢爛な舞台から浮き彫りになる素敵なエンターテイメント空間で、笑いながらも絶えず涙目。帰り道がとてつもなく幸せでした。
三鷹の化け物
ろりえ
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2011/09/30 (金) ~ 2011/10/10 (月)公演終了
満足度★★★★★
写メりたかった。
舞台を観てケータイで写メりたいと思ったのは初めてです(笑) すごいなぁ。あんなことやっちゃえる劇団って、ろりえの他にある?初見の「女優」のときもそうでしたが、3時間という長い公演時間が、物語の長い道程を一緒に歩いているような錯覚に陥らせ、観終わる頃には登場人物全員が愛しくなってる。終わるのが寂しくて、もっと観ていたいなと思わされるのです。面白かったぁ。ずっと笑いっぱなし。あのジジイ(注:役名です)、出てきただけで爆笑。存在感がズルいよ(笑) ※相変わらず内容に対してチケット代が安すぎですw
新宿コントレックス Vol.1
新宿コントレックス実行委員
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2011/09/08 (木) ~ 2011/09/08 (木)公演終了
満足度★★★★
楽しかったです♪
vol.0に続いての観劇。新たに参入した2団体、「神と仏」「ゾンビジャパン」の勢いが凄まじかった!「黒薔薇少女地獄」もですが、他の団体を喰う気満々。どれもお腹痛くなるほど笑えました。これで1000円は安すぎます(笑)
逆にアガリスクとトリコロールは「コントレックスの1団体」としての枠に落ち着いてしまった感あり。特にトリコロールは前回と演目が一部同じだったのが残念。1回の上演、短い持ち時間だからこそ攻めてほしかったなぁ、と。
明けない夜 完全版
JACROW
シアタートラム(東京都)
2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
圧倒的なライブ感。
2時間サスペンスドラマを目の前で見ているようで、正直、最初は「演劇じゃなくても良かったのでは」と思いました。しかし徐々に、圧倒的なライブ感・・・それは生きた人間の感情・・・悪意であったり狡猾さであったり嫉妬であったり、に。むせ返るほど、それこそ吐きそうなほどの濃密な空気感に押しつぶされそうになっていって、ずっと息苦しくて仕方ありませんでした。この舞台は「感想は人それぞれ」なんてものではなく、観客を文字通り釘付けにして息苦しさを覚えることを強いるもの。舞台として自由度は高くありませんが、これだけの空気を醸し出せるのは本当に凄い。サンモール・ルデコと観てきましたが、その売りである「空気感」を広いトラムで再現できるとは。さすがJACROW。
Hear There Here【ご来場ありがとうございました!】
Depend On Others
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2011/08/25 (木) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
ピュア。
繊細でファンタジックな演出がとても素敵でした。前半はちょっと分かりにくくてお話に入り込めなかったのですが、それぞれのファクターが徐々に繋がっていく様にこちらの心臓と涙腺がシンクロ。ピュアで透明感溢れる演出にお祭りのシーンからずっと泣きっぱなし。一橋純平くんと鈴木由里さんが眩しいほどの純粋な演技で、また観たいなと思わされました。それにしてもゴキの人生(ゴキ生?)が壮絶。怖かった・・・。
サヨナラ サイキック オーケストラ
Mrs.fictions
上野ストアハウス(東京都)
2011/08/25 (木) ~ 2011/08/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
普遍的にしてリアル。
世界の終わりを前にして、その時をどう過ごすか、今をどう生きるか。普遍的なテーマにして、今の日本では超リアル。隕石衝突という絶望的な日を描きながら、悲観的な雰囲気は全くなく、逆にコミカルな登場人物達が生き生きとしていて愛おしささえ感じる。それにしてもこのラストは・・・面白すぎる(笑) あの恋の行方がどうなるかが全く分からないし、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかさえ疑問(笑) いや、でも。たとえ地球がなくなろうと、幸せならいいのだと。そう思います。
※屋上周囲のビルのセットが可愛かったです♪
Nazca -ナスカ-
劇団銀石
吉祥寺シアター(東京都)
2011/08/18 (木) ~ 2011/08/21 (日)公演終了
満足度★★★
銀石、初見です。
高い空間まであますことなく使いあげた演出や、ピアノの生演奏の音色とそのビジュアル(黒い服を着た吉田さんが舞台を見つめる姿が美しかった、、)はとても素敵でした。しかし、様々なファクターが、個々は分かりやすいにも関わらず結局繋がらないまま時が過ぎてしまい、結果、「難解だなぁ」と思いながら見終えてしまったのが残念でした。こういった難解なお芝居の場合、どこかに落としどころがあってそれがカタルシスへと繋がり、「よく分からなかったけどいい舞台だった」ともなり得るのですが。役者さん達のセリフの聞き取りづらさも気になりました。そんな中、安藤理樹さん・加藤諒さんの存在が救いでした。いい意味で毒気がなく、ファンタジックな演技。素敵です。
GHOST IN THE BOX!!
PEACE
上野ストアハウス(東京都)
2011/08/18 (木) ~ 2011/08/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
期待以上!!
第2回公演ということで、若い力をどこまで商業レベルに乗せて来るかが今後も見続けるかどうかの鍵になると思ったのですが、正直ここまで完成されたものを見せていただけると思ってませんでした、失礼しました(^-^;) もちろん次回も観ます。勢い余ってDVDまで予約してしまいました。で、何を書いてもネタバレになってしまうほど沢山の仕掛けがあるお芝居で。後半は笑いっぱなしでお腹痛かったですw あー、楽しかった!!
NUMBERS-再開ー【無事閉幕。ご来場ありがとうございました。】
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2011/07/14 (木) ~ 2011/07/18 (月)公演終了
満足度★★★
震災前に続き、
2回目のNUMBERSでした。敢えて比較すると、前回の方が好きでした。キャスト変更したDART'Sは、実は目が見える人の演技が前回の人の方が好み。世田谷シルクはお祭り騒ぎ色を減らして、同じ話ながらもパラレルワールドのよう。他は、うーん、、外的要因で楽しめなかったのでそこは残念。前回の終演後はとても幸せな気分だったのになぁ。
5分だけあげる(終幕御礼・御感想お待ちしています。次回公演は2012年2月下北沢駅前劇場・下北沢演劇祭参加決定)
MU
王子小劇場(東京都)
2011/06/28 (火) ~ 2011/07/04 (月)公演終了
満足度★★★★★
あまりに痛く。
MUのお芝居を観て切り裂かれるような痛みを感じるのはいつものことで、それを楽しみに毎回足を運んでいるのですが。今回は立ち直るのに時間がかかるほど打ちひしがれて。それは何故かなと考えたら、今までのお芝居は「過去の自分の痛み」を引き出しされたのに対し、今回は「現在の自分の痛み」を直視させられているためだと気付きました。
それをどう未来に繋げるか・これからどう生きていくか。最後列で美しい照明に浮かび上がる小宇宙のような舞台を観たときに、そのヒントに気付きました。
これは世界を終わらせる物語ではなく、再生と希望に繋がる物語。今回も変わらず、人生を優しく肯定してくれるアユムさんの脚本に幸福を感じた瞬間でした。
「2」
コロブチカ
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2011/06/28 (火) ~ 2011/07/03 (日)公演終了
満足度★★★★
プラスアルファ。
3作品ともどれも秀作で楽しめました。しかし秀作はどの劇場にも溢れていて。そんな中で心を魅かれる特別な作品になるには、観客の心にプラスアルファの思いを残すことが大切なんだなと実感。
そういう意味で、コロさんと堀越涼さんの絶妙すぎる掛け合いをずっと観ていたいと思った『来週は桶狭間の合戦』がかなり素敵。二人の魅力的なキャラクターに誰もが恋をしそう。ひたすら楽しかったです。
桃色淑女
渡辺源四郎商店工藤支店
アトリエ春風舎(東京都)
2011/06/17 (金) ~ 2011/06/19 (日)公演終了
満足度★★★
三上陽永くん在りき。
女性アイドルグループの再起とミュージシャンを目指す男子高校生達の二つの物語が平行して進み、5人の役者さん達がそれぞれのお話で別の人物を演じるという試み。しかし二つの物語はリンクしているように思えてそんなにリンクしていなかったり、自殺する人間が3人もいるのに理由もはっきりとしなかったり。人生での出来事は映画や演劇の中でのようにいつもはっきりとした理由があるとは限らないので、この物語はリアルと言えばリアルなのだけれど、そう考えてもどうも釈然としない。演出面でも、衣装代え無しで2役を演じる役者さんの力量を見せる部分や音楽やダンスで煌びやかな部分が分離してしまい、結果、どれも中途半端になってしまっているという印象を受けました。
しかし、それらを差し引いても三上陽永くんの演技は素晴らしかった!男性・女性の繊細な演じ分けはもちろん、歌にダンスと三上くんの魅力が満載。女性を演じているときは、「きれいな顔をしているなぁ」と見とれてしまいました。お墓の前で女性アイドルから男子高校生にスイッチしたときには背筋が震え、やはり彼の演技力は化け物級だと実感。彼の実力をこれでもかというほど堪能できて幸せでした。
【ご来場ありがとうございました!】Loss / Recover
劇団パラノワール(旧Voyantroupe)
サンモールスタジオ(東京都)
2011/06/07 (火) ~ 2011/06/15 (水)公演終了
満足度★★★★
息が詰まる。(「Loss」)
最初から最後まで、銃を構えての密室劇。徐々に高まっていく殺意や持続する緊張感に息が詰まって疲労感を覚えましたが、ゲーム感覚で進んでいた物語がラブストーリーとスライドする辺りから、「吊り橋を一緒に渡ると恋に落ちる」感覚と同じような愛しさに包まれました。
舞台は異次元?近未来?現在の日本を考えると、実はこの舞台と同じような状況に既におかれているのかもしれないとも思えて恐怖感も覚えたり。
それらを覆い尽くしての川添美和さんが素敵だった!この舞台を観て彼女に惚れない人はいないのではないでしょうか。