れいの観てきた!クチコミ一覧

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淡仙女

淡仙女

あやめ十八番

セーヌ・フルリ(東京都)

2013/04/17 (水) ~ 2013/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

神様に捧げられし物語
ストリップ小屋を模した円形舞台から続く鳥居への参道、頭上の提灯。結界が張られた幻想世界にすべて赤で統一されたそれらが妖しく浮かぶ舞台での芝居はそれはそれは妖艶で、観る度に観客を蠱惑すると共に鋭い痛みを以て様々な角度から身体を抉り取る、しかしどこか甘やかな陶酔感をもたらしてくれる類稀なる情感的な作品でした。
私がここに書ける感想は、今感じている思いの20%程度です。抱えている数々の琴線に悉く触れてくるので、残り80%の表に出せない感情達は、慟哭の中、大切な人だけに捧げたいと思っています。

ネタバレBOX

血の繋がらない兄妹を軸に繰り広げられる、枠組みは至ってシンプルな家族の物語。しかし細やかな層の厚みを徐々に増して温かく心豊かに描かれる感情の表現は、作・演出の堀越涼さんの人間としての豊かさを如実に顕していて。

「水町鈴です」と幼い声の自己紹介で始まった新しい家族、母の元夫や団子屋の従業員の親子。誰もが家族を慈しみ、深い悔恨と情とで生きる姿を観ていると、とめどなく涙が溢れてきてしまい。人間性善説に基づく創作は、慟哭の中にもやはり観る人を幸せにしてくれるのだなと実感。

アコースティックギターで引き語られる昭和のナンバー、祭囃子の笛太鼓、奉納の舞い等、物語を彩る和の演出が見目麗しく耳にも優しく。ノスタルジーに浸るとともに、自然に自らの心に宿る誰かを思い出さずにはいられません。

中でも、観ていて叫びたいほどの衝動に駆られたのは、鈴の元恋人である夕子の存在。突然姿を消した理由は「書かなくていい」と演出家役の指示。そこに在るシーンは、のちに同じ演出家に「お前は全然分かってない」と言われる鈴の兄・ヒロが語る鈴の思いを推測する独白にも通じて。

それは、脚本を書いた堀越さんの自戒でもあると私には感じられました。どんなに人を大切に思い、理解を深めようとしたところで。その真実には辿り着けない、それは重々承知だけれど。・・・それでも、人を理解したい。大切な人が孤独の悲しみから救われて、神様のもとで心安らげる日を願ってやまない、と。そんな堀越さんの大きな大きな愛が込められた舞台なのだと分かったとき、とつてもなく胸が熱くなり。

夕子が傍にいない現実と向かい合って泣き叫ぶ鈴の姿から、鈴を取り巻く家族や元恋人の愛や、この舞台に関わった座員達のこの芝居への思いまでが痛いほど伝わってきて私も号泣。初日から千秋楽まで止むことのない胸の痛みを感じながら、慟哭の中にも暖かな幸せを感じられた素敵な素敵な舞台でした。


ユニットとして初の長編ながら驚くべき才能を発揮した作演の堀越さんは、役者としてもこれでもかというほど魅力を見せつけてくれて。女性物のエプロンを一つ着けただけで母親としての人生を、実に繊細にしなやかに、時にはコミカルに愛らしく体現してくれました。

そして堀越さんの思想を一身に背負った笹木皓太くん。血の繋がらない妹を、兄として、そして一人の男性として慈しみの目で見つめる演技が本当に素晴らしかったです。あんなに優しい眼差しで舞台の上に立っている人を見るのは初めてというほど。ホームのあんかけフラミンゴでの、命懸けで魅せる生命力もさることながら、こんなにも繊細な感情表現を見せてくれるとは。まだ若干21歳、恐るべき才能。

美斉津恵友くんは声の表現力が素晴らしく、厳かな奉納の声から演出家としての緊張感に満ちた声まで、その振り幅はさすが花組芝居の座員、と驚嘆。終盤の「・・・いいですねぇ。」の台詞は、真面目そうなお顔なのにあんなにいやらしい声を出せるんだ、となんだかゾクゾクしました。笑

長井短ちゃん。今でももちろん美しいですが、20歳を過ぎたら恐ろしいほどその美貌が研ぎ澄まされるのだろうな、と。いい意味で伸び代や可能性を沢山感じるのでこれからが楽しみ。

堤千穂さんは流石の存在感。仙女の舞は息を飲むほど美しく、芯の通った京子の演技は今までに観た千穂さんの演技の中で最も素敵だと感じました。

大森茉利子さん。ただただ、慟哭。何も告げずに鈴のもとを去った夕子の思いは計り知れず、演じている彼女自身がどこまで感情を定めているかも想像がつかなくて。そんな余白も独特の包容力を以て、観ているこちらの心まで抱きしめてくれるかのように表現してくれて。私の一番の泣き所であると共に、愛しい愛しい存在でした。

岡本篤さん。ズルい 笑

他の役者さん達もみな実力派揃いで、演劇としてのクオリティを存分に楽しませていただきました。


ひとつだけ欲を言えば、夏枝が貴夫に別れを告げるシーン、そして大木と妻が別れるシーンは、メインどころのエピソードではないにしても別れを決めるまでがちょっとあっさりに見えて、そこだけ不自然に思えてしまいました。どちらの夫婦も子供がいたことですし、もうちょっとだけ妻側に葛藤の色が欲しかったかな、と。その辺り、いかに堀越さんが幸せな環境で育ったかを感じさせられたりします。

これから堀越さんが人生を歩む中で、どのようにその人間の表現が厚みを増し、どのような変化を見せてくれるかと思うと、あやめ十八番というユニットの将来が楽しみでなりません。ずっと愛せますように、もっともっと素敵になりますようにと、心から願わずにはいられません。またの公演を熱望しています。
淡仙女

淡仙女

あやめ十八番

セーヌ・フルリ(東京都)

2013/04/17 (水) ~ 2013/04/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

あまりに胸が痛く。
後半涙が止まらなくて、終演後も役者さんと話すたびに泣いてました。心の整理をしてからまた投稿します。とりあえずノスタルジックで神秘的な舞台に息づく演劇の胎動を、たくさんの人に味わっていただきたく、心からの祈りを。

人魚の薬 -雲の上編 海の底編-

人魚の薬 -雲の上編 海の底編-

たすいち

シアター風姿花伝(東京都)

2013/04/01 (月) ~ 2013/04/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

海の底篇を観ました。
キャラ立ちした魅力的な役者さん達がテンポ良く繰り広げるファンタジー。目崎さんのロマンチストっぷりと人間性善説の根付いたポジティブな作風が実に爽やかに心に滑り込んで来ました。もし演劇を初めて観る人がこの公演を観たら、演劇って楽しいもの、素敵なものだと間違いなく思うのだろうなと観終わった後に感じました。万人にお勧めできる作品。特に、恋する人にはお勧めです。笑

ネタバレBOX

一橋純平くんが演じた波子に恋をする海の感情は、驚く程私の胸にピンポイントで刺さりまくりました。薬を飲まされて恋による胸の痛みは無くなったのに、生きている気がしない。そのセリフで涙腺が崩壊してしまい、以後泣きっぱなしでした。私事ですが、胸の痛いときにはそれを受け入れていいんだ、これが生きてるってことなんだ、だったらこの痛みを大切にしよう・・・と。救われる思いでした。
一橋くんはいつの間にか「演劇王子」と呼ばれるようになっていて、こうして繊細な感情表現が要求されるお芝居もこなせるようになったのだなと感慨深いです。もっともっと飛躍して大きな舞台にも挑戦していってほしいです。

堀口さんは海賊を退団してからとても伸び伸びとした演技を観られるようになった気がします。ヒーローにはなれないタイプのキャラをとても魅力的に感じていて、波子さんとは結ばれないだろうけど幸せになってほしいななんて思いました。

佐山さんの演じた波子さんは包容力に溢れていてとても愛らしく。悪女っぷりを見ながらも、彼女のように皆に愛される女性になりたい、そして皆を翻弄したい、なんて一貫して憧れてました。

永渕さん、天晴れ。素敵でした。あの衣装そのまま着てみたいです 笑
『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/03/23 (土) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

まるでオーケストラのように
重厚で硬派のイメージが強いチョコレートケーキ。絶対の信頼感を以て観る「ある記憶の記録」、それはそれは素晴らしいものでした。役者さんの、登場人物の人生を背負った確かな演技、緻密かつ情に満ちた脚本、それを最大限に効果的に観せる演出。全てが相まって2時間を実に濃密に、心豊かに過ごさせてくれました。人物それぞれの心情がまるでオーケストラで奏でられるそれぞれの楽器のように、心地良いタイミングでそれぞれのパートにスポットが当てられ。ときにはソロ、ときにはデュエット、トリオ・・・というように人物達の心情が変遷する様子がこちらの体に滑らかに染み込んでくる感覚が鮮烈。ナチスドイツ時代を引き摺る重いテーマでしたが、観終わってなぜか心が温まったのは、舞台の上に確実に「血の通った人間の温かさ」が根付いていたからなのでしょうね。

ネタバレBOX

根津さんが相変わらず素晴らしいです。忘れたことにしようと思っていた過去の記憶にスポットが当たったとき、感情表現の巧さにハッとさせられました。

元々劇チョコやJACROWで拝見していた岡本さんは、最近は北京蝶々やリバーサルでの軽やかな演出での作品ばかり拝見していましたので、またこういう演技が観られて嬉しかったです。

川田さんは2週間前には空想組曲で拝見したばかり。ここまで作り込めるなんて凄いなぁ、と。ご挨拶したときにあまりの綺麗さに見とれてしまいました。

とても可愛らしい亀田さん、娘としてお父さんのあの重い話を千秋楽まで聴き続けるのは辛いだろうなぁなんて思ってしまいました(^-^;)
国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~

国家~偽伝、桓武と最澄とその時代~

アロッタファジャイナ

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2013/03/27 (水) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

人間を演じるということ
前回の新国立劇場での「ルドンの黙示」のようなエンタメを勝手にイメージしていたので、それとは違うベクトルでの演出にしばらく戸惑ったものの、見慣れてきたら驚くほど役者さん達の表現力に引き込まれて休憩なしの3時間超を夢中になって観てしまいました。

見目麗しい役者さんや実力のある女優さん達の役者力を見せつけるかのような素舞台で、人間が人間を、特に一生に渡る生の重みを演じるということの凄まじさをこれでもかというほど堪能。

中でも遠藤雄弥くんは、最澄という僧侶の思想そのもので舞台の上を生き、肉体は死しても思想を世に残すほどの人間を演じきる表現力は私が今までに観た役者さんの中でもトップに並ぶ鮮烈さ。厳かな佇まいのなか、背負うものの多さや重さをストイックに表現していたのですが、そのストイックさが逆にセクシーで、この役を演じられるのは彼の他には考えられないほどの唯一無二の存在感が素晴らしかったです。

彼の他にも、良い役者さんが目白押し。中でも、桓武天皇の母と石塚を演じたさいたまネクストシアターの周本さんは若さに似合わない貫禄の演技で圧巻。そして安殿を演じた真山くんの魔性の色気にも戦慄。芸能界の第一線で活躍している方たちの魅力に圧倒させられっぱなしでした。

色々初日らしい部分もありましたが、すっごく面白いと素直に思わせていただきましたので☆5つ。ちなみに、より舞台を堪能するために、桓武天皇と最澄をwikipediaで予習することをお勧めします 笑

ネタバレBOX

・最澄の一生とは肉体の一生のみらなず。肉体は死しても思想を残し、長い長いときを経て世を変える力、その思想を伝える人間達を育てる力。そんな力・思想を持つ人間を演じきり、終幕後も魂が舞台の上に浮遊している確かな余韻。それが遠藤雄弥くんが見せた稀有な表現力。

・最澄と桓武天皇の友情はかなりフェティッシュで萌えますね(笑)

・主役なのでその二人に思いを馳せがちですが、安殿と薬子の悲恋に目を移すと途端にロマンチックなファンタジーに心を奪われます。安殿役の超絶イケメン真山くんに手を取られてキスをされる薬子役のナカヤマさんに思わず感情移入。そう、薬子ではなくナカヤマさんに感情移入(爆) あんなに乙女なナカヤマさんを観たのは初めてです。

・信念を演じた山田くんの、遠藤くんの最澄とは対を成す炎のような僧侶にも目を奪われました。

・殺陣の振り付けは三元雅芸さん。キレキレでカッコ良かったです。

・観ていて「終わらないでほしい」と思いました。長さがとても心地よかったです。

・初心者にオススメの理由は、一流の役者さんの凄まじさを観れるから。

また思い出したら追記します*
義賊★鼠小僧次郎吉

義賊★鼠小僧次郎吉

流山児★事務所

Space早稲田(東京都)

2013/03/14 (木) ~ 2013/03/24 (日)公演終了

満足度★★★★

当時の小屋に思いを馳せながら。
歌舞伎の演目が殺陣ありミュージカルあり紙芝居ありの盛り沢山で時代無関係にアレンジされてて楽しかったです。役者さんたちの飛び散る汗が凄まじくて、正に熱演に好感度大。昔の歌舞伎小屋は今の小劇場のように玉石混合、様々な演出で沢山の人が気軽に楽しんで観ていたんだろうななんて思いました。

ネタバレBOX

終演後のアフタートークでの「当時の台本から殆ど変えていない」との言葉にびっくり。こんなに現代的にアレンジ出来るのですね。流山児祥さんの演出は初見でしたが結構好きかも?ファッションセンスもちょい悪で好きです 笑

お目当てのアフタートークでの堀越涼さん、脚が長いです。ひたすら長かったです。
虚言の城の王子

虚言の城の王子

空想組曲

吉祥寺シアター(東京都)

2013/03/03 (日) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

安定の空想組曲。
今回主演が加藤くんということで、作風がイケメン芝居寄りに変わってしまうのではとちょっと心配してました。しかしちゃんと空想組曲の世界観にイケメン役者さん達を引き寄せてて。逆にほさかさんの創りたい演劇に大きく近づいた瞬間だったんだなーと清涼感に溢れる舞台を観ていて思いました。ほさかさんはこれから商業演劇でも大活躍されそうで、どんなファンタジー演劇を世に出してくれるのか楽しみです。しかしどうしても私には「ダーク」には思えないんですよね。。空想組曲はひたすら「きれい」。そこが良い部分であり、少し物足りない部分でもあり。

ネタバレBOX

千秋楽を観たのですが、スタンディングオベーションに号泣する加藤くんを観て、演技同様誠実な方なんだなとほっこりしました。最初から最後までずっと出ずっぱりで、沢山のものを背負って頑張ってた姿が好印象。二瓶くんと植田くんの兄弟も可愛くて可愛くて、あのまま舞台上で一生を過ごしてほしいほど(笑) 個人的に二瓶くんの男役を観るのは「ドロシーの帰還」以来で、以降は花組芝居での女形ばかりを観ていたので男の子役が新鮮でした。やっぱり男性の声って素敵ですね 笑
月の剥がれる

月の剥がれる

アマヤドリ

座・高円寺1(東京都)

2013/03/04 (月) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

3回拝見。
相変わらず広田さんの物語世界は難しく、いまだに30%も理解できている気はしませんが、それでもこの美しい物語を理解したいという気持ちと、清涼感・躍動感に溢れる乱舞を何度でも観たいという気持ちがおさまりません。壮大な人類愛に満ちたこの作品ですが、果たして答えはあるのでしょうか。物語の中で人間たちが選択した道は正しいのでしょうか。「世界は初めから完璧にできているから、僕らが残せるのは傷跡だけ」。きっとこの答えの出なさ、不完全さ、それが人間の、世界の、地球の、そして宇宙の「完全な姿」なのでしょう。精神的に美しい「演劇」でした。愛してます。

ネタバレBOX

まず舞台上のオブジェにびっくり。「月の剥がれる」様が木材で作られているのですが、そこに神が宿っているかのような生命感。

そして役者さん達。皆さん透明感に溢れていて、きっとこの人達は人間を一旦捨て去って妖精になったに違いない、臓物なんてないのかもしれないと思わされます。物語の中で人間たちは「怒り」の感情を捨てることを決議しましたが、現実ではそのようなことが平和に繋がるとは思えないものの、舞台の上では皆それが実現できそうなほど「きれい」。

散華は新興宗教のようで、そこにいることで自分の存在の意味を見出すような部分は、リアルなのに毒を感じない。この「美しさ」は危険だなぁと思いつつ、どす黒く描かないのが「アマヤドリ」なのでしょうね。

そのアマヤドリを象徴する「乱舞」の美しさ・・・特に小沢道成くんの神々しいほどの身体使い、ハマカワさんの愛らしさに目を引かれて、乱舞の為にだけでも毎日通いたいくらいでした。

ちなみに初日は休憩無しの2時間40分が、目の前の美しさに気を取られる&理解することに頭を巡らせていたせいであっと言う間(笑) 2回目(3/6)は削られている部分が多数あった上に休憩があって集中力が途切れてしまってちょっと残念だったのですが、その翌日はシーンが増えた(!)上に休憩が無くなって、物語世界により深みが出ていてとても観やすくなってました。
広田さん曰く、赤羽兄妹のシーンは「朝小沢くんに電話してシーンが増えたことを伝えた」とのことですが、それで夜あのシーンを上演してしまうとは・・・役者さん達のキャパシティに脱帽です。

ちなみに大好きな小沢道成くんですが、このままアマヤドリの劇団員になってほしいほど魅力が発揮されていて素敵でした*
発情ジュリアス・シーザー

発情ジュリアス・シーザー

柿喰う客

青山円形劇場(東京都)

2013/02/21 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

初・柿喰う客名義。
中屋敷さん作品は「来週は桶狭間の合戦」「パラリンピック・レコード」を拝見し、Ustreamで「悩殺ハムレット」「絶頂マクベス」「無差別」を拝見してまして、それらは非常に面白く、特に悩殺ハムレットは演出がカッコ良くて好きでしたので、私にとって初の柿喰う客名義で生で観る作品として今回はとても期待していたのですが。(以下、ネタバレ欄にて)

ネタバレBOX

・・・あれあれ?中屋敷さんどうしちゃったの、って正直思いました。たいたいさん始め魅力的な女優さんがいらっしゃるのに、演出が細部まで行き渡っていない印象。アイドル的な女の子達を起用するにしても、彼女たちの魅力を発揮させてくれるような演出がなされていなくてはただのお飾りになってしまいます。折込チラシには中屋敷さん演出作品が多数ありましたが、それらの忙しさでひとつの作品に掛ける時間が足りないのかなぁ、なんて悲しくなってしまいました。

たいたいさん七味さんあんりさんあがささんの熱演をしてもどうにも高まらないこの心臓。それに反するかのような、終演後のアフタートークでの絶賛の声や割れんばかりの拍手。「悩殺ハムレット」だったら私もこういう反応が出来ただろうななんて思いました。女体シリーズはアイドル女優の登竜門になるのでしょうか。それにしてももう少し中屋敷さん的チャラ目なスタイリッシュ感が欲しかった・・・。エンタメは大好きなのですけどね。
2013年・蒼白の少年少女たちによる「オイディプス王」

2013年・蒼白の少年少女たちによる「オイディプス王」

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2013/02/14 (木) ~ 2013/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

両ver.観劇。
川口覚くんと小久保寿人くんがオイディプスとクレオンを演じたそれぞれの回を観ました。川口くんのファンとしてはいつ役が変わるかと開幕前までヒヤヒヤしていましたが、いざ開演してしまうと何でそんな心配をしてたのだろうと思うほど圧倒的な演技。しなやかな体躯から繰り出す重厚かつ繊細なセリフ回しは、同世代の役者さんの追随を全く許しません。オイディプスとクレオンの演技の振り幅も尋常じゃなく、逆に脇役で実力を確認できたのも良かったかなぁなんて思ったり。でもご本人はやはり主演が良いのですよね。さいたまネクスト・シアターという若手ながらも実力派揃いのこの劇団、一枚看板では良くないのかもしれないと思いつつ、やっぱり川口くんの主演が観たい。そして周本さん白川さんもとっても良かった、コロスひとりひとりも全員魂がこもってました。ちなみに演出は蜷川入院のため、途中から演出助手の方にバトンタッチ。だからから、綺麗すぎて綺麗すぎて、蜷川さん独特のフェティッシュ感は薄れてました。しかし黒装束の川口くんのセクシー度は半端じゃないです。

ネタバレBOX

1回目は小久保くんのオイディプスでしたので、川口くんのオイディプスでは間近で観るために早めに席を確保。結果、すぐ隣(手を出せばすぐ繋げるくらい隣(笑))で立ち止まって演技をしている率の高さが異常。そして川口くんが駆け抜けるとフローラルの良い香りがふわぁーーーっと。幸せでした 笑

それにしても去年のハムレットは素晴らしかった・・・。蜷川さんの読売演劇大賞受賞も納得です。
【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】

【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】

ロ字ック

サンモールスタジオ(東京都)

2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

ロック。
脚本の山田さんの言いたいことがロックの音楽と共に語られてました。風俗の話ながら下着姿になる等全部山田さんが背負っていて、いかにこの作品が彼女の全てをこめたたが伺えました。主演の堤千穂さんはいつもニココニしていて、その笑顔が真意なのかそうでないのか、そして素の彼女のものなのか演技によるものなのか・・・そんな気持ちでずっと引かれながら観てました。そして長井短ちゃん、美しすぎてスタイル良すぎてハーフの人はいいなぁと思ってたらなんと純粋な日本人とのこと!素敵でした。

ネタバレBOX

以下、観た直後のツイートです。

***

デリヘルの話なのに、全女性だけでなく全人類の縮図のよう。演劇的手法を多用してるのに目の前の光景が実にリアルでフィクションに思えず、共感を通り越して日常の延長のようにしかし熱く目を凝らして観た。山田さんと飲みながら男と女とSEXの話をしたいと思った。

で、帰りに観劇おじさんと話しながら帰ったのだけど、男と女で同じ芝居を観てこれだけ感じ方が違う芝居は初めてだなぁ、と。男性は感覚的に分からない部分が多いらしい。私はすんなりと受け入れて観てたけど。クズを自分の中に溜め込んでバカの振りして生きるなんて男女とも同じだよね。違うの??

山田さんの演出好きだわー。みんなクズなのに生命力に溢れてる。死んでると言われても滾りまくってる。ロックだし、カッコいい。特にボブ美さんが凄くよかった。ブスって言われてる人何人もいたけどみんなそれぞれ魅力的だったよ。

千穂さんの役は、絶対自分とは被らない・・・と思いつつ、クズの部分が自分と違うだけで実は紙一重なんだよね。あの表情の裏に何があるのか探ってしまった。芯の部分に確りとしたものがあることは容易に想像がつく。でもなかなかつかみどころがなくて。そういうところが男性にはたまんないのだろうな。

竜史さんの相手役のキャラ、あれヤバい。一歩間違うとああなりかねないのを必死で留まっている女性にはたまらないw 多分そういう女性多いから共感されまくりだと思う(笑) 痛かったなぁ。ちょっと優しくして欲しかっただけ・・そうなんだよね。私も身に覚えある。今でこそ笑って観れるけどね。

勢いで一回寝ただけで恋人気分な女はすごく嫌いなんだけど、彼女は逆に愛らしく見えたのは、多分あれだ、本当は愛されたがりなのにデリヘルで余計に心すり減らしてるから、その反動でお金を介さずにした彼に、みっともない女になるという紙一重さも全部承知で、でも少しでも愛を感じられたらゴミのような自分から浮上できるんじゃないかって、いちるの希望だったのかなって。竜史さんがそのささやかな、でもとてつもなく愛らしい彼女に値しないクズを好演してた。

で、愛、なんだな。ロ字ック。大きな愛で女の子を、人類を包んでる。タイトルなんてつけなくても、あなたの人生を愛していいんだよ、って。素敵な感覚だった。汚いとかエロいとか全く思わなかったなぁ。誰がどんな言葉吐いても、真理だと思えるからかな。

今日(2/14)は休演日。ロ字ックの皆さまも、全人類も、幸せなバレンタインを過ごせますように。との山田さんの優しい心使いかな?そんな気がする。山田さんは女の子の味方。
あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ2

あんかけフラミンゴ

王子小劇場(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

見逃すな。
初日なので序盤のテンポが少し気にはなりましたが、ここは確実に明日から良くなっていくでしょう。そして見るべきはやはり監禁の過程で凄みを増していく役者さん達の演技。特に主演の笹木皓太くんはやはり逸材、徐々に深みに嵌っていく愛とも狂気とも取れない不可思議な精神状態に、透明感のあるエロスを湛えた残酷な魅力を放つ姿は新たな時代の覇者を予感させるに充分。後ほどネタバレ欄に追記したいと思ってますが、とにかく今は「あんかけフラミンゴを見逃すな、笹木皓太を見逃すな」。これから千秋楽に向かってどんどん化けていくだろうこの舞台、それを想定して☆5です。ああまた観たい。凄かったー。

ネタバレBOX

案の定みなさんの感想が阿鼻叫喚ですね(^-^;) まあそれも想定内でしょう。前回公演の感想は私も酷評でしたが、クオリティが問題なのではなく表現の問題、しかも批判の声の熱量が高いという点でこの公演が如何に観客に爪痕を残したかが伺えます。

それはさておき。

SM監禁で人を支配していく様、遂には殺人まで犯させてしまう様はやはり強烈すぎて胸が焼け爛れるような感覚に苛まれます。序盤はオープニングダンスも軽やかでPOPに描かれるものの、一橋純平くん演じる芸人が平手で何度も殴打される頃にはもう見てられなくて、思わず泣いてしまいました。そこからじわじわと繰り広げられる鬼の所業のような調教に、涙は収まっても動悸は止まらず。実にグロテスクな光景が延々と続くのですが、それでも目の前で凄まじい演技を見せる笹木皓太くんの姿に釘付けになり、自慰からのイキ顔にはすみませんちょっとありがとう(←本当にすみません、)と思ってしまう辺り罪悪感を抱いたり。女優さん達の下着姿はエロスより先に恐怖感を覚えてしまうのですが、それでもやっぱり男性の皆さまはチラッと感謝してたりするのかしらああすみませんごめんなさい。こんな邪な心を抱くときにこれは芝居なんだと実感して、それをこの地獄絵図からの逃げ道にしている気さえします。

とにかく何が言いたいかというと、面白いというには語弊があるけれど、凄い芝居を観てしまった、グロテスクなのにその光景に囚われ続けて昨日も今日もずっとこの芝居のことを考えている自分がいます、と。

あとあと。皓太くんは本当に凄い、凄いけれども同じ役を一橋くんでも観たい。凄いの観れます絶対。

また何か思ったら書きます。

(3/5追記)
見てから4日経ったら、温かい大きな愛の物語に思えてきました。ちぃは真性のMじゃなくて、愛してるから明の性癖に付き合ってた、その包容力に明も惚れ込んだようなそんな気がしたのです。演じた大森さんの魅力もとてつもなく。島田さんが「大森さんと結婚したい」とツイートしてたのも頷けます(^-^) エログロの物語でしたが、今はとても爽やかな気分。本当に素敵な公演でした*
リバーサル

リバーサル

公益社団法人日本劇団協議会

Space早稲田(東京都)

2013/01/17 (木) ~ 2013/01/29 (火)公演終了

満足度★★★★

愛憎の「リバーサル」
大塩さん脚本ということで非常に大きな期待を抱いて複数回予約のうえ劇場に向かったのですが、初日早々に違和感を感じ、以降思考を巡らせながらの観劇となりました。

誘拐劇の相次ぐリバーサル(反転)と同等の重さで人間同士の愛憎のリバーサルが表現されていれば、もっと凄まじい演劇になったはず。登場人物の内面を脚本以上に肉付けして、人間としての奥行・言い表せない愛憎を感じさせてくれたのは、徹を演じた堀越涼さんだけでした。彼の揺れる思いを醸し出す様の繊細さと岡本篤さんの安定の演技を観ながら、もっともっとこの芝居は面白くなるはずなのに、と悔しい思い。

しかし最後に観た日は超満員の入りで劇場内の空気がとてもよく、温かい一体感の中で物語全体・それぞれの感情がようやく繋がったお芝居が観られました。良い気分で帰途につけたので、結果、満足です。

ネタバレBOX

会話劇とエンターテイメントの融合というにはそれぞれがさほど魅力的に感じられず、演出は全体的に昭和テイストで私の苦手なセンス。最後に役者さんがコミカルに踊るシーンでも、拍手はしたものの手拍子をする気にはなれませんでした。

初日に抱いた違和感は直接大塩さんにぶつけてみましたが、ああ思った通りだったな・・・と。第8稿まで書き直したとお聞きし、新進演劇人育成公演としての意味も鑑みると、これから大塩さんが飛距離を伸ばしていく為に有意義な公演ではあったのかなと思います。

ともあれ、もっともっと凄まじいものが観たかった。。この脚本なら観られるはずだったのに。大塩さん、そして大好きな堀越涼さんへのこれからの期待を込めて、★4つです。

(追記)
徹くんの「愛」の質感が初日から最終日までに変化したのが面白かったです。初日にはヒロインを異性として意識していたのに、最終日には思いの比重が修吾に完全にシフトしきっていて、どちらの徹くんも良いなぁ、と。上演を重ねるごとに細かく修正を入れたのでしょうが、こういうのを楽しめるのも生き物である演劇の醍醐味ですね。
「テヘランでロリータを読む」

「テヘランでロリータを読む」

時間堂

シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)

2013/01/19 (土) ~ 2013/01/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしかったです。
冒頭のタイトルコールまでの「声」にゾクゾクしました。暗く広い空間の中で役者さん達の声が驚くほど美しく心地よく体に滑りこんで来る。黒いベールに身を包んだ女性達のように発する情報が制御されるかと思いきや、舞台からこちらが受けとる情報の多さに驚きながら観てしまいました。原西さんの変態と紳士が同居した魅力も相まって、実にセクシーな感覚に包まれた芝居。役者さん達の力はもちろん、あのような統制の取れた演技を役者さんたちにさせることが出来る世莉さんの演出力・役者を育てる力にも感動。人間の発する力にただただ震えて、目を見張っている間に長いはずの2時間が過ぎました。

ネタバレBOX

シンプルな照明、セット・音楽のない素舞台で。役者さんの力を見せつけられて、演劇の原点を見た思いです。やはり演劇は人間の力が全て。それ以上でもそれ以下でもない。余計なものを削ぎ落として、ここまでの力をつけて初めて演劇が始まるのだと思いました。

観終わっての帰り道、ロリータを読みたくなりました。今この時代の日本に生きる私はどのようにロリータを読むのだろう。そして10年後20年後は同じ書をどう読むのだろう、どのような人生を歩むのだろう。厳しい時代に隠れてロリータを読んだ女性たちのその後の人生に思いを馳せると、その余韻は痛く切なく暫くこの胸に留まるだろうと思わされると共に、時間堂という劇団の演劇への・そして人間への崇高な思いを強く感じさせられる素晴らしい舞台でした。
新宿コントレックスVol.7

新宿コントレックスVol.7

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/01/19 (土) ~ 2013/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かった!
個人的に大好きなユニットが目白押しな今回、とても楽しませていただきました。twitterで昭和生まれvs平成生まれの闘いが勃発して挑発し合う様からもうワクワク。そんな中、唯一この煽りに反応しなかったPlat-formanceが人気コントユニットとしての力を見せつけてくれました。面白かったーw

ネタバレBOX

プラフォは文句なし。コントとしてぶっちぎりでクオリティが高く面白かったです。作家のオカさんの確かな力、そして実に緻密な動きで演じる安藤さん吉田さんのタレント性。誰が見ても(特に女性は)その魅力に惚れるんじゃないかな、と。ダンスめっちゃカッコよかったです。キレキレ。

あんかけフラミンゴは平成生まれの逆襲(笑) この世代の人は、ゆとりゆとりと言われて鬱憤溜まってるんじゃないかな、それをバネにして飛距離を伸ばしてる、そんなトコが好き。面白かったけど、ちょっとネタに内輪感が強かったかなと思いました。冒頭の人狼ですが、私のような一般の客は実際に人狼を見たことないし、ルールもよく知らないのです。。あと、ゴウアーをdisるシーンは胸が痛かったです。でも私一生懸命働いてそのお金で観に行ってるので、丁寧な言葉を心がけますので正直な感想は言わせてくださいね(笑)

黒薔薇少女地獄、これはコントではなく演劇でしょう(^-^;) 初演も観ているのですが、白塗りで演じた分、表情が分からなくて感情が伝わりにくかったです。。初演では兄ユージ役の方が、すんごいバカなのにバットを構えた瞬間に天才球児の表情になったシーンが鮮烈でしたが、今回は弟ユーシのイケメンっぷりばかりが目に付きました。ユーシを演じたリョーチ君はとても魅力的でしたが、兄とのバランスは初演に軍配。

8割世界は・・・ごめんなさい、背中が気になってネタに集中できませんでした。。僭越ながら、チョコラBBを毎日飲むといいと思いますよー。

アガリスクは、女優さんの二人芝居!圧巻でした。そして赤いドレスの方のスタイルがとっても良くて美しくて、序盤見とれてコントに集中できなかったくらい(笑) でも徐々にその面白さと演技力に引き込まれて、ああ凄いな、と。素敵でした。
ハッピーエンドにつづく、右脳と左脳

ハッピーエンドにつづく、右脳と左脳

EPOCH MAN〈エポックマン〉

ワーサルシアター(東京都)

2013/01/18 (金) ~ 2013/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

鮮烈なデビュー。
上演された2作品は、いずれも虚構の劇団の自主企画発表会で上演されたもので、正直、面白かった作品とはいえ内容を知ってるから新たな感動はないだろうなと思ってました。

が、すみません、再演舐めてましたm(_ _)m というより、演出も脚本も基本的には変わってないにも関わらず、小沢くんの演劇人としての成長と役者さんの入れ替えでこんなにも衝撃的な作品になるとは思いもよりませんでした。特に小沢くんと舞山さんの二人芝居は、観ているうちにどんどん心臓が痛くなっていき、観終わってすぐにリピート決めたほど。

小沢くんが虚構の劇団を飛び出してのデビューは大成功にて幕を閉じました。観ないと損した芝居です。次回公演も楽しみ!

ネタバレBOX

一作目の4人芝居は、初演とはほぼ印象が変わらないものの、内山さんの自虐的な演技が最高に良い味を出してました。小沢くんの脚本を書く手がどんどん進むんだろうなという小気味良いテンポ、あの清らかな外見からは想像できない下ネタ(でも下品には感じないというお得感(笑))。エンタメと舞台芸術が見事に融合した楽しい楽しい芝居でした。小野川晶ちゃん、虚構の劇団での演技よりも色気があってとても素敵。男性ファンには鼻血モノ。

二作品目の二人芝居は、もう、凄すぎ。追う側と追い詰められる側の逆転に次ぐ逆転。その過程の緊迫感とバランスよく盛り込まれる笑いに引き込まれ、徐々に観る側の心臓が、脳が、芝居に支配されていく。何が正義かなど考える暇もなく目の前のシーンの目撃者にさせられました。

エンタメ色の強い会話劇が力のある小沢くんと舞山さんによって痺れるほど凄まじい誘拐劇になっていて。誘拐した側とされた側の演者が役をスイッチしながら過去を掘り起こしていく様は圧巻で、非常に短いセリフ単位の切替なのに観る側の混乱は皆無。

同様に母親二人も小沢くんと舞山さんがスイッチしながらコミカルに演じる様は、お二人の演技力と魅力の凄まじさに舌を巻きました。今思うと3年前の初演は小沢くんの演技に鴻上さんの質感を強く感じたけれど、今回は舞山さんという相手役を得て小沢くん固有の魅力が爆発し、個性的な一つの色濃い作品に仕上がってました。

一つだけ残念なのは、旗揚げ公演にして前売りが完売になってしまったこと。今まで小沢くんや出演者の女優さん達を見ている方達ばかりが観たと思うので、こんなに凄い公演なのに新規の観客の観る機会がなかったのではないかな、と。次回は是非宣伝に力を入れて、色々なお客さんに注目されてほしいなと思ってます。
花園

花園

20歳の国

王子小劇場(東京都)

2013/01/10 (木) ~ 2013/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

あらゆる意味で熱い。
誰もが胸を焦がせる青春物としての楽しさ面白さはもちろん、作演出の竜史さんと役者陣との強い絆・竜史さんの演劇への思いや思想までもがひしひしと伝わってくる、そしてその熱量の高さがちゃんと実を結んでいた素晴らしい演劇でした。

最低限のセット、最低限の音楽、逃げ場のない舞台から、役者に全てを託す演出とそれに応える役者さん達との信頼関係まで感じられて。脚本に込められた思想に生命力を吹き込む役者さん達の魅力と力量、作演と役者の相乗効果で観客に伝える力を増幅させる、その力強さに圧倒されっぱなし。1時間35分、良い意味で長く濃く、あらゆる意味で熱い演劇。舞台の上に見えるものも見えないものも、沢山のことが伝わってくる舞台、こういうの大好きです。

ネタバレBOX

・私は女子高育ちなので、男子高の生態を笑いながら、時には苦笑いしながら堪能。後日談は誰もが想像する通りだろうからあえて見せなかったのかな?個性的なキャラ達に思いを馳せながら、今、それぞれのその後を想像してます。

・驚くのは、ラグビーのシーン。クライマックスでのスピード感と力強さに溢れるシーンでの役者さん達の身体能力と立ち位置のバランス感の良さには目を見張りました。良いダンスシーンを観られる公演は結構あるけど、良い殺陣は小劇場では殆ど見ないので、いつか剣劇を観せてほしいです。

・これだけ良い役者さんを集めて安易なイケメン芝居に走らない竜史さんの演出姿勢は好感度大。多分演劇部員のあのキャラに全思想が投影されているのだろうけど、「モテたい」という気持ちが表面的なものでなく真のカッコ良さを貫いた上の欲求だということが伝わってきて胸熱。

・役者さんでは斉藤マッチュさんと津和野諒さんが飛び抜けて良かったです。マッチュさんのキレ味の凄さ、津和さんのコミカルさは鉄板。人気投票ではマッチュさんの役が1位、津和野さんのキャラは票入らずで明暗が分かれていますが、これはキャラ設定の差ですよね(苦笑)。隣の席の女性は津和野さんが良いと嬉しそうに言ってました。

・長々と書きましたが、一言でいうと「面白かった」です。「演劇LOVE」と言わずに「モテたい」と言ってるのが竜史さんの良いところなんだろうなぁ。素直なんだか素直じゃないんだかよく分かりません 笑

・追記。フライヤーがとても素敵。可愛い色合い、そして天使の「あけおめ」。年始の時間の無い中どの公演を観ようか迷ったのですが、正直、この天使が最終決定したようなものです(笑)
【舞台版】絶体絶命都市  ー世界の終わりとボーイミーツガールー

【舞台版】絶体絶命都市 ー世界の終わりとボーイミーツガールー

劇団エリザベス

ワーサルシアター(東京都)

2013/01/13 (日) ~ 2013/01/16 (水)公演終了

満足度★★★

泣いた、けど・・・。
劇団エリザベス初見、原作ゲーム知識ゼロ、で観ました。が、目の前で演じられているシーンがいつ・どこでのものかが把握できない状態が多く、また、地震による世界の終わりという設定なのに、臨場感と緊張感が全く感じられなかったのが残念。一昨年の大震災時に絶望と希望の日々を過ごした身としては、絵空事のように思える演出では受け入れることが難しいです(ゲームの舞台化だからだとは思いますが)。そんな中でも、安田友加ちゃんの絶望を希望に繋げる儚い演技と、それを全力で受けとめて伝える須山造くんの繊細な演技は素晴らしかったです。クライマックス、泣いちゃいました。

ネタバレBOX

原作ファンに舞台の面白さを伝えることも創る側の役目だったと思いますが、観劇層でない人が演劇に興味を持つことができたかなと考えると、それはかなり心残り。

また、七味さん今村さんといった実力のある役者さん達の力で舞台が華やいだものの、演出の力が役者さんに及んでいないのがありありと分かってしまって、他の役者さんたちとのシーンのバランス感が良くなかったのも残念。

友加ちゃんの魅力が無かったら多分泣けなかったと思うのですが、Wキャストの長谷さんにはfictionsの客演でかなりときめかせていただいたので、彼女が真逆の演出で演じているというバージョン、彼女の演技と須山くんの演技の違いを観てみたい、と思いつつももう行ける日が無く無念。
ゴリラと最終バス

ゴリラと最終バス

ぬいぐるみハンター

駅前劇場(東京都)

2013/01/07 (月) ~ 2013/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

観劇初めにふさわしい
終始笑いっぱなしの楽しくてHAPPYな演劇でした☆ 皆さまネタバレ欄に書いてらっしゃる通り、あのオープニングにはびっくり。三太さんの頭の中には、他にも沢山の素敵なアイデアが詰まっているのだろうなと思いました。

物語は、普遍的な「家族愛」をテーマにしながらも全く既視感の無い斬新な表現で描かれていて、ちょっと不思議な世界観で生きる登場人物が皆キャラ立ちしていてとてもキュート。最初は狭く思えた舞台が、物語が加速するに連れて縦にも横にも大きく拡がっていく感覚に震えました。

どうやら私、「オーシャンズ・カジノ」以来、すっかり三太さんの演出に参ってしまっているみたいです。スピード感に溢れていて、スタイリッシュで可愛くて。それに応える役者さん達もとてつもなく魅力的で、きっとこれからどんどんノッて益々面白くなっていくんだろうなぁ、友達を連れてもう一回観たいと素直に思いました。

ネタバレBOX

ねこさんが相変わらずめっちゃ可愛いかったです♪
黒木さんは母と娘の二役でしたが、ちゃんと母娘に見えて且つちゃんと別人に見えて凄いなあ、と。
橋口くんは最初のクラスのシーンで耳あてをしていた姿を見て、髪型もそれらしかったのでゴリラ役だとミスリードしてしまいました(^-^;
他、皆さん一人残らずとても愛らしくて、2時間あったにも関わらずずっと見ていたくなりました。
見ながら「明日はカレーにしよう」と決めて、実際作りましたよ(笑)

「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

「俺とあがさと彬と酒と」第1回公演『ふたりマクベス、マボロシ兄妹、ほか短編』

DULL-COLORED POP

アトリエ春風舎(東京都)

2012/12/27 (木) ~ 2012/12/31 (月)公演終了

満足度★★★★

女優・岡田あがさの魅力
谷賢一さんが最強の演劇を作り出すということでとても楽しみにしていました。予想通り(決して悪い意味でなく)、役者の肉体を最大の武器としてシンプルにかつ力強く繰り出される「演劇」。流石だなと思うと共に、役者としての谷さん山崎さんの力量にも目を見張りました。が、それ以上に岡田あがささんの女優としての魅力・・・それは、女優になるべくして産まれたような美貌、目力、その強烈な個性に反して少女にも妻にも悪女にも性欲を持て余すただの女にもなれるしなやかさ・・・それらにずっと目を奪われて、相手役の谷さん山崎さんが少し霞んで見えてしまったのが惜しかったかなと感じました。プレビューを拝見したので、その後確実に進化していってるはず、そう考えると最終日に観れば良かったかなと思います。

ネタバレBOX

一ヶ月前に同様のコンセプトで上演された、さいたまネクストシアター「ザ・ファクトリー2」の衝撃が強かったのも☆1つ減らしてしまった原因かもしれません、ごめんなさい。

しかし、同じような公演を打ってこのクオリティを出せる劇団は他にあるかなぁと考えると、やはりなかなか思い浮かびません。
今のところ私の中ではやはり谷さんが最強のモンスター、これからも作品を観続けたいです。

P.S.早期予約特典でいただいたロング・ロング・パンフレット(500円で販売されてました)、とても面白いです。

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